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日本静脈経腸栄養学会雑誌 31(4): :2016 特集 リハビリテーション栄養管理の現状と展望 サルコペニアの摂食嚥下障害 Sarcopenic Dysphagia 森隆志 Takashi Mori 一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院口腔外科 Southern Tohok

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特集 リハビリテーション栄養管理の現状と展望

日本静脈経腸栄養学会雑誌 31(4):949-954:2016

サルコペニアの摂食嚥下障害

Sarcopenic Dysphagia

森 隆志

Takashi Mori 一般財団法人脳神経疾患研究所 附属総合南東北病院 口腔外科 Southern Tohoku Research Institute for Neuroscience, Southern Tohoku General Hospital, department of oral and maxillofacial surgery

要旨:摂食嚥下に関与する骨格筋群のサルコペニアによる嚥下障害は、サルコペニアの摂食嚥下障害(Sarcopenic

Dysphagia)と呼ばれる。サルコペニアの摂食嚥下障害の直接的な原因は脳卒中等のこれまで明らかに摂食嚥下障害を

引き起こす疾患ではなく、フレイルの高齢者に低栄養、侵襲、廃用といったサルコペニアを亢進させる要素が加わる事で摂

食嚥下障害が生じると考えられている。嚥下関連筋群の筋肉量・筋力の低下を観測した報告は複数されているがサルコペ

ニアの摂食嚥下障害の明確な診断基準はこれまでなかった。2013年に全身の筋肉量・筋力・嚥下機能を勘案した診断

法が提案され、この考え方を発展させた診断フローチャートが研究中である。サルコペニアの摂食嚥下障害への対策とし

ては適切な栄養サポートと運動療法を用いるリハビリテーション栄養管理が有用である可能性がある。

索引用語:サルコペニア、摂食嚥下障害、低栄養

はじめに

 摂食嚥下障害は脱水や低栄養と密接な関わりがあり

1)

、栄

養管理を行う際には摂食嚥下機能の評価を必ず行う必要が

ある。また、超高齢化社会となった本邦では肺炎は死亡原因

の第3位となった。肺炎の原因の一つは誤嚥であり、高齢者

の摂食嚥下障害への対応は喫緊の課題だと言える。摂食嚥

下障害の原因疾患の第一位は依然として脳卒中ではあるが

近年は超高齢化に伴いサルコペニアの摂食嚥下障害が注目

されている。サルコペニアの摂食嚥下障害とは、全身および

摂食嚥下に関与する骨格筋の筋力・筋肉量・機能の低下に

伴う摂食嚥下機能低下のことを指す

2)~4)

。1992年にMegan

S. Veldee らがCan Protein-Calorie Malnutrition Cause

Dysphagia?と題した総説論文を発表している

5)

。ここではサ

ルコペニアの摂食嚥下障害という概念は見られないが低栄養

が骨格筋の変性をもたらし嚥下機能が低下する可能性があ

るとの仮説が提唱されている。近年では2009年以降Neyら

6)

Rofesら

1)

、Butlerら

7)

のサルコペニアの摂食嚥下障害を示

唆する報告がなされている。我が国では2010年に若林らが

サルコペニアの摂食嚥下障害の概念を提唱し

2)

、2011年に

は藤島がサルコペニアの嚥下障害に言及した

8)

。2014年に

Wakabayashiにより老嚥とサルコペニアの摂食嚥下障害に対

するリハビリテーション栄養管理の有用性が示された

9)10)

。また、

2015年にはClaveらが摂食嚥下障害の最近の話題の一つと

して骨格筋の萎縮に伴う摂食嚥下障害があると指摘した

11)

 サルコペニアの摂食嚥下障害の直接的な原因は脳血管

障害や神経筋疾患、頭頸部がんや薬物ではない。医療現場

ではこれらの伝統的に摂食嚥下障害の原因とされてきた診

断名がないにも関わらず摂食嚥下障害が生じている状況が

生まれ、対応に苦慮するケースがあったが、2016年4月の本

邦の診療報酬制度の改訂ではこれまで明らかに摂食嚥下障

害の原因疾患であるとされてきた脳卒中等の診断名がなくと

も一定条件を満たせば摂食機能療法の保険請求可能であ

る事が明確となった。この新たなルールで対象となる摂食嚥

下障害患者の内、かなり多くの患者がサルコペニアの摂食嚥

下障害であると予想される。

 サルコペニアの摂食嚥下障害という概念は比較的新しいも

のでありその診断法や対処の標準的な手法は未だ確立され

ているとは言い難い。しかしながら、近年サルコペニアの摂食

嚥下障害に関する報告は増加しつつあり診断法や対処法の

提案がなされるようになってきている。本稿ではサルコペニア

の摂食嚥下障害に関連するこれまでの研究を筋肉量等の領

域毎に概括し今後の課題を検討する。

サルコペニアとフレイル

 サルコペニアはRosenbergによって「加齢による筋肉量減

少」を意味する造語として1989年に提唱された

12)

。その後

2010年にEuropean Working Group on Sarcopenia in

Older People(EWGSOP)より「サルコペニアは進行性、全

(2)

図1 サルコペニアの摂食嚥下障害の発症機序 虚弱な老嚥の状態に廃用・飢餓・侵襲が加わることでサルコペニアが進行し サルコペニアの摂食嚥下障害が生じている可能性がある。 表1 嚥下関連筋群のサルコペニアの評価方法 舌圧計測器、開口力測定器、MRI、CT、超音波診断装置を用いた評価、及び徒手的な評価が報告されて いる。

身性に認める筋肉量減少と筋力減少であり、身体機能障害、

QOL低下、死のリスクを伴う」との定義が発表された

13)

。ここ

ではサルコペニアを原発性と二次性に分けている。加齢が原

因であるものを原発性サルコペニアと定義し、活動・栄養・

疾患に関連して生じるものを二次性サルコペニアと定義して

いる。サルコペニアは広義にはあらゆる原因による筋肉量減

少、筋力減少、身体機能低下といえる。サルコペニアの診断

には筋肉量・筋力・機能を測定する方法がEWGSOPの他、

Asian Working Group for Sarcopenia (AWGS)より提唱

されている

14)

。ここではサルコペニアを定義する3つのキーワー

ドは「筋肉量」・「筋力」・「機能」であると言える。サルコペ

ニアの危険因子として加齢、廃用性筋委縮、不活動、飢餓、

エネルギー摂取不足、侵襲、悪液質、神経筋疾患が挙げら

れている

13)14)

 フレイルは身体機能障害に陥りやすい身体的予備力の

低下している状態であり、フレイルの高齢者は転倒や入院、

ADL低下、死亡等のリスクが高いと言われている。フレイル

の高齢者はADLが自立し身体機能もある程度維持されてい

る為、障害(disability)の前段階にあるといえる

14)15)

老嚥

 高齢者は摂食嚥下機能が低下することが良く知られてお

り、老人性の嚥下機能低下は老嚥(Presbyphagia)と呼ば

れる

1)9)

。老嚥の状態は摂食嚥下障害とは異なり、嚥下食等

の特別な食事は必要なく、

「障害」のある状態ではない。老

嚥の原因には嚥下関連筋群のサルコペニア以外に感覚の味

覚・嗅覚の変化や口腔乾燥、反射機能の低下等が挙げられ

ている

1)

。老嚥の状態は予備的能力に乏しく容易に摂食嚥下

障害に陥りやすいと考えられており摂食嚥下機能におけるフ

レイルの状態といえる。また、口腔内の虚弱化をオーラルフレ

イルと呼び超高齢化社会における口腔機能低下に対するア

プローチ運動の概念が提唱された

17)

サルコペニアの摂食嚥下障害の発症機序

 フレイルの高齢者、サルコペニアを認める高齢者すべてが

摂食嚥下障害となるわけではない。従っ

て、なんらかの発症契機があると思われる。

Maedaらはサルコペニアが入院高齢者の

摂食嚥下障害の独立した危険因子である

と報告している

18)

。また、脳卒中など明ら

かに摂食嚥下障害を引き起こす疾患のな

い入院高齢者の約4割に摂食嚥下障害を

認めたと報告し、入院が契機となり摂食嚥

下障害が生じる可能性に言及している

19)

また、Loveらは大腿骨近位部骨折術後

の患者の約3割に摂食嚥下障害が見られたと報告している

20)

WakabayashiらとMaedaらはサルコペニアの摂食嚥下障害

の発症メカニズムとして老嚥の高齢者にサルコペニアを亢進

させる要素、すなわち低栄養、侵襲、廃用が加わる事により

摂食嚥下障害が生じると提唱している

9)18)

(図1)。

サルコペニアの摂食嚥下障害における

筋力・筋肉量・機能

 サルコペニア診断の3要素は「筋力」・「筋肉量」・「機能」

であると前述したが、目の前で起きている摂食嚥下障害の原

因をサルコペニアに求める場合は、嚥下関連筋群の筋力・

筋肉量・機能を調べる必要がある(表1)。

・嚥下関連筋群の筋力

 サルコペニアに関連する嚥下関連筋群の筋力としては最

大舌圧と開口力が調査され、これまでの研究では嚥下関連

筋群の筋力低下は舌圧と年齢に関連していると示されている。

Utanoharaらは健常者843名を調査し、70歳代の最大舌圧

は若年者に比し低下していると示している

21)

(図2)。Butler

らは78名の在宅高齢者を舌圧計で調査し誤嚥を認めた高

齢は誤嚥を認めない群に比し有意に舌筋力が低下していた

と報告している

7)

。Robbinsは71名の健常者の舌圧を計測し

等尺性の舌筋力と嚥下時の舌圧は加齢性に低下すると報

告している

22)

。Maedaらは脳卒中等の診断のない入院高齢

(3)

図2 年齢群別の最大舌圧の比較 高齢者の最大舌圧は低下する。 文献21)より改変 図3 舌骨筋矢状面中央部の横断面積 高齢者の頤舌骨筋は菲薄化する。 文献24)より引用

者104名を舌圧計で調査し、最大舌圧の低下はサルコペニ

アの摂食嚥下障害と有意に関連したと報告している

19)

。また、

Machidaらは197名の介護サービスを受けている在宅高齢者

を開口力測定器で調査し、開口力は男性において全身のサ

ルコペニアと有意に関連したと報告している

23)

・嚥下関連筋群の筋肉量

 サルコペニアに関連する嚥下関連筋群の筋肉量は、頤舌

骨筋・顎舌骨筋・中咽頭周囲について調査され、年

齢とサルコペニアとの関連が示されている。Fengらは

健常者80名をCTで調査し高齢は若年者に比し頤舌

骨筋の厚さが有意に減少していたと報告している

24)

(図3)。Tamuraらは104名の高齢者を超音波診断装

置で調査し、舌中央部の厚さと年齢・上腕筋面積が

関連していたと報告している

25)

。Molfenterらは健常女

性60名をMRIで調査し加齢と共に中咽頭周囲の筋肉

量が減少し、咽頭腔が拡大していたと報告している

26)

・嚥下機能及び全身性のサルコペニアとの関連

 Rofesらは54名のフレイルの高齢者と若年者の嚥下

運動を比較し、フレイルの高齢者は喉頭前庭閉鎖の

遅れ、舌の移送機能の低下、舌骨の動きの遅延が見

られたと報告している

1)

。藤島らは咽頭残留と握力の

関連を示し筋力低下が嚥下運動に影響を与えている

可能性を示し、Kurodaらは全身の痩せと嚥下機能に

関連がある可能性を報告している

3)

。高木らは38名の

入院男性患者をVE・VF・握力計を用いて評価し75

歳以上群、脳病変なし群で嚥下評価時の咽頭残留と

握力・舌圧が関連していたと報告している

27)

。Maeda

らは入院高齢者において全身性のサルコペニアが

あると摂食嚥下障害が生じやすいと報告している

18)

Wakabayashiらは、111名の摂食嚥下障害のあるが

ん患者を評価し、重度の摂食嚥下障害と骨格筋量が

関連していたと報告している

29)

サルコペニアの摂食嚥下障害と低栄養

 低栄養はサルコペニアの原因の一つであることが知

られ、嚥下関連筋群のサルコペニアについても低栄養

との関連を指摘する報告がある。Tamuraらは104名

の高齢者を超音波診断装置で調査し舌の厚さは栄養

状態と関連していたと報告している

25)

。Maedaらは入

院高齢者224名(脳血管疾患等なし)の嚥下機能、骨

格筋量、筋力、栄養状態を計測し統計解析した結果、

低栄養はサルコペニアの摂食嚥下障害の危険因子

の一つであったと報告している

18)

。Wakabayashiらは

386名のフレイルの高齢者を評価し頭部挙上筋力と嚥

下機能及び低栄養が関連していたと報告している

28)

井出らは大腿骨近位部骨折の患者において低栄養が摂食

嚥下機能低下に関連していたと報告している

30)

。嚥下機能

の低下を簡便に評価できる質問紙であるEAT-10に関する

研究では、Wakabayashiらが(対象者には脳血管疾患等も

含む集団ではあるがサルコペニアの摂食嚥下障害の患者も

一部含まれていると推測される)EAT-10スコアと栄養状態・

ADLが関連したと報告している

31)

(4)

表2 サルコペニアの摂食嚥下障害の診断基準案(2013) 図4 サルコペニアの摂食障害の研究グループによる診断基準案

サルコペニアの摂食嚥下障害の診断

 前述のように嚥下関連筋群において筋力と筋肉量を測定

する際には、CT・MRI・超音波診断装置・舌圧計測器・

開口力測定器が用いられ個々の筋肉を測定する方法が行わ

れているが、サルコペニアの摂食嚥下障害と判断するには

包括的な評価が必要となる。これまでサルコペニアの摂食嚥

下障害の概念は提唱されているものの包括的な診断法は定

まったものは無かった。2013年に第19回日本摂食嚥下リハビ

リテーション学会学術大会のシンポジウム「サルコペニアと摂

食嚥下リハ」で、サルコペニアの摂食嚥下障害の定義と診断

基準案が提示された。ここではサルコペニアの摂食嚥下障

害定義を「加齢以外の原因も含めた全身及び嚥下関連筋群

の筋肉量減少、筋力減少による

摂食嚥下障害」とした。また、診

断基準案として全身のサルコペ

ニアの存在と嚥下関連筋群の筋

肉量減少、嚥下関連筋群の筋力

減少、摂食嚥下障害の原因疾患

の存在を勘案し判定する方法が

示された。この診断法ではサルコ

ペニアの摂食嚥下障害をDefinite

(確実)、Probable(可能性が高

い)、Possible(可能性あり)の3つ

に分けて診断する方法がとられて

いる(表2)

9)

が、評価法の信頼性

と妥当性は検証されていない。し

かし、サルコペニアの摂食嚥下障

害研究グループはこの提案を発展

させた診断フローチャートを開発

し、信頼性と妥当性の検討を進め

ている(未発表)。このフローチャー

トでは、対象者をサルコペニアの

摂食嚥下障害の可能性が高い群、可能性あり群、及び除外

群の3群に分ける。まず全身のサルコペニアの有無で分け、あ

り群をさらに摂食嚥下障害の有無で分ける。次に摂食嚥下

障害のある群で明らかに摂食嚥下障害を引き起こす診断の

ある者は除外し、最後に除外されなかった者で嚥下関連筋

群の筋力低下がある者を可能性が高い群とし、低下が無い

者を可能性あり群としている。このフローチャートでは嚥下関

連筋群の筋力は最大舌圧として測定しているが、嚥下関連

筋群の筋肉量は測定しない(図4)。また、吉村は、診断基準

そのものは示していないものの、サルコペニアの摂食嚥下障

害に対する包括的なアセスメントとして身体診察、疾患名、嚥

下スクリーニング、口腔スクリーニング、栄養スクリーニング、ベッ

ドサイド嚥下評価等を含む方法を提案している(表3)

32)

(5)

図5 肺炎患者における絶食期間あり群と早期経口摂取開始群の 治癒率曲線の比較 絶食期間あり群は早期経口摂取開始群に比し肺炎治療期間が長引く。 文献33)より改変 表3 サルコペニアの摂食嚥下障害の包括的評価 文献32)より引用改変

サルコペニアの摂食嚥下障害の治療戦略

 サルコペニアの摂食嚥下障害には骨格筋萎縮と低栄養

が関連しているため、その対応には十分な栄養管理と栄養

状態に合わせたリハビリテーションを勘案したリハビリテーショ

ン栄養の概念が有用であると提唱されている

10)

。廃用性筋

萎縮・不活動の恐れがある場合には不要な安静・禁食を避

け、早期離床・早期経口摂取に努めるのが有用であると考え

られており、Maedaらは誤嚥性肺炎で入院した患者に絶食

期間が生じると治療が長引き嚥下機能が低下したと報告して

いる(図5)。Wakabayashiらは、肺がん術後にサルコペニア

の摂食嚥下障害となった患者に積極的な栄養管理とリハビリ

テーションを行い、嚥下機能と栄養状態が改善した一例を報

告している

33)

。オーラルフレイルに対しては、口腔ケア、口腔

内治療、義歯調整が推奨されている

34)

。栄養管理に際して

は嚥下機能に応じた食事の提供はもちろん、サルコペニアを

考慮しロイシンを含むBCAAの栄養組成が有効な可能性が

ある

35)

。また、摂取量低下を考慮した高エネルギー食品を検

討するとともに摂取量が十分でなければ経口以外の栄養ルー

トも検討すべきである。嚥下関連筋群のサルコペニアに対す

るトレーニング方法のエビデンスレベルの高い報告は乏しいが、

頭部挙上訓練

36)

、おでこ体操

37)

、舌抵抗運動

38)

が有効な可

能性がある。

サルコペニアの摂食嚥下障害の展望

 サルコペニアの摂食嚥下障害はその概念が提唱されてい

るが、より厳密な用語の定義とその検証が道半ばである。こ

のため、現在発表されている診断基準の信頼性と妥当性の

検証をさらに進める必要がある。また、嚥下関連筋群の筋肉

量はCTやMRで確実に筋肉量を評価できるが広く臨床応用

される為により簡便な方法を開発する必要がある。サルコペ

ニアの摂食嚥下障害の対処法の基本は運動療法と栄養療

法を併用したリハビリテーション栄養と考えられるが、そのエビ

デンスはまだ十分とは言えない状態である。用語が定義され

ることで対処法の研究もさらに進む事が期待される。

 本論文に関する著者の利益相反なし

(6)

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