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海底地盤の波浪による液状化に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

海底地盤の波浪による液状化に関する研究

善, 功企

https://doi.org/10.11501/3063852

出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第4章 変動過剰間隙水圧による液状化の検証

4. 1序説

波浪の変動にともなう海底地盤中の水圧変動については、 これまでいくつかの実験的研 究が報告されている(たとえば、 井上; 1975、 Nago; 1981、 Tsui and Helfrich ; 1983、

Maeno and Hasegawa; 1985)。 しかし、 Nagoらの研究を除けば、 液状化の視点から水圧変 動と地盤中の過剰間隙水圧および有効応力の関連について実験的に調べた研究は少なく、

波浪による液状化や高密度化機構については必ずしも十分解明されているとは言い難い現 状である。 第3章において、 波浪により生じる過剰間隙水圧には、 水圧の変動に弾性的に 応答する変動過剰間隙水圧と、 過剰間隙水圧が徐々に地盤中に累積していく残留過剰間隙 水圧の2つのタイプがあることを述べた。 本章では、 変動過剰間隙水圧に起因する液状化 現象を取り上げ模型実験により液状化理論を検証する(善ほか; 1987、 1990a、 1990b)。

実験では、 繰返しせん断応力の影響を除外するとともに、 できるだけ実験条件を簡明に するために、 一次元状態における模型実験を実施している。 海底地盤面の水圧変動に相当 する鉛直方向の水圧変動を載荷して液状化を再現し、 その発生機構を明らかにする。 模型 地盤中の間隙水圧の応答や応力変動などを計測し、 理論解析結果との比較を行うことによ って液状化理論の妥当性を検証する。 さらには、 模型地盤の累積沈下量、 相対密度変化な どを実測し、 液状化にともなう地盤の高密度化機構を調べる。 最後に、 地盤中の浸透流と 液状化および高密度化の関係について明らかにする。

4. 2液状化に関する理論

4.2. 1液状化規準

一次元条件下でせん断応力が作用しない場合、 変動過剰間隙水圧によって引き起こされ る地盤中の有効鉛直応力の変動ムσ・vは、

ムσ v - u P b P

、、Jノ1i

a凡Afs、、

で表される。 したがって、 任意の時間の有効鉛直応力σ・vは、

σ・v=σ v0 - u =σ・vo+ (Pb-P)

、、2/円J白

anu‘ ft\

となるから、 σ・v亘Oとおいて、 液状化規準は以下の式で表される。

- 58 -

(3)

σ v 0豆一(Pb-P)= U 〆t‘、、 anuz nベU 、、,J

ここに、 σ v 0 . 静穏時の有効土被り圧、 pおよびp いそれぞれ、 海底地盤中および海底 地盤表面の変動水圧で、 静水圧からの増分を正とする。 式(4. 3)によれば、 液状化を支 配する要因は、 σ v 0、 p、 Pbの3つであるから、 これらが得られれば液状化の予測を行

うことができる。 σ\。については、 海底表面の上載荷重による地盤中の有効応力をσ \、

地盤の水中単位体積重量を7・、 地盤からの深度をzとすると、

σ vo=?' z+σ 8 〆f、 an吐 - ,nuz 、、,ノ

となる。 海底面の水圧変動Pbは、 微小振幅波を仮定すると、 式(2. 1)で与えられる。 た だし、 一次元の場合、 xの項は考慮しなくてもよい。 pについては次の4.2. 2で述べる。

4. 2. 2 基礎方程式

海底地盤中に発生する過剰間隙水圧は、 一般に、 式(3.40)で与えられるが、 本章では、

変動過剰間隙水圧のみを対象にしているから、 JU g/ J tの項は無視される。 また、 過剰 間隙水圧は式(3.27)で定義されるから、 式(3.40)を地盤中の変動水圧の基礎方程式lこ 変換すると、

k J2p δp θP b

一一一 = α

?'wmv JZ2 θt

、ljr、υ-anuz 〆,、、

δt

となる。 ただし、 式(4. 5)では、 土の骨格の圧縮率C b は体積圧縮係数mvに等しいと仮定 している。

海底地盤表面における境界条件は、 海底地盤表面SIでの水圧をPbとし、 不透水境界 S 2で流速がOであるから、

境界S1 ; Z = 0で P = P b 〆,、、、 dUA - Fhu 、、,ノ

J P

境界S2 ; Z - lで n z 0 /t、、 Auz 円,I 、、,ノ J Z

となる。 ここに、 n zは境界に垂直なベクトルの方向余弦である。 初期条件は、 静穏時に おける変動水圧がOであるから、 t= 0でP= 0となる。

- 59-

(4)

4. 2. 3基礎方程式の差分解 (1)基礎方程式の無次元化

式(4. 5)に示した基礎方程式の差分解を求めるためté無次元化を行う。 波の周期をT、

透水層の層厚tとし、

T c= c v

l 2

Z

Z=

t T=

T

p

P=

P。

とおき、 一次元の場合、

(4. 8)

、1ノハud

an吐〆't、 、1jnHU 4』ia4A fE\ 、1J4li 4li aιA fE\

P bニPosin(ωt )で表されることを考慮すると、 式(4. 5)は次式 のように無次元化される。

一p一T

へび

『ぴ

α

一守一一γ

《ぴ一『ぴ

Pし 2πcos ( 2πT) 、、,ノn,,U 4Eよ-dA官〆rt、

境界条件および初期条件は、

Z = 0 で、 P=sin (2πT) ft\ dn官 4SEa- n《U 、、,J

Z = 1で、

θP az

(4.14)

T=O で、 P= 0 〆,‘、、 aA1 4il-- 「町U 、、,ノ

となる。

(2)基礎方程式の差分化

深度および時間の差分間隔をそれぞれム玄、 ムTとすると、 式(4.12)は、

C[P(Z+ムz, T)- 2P(Z, T)+下(玄ーム玄, T)]/(ム玄)2

- 60 -

(5)

=α[P(Z, T+ムT)-P(Z, T)]/ムT+2πcos( 2πT) 〆t、、 aaA - 41ム nhU 、1ノ となる。 したがって、

子(Z, T+ムT)= [ {ムT/(ム玄)2} (C/α) ] [下(玄+ムZ, T) -2P(Z, T)+P(Z-ムZ, T)]

一 (2πムT/α)cos(2πT)+P(Z, T) 〆'E\ an吐 1i 円,t 、、,ノ

境界条件および初期条件は、

P(0.T)=sin(2πT)

P(l, T)=P(l+ムZ, T) P(Z, 0)=0

(4.18) (4.19) (4.20)

であるから、 任意の時間T+ムT、 任意の深度玄における下(玄, T+ムT)が計算され る。 なお、 式(4.19)の下( 1 +ムZ, T)は、 差分計算上設けた仮想、点1+ム互におけ るPの{直である。

(3 )差分計算方法と解析結果

差分計算にあたっては、 計算初期の立ち上がりにおいて、 下の値がその後の下の周期的 変動からずれた結果が得られるので、 何波分か繰返し計算を行い、 繰返し回数の影響がな くなるのを確認して計算を打ち切っている。 繰返し回数としては3回(波の3波長)以上 である。差分間隔については、 本論文の計算で使用した定数C、 αの範囲内で精度と安定 性の検討を行い、 ム玄=0.1 、 ムT=0.001を用いている。 後者は、 周期の 1/1000ごと、

すなわち1波長(ωt=3600)をO. 360の間隔で計算していることになる。

図-4.1、 図-4.2は、 計算結果の一例を示したもので、 図- 4.1は、 玄(= Z/ l )が0、

O. 5、 1.0の位置における下(=p/Po)を描いたもので、 2つの興味ある点が明らかとな っている。 1つは、 深度が大きくなるとp/p。の値が減少していることで、 他の1つは、

波のピーク時をみると明らかなように、 深度が大きくなるほど位相ωtがずれていること である。 これらは、 海底面上の水圧変動がそのまま地盤中に伝達されるものではなく、 あ る減衰と位相をもって伝達されることを理論的に表したものである。 図-�. 2は、 各位相 (時間)ごとの変動過剰間隙水圧の無次元量一(Pb-P)/P。の深度分布を示したもの である。 図-4. 2によると、 変動過剰間隙水圧の絶対値が最大となる位相は2200となって

- 61 -

(6)

C =6.0 I α= 2.0 10

0.5

-0.5 a。(]\a

-1.0

-0.5 -1.0 1.0 0.5

。α\a

1.0

。a\〔]

水圧比p/p。の変化

-1.0

図-4.1

(Pb-P )/Po

-0.20 -0.40

0

パ『O LM\N

0.6 0.2

0.8 ( Pb - P ) / Po

0.2

0.4

0.6 ω↑

0.8

1.0

~\N

(Pb-P) /P。の分布

1.0

変動過剰l間隙水圧の無次元量一 図-4.2

62

(7)

おり、 これは、 海底面上の水圧の変動が峰から谷へ移行する過程において、 静水圧よりも やや下がった時点、に相当している。

4. 2. 4 定数αおよびCについて (1)定数α

定数αの持つ意味について考える。 微小な時間d tにおいて海底面上の水圧がd P bだ け変化したとし、 そのとき、 地盤が非排水状態にあると仮定すると、 基礎方程式(4. 5)の 左辺は無視されるから、

α=

3P b/θt θP / a t

、、,,,4BEA nJ白anu昼,,,‘、

となる。 式(4.21)の右辺は、 海底面上における全応力の増分に対する地盤中の間隙水圧の 増分の比の逆数を表し、 海底面上の水圧の伝達特性を規定する。 別の見方をすると、 αは、

三軸試験などで得られる間隙水圧係数B値の逆数に相当することになる。 大草(1985)は、

地盤中の変動水圧に及ぼすB値の影響を詳細に検討し、 B値が小さくなると変動水圧が伝 播しにくくなることを理論的に示している。 ただし、 αが B値の逆数で表されるのは、

3. 5で述べたように土塊が完全弾性体とみなしうる場合のみであり、 一般には、 αは必ず しもB値の逆数とはいえない。 αの特性および測定法については、 4. 6、 6. 6、 7.3で具体 的に述べる。 図- 4.3は、 定数Cを6とした時のp/p。を描いたもので、 αの値が大きく なるにつれてp/p。の値は減少していることがわかる。 また、 水圧伝播 の位相差。につい ても同様で、 αが増加するにつれて位相差が増大している。 αが1の場合については図- 4. 3に示されていないが、 図- 4.3の傾向から判断すると、 p/p0= 1、 θ_ 0 0 となると 考えられる。 α= 1の場合はB値が1に相当し、 水圧が瞬時に伝達されると考えると当然 のことと思われる。 以上のように、 定数αは、 海底面上の水圧の地盤中への伝達特性を表 す定数であると考えられ、 したがって、 以後、 この定数αを伝達係数とよぶことにする。

ただし、 この場合、 αの値が大きくなると水圧は伝達しにくくなることを意味する。

(2)定数C

定数Cは、 式(4. 8)で定義される。 これは、 圧密係数c v、 周期T、 層厚tで表される無 次元量である。 c vが大きいと間隙水圧は速く消散し、 周期Tが短い場合には、 消散しに くいことを表している。 また、 層厚tが薄い場合には、 消散が速く起こることを表してい

- 6 3 -

(8)

る。 図- 4.4は、 伝達係数αを2.0とした場合のp/p。の計算結果で、 定数C が大きくなる とp/p。は小さくなる。 これは、 間隙水の排水の効果によるもので、 Cは排水の難易を表 す定数と考えられる。 したがって、 以後、 この定数Cを排水係数とよぶことにする。 なお、

Cは圧密解析で用いられる時関係数における時聞を周期で置き換えた形となっている。

4. 3実験概要 4.3.1試料

1.0 1.0

1 - P / p。

0.2 0.3

0.8 0.7 0.6 0.5 P / p,。

Phロse Lag 8 (deg)

10 20 30 40

図-4.3 伝達係数αと水圧比p/p。

0.6 0.5

図-4.4 排水係数Cと水圧比p/p。

実験には豊浦標準砂を使用した。 豊浦標準砂の粒径加積曲線を図-4.5に、 物理的特性 を表- 4.1に示す。 実験では、 模型地盤の初期相対密度を30%、 50%、 70%の3在7類に調

整した。

4. 3. 2実験装置

64

(9)

実験に用いた変動水圧型液状化試験装置(仮称)の概略を図- 4.6に示す。 本装置は、

①試料を詰めるアクリル円筒部、 ②変動水圧載荷 ・ 制御部、 ③計測部、 ④記録 ・解析部か ら構成されている。 アクリル円筒部は、 内径205m mよ外径225m m、 高さ100mmおよび 200m mの円筒リングを積みかさね全高2.1mにしたものである。 リングは下端から1個ず

100

Toyoura Sand

80 υ

Ql σ、

主40Ql u ...

ω ()_ 20

0.0074

0.01 0.05 01 0.5 1.0 2.0 Grain Size (mm)

図-4.5 粒径加積曲線

つ試料を詰めながら積み重ねるが、 リングを 積みかさねる場合、 各リング聞にOリングを セットし、 特殊なノt、ンドで各リングを締め付 け一体化しながら積み上げ、る。 積み重ね終了 後、 図- 4.6に示されるように、 円筒上端の 鋼製板と底板を銅製の棒により締結し全円筒 リングを一体化する。 これは、 リング聞の一 体化によってアクリル円筒が内圧に耐えられ るようにするためである。 変動水圧載荷 ・ 制 御部は、 静的な空気圧および周期的な空気圧 を発生し制御する部分(空気圧発生 ・ 制御装 置)と、 空気圧を水圧に変換する圧力タンク からなる。 圧力タンクの内部には、 図- 4.6 に示すように、 水と空気を分離するゴム製チ ューブがあり、 チューブ内の空気圧はこのゴ ム製チューブを介して水圧に変換され、 水圧 - 65

表-4.1 豊浦標準砂の物理的特性

比 重 Gs 2. 647

最大間隙比 e ma x o. 9 8 8 最小間隙比 e m I n o. 615

均等係数 u c 1. 79

50%粒径 D 60 (mm) O. 181

___j 205 L-

e 円VU O MMG .,,

P or re 戸』qu pa w oe

Pneumatic Slne Loading Uni↑

Unit: mm Earth Pressure Gauge

図-1.6 実験装置

(10)

に変換された圧力は円筒の上部から伝達される。 計測部は、 間隙水圧計(本実験では、 各 円筒リングの中央側壁に設けられている間隙水圧測定孔のうち、 図- 4.6に示すPO 、 P1、

P3、 P5、 P7、 P9、 P11 、 P13 およびPLの9点)と模型地盤底部の土圧計(EP)およびアン フ。からなる。 その他に、 模型地盤作成時に各リング中央高さの内壁にセットされたマーカ ー(M1--M14)の移動量が透明アクリルの外側から測定される。 電気的な測定結果は、 実験 の初期の段階では電磁オシログラフ上に記録されていたが、 その後、 データレコーダが用 いられている。 データレコーダの記録は、 実験終了後、 マイクロ コンビュータにより処理

.解析された。

4. 3. 3実験方法

試料を天日乾燥した後、 所定の相対密度とするために必要な試料重量を円筒リングの数 だけ準備し、 乾燥状態で最下端のリングから順lこタンピングを加えながら詰めていった。

この時、 タンピングにより既に詰め終えた下部の地盤の相対密度が変化しないように注意 し、 1つのリングで3層ごとに試料を注ぎ、 各リング毎の所要試料重量が詰め終わ るまで 軽いタンピングを行った。 また、 試料を詰めるさいに、 マーカーとして用いるため、 粒径 が5mm程度の礁を、 各リングの中央高さの位置の内壁にグリースによりに張り付けた。

各円筒リングのマーカー数は4個とした。 地盤高さが1.9mになったところで、 さらに2 個の円筒リングを積みかさね、 鋼製板をかぶせて、 鋼製棒で円筒全体を固定した。 地盤厚 は1.9mのほかに、 0.28mのケースについての実験も行っているが、 地盤厚が0.28mの場 合も同様にして地盤を作成している。 地盤の下端から二酸化炭素(C 0 2)をゆっくりと注 入し、 その後、 水道水を注水した。 間隙水圧計および土圧計の初期点を 記録し、 レコーダ をスタートして、 時間を置きながら徐々に水圧を上げていき最終的に地盤の表面において 1. Okgf/cm2となるようにした。 これは、 実際の水深10mに対応した水圧とするためであるO また、 飽和度をあげるため、 水圧を加えた状態で1晩放置した。 静水圧を確認、後、 地盤の 表面およびマーカーの位置を再度読み取った。 以上の準備が終了した後、 空気圧発生装置 により所要の変動水圧を加えた。 変動水圧の波形は正弦波を用いているが、j辰I�目、 周期に ついては実験ケースにより変化させ、 1種類の地盤について数段階の変動水圧を加えるい わゆる段階試験(ステージテスト)を実施している。 加えた繰返し波数は、 各ステージご とに500波であるが、 途中、 適当な波数ごとに間隙水圧等の計測を行っている。 また、 地 盤の表面沈下量は、 適当な繰返し波数に対して読み取っているが、 地盤中のマーカーの変 位量については、 各ステージ終了後、 アクリル円筒の外側からノギスをあてて読み取り、

- 66一

(11)

円筒を各々のリングに分解 4点、の平均値を求めている。 全ステージの載荷が終了した後、

これらの測定は し、 各円筒リング内の試料を取り出して飽和度、 相対密度を測定したが、

まず、 水位を地盤表面まで排水しその上のリングを取りはずした。

以下のように行った。

中央部にできた数cmのくぼ 地盤中央部の試料を少量だけスプーンで容器に移し、 次に、

その状態から再び試料を容器に移しこの ドで容器にくみだした。

みにたまった71<をスポイ

0.9

リングの境 操作を何回か繰返した。

0.8 7

6 5 4 3

2l

(E)同\-Z205工む〉O玄←couζ-c?ω

界近くになるとエ ッジナイフで静か に試料を取り出した。 上部のリング リング から順に同様な作業を行い、

l個ずつの試料の湿潤重量、 乾燥重 量を測定した。

4.3.4実験条件

模型地盤の初期相対密度は、 50%

70%の3種類につ 30%、

を中心に、

前述のように、

いて実験を行った。

15 13 11 Wave Period T (s)

9

本実験では水深10mの海底地盤を想、

定し、 静水圧として地盤表面におい

l

09 寸08

2 L上- 二つ ] :: ;

3?で斗&==

---:Æ

4 1 -22

i 05 2 ミ<l 0>

i丁;--JJjj|;

Test No S吋eM | l

i f

5①ー③一 一 「 斗02

3

①ー③ o

I 0

7 ①ー②一一 一一一一一一ーー B ①ー③

載荷条件(Test No.1"""'4) 図-4. 7 (a)

て1. Okgf/cm2の水圧が加えられてい 波浪条件としての水圧変動(こ る。

} E .., 、、

.c 0、 5

CIJ 3: 0 -c o u

:=

c 2

(J) u、

こでの水圧変動は、 海底面もしくは 模型地盤表面における水圧の変動を は、 実際の波を微小振幅波と いう)

考えて正弦波形が用いられている。

水圧変動の振幅および周期について は次のようにして決定されている。

すなわち、 既往の観測によれば、 有

」。

ω

lh7( 1

7 7 du円V'a--AU 9eL9ω Pr-OL ep'V

f e w-w wohriwlinHHd-

CJV

。 義波高H 1/3と有義波周期T ) /3の間

15

に図-4. 7 (a) に示される相関性があ ることが明らかにされている (広瀬

NO.5"""'8) 載荷条件(Test

図-4. 7 (b) 図-4. 7 (a) では、 酒

ほか; 1982) 。

67

(12)

田港、 鹿島港、那覇港、波浮港における観測データが示されており、 H o/L。は波形勾配 を表している。 したがって、実験で使用する水圧変動の振幅、周期については、実際の波 浪条件に近くなるように、図-4.7(a)に示された範囲をできるだけカバーできるように設 定されている。 実験で使用された水圧変動両振幅2 p。は、0.192kgf/cm2"'_' 0.892kgf/cm2、

周期Tは、3秒,.._.15秒の範囲である。 なお、図-4.7(a)の右側の縦軸下。は、 式(2.1)の p。よりもl/cosh(λh )倍だけ大きいが、2 p。の値を規定しておけば、 種々の水深h、

波長Lに対応可能である。

行った実験は、8ケース(試験番号1""8)であるが、各試験ケースごとに数段階の水 圧変動を加えており、最大8ステージまで実施されている。 図-4.7(a)、(b) ,こは、 今回 使用した水圧変動両振幅2p。と周期Tを各ステージごとに連続して示している。 図-4.8 は、繰返し波数Nと217。の関係を

1.0

試験番号1,.._. 4について示したもの

ステージごとの周期が異なっている。

10.

N

Fh、 s - 内J ι 9 一 陶 - e s一 T

I 弐》 一

S一 応 一

h 「一」山

「 -

である。 試験番号1、3、4は、波 高と波数の分布形状はほぼ等しいが、

試験条件を表-4.1に示している が、その概要は以下のとおりである。

試験番号1 :図-4.7の波形勾配

o L_____J一一ーーし一一_j・ __ _1一一一 j_ -'一一一一l

o 1000 2000 3000 4000

Number of Woves N (Cycle)

し一一一よ一一一一L一一一一よ一一 ー 」一 一」一一一一1 _j

Stoge No

Ho/L 0= 0.003に沿った載荷。

試験番号2 :振幅 2 p。を一定。

試験番号3 :周期Tを一定。

試験番号4 :試験番号1と同様な変動水圧を加えているが、供試体上部に上載荷重が存 図- 4.8 波数と水圧変動振幅

在する場合の試験(上載圧は供試体上面に直径2.5m m程度の散弾27kgfを20c mの厚さに 敷きならす;散弾の水中単位体積重量は3.58gf/cm3)。

試験番号5および6 :波浪条件を試験番号2とほぼ同様にし、地盤の初期相対密度をそ れぞれ、70%、30%にした試験。

試験番号7 : ステージ番号lは、模型地盤底面での応力の変動を測定。 ステージ番号2 は、重量構造物モデルの挙動を調べた試験。 地盤表面に模型構造物(高さ190mmx幅69.4 mmx奥行69.4mm、重量2502gf)を設置。

試験番号8 :軽量構造物モデルの挙動を調べるためにピンポン球を埋設した試験。

- 68 -

(13)

守--

表-4.2 実験条件

{ よ三宝: �t2.ge Po (kgf!cロ勺 2 Po T DTO

、-、ー、ー" No. (kgf/cm勺 (s) (m) くr;;)

lrO:.Ign Cr白:

l -0.080 0.117 0.197 t J三:(.I L.:;�O. 03

-0. 12� 0.2C3 0.325 9

3 -0.187 0.285 0.473 l'

A -0.3g 0.408 0.722 13 1. 90 ��

5 -ü. �53 0.302 0.555 11

6 -8.193 0.197 0.390 9

7 -0.103 0.138 0.243

1 -0.248 C'.お9 0.507 15 '2þニ=Coコst.

2 -0.235 O. 27� 0.509 11 -c. 2�0 0.275 0.515

4 -0.240 C'.257 0.497 3

-

1. 90 50

3 -0.361 0.430 0.791 15 ::! Po=CO!1S�.

6 -0.383 0.410 0.793 13

7 -0.355 0.458 0.813 11 8 -0.365 0.453 0.818 9

1 -0.104 0.143 0.247 ア=COr.st

-0.190 0.249 0.439 1. 90 50

3 -0.256 0.339 0.595 7

.J 4 1 -0.330 O. .;25 ().756 7

3 -0. 274 0.330 0.604 7

6 -0.188 0.255 0.443 7 1. 90 50

-0.104 0.149 0.253 7

l -0.109 0.149 0.258 7 Ho/ん",=,0.03

2 -0.185 O. '260 0.445 9 q,=0.0716

3 -0.280 0.338 0.618 11 kgf/cm=

4 4 -0.352 C. ,)52 0.804 13 1. 90 50

3 -1).281 0.352 0.633 11

、戸 -0.198 0.248 0.446 9

-0.103 0.163 0.266 7

-0.272 0.257 0.529 15 Test No. 2

-0.271 0.265 0.536 11 と同様なさ2荷条

3 -0. :74 O. �67 0.541 7

ー',r -0.268 0.270 0.538 3

3 1. 90 70

3 -0.485 G.404 0.889 15 6 -0.490 0.402 0.892 13 7 -0.489 O. .100 0.889 11

8 -0.490 0.400 0.890 9

-0.260 0.256 0.526 15 Test :0;0. :2

2 -0.268 0.26 1 0.529 11 と同様なま荷

3 7 条件

4 -0.294 0.295 0.589 J

6 1. 90 30

5 -0.446 O. ..f04 0.850 15

6 -0. .J.50 0.395 0.845 13

7 -0.459 0.397 0.856 11

8 -0. .J.60 0.399 0.859 9

0.273 1 3 50 i 土圧計出

7

-0.213 0.323 0.566 3 0.28 50 l 主主俗造符設置

-0.299 0 332

i

0.631 3 �:B:情造物設笠

8 4 -0.303 0.3:9 0.634 3 50

J -0.332 0.361 0.693 2

. (注〉 各ステージの:三致N=500

69一

(14)

4. 4実験結果

4.4. 1変動水圧分布

図-4.9は、 層厚190 c mの実験により得ら れた各深さでの変動水圧を示したものである。

図-4.9の例では、 繰返し波数Nが10波自の

Gcuge No PO

水圧変動を示したものであるが、 波の谷に相 PI 当する時間t = 2.25秒の時をみると、 変動水

圧は-O. 24 4kgf/crn2から- 0 . 190kgf/crn2まで P3

深さとともに低下していることがわかる。 ま た、 変動水圧の負側のピーク値の現れている 時間も深さとともに遅れてきており、 水圧が ある位相差をもって地盤に伝播されているこ とが明らかである。 そこで、 これらの実測値 から波の谷および波の峰に相当する時の変動 水圧をp。で無次元化した水圧比p/p。を深 さに対して整理してみると、 図-4.10が得ら れる。 図-4.10において、 O、 .は、 それぞ れ、 地盤面の水圧が最小の時(波の谷に対応

P5

P7

P9

Pll

PI3

Tesr

N0.2

Srage i\;o斗

lP24FO

fls)

γ日=ー0.205

k<j. Ic 1712

15b-b。

f{S1

1にノP�II=-0.197 kgflcm2

: -P 0)および最大の時(波の峰に対応:+

P 0)である。 図-4.10より明らかなように、

地盤中のp/p。値は1. 0より小さくなってい

図-4.9 変動水圧の実視IJ記録例

る。 このことは、 地盤面の水圧の変動が必ずしもそのまま地盤中の水圧変動とはならず、

同一時間においては、 地盤面の値よりも小さくなることを示すものである。

4.4. 2有効鉛直応力の変動

水圧の変動にともない地盤中には変動過剰j間隙水圧-(Pb-P)が発生し、 その結果、

地盤中の有効応力が減少し地盤が液状化する場合があることは既に理論的に明らかにした。

このような液状化現象を実験的に検証するために、 間隙水圧とともに地盤中の鉛直応力を 実際に測定した。 応力測定のた めの技術的問題から、 地盤の底部における全応力を測定し た。 この全応力から、 同時に地盤底部で測定した間隙水圧を差し引くことにより有効鉛直 応力を求めている。 地盤の相対密度は 50%にし、 地盤の厚さは、 周面摩擦やアーチ作用の

- 70 -

(15)

p / p。

02 0.4 0.6 08

0.3

Tesl No.2 舎、, 0.2

SIロge No.4 E u 0.1

T=3(s), N=10 \回、

」。zt

0.5

1

Po (kgflcm2) )

一〈トー-0.245

E 司+ー 0.252 - 0.2

-0.3 0.04

0.03

N

\ E υ

1.5

、b

<J

- 0.02

図-4.10 水圧比p/p。の深度分布 図- 4.11 有効鉛直応力の変動

影響をできるだけ少なくする目的でO.28mにした。 水圧の変動周期は3秒である。

図- 4.11は、 地盤表面の変動水圧P bと地盤下端面の有効鉛直応力の変動量ムσ\を示

したもので、 縦軸のムσ・v= 0はσ, V 0 = O. 026kgf/cm2に対応している。 図- 4.11の実線 で示されたムσ Vは、 静水状態からの全応力の変動分ムσvから、 変動水圧pを差しヲ|し1 た実測値である。 図-4.11によると、 地盤表面の水圧の変動にともない地盤下端面の有効 鉛直応力も周期的に変動することが確認される。 地盤には鉛直方向の水圧変動のみが載荷 されているので、 有効鉛直応力の変動はこの水圧変動によってもたらされたと考えられるO なお、 図- 4.11に示している破線および一点鎖線の意味については4. 5で説明する。

4. 5液状化発生に関する考察

4. 4. 2において、 地盤底部の有効鉛直応力 σ v は、 静水時における初期有効鉛直応力 σ\。 の状態から増加と減少を繰返していることが明らかとなった。 しかし、 このことだ

けでは液状化が発生していることの証明にはならない。 液状化の検証を行うためには、 過 剰間隙水圧の発生によって地盤中の有効鉛直応力σ・vが0または負となる領域が存在する ことを確認しなければならなし1。 そこで、 まず、 有効鉛直応力の変動量ム(J vが式(4. 1) で表されると仮定して議論を進める。

- 71-

(16)

の深度分布を描いたものである。 式 図-4.12(a)は、 有効鉛直応力の変動(Pb-P)

図-4.1 (Pb-P)以下のところであるが、

の液状化規準を満たすのはσ v。が-

、、,J円、u-a4 〆,‘、

図-4.12 の分布にσ V 0の値を書き込むと破線のようになる。

(Pb-P) 2(a)に示した

このこと (Pb-P)がσ\。よりも大きくσ V豆0となる。

(a)の破線の左上側では、

図-4.12(a)をσ Vと深さの ωt= 2100 の場 図-4.12(b)に示すように、

その領域で液状化が発生していることを意味している。

関係に整理し直して比較するとより明確で、

は、

0.05

σ��, U max (kgf /cm2) 0 01 0.02 0.03 0.04

HJ、

ふ 一F-cv、

-b 字E\

、、、、、、、1、マqt Q 汚\\

Test No.7 Stoge NO.I T=3s,N=IO U max

/'--

(ωt =210・l

(E)NL←且ωO

いJ↑

ハ)(E)N三aω口

0.2

0.01 0.02 0.03 0.04

Test No,7 Stage NO.I

Nc=IO T=3s

、Densification

( kgflcm2)

図-4.12(b) 液状化領域 (位相ωt =2100 ) 有効鉛直応力の変動

と初期有効鉛直応力 図-4. 12 (a)

合では、 深さ0.13 m以浅でσ・v豆Oとなり液状化が発生していると考えられる。

この関係の妥当 そこで、

以上の議論は、 式(4. 1)が成立するとした前提にたっている。

図- 4.11の破線は、 地盤下端面において実測した変動過剰間隙水圧 性について検討する。

hu p 〆,、、

を描いたものである。 式(4.1)で表されるように変動過剰間隙水圧- (Pb-P)

この両者は、 σ vが がムσ vに等しいとすると、 実線と破線は一致すべきである。

- p)

( P b一 のところでは良く一致しておりムσ v-

,....___ 3000 以外)

正を示す位相(ωt=1200

(Pb-P) ムσ v ヲ丘

の範囲では、

,....___ 3000

ωt=1200 となることが確認される。 一方、

、1/ny

この理由については次のように考えることができる。

となっている。

その範囲内の地盤は懸濁状態になって いると考えられるから、 実際の地盤面は初期の地盤面よりもdlだけ下がっている。 新た

深さd1以浅で液状化が発生しているとすると、

72

(17)

な地盤面における全応力の変化Plは、 懸濁流体の単位体積重量をr sとすると、

Pl-Pb+r'.d1 〆't、、 44ゐ つL 、1ノn'''u

となる。 したがって、 有効応力の変動ムσ・vは、 Plからpを引くことにより求められる。

ムσ'v= {(Pb-P) +r'sd1} 〆t‘、 aAHa nノ臼 、1jn《けw

このような考えにもとづいて、 図-4.12(a)から、 液状化深さd1を各位相ごとに求め補正 した結果を描いたものが図-4.11に示した一点鎖線である。 このような補正を行うと、 実 線と一点、鎖線はきわめて良く一致している。 以上のことから、 すべての位相において

ムσ'vo= (Pb-P)となることが検証されたものと考えられる。

なお、 図- 4.11において興味深い点は、 位相ωtが1800 ""'"'2400 付近でのムσ\が最小

となっていることで、 この範囲の位相の時が液状化に対して最も危険なことを意味してい る。 この傾向は、 図- 4.2に示した理論解析結果と一致する。 実際の波浪では、 この位相 は波が静水位からやや谷側へ低下した時に対応するもので、 このような急激な水位低下が 発生するような状態が液状化に対して最も危険な状態ということができる。

4. 6変動水圧に関する理論値と実測値の比較 4. 6. 1入力定数の決定

変動水圧に関する基礎方程式には、 定数として排水係数Cと伝達係数αが含まれているo ここでは、 これらの定数について考察する。

(1)排水係数

排水係数Cは、 透水係数k、 体積圧縮係数mv、 水の単位体積重量r w、 波浪の周期Tお よび層厚tにより決定される。 これらの因子のうち、 r wは一定とみなしてよく、 土に関 係する因子はkとmvである。

透水係数は、 土質工学会による「土の透水試験方法(案)J (A 1218 T-1978) により 行った。 その結果、 相対密度50%では、 k= 2. 8 x 10-2 C m/ sが得られた。

体積圧縮係数については決められた方法がないので、 次のようにして測定した。 乾燥砂 を内径305mm、 高さ350mmのモールドに相対密度を50%に調整して詰め、 静的荷重を段 階的に増やし所定の荷重に達したら次は段階的に除荷する。 このような載荷と除荷を繰返 し、 各荷重段階で沈下量と載荷荷重を記録する。 体積ひずみεvと鉛直応力σぶを求め図

- 73-

(18)

、・司-酔

- 4.13に示すような両者の関係を描く。 図- 4.13では、 Oが載荷側、 .が除荷側の実視IJ値 で、 mvは、 εvとσ vの関係の勾配として求められるが、 第1段階の勾配は第2段階の勾 配に比較してかなり大きくなっている。 排水係数Cを決定する場合、 第1段階のmvと第 2段階以後のmvを採用する場合ではその値が大きく異なることになる。 しかし、 本実験 においては、 繰返し波数が10波のとき を中心に検討を行っていることから、 mvとしては、

繰返し波数によらずほぼ一定の値を示す第2段階以降の値を採用し、 第2段階以降の結果 の平均値を用いることにする。 また、 載荷側と除荷側の平均的なmvを比較すると、 圧縮 側の体積圧縮係数mv c

=

1. 918x10- 3cm2 /kgf、 除荷側の体積圧縮係数mvr=0.975xl0-3cm2 /kgfとなり、 圧縮側のmv cが大きくなる。 本研究における変動水圧の解析では、 残留ひず みを考慮しないので、 土の弾性特性を表す膨張側の値を評価し除荷時の体積圧縮係数mvr を採用する。 以上のようにしてkとmvが求められればTとtを用いて排水係数Cが決定 される。

0.5

C Loodíng

Unlooding

EJ O寸|寸」

3・

lU

2 5

myr =0.975 x 10・"3 cm2/ kgf

myC =1.918 x 10-"3 cm2/kgf

日\ε

20 40 60 90 100

Dro (%)

図- 4.13 有効鉛直応力と体積ひずみ 図- 4.14 相対密度と透水係数

上述のkとmvは、 地盤の相対密度によって変化する。 図- 4.14は、 相対密度の相違に よる透水係数の違いを示したもので、 kの値は相対密度Dr。が増加するにつれて小さくな る。 一方、 体積圧縮係数mvと相対密度Dr 0の関係を示したものが図- 4.15である。 mvの 値もkと同様に相対密度の増大にともない減少している。 したがって、 排水係数Cは、 相 対密度によって異なる値となることが予想されるが、 Cに含まれるkとmvが相対密度の 変化に対して同じ割合で低下する場合lこは、 k/mvが相対密度に無関係に一定となりCも

- 74 -

(19)

、司-

10.2 20

2

20 40

Dro (%)

60 80 100

5 0・ Averロge 10

内〆』 (』Z\"EU}

.: 5th Cycle

5

\0・84\

-L 下 ?o\ {仰心ε RU

u

2・

2

20 40 60

D珂(%)

80 100

0.5 0

0

4 -nu

図- 4.15 相対密度と体積圧縮係数 図- 4.16 相対密度と圧密係数

一定値を持つことになる。 図-4.16は、 相対密度Dr。と圧密係数Cv (= k/r wffiv)の関 係を描いたものであるが、 Cvは相対密度の増加に対してやや小さくなる傾向にある。 た だし、 図-4.16に示したように、 ffivの値に幅があることや、 Cの値を時間ごと、 深度ご とに 変化させることは解析上非常に繁雑になることなどを考慮して、 ここに示されたCv の変化は実用上ないものとみなしている。 この場合の排水係数はC= 5.57が得られる。

( 2 )伝達係数

伝達係数αは、 式(3.41)に示されるように、 n/CbとC'wの関数である。 一次元圧縮 の場合、 Cbはffivで表されるから、 C'wとして表- 3.2のうちVerruijt (1969)による式 を用い、 間隙水そのものの圧縮率は無視しうるほど小さいとしてCw� 0とすると、

n 1-S r

α= 1 +

一一

( ) (4.24)

打1v P m 11

となる。 ここに、 P mllは絶対圧力で表した間隙の水圧である。 一方、 非排水条件のもとで の伝達係数αは式(4.21)で表される。 したがって、 非排水条件下で、 加えた水圧増分 a P b/ a tに応答する間隙水圧増分a P / a tが測定されれば、 α が求められる。 そこで、

3.5.2で述べた三軸セルを用いた試験結果からαを求めて飽和度S rに対してプロ ットした ものが図-4.17である。 飽和度の精密な測定が困難なためデータには大きなばらつきがあ るが、 式(4.24)を適用して最小二乗法によって平均曲線を求めると図-1.17中の実線と

- 75-

(20)

、...-

なる。 このとき得られるn/mvの値は295kgf

/cm2となる。

n/mvは、 別途、 一次元圧縮試験結果から も求められる。 相対密度が50%のときの間隙 率n =44.5%であるから、 mv = O. 975x10-3

cm2/kgfを用いるとn /m v = 455kgf/cm2、 mv

= 1. 918x10-3cm2/kgfを用いるとn/mv=232 kgf/cm2となる。 これらの結果を図- 4.17に 一点鎖線で描いている。 実線と一点鎖線はほ ぼ対応しており、 平均的には式(4.24)を用

1 0

1 5

($ 2.0

5.0 10.0

94 95 98 99 100 101

Sr (%)

図- 4.17 伝達係数と飽和度の関係

いてαを決定することが可能と考えられる。 なお、 式(4.24)には、 間隙の水圧P mllが変

数として含まれている。 P mllは、 地盤表面の水圧P bによって逐一変動するから厳密lこは αは定数ではない。 しかし、 P ml[は絶対圧力で表したものであるから、 水圧の変動が静水 圧に比較して 小さく、 飽和度が100%に近い状態では、 近似的にP m iの変動の影響を無視 し、 静穏時の海底面の静水圧で代表させてもよいと考えられる(善ほか; 1 987)。

(3)飽和度

気泡と水の混合体の圧縮率は間隙水の応答 に大きく影響する。 そこで 、 本実験におけ る地盤の飽和度を測定した結果を示したもの が図- 4.18である。 飽和度の測定は、 4.3. 3 で述べたように 、 100mmもしくは200m mの

アクリル円筒内の試料ごとに行っているが、

図-4.18では得られた結果の幅を描いている。

図- 4.18によると、 傾向的には地盤深部で飽 和度がやや小さくなっており必ずしも一定値 を示していないが、 その範囲は97%から 101

%となっており平均では99%となっている。

4.6.2非液状化地盤における比較

ε

N

工1.0

・+-'0...

<l;

O

2.0

Sr (0/0) 97 98

図- 4.18 地盤の飽和皮

理論解析にあたっては、 4.6. 1の方法により求めた排水係数C= 5. 5 7 (k = 2. 8 x 1 0 -2 C m/

76

(21)

可�

.

Stage No. 1, α=2.3,C=5.57

ー-

Calculated Test NO.3

1

l = 1. 90 T=7s、

mv=0.975cm2/kgf、

s、

Observed

l/ t = 00

ω1

270。 360。

を用いて推 定した伝達係数α=2.3を用いた。 地表面の

および飽和度から式(4.24)

m

1.0

。a \ 晶円]

実測変動水圧P bは、 完全な正弦波形ではな

900 いが、 理論解析では正弦波形で近似し境界条

コチ/

ゲ ノ

」ん

. . 、

三/.t=G45

ω↑

-1.0

4. 2.

その他の解析方法は、

件として与えた。

図-4.19は、 試験 3で述べたとおりである。

ステージ番号1のケースについて、

番号3、

。己\丘

1.0の深度におけるP/P。の経

= 0.45、

Z / l

時変化を比較したもので、 波の峰および谷付

Z/♂=10

\・

\

180 。て・ 2示。。

:.;1 3500

J ー1.0

1.0

近で理論値と実測値でやや差がみられるが、

理論計算での地盤境界面の変動水圧Pbの近

。a\立

似精度から判断して両者はほぼ良い対応を示 図-4.20は、 有効応 しているとみなされる。

の深度分布を描いてい ー1.0

力の変動(Pb-P)

のときには および3200

る。 位相ωtが1200

水圧比の経時変化 図-4.19

理論値と実測値にやや差があるが、 その他の

0.3

Test No 3 Stoqe No 1

T=7s.Nc=10 α .2.3 C

2

5.57

一一-

Colculoted -一一Observed

ωf

O

E) N ζ←己申。

また、

位相では、 両者は良く対応している。

u =ー(PÞ- P ) ( kgflcm2)

0.5

o z-a由。 (ε)N

ト9

過剰間隙水圧の分布 図-4.20

1.9

有効鉛直応力 図-4.21

77

(22)

いずれの位相 の負側の絶対値は、

( P b - P ) σ v 0の線 も描いているが、

図- 4.20には、

この結果は、 実測 においてもσ\。よりも小さくなっており、 液状化は発生していない。

を用いて地盤中の有効鉛直応力 式(4.2)

図-4.21は、

値でも理論値でも同様である。

σ vの深度分布を示したものである。 図- 4.21によると、 地盤中に作用する有効鉛直応力 このことからも液状化が発生していないことがわかる。

は常に正の値となっており、

4. 6. 3液状化地盤における比較

本理論解析では、 排水係数Cは4.6.2と同様に5. 57とし、 伝達係数αは1.7を用いているO 1.0における1波長聞のp/p。の経時変化を比較したものであ z/ l =0.45、

図-4.22は、

る。 図-4.22によると、 位相が2700 以降で理論値と実視IJ値はややずれている。 これは、

z / l二0.0における水圧の変動Pbがきれいな正弦波として制御されていないのにかかわ その他のところでは理

らず、 理論計算では正弦波で近似したためと考えられる。

論値と実測値は良く一致している。 図-4.23

Sloge No. 4, α= 1.7,C=5.57 Tesl No. 3

は、 有効鉛直応力の変動量(Pb-P) の深

一一一ー

Colculoled

Observed

z;e =0.0

900

度分布を比較したもので、 実線が理論値、 破 線が実測値である。 図-4.22の説明で述べた 1.0

。Q\門]

ように、 位相が 2700 以降の理論値と実測値 (Pb-P) の分 の対応はあまり良くなく、

1.0

.・'/ ω1

o �----'-- ーャ l 一一」

o

900 1800 \ 270。 ・,360。

. . .

/

z/t = 1.0

ω1

一一一一一」

2700 .・360。

90。

また、 図-4.23の ートO

布についても同様である。

Zlt =0.45

。a\門]

実視IJ値の分布では、 深さ0.75 m以浅において 理論値とはきわめて異なった分布となってい この理由について考察するために、 図一 る。

4. 23中に初期の有効鉛直応力σ V 0を描いて

一1. 0

これまで述べたように、 有効鉛直応力 いる。

の負側の絶対値がσ V。より 変動(Pb-P)

。己\門]

も大きいところでは液状化現象が発生してい 図-4.23における ると考えられることから、

-1.0

実視IJ値はこの液状化の影響を強く受けたもの

71<圧比の経時変化 と思われる。 本研究の理論では、 土粒子が相

図-4.22 互に接触して骨格を構成している地盤を取り

78 -

(23)

扱っている が、 液状化発生後に は地盤は懸濁状態になり骨格構造を構成しなくなることか ら、 (Pb-P)の分布をうまく説明できなかったものと考えら れる。 図-4.24は、 液状 化深さをより明確にみるために、 実測値をもとに求めた有効鉛直応力σ vと理論値との比 較を示したもの である。 図-4.24の結果 によると、 σ v が負となる 深さは0.75m以浅で、

この領域では明らかに液状化が発生していると考えられる。 一方、 σ\が正の領域では、

地盤が膨張(Expansion)する領域(0くσ・v くσ・V0 )と地盤が高密度化 (Densification) するよ うな領域(σ\。 く σ. v ) が存在する。 この結果から、 海底地盤では、 波の1周期

U :- (P.- P ) (kçflcmZ)

0 12 0 10 008 006 004 002 0 402-0.04-0062型 央10-012 Ol'i一ー「一下一寸一.-一一一寸ー-,-,一一�-,-ー「寸一一- 一一「

ε

子、a 一一一-Colculoled

Tesl No. 3 510ge No. 4 T = 7s. Nc=10 a: 1. 7. C = �.57 0.5

z'a由。 nu

\ \

ω11

?6ぴ\、、

N E

1.5

図-4.23 過剰間隙水圧の分布

σ-:= r'Z+(Pb-P ) (kgf/cm2)

-0 04 O. 01 0.2 03

01

1.9'

Tesl No. 3 51ロge No. 4 T=7s,Nc:l0

。=1 7, C=弓57

図-4.24 有効鉛直応力

の間に液状化、 膨張、 高密度化の3つの現象が、 波浪の進行にともな って繰返し発生して いる ものと推定される。 以上、 非液状化地盤および液状化地盤を対象に実測値と理論値の 比較を行ったが、 地盤が骨格構造を形成している範囲では、 提案理論によ って地盤中の変 動水圧を推定できることが明らかである。

4. 7液状化にともなう模型構造物の挙動

地盤が液状化した場合、 重量構造物は地盤中に沈下し、 地盤中の軽量構造物は浮き上が ることが予想される。 このことを検証するために、 重量構造物として矩形アルミ塊(高さ 190mmx幅69.4mmx奥行き69.4mm、 重量2502gf、 接地圧0.052kgfjcm2)を地盤表面 に設置したケースと軽量構造物としてピンポン球を地表面から2 c m、 4 c m、 6 c mの 深さに埋設したケースについて同様な実験を実施した。 実験条件は、 表- 4.2の試験番号

- 79-

(24)

7と8に示されているように、 初期相対密度50%、 層厚0.28mで、 周期T = 2 sおよび3 sである。 模型構造物の変位は、 50mmの格子座標を描いた透明なプラスチック用紙をア クリル円筒の外壁にはりつけ、 円筒の外側からやや離れた位置に固定したカメラにより適 当な繰返し波数ごとに写真撮影を行って測定した。 実験終了後格子座標に対する模型構造 物の移動量を読み取った。 写真- 4.1は、 模型重量構造物の波数に対する移動状況を、 写

写真-4.1 重量構造物模型の移動状況

.星雲

写真- 4.2 軽量構造物模型の移動状況

- 80 -

(25)

真-4.2は模型軽量構造物(ピンポン球に固定された細棒先端)の移動状況を撮影したも

のである。 写真-4.1、 写真- 4.2から明らかなように、 模型重量構造物は繰返し波数の増 加にしたがって徐々に移動が進行している。 なお、 30å波から500波にかけての移動量が小 さいのは、 構造物がアクリル内壁に接触したことによるものである。 また、 模型軽量構造

物に固定した細棒の先端は繰返し波数の増加 により徐々に傾斜しており、 90波自の写真で は既に写真に写っていなし1。 これは、 ピンポ

ン球が地盤から水面上に浮き出てしまったた めである。 図-4.25は、 これらの写真から読 み取った模型構造物の移動量を描いたもので ある。 模型重量構造物の角(A、 B、 C点)と細 棒の先端(D点)の水平および鉛直変位を示し たもので、 重量構造物は沈下し、 軽量構造物 は浮き上がっていることがわかる。 図-4.25

の49波と90波の矢印は、 球が地盤から浮き出 した繰返し波数を示したものである。 図-4.

26は、 上記2ケースの(Pb-P)の深度分

aσ:=Pb-P (kgf/cm2)

ー004 -0.03 -002 -0.01 0 0.0 1 0.02 0.030.04 01

z-a由。

E

0.11- N

Test No.8 Stoge No.1 T=3s Nc= 10

0.2・-

σふ( kgf/cm2)

図-4.26(a) 有効応力の変動 (重量構造物)

- 81一 -50

-40

E-lO

(f) 0

Cむに』ω

50

図-4.25 模型構造物の移動量

z←a由。

E

�O.Iト ト、J

Test No . 7 Stoge No. 2 T=3s Nca 10

0.21-

ペ"Q(kgflcm2)

図-4.26(b) 有効応力の変動

〈軽量構造物)

参照

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