土 木 学 会 論 文 集No. 428/1-15, 1991. 4
平面骨組の有限ひずみ ・有限変位理論の解 に
収束す る2種 類の数値解法 と精度特性
-剛
体 ば ね モ デ ル に よ る 手 法 と剛 体 変 位 除 去 の 手
法-後 藤 芳 顯*・ 吉 光 友 雄**・ 小 畑
誠***・
西 野 文 雄****
構造 物の幾何学的非線形問題 を解析す る場合, 有限 ひずみ ・有限変位理論に よるのが 厳 密であるが, 解析 手続 きは複雑 にな る。ここで は, 実用的 な手法であ る剛体変位除去 の手法や剛体 ばねモデルに よって平面骨組の有限 ひずみ ・有限変位問題を数値的に扱 う 時の定式化, 収束性, 精度特性 を理論的 に検討 し, 接線剛性行列の対称性 を保証するに は, 微小ひずみでな く有限 ひずみ下の定式化 を行 う必要が あることも示 した。Keywords: corotational method, Rigid-Bodies-Spring model, accuracy, geometrical non-linearity 1. ま え が き 変 位 の大 き さ に制 限 をつ け な い平 面 骨 組 の 有 限 変 位 問 題 の解 析 は棒 理 論 の 枠 内 で 厳 密 に定 式 化 さ れ た有 限 ひ ず み ・有 限変 位 理論1)に よ る の が正 確 で あ るが, 支 配 方 程 式 が高 次 非 線 形 と な る た め, 大 部 分 は微 小 ひず み条 件 下 の も の1)で, 有 限 ひず み ・有 限変 位 問題 を扱 い得 る実 用 的 かつ 汎 用 的 な数 値 解 析 手 法 な らび に, そ の理 論 的 な精 度 特 性 につ い て は ほ と ん ど解 明 さ れ て い な い の が現 状 で あ る. この よ う な 問題 を扱 い得 る と考 え られ る手 法 と して, そ の定 式 化 が最 も容 易 な も の は剛 体 ば ね モ デ ル に よ る手 法2)∼8)を挙 げ る こ と がで き よ う. この 手 法 の基 本 と して は, 剛体 と集 中 ば ね か ら成 る要 素 で は りを物 理 近 似 す る もの で, 主 と して剛 体 の運 動 を正 確 に評 価 す る だ けで, 微 分 方 程 式 を解 くこ と な く簡 単 に離 散 化 式 で あ る 剛性 方 程 式 を誘 導 で き る. ま た, 弾 性 物 理 モ デ ル で あ る た め, 剛体 運 動 の 評価 が正 確 で あ れ ば, 接 線 剛性 行 列 は対 称 と な る. しか しな が ら, 剛体 ば ね モ デ ル は, 上 述 す る よ う に, 連 続 体 で あ る は りを大 胆 に物 理 近 似 す る た め, 制 度 的 に か な り劣 る の で は な い か と い う認 識 が一 般 に あ る の も事 実 で あ り, 平 面 骨組 の汎 用 解 析 法 と して は必 ず し も 広 範 囲 に 利 用 され て い な い. 一 方, 現 状 で 大 き な 変位 領 域 ま で 骨組 を解析 し得 る汎 用 的手 法 と して, 最 も広 く利 用 され て い る の は, 移 動座 標 に よ る 剛 体 変 位 除 去 の 手 法(近 年Co-rotational Meth0dと も よ ば れ て い る)で あ る と い え よ う. この 手 法 の 精 度 特 性 に つ い て は, す で に 文 献9)∼11)で 検 討 して い るが, 内 容 と して は微 小 ひず み ・有 限 変 位 問 題 へ 収 束 す る場 合 が中 心 で, 有 限 ひず み ・有 限 変 位 問 題 へ 収 束 す る場 合 につ い て は, 若 干 触 れ られ て い る だ けで あ る. よ り厳 密 な有 限 ひ ず み ・有 限 変 位 問 題 を一 般 的 に扱 い得 る剛 体 変 位 除去 の手 法 につ い て は, 著 者 らが 示 した もの を除 き, そ の精 度, 効 率 性 は い う ま で も な く, どの 手 法 が有 限 ひ ず み ・有 限変 位 の解 に収 束 す る か につ い て も, ほ と ん ど 明 らか に さ れ て い な い の が現 状 で あ る. 本 論 文 で は, 上 記2種 類 の手 法 が平 面 骨 組 の有 限 ひ ず み ・有 限 変位 問題 を汎 用 的 に扱 い得 る実 用 的 な数 値 解 析 法 で あ る とい う観 点 か ら, そ の収 束 性 な らび に精 度 特 性 を理 論 な らび に 数 値 計算 の 両面 か ら, 詳 細 に検 討 す る こ とで, この 種 の 解析 を効 率 的 に行 うた め の指 針 を与 え る こ と を 目的 と す る. ま ず, 2種 類 の 剛 体 ばね モ デ ル に つ いて そ の 収 束 性 と精 度 を検 討 す る. 次 に 要素 分 割 長 無 限 小 で 有 限 ひず み ・有 限 変 位 問題 に収 束 し得 る実 用 的 な3 種 類 の 剛体 変 位 除 去 の 手 法 を明 示 し, これ らの収 束 性 と 精 度 特 性 を検 討 す る. こ こで は, よ り実状 に即 した検 討 と い う意 味 か ら, 剛 体 変 位 除 去 の手 法 で はFEM近 似 に基 づ く場 合 も対 象 と して い る. 以上 の結 果 よ り, 剛体 ばね モ デル に よ る手 法 と剛 体 変 位 除 去 の 手 法 の精 度 を対 比 させ なが ら, 効 率 的 な有 限 ひず み ・有 限 変 位 問題 の 解 析 を行 う ため の 資 料 を提 供 す る. 2. 剛 体 ば ね モ デ ル に よ る 手 法 Bernoulli-Eulerは りの 解 析 を対 象 と し た 剛 体 ば ね モ デル と して は, 次 の2種 類 の 要 素 を用 い る もの に大 別 さ れ る. 1つ は, 図 一1に 示 す よ う に, は り と 同 じ軸 剛 性 EAと 無 限 大 の 曲 げ剛 性 を有 す る トラ ス が ピ ン部分 にお い て集 中 回 転 ば ね 飾 で 結 合 され た も の で あ り2)∼7), い ま1つ は 剛 棒 が集 中 ばね 癒 お よ び集 中 回 転 ば ねKMで 連 結 さ れ た もの で あ る8). 後 者 の モ デ ル に お い て は, 直 角 保 持 の 仮 定 を満 足 す る よ う に, 図-1b)に 示 す 変 形 *正 会員 工博 名古屋 工業大学教授 工 学部社会 開発 工 学科(〒466名 古屋市昭和区御器所町) **正 会員 工修 三菱重工業(株) ***正 会員Ph. D. 名古屋工業大学講師 工学部 社会開発 工学科 ****正 会員Ph. D. 東京大学教授 工学部土木工学科
平面骨組 の有 限ひずみ ・有 限変位理論 の解 に収束 する2種 類 の数値解法 と精 度特性/後 藤 ・吉光 ・小畑 ・西野 後 に お い て, 節 点1, 2を 結 ん だ 線 分 と, 集 中 ば ね 連 結 点 を結 ん だ線 分 と が平 行 に な る条 件 が付 加 され る. 以 下, 便 宜 上, そ れ ぞ れ の モ デ ル を トラス 回転 ば ね モ デ ル, 剛 棒 集 中 ばね モ デ ル と よ ぶ こと に す る. 図-1の モ デ ル よ り, 離 散 化 式 と して 解 析 に 用 い る1, 2節 点 の 物 理 量 の 関 係式 は, 剛体 の つ り合 い と ば ね の 変 形 を考慮 す る こ と で, 容 易 に得 られ る. これ らは, 全体 座 標 方 向 成 分 で 表 わ した 節 点 力(Fy1, Fy2)と(Fz1, Fz2)に 関 す る 自明 の 関 係 を除 き, そ れ ぞ れ の モ デ ル に 対 応 して 次 の よ う にな る. 〈トラス 回 転 ば ね モ デ ル〉
vo2=voi+(sina1+sina2)l/2+{F1(sin2a1+sin2a2)
+Fz1(sina1cosai+sina2cosa2)}l/(2EA)
woe=w01-l+(cosai+cosa2)l/2+{Fy1(sinaicosai
+sina2cosa2)+F21(cos2ai+cos2a2)}l/(2EA)
a2=a1-{M1+(F1icosai-Fz1sinal)l/2}/KM
-{(Fy12-Fz12)sin(2a1)/4
+FyiFzicos(2a1)/2}l/(EAKM)
M2=M1+Fy1(l+wo2-wo1)-Fzi(vo2-vo1)
(1-a-d)
こ こ にKM=EP/1
(1-e)
〈剛 棒 集 中 ばね モ デル 〉vo2=vol+(sinai+sina2)l/2+[Fy1{1-cos(al+a2)}
+Fzisin(al+a2)]/(2KN)
woe=wol-l+(cosai+cosa2)l/2+[F1sin(a1+a2)
+F1{1+cos(al+a2)}]/(2KN)
a2=al-{M1+(Fyicosal-Fzisfinal)l/2}/KM
-{(Fy12-F
z12)sin(ai+a2)/4
+FyiFzicos(al+a2)/2}/(KNKM)
M2=M1+Fy1(l+wo2-w01)-Ff1
(v02-voi)
(2-a-d)
こ こにKN=E4/1, KM=ED/l (2-e, f)
式(1), (2)を 比 較 す る と, モ ー メ ン トに関 す る離 散 化 式 が 一 致 す る以 外 は両 モ デ ル に よ る離 散 化 式 は微 妙 に異 な っ て い る. な お, こ れ らの式 は い ず れ も弾 性 物 理 モ デル よ り厳 密 に誘 導 さ れ て い る の で, 節 点 物 理 量 の増 分 を と る こ と に よ っ て得 られ る接 線 剛 性 行 列 は対 称 と な る. 断 面 力 成 分 につ い て は, 上 記2種 類 の モ デ ル い ず れ も 節 点 力 の 全 体 座 標 方 向 成 分 を 用 い 次 の よ うに 計 算 で き る. Vk Nk cosak-sinak sinakcosak Fyk FZk
(k-1,
2)
(3)
3. 有 限 ひ ず み ・有 限 変 位 問 題 の 解 に 収 束 す る 剛 体 変 位 除 去 の 手 法 著 者 らが 明 らか に し た よう に9),11), 剛体変 位 除去 後 の 局 所 系 の 支配 方 程 式 と して, 微 小 変位 の式 や, は り ・柱 の式 を そ の ま ま 用 い る剛 体 変 位 除 去 の手 法 で は, 表 一1 に示 す よ う な有 限 ひ ず み ・有 限変 位 の 支配 方 程 式 の解 に 収 束 せ ず, 同表 中 の つ り合 い式 に お い て軸 線 の伸 張 変 形 を無 視 した微 小 ひ ず み ・有 限 変位 の 解 に 収 束 す る. 有 限 ひ ず み ・有 限 変位 の解 に収 束 す る に は, 剛体 変位 と して 除去 で き な い変 形 の影 響 を局所 系 の 支配 方程 式 に考 慮 し な け れ ば な ら な い. 具 体 的 に は, 図 一2に 示 す 局 所 移 動 座 標 系 を用 い, 局 所 系 の 方程 式 と して微 小 変位 の式 に相 当 す る最 低 次 の もの で考 え れ ば, 次 の よ うに 少 な くと も モ ー メ ン トの つ り合 い式 に, 軸 方 向 変形 の 影 響 を 考慮 す る こと が必 要 と な る. {M'/(1+w0')}'=0, N'=0 (4-a, b) こ こに(・)'は4(・)/4zを 意 味 す る. 上 記 事 実 は, 著 者 らに よっ て 文 献9)に 提 示 さ れ て い 図-1剛 体 ば ね モ デ ル 要 素 a)ト ラス 回転 ば ねモ デル b)剛 棒 集 中ば ね モデ ル土 木 学 会 論 文集No. 428/1-15, 1991. 4 る. 一 方, 式(4-a, b)の よ う な局 所 系 の 支配 微 分 方 程 式 と して 陽 な表 示 は行 っ て い な い が, 等価 な 定式 化 は, そ れ 以 前 にOran12)に よ っ て も示 さ れ て い る. た だ, Oranは 接 線 剛 性 行 列 の 対 称 化 を 目的 と して お り, 有 限 ひず み ・有 限 変 位 の 解 へ の収 束 に対 して は何 ら言 及 して いな い. しか しな が ら, 有 限 ひ ず み ・有 限 変 位 問題 へ の 収 束 と接 線 剛性 行 列 の 対称 性 は補 遺 に 示 す よ うに 密 接 に 関 係 して い る. Oranの 定 式 化 を要 約 す る と 次 の よ う に な る. ま ず, は り ・柱 の微 分 方程 式 に 基 づ き, 要 素 両 端 の 節 点 モ ー メ ン トと剛 体 回転 除 去 後 の 局所 系 の 節 点 回転 角 の離 散 化 関 係 式 を求 め る. 次 にy方 向 の 節 点 力Fy1, Fy2と 局 所 系 の 節 点 回 転 角 の 関 係 に つ い て は, は り ・柱 の微 分 方程 式 に よ らず, 先 に 求 め た 節 点 モ ー メ ン トと局 所 系 の 節 点 回 転 角 の離 散 化 関係 式 を用 い, 要 素 の軸 方 向変 形 の効 果 を 補正 した 次 の つ り合 い式 に よ っ て求 め る. Ky1=Fy2=(M2-M1)/(l+W02) (5) こ こ にW02に つ い て は, 局 所 系 で, は り ・柱 の 式 を用 い る場 合 はBowingの 効 果 を 次 の よ うに考 慮 す る. ω02=Fzk/EA1=1/2∫z1+1z1(dV0/dz)2dz (6) 微 小 変 位 の 式 を も とに, さ らに式(6)のBowingの 効 果 を 無 視 して, Oranと 同様 の 定 式 化 を 行 え ば, 得 ら れ る局 所 系 の 離 散 化 式 は, 式(4-a, b)を 用 い た 場 合 と 一 致 す る. この こ とか ら, 式(4-a, b)を 用 い る 定 式 化 とOranの 定 式 化 と は, 本 質 的 に は等 価 で あ る とい え る. な お, 式(5)に お い て, w02《lと し てW02を 無 視 す れ ば13),14), 局所 系 の微 小変 位 の 式 あ るい は, は り ・柱 の 式 で 直 接 節 点 力 を評 価 した 場 合 と等 価 に な り, 解 は要 素 分 割 長 無 限 小 で, つ り合 い 式 にお い て 軸 線 の 伸 張 変 形 を無 視 した微 小 ひず み ・有 限 変 位 の 解 に収 束 する9),11). こ こで, 精 度 検 討 の 対 象 とす る有 限 ひず み ・有 限 変 位 の 解 に収 束 す る実 用 的 な 剛 体 変 位 除 去 の 手 法 と して は, 局 所 系 の 式 と して, 最 低 次 の非 線 形 式 で あ る式(4-a, b) を 用 い る 場 合 と, よ り高 次 の は り ・柱 の 式 を 用 い る Oranの 定 式 化 を取 り上 げ る. Oranの 定 式 化 で は 局 所 系 の離 散 化 式 が は り ・柱 の 式 よ り解 析 的 に 導 か れ て い る が, こ こ で は, さ らに 通 常 の3次 一1次の は りの 変 位 関 数 に よ りFEM近 似 を 行 う場 合 に つ い て も検 討 す る. これ は, 剛体 変 位 除去 の手 法 で大 変 位 領 域 ま で精 度 よ く 解 析 す る に は, 部 材 を有 限 要 素 に細 分 割 せ ね ば な らず9), 解 析 解 を用 い ず と も簡 単 なFEM近 似 で 十 分 で あ る可 能 性 が考 え られ る か らで あ る. 以 上, 本 研 究 で取 り上 げ る 剛体 変 位 除去 の手 法 で用 い る局 所 系 の離 散 化 式 を剛 性 方 程 式 の形 式 で表 示 す る と次 の よ う に な る. 〈微 小 変 位 の 式 〉9),11)
M1=4(EI/l)a1+2(EI/l)a2
-M2=2(EI/l)a1+4(EI/l)
a2
Fi1=Fz2=(EI/i)woe
Fy1=Fy2=6(EI/l)(al+a2)/(l+woe)
(7-a-d)
〈は り柱 の 式(解 析 解)〉12)M1=4(EI/l)53a1+2(EI/l)54a2
-M2=2(EI/l)b4a1+4(EI/l)g3a2
FZi=Fz2=(EA/l){woe+l(/31CY12+2/32a1a2+/ala2))
Fy1=Fy2=-(EI/l)(4b3+2b4)(a1+a2)/(l+wo2)
(g-a-d)
こ こ に31={2Fz1(l2/Er)g4+8(23+54)2(54-1)}
/{16Fz1(l2/Er)(2c3+54)}
a2=-{2Fz1(l2/EI)b4-8(23+O4)2(O4-1)}
/{16Fz1(l2/Er)(2c3+c4)}
(g-e,f)
φ3, φ4は 安 定 関 数 でFz1の 正 負 で 次 の よ う に な る. Fz1≦0 φ3=γl(sinγl-γlcosγl)/(4φc) 表-1は りの有限変位理論 と支配方程式 √90=√(1+zo')2+v0'2、(・)'=d(・)/dz 図一2剛 体変位除去 の手法 とはり要素平 面 骨 細 の 右 限 ひず み 有 限 変 付 理 論 の 解 に 収 束 す る2種 類 の 数 値 解 法 と精 度 特 性/後 藤 ・吉 光 ・小 畑 ・西 野
4=rl(rl-sinrl)/(2qc)
c=2-2cosrl-rlsinrl
(8-g-i)
FZ1>0
yb3=rl(rlcoshrl-sinhrl)/(4c5t)
4=rl(sinhrl-TI)/(2br)
qt=2-2coshrl+rlsinhrl
(g-j-1)
r=IF1l/EI
(g-m)
〈は り柱 の 式(FEM近 似)〉M1=4(EI/l)a1+2(EI/l)a2
+(EA/30)(4x1-a2)w02
+(EAl/280)(8x13-a23-3a12a2
+2t7122)x
-M
2=2(EI/l)a2+4(EI/l)a2
-(EA/30)(a1-4x2)w
02
-(EAl/280)(x13-8x23-2a12a2
+3a1a22)
FZl=Fz2=(EA/l){woe+1(2x12-ala2
+2a22)/30)
Fy1=Fy2=-{(6EI/I+EAw02/10)(al+a2)
+(EAl/280)(7a13+7x23
-a
12a2-a1a22)}/(l+woe)
(9-a-d)
式(9-d)でw02を 無 視 す る と文 献13), 14)と 一 致 し, 先 に述 べ た よ う に表-1の 微 小 ひず み ・有 限 変 位 の式 の 解 に収 束 す る. 文 献11)で も示 した よ う に, 局 所 系 方 向 の 節 点 力 の 成 分(Fyk, Fzκ)と 断 面 力 成 分(Vk, Mk)は 区 別 す る必 要 が あ り, 断 面 力 成 分 は次 式 で 評 価 す る こ と にな る. Vk Nk COSa'k-S1IIak SinakCOSak Fyk Fzk(k=1, 2)
(10)
ま た, 固定 座 標 系(y, z)の 変 位 成 分 と局 所 移 動 座 標 系(y, z)の 変位 成 分 の 関係 は, v02-V01 w02-w01+l a2-a1 cosR sinR0 -sinR cosR0 0 0 1 0 w02+l a2-al (11-a) R=α1-α1 (11-b) な お, 上 記 定 式 化 で は 剛体 回 転 除 去 後 の 回 転 角 δ の 評 価 式 と して は す で に 文 献9), 11)で 明 らか に した よ う に最 も単純 で 精 度 の よ い 線 形 の評 価 式 σ0'=δ を使 用 して い る. こ こで 示 した 剛体 変 位 除 去 の 手 法 の 定 式 化 で は, 接 線 剛 性 行 列 は す べ て 対 称 と な るが, 式(7)∼(9)でw02 を無 視 す れ ば, 逆 にす べ て 非 対 称 と な る. 4. 理 論 的 な 精 度 検 討 (1)精 度検 討 手 法 の 概 要 理 論 的 な精 度 検 討 手 法 の 大 略 は文 献9), 11)に 準 ず る. す なわ ち, 剛 体 ばね モ デ ル に よ る手 法, 剛 体 変 位 除 去 の 手 法 に よ って 有 限 要 素1-2に 関 す る離 散 化 式 が, それ ぞ れ 得 ら れ る が, こ れ ら を す べ て, 1節 点 の 物 理 量Qj1 を2節 点 の 物 理 量(勝12へ 伝 達 す る形 式 の 有 限 要 素 長l に関 す る次 の べ き級 数 表 現 へ 変 換 す る. Qj12=Qj-1+Σ∞n=1Qj(n)1(ln/n!) (12) こ こ に, Qj(n)11は1節 点 に お け る 物 理 量Qjのn階 の微 係 数 で, 1節 点 に お け る物 理 量Q1(j=1∼6)で 表 わ さ れ る. 物 理 量Qjと して は, 重 要 な も の と い う こ と で, 全 体 座 標 系 の 並進 変位, 回転 成分 な らび に 断面 力 成分 と す る. す な わ ち f{Qj}={V0, w0, α, y, M, M} (13) 次 に, 厳 密 解 と み な すLagrange表 現 の有 限 ひ ず み ・ 有 限 変 位 の 高 次 非 線 形 支 配 方 程 式 か らTaylorの 展 開 法 に よ り式(12)と 同 じ表 現 の 離 散 化 式 を導 く. そ して, 剛 体 ばね モ デル に よ る手 法, 剛 体 変 位 除 去 の 手 法 の 精 度 は式(12)の べ き級 数 係 数 に 関 し て, Lagrange表 現 の 有 限 ひず み ・有 限 変 位 の 支 配 方 程 式 に よ る もの と, いか に高 次 まで 一 致 す るか に よ っ て統 一 的 に評 価 され る. Lagrange表 現 の 高 次 非 線 形 微 分 方 程 式 か らTaylor 展 開 法 に よ り式(12)を 導 く過 程 は 文 献9)で す で に説 明 して い るの で こ こ で は, 剛 体 ば ね モ デ ル に よ る手 法, 剛 体 変 位 除 去 の手 法 に よ る離 散 化 式 か ら, 式(12)の 形 へ 変 換 す る方 法 を以 下 に示 す. (2)伝 達 形 離 散 化 式 の 誘 導 a)剛 体 ば ね モ デ ル ま ず, トラ ス 回転 ば ね モ デ ル に 対 応 す る式(1-a∼d) の変 換 に つ い て 説 明 す る. 回 転 角 αに 関 す る離 散 化 式 (1-c)は 式(12)の 形 の 離 散 化 式 に な っ て い るの で, こ の式 につ い て は, 変 換 す る必 要 はな い. 並 進 変 位vo, ω0に 関 す る離 散 化 式, 式(1-a, b)は 右 辺 に α2を含 ん で い る の で, 式(12)の 形 に す る に は, この α2に式(1-c) を代 入 し, lに つ い て べ き級 数 展 開 す る. さ ら にモ ー メ ン ト-Mの 展 開 式 は 式(12)の 形 に 変 換 され たv02, v02 を式(1-d)の 右 辺 に代 入 す る こ と で得 る こ と が で き る. 次 に, 剛 棒 集 中 ば ね モ デ ル につ い て述 べ る. こ の モ デ ル に つ い て は, 式(2-c)か らわ か る よ うに, 回 転 角 に 関 す る離 散 化 式 に は右 辺 に α2が含 ま れ て い るの で, ま ず この 式 を 変 換 す る必 要 が あ る. こ れ に は式(2℃)の土 木 学 会 論 文 集No. 428/1-15, 1991. 4 α2をlの 関 数 と 考 え, 両 辺 をlで 順 次 微 分 し, α(1)2, α(2)2, α(3)2…を 計 算 しl→0と し て, l=0で の 各 微 係 数 を 求 め る. これ よ り, α2は式(12)の 形 に 展 開 で き る. 後 は トラ ス回 転 ば ね モ デ ル と同 様 の 手 順 で, 並 進 変 位 η0, ω0, モ ー メ ン トMの 順 に, 式(12)の 形 の 離 散 化 式 へ展 開 で き る. 断 面 力成 分 に つ い て は, 両 モ デ ル と も式(3)と(Fy, Fz)成 分 に 関 す る1-2節 点 間 の 自 明 の 関係 を用 い, さ ら に, す で に 得 たsinα2, cosα2の 展 開 式 を代 入 す る こ と に よ っ て, べ き級 数 展 開式 が得 られ る. な お, これ らの 展 開 式 に含 ま れ る(Fy1, Pz1)は 式(3)の 逆 変 換 を用 い る こと に よ りす べ て(V1, MV1)の 成 分 へ 展 開 で き る. 以 上, 剛体 ば ね モ デ ル に よ り得 られ た 各物 理 量 の べ き 級 数 係 数Qj(n)1、をLagrange表 現 の 厳 密 な 支 配 微 分 方 程 式 か ら得 られ た もの と, さ らに後 で 誘 導 す る 剛体 変位 除 去 の 手 法 に よ る も の と比 較 す る形 で 表 一2に 示 す. 表-2で は, 簡 単 の た め並 進 変 位 の一 方 の成 分v0, 回転 成分 α, 軸 力 成 分Nと 曲 げ モ ー メ ン トMに つ い て 示 し, 残 りの 並 進 変 位 成 分 ω0とせ ん 断 力 成 分yに つ い て は, 一 致 性 状 が そ れ ぞ れv0, MVと 同様 で あ る の で 省 略 し て い る. b)剛 体 変 位 除 去 の 手 法 局 所 系 の 式 と して, 微 小 変 位 相 当 の式, 式(7-a∼d) を用 い た場 合 の式(12)の 形 へ の 展 開 は す で に 文 献11) に説 明 して い るの で, こ こで は, は り ・柱 相 当 の 式 の 解 析 解 で あ る式(8-a∼d)お よ びFEM近 似 解 で あ る 式 (9-a∼d)を 用 い た 場 合 の 展 開 に つ い て 述 べ る. 上 記 の よ う に微 小 変 位 相 当, は り ・柱 相 当 とい う表 現 を用 い て い るが, これ は, 式(7-d), (8-d), (9-d)に お い て, 節 点 力 成 分Fyを 微 小 変 位 の式 や は り ・柱 の 式 か ら直 接 計 算 す るの で はな く, 式(5)に よ って 要 素 の 軸 方 向 変 形 の 効 果 を補 正 す る こ と に よ り計 算 す る ため で あ る. こ の 表 現 は以 後 にお いて も用 い る. ま ず, lの 関 数 と な る局 所 系 の 変 位 量 δ1, δ12, w02に つ い て1に 関 す るべ き級 数 展 開 を行 う た め に, べ き 級 数 係 数 と な るl=0で の 微 係 数 を計 算 す る. こ の と き, 函 は, 節 点1で の 値 で は あ る もの の7=lで σ2=0な る 拘 束 条 件 に よ り規 定 さ れ る の で1の 関 数 に な る. し たが っ て, 微 係 数 の 計 算 で は, 初 期 値 に対 応 す るM1, Fy1, Fz1 を定 数, 他 の 物 理 量α1, δ12, W02をlの 関 数 と考 え て式 (8-a∼d), また は式(9-a∼d)中 の両 辺 を低 次 か ら高 次 へlで 順 次 微 分 す る こ と に よ り求 め る. この よ う に し て 求 め た微 係 数 のl=0で の 値 をl→0, δll→0, α2→0の 条 件 よ り計 算 し, 局 所 系 の 各 物 理 量l3項 まで の 展 開 を 示 す と解 析 解, FEM近 似 の差 に よ らず, 次 の よ う に全 く同 一 の 表現 に な る. (14-a∼c) こ こ に
a=EA, b=EI (14-e, f)
以 上 の 局 所 系 の 展 開 式 を も と に, 式(13)の 成 分 に 関 す る 展 開 式 を 求 め る. 変 位 成 分 に つ い て は 式(11)の 関 係 が, ま た 断 面 力 成 分 に つ い て は 式(5)お よ び 式(10) か ら 得 ら れ る 次 の 式 が 基 本 と な る. M2=M1+(l+w02)Py1 (15) V2 N2
cos(ai-a2)
sin(al-a2)
-sin(al-a2)
cos (al-a2)
Vi N1
(16)
これ らの 式 に式(14)を 代 入 し, lに つ い て 展 開 す る が, こ の と き 式(12)の 形 と な る に は式(14)に 含 ま れ る Fy1, Fz1をV1, M1に 変 換 す る こ と が 必 要 で あ る. こ の 変 換 は, 式(14-a, b)と 式(10)の 逆 変 換 と を交 互 に 繰 り返 し用 い る こ と で, lに 関 す る よ り高 次 の 展 開式 と して 求 め る こ と が で き る. 上 記 の よ うに し てl3ま で の 展 開 式 と して 求 め ら れ たFy1, Fz1のV1, M1へ の 変 換 式, お よ び こ の 手 続 き の 中 で 得 ら れ るsinα1, cosδ1の 展 開 式 を以 下 に示 す. +0(14)+0(14)
(17-a, b)
(18-a, b)
この よ うに して 幾 分 複 雑 な手 続 き を経 て得 られ た各 物平 面 骨 組 の 有 限 ひず み ・有 限 変 位 理 論 の 解 に収 束 す る2種 類 の数 値 解 法 と精 度 特 性/後 藤 ・吉 光 ・小 畑 一・西 野 理 量 の展 開式 の3次 ま で の べ き級 数係 数 を厳 密 解 な らび に 剛体 ば ね モ デ ル と 比較 す る形 で 表 一2に 示 す. (3)理 論 的 な 精 度 特性 剛 体 ば ね モ デ ル に よ る手 法, あ る い は 剛 体 変 位 除 去 の 手 法 で 計 算 され る式(13)に 示 す 物 理 量 の 精 度 特性 は, (1)で 述 べ た よ う に, 各 物 理 量 に 関 す る式(12)の べ き級 数 係 数, す な わ ち, 微 係 数 が, 厳 密 解 と比 較 して, い か に高 次 項 まで 一 致 す るか で 知 る こ とが で き る. 表-2に は各 種 解 析 法 に よ って 得 られ た物 理 量 の 微 係 数 を具 体 的 に示 して い るが, 表 一3に は, これ に 基 づ き厳 密 解 に よ る も の と一 致 す る最 高 次 の微 係 数 の 次数 を と りま と め て い る. さ らに, 通 常 の 骨組 で は, 中心 軸 線 の伸 張 変 形 が微 小 で あ る こと を考 慮 し, そ の極 端 な場 合 と して, 表-3の()内 に は, 中心 軸 線 が 不 伸 張 で あ る場 合 の 一 致 状 況 も示 して い る. な お, この 場 合 の物 理 量 の微 係 数 は す で に得 た中 心 軸 線 伸 張 の 場 合 の 表-2に 示 す微 係 数 か ら, EA→ ∞ あ る い は√g0=1と す る こ と に よ っ て 誘 導 で き る. 表 一2各 解析手法に よる物理量の微係数 a) v0の 微 係数 b) αの微係 数 c) Nの微係数 d) Mの微係数
土 木 学 会 論 文集No. 428/1-15, 1991. 4 こ の表 一3よ り検 討 す る と, 中 心 軸 線 の 伸 張 変 形 が無 視 で き な い一 般 の 場 合 に は, 剛 体 ばね モ デル, 剛 体 変 位 除去 の 手 法 に か か わ ら ず, い ず れ も微 係 数 はLagrange 表 現 の有 限 ひ ず み,有 限 変 位 の支 配 方 程 式 に基 づ く厳 密 解 と, 2次 の 項 ま で 一 致 す る. し た が っ て, 表-3中 の ど の手 法 も要 素 分 割 長 無 限小 で有 限 ひ ず み,有 限 変 位 の 厳 密 解 に 収 束 す る と と も に, 厳 密 解 に 対 し て 簡 易 Runge-Kutta法 レベ ル の2次 の 近 似 解 と な る こ と が わ か る. 一 方, 中心 軸 線 の伸 張 変 形 が無 視 で き る場 合 に は, 剛 体 ば ね モ デ ル, 局 所 系 に微 小 変 位 相 当 の式 を用 い た 剛体 変位 除去 の手 法 で は軸 線 の伸 張 を無 視 した厳 密 解 に対 し て2次 の近 似 解 の ま ま で あ る が, は り,柱 相 当 の式 を用 い た 剛 体 変 位 除 去 の 手 法 は, 解析 解, FEM近 似 に よ ら ず, Runge-Kutta法 レベ ル の4次 の近 似 解 と な り, 他 の 数 値 解析 法 に 比 べ か な り高精 度 と な る. この よ うな軸 線 の 伸 張 が 微 小 で 無 視 で き る と き に は, 式(5)で 拓。2を 無 視 す るい わ ゆ る微 小 ひ ず み, 有 限 変位 の解 に収 束 す る 剛 体 変 位 除 去 の手 法9),11),13),14)でも扱う こ とが で き る. しか しな が ら, こ の 場 合, 文 献11)で 示 した よ うに, 局 所 系 の 支 配 方程 式 と してBowingを 考 慮 した は り,柱 の 式 を用 い て も 表 一3に 示 す 物 理 量(V, N), M, (v0, ω0), α の微 係 数 は, 厳 密 解 と そ れ ぞ れ, 3次, 2次, 4次, 3次 ま で しか 一 致 しな い. す な わ ち, 本 論 文 で 示 し た よ うに, 局 所 系 で の モ ー メ ン トのつ り合 い に要 素 の 軸 方 向 変 形w02を 考 慮 した 正 確 な定 式 化 を行 う と, 有 限 ひ ず み,有 限 変位 の解 に収 束 す る と と も に, 軸 線 不 伸 張 の場 合 の精 度 も大 幅 に 向上 す る こ と が わ か る. 次 に, 変 位 が微 小 な場 合, い わ ゆ る微 小 変 位 問題 に お ける精 度 を検 討 して み る. こ の場 合 の, 各 解 析 手 法 に よ り計 算 され る物 理 量 の微 係 数 は, 表-2に 示 す 有 限 ひ ず み,有 限 変位 の微 係 数 に対 して非 線 形 項 を無 視 す る こ と に よっ て 得 る こと が で き る. この よ うに して得 られ た各 物理 量 の微 係 数 の厳 密 解 と の 一致 性 状 を表 一4に 示 す. さ ら に, この 表 中 〈 〉 に は, 各 物 理 量 の 厳 密 解 のlに 関 す る 次 数 を示 して お り, この 数値 と各 数 値 解 析 法 に よ る厳 密 解 と の一 致 次数 が 同一 の場 合, 厳 密 解 と数 値 解 が 完 全 に一 致 す る こ と を意 味 して い る. 表-4よ り当 然 の こ とで はあ る が, 微 小 変位 の式, は り,柱 の式 を局 所 系 の 式 と して 用 い る 剛体 変 位 除去 の手 法 は厳 密 解 と一 致 す る. 一方, 剛 体 ばね モ デ ル で は, y方 向 変 位 以 外 の物 理 量 は厳 密 解 と一 致 す る がy方 向 変 位 につ い て は, 2次 ま で しか 一致 しな い. この こと は, 剛体 ば ね モ デ ル の 各 変 位 成 分 の 自由 度 が3で, これ を表 す 関 数 は, 高 々2次 関 数 で あ る こ とか ら理 解 で き よ う. この よ うな 結 果 を も とに, 骨 組 の 有 限 ひ ず み,有 限 変 位 問 題 の 実 用 的 な 数 値 解析 法 の精 度特 性 に つ い て考 察 す る. 本 論 文 で 検 討 対 象 と した 剛体 ば ね モ デ ル に よる手 法 な らび に剛 体 変 位 除去 の手 法 は, 厳 密 解 に対 して い ず れ も2次 の 近 似 解 とな り, 理 論 的 な 精 度 は同 レベ ル で あ る. しか しな が ら, 実 際 の 骨 組 の 特 性 を考 慮 した, 中 心 軸線 不 伸 張 の 条件 下, お よび微 小 変位 の 条件 下 の精 度 を総 合 して み る と剛体 変 位 除 去 の 手 法 にお い て, 局 所 系 の式 に, は り,柱 相 当 の 式 を用 い る場 合 の精 度 が 最 も優 れ て い る とい う こ とが で き る. この議 論 は, 軸線 不 伸 張 の条 件 下 にお いて は, 微 小 ひず み,有 限 変位 の 解 に 収 束 す る 剛体 変 位 除 去 の手 法 も含 め て 成 り立 つ. 一 方, 2種 類 の 剛体 ばね モ デ ル は, 表-2よ りい ず れ の 条 件 下 に お い て も厳 密 解 に対 して 常 に2次 の 近 似 解 とな る. す な わ ち, そ の 精 度 は, 局 所 系 に は り,柱 相 当 の 式 を用 い た 剛体 変 位 除 去 の 手 法 と比 較 して, 明 らか に 劣 るが, 局 所 系 に微 小 変 位 相 当 の 式 を用 い る場 合 と は ほ ぼ等 価 で あ る'とい え る. こ こ での 検 討 は, 剛 体 変 位 除 去 の ため の 局 所 座 標 系 と し て一 般 的 な, 変 位 系 の 要 素 節 点1, 2方 向 にz軸 を選 ぶ 場 合 を対 象 と したが, 節 点1で の変 形 後 の 中 立 軸 接 線 方 法 にz軸 を 選 ぶ 場 合, 文 献9)∼11)で 明 らか に した よ う に, 剛 体 変 位 除 去 の 手 法 の 精 度 は低 下 す る. 特 に, こ の場 合, 局 所 系 の式 と して, 微 小 変 位 相 当 の 式 を用 い る と, 軸 線 の 不 伸 張 の 条 件 下 に お い て もEuler法 レベ ル の1次 の 近 似 解 に しか な らず, この よ う な剛 体 変 位 除 去 の手 法 の精 度 は, 剛 体 ばね モ デ ル に よ る手 法 よ り も低 下 し, 厳 密 解 に 対 して 十分 な収 束 が得 られ な い場 合 も あ り 得 る. 5. 数 値 解 析 に よ る 精 度 検 証 こ こで は, 剛体 ば ね モ デ ル に よ る手 法 と 剛体 変 位 除 去 の 手 法 に つ い て, 4-で 明 ら か に した理 論 的 な精 度 特 性 を数値 的 に検 証 し, そ の定 量 的 な把 握 を行 う こ と を 目的 とす る. 精 度 比 較 の 基 準 と な る厳 密 解 に は, 著 者 が 文 献15), 16)で は りの有 限 ひ ず み,有 限変 位 の式 か ら誘 導 した, 楕 円積 分 表 現 の 閉 じた解 を用 い る. ま た, 解 析 対 象 とす る構 造物 と して は, 幾 何 学 的非 線 形 性 に部 材 軸 力 が大 き な影 響 を与 え る こ と を考 慮 して, 図-3に 示 す 圧 縮 軸 力 な らび に 引張 軸 力 が卓 越 す る2種 類 の簡 単 な構 造 物 を選 ぶ. 図-3(a)の 片 持 は りで は, 一 定 の微 小 端 部 モ ー 表-3厳 密解 と一致 する最高 次の物理量 の微係数 (): 軸線不伸張の土胎
平面骨組の有 限ひずみ ・有 限変位理論 の解 に収束 する2種 類 の数値解法 と精 度特性/後 藤 ・吉光 ・小畑 ・西 野 メ ン ト作 用 下 で, 軸 圧 縮 力 を増 加 させ た と き の, ま た 図 -3(b)に 示 す 両 端 ピ ン 固定 の は りで は, ス パ ン中 央 に作 用 す る鉛 直荷 重 を増 加 さ せ た と き の そ れ ぞ れ の非 線 形 挙 動 を 解 析 す る. 解 析 す る 構 造 の 諸 元 と し て は l/√I/Aで 表 わ され る細 長 比 に関 して10, 100の2種 類 の も の を考 慮 す る. 以 上 の構 造 の非 線 形 挙 動 を解 析 した結 果 と して, 有 限 ひ ず み の 影 響 が よ り大 き い と考 え られ る 細 長 比10の 場 合 に つ い て, 要 素 分 割 数 と近 似 解 法 の厳 密 解 へ の収 束 状 況 を図 一4に 示 す. 図中 に は 当該 荷重 で の 構 造 の変 形 状 態 な らび に比 較 の た め, 微 小 ひ ず み ・有 限変 位 の式 の解 析 解15),16)の値 も記 入 して い る. 収 束 状 況 を検 討 し た載 荷荷 重 レベ ル と して は, 構 造 の変 形 状 態 か らわ か る よ う に, 幾何 学 的非 線 形 性 が大 き く現 わ れ る場 合 を選 ん で い る. な お, 細 長 比100の 場 合 は 図示 して い な い が, 近 似 解 法 の 収束 状 況 は, 細 長 比10の 場 合 と ほ ぼ 同様 で あ る. 図 一4よ り, まず, 微 小 ひ ず み ・有 限 変 位 の 解 と の対 比 か らわ か る よ うに, 理 論 検 討 ど お りい ず れ の近 似 手 法 の 解 も有 限 ひ ず み ・有 限変 位 の解 に収 束 ずる. さ らに, 精 度 の観 点 か らみ る と, 局 所 系 の離 散 化 式 に は り ・柱 相 当 の式 の解 析 解 を用 い る 剛体 変 位 除去 の手 法 の精 度 が 最 も優 れ, つ い で, は り ・柱 相 当 の 式 のFEM 近似 解 を 用 い た場 合 の精 度 が よ い. 特 に, 局 所 系 で は り ・ 柱相 当 の式 の 解析 解 を用 い る と, 部 材 を3要 素 程 度 に分 割 す る だ けで い ず れ も厳 密 解 へ収 束 して い る. 一 方, 局 所 系 に微 小 変 位 相 当 の 式 を 用 い る 剛 体 変 位 除 去 の 手 法 と, 2種 類 の 剛 体 ば ね に よ る手 法 の 精 度 は ほ ぼ 同等 で あ るが, 局 所 系 に は り ・柱 相 当 の式 を 用 い た 剛体 変 位 除去 の 手 法 の 精 度 に 比 べ る と劣 り, 厳 密解 に収 束 す る に は, 部 材 を10要 素 に は分 割 せ ね ば な らな い. 以 上 の よ うに, 数値 計算 例 で は 各近 似 手 法 に よ り, 厳 密 解 へ の 収 束 性 は異 な る. この 精 度 特 性 の根 拠 は表 一3 の 中 心軸 線 の伸 縮 を 考慮 す る一 般 的 な場 合 の べ き級 数 係 数 の 厳 密 解 へ の 一 致 性 状 か ら は明 瞭 で は な い が, 中 心軸 線 の伸 張 が 小 さ く曲 げ変 形 が 卓 越 す るは り特 有 の 変 形性 状 を考 慮 す る と明 らか に な る. す な わ ち, 数 値 計 算 で の 精 度 特 性 は上 記 変 形 特 性 の 極 端 な場 合 で あ る軸 線 不 伸 張 の棒 材 に対 す る表-3に 示 す精 度 特 性 と ほ ぼ一 致 して い る. 6. ま と め 平 面 骨組 の有 限 変位 解 析 で は, 棒 理 論 の枠 内 で正 確 に 定 式 化 され た有 限 ひ ず み ・有 限 変位 理 論 を用 い る の が厳 密 で あ る が, そ の 支配 方 程 式 は 高 次 非線 形 と な り, この 式 か ら, 直接 何 らか の 数学 的手 法 で 汎 用 的 な 変位 法 と し て離 散化 す る の は 非 常 に 繁 雑 で 実 用 的 で な い. した が っ て, 何 らか の 物理 的 な 近 似 に よ り解析 す る の が よ り現 実 的 で あ る. こ こで は, 物 理 的 な 近似 手 法 と して, 剛体 ば ね モ デ ル に よ る手 法 と剛 体 変位 除 去 の手 法 を 取 り上 げ, ま ず, ど の よ うな定 式 化 を行 え ば, 有 限 ひ ず み ・有 限変 位 問題 を扱 え る か を 言及 した. 次 に, これ らの精 度 特 性 を理 論 な らび に, 数値 計 算 の 両 面 か ら明 らか に し, 効 率 的 な有 限 ひ ず み ・有 限 変位 解 析 を行 うた め の 資料 を提 示 した. 得 られ た主 な結 果 を 以下 に ま と め る. (1)剛 体 ば ね モ デ ル に よる手 法 で は, ば ね に対 して は既 存 の値 を用 い, トラス あ る い は 剛体 の運 動 を正 確 に 評 価 す れ ば, 有 限 ひ ず み ・有 限 変位 問題 を扱 い得 る. (2)剛 体 変位 除 去 の手 法 で は, 剛体 運 動 を正 確 に 評 価 し, 要 素 の軸 方 向 変形 の影 響 を モ ー メ ン トに 関 す る つ り合 い に考 慮 す れ ば有 限 ひ ず み ・有 限 変位 問題 を扱 え, 接 線 剛性 行 列 も対 称 と な る. 一 方, この影 響 を無 視 す れ ば, 微 小 ひ ず み ・有 限変 位 問題 の解 と な り, 接 線 剛 性 行 列 は非 対 称 と な る. (3)棒 材 の 中心 軸 軸 線 の変 形 が大 き い場 合, 剛 体 ば ね モ デ ル に よ る手 法 な らび に, こ こ で扱 っ た実 用 的 な剛 体 変 位 除 去 の手 法 の範 囲 で は, い ず れ も, 有 限 ひ ず み ・ 有 限 変 位 問 題 の 解 に 対 し, 簡 易Runge-Kutta法 レベ ル の2次 の近 似 解 と な り, 理 論 的 な精 度 に差 は な い. (4)現 実 の 骨組 で は, 部 材 の 中心 軸 線 の 変形 は小 さ く, ま た変 位 も そ れ ほ ど大 き くな い と考 え られ る が, こ の よ う一な条 件 下 で は, 剛 体 変 位 除去 の手 法 の精 度 は か な り向上 す る. す な わ ち 中心 軸 線 の変 形 が十 分 無 視 で き る と き, 局 所 系 に, は り ・柱 相 当 の式 を用 い る剛 体 変 位 除 去 の 手 法 で は, 解 析 解, FEM近 似 に よ ら ずRunge-Kutta法 レベ ル の4次 の 近 似 解 と な る. ま た, 変 位 が 微 小 な場 合, 剛 体 変 位 除 去 の手 法 は いず れ も厳 密 解 を与 え る. な お, 中 心 軸 線 不 伸 張 の 場 合 は, 微 小 ひず み ・有 限 変 位 の 解 に収 束 す る剛 体 変 位 除 去 の 手 法 に よ って も解析 で き るが, 本 文 で 示 した よ う な有 限 ひず み ・有 限 変 位 問 表-4微 小変位下の物理量の微係数の一致性状 〈 〉: 厳密解の 珍に関する次数 図一3解 析対象 (a) 片 持 は り (b) 両 端 ピ ン固 定 の は り
十 木 単 癸 論 立 隻No. 428/T-15. 1991. 4 題 を扱 い 得 る よ り正 確 な定 式 化 を行 っ た 方 が精 度 は 向上 す る. (5)剛 体 ば ね モ デ ル に よ る手 法 は, 現実 の 骨組 を考 慮 し た条 件 下 に お い て も2次 の近 似 解 の ま ま で あ り, 局 所 系 に は り ・柱 相 当 の式 を用 い る 剛体 変位 除去 の手 法 に 比 べ る と精 度 は か な り劣 る. しか しな が ら, 局 所 系 の式 に微 小 変 位 相 当 の式 を用 い る 場 合 と は, 変位 が 小 さい と き を除 き ほぼ 同 程 度 の 精 度 は 有 して い る. 補 遺(接 線 剛 性 行 列 の 対 称 性 と有 限 ひず み ・有 限 変 位 問 題 へ の 収 束) は りの 有 限 ひ ず み ・有 限変 位 理 論1}で は, は りの仮 定 以 外 近 似 が 導 入 さ れ て い な い た め, 表 一1a)に 示 す Lagrange表 現 の 支 配 微 分 方 程 式 を与 え るポ テ ン シ ャル エ ネ ルギ ー関 数 が 存 在 す る. し たが って, 剛体 変 位 除 去 の 手 法 が 要 素 分 割 長 無 限 小 で 有 限 ひず み ・有 限 変 位 の 解 に収 束 す る場 合, そ の 接 線 剛 性 行 列 が 対 称 とな る可 能 性 は 理 解 で き よ う. 事 実, Ai17)ら に よっ て, 剛 体 変 位 除 去 の手 法 で式(7-a, b)を 用 い た 場 合 の ポ テ ン シ ャル エ ネ ル ギ ーの 収 束 性 が 確 認 され て い る. 一 方, 表 一1b)に 示 す 微 小 ひ ず み ・有 限 変 位 理 論 の 場 合, 変 位 場 は厳 密 で あ るの に対 し, つ り合 い 式 で は軸 線 の 伸 張 が 無 視 され て い る ため, 変 位 場 とつ り合 い式 と の統 一 が とれ ず, ポ テ ン シ ャル エ ネル ギ ー 関 数 が 存 在 し な い. つ ま り, 微 小 ひず み ・有 限 変 位 の 支 配 方 程 式 か ら 得 られ る接 線 剛 性 行 列 は非 対 称 とな り, 当 然 なが ら, こ れ に収 束 す る剛 体 変 位 除 去 の 手 法(式(5)に お いて, w02を 無 視 す る手 法)の 接 線 剛性 行 列 も対 称 と な らな い. 上 記 の 場 合 ポ テ ン シ ャル エ ネ ル ギ ー 関数 を存 在 させ る た め に は, 軸 線 の不 伸 張 性 を 変位 場 に お い て も考 慮 す れ ば 良 い が, この 場 合 は もは や微 小 ひ ず み ・有 限 変 位 理 論 で はな く軸線 不伸 張 の 理論 と な る. 図-4収 束性 の数値 的検討 a)片 持 は り a)微 小変位 相当 b)は り ・柱 相当(解 析解) c)は り ・柱相当(FEM) 剛体変位除去 d)ト ラスばねモ デル e)剛 棒 集中ばね モデル 剛体ば ねモデル b)両 端 ピンのは り a)微 小変位 相当 b)は り ・柱 の式相 当(解 析解) c)は り ・柱 の式相 当(FEM) 剛体変位 除去 d)ト ラスば ねモデ ル e)剛 棒集 中ばねモデ ル 剛体ばねモデル 参 考 文 献 1) 西 野 文 雄 ・倉 方 慶 夫 ・後 藤 芳 顯: 一 軸 曲 げ と 軸 力 を受 け る棒 の 有 限 変 位 理 論, 土 木 学 会 論 文 報 告 集, 第237号, PP. 11∼26, 1975年5月.
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平 面 骨 組 の 有 限 ひず み ・有 限 変 位 理論 の 解 に 収 束 す る2種 類 の 数 値 解 法 と 精 度 特 性/後 藤 ・吉 光 ・小 畑 ・西 野 る ア ー チ の面 内 座 屈 解 析, 構 造 工 学 論 文 集, Vol. 33A, 1987年3月. 9) 後 藤 芳 顯 ・長 谷 川 彰 夫 ・西 野 文 雄: 平 面 骨 組 の有 限 変 位 解 析 の 精 度 に 関 す る 一 考 察, 土 木 学 会 論 文 報 告 集, 第 331号, pp. 33∼44, 1983年3月. 10) 後 藤 芳 顯 ・山 下 時 治 ・春 日井 俊 博 ・松 浦 聖: 平 面 棒 材 の 有 限 変 位 解 析 の精 度 に 関 す る数 値 的 検 証, 構 造 工 学 論 文 集, Vol. 33A, pp. 15∼26, 1987年3月. 11) 後 藤 芳 顯 ・春 日井 俊 博 ・西 野 文 雄: 局 所 移 動 座 標 の 選 択 が 平 面 骨 組 の 有 限変 位 解 析 の 精 度 に 及 ぼす 影 響, 土 木 学 会 論 文 集, 第386号, pp. 311∼320, 1987年10月.
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(1980. 4-24・ 受 付)