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第62回日本聴覚医学会総括報告

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第62回日本聴覚医学会総括報告

主題 2―1 難聴・耳鳴治療に向けた 聴覚基礎研究 1 .コモンマーモセット蝸牛における EYA4 発現 パターンの検討 : 松崎佐栄子,他(山王病院)。コ モンマーモセットの内耳において,蝸牛神経節細 胞,内外有毛細胞,外ラセン溝細胞を含む支持細 胞,内外柱細胞,内ラセン溝細胞に EYA4 の発現を 認めた。質問 : 山本(京都大)使用した抗体は?マ ウス EYA4 に対する抗体を用いるべきでは?応答 : 抗 human ラビット EYA4 抗体を使用,マウスでも 同じ抗体を使用した。抗マウス抗体を使用すべきだ が,ラビットでも同様の発現をしているので問題な いと考える。質問 : 国吉(田辺三菱製薬)ヒトで20 歳以降になってはじめてその病態が出ているとはど ういうことか?応答 : EYA4 は酸化ストレスによる DNA2重鎮の切断の修復に関わっているとの報告が あり,EYA4 変異により酸化ストレスを受けやすく 細胞死を来しやすくなると考えている。質問 : 山岨 (東大)発現は核に限局しているのか。障害時には 発現パターンは変化するのか。応答 : EYA4 タンパ クはコルチ器,らせん神経節細胞共に核に発現を認 めた。細胞質から核への移行などについては今回の 2症例から EYA4 変異難聴患者由来 iPS 細胞をすで に樹立しており,今後メカニズムを検討したい。 2 .霊長類蝸牛における WNT シグナルの検討― 毛細胞再生の創薬ターゲットとして― : 細谷 誠, 他(慶應大)。コモンマーモセット内耳にお い て は,コルチ器を含む蝸牛内感覚上皮の広い部位にお いて WNT シグナルの活性化を認めるとともに, FZD遺伝子および LGR5 遺伝子の特徴的な発現パ ターンと認めた。質問 : 山岨(東大)LGR5 が有毛 細胞にも発現している意義は?この結果から内耳有 毛細胞の再生は困難と考えてよいか。応答 : 障害モ デルを使って WNT 以外のシグナルも検討したい。 3 .マーモセット音響外傷モデルの樹立 : 吉田知 彦,他(慈恵医大)。単一スピーカーによる 8kHz 中心 124dB オクターブバンドを負荷した2体では, 1体で ABR 閾値の大きな変動を認め恒久的閾値上 昇が認められたが,1体は一過性閾値上昇に留まっ た。2つのスピーカーによる 8kHz 中心 130dB オク ターブバンドでは,安定した ABR での恒久的閾値 上昇と DPOAE レベル低下・閾値上昇が得られ,蝸 牛有毛細胞の減少,発語数の変化・低下も確認され た。質問 : 香取(東北大)有毛細胞以外の組織障害 に関して見ているか?一時的な難聴モデルの作成は 行っているか?応答 : ファロイジンについても染色 を行っており,基底板の破壊は見られた。安定した TTSモデルとしては未だ検討中。質問 : 原(筑波 大)内有毛細胞の破壊の程度が強いのはマーモセッ トの特徴なのか?オス・メスで被受傷性の差がある か?応答 : 今後の検討課題である。メスは性周期が あるため結果にバラつきが出やすいのでは。質問 : 山岨(東大)音響負荷時は全身麻酔である必要があ るか。音圧較正すべきでは?応答 : 動物倫理上,マ ーモセットへの負担は大きく,必要であると考え る。質問 : 池田(順大)刺激周波数と蝸牛上皮有毛 細胞における脱落は一致しているか。音声を用いた 実験はできるのか。応答 : ほぼ等しいが,頂回転に おいては有毛細胞の脱落が比較的軽度であり,ABR 閾値の上昇は別の機序が絡んでいる可能性もある。 マーモセットの特性上,可能である。 4 .小型霊長類コモンマーモセットの DPOAE 測 定方法の検討 : 忰田かおり,他(慶應大)。正常個 体では極めて良好に得られる DPOAE が,同一周波 数で比較すると音響外傷後の個体では解発不良であ った。周波数毎の閾値を検討したところ,ABR 閾 値と DPgram とには良好な相関関係が見られた。 質問 : 山岨(東大)計測にかかる時間の長さは?臨 床ではノイズフロアーより高い場合シグナルありと みなすが,閾値を 0dB SPL で決めるのはなぜか? 定量的というより,I/Ofunction をみて定性的に評 価する方がよいのではないか?応答 : 検査時間はト ータル20分弱。当施設で使用している DPOAE は,

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測定時の Noise Floor の周波数刺激によるバラつき が大きいため,それを基準とした DPOAE 閾値の算 出は困難である。そのため,今回は DPlevel が 0dB SPLとなる箇所で ISO response curve を描くこと

で評価を行った。 (山岨達也) 主題 2―2 難聴・耳鳴治療に向けた 聴覚基礎研究 5 .発達期ラットの蝸牛神経核におけるミクログ リアの変化 : 野田昌生,他(金沢大)。ミクログリ アの聴覚中枢での役割を解明するため,蝸牛神経核 におけるミクログリアの発現変化をラットを用いて 検討した。その結果,聴覚伝導路形成時期の蝸牛神 経核においてミクログリアの活性化が確認された。 今後機能検討が必要である。質問 : 伊藤(滋賀成人 病セ)ミクログリアの役割は。応答 : 今後の検討課 題である。発達期ではシナプスの刈込に関与してい る可能性がある。質問 : 細谷(慶應大)シナプスの 刈込に関与しているとの考察であるが,組織学的に 検討しているか。応答 : 検討中である。質問 : 安井 (九大)ミクログリア M1,M2 の区別は行っている か。応答 : 行っている。M2 優位である。 6 .霊長類における蝸牛外側壁の細胞間結合の組 織学的検討 : 佐伯 翼,他(慶應大)。内耳には血 液内耳関門が存在するとされている。これまで齧歯 類で蝸牛外側壁の細胞間結合については調べられて いるが,霊長類に関しては研究がなかったので,コ モンマーモセットを用いて検討した。その結果霊長 類でも齧歯類と同様の細胞間結合が認められ,薬剤 の全身投与では霊長類でも齧歯類と同様の内耳への 分布を示すと考えられた。質問 : 伊藤(滋賀成人病 セ)①蝸牛外側壁以外のタイトジャンクションの状 態はどうか。②ヒトに薬物を投与するときは全身投 与でいいという結果か。応答 : ①齧歯類と霊長類で それほど変化はない。②治験を行う場合も全身投与 を考えている。質問 : 池田(順天堂大)マーモセッ トの EP は測定しているか。応答 : 行っていない が,技術的には可能と考えられる。 7 .内耳薬剤投与実験を目的とした小型霊長類コ モンマーモセット側頭骨解剖の解析 : 栗原 渉,他 (慈恵医大)。感音難聴の治療として再生医療,DDS による薬物投与などが有望とされている。これまで 齧歯類を用いた種々の研究はあるが,霊長類による 研究はない。今回マーモセットの側頭骨解剖を行っ たが,解剖学的特徴はヒトと類似性があることが判 明した。質問 : 水足(防衛医大)マーモセットに正 円窓偽膜は存在するか,また骨部外耳道は存在する か。応答 : 7頭の中では偽膜は認めず,骨部外耳道 は存在する。質問 : 伊藤(滋賀成人病セ)①マーモ セットの中耳腔はマカクに比べると齧歯類に近いの では。②薬剤投与では局所の場合は後鼓室開放より 経外耳道の方がよいのでは。③1頭のコスト。応 答 : ①中耳腔は単一腔でなくやはりヒトに近い。② 外耳道は 2mm 位しかなく,経外耳道投与は困難。 ③約60万円。 8 .iPS 細胞を用いた GJB2 変異型遺伝性難聴の 疾患モデル細胞の開発 : 神谷和作,他(順天堂大)。 Connexin(CX)26をコードする GJB2 遺伝子は遺 伝性難聴で最大の原因遺伝子である。本研究では iPS細胞からの蝸牛 CX26 ギャップ結合形成細胞の 分化誘導を行った。さらに Cx26 欠損難聴モデルマ ウスからの iPS 細胞の樹立と分化誘導により GJB2 変異型遺伝性難聴の疾患モデル細胞を作製した。同 細胞は CX26 変異蝸牛で起こる GJP 崩壊の分子病 態を再現していた。本研究で開発した疾患モデル細 胞は,遺伝性難聴の創薬や再生医療の開発への応用 が期待できる。質問 : 伊藤(滋賀成人病セ)iPS 細 胞から作成した蝸牛の gap junction は正常のものと 同一か。応答 : 今回の研究では発達期の細胞などで ある。質問 : 藤岡(慶應大)ヒトから作ったものと マウスから作ったものは異なるか。応答 : 異なる が,まだ未発表。 (伊藤壽一) 主題 2―3 難聴・耳鳴治療に向けた 聴覚基礎研究 9 .IGF1 の下流分子としての Netrin1 の蝸牛有 毛細胞保護作用 : 山本典夫,他(京都大)。Netrin1 が IGF1 による蝸牛有毛細胞保護効果を担う下流分 子であることを示した。Netrin1 は6種類ある受容 体のうち,Unc5B を介して有毛細胞保護効果を表 すが,そのメカニズムはプログラム細胞死の抑制で ある。質問 : 欠畑(山形大)Gap43 に関して何かあ りましたか。応答 : まだはっきりしておらず,今後 ノックアウトマウスなども用いて確かめていきたい

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と思います。質問 : 細谷(慶應大)ネトリン1の安 定性は?Unc5B をターゲットにした小分子等はあ りますか?応答 : vivo で投与してなく安定性がある かはまだ検討していない。Unc5B を選択的にブロ ックする小分子は今のところない。質問 : 欠畑(山 形大)Unc5B の頂回転での発現はいかがですか。 応答 : p2 のマウスをみると全ての回転に表れてい ます。成体になると減ってくると考えるが,今後詳 しく検討したいと考えます。質問 : 欠畑(山形大) IGF1の問題となる副作用はなにか。応答 : インス リンレセプターにも弱い作用を有するため臨床試験 では糖尿病症例を除外す る こ と が 問 題。IGF1 と NTN1の有毛細胞保護メカニズムの違いは,増殖能 の有無,インスリン受容体への作用の有無等ある。 IGF1は糖尿病,悪性 腫 瘍 が あ る と 使 え な い が, NTN1は使用可能と考える。質問 : 栗原(慈恵医 大)Netrin1 のもともとの作用はなにか。蝸牛神経 に対する保護作用もあるのか,投与モデルで変化が あったら教えていただけますか。応答 : Netrin1 は Axonの guidance の作用もあり,人工内耳など内耳 に使用した場合,有毛細胞の保護と,蝸牛神経のシ ナプスの再生の両方が期待できる。 10.サイトメガロウイルス感染による感音性難 聴のウイルス学的検討 : 生田和史(東北医科薬科 大)。ウイルス陽性細胞と浸潤マクロファージの出 現は共に接種1週目に認められ,感染細胞がマクロ ファージ浸潤を惹起したと考えられる。外有毛細胞 におけるミオシンⅥ発現消失と難聴の進行は共に接 種3週目であった。本モデルにおけ る CMV 難 聴 は,モータータンパクであるミオシンⅥの発現消失 に依ると考えられる。質問 : 欠畑(山形大)ABR も測定していますか,また結果はいかがですか。外 有毛細胞の障害のみであれば中等度の難聴が示唆さ れますがいかがでしたか。応答 : マウスではウイル スを投与すると難聴が改善することはなく,進行し ていくこともある。2週目までのマウスは小さすぎ て ABR のデータはなく,3週目以降のマウスでは 90dB,100dB でスケールアウトであり,外有毛細 胞のみの障害よりは重度の難聴が認められた。質 問 : 山本(京大)外有毛細胞のミオシン 7a 陰性化 は外有毛細胞がなくなっているのか陰性化したの か。他の有毛細胞マーカーでの染色はしてみました か。応答 : 細胞が存在しているが,経過をみると細 胞も脱落してくる。他のマーカーでの染色はしてな く,今後行ってみたい。質問 : 工(信州大)実際の 臨床では,片側性だったり遅発性だったりのケース があるが,それも今回の考えで説明がつくのか。応 答 : 3週目以降で難聴が進行するので,ヒトと比較 的似ている感じがある。質問 : 欠畑(山形大)1週 目だけウイルスが認められ2週目では増殖していな くウイルスが無くなっているのはウイルス学的にい かがですか。応答 : 同じヘルペスウイルスの仲間で ある EB ウイルスも感染して発癌に寄与するが,癌 細胞をみるとウイルスはいないという例もあり,そ のようなウイルスは比較的珍しくはない。

11.Cochlear synaptopathy における ABR : 泰地 秀信,他(読売クリニック)。ABR では同じ音圧刺 激の比較では難聴耳ではⅠ波振幅が有意に小さく, 同じ閾値上レベルの比較では難聴耳の方が有意にゆ らぎは小さかったが,これは音圧が大きいときは low―SR fiber が働き難聴耳ではその機能が低下して いるとも解釈できる。ラセン神経節の細胞障害はシ ナプスの障害から数ヶ月∼数年遅れて起こるので治 療への応用が期待される。質問 : 欠畑(山形大)今 回の検討症例の中に,騒音暴露や一過性難聴の既往 がある症例はいましたか。難聴群の難聴の要因はい かがでしたか。応答 : ABR 振幅のばらつきの検討 を行った対象者は,正常者は中耳疾患や騒音暴露の 既往のない聴力正常な若年女性,難聴者は 40∼60 dbの感音難聴者(加齢性難聴)である。質問 : 欠 畑(山形大)示された hidden hearing loss の症例 も特に既往はありませんでしたか。応答 : 一側性の Cochlear Synaptopathyとして提示した症例は46歳 女性で,Synaptopathy をきたした原因は不明であ る。質問 : 欠畑(山形大)ABR を複数回施行され ていますが,振幅のばらつきはいかがですか。応 答 : ABR 振 幅 は ば ら つ き が 大 き い(再 現 性 が 低 い)。今回はそのばらつきの大きさについて検討し た。今回のデータはかなり前に一度報告している が,聴神経保護に多様性があり,cochlear synapto-pathyという情態があることを考えれば結果の説明 が可能であった。質問 : 欠畑(山形大)ABR を用 いた検査の可能性について。応答 : ヒトでの ABR Ⅰ波振幅はばらつきが大きく,Cochlear

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Synaptopa-thyが両側性の場合は診断に用いることは難しい。 一側姓であれば健側とⅠ派振幅およびⅤ/Ⅰ比を比 較することが診断に有用である。 12.外有毛細胞の体積共振による周波数弁別能 : 森満 保(宮崎大)。2万個の外有毛細胞は,各々 の固有振動数が決まっており,刺激音周波数と共振 すると,プレスチンが活性化されて細胞長が短縮 し,蓋膜下面の不動毛接着部位のみが引き下げられ 細かい畦が出来て,無音時には離れている内有毛細 胞の感覚毛に接触し,上述のような興奮伝達が行わ れることになる。結果的に,2万個の外有毛細胞の 共振による周波数弁別能は,1Hz 刻みの2万 Hz ま でという驚異的なものになると考えられる。質問 : 欠畑(山形大)今回の仮説を唱えるきっかけは,外 有毛細胞が2万個と周波数の2万 Hz がきっかけに なっているのでしょうか。応答 : 外有毛細胞がプレ スチンによって短縮する事,短縮すると蓋膜が引き 下げられない有毛細胞と接触し,そこで交通ができ ると考えた。基底板は振動しないと考えているた め,今回の仮説にいたった。 (欠畑誠治) 主題 2―4 難聴・耳鳴治療に向けた 聴覚基礎研究 13.サリチル酸による聴力障害モルモットの騒 音下聴皮質神経活動 : 剱持 睦,他(聖マリアンナ 医大)。サリチル酸によって投与前には雑音負荷の 影響が少なかった BROAD でも影響を受けるように なったことから,サリチル酸による聴覚障害は雑音 下の音認知にも影響を与えていることが推測され た。質問 : 池田(順大)サリチル酸の標的細胞につ いての考察は如何でしょうか。応答 : 今回のサリチ ル酸の濃度では中枢性障害は考えにくく,外有毛細 胞のみの障害と思っている。しかし,聴皮質はボト ムアップだけでなくトップダウンの刺激も考えら れ,外有毛細胞の障害だけの影響とは考えづらく, 今後検討する。質問 : 日高(東北大)今回よりもサ リチル酸投与後に時間をあけて測定した場合は結果 が異なる可能性はないか。ABR での聴力閾値の変 化などはどうだったのでしょうか。応答 : 経時的な 研究は行っていません。おそらく,先行論文から 1∼2日で正常に戻ると思います。今回の方法では 経時的変化の測定は困難です。 14.免疫組織学的評価による耳鳴発生機序の考 察 : 丹羽克樹,他(防衛医大)。耳鳴発生には : 海 馬 CA1 と扁桃体基底外側核群における可塑的変化 が関連していることが推察された。質問 : 白馬(帝 京大溝口)同じ障害負荷で GAP(+)と(−)で 差が生じる原因は何でしょうか。応答 : ノイズキャ ンセル機構が関与する可能性がある。質問 : 神崎 (慶應大)レーザー自体が中枢に与える影響はあり 得るか。応答 : 可能性はあるが,末梢性障害モデル と考えている。 15.ヒトにおける耳鳴の他覚的評価―Tiptrode electrodeを用いた検討― : 藤平春奈,他(日本電 信電話㈱)。Tiptrode electrode を用いることによっ てヒトの耳鳴を他覚的に評価できる可能性が示唆さ れた。質問 : 池田(順大)今回の電極の計測が自発 放電である証拠はありますか。過去の蝸電図での報 告はどうでしょうか。応答 : 今回の報告からは示す ことが出来ない。ノイズが入らないようにする工夫 として,Tiptrode electrode を用いた分析では一番 パワーの小さい部分を採用している。これまで蝸電 図で resting state の文献は見たことがない。 16.一般地域住民における血清亜鉛値と耳鳴に ついての検討 : 杉浦彩子,他(豊田浄水こころのク リニック)。今回の検討では亜鉛欠乏と耳鳴には有 意な関連を認めなかったが,亜鉛欠乏がありと難聴 と抑うつの頻度が優位に高かった。亜鉛欠乏は聴力 やうつ症状を介して耳鳴重症化に影響する可能性が 考えられる。質問 : 神崎(慶應大)抑うつと亜鉛の 関連とその機序は。韓国の統計解析法と今回の解析 手法で差異があったか。応答 : 亜鉛が神経伝達,特 に NMDA 受容体に必要なために,それを介した神 経伝達の抑制が中枢神経症状を起こすことが基礎研 究で報告されている。韓国のデータは耳鳴重度だけ を取り出すと耳鳴なしと比較して,有意に亜鉛が低 値というものだった。耳鳴の不快感についての問診 を取っていれば,韓国と同様の結果が得られたと考 えている。質問 : 池田(順大)韓国以外の報告はな かったか。応答 : 渉猟し得た限り韓国からのものし かないが,小規模な研究では感音難聴者や耳鳴患者 で亜鉛が低いことが報告されている。質問 : 原(筑 波大)認知症との関連はどうか。応答 : NILS―LSA では認知機能検査をおこなっており,難聴があると

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縦断研究で優位に低下すると報告している。亜鉛は データがあったが,全体では亜鉛と抑うつや認知機 能などの解析されていなかったので,今回聴覚班で そのデータを用いて解析を行ってみた。 17.難聴による耳鳴モデルラットの聴覚野内に おける神経活動 : 和家尚希,他(東大)。耳鳴とい う主観的な知覚経験を,聴覚野の自発活動から客観 的に予測することが可能であると示唆する。質問 : 池田(順大)今回の動物実験で示された指標が将来 のヒトでの耳鳴のバイオマーカーになり得るでしょ うか。応答 : 実際のヒトでは ABR で裏付けられた 神経伝達の変化といったものをマーカーにして開発 したい。 (池田勝久) 第 1 群 聴覚基礎1 18.蝸牛神経の生存に有毛細胞は必要か? : 栗 岡隆臣,他(防 衛 医 大)。遺 伝 子 改 変 マ ウ ス を 用 い,選択的な有毛細胞死が蝸牛神経に及ぼす影響に ついて検討を行った。2か月までの短期的には有毛 細胞死の影響はほとんどみられなかったのに対し, 有毛細胞消失後4カ月では蝸牛神経の細胞死が認め られた。蝸牛神経の生存に有毛細胞が必須であるこ とが示唆されたが,今後支持細胞の関与も含めてさ らなる検討が必要である。質問 : 香取(東北大)長 期的にみて蝸牛神経は完全に消失するのか,それと も残存するものもあるのか。応答 : 4か月後までの 検討で結論はださないが,おそらく長期にみてもゼ ロにはならないものと考えられる。質問 : 生田(東 北医薬大)長い時間をかけて神経細胞が消失する理 由はどのように考えられるか。応答 : 支持細胞の機 能として推察される神経栄養因子の分泌に有毛細胞 が何らかの形で関与していることが推察される。 19.内耳タンパク質モータープレスチンを安定 発現する哺乳動物細胞株の構築 : 村越道生,他(鹿 児島大)。プレスチンの構造変化は外有毛細胞の伸 縮運動の源となっているが,このプレスチンの構造 と分子メカニズムは,同蛋白が生体内で非常に微量 であることから解析が進んでいない。今回,細胞選 択用耐性遺伝子を有する哺乳動物細胞用ベクターを 用いてプレスチンを安定発現する CHO 細胞株を構 築した。質問 : 香取(東北大)本研究を応用してプ レスチン蛋白の大量生成が可能か。応答 : まずプレ スチンの大量生成を行い,生成物の結晶化とプレス チン分子の構造解析を目指している。 20.動物用 DPOAE 計測装置の作製 : 扇田秀章, 他(滋賀県立成人病セ)。マウスやモルモッ ト の DPOAEを測定することを目的に 40kHz まで計測で きる装置を,市販しているハイレゾイヤホン,コン デンサママイクロホンユニットを用いて研究室で作 成した。モルモットの耳毒性薬物投与モデルにおい て DPOAE 計測を行い,正常モデルと難聴モデルの 評価に有用であることを確認した。質問 : 白馬(帝 京大溝口)高周波部位の測定が出来る有用な装置と 思う。最後のモデルで2万 Hz のところに反応があ るようにもみえたがいかがか。組織学的検討ではど うか。応答 : 組織はまだ確認していない。また,高 音部では本来 DP が出ていなくても歪みが検出され た可能性がある。 21.メタボリック症候群モデルマウスの内耳に おける終末糖化産物の生成について : 菅原一真,他 (山口大)。メタボリック症候群では終末糖化産物 (AGEs)が糖尿病患者での増加や動脈硬化を促進す ることで注目されている。本研究ではモデルマウス を用いて内耳における AGEs の役割を検討した。 AGEを抑制するピリドキサミンの投与により,13 か月齢のメタボリック症候群モデルマウスにおいて ABR閾値上昇の抑制が認められた。また免疫組織 化学の結果ではピリドキサミン投与群で血管条の TSOD(肥満・糖尿病)信号が減弱していた。質問 : 香取(東北大)16kHz の部分で ABR 閾値上昇の予 防効果がでているが,組織学的に検討した部位はそ の音域に相当した部位か。応答 : 近いところをみて いるものと考えらえる。また全体的に回転にかかわ らず類似の組織学的所見が得られている。 (香取幸夫) 第 2 群 聴覚基礎2 22.ラットの合成母音弁別について : 小川 剛, 他(帝京大)。今回,日本語の「え」と「あ」に相 当する合成母音を作製した。ラットにその音を聞か せた時に,サッカリン水を報酬として舐めの訓練を 行い,結果,合成母音を弁別できるかで母音弁別の 研究手法の確立した上で,ラットが人と同様にホル マント周波数の比による違いから母音を識別してい

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ることを明らかにした。質問 : 白馬(帝京大溝口) 日本語の「え」と「あ」に相当する合成母音を選ん だ理由は何か。応答 : 一番周波数が近い2つの音で も区別出来るのかを調べるためにこの2つの音を選 んだ。質問 : 白馬(帝京大溝口)今後の研究計画 は。応答 : この実験をもとにして聴覚皮質の活動を 調べることを考えている。 23.聴覚中枢における NMDA 受容体によるシナ プス前抑制 : 鷹合秀輝,他(国リハ)。聴覚中枢に おいても NMDA 受容体がシナプス前部に発現し, パッチクランプ法を用いた手法により,NMDA 受 容体が代謝型受容体や AMPA 型受容体と同様に3 量体Gタンパク質を活性することによって,電位依 存型カルシウムチャネルを抑制し,神経伝達物質放 出が減少させることを明らかにした。質問 : 白馬 (帝京大溝口)内有毛細胞の神経間隙に NMDA 受 容体,AMPA 型受容体は存在するのか。応答 : 免 疫電顕で確認されている。質問 : 白馬(帝京大溝 口)有毛細胞のでもパッチクランプ法で NMDA 受 容体を調べているのか。応答 : まだ AMPA 型受容 体しか調べていない。 24.細胞周期調節経路の破綻に伴う内耳への影 響 ∽Lats1 キ ナ ー ゼ 欠 損 マ ウ ス の 解 析 : 西 山 崇 経,他(慶應大)。細胞周期調節因子である Lats1 キナーゼと難聴の関わりについて,Lats1 キナーゼ 欠損マウスを調べて結果,ABR と DPOAE では欠 損マウスで全周波数において有意な閾値上昇を,免 疫染色や電顕では有毛細胞聴毛の構造変性や脱落所 見を認めた。また,Lats1 の有毛細胞や支持細胞で の局在が確認された。難聴の原因としては,Lats1 の上流にある GPCR との関連が示唆された。質問 : 白馬(帝京大溝口)この Lats1 キナーゼ欠損マウス は臨床的にはどのような難聴を想定しているのか。 応答 : Lats1 の下流にある YAP の欠損が1家系での 難聴は海外で報告されている。質問 : 白馬(帝京大 溝口)聴毛以外に電顕で何か形態異常を調べている のか。応答 : まだ調べていない。 25.ラセン靭帯の繊維細胞が in vivo で示す Na 透過性に関する,数理モデルを用いた検討 : 吉田崇 正,他(九大)。EP の起源である蝸牛側壁,血管 条とらせん靭帯の複合体において,正常状態で+10 mVを示す外リンパ液に面した外層測底面の膜電位 VFCは,線維細胞を透過するする Na チャンネルと Kの取り込みによって成立することを,モルモット を用いた実測値とシュミレーションとの照合を行う ことで数理モデルの整合性を明らかにした。質問 : 藤村(藤村医院)らせん靭帯は自由にイオンが出入 りする GAP ジャンクション以外に特別の Na チャ ンネルがあるのか。応答 : 今まで明らかにされてい なかった Na の透過性と考えている。質問 : 藤村 (藤村医院)将来的にそういうノックアウトマウス とかの研究もするのか。応答 : まずは vitro の生理 実験を行ってみたい。 (白馬伸洋) 第 3 群 人工中耳/内耳1 26.OMAAV 症例に対する人工内耳埋め込み術2 例の報告 : 藤阪実千郎,他(富山大)。OMAAV 罹 患後に両側聾となった2症例に人工内耳埋め込み術 を施行した。症例1(68歳,男性): 主訴は両側耳 痛と両側難聴。前医で両側中耳炎の診断で保存的治 療を受けるも軽快せず。急速に両側難聴が進行し両 側聾となった。造影 MRI 検査で肥厚性硬膜炎を認 め,CT 検査では鼓室内に軟部組織陰影が充満して いた。ANCA は陰性。症例2(59歳,女性): 主訴 は両側難聴。もともと左難聴があり,急速に右難聴 が進行し両側聾となった。副腎皮質ステロイド治療 を受けるも改善なし。P―ANCA 陽性。診断基準に 基づき,2症例とも OMAAV と診断され,正円窓 経由で人工内耳埋め込み術を施行した。術後の聴取 能は良好である。質問 : 斎藤(近畿大)OMAAV 症 例への人工内耳では,電極インピーダンスが不安定 で,マッピングの調整に苦労することが多い。2症 例 で は ど う で あ っ た か。応 答 : 今 回 の 実 験 で は TTSと PTS が混在しているが,当科では今回のモ デルを TTS モデルとした。PTS モデルについては 今後検討したい。質問 : 岩崎(国際医療福祉大三 田)手術時の正円窓周囲および蝸牛内の病変はどう であったか。術前のステロイド治療は有効か。応答 : 正円窓周囲は,肥厚した粘膜に覆われていた。鼓室 内の病変は確認していない。術前の MRI 検査では, 蝸牛内に異常を認めなかった。ステロイド投与によ り中耳病変の改善が期待できる。質問 : 土井(近畿 大)OMAAV 症例への人工内耳における電極の選択 はどうしているか。応答 : 基本的には,患者および

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家族に電極選択は任せている。今回の2症例はコク レア社を希望したため,電極先端の腰がより強い CI 512を選択した。 27.成人残存聴力活用型人工内耳の2症例 : 坂 口博史,他(京都府立医大)。成人の両側高音急墜 型感音難聴の2症例に対して残存聴力活用型人工内 耳(EAS)の埋め込 み 術 を 施 行 し た。症 例1(49 歳,男性): 2007年から両側難聴を自覚,2015年か ら補聴器両耳装用を開始した。4分法平均聴力レベ ルは,右 88.3dB,左 83.3dB,低音3周波数の平均 聴力レベルは,両耳ともに 38.3dB,最高語音明瞭 度は,両耳ともに裸耳10%であった。手術後,骨導 低下なく,音入れ2か月後の装用閾値は 30dB,EAS モードで使用中,自宅および職場での聴取能は改善 した。症例2(68歳,女性): 小学生時に難聴を自 覚,徐々に悪化,2010年から補聴器両耳装用を開始 した。4分法平均聴力レベルは,右 72.5dB,左 83.8 dB,低 音3周 波 数 の 平 均 聴 力 レ ベ ル は,右 56.7 dB,左 50dB,最高語音明瞭度は,裸耳で右5%, 左0%であった。手術後,骨導低下を認めたが,音 入れ2か月後の装用閾値は 40dB 台,EAS モードで 使用中,家族との会話もより容易になった。質問 : 河野(東医大)2症例とも6週間後の音入れになっ ているが,時期的に遅いのでは。応答 : 手術後に一 時的な気導―骨導差を生じることがある。それが安 定した時点で音入れしている。質問 : 土井(近畿 大)高音急墜型感音難聴の症例で,症例2のように 低音部の聴力がかなり落ちている場合,あるいは, 進行性難聴の場合,EAS にするか,通常の人工内 耳にするか迷うが,どのように選択するのか。応答 : 将来的に低音部がさらに低下すれば,EAS モード ではなく,Flex24 による ES モードでの使用にな る。コクレア社 CI412 では23―25ミリの電極挿入, メドエル社 Flex24 では24ミリの電極挿入で ES 刺 激になることは,術前に患者に説明している。質問 : 岩崎(国際医療福祉大三田)指定難病の若年発症型 両側感音難聴の診断には遺伝子検査が必要である。 遺伝子検査は実施したか。応答 : 2症例とも検査を 希望されず,実施していない。 28.RRM2B 遺伝子変異によるミトコンドリア病 に対して人工内耳埋め込み術を施行した一例 : 星 雄二郎,他(東大)。核遺伝子 RRM2B 遺伝子変異 に伴う CPEO+症例に対して人工内耳埋め込み術を 施行した。RRM2B 遺伝子は,ミトコンドリア DNA の複製に関与する遺伝子で,CPEO+では,両側性 眼瞼下垂,外転筋麻痺に加え,近位筋力低下,近位 尿細管障害,感音難聴,胃腸障害など多彩なミトコ ンドリア機能障害の症状を呈する。症例(42歳,女 性): 小児期より両側難聴が徐々に進行,21歳時に 両側補聴器の装用を開始した。30歳時より複視が出 現,39歳時に,複視増悪,上方視不能,および両側 重度難聴を主訴に当科初診となった。父,父方の祖 母とその兄弟,母方の祖母に難聴の家族歴がある。 4分 法 平 均 聴 力 レ ベ ル は,右 112.5dB,左 116.3 dB,最高語音明瞭度は,両耳ともに裸耳で0%, あわせて,両側外転筋麻痺,頸部・上下肢の筋力低 下,MRI で広範な対称性白質病変を認めた。42歳 時に左人工内耳手術後12か月での語音聴取能は92% と良好である。筋生検でミトコンドリア病と診断さ れ,遺伝子検査で RRM2B 遺伝子に p.P33S 変異を ホモ接合性に認めた。質問 : 野口(国際医療福祉 大)①今回の遺伝子検査は,一般的に行われている か。家系内の難聴者の RRM2B 遺伝子変異について はどうか。②感音難聴の病態は,内耳性か,後迷路 性か,あるいは両者の混合か。応答 : ①神経内科で の Exome 解析により同定された遺伝子変異であ り,一般的とは言えない。本人以外の遺伝子検査は 実施していない。②経過などから内耳性の病態が主 体 と 推 察 し て い る。質 問 : 土 井(近 畿 大)同 じ RRM2B遺伝子異常でも,p.P33S 変異以外の変異に よる CPEO+では,異なった phenotype の症状を呈 するのか。応答 : 他の遺伝子変異を有する症例で, 常染色体劣性,若年発症,重症例の報告があるが, 詳細な検討はなされていない。 29.脳表ヘモジデリン沈着症例へ施行した人工 内耳の一例 : 岸本真由子,他(愛知医大)。脳表ヘ モジデリン沈着症により両側高度難聴を呈した症例 に人工内耳埋め込み術を施行した。症例(73歳,女 性): 62歳時に左突発性難聴を発症,71歳より右感 音難聴が進行,両耳に補聴器装用を開始した。両側 の聴力変動があり,当科受診となった。初診時,4 分法平均聴力レベルは,右 72.5dB,左 81.3dB で, 補聴器の調整を行い,保存的治療で経過観察となっ た。73歳時,発熱・頭痛・浮遊感を自覚,左聴力は

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聾となり,ステロイド治療を行うも反応なし,方向 交代性眼振も認め,中枢性疾患の確認のため神経内 科を受診させたところ,MRI 検査で脳表ヘモジデ リン沈着症と診断された。補聴器装用で会話困難で あり,73歳11か月時,右人工内耳埋め込み術を施行 した。音入れ1か月後の母音聴取は90%,単語聴取 は77%と良好である。脳表ヘモジデリン沈着症で は,くも膜下腔へ持続的・反復性に出血が起こり赤 血球中の鉄がヘモジデリンとして沈着する。感音難 聴,小脳失調,錐体路障害,嗅覚低下などの多彩な 症状を呈する。質問 : 土井(近畿大)感音難聴の病 態は,中枢性か末梢性か。また,方向交代性眼振が 出現した機序はどう考えるか。応答 : 脳幹から内耳 孔までの蝸牛神経にヘモジデリン沈着が起こり,後 迷路性障害で発症すると推察されている。内耳血流 が影響を受け,内耳障害が起こる可能性もあり,両 者の複合性病変と考えられる。今回の症例では詳細 な聴覚検査は実施できていない。向地性眼振であっ たので,ヘモジデリン沈着症とは無関係と考えてい る。質問 : 藤阪(富山大)MRI 検査を定期的に実 施する必要があるが,特別な注意が必要か。応答 : MRI撮影可能な CI512 を使用しているので,MRI 検査について神経内科と特に申し合わせはしていな い。放射線科とも連携している。 30.ヌーナン症候群および類縁疾患における人 工内耳 : 野口佳裕,他(国際医療福祉大)。ヌーナ ン症候群(NS),多発性黒子症を伴うヌーナン症候 群(NSML)は,PTPN11,RAF1,SHOC2 遺 伝 子 の異常を原因とし,両眼開離,先天性心疾患,低身 長,精神運動発達遅滞,難聴などの症状を呈する。 両 側 重 度 難 聴 を 有 し,遺 伝 学 的 に NS あ る い は NSMLと診断された2症例に両側人工内耳手術を 施行した。症例1(1歳,男児)新生児聴覚スクリ ーニングで両側 refer となり当科初診,ABR 閾 値 は,右 95dBnHL,左 100dBnHL,ASSR 閾値は,右 90dBHL,左 106.3dBHL で あ っ た。生 後4か 月 か ら両耳に補聴器装用を開始したが,装用下閾値は 70 dBHL前後で,1歳1か月で右耳,1歳6か月で左 耳に人工内耳埋め込み術を施行した。6歳1か月で の人工内耳装用下平均聴力閾値は,右 31.3dB,左 40dBで,通級指導教室に通いながら,小学校普通 学級へ通学開始している。遺伝子検査では,PTPN 11遺 伝 子 に ヘ テ ロ 接 合 の p.Asn308Asp が 同 定 さ れ,臨床 症 状 か ら NS と 診 断 さ れ た。症 例2(2 歳,女児) 新生児聴覚スクリーニングで両側 refer と な り 当 科 初 診,ABR は,両 耳 と も に 無 反 応, ASSR閾 値 は,右 90dBHL,左 87.5dBHL で あ っ た。生後4か月から両耳に補聴器装用を開始した が,装用下閾値は 50dBHL 前後,成長障害による 低体重のため1歳11か月まで補聴器装用を継続し た。2歳0か月で左耳,2歳9か月で右耳に人工内 耳埋め込み術を施行した。3歳9か月での人工内耳 装用下平均聴力閾値は,両耳ともに 33.8dB で,普 通幼稚園に通園している。遺伝子検査では,PTPN 11遺 伝 子 に ヘ テ ロ 接 合 の p.Tyr279Cys が 同 定 さ れ,臨床症状から NSML と診断された。質問 : 諸 頭(神戸中央市民病院)術後の語音聴取成績は。応 答 : 年齢も低く,語音聴力検査は実施していない。 症例1は,近いうちに CI2004 の評価を予定してい る。質問 : 樫尾(東大)①症例1では,生後4か月 時点での COR 閾値が 80dB であった。手術直前で の COR 閾値,補聴器装用下での閾値はどれくらい か。②症例2では,術前の IT―MAIS スコアが良好 であった。言語発達不良の原因として,聴覚障害よ りも発達障害が主体であるとは考えられないか。人 工 内 耳 の 適 応 は あ っ た の か。応 答 : ①症 例1の COR閾値は,不変かやや悪化傾向を示した。文献 的に,NS の難聴は進行性で,徐々に悪化する。② IT―MAIS は術前も比較的良好であったが,両側重 度難聴であり,人工内耳の効果は十分期待できると 考え手術を実施した。質問 : 土井(近畿大)症例2 では,両耳の補聴器装用下での閾値が 50dBHL 前 後であり,ABR 無反応および ASSR 閾値が両耳と もに 90dBHL という結果との乖離がある。これら の検査は,手術までに複数回実施しているか。応答 : ABRは1回のみ実施,ASSR は手術までに3回実施 したが,閾値は両耳ともに 90dBHL 前後で変わり はなかった。 (土井勝美) 第 4 群 人工中耳/内耳2 32.人工内耳電極の長さの違いによる,低周波 数域の聴力温存の検討 : 藤田 岳,他(近畿大)。 質問 : 茂木(信州大)FLEX28 の方が残存聴力も悪 いので人工内耳挿入による聴力の「落ちしろ」が少

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ないのではないか。応答 : その通りです。scale out になった症例は+5dB としている。質問 : 茂木(信 州大)FLEX28 を挿入した症例で聴力が全くなくな ってしまった症例はあるか。応答 : 2,3例あっ た。質問 : 茂木(信州大)FLEX28 を挿入した症例 の年齢による残存聴力の違いはあったか。応答 : ほ とんどが高齢者で若年者は数名なので分からない。 質 問 : 泉(新 潟 大)大 き く 聴 力 が 落 ち る 症 例 は FLEX28に多いように思えるが FLEX24 との違いは あるのか。応答 : おそらく FLEX28 を挿入した症例 には中耳炎後遺症や遺伝性のものなど様々な背景が あり,FLEX24 の症例は比較的均質な背景であるた めと考えられる。もちろん FLEX28 の方がサンプル 数が多いことも挙げられる。質問 : 工(信州大) FLEX28は先端が 0.1mm 太くなっていることも関 係していると考えられるか。応答 : 電極の違いかど うかはわからない。質問 : 工(信州大)蝸牛長を計 算予測して電極の選択を行っている訳ではないとい うことか。応答 : 計測して選択してはいないが,今 後はしっかり調べていきたい。 33.Underwater technique による残存聴力活用型 人工内耳埋め込み術について : 山内大輔,他(東北 大)。質問 : 羽藤(愛媛大)生理食塩水は pH=6.3 の酸であり明らかに侵襲性があるため,正円窓開窓 後には使用すべきではない。また,ゆっくり電極を いれる事が空気の迷入を避けるという意味で重要な のだと思われる。我々もアートセレブ内で挿入して いるが,実際に水中下で挿入しにくいときはない か。応答 : 光の屈折で深くなるとわかりにくくなる ときがあり,慣れが必要である。内視鏡を併用する とわかりやすい。質問 : 樫尾(東大)ドリルなどで 水面が波打ってわかりにくくなることはないのか。 応答 : 低回転なので特に分かりにくくなることはな い。 34.人工内耳体外部の不具合発生に関する調査 : 中原 啓,他(りんくう医療セ)。質問 : 品川(国 際医療福祉大三田)何が原因で故障したのか調べて いるか。応答 : ぶつけて故障したなど原因が判明し ているものは少なく,ほとんどが原因不明である。 質問 : 工(信州大)代替機は準備しているか。どの ぐらいで交換できているか。応答 : 代替機を絶やさ ないようにメーカーにお願いして準備している。質 問 : 工(信州大)同調査期間内に体内機(インプラ ント)の不具合はどのくらいあったか。応答 : この 期間内には経験していない。 35.小児両側同時人工内耳埋め込み術に関する 検討 : 茂木英明,他(信州大)。質問 : 木下(大阪 市大)メリットを説明しても両側同時手術をためら う両親もいるが,どのように説明しているのか。応 答 : 十分に時間をかけて説明している。両親が両側 同時手術を希望するケースも多い。質問 : 大山(東 北労災)手術時間の計測は体位変換も含んだもの か。応答 : 全て含んだ時間である。質問 : 大山(東 北労災)術野の消毒は初めに両側行うのか。応答 : まず左側を消毒し,手術を終えて縫合したら清潔な フィルム(IV3000)を貼付して体位交換し,対側の 手術を行っている。質問 : 河野(東医大)信州大学 では小児は基本的に同時手術をお勧めしているとい うことでよいか。成人はどうか。応答 : 小児にはお 勧めしている。成人はまだ経験がないので,何とも 答えられない。質問 : 内藤(神戸市立医療セ)我々 も基本的に同時手術をお勧めしている。その根拠と して,我々の施設の症例では,1st インプラントに 2ndインプラントの成績が追いつけないということ であるが,信州大学でも語音聴取能などでその様な 結果となっているか。応答 : 症例数が多くないので はっきりとは言えないが,半年程度の間隔であれば あまり差はないと思われる。ただし,1年ぐらい空 けると如実に反応左右のパフォーマンスが異なる。 36.高齢者人工内耳症例の周術期管理における 問題点 : 高橋優宏,他(国際医療福祉大三田)。質 問 : 茂木(信州大)高齢者の場合には人工内耳手術 の説明にとても苦労しているが,サポートするご家 族とは,配偶者なのか,それとも子供か。応答 : 両 方含まれている。遠方からの症例はほとんど若い家 族とともに来院しているが,関東周辺は配偶者のみ の場合が多く,やはり説明に難渋する例もある。質 問 : 泉(新潟大)聞こえない症例への MMSE はど のように検査を行ったか。また認知症患者への説明 で困ったことはなかったか。当院では認知症患者が 術後包帯を取ってしまって血腫を作った症例を経管 している。応答 : まだ始めたばかりなので,長谷川 式検査なども導入してうまく進めたいと考えてい る。また,認知症患者で今のところまだ困った症例

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を経験していないが,注意深く観察していきたい。 質問 : 工(信州大)追加として,高齢者の場合は抗 血小板薬の服用例への対応,前庭機能障害を生ずる 可能性,心ペースメーカー使用例への対応なども重 要かと思われる。 37.CR220 と CustomSound に お け る 術 中 NRT 測定の検討 : 東野好恵,他(九大)。質問 : 泉(新 潟大)CR220 で計測する場合に2回行うべき理由 は何か。1回で測定できることがメリットではない のか。応答 : マップの参考としてプロファイル結果 を使用するため,再現性を確認する重要性があると 感じている。また,医師が電極を蝸牛に挿入を始め た時点から N5 を装着できるので,測定は手術時間 にほとんど影響しない。質問 : 泉(新潟大)内耳奇 形なく同時に手術した症例で,片方だけ NRT が出 なかったのは何か原因があるのか。応答 : 医師とと もに症例を見直したが,やはり明らかな原因は見当 たらなかった。遺伝子検査で GJB2 の複合へテロ変 異を認めているが,マップ時の聴性行動に左右差は 見られない。 (工 穣) 第 5 群 人工中耳/内耳3 38.学齢人工内耳装用児における心理適応成績 の発達変化に関する横断研究 : 齋藤友介(東医大)。 発表キャンセル 39.小児人工内耳装用例の雑音下聴取能の個人 差と発達変容の検討 : 赤松裕介,他(東大)。4歳 未満に人工内耳を受け,他の障害を伴わない57例を 対象にした。小学校高学年時は静寂下・雑音下の聴 取能の改善を認めた。小学校就学時の静寂下聴取能 が低い症例は雑音下の聴取能に個人差が大きい傾向 を認め,長期的な個別評価の重要性が示唆された。 質問 : 田原(茨城大)認知機能(注意機能)の発達 についても検討したか。応答 : 静寂下で良好で雑音 下で不良な症例にはその可能性があると思うが,今 回は検討していない。質問 : 泉(新潟大)就学期で は CI2004 の常用文検査の実施困難症例があると思 うが。応答 : そのような症例は除いて検討した。質 問 : 河野(東医大)静寂下で悪く,雑音下でよくな る症例はどうしてか。応答 : 検査への慣れの問題が あると思われる。質問 : 岩崎(国際医療福祉大三 田)対象は一側人工内耳のみか。応答 : 両側・片側 人工内耳,補聴器との併用例を含んでいる。 40.両側人工内耳装用児における同時手術と逐 次手術の装用効果の比較 : 山崎朋子(神戸市立医療 セ)。両側同時人工内耳手術の方が両側逐次手術よ りも早期から聴覚発達が促される傾向があった。騒 音下での聞き取り改善が影響していると考えられ た。質問 : 岩崎(国際医療福祉大三田)両側同時手 術の適応は。応答 : 補聴器装用効果がある,内耳奇 形がある,聴神経の描出が悪い,中耳炎の既往があ る症例以外は基本両側同時手術を勧めている。質 問 : 羽藤(愛媛大)逐次手術の2期目手術までの補 聴器活用はどうしているか。応答 : 2期目手術まで の期間が長くても,補聴器効果があれば人工内耳装 用効果は高い。質問 : 茂木(信大)逐次手術の1期 目と2期目の間隔による影響は。Little EARS 以外 の評価法は。応答 : 手術期間が長くなるほど装用効 果は低下した。発達検査と両耳聴効果の評価を行っ ている。 41.就学後に対側手術を行った両側人工内耳装 用児の検討 : 大六鉄兵(愛媛大)。両側人工内耳手 術のうち,就学後に2期目の手術を行った4症例を 対象に検討した。聴取能に関しては初回手術から5 年未満の症例が5年以上の症例に比べて良好であっ た。短期間の方が装用効果が得られる傾向を認め た。質問 : 吉田(名大)対側耳の補聴器装用効果, 装用状況は。応答 : 就学後は見た目の問題や聞き取 りの効果が低いと補聴器装用しなくなることが多か った。質問 : 赤松(東大)10歳未満と10歳以上症例 の術前補聴器効果は。応答 : 10歳未満の方がより効 果が得られた。10歳以上でも補聴器による聴覚活用 がなされていれば有用と考える。質問 : 内藤(神戸 市立医療セ)片側人工内耳術後長期経過してから対 側人工内耳を希望された場合どうするか。応答 : 十 分説明した上で希望すれば検討する。追加 : 田中 (神谷記念)多言語利得が大切。子供にも自己決定 権がある。 42.幼少時から難聴があり中学校期以降に人工 内耳手術例の検討 : 佐藤紀代子(県立広大)。術後 の聴取成績には個人差が大きく,補聴器装用状態な どが影響すると考えた。人工内耳により会話がスム ーズになり,おおむね満足していた。しかし,社会 参画のために情報保障の充実が必要である。質問 :

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岩崎(国際医療福祉大三田)今回の結果を踏まえて 今後新たに取り組む事はあるか。応答 : できるだけ 多くのソーシャルテットワークに関する情報を伝え ていきたい。 43.人工内耳装用3年後に単語聴取能検査が施 行できなかった小児例の検討 : 白井杏湖(東医大)。 人工内耳手術時年齢5歳未満で3年以上フォローで きた127例を対象に聴取不良例15例に関する検討を 行った。聴取不良例には内耳奇形や脳に画像上変化 があること,術前の認知機能が低いことが挙げられ た。質問 : 泉(新潟大)低年齢児において新版K式 発達検査以外に予後予測に有用な検査法はあるか。 応答 : 年齢層ごとの検査法は一概に言えない。質 問 : 赤松(東大)手術時年齢,内耳奇形の有無,発 達障害以外の要因に関する検討は行ったか。応答 : 他の項目に関しても検討したが,有意差があるもの はなかった。質問 : 諸頭(神戸市立医療セ)オープ ンセット不可の IP―1 症例と内耳道狭窄例の聴神経 の状態はどうだったか。応答 : MRI で聴神経がう っすらと描出され,欠損ではなかった。質問 : 高橋 (鷹の子病院)言語以外の反応はどうだったか。応 答 : 音の認知にも時間がかかった。 (岩崎 聡) 第 6 群 人工中耳/内耳4 44.術前の術側聴力が 90dB 未満であった人工内 耳症例の検討 : 安永太郎,他(宮崎大)。術前の術 側聴力が 90dB 未満であった人工内耳症例16例を検 討したところ12例は人工内耳装用により60%以上の 明瞭度が得られた。他の4例については期待通りの 聴取成績が得られず,信頼性の高い術前後迷路機能 評価法の開発が望まれた。質問 : 河野(東医大)聴 力レベルが 60∼70dB の症例の補聴器装用閾値や後 迷路機能はどうだったか。また,このような例への 人工内耳適応の評価法が問題になるのではないの か。応答 : 長期的に補聴器適合を反復しても装用閾 値は平均約 45dB,明瞭度も30%程度に留まってい た。ABR と自記オージオメトリーで後迷路機能障 害を推定し得た例もあった。追加 : 東野(宮崎大) 術前の電気刺激聴覚検査(プロモントリーテスト) も含めて,基準にすべき後迷路機能評価法につい て,学会レベルでの再検討が必要と考える。 45.1歳台で音入れした CI 幼児のマップと聴取 能の変化 : 野波尚子,他(東医大)。1歳台で音入 れを実施し1年以上経過した幼児31例について人工 内耳装用閾値,IT―MAIS の変化,音入れ時の反応 値を検討したところ,マップは術後3∼6ヶ月で安 定化し,1年で T/C 値は一定のレベルに収束する ことが示された。コクレア社人工内耳装用児では音 入れ時の反応値が1年後のT値に近似することが示 された。質問 : 間(りんくう医療セ)コクレア社製 であれば NRT 値を利用することでより早期に適切 なマップ作成ができるのではないか。応答 : 今回の 検討は NRT や ART との関連性よりも行動観察から のマップの変化の意義を検討する目的で行った。 46.CHARGE 症候群に対する人工内耳の成績 : 山本亮介,他(神戸市立医療セ)。人工内耳埋込み 術を行った CHARGE 症候群5例の臨床経過が報告 された。5例とも外耳中耳奇形と神経発達障害を伴 い,内耳には cochlear hypoplasia type3 を全例に, cochlear nerve deficiencyを4例に認めたが,全例 とも限定的ながら人工内耳による聴覚活用が達成さ れた。質問 : 寺岡(愛媛大)補聴器の装用開始年齢 や装用状態は。応答 : 2∼3歳で開始したが,装用 閾値は 70dB 以上であった。質問 : 東野(宮崎大) ①両側人工内耳例はあったか。②中耳奇形のための 手術の困難性についてはどうであったか。応答 : ① 両側埋込みが1例あった。②顔面神経や血管異常の ためオリエンテーションをつけるのに難渋した例が 多かった。 47.発達全般の遅れを伴う人工内耳装用幼児の 聴覚活用の様態 : 渡辺 咲,他(鷹ノ子病院)。愛 媛人工内耳リハビリテーションセンターに通院して いる人工内耳装用児のうち発達全般の遅れを伴う5 例について聴覚活用の様態を聴覚活用質問紙(Lit-tlEARS)を用いて評価した。その結果,2例は装 着困難で人との関わりが少ない状況,他の2例にお いてはコイルが外れやすいなど装着が不安定ながら 緩やかな聴覚活用を認めた。また,終日装用が可能 であった1例では緩慢であるが聴覚活用が促され自 発的に人との関わりを求める行動が認められた。こ のことより装用時間の確保の重要性が再確認され た。質問 : 間(りんくう医療セ)装用が容易になっ たのは発達レベルと関係すると思われるが,知的障 害の程度は評価されたか。応答 : 今後それらの関係

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についても検討していきたい。 48.人 工 内 耳 埋 め 込 み 術 を 施 行 し た Common Cavity症例の検討 : 石田 愛,他(京都大)。1歳 5ヶ 月 で 人 工 内 耳 埋 込 み 術 が 行 わ れ た Common Cavity症例について,術後5年7ヶ月に渡るマッピ ング調整や療育過程が報告された。電極と蝸牛神経 細胞との位置関係が安定しないことや顔面神経刺激 が生じたため,術後頻回のマップ調整が必要であっ たが,視覚言語や構音訓練も加えながら年齢相応の 言語発達と良好な発話明瞭度を獲得させることがで きた。質問 : 間(りんくう医療セ)顔面痙攣が生じ た原因と対応について。応答 : 4000Hz を割り振る 数電極の刺激レベルを上げると痙攣が生じるので, 責任電極を下げることで刺激を回避させた。質問 : 東野(宮崎大)対側耳の活用状況は如何か。両側人 工内耳も検討されているのか。応答 : 現時点では補 聴器装用を継続している。家族から人工内耳の要望 もあるが,対側の蝸牛神経の MRI 描出が不良なの で慎重に対応したいと考えている。 49.3才未満で1側目,小学校低学年に反対側 に 人 工 内 耳 埋 込 み 術 を 行 っ た2例 の 経 過 : 海 文,他(札幌医大)。3才未満で1側人工内耳埋込 み手術を受け,小学生になって自らが希望して反対 側に埋込み術を行った2例について,2側目の装用 状況を検討した。2例ともに,2側目の人工内耳に よる音質に慣れず装用時間が短い時期もあったが, 頻回のマップ調整により次第に両耳装用に慣れ,1 例では方向感の改善も加わって,現在は両例とも常 時装用を継続できるようになっている。質問 : 東野 (宮崎大)学童になって2側目を希望された場合の 言語聴覚士としての対応はどうあるべきか。応答 : 当院では人工内耳装用者向けの勉強会を定期的に行 っており,両側装用児(者)との交流の中で本人の 希望に繋がることが多い。対側に補聴器装用がなさ れている例では,学童期以降でも2側目の人工内耳 手術は否定しない。 (東野哲也) 第 7 群 人工中耳/内耳5 50.人工内耳装用例における装用効果の検討∼ 片耳装用と両耳装用(Bimodal/Bilateral)による差 と患者の特徴∼ : 藤田 航,他(済生会宇都宮)。 成人の両側重度感音難聴患者35人に対して人工内耳

(CI)を 埋 め 込 み,両 耳 CI 装 用(bilateral)と CI/ 補聴器装用(bimodal)の割合,装用効果,患者の 特徴を検討した。片耳装用11例(35%),両耳装用 23例(65%)で,bilateral が5例,bimodal が18例 であった。CI 単独で聞き取り可能であったが,3 分の2は bilateral あるいは bimodal になっていた。 有職者は bilateral を希望し,非術耳の補聴器装用効 果が乏しくても bimodal を希望する者が多かった。 質問 : 間(りんくう医療セ)CI 装用後,術前に装 用しなかった反対側に補聴器を装用するとはどうい うことか。応答 : 術前の補聴器装用下での語音明瞭 度が,術後に CI と補聴器を併用したことで,補聴 器での語音明瞭度が良くなった例を何名か経験し た。質問 : 河野(東医大)CI 埋め込み後,補聴器 を付けなくてよい場合はどんな場合か。応答 : 補聴 器と CI で左右差が大きい場合,補聴器を外す人も いる。質問 : 阪上(兵庫医大)慢性中耳炎で聾か重 度難聴になった人はいたか。応答 : 検討していな い。 51.人工内耳装用者の聴取傾向∼語音聴取評価 検 査「CI―2004(試 案)」を 用 い て∼ : 射 場 恵, 他(虎の門)。人工内耳を埋め込んだ言語獲得後失 聴者161名の語音聴取傾向について CI2004を使用し て検討した。単音節検査と日常会話文検査には相関 が認められ,単音節正答率が50%以上であれば日常 会話文の正答率が80%以上になる者が60%弱あっ た。質問 : 氏田(福井医療大)単音節正答率と文章 答率の結果を具体的にどのようにリハビリテーショ ンに活用できるのか。応答 : 聴取特徴に応じた訓練 をする。例えば,単音節正答率20%で日常会話文 80%の症例は,ボトムアップのための音韻的・要素 的課題を行う。両者が同じ程度であれば,スピーチ トラッキングや続語の課題を行う。質問 : 阪上(兵 庫医大)職業の有無によって違いはあるか。応答 : 有職者は日頃から騒音環境下で聞こうとしているの で雑音負荷時の語音聴取能が落ちにくい。難聴期間 が長い人や読話併用の人は雑音負荷時の聴取能が悪 い。 52.成人人工内耳装用者の術前・術後アンケー トの検討 : 小松 禎,他(東医大)。人工内耳(CI) を埋め込んだ成人49人に術前・術後の心理状態に関 するアンケート調査を行った。CI 初回手術例をa

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群,複数回手術例をb群とした。a群の補聴器満足 度は21%,b群の CI 満足度は84%であった。手術 後音入れの満足度は約8割が満足と回答し,音の聴 取は64%が,言葉の聴取は45%が可能としていた。 質問 : 間(りんくう医療セ)アンケートの回答方法 と時期はどのようであったか。応答 : 回答方法は対 面ではなく書き終わったものを回収した。回収時期 は特に定めていない。質問 : 阪上(兵庫医大)2例 目の CI が不満足な方は2例目の CI を装用してい るか。応答 : 複数回手術を受けた中には術後聴取不 良例もいるが,装用は継続している。 53.高齢者の人工内耳常時装用に影響を及ぼす 要因についての検討 : 西島由美,他(富山大)。CI 埋め込み術を受けた75歳以上の高齢者4名にアンケ ートをし,CI 常時装用に及ぼす因子を検討した。 常時装用は3名であり,自分で音量調節やプログラ ム選定を行っている者はなかった。常時装用には家 族のサポ―トが大きかった。質問 : 白井(東医大) CI常時装用困難な方が1名おられたが,術前補聴 器の装用はできていたのか。応答 : 推測であるが, 補聴器の取り扱いには困難を来していたものと考え る。質問 : 真野(東医大)介護認定者は含まれてい るのか。応答 : 要介護認定者については,カルテ記 録,本人や家族の聴取から得られる情報にはなかっ た。質問 : 阪上(兵庫医大)患者自身が CI を希望 したのか,家族が希望したのか。応答 : 本人が希望 した。高齢を理由に家族が反対することはなかっ た。 54.高齢期人工内耳装用満足度と関連する要因 の検討 : 今川記恵,他(慈恵医大)。全国の施設の 65歳以上の人工内耳装用者に,装用満足度に影響を 及ぼす因子についてのアンケート調査を行い75名か ら回答を得た。全体で CI の満足度は90.7%であっ たが,後期高齢者は前期高齢者に比べ満足度が低か った。人工内耳装用継続には,個別状況の把握とき め細かい支援が必要であった。質問 : 河野(東医 大)高齢者の方が若年者に比べて満足度が高くなっ た原因は何か。応答 : 高齢者は非就労期にあるので 聴取要求水準が低く,1対1の会話程度が理解でき れば概ね満足しているのではないかと推測した。質 問 : 阪上(兵庫医大)アンケートの回収率はどれく らいか。応答 : 全国113施設に送った。回収率は32% であった。 55.高齢者の人工内耳装用効果について : 櫻井 梓,他(国際医療福祉大三田)。CI 埋め込みを行っ た75歳以上の21名の装用効果を検討した。術後の聴 取成績は,単音節41.4±13.9%,単語51.2±30.7%, 文章40.3%±28.2%であり,術前に比べ有意に改善 した。65∼74歳の CI 埋め込み患者12名の術後成績 と有意な差はなかった。質問 : 的場(虎の門)57― S,CI―2004 検査とも症例毎に提示音圧は異なるの か。応答 : 最高語音明瞭度での単音節・単語・文で の比較であるため,提示音圧は症例毎に異なる。質 問 : 阪上(兵庫医大)最高齢は何歳か。応答 : 87歳 である。 (阪上雅史) 第 8 群 人工中耳/内耳6 56.聴力レベルによる補聴器と人工内耳の比較 第1報―閾値と単音節による検討― : 久保田江里, 他(国際医療福祉大三田)。人工内耳装用者の語音 明瞭度を補聴器装用者と比較検討した。質問 : 前田 (岡山大)自施設での検討でも,今回の発表と同様 に①聴力レベ ル 70dBHL 以 上,②語 音 明 瞭 度50% が補聴器と人工内耳の適応の境界と考える。一方, 聴力閾値は 50∼60dB 程度で語音明瞭度が50%以下 の症例の対応は。応答 : まず補聴器を使用し,明瞭 度が改善するか確認する。改善しない場合は,症例 ごとのニーズ,生活環境などを踏まえて適応を検討 する。追加 : 岩崎(国際医療福祉大)基本的には現 在の人工内耳適応基準にはあてはまらないと考える が,最終的には主治医の判断となる。質問 : 日高 (東北大)今回の人工内耳装用群の聴力閾値は術前 の検査値か。もし,聴力温存を目指し soft surgery を行っている場合,術後の聴力閾値はどうだった か。応答 : 術前の聴力閾値を用いている。術後4目 に骨導聴力を測定しているが,90%以上の症例で聴 力温存が可能であった。 57.当 科 で 実 施 し た 人 工 中 耳(Vibrant sound-bridge)症例の適応について : 岩崎 聡,他(国際 医療福祉大三田)。今年2月に保健収載された後に VSB手術を施行した4症例と手術予定の2例を呈 示し,適応について検討した。質問 : 日高(東北 大)耳漏を伴う活動性の炎症がある耳(今回の症例 5,6)での人工中耳は,一期的挿入を行うか,炎

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