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はじめに 日頃より 通級指導教室並びに幼児言語教室について格別のご理解とご尽力を賜り深く感謝申し上げます 静岡県言語 聴覚 発達障害教育研究会は 言語 聴覚 発達障害に関する教育の推進を図ることを目的として 昭和 45 年の発足以来 県下の通級指導教室 特別支援学級 ( 難聴 ) 担当者が 幼児教育

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静 岡 県 教 育 委 員 会

平成 28 年度

言語・聴覚・発達障害等の教育に関する

要 望 書

静岡県言 語 ・聴覚・ 発 達障害教 育 研究会

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はじめに 日頃より、通級指導教室並びに幼児言語教室について格別のご理解とご尽力を賜り 深く感謝申し上げます。 静岡県言語・聴覚・発達障害教育研究会は、言語・聴覚・発達障害に関する教育の 推進を図ることを目的として、昭和45年の発足以来、県下の通級指導教室、特別支援 学級(難聴)担当者が、幼児教育担当者や医療機関等の療育担当者と共に言語・聴覚 ・発達障害教育のための実践的研究及び相談事業等を着実に積み重ね、特別支援教育 の充実と担当者の資質向上に努めてまいりました。近年においては、本会主旨に賛同 される校内特別支援教育コーディネーターにも本会に加入していただき、研究団体と しての基盤が確立されています。 障害のある子どもの自立と社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に 立ち、一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困 難を改善または克服するために適切な指導や必要な支援を行う「特別支援教育」が本 格的にスタートしてから10年となります。文部科学省の調査によりますと、通級によ る指導を受けている児童生徒数は、平成20年度以降毎年5,000人前後で増加をしてお り、平成27年度は90,270人(H27.5現在)となっております。本県でも、平成27年度に 通級による指導を受けた児童生徒数は2,686人と、ここ数年は2,500人を超える多人数 で推移しております。また、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児 童生徒も増加しており、平成24年度文部科学省調査では6.5%の在籍率となっており ます。こうした子どもたちに対する指導や支援の場として、通級による指導の効果は 大いに期待されるところであります。このような現状に対応するため、環境整備等に ご尽力をいただいているところでありますが、量的にも質的にも、まだまだ十分な指 導環境にあるとは言い難い状況にあります。 平成26年1月に我が国は、「障害者の権利に関する条約」の批准書を国連に提出し、 本条約で提唱されている教育上の理念である「インクルーシブ教育システム」の構築 が進められております。また、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」 の平成28年度からの施行により、「合理的配慮」の提供がその重要性を一層高めるこ とになってまいります。通級指導教室及び幼児言語教室の指導者をはじめ、全ての教 職員の特別支援教育に関する知識・理解の深化をすすめ、通級指導並びに幼児言語教 室での指導・支援の専門性を通常の学級や園の教職員等に伝えていくことが期待され ます。私ども研究組織は、言語・聴覚・発達障害の研究組織として、通級による指導 及び幼児言語教室による指導の充実を求めながら、本県の特別支援教育の発展に対し て、さらなる役割を果たしていきたいと考えておりますので、別記事項について、格 別のご高配を賜りますよう、要望いたします。 平成28年11月15日 静岡県言語・聴覚・発達障害教育研究会 会長(静岡市立番町小学校長)大石成伸

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静 岡 県 言 語 ・ 聴 覚 ・ 発 達 障 害 教 育 研 究 会 = 静 言 研 と は …

1 組 織 の 沿 革 昭 和 44 年 、静 岡 市 立 一 番 町 小 学 校 と 浜 松 市 立 高 砂 小 学 校 に「 こ と ば の 教 室 」が 開 設 さ れ た 。 以 後 、 次 々 に 「 こ と ば の 教 室 」 が 開 設 さ れ た 。 昭 和 45 年 、静 岡 大 学 の 新 井 清 三 郎 教 授 を 会 長 と し て「 静 岡 県 言 語 障 害 研 究 会 」が 発 足 さ れ た 。「 こ と ば の 教 室 」6 教 室 の 担 当 者 を 中 心 に 20 名 の 会 委 員 で の ス タ ー ト で あ っ た 。こ の 会 は 、教 育 に 関 す る こ と の み な ら ず 、医 療・福 祉 の 増 進 を 図 る こ と も 目 的 と し て 、調 査 、 診 断 、 治 療 、 教 育 、 福 祉 な ど 幅 広 い 分 野 で 研 究 協 議 や 情 報 交 換 が 活 発 に 行 わ れ た 。 昭 和 55 年 に は 言 語 障 害 学 級 20,難 聴 学 級 8,関 連 言 語 教 室( 幼 児 )3、会 員 数 90 名 と な り 、 会 の 名 称 を 「 静 岡 県 言 語 ・ 聴 覚 障 害 児 教 育 研 究 会 」 と 改 め 、 難 言 教 育 の 向 上 の た め の 実 践 的 研 究 を 着 実 に 積 み 重 ね て い っ た 。 し か し 、 依 然 と し て 、 「 実 態 は 通 級 」 だ が 「 制 度 は 固 定 学 級 制 」 と い う 矛 盾 は 解 消 さ れ て い な か っ た 。 こ の よ う な 状 況 に 対 し て 、 文 部 省 は 平 成 2 年 に 「 通 級 学 級 に 関 す る 調 査 協 力 者 会 議 」 を 設 置 し 、 平 成 5 年 「 通 級 に よ る 指 導 」 が 法 制 化 さ れ 、 教 育 課 程 に 明 確 に 位 置 づ け ら れ る よ う に な っ た 。 こ の こ と に よ り 県 内 す べ て の 言 語 障 害 学 級 は「 通 級 に よ る 指 導 」に 移 行 し 、30 年 来 の 矛 盾 を 解 消 す る こ と と な っ た が 、 教 員 配 置 の 根 拠 を 定 め な か っ た た め 、 現 在 に 至 る ま で 通 級 指 導 担 当 者 は 加 配 教 員 と い う 立 場 と な り 、 教 員 配 当 に 曖 昧 さ を 残 す こ と と な っ た 。 平 成 10 年 、静 岡 市 に お い て「 全 国 公 立 学 校 難 聴・言 語 障 害 教 育 研 究 協 議 会 全 国 大 会 の 静 岡 大 会 」 が 開 催 さ れ た 。 大 会 を 開 催 す る に あ た っ て 、 校 長 会 組 織 や 行 政 と の 関 連 が 薄 い こ と が 大 き な 障 壁 と な っ て い た が 、大 会 の 開 催 を 機 に 難 言 教 室( 学 級 )設 置 校 長 会 を 組 織 し 、 事 務 局 校 校 長 が 実 行 委 員 長 を 務 め る な ど の 組 織 改 革 を 行 っ た 。 そ の 後 も こ の 静 言 研 会 長 に 現 職 校 長 が 就 任 す る な ど 研 究 団 体 と し て の 強 固 な 基 盤 が 確 立 さ れ て い っ た 。 平 成 19 年 度 よ り 、会 の 名 称 を 静 岡 県 言 語・聴 覚・発 達 障 害 教 育 研 究 会 と 改 め 、発 達 障 害 通 級 教 室 を 組 織 会 員 に 加 え た 。 特 別 支 援 教 育 の 実 施 に 伴 い 、 教 育 現 場 か ら の ニ ー ズ が 拡 大 し た り 、 求 め ら れ る 専 門 性 に 変 化 が 生 じ た り し て お り 、 新 た な 課 題 へ の 取 り 組 み が 急 務 と な っ て き た 。 今 ま で 以 上 に 、 校 長 会 組 織 や 行 政 と の 関 連 を 強 め 、 連 携 し て 言 語 ・ 聴 覚 ・ 発 達 障 害 教 育 に か か わ る 指 導 者 の 資 質 向 上 や 教 育 環 境 整 備 に 努 め て い る 。 2 組 織 の 構 成 運 営 組 織 と し て は 、 公 立 小 学 校 設 置 校 校 長 に よ る 会 長 (1 名 ) ・ 副 会 長 ( 4 名 ) を 置 き 、 会 員 の 中 か ら 運 営 委 員 ( 平 成 28 年 度 26 名 ) 専 門 部 員 ( 平 成 28 年 度 20 名 ) を 互 選 し て い る 。 会 員 は 、 言 語 ・ 聴 覚 ・ 発 達 障 害 教 室 担 当 者 、 幼 児 言 語 教 室 担 当 者 を 中 心 に 医 療 ・ 福 祉 関 係 者 、 教 育 行 政 担 当 者 、 学 識 者 、 通 常 学 級 担 任 、 特 別 支 援 学 級 担 当 者 、 特 別 支 援 教 育 コ ー デ ィ ネ ー タ ー な ど 約 250 名 で 構 成 さ れ て い る 。 3 研 修 と 事 業 内 容 ① 定 例 研 修 会 ( 年 3 回 東 中 西 の 各 地 区 で 順 次 開 催 ) ② 地 区 講 習 会 ( 各 地 区 に お い て 。 新 任 者 研 修 会 を 含 む ) ③ 小 中 学 校 通 級 指 導 教 室 設 置 校 長 ・ 幼 児 指 導 機 関 所 属 長 会 ( 東 中 西 の 各 地 区 に お い て ) ④ 要 望 書 の 提 出 ( 県 教 育 委 員 会 、 各 政 令 市 ) ⑤ 各 専 門 部 会 ( 研 究 部 、 広 報 部 、 会 計 部 、 調 査 対 策 部 ) ⑥ 県 身 体 障 害 者 福 祉 会 ( 県 厚 生 部 ) 補 助 事 業 ・ 幼 児 教 室 運 営 費 補 助 事 業 ・ 地 区 講 習 会 へ の 助 成 ・ 指 導 者 研 修 会 へ の 助 成 ・ 啓 発 事 業 ( ホ ー ム ペ ー ジ に よ る 相 談 事 業 ) へ の 助 成

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要 望 事 項

Ⅰ 通 級 教 育 の 充 実 の た め の 要 望

1 通 級 指 導教 室( 言 語 障害・聴 覚 障 害・発 達 障害 )の 設 置 状況 に 大 きな 地 域 間格 差 が 生 じ て い ま す 。 こ う し た 格 差 を 是 正 す る た め に 通 級 指 導 教 室 の 新 設 や 増 設 を お 願 い い た し ま す 。 2 本 県 が 推 進 し て き た 特 別 支 援 教 育 及 び 通 級 に よ る 指 導 の 一 層 の 充 実 を 図 る た め 、 通 級指 導 教 室担 当 者 の 指 導経 験 を 活か し つ つ そ の経 験 が 適切 に 継 承 さ れる よ う 、また 、通 級 児 に と っ て 丁 寧 で 手 厚 い 指 導 が で き る よ う に 人 事 面 で の 配 慮 や 研 修 の 機 会 増 大 を お 願 い いた し ま す。 3 通 級 指 導教 室 担 当 者 にと っ て 、通 常 の 指 導 に加 え て 、在 籍 校 や 関 係機 関 の 訪問・参 観等 も 欠か せ な い業 務 で す 。在 籍校 訪 問 にか か る 旅 費に つ い ても 、引 き 続 き予 算 と して 配 慮を し てい た だ くよ う お 願 い いた し ま す。

Ⅱ 言 語 障 害 通 級 指 導 教 室 充 実 と 発 展 の た め の 要 望

言 語 障 害通 級 児 童 の 割合 は 増 加し 、 需 要 が 増え て い るに も か か わ らず 、 県 内の 言 語 障害通 級 指導 教 室 数や 担 当 者 数 は増 え て いま せ ん 。ニ ーズ に 応 え質 の 高 い 指 導を 行 う ため に 、言語 障 害通 級 指 導教 室 の 増 設 と担 当 者 の配 置 を お 願 いい た し ます 。

Ⅲ 聴 覚 障 害 特 別 支 援 学 級 ・ 聴 覚 障 害 通 級 指 導 教 室 充 実 発 展 の た め の 要 望

難 聴 児 の ニ ー ズ に つ い て 、 発 達 段 階 に 応 じ て 的 確 に 把 握 し 、 将 来 の 社 会 参 加 に 向 け て 必 要 な 支援 を 行 える よ う 、 下 記の 点 に つい て ご 配 慮 、ご 検 討 をお 願 い い た しま す 。 ・在 住 地 域で 聴 覚 特 別 支援 学 級 や通 級 指 導 教 室に 通 え るよ う に す る こと ・ 医療 機 関 や保 健 セ ン タ ー、幼・ 保 育 園、 学 校 が 連携 し て 情報 を 共 有 す るこ と ・ 研修 会 等 で聴 覚 障 害 に つい て の 理解 を 広 げ る 場を 設 定 する こ と

Ⅳ 発 達 障 害 通 級 指 導 教 室 充 実 発 展 の た め の 要 望

1 発 達 障 害 通 級 指 導 教 室 の 設 置 が 進 ん で き ま し た が 、 ま だ ま だ ニ ー ズ に 十 分 応 え る 状 況 で は あ り ま せ ん 。 未 設 置 の 市 町 に お い て は 、 一 刻 も 早 く 新 設 さ れ る こ と を 願 い ま す 。 ま た 、 既 設の 市 町 にお い て も 、 新設 ・ 増 設等 、 ニ ー ズ に応 じ た 対応 を お 願 い いた し ま す。 2 県 内 では 、 中 学 校 の発 達 障 害通 級 指 導 教 室は 浜 松 市 に 3 校 、 静 岡市 に 3 校 、富 士 市 に 1 校 設 置 さ れ て い ま す 。 ま た 、 吉 田 町 と 三 島 市 で は 、 市 町 で 工 夫 し て 継 続 通 級 を 行 っ て い ま す が、他 市町 は 通 級で の 指導 を 受 ける こ と が で きる の は 6 年 生 ま で と なっ て い ます 。ぜひ 、 中 学 校 で の 発 達 障 害 通 級 指 導 教 室 の さ ら な る 新 設 を 進 め て 下 さ い ま す よ う お 願 い い た し ま す 。

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Ⅴ 早 期 指 導 充 実 発 展 の た め の 要 望

1 本 県 の 「 幼 児 こ と ば の 教 室 」 は 、 県 内 外 か ら 高 い 評 価 を 得 て い ま す 。 し か し 、 「 幼 児 こ と ば の 教 室 」 に は 県 単 位 の 設 置 基 準 が な く 、 各 教 室 に よ っ て 様 々 な 設 置 形 態 が あ り 、 支 援 の 質や 量 は 市町 に よ っ て 大き な 差 があ り ま す 。 そ こ で 、 県 内 ど こ の 市 町 に お い て も 一 定 の 支 援 が 受 け ら れ る よ う 県 に よ る 設 置 基 準 や 指 導 者 雇 用 の 基 準 を 設 け る 必 要 が あ る と 思 わ れ ま す 。 早 期 支 援 の 重 要 性 を 鑑 み 、 こ の こ と に つ いて ご 検 討く だ さ る よ うお 願 い いた し ま す 。 2 幼 児 指 導 者 の 高 い 専 門 性 を 維 持 す る た め 、 「 幼 児 こ と ば の 教 室 」 に 正 規 職 員 の 配 置 と 増 員 を お 願 い い た し ま す 。 ま た 、 市 町 に 対 し て 、 非 常 勤 嘱 託 等 を 配 置 す る 際 に は 現 行 の 他 業 務 の 非 常 勤 嘱 託 の 勤 務 年 限 等 ( 研 修 参 加 の 制 約 も 含 む ) の 適 用 か ら 除 外 す る よ う 働 き か け を お願 い い たし ま す 。

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Ⅰ 通級教育の充実のための要望

平成5 年の通級制度法制化が契機となり、全国に通級指導教室が設置されるようになりました。静 岡県においても、通級指導教室の必要性が広く理解されるようになり、各教育委員会のご努力により、 教室数は着実に増えてきました。 しかし、資料Ⅰ-1-①からも分かるように、通級指導教室の設置が遅れている地区も残されています。 特に西伊豆・東伊豆・南伊豆地区は、他地区同様多くのニーズがあるにもかかわらず(資料Ⅰ-1-②参 照)言語・幼児・発達障害のどの教室も存在していません。 市町村合併により、同一市町内でも遠距離を往復2 時間もかけて通級する児童もいます。遠距離の 通級は、往復するだけで疲れてしまい指導に集中できないばかりか、保護者の負担が大きく、「送迎 困難」を理由に未改善のまま通級を終了した例もあります。在住地域に通級指導教室がない場合も同 様で、遠距離のため他市町に通えず、支援を受けることを諦めるという残念な実態もあります。また、 他市町の児童も受け入れている学校の中には、対象となる学校(児童)が多いために通級回数を減ら して対応している学校もありますが、在籍校訪問はもちろん、一人一人にかかわる時間の不足により、 指導効果が上がらないということも聞いています。 こうしたことからも、各市町の小中学校の設置状況を調査し、それに基づく教室設置を行い、地域 間格差をなくすよう、ご尽力をお願いいたします。 資料Ⅰ-1-① 通級指導教室未設置の市町 (平成 28 年度) 地区 言語教室 幼児教室 発達障害教室 東部 伊豆の国市 東伊豆町 河津町 南伊豆町 松崎町 西伊豆町 函南町 清水町 長泉町 小山町 東伊豆町 河津町 南伊豆町 松崎町 西伊豆町 函南町 清水町 長泉町 小山町 下田市 伊豆市 東伊豆町 河津町 南伊豆町 松崎町 西伊豆町 清水町 小山町 中部 川根本町 吉田町 川根本町 川根本町 西部 浜松市西区 浜松市北区 浜松市天竜区 湖西市 森町 1 通級指導教室(言語障害・聴覚障害・発達障害)の設置状況に大きな地域間格差が生じ ています。こうした格差を是正するために通級指導教室の新設や増設をお願いいたします。

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資料Ⅰ-1-②静岡県言語・聴覚・発達障害教育研究会 地域相談事業 実施幼児数 ( )は相談件数 平成23 年度 平成24 年度 平成25 年度 平成26 年度 平成27 年度 東伊豆町 14名(17) 14名(22) 10名(28) 7名(23) 7名(18) 河津町 9名(11) 10名(22) 11名(16) 1名( 4) 南伊豆町 1名( 1) 3名( 3) 1名( 1) 松崎町 4名( 4) 2名( 8) 3名( 7) 5名(14) 指導者学習会 8名(29) 西伊豆町 5名( 6) 12名(21) 11名(19) 5名(20) 6名(20) 33名(39) 39名(76) 36名(71) 18名(61) 21名(67) ※啓発事業とは 言語障害児指導相談事業補助金(県健康福祉部より)を受けて静岡県言語・聴覚・発達障害教 育研究会が平成23 年度より 3 カ年計画で、通級教室がない伊豆の地域に相談事業を実施したも のである。通級教室設置には至っていないため、継続して言語通級指導教室担当経験のある指導 員2 名が上記の町に出向き、幼稚園や保育園を会場にして言語等の相談を行っている。 この啓発事業の結果、河津町では平成 23 年度から、東伊豆町の幼稚園児、南伊豆町の幼児に ついては平成26 年度から町独自の言語相談が始まった。そのため、平成 26、27 年度は、東伊豆、 松崎、西伊豆の3 町で 6 園を訪問し、5 回(合計 14 日間)の相談会を行った。平成 27 年度の東 伊豆の相談会では、町議会議員が参観してくださったり、職員が指導を見学したり、気になる園 児の保護者に相談をすすめたりするなど、幼児期の保護者を含めた支援の大切さ、必要性を受け とめ、通級指導についての理解が深まっている。ことばや発達について心配がある園児や保護者 へのかかわり方について、指導員を囲んで職員の学習会を行った園もあった。 平成 29 年度まで実施する計画であるが、本事業が言語教室設置に向けた動きにつながること を願っている。

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2 本 県 が 推進 し て き た 特別 支 援 教育 及 び 通 級 によ る 指 導の 一 層 の 充 実を 図 る ため 、通 級指 導 教室 担 当 者の 指 導 経 験 を活 か し つつ そ の 経 験 が適 切 に 継承 さ れ る よ う、ま た、通 級児に と って 丁 寧 で手 厚 い 指 導 がで き る よう に 人 事 面 での 配 慮 や研 修 の 機 会 増大 を お 願い い た し ます 。 県教 育 委 員会 の ご 指 導 の下 、 通 級指 導 教 室 担 当者 は 、 言語 ・ 聴 覚 ・ 発達 障 害 児教 育 の 充実に 努 めて ま い りま し た が 、 資料 Ⅰ-2-①が示すように担当者の年齢は 64%が 50 歳代以上で、20 歳 代 は 1%、30 歳代は 3%という状態にあり、明らかに年配者に偏っています。これは、豊か な 教職 経 験 の上 で し か 築 き上 げ る こと の で き な い高 い 専 門性 を 要 求 さ れる 職 で ある た め と思わ れ ます 。 今 後、 こ れ ら の 教職 経 験 を次 の 世 代 へ 引き 継 い でい く こ と は 、非 常 に 重要 な こ ととな っ てく る と 考え ま す 。 また 資 料 Ⅰ-2-②が示すように、担当者の半数近くが経験年数 3 年以下となっており、本会 主 催の 通 級 指導 教 室 設 置 校長 会 で も多 く の 校 長 が課 題 と して あ げ て お りま す 。こ れ は、1 市町 1 教 室し か 設 置さ れ て い な い市 町 が 多く 、 他 市 町 との 人 事 交流 を 図 り に くい こ と が要 因 と 考えら れ ます 。 経験 が 豊 かで 指 導 者 的 立場 に あ る担 当 者 が 退 職の 時 期 を迎 え つ つ あ る現 在 、 この よ う な不均 衡 な担 当 者 の構 成 は 専 門 性を 継 承 した り 深 め た りす る こ とを 難 し く し 、通 級 指 導教 室 の 質を低 下 させ る 原 因に も な り か ねま せ ん 。本 県 の 特 別 支援 教 育 及び 通 級 に よ る指 導 の 一層 の 充 実を図 る ため 、 将 来的 な 視 点 に 立っ て 均 衡の と れ た 人 事が 行 わ れる よ う に ご 配慮 を お 願い し ま す 。 資 料 Ⅰ - 2 - ① 通 級 教 室 担 当 者 年 代 別 分 布 資 料 Ⅰ - 2 - ② 担 当 者 通 級 教 室 経 験 年 数 0 20 40 60 80 60代 50代 40代 20~30代 人数(人) 年 代 0 10 20 30 40 50 10年以上 7 ~9年 4~6年 0~3年 人数(人)

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ま た、 政 令 指定 都 市 で あ る静 岡 市 や浜 松 市 で は 、市 教 委 主催 の 研 修 に 3 回から 4 回以上参加 で きて い る 担当 者 も い ま すが 、 内 容と な る と 、 入退 級 審 査な ど 、 子 供 の指 導 に 直結 し て いくも の とは 異 な るも の も 多 い です 。 ま た、 県 教 委 主 催の 研 修 は、 回 数 が 少 ない の が 実情 で す 。担当 者 全員 が 行 政主 催 の 指 導 に生 か せ る更 な る 研 修 を望 ん で いま す 。 町 ・ 市教 委 主 催の 研 修 がない 地 域も あ り ます 。 研 修 の 機会 を 地 域間 の 格 差 な く、 平 等 に設 け 、 担 当 者が 幅 広 く育 成 さ れてい く よう に ご 配慮 を お 願 い いた し ま す。 あ わ せ て 、静 岡 県 言語 ・ 聴 覚 ・ 発達 障 害 教育 研 究 会の研 修 会へ の 公 的な 参 加 が で きる よ う 、お 願 い い た しま す 。 平成27 年 5 月 1 日現在、全国で通級による指導を受けている児童生徒は 90,270 人です。 通 級児 童 生 徒・ 教 員 数 の 最も 多 い 東京 都 は 12,681 人の児童生徒を教員 1,764 人で対応し、1 人 当た り お よ そ 7.2 人を担当しているのに対し、静岡県では 2,412 人を 137 人で担当している の で、1 人当たりの担当児童生徒数はおよそ 17.7 人で、東京都に対しおよそ 2.5 倍の人数を担 当 して い る こと が わ か り ます 。その よ う な実 態 のも と 、指 導 効 果が 上 がり に く くは な り ま す が、 週 1 回の通級を隔週にするなどして、できるだけ多くの児童を指導するようにしている教室も あ りま す 。 しか し 、 そ れ でも 、 担 当者 1 人では指導しきれず、待機児童が出ているような状況 で す。 ま た 、担 当 す る 児 童生 徒 数 が多 い こ と で 、複 雑 な 書類 の 整 理 や 在籍 校 と の連 絡 調 整に時 間 がか か り ます 。 通 級指 導 教 室は 、 通 級 児 が在 籍 校 で自 分 ら し さ を発 揮 し なが ら 、 生 き 生き と 活 動す る ことを 大 きな 目 的 とし て い ま す 。通 級 指 導教 室 の 指 導 で教 育 効 果を 高 め る た めに は 、 在籍 校 と の連携 は 欠く こ と ので き な い 重 要な 活 動 の一 つ で す 。 その た め 、一 人 の 児 童 生徒 に 対 し、 最 低 でも年 一 回 の 在 籍 校 訪 問 ( 資 料 Ⅰ-3)を行うことが 理想と考えられます。 また、年度の途中での 入級 に かか わ る 教育 相 談 の 数 も非 常 に 多く 、 在 籍 校 に出 向 き 、学 校 で の 様 子を 把 握 する こ と も重要 で す。 ま た 、退 級 し て い く児 童 に つい て も 在 籍 校で の 支 援が ス ム ー ズ に移 行 で きる よ う 、在籍 校 での 教 育 相談 や ケ ー ス 会議 に 参 加さ せ て い た だく こ と もあ り ま す 。 この よ う に、 す べ ての通 級 児童 の 在 籍校 訪 問 に 要 する 時 間 を累 計 す れ ば 相当 の 時 間と 旅 費 を 費 やし て い ます 。 在 籍校 訪 問 を必 要 に 応 じ て今 後 も 行う こ と が で きる よ う 、在 籍 校 訪 問 にか か る 旅費 等 につい て 、引 き 続 き予 算 と し て 配慮 を し てい た だ き た いと 思 い ます 。 資 料 Ⅰ - 3 一 教 室 当 た り の 在 籍 校 訪 問 の 件 数 8教室 26教室 68教室 34教室 0 20 40 60 80 41件以上 21~40件 1~20件 0 3 通 級 指 導教 室 担 当 者 は、 通 常 の指 導 に 加 え て、 在 籍 校や 関 係 機 関 の訪 問 ・ 参観 等 も 欠 か せな い 業 務で す 。 在 籍 校訪 問 に かか る 旅 費 等 につ い て も、 引 き 続 き 予算 と し て配 慮 を し てい た だ くよ う お 願 い いた し ま す。

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Ⅱ 言語障害通級指導教室充実と発展のための要望

資 料 Ⅱ -1 に 示 す グ ラ フ は 、 平 成 5 年 度 か ら 平 成 27 年 度 ま で の 通 級 に よ る 指 導 を 受 け て い る 全 国 の 児 童 の 推 移 を 示 し て い ま す 。こ れ に よ る と 、通 級 指 導 を 受 け て い る 言 語 障 害 児 の 数 は 全 国 的 に 増 加 傾 向 に あ り ま す 。平 成 27 年 度 5 月 1 日 現 在 の「 平 成 27 年 度 通 級 に よ る 指 導 実 施 状 況 調 査 結 果 に つ い て 」 に よ る と 、 言 語 障 害 35,337 人 に 達 し て い ま す 。 こ れ は 、 前 年 度 比 962 人 増 と な り ま す 。 ま た 、平 成 27 年 3 月 に 静 言 研 が 実 施 し た 基 本 調 査 に よ り ま す と 、平 成 27 年 度 末 ま で の 言 語 障 害 通 級 児 童 の 延 べ 人 数 は 1,441 人( 構 音 障 害 596 人 、吃 音 203 人 、言 語 発 達 遅 滞 627 人 、 そ の 他 15 人 )で 、本 県 も 全 国 の 推 移 と 同 じ よ う に 平 成 15 年 か ら 増 加 傾 向 に あ る こ と が わ か り ま す ( 資 料 Ⅱ-2) 。 388 340 366 418 443 515 382 585 634 724 663 659 596 121 100 97 118 138 156 132 126 174 211 200 218 203 366 427 501 413 434 398 476 514 504 527 509 571 627 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 構音障害(人) 吃音(人) 言語発達遅滞(人) 言 語 障 害 の た め 通 級 に よ る 指 導 を 必 要 と す る 児 童 の 数 は 増 加 し 、需 要 が 増 え て い る に も か か わ ら ず 、県 内 の 言 語 障 害 通 級 指 導 教 室 数 や 担 当 者 数 は 増 え て い ま せ ん 。ニ ー ズ に 応 え 質 の 高 い 指 導 を 行 う た め に 、言 語 障 害 通 級 指 導 教 室 の 増 設 と 担 当 者 の 配 置 を お 願 い い た し ま す 。 資 料 Ⅱ -2 静 岡 県 の 言 語 障 害 通 級 児 童 数 ( 人 ) 文 部 科 学 省 平 成 2 7 年 度 通 級 に よ る 指 導 実 施 状 況 調 査 結 果 よ り 資 料 Ⅱ -1 通 級 に よ る 指 導 を 受 け て い る 児 童 生 徒 数 の 推 移 ( 全 国 公 立 小・中 合 計 )

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資 料 Ⅱ - 2 よ り 、 言 語 通 級 教 室 に は 毎 年 1400 人 程 通 っ て い る こ と が 分 か り ま す 。 ま た 、 資 料 Ⅱ - 3 の と お り 県 内 の 言 語 障 害 通 級 指 導 教 室 数 は 、平 成 20 年 度 よ り 40 教 室 前 後 で 推 移 し て い ま す 。 通 い た く て も 、教 室 数 や 担 当 者 の 不 足 に よ り 、必 要 が あ っ て も 指 導 を 受 け ら れ な い 待 機 児 童 の 問 題 が ま だ 解 決 で き ま せ ん 。担 当 者 が 、待 機 児 童 を 作 ら な い た め に 、正 式 通 級 を す る 児 童 数 を ふ や す べ く 、 工 夫 を し て も 限 り が あ り ま す 。 資 料 Ⅱ - 4 を 見 ま し て も 県 下 で 50 名 の 子 ど も た ち が 指 導 を 待 っ て い ま す 。 指 導 時 間 を 隔 週 に す る と か 、と り あ え ず 言 語 相 談 を 行 う と か 、指 導 者 も 努 力 し て お り ま す が 、待 機 児 童 は 、多 数 お り ま す 。ま た 、構 音 指 導 が 必 要 な お 子 さ ん に つ い て は 月 1 回 の 指 導 で は 、指 導 効 果 が あ ま り あ が ら な い と い う 状 況 も あ り ま す 。こ の 現 状 は 、児 童 生 徒 や 保 護 者 の ニ ー ズ に 十 分 応 え て い る と は い え な い 状 況 で す 。 資 料 Ⅱ -4 通 級 教 室 に お け る 待 機 児 童 数 担 当 者 一 人 が 指 導 す る 児 童 数 の 増 加 に よ り 、 担 当 者 が 過 度 の 負 担 と な る ケ ー ス も あ り ま す 。 静 岡 県 東 部 の 小 学 校 で は 、 平 成 27 年 度 に 担 当 1 人 で 43 人 も の 児 童 を 指 導 す る と い う 、 現 状 も あ り ま し た 。こ の 小 学 校 で は 、指 導 を 隔 週 に し た り 、グ ル ー プ 指 導 を し た り す る な ど 工 夫 し て お り ま し た が 、 な か な か 大 変 だ っ た よ う で す 。 担 当 者 に と っ て 過 度 の 負 担 と な ら な い よ う に 十 分 配 慮 を し つ つ 、通 級 に よ る 指 導 の 効 果 が 上 が る よ う 、 教 員 の 増 員 を お 願 い し た い で す 。 33 35 35 38 39 40 39 39 39 39 40 41 41 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 資料Ⅱ-3 静岡県言語教室数 推移 県 東 部 県 西 部 静 岡 市 浜 松 市 合 計 平 成 27 年 度 23 23 1 3 50 ( 教 室 ) ( 人 )

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言 語 障 害 に お け る 早 期 教 育 の 成 果 は 、 こ れ ま で に も 報 告 さ れ て い ま す が 、 資 料 Ⅱ -5・ 6 か ら は 、学 年 が 低 い ほ ど 適 応 状 態 が 改 善 さ れ や す い と い う こ と が わ か り ま す 。ま た 、資 料 Ⅱ -7・ 8 は 適 応 状 態 が 改 善 し 、 退 級 し た 児 童 の う ち 、 幼 児 言 語 教 室 に 通 っ て い た 児 童 の 数 を 示 し て い ま す 。こ の 資 料 か ら は 、早 い 時 期 か ら 指 導 を 受 け る こ と に よ っ て 適 応 状 態 が よ り 早 く 改 善 す る こ と が わ か り ま す 。 ま た 、小 学 校 言 語 通 級 教 室 担 当 者 は「 保 護 者 が 通 級 に 協 力 的 で あ る 」「 保 護 者 が 子 ど も の こ と を よ く 理 解 し て い る 」「 通 級 で 取 り 組 む べ き 課 題 が は っ き り し て い る 」「 指 導 時 に 必 要 な 基 礎・基 本 が 備 わ っ て い る 」「 児 童 が 意 欲 的 に 授 業 に 参 加 す る 」と 幼 児 言 語 教 室 の 指 導 効 果 を 挙 げ て い ま す 。 以 上 を 踏 ま え 、言 語 障 害 を 持 つ 児 童・生 徒 の 適 応 状 態 を 一 日 で も 早 く 改 善 す る た め に 、待 機 児 童 を 出 さ ず 、支 援 を 必 要 と す る す べ て の 児 童 が 早 い 時 期 か ら 専 門 的 な 指 導 を 受 け ら れ る よ う 、 適 切 な 言 語 障 害 通 級 指 導 教 室 の 設 置 や 担 当 者 の 配 置 を よ ろ し く お 願 い い た し ま す 。 資 料 Ⅱ -5 適 応 状 態 が 改 善 し て 退 級 し た 児 童 数 資 料 Ⅱ -7 適 応 状 態 が 改 善 し て 退 級 し た 児 童 の う ち 幼 児 言 語 教 室 に 通 っ て い た 児 童 数 県 東 部 県 西 部 静 岡 市 浜 松 市 全 県 比 率 1 年 ( 人 ) 40 90 33 45 208 45% 2 年 ( 人 ) 41 50 23 26 140 30% 3 年 ( 人 ) 24 29 8 12 73 16% 4 年 ( 人 ) 15 4 3 4 26 6% 5 年 ( 人 ) 4 2 3 2 11 2% 6 年 ( 人 ) 2 1 1 1 5 1% 合 計 126 176 71 90 463 100% 県 東 部 県 西 部 静 岡 市 浜 松 市 全 県 退 級 児 童 中 の 比 率 1 年 ( 人 ) 29 85 29 45 188 90 % 2 年 ( 人 ) 21 39 13 26 99 70 % 3 年 ( 人 ) 10 21 3 12 54 63 % 4 年 ( 人 ) 4 2 0 4 46 38 % 5 年 ( 人 ) 1 1 1 2 5 45 % 6 年 ( 人 ) 2 1 0 1 4 80 % 計 67 149 46 90 352 76 % 0% 100% 全体 6年 5年 4年 3年 2年 1年 資料Ⅱ-8 適応状態が改善して退級 した児童の幼言に通っていた児童と 通っていなかった児童の学年別割合 退級した児童の うち幼言に通っ ていた児童 退級した児童の うち幼言に通っ ていなかった児 童 1年 45% 2年 30% 3年 16% 4年 6% 5年 2% 6年1% 資料Ⅱ-6 適応状態が改善して退級 した児童数の学年別割合

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Ⅲ 聴覚障害特別支援学級・聴覚障害通級指導教室充実発展のため

の要望

わが県で実施されている「軽・中等度難聴児補聴器購入費等助成事業」と「FM 補聴システム、 デジタル無線補聴システム機の無料貸し出し事業」は、身体障害者手帳を持たない難聴児とその 保護者にとっては、どちらも大変心強い事業であり、無料貸し出し期間後、延長や購入を考える 方が多いと聞いています。この事業があることで、貸与児童と園(学校)・地域の聴覚特別支援 学級(校)や通級指導教室をつないでいただき、園(学校)で適切な支援を受けることができる様 になった例もありました。これらの事業に関してのご尽力に心より感謝申し上げるとともに、今 後も、継続、拡大していただけますようお願いいたします。 さて、新生児聴覚スクリーニング検査が実施されるようになり、早い時期から中度以上の難聴 が発見できるようになったため、高度・重度難聴があっても人工内耳や補聴器を装用して早期の 補聴開始、コミュニケーション指導が受けられるようになってきました。それに伴い、通常学級 にインテグレーションする児童生徒が増えていますが、在籍校では、聴覚障害についての理解が 進んでいないため、軽・中等度難聴児と同じように困難さをかかえているという実態は変わりま せん。 軽・中等度難聴児のかかえる困難さとは、その困難さをなかなか分かってもらえないことです。 FM 補聴器貸与児童の感想(資料Ⅲ-1)にもあるように、難聴児自身も自分がどれだけ聞き落と しているのかが分からないので、本人に確かめると「聞こえる。大丈夫。」でありながら、実際に は情報が欠け落ちたままの状態が積み重なっていきます。その上、静かなところや1対1の会話 では、聞き取ることができるので、「(いつでも)聞こえている」「補聴器をつけているから聞 こえる」と「誤解」されたりします。中学生になると、学習内容や難語句が増えるだけでなく、 教科担任制、部活動という人間関係の複雑さも加わり、自分が得た情報に不安があっても口にで きず、自己肯定感が持てないまま、思春期を迎え、学習意欲の低下や不登校など、二次的な障害 につながることも懸念されます。 そこで、在住地域で聴覚特別支援学級や通級指導教室に通えるようにすることをお願いいたし ます。在住地域に聴覚障害特別支援学級や通級指導教室があれば、早い時期から発達段階に応じ た障害理解教育を進めることができ、同じ障害をもつ仲間と出会い、遠慮せずに気持ちを伝え合 う経験をしたり、きこえについて正しく認識したりすることもできます。そして、担任と共に集 団の中でのよりよい支援を考えることが可能になります。現在、聴覚特別支援学校が実施してい るサテライト方式での通級指導は、専門性の高い教員の指導を近くの学校で受けることができる 良さがあるのですが、それでもまだ片道10km 以上の道のりを通級している方もいます。指導に 難聴児のニーズについて、発達段階に応じて的確に把握し、将来の社会参加に向けて必要な 支援を受けられるよう、下記の点についてご配慮、ご検討をお願いいたします。 ・在住地域で聴覚特別支援学級や通級指導教室に通えるようにすること ・医療機関や保健センター、幼・保育園、学校が連携して情報を共有すること ・研修会等で聴覚障害についての理解を広げる場を設定すること 

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当たることができる教員やサテライト校の数は、児童・生徒のニーズに十分応えているとはいえ ません。指導を必要としている児童・生徒が十分に専門的な指導が受けられるよう、教員の増員、 聴覚障害特別支援学級や通級指導教室の拡充をお願いいたします。 資料 Ⅲ-1 「FM 補聴器貸与児童の保護者へのアンケート(県立総合病院乳幼児聴覚支援センターの資料)」より 学 習 効 果 に つ いて ・ガヤガヤしている所や授業中周りの友達が話していても、先生の声が聞き取り やすくなった。 ・中学では多数の先生の授業を受けるようになるのでさらに有効的に使用できる と思う。 ・運動場や体育館などでは、FM 補聴器を使用することで今まで聞き取れなかった 部分を聞き取ることができ、行動しやすくなった。 ・先生の言っていることが分かるので、今は自信を持って発表や授業の中でも、 生き生きと活動している。周りの子から明るくなったと言われた。 難 聴 へ の理解 に つ い て ・補聴器を着けていれば大丈夫と思っていたが、聞こえていなかった事がたくさ んあったということが分かった。 ・発表する友達が FM 補聴器を使ってくれたのでよく聞き取れた。 ・集会時も校長先生や、他の先生方が使ってくれて、とても助かっている。 購入に ついて ・子どもにとって必要かどうか、買うことに悩んでいたが、6か月間の無料貸し 出しのおかげで FM 補聴器の必要性を感じることができた。 次に、医療機関や保健センター、幼・保育園、学校が連携して情報を共有すること・研修会等 で聴覚障害についての理解を広げる場を設定することをお願いいたします。インクルーシブ教育 システム構築のための特別支援教育の推進が行われる中、合理的配慮の基礎となる環境整備の充 実は必然です。難聴児にとっての合理的配慮の基礎となる環境整備とは、難聴児のニーズをキャ ッチし困難さに気付くことができる人が学校内にいることです。特別支援教育コーディネーター や就学支援担当・養護教諭等の研修会でも難聴児の困難さについて触れていただければ、理解し てくれる人が学校に増え、難聴児のニーズに気付くチャンスが広がり合理的配慮の基礎となる環 境整備の向上につながります。軽・中等度難聴で、医療面で治療の必要がなく、ある程度の生活 言語の獲得はできるという意味で「心配ない。」と言われた子でも、学校生活では困ることがあり、 困った時に相談できる場(人)は必要です。実際に補聴器を持っていても周囲の目が気になって 学校では装用せず、6 年生まで教育相談を受けていなかった児童がいました。この児童は、聞き 取れないことを自分の努力不足ととらえ、友達には分かるのに自分だけ分からない、間違って恥 ずかしい思いをしないよう友達とトラブルにならないよう、常に周囲に気を配っているので、 「家に帰ると疲れ果ててしまう。」と話していました。 今のままでは、通常学級で周りの人に困難さを理解してもらえずにいるこのような児童・生徒 がいても真のニーズを理解してもらうことはできません。医療機関、市町の保健センター、幼・ 保育園、小・中・高等学校、聴覚障害特別支援学級・通級指導教室がそれぞれ継続してなめらか に連携し、難聴児の情報を共有して支援できるようにするためにも、研修会等で聴覚障害につい

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ての理解を広げる場を設定してください。 小学生の保護者は、中学校での生活や学習、高校受験(特に英語)に様々な不安をもっている ことが分かります。(資料Ⅲ-2)。英語のヒアリングの受け方などについては、公立学校では対応 してもらえるケースが増えていると聞いています。しかし、実際には、各中学校で個のニーズに 応じた支援がなされていないため、自分に合った受験方法が分からず支援を受けられない場合も あり、まだ、学校によって受け入れに差があると聞きます。県内のすべての高校で難聴生徒も「聞 くことができる」という平等な条件のもとで受験できるよう、これからも働き掛けをお願いいた します。 平成 27 年度は、静岡市内に英語の時間に限って非常勤講師を導入している中学校がありまし た。しかし、その講師は英語の教員免許を有するものの、聴覚障害についての専門的な知識を得 る時間も場も無く、授業以外で難聴生徒とかかわる時間をもったり担任と支援方法を模索したり することはしていませんでした。難聴児や保護者のニーズに応えるには、非常勤講師であっても 専門的な研修に参加できることが保障され、個に応じた支援のあり方を本人とともに考えていか なければならないと思います。 このように、難聴児のニーズについて、発達段階に応じて的確に把握し、将来の社会参加に向 けて必要な支援を受けることができるよう、在住地域で聴覚特別支援学級や通級指導教室に通っ たり、難聴児とかかわる医療機関や市町の保健センター、幼・保育園、学校が連携して情報を共 有したりし、研修会等で聴覚障害についての理解を広げる場を設定していただけるよう、更なる ご配慮、ご検討をお願いいたします。 資料 Ⅲ-2 難聴通級指導教室(富士宮東小みみの教室)に通級する高学年児童の保護者アンケートより 中学校生活 について、心 配なことは ありますか ・本人は「聞こえているから大丈夫」と言うが、これからどの程度理解できるか。 ・小さい声は聞き取れないので、先生や友達の話が理解できるか。 ・勉強についていけるか。(特に英語) ・英語の聞き取りができるか。 ・聞こえていないことが原因でいじめられないか。 ・聞こえについての先生や友達の理解が得られるか。 ・災害時にきちんとした情報が得られるか。 学校に望む こと ・先生方の難聴への理解。 ・聞き取れずに困ったときに助けてほしい。 ・試験のときに、配慮してほしい。 ・いろいろな情報がきちんと得られるように配慮していただけるとありがたい。 聴覚障害通 級指導教室 に望むこと ・困ったときに相談にのってほしい。 ・授業や部活を休まずに通級できるなら、通級したい。 ・受験についての情報を教えてほしい。また、親としてできることがあれば知りた い。

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Ⅳ 発達障害通級指導教室充実発展のための要望

1 発達障害通級指導教室の設置が進んできましたが、まだまだニーズに十分応える状況では ありません。未設置の市町においては、一刻も早く新設されることを願います。また、既設 の市町においても、新設・増設等、ニーズに応じた対応をお願いいたします。 発達障害通級指導教室の設置が進んでいますが、現在、県内で 3 市、9 町、政令指定都市であ る浜松市の7区中 2 区に教室が未設置となっています(資料Ⅰ-1-①)。 H27 年度末における状況調査では、正規の入級児童生徒で 1,088 名、正式ではないが相談など で教室に通っている者は 157 名、合計 1,245 名の児童・生徒が指導を受けている実態が把握され ました(資料Ⅳ-1-①)。正式ではないが指導を受けている児童・生徒は、2年連続で 150 名以上 となっています。こうした状況は、正規の通級児童・生徒への指導時間の確保を難しくしていま す。ペアやグループでの活動を取り入れるなど工夫をしていますが、一人一人に対してじっくり と指導することはできません。指導時間が確保できないと、効果が上がらず、退級までに時間が 掛かってしまうのが現状です。 また、指導時間を確保することができず、待機または待機に近い状況にある児童・生徒が 97 名、 相談件数は 895 件あるということも分かりました(資料Ⅳ-1-②③)。 このことから、発達障害通級指導教室の設置がまだまだニーズに十分応えられていないことが 分かります。未設置の市町においては、一刻も早く新設されることを願うとともに、既設の市町 においてもニーズに応じた新設・増設をお願いいたします。 資料 Ⅳ-1-① 資料 Ⅳ-1-② 発達障害通級指導教室の児童・生徒数(人) 待機または待機に近い状況の児童・生徒数(人) 13 資料 Ⅳ-1-③ 相談件数(件) 208 382 327 171 35 27 33 62 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 県東部 県西部 静岡市 浜松市 正規 正式ではない 15 5 62 15 0 20 40 60 80 浜松市 静岡市 県西部 県東部 227 317 187 164 0 100 200 300 400 浜松市 静岡市 県西部 県東部

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資料Ⅳ-2-①は、平成 28 年 3 月現在、通級指導を受けている 5・6 年生の保護者 197 名を対象とし たアンケート結果です。 中学での通級指導を希望する保護者の声が 168 名と、全体の 85%を占めていますが、平成 27 年度現在 静岡県において中学校に発達教室が設置されている市は、政令都市の静岡市と浜松市の 6 校、富士市の 1 校のみとなっています。その人数は、1,2,3 年生合わせて 41 名でした。平成 28 年度になり、吉田町と 三島市は、継続通級の重要さを把握し、市町独自で中学生のための通級指導を開始しましたが、それ以 外の市町では対応がなされていないため、小学校で通級指導を受けていても、その後指導が途切れてし まい、行き先が無いのが現状です。 この調査結果から、せっかく小学校で通級指導を受け、中学進学後も継続指導を希望する児童の割合 が、全体の 8 割を超えるという実態にも関わらず、そのうちの半分以上が中学校に通級指導教室がない ために指導を中止せざるを得ない状況になっていることは明らかです。 小学校で通級指導を受けてきた生徒保護者にとって、自立に向かう中学校期の大切な時期に特別な指 導・教育が中断されてしまうことが、今や大きな不安となっています。このことが、将来の社会参加と 自立を妨げることになる可能性も否定できません。 資料Ⅳ-2-① 中学校での通級指導を希望する保護者 資料Ⅳ-2-②は、保護者が望む中学校における通級指導の内容です。注目すべきは、SST(ソーシャ ルスキルトレーニング)や認知学習の補充の次に、メンタルケアの割合が高いという点です。 中学校期、思春期を迎えることで、小学校期とは異なる新たな問題が起こり、生徒が学校や家庭生活 に困難さを感じるであろうことは十分予想されます。実際、小学校では問題なく過ごせていた生徒が、 中学校に入って数学や英語でつまずくといった学習面での困難さや、違う小学校から入学した友達との 人間関係や先輩後輩の上下関係といったコミュニケーション面での困難さ、小学校より厳しくなった校 則などの生活面での困難さを感じて、「中1ギャップ」の壁に当たり、通級指導を希望するケースも少な くありません。不全感の積み重ねは不適応の悪化に及び、二次障害にもつながるでしょう。 文科省の平成 28 年「不登校児童生徒への支援に関する最終報告」では、「不登校児童生徒に対する効 0 20 40 60 80 100 120 140 県全体 静岡市 浜松市 希望する 希望しない 2 県内では、中学校の発達障害通級指導教室は浜松市に 3 校、静岡市に 3 校、富士市に 1 校設 置されています。また、吉田町と三島市では、市町で工夫して継続通級を行っていますが、他 市町は通級での指導を受けることができるのは 6 年生までとなっています。ぜひ、中学校での 発達障害通級指導教室のさらなる新設を進めて下さいますようお願いいたします。 (人) (人)

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10 33 35 37 35 34 0 5 10 15 20 25 30 35 40 ⑥その他 ⑤在籍校への働きかけ ④保護者対象の教育相談 ③メンタルケア ②苦手な学習の補充 ①ソーシャルスキルの向上 果的な支援の充実」とあります。現在、小・中学校の実態として、発達障害を抱える不登校傾向にある 児童生徒の増加の報告とサポートの要請の声が、喫緊の課題として上がってきています。この課題への 対策の一つとして「早期支援の重要性」が挙げられています。具体的な成功例を挙げますと、ある中学 校通級に通う現在 3 年生の生徒は、中 1 時に対人コミュニケーションの不全などから不登校になりまし たが、中 2 の年度当初に通級教室に入級し、別室登校も含め少しずつ登校日数も増えていき、在籍校と の連携、協力もあり、現在では教室復帰を果たしているそうです。このように、不登校減少への対策と しても中学校通級の役割が必要であると強く感じています。 また、平成 27 年度末、中学校通級に通う保護者 82 名を対象としたアンケートによると、通級する際 の条件として、32%が「授業を全く休まないこと」を挙げています。さらに 54%が教室までの所要時間 が、片道 30 分以内を希望しています。この結果より、保護者は「放課後、なるべく短時間で通える所」 に通級できることを希望していることが推察されます。また、「保護者の付き添いがなくても通えるよう にしてほしい」との声もあり、それが可能になれば、「放課後、それほど遠くない距離で、安全に通級で きる所」が望まれていることになります。そうなると現状の教室数では全く足りません。 さらに資料Ⅳ-2-③にあるように、保護者が感じている「中学校通級に通っていてよかったこと」と して、41%にあたる 34 人が「ソーシャルスキルの向上」を、また苦手な認知領域の学習補充(35 人・43%)、 在籍校への働きかけ(33 人・40%)などを挙げています。具体的なわが子の変容を目にし、ほとんどの 保護者が「通級に通わせてよかった」との思いをもっていることを再確認できました。 以上のような結果から、発達障害をもつ生徒が、適切な支援や環境調整を受けることにより、二次的 な障害を防ぎ、よりよい学校生活を送ることができるようにするためにも、また保護者が安心して通級 できる環境を整えるためにも、中学校における発達障害通級指導教室のより一層の開設を進めて下さい ますようお願いいたします。 23% 24% 17% 13% 17% 4.4% ①SST ②認知や学習補充 ③メンタルケア ④教育相談 ⑤在籍校への助言 ⑥その他 (人) 資料Ⅳ-2-③ 中学校通級に通っていてよかったこと 資料Ⅳ-2-② 中学校の通級指導で望むこと

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74% 24% 2% 0% 教育行政 福祉行政 その他

Ⅴ 早期指導充実発展のための要望

「幼児ことばの教室」は平成 28 年度現在 50 教室あります。その教室を担当する行政や設置場 所は各市町の実態や設置の経緯などによりさまざまですが、その 8 割近くは教育行政が担当して います(資料Ⅴ-1-①)。学齢のことばの教室が設置されている小学校内にある「幼児ことばの教 室」(資料Ⅴ-1-②)においては、小学校への就学や通級教室へのスムーズな移行、また指導等に 関する日常的な情報交換や研修を行うことができ、成果をあげています。9 割以上の子どもが通 常学級へ就学する(資料Ⅴ-1-③)ことから今後できるだけ学齢ことばの教室の設置されている 小学校に「幼児ことばの教室」を設置していただきますようお願いいたします。 中教審より出された「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別 支援教育の推進」の報告において、「子ども一人一人の教育的ニーズに応じた支援を保障するた めには、乳幼児期を含め早期からの教育相談や支援の充実は必要である」とあります。本県の「幼 児ことばの教室」は乳幼児期に、幅広い様々な心配を持つ保護者が気軽に相談できる重要な支援 機関です(資料Ⅴ-1-④⑤)。早期から継続して指導を受けることにより、問題の改善・軽減だ けでなく、二次障害の防止等の成果をあげていると思われるため(資料Ⅱ-⑦⑧)、今後益々相談 希望者の増加が見込まれます。また「幼児ことばの教室」設置基準のひとつとして、指導を受け られる回数の地域間格差を減らすためにも、指導員の増員をお願いしたいと思います。(資料Ⅴ -1-⑥) 言語障害児指導相談事業には補助金(県健康福祉部より)を受けています。未設置地域が多い 伊豆の地域では当研究会(静岡県言語・聴覚・発達障害研究会)が H23 年度から 3 年間、幼稚園 や保育園を会場にして言語等の相談を行いました。この啓発事業をきっかけに町独自の言語相談 事業が始まったケースもあります。またこの補助金により県内各教室は通級幼児の人数に応じて 教材購入費用の助成を受けております。早期からの支援について、今後も県からの助成をお願い します。

資料V-1-① 担当行政 (教室数)

東部

中部

西部

合計

教育行政

9

15

13

37

福祉行政

6

6

0

12

その他

0

1

0

1

合計

15

22

13

50

1 本県の「幼児ことばの教室」は、県内外から高い評価を得ています。しかし、「幼児こ とばの教室」には県単位の設置基準がなく、各教室によって様々な設置形態があり、支援 の質や量は市町によって大きな差があります。 そこで、県内どこの市町においても一定の支援が受けられるよう県による設置基準や指 導者雇用の基準を設ける必要があると思われます。早期支援の重要性を鑑み、このことに ついてご検討くださるようお願いいたします。

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小学校 内37教 室 幼稚園 内5教 室 その他 8教室 資料 Ⅴ-1-② 設置場所 67% 24% 2% 4% 2% 1% 資料 V-1-③ 就学先 通常学級1103人 通常学級+言語408人 通常学級+発達28人 特学(知的)64人 特学(情緒)29人 特別支援学校12人 23 82 370 1106 1070 11 33 37 20 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1歳児 2歳児 3歳児 4歳児 5歳児 来室 電話のみ (人) 資料 V-1-④ 相談件数 0 2 24 1 13 0 2 0 0 0 0 133 33 1 0 382 356 68 2 0 839 662 135 3 5 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 発音 言語発達遅滞 吃音 口蓋裂 難聴 1歳児 2歳児 3歳児 4歳児 5歳児 資料 V-1-⑤ 通級児の年齢・障害別人数 (人)

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近年「幼児ことばの教室」が増加し、指導を受けられる幼児が増えたことは、幼児指導の重要 性からしても大変望ましいことです。平成 27 年度、県内の幼児ことばの教室での年間指導延べ人 数は 2,700 人弱でした(資料Ⅴ-1-⑤)。これは、指導員一人当たりにすると、25 人になります。 勤務形態は市町によって異なり、指導可能な時間は限定されています。的確なアセスメントをし、 個々の特性に応じた教材準備・評価等、多くの時間がかかり、やむを得ず隔週の指導を行ったり 待機させたりしている市町があります(資料Ⅴ-1-⑥)。また指導員は、園との連携や啓発、他機 関との連携や支援など、指導以外にも指導に関連した様々な業務が求められ、その責任を担って います(資料Ⅴ-2-⑦)。その職責を担うためには、研修の充実は不可欠です。現在は本研究会や 市町が主催で初任者研修を始め定例研究会を行い研修の場を設けていますが、県として幼児担当 者の研修会を、ぜひ行っていただきたいと願います(資料Ⅴ-2-⑧)。 指導員は高い専門性や資格を持ちながら(資料Ⅴ-2-⑨)身分は臨時や非常勤が多く、正規の職 員は 9%にとどまっています(資料Ⅴ-2-⑪)。非正規の勤務年数を制限している市があり(資料 Ⅴ-2-⑩)経験年数が 5 年以下の担当者が約 8 割です(資料Ⅴ-2-⑫)。現行のままでは、せっか く身に付けた専門性がこうした制限により生かされなくなってしまうと同時に、毎年のように初 任者が専門性を身につけるための研修も必要となります。今後ますます高い専門性を生かして指 導に当たれるよう、正規職員の配置と、現行の他業務同様の非常勤嘱託の勤務年限等(研修参加 についての制約も含む)の適用から除外するよう働きかけをお願いいたします。 2 幼児指導者の高い専門性を維持するため、「幼児ことばの教室」に正規職員の配置と増 員をお願いいたします。また、市町に対して、非常勤嘱託などを配置する際には現行の他 業務の非常勤嘱託の勤務年限等(研修参加の制約を含む)の適用から除外するよう働きか けをお願いいたします。 420 30 424 377 44 417 465 87 45 121 82 50 27 23 18 18 0% 20% 40% 60% 80% 100% 浜松市 静岡市 県西部 県東部 1週間に1回 2週間に1回 1ケ月に1回 その他(待機等) 資料 V-1-⑥ 指導頻度別人数 (人)

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0 20 40 60 言語聴覚士 保育士 幼稚園教諭 小学校教諭 中学校教諭 その他 資料V-2-⑦ 指導に関連した業務 園との連携・啓発の取り組み ○ 在籍園訪問や電話・連絡ノート、教室便り、指導報告・実態報告書による情報交換 ○ ケース会議への参加 ○ 在籍園担任を対象としたことばの教室説明会や指導公開の開催 ○ 市町内園長研修会や療育支援講座における説明・啓発 他機関との連携・支援 ○ 医療機関への紹介 ○ 母子保健担当者・保健師、発達療育支援機関、大学、医療機関との情報交換 ○ 小学校の通級教室との連携や入学時の情報提供 ○ ST(言語聴覚士)主催の講演会や懇談会への参加 相談 ○ 年度始めや夏季休業中の出張相談やスクリーニング(全園または希望園、保護者の希望に応じる) ○ 電話相談 資料V-2-⑨ 担当者の保有する資格(全担当者 106 人中) 資料V-2-⑩ 非正規職員の雇用年限 資料V-2-⑪ 担当者の身分 9% 91% 正規職員10人 非正規職員96人 資料V-2-⑧ 3 年未満の担当者(52 名)が参加した研修(静言研主催のものは除く) 7 15 3 0 5 10 15 20 その他 市教委主催 県教委主催 参加担当者数(人) 1~5年 37人 制限なし 33人 49% 35% 16% 0~2年 52人 3~5年37人 6年以上17人 資料V-2-⑫ 担当者の現教室での経験年数 (人)

参照

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