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付 録 液状化地盤における列車走行安全性の検討

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Academic year: 2022

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(1)付. 録. 液状化地盤における列車走行安全性の検討. 目. 次. 付1. はじめに. 211. 付2. 地震時の列車の走行安全性. 211. 概要. 211. 付2.2. 安全性の指標. 212. 付3. 付2.1. 液状化地盤での列車の走行安全性. 213. 検討概要. 213. 付3.2. 検討方法. 213. 付3.3. 走行安全性の評価. 215. 付4. 付3.1. 217. まとめ. 210.

(2) 付1.はじめに 鉄道構造物の耐震安全性を考慮する上で,地震時の列車走行安全性の問題は重要な課題 の一つである.特に,周期特性が劇的に変化する液状化地盤上あるいは液状化地盤中の高 架橋上における列車の走行安全性については未解明な事項が多く,液状化耐震安全性を考 慮する上でこれらの現象の把握が望まれる. そこで,ここでは研究の結果得られた液状化した地盤の地表面地震動波形を用いて,簡 易な車両モデルによる数値解析を行い,液状化状態における列車の走行安全性について試 算してみた.. 付2.地震時の列車の走行安全性 付2.1. 概要. 地震時における列車の走行安全性の検討は,大きく以下の2つに分類される1). ①変形した軌道上の車両 ②振動する軌道上の車両 このうち,①については折角・目違いが問題となる.これについては,構造物の地震時 の変位量を許容値以内に制限することで対応することとなる.しかし、液状化のように構 造物の変形が大きくなることが予想される場合,特に,橋台などでは背後地盤の揺すり込 み沈下なども影響し,軌道が大きく変形することが想定される.この場合には,構造的対 策の他に周辺地盤を含めた対策を講じる必要がある. ②については,車両の運動,すなわち上下動・ピッチングおよび横変位・ローリング・ ヨーイングとの関連性がある.また,この場合の脱線分類として乗り上がり脱線,浮き上 がり脱線,ロッキング脱線が考えられる.これらの現象に対しては横方向加速度の影響が 大きいとされている. ここで,振動による脱線については,列車を転覆させるロッキング脱線が支配的である2). ロッキング脱線とは,軌道の振動と車両の振動とが共振現象によって車体に激しいロッキ ングが起き,脱線あるいは転覆を起こす形態の脱線である.このようなロッキング脱線は, 構造物の固有周期と車両運動の周期が近い場合に危険になることが指摘されている.一般 に新幹線車両の下心ローリングの固有周期は約1sec2) であり,橋梁・高架橋などの構造物 の固有周期に近いとされている.また,一般に車両の下心ローリングの固有周期は 0.6〜 1.6sec 程度2) であるので,特に,液状化により構造物の固有周期が長くなる傾向にある場 合は,その危険性が増すことが想定される.. 211.

(3) 付2.2. 安全性の指標. 前述したように,車両の安全性が損なわれる形態としては,脱線及び転覆の2種類があ る.これらは力学的に相互に異なる現象であり,それぞれに対して安全性を検討する必要 がある.以下に,これらの現象に対する指標について示す. 1)脱線に対する判定条件1) 脱線に対する安全率は,一般に車両からレールに作用する横圧 Q と輪重 P の比によって 判定されている.この比は脱線係数あるいは Q/P と呼ばれている.この比の脱線限界値に ついては各国で古くから検討されており,横圧が定常的に作用する場合については 0.8 が実 用的限界値として採用されている.しかし,脱線時には輪重の減少が重要な要因であるこ とが知られており,近年においては輪重減少率についての重要性も増している. また,横圧の作用時間が 1/20 以下の場合は,車輪フランジがレールに衝突して飛び上が って脱線する現象を考慮し,Q/P 限界値を緩和してよいことになっている. 2)転倒に対する判定条件 転倒に対する指標としては,付録図1に示すように曲線中の車両に作用する重力と遠心力, これに風圧および車体の左右動による慣性力を加えた合力の方向が左右レールと車輪との 接触点間にあれば車両は転覆しないというものである3).すなわち,合力の方向がちょうど 接触点を通る時には,この点まわりのモーメントの釣合いから反対側の輪重が0になる. この状態を転覆限界といい,合力の方向がこれより少しでも外側に作用すれば車輪は浮き 上がりを始め転覆に至るというものである.一般に,転覆に対する指標として転覆危険率 D が用いられ,転倒条件は D=1 としている.. 付録図1. 車両に作用する力と転覆限界. 212.

(4) 付3.液状化地盤での列車の走行安全性 付3.1. 検討概要. 本研究では,液状化時に振動する軌道上の車両の安全性について,前述したように構造 物の固有周期との関係において最も影響のあると考えられる車両の下心ローリングの固有 周期との関係で検討することとした.また,車両の走行安全性については,定量的に評価 する指標として用いられている脱線係数,輪中減少率および転覆危険率により評価するこ ととした. 付3.2. 検討方法. 本研究においては,液状化地盤に直接列車がある場合を想定して解析を実施した.また, 列車は停止している状態を想定した.以下に解析条件を示す. (1)入力加速度 液状化地盤に直接列車がある場合を想定している.したがって,地表面における加速度 波形を入力として考慮することとし,7章において実施したレベル2地震におけるスペク トルⅡ適合波を用いた解析により得られた液状化地盤の弾性応答加速度スペクトルに適合 させた地表面地震動を用いた.付録図2に解析に用いた地表面地震動を示す.ここで,解 析には液状化の程度に応じた 2 種類の波形を考慮した.. 5<PL<20. 加速度(gal). 400 200 0 -200 -400 0. 10. 20. 30. 40. 30. 40. 時間(sec) 20<PL 加速度(gal). 400 200 0 -200 -400 0. 10. 20 時間(sec). 付録図2. スペクトルⅡにおける地表面適合波. 213.

(5) (2)車両モデル 解析に用いた車両モデルは,付録図3に示す1自由度の簡略化した半車体モデル(新幹 線車両を対象)とした4).ここで用いた諸元は付録表1に示すとおりである5).近年におい ては,車両を多自由度系でモデル化した詳細な解析手法6),7),8)も提案されている.しか し,ここでは液状化地盤における横方向加速度の影響を定性的に評価することを目的にし, 概略の応答特性を評価できうる車両の固有周期,減衰定数を考慮した1質点系半車体モデ ルで検討することとした.この場合,車体の運動は,台車と車輪を想定した架台の加速度 が地表面の加速度に等しいとして考慮している.なお,このモデルによる新幹線車両の固 有周期は 1.4sec である. また,車両が横振動している場合,仮に右側の輪重Aが減少すれば左側の輪重Bは増加 する.このときに輪重アンバランス量(B‑A)/(B+A)は転覆危険率と同等であるため, 転覆については輪重減少率から評価した.. 付録図3. 1自由度の簡略化した半車体モデル(新幹線車両を対象). 付録表1. 解析モデルの諸元. 項目 半車体質量 架台質量 軌道面から車体重心までの距離 軌道面から架台中心までの距離 車輪有効間隔の1/2 円固有振動数 減衰定数. 214. 記号 mB mW HB HW bW ?0 h. 数値 18.71kg sec2/cm 9.09kg sec2/cm 149.3cm 60cm 75cm 4.62rad/sec 0.245.

(6) 付3.3. 走行安全性の評価. 解析結果を付録図4(1)〜(2)に示す.これらによれば,脱線限界については 0.8 を下回っ ていることがわかる.しかし,5<PL<20 の場合には転覆危険率が1を若干上回る結果と なった.また,PL>20 の場合においても極めて1に近い状態となることがわかる. 解析に用いた地表面地震動の応答加速度スペクトルは,車両の固有周期である1sec 付近 でも最大加速度を示しているが,明確な共振現象は示していない.しかし,解析結果から は車体にロッキングが起き転覆を起こすことが想定される.このことは,前述したように 液状化状態ではその危険性が増すことが示唆している.. Q/P. 1. 脱線係数. 0. -1. 0. 10. 20 時間(sec). 30. 40. 30. 40. 30. 40. 転覆危険率 (輪重減少率). D. 1. 0. -1. 0. 10. 20 時間(sec). 輪重変動率 2. P1/P0. 左側 1. 0 2. P 2/P0. 右側 1. 0. 0. 10. 20 時間(sec). 付録図4(1). 解析結果(5<PL<20 の場合). 215.

(7) Q/P. 1. 脱線係数. 0. -1. 0. 10. 20 時間(sec). 30. 40. 30. 40. 30. 40. 転覆危険率(輪重減少率 ). D. 1. 0. -1. 0. 10. 20 時間(sec). 輪重変動率 2 P1/P 0. 左側 1. 0 2 P2/P 0. 右側 1. 0. 0. 10. 20 時間(sec). 付録図4(2). 解析結果(PL>20 の場合). 216.

(8) 付4.まとめ 簡易な車両モデルにより,液状化地盤上の停止している新幹線車両を対象とした列車の 走行安全性について検討した. その結果,車体にロッキングが起き転覆を起こすことが想定され,液状化状態ではその 危険性が増すことが示された. ここで示しているように液状化地盤では,過剰間隙水圧の上昇に伴い橋梁等の固有周期 が変化する.したがって,構造物の周期変動(過剰間隙水圧の上昇程度または液状化程度) に応じた状態での検討が必要であると考えられる.また,レベル2地震動を考慮する場合 には,構造物の損傷を許容することになるので,液状化の程度と構造物の損傷程度をパラ メータとした検討を実施し,液状化地盤における列車走行安全性について議論しなければ ならない.ここで示した結果は,あくまで簡易な車両モデルによる定性的な議論でしかな いため,今後は詳細な車両モデルによる数値解析を実施し,液状化状態での列車走行安全 性を定量的に評価する必要がある. また,液状化が収束した後の地盤沈下の影響について,ここでは触れていないが,地震 後の走行安全性に及ぼす影響は大きいと考えられるので,今後地盤沈下についても合せて 定量的な評価が行えるように検討する必要がある.. 217.

(9) 参考文献 1). (社)日本鉄道技術協会:新幹線の地震対策に関する研究 昭和 52 年度報告書,昭和 52 年3月. 2). 日本国有鉄道:建造物設計標準解説(基礎構造物・抗土圧構造物),昭和 61 年3月. 3). 国枝正春:鉄道車両の転ぷくに関する力学的理論解析,鉄道技術研究報告 No.793,1972 年2月. 4). (社)日本鉄道施設協会:本州四国連絡橋の列車走行性に関する研究 別冊1走行分科会 中間報告書,昭和 53 年3月. 5). (社)日本鉄道施設協会・本州四国連絡橋列車走行委員会・走行分科会:本州四国連絡 橋の列車走行性に関する研究報告書 別冊1走行分科会中間報告書,昭和 55 年3月. 6). 西岡隆:軌道の振動を考慮した車両運動に関する理論的研究,土木学会論文報告集, 第 172 号,pp.43‑57,1969 年 12 月. 7). 西岡隆,橋本渉一:水平地震動に対する橋梁上の2軸貨車の走行安定性,土木学会論文 報告集,第 296 号,pp.61‑72,1980 年4月. 8). Miyamoto,T., H.Ishida and M.Matsuo : Running Safety of Railway Vehicle Earthquake Occurs,Quarterly Report of RTRI,Vol.38,No.3,Sep.1997.. 218.

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参照

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