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Academic year: 2021

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幼児期における子どものユーモアについて

学校教育専攻 幼年発達支援コース 高 田 多 見 子

1.問題の所在と研究の目的

「笑しりを引き起こす要因の1つに「ユーモ ア」がある。幼児期の子どもたちは諸能力が未 発達なため不完全な場合もあるが、彼(彼女)

ららしいユーモアを発している。

実際の保育の現場に目を向けると、ユーモア を周囲の人々と分かち合うことは、保育の現場 において期待される能力や豊かな心を養うため、

他者との関わりにおける貴重な経験になると思 われる。また、ユーモアと心身の諸発達との関 連が密接であることなどから、ユーモアにはそ の子どもの思いだけでなく、その子どもの発達 の様子が表れると考えられる。子どもの「個'性」

として「ユーモア」を受け止め、その背景にあ る子どもの「思しリや「育ちjを理解していく ことによって子ども理解につながるのではない だろうか。

そこで本研究では、発達の基礎的段階にある 幼児期の子どもたちに焦点を当て、子どもたち が発する「ユーモア」とその背景にある幼児の 心理について分析を行う。

2.ユーモアの定義

従来の研究を踏まえ本研究では「ユーモア J を次のような「おかしさ」の存在するものであ ると定義づける。

「ユーモアJ とは、

①それによって心が暖まるような「おかしさ J

指導教官 田 村 隆 宏

のあるもの

②必ずしも「笑しリに結び、つくとは限らないが

「おかしさ」のあるもの

③知的な「おかしさ」のあるもの

④常識や規則性など通常の物事との「ズレJに

「おかしさ Jのあるもの

③個性的な「おかしさ」のあるもの

また、本研究では幼児期においてはユーモア として完成されていない部分があることを考慮 し、 5項目全てを含まないものもユーモアとし て取り上げる。意図の有無については関係ない

ものとする。

3.研究1~ことばの花束』におけるユーモア

( 1 )研究方法

T県W幼稚園で1985年から毎年発行されて し、る『わかくさっ子のつぶやき「ことばの花束J~

第1"‑'18集に掲載されている 11,742編の中か ら「ユーモアJに該当またはそれに準じるもの を採集し分析を行ったO 分析においては、ユー モアと特に関連が深いと思われる知的な発達と

ことばの獲得としづ側面から「発想、J

r

表現」、

その両方の要素を含む「複合的なもの」に分類 した。さらに、その中を「発想、jは@発想、の転 換によるものの思考の発展によるもの⑦因果関 係に基づく思考によるものの3つに、「表現」は

⑦比輸によるもの@おとなびた表現によるもの

②心暖まる表現によるもの@ことばの誤った認

n δ  ﹁ひ

(2)

識によるものの4つに分けた。

(2 )結果と考察

「発想、」においては、特に子どもたちの物事 に対する柔軟な発想と遊び心を感じるものが多 く見られた。ユーモア的なものの他、限りなく 遊びに近いもの、マイナスの状況回復のための

ものなど様々で、あった。また、おとなには意外 性や不完全さが感じられ、おかしさが生じるも のもあった。

「表現」においては、子どもたちがことばの 獲得期にあることが感じられる事例が多く見ら れた。ことばの誤った解釈や使い方によるもの、

感覚したことをそのまま表現したと考えられる ようなユニークなものなどがあったO 一方で、

ことばを巧みに使いこなした意図の感じられる ものもあった。

「複合的なものJにおいては、生活に密着し た子どもらしい発想、を基にしたものやおとなの ユーモアに引けを取らないものなどがあったO

4.研究2 N大学附属幼稚園におけるユーモ ア

( 1 )研究方法

N大学附属幼稚園において観察を行い、事例 を採集した。各事例は、ユーモアを発した前後 の状況とユーモアの機能的な面との関係に特に 注目し、分析を行ったO さらに、研究1との比 較も合わせて行ったO ユーモアの機能的な面を 見るため、上野(1992)の分類を用いた。

(2)結果と考察

「遊戯的なものJは楽しむことを目的とした もので、研究1の「発想」との関連も見られた。

ユーモアが生まれた状況は、遊んでいる時だけ でなく、何気ない瞬間などもあったO

「支援的なもの」はマイナス状況下から回復

するためのもので、様々な形のユーモアが見ら れた。研究1の「発想」と「表現Jの両方の要 素が関わっているものが多いと思われる。しか し、「遊戯的なもの」と比較すると発想が自然 発生的で、あった。

「攻撃的なもの」は本研究のユーモアと矛盾 するため省略する。

上野の分類における3つの要素の幾っかを合 わせ持つ「複合的なもの」は、本研究では「支 援的ユーモアjの要素が強く見られた。

5.本研究のまとめ ( 1 )本研究のまとめ

子どもたちは日常のあらゆる状況下でその場 に適当な「ユーモアJを発していることがわか ったO それは、自らの持つ様々な能力や感覚を 駆使して生み出されていると言える。そして、

それには子どもたちの発達の姿や心の状態が映 し出されていることがわかったO

(2)今後の課題

「ユーモアJとは、その時の状況やその場の 雰囲気、そこにいる人との関係など様々な要素

を総合的に踏まえて存在するものと考える。し たがって、本研究のような事例分析を行うなら ば、実際場面の詳細な状況を明確にすることが 重要と思われる。また、ユーモアの判断におけ る客観性を高めるためには複数の人間による観 察、分析を行うことが求められるだろう。

保育の現場においては、子どもたちの「ユー モアjを意識することによって、子ども理解の ための新たな視点、が加わると考える。ユーモア を介して表れる子どもの心理を理解したい。同 時に、子どもたちにはユーモアのおかしさを他 者と共有する中で、他者との関わりによって得

られる楽しさなどを感じてもらいたい。

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参照

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