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第16回日本助産学会学術集会集録ワークショップ (その4)

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Academic year: 2021

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ワー ク ショ ップ 〈助産 研 究 に活 用 す る生理 的 反応 〉 ワー ク シ ョップ 〈助 産 研 究 に活 用 す る生理 的反 応 〉

助産研究 に活用する生理 的反応

フ ァ シ リテ ー タ ー 助産婦 「石村」 江 藤 宏 美 わ た した ち は 、 日常 的 に 、 体 温 、脈 拍数、 血圧 、 体 重 、 あ る い は胎 児 心 拍 数 、 な どを測 定 し、 それ らの 示 す 数 値 を も とに アセ ス メ ン トを行 い 、 対 象 者 へ の ケ ア を提 供 して い ます 。 つ ま り、妊 産褥婦 あ るい は新 生 児 を対 象 と して、 生理 的 な反 応 を と らえ るた め に 、先 に挙 げ た(生 物 学 的 な) 評価 指 標 を 日々用 い て い る わ け です 。 今 回 は 、 お 二 人 の 話 題 提 供者 の 方 々 か らの 具 体 的 な研 究 を通 して 、 対 象 の 示 す 生 理的 反 応 に 焦 点 を あて て 助 産 実 践 を支 え る助 産 研 究 の具 体 的 手 法 、 そ して助 産 研 究 と助 産 実 践 の橋 渡 しにつ い て 考 え て い き た い と思 い ます 。 助 産 の領 域 で 、臨 床 的 に観 察 され る生 理的 な反応 とは どの よ うな も の が あ る で し ょ うか。ま ず 、 「生理 的 反 応 とは?」 に つ い て確 認 したい と思 い ます 。 そ して 、 そ の 生理 的 反 応 を 明 らか にす る た め に 、 どの よ うな もの さ し(評 価 指標)を 用 い て 表 した ら よい か 、 あ る い は何 を使 っ て は か っ た ら よい か(研 究 手 法)な どにつ い て考 えた い と思 い ま す。 また 、生 物 行 動 学 的 な現 象 で あ る 、生理 的 反 応 を と らえ る研 究 を 進 め るに あ た っ て 配 慮 す る点 、 特 に 、対 象 が ひ とで あ るた め に必 要 な倫 理 的 な配 慮 は どの よ うな行 っ た らい い で し ょ うか。 そ して 、研 究 か ら得 られ た お い しい と ころ をみ ん な で シ ェア す るた め には 、 どの よ うな 視 点 が 必 要 で し ょ うか。 み な さん が 「これ は ど う した らい い か。 」 と 日頃感 じて い る こ とを も ち よ って 、 あ るい は 参加 者 同士 の交 流 の 中 で 、効 果的 な助 産 ケ ア を提 供す る に あた って 「証 拠 」 とな る よ うな 生理 的反 応 と、そ れ を明 らか にす る方 法 を考 えて い き ま し ょ う。 この ワー クシ ョップ が 、 実 践 と研 究 を リン クす る よ うな場 とな り、耳 寄 りな情 報 が 得 られ る よ うに で きれ ば と考 え て い ます 。 日本 助産 学 会誌 第15巻 第3号(2002.3) 103

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ワー ク シ ョ ップ 〈助産 研 究 に活用 す る生理 的反 応 〉 ワ ー ク シ ョップ 〈助 産 研 究 に活 用 す る生理 的反 応 〉

助 産 実 践 の 基 盤 とな る 知 識 体 系 の

確 立 を め ざ して

―母乳育児支援における吸畷生理解明の意義 ―

話題提供者 岡山県立大学保健福祉学部看護学科 松 原 ま なみ Iな ぜ 、 「吸 畷 生 理 学 」 が 必 要 な の か 助 産 婦 は さ ま ざ まな 臨 床 領 域 で 判 断 す る際 、個 人 個 人 が あ る 判 断 基 準 を も っ て い る。 そ の 判 断 が 適 切 な もの で あ る と い え る た め に は、 判 断 基 準 を 明確 に示 す こ とが 重 要 で あ る。 筆 者 は助 産 領 域 の 中 で 自分 の ライ フ ワ ー ク と思 っ て 取 り組 ん で い るの は母 乳 育 児 支 援 で あ る。 乳 房 ケ ア技 術 を学 ぶ 中 で 出 会 った 達 人 助 産 婦 た ち は す ば ら しい 観 察 眼 と ケ ア 技 術 を 持 ち、 ク ラ イ ア ン トの持 つ 健 康 問 題 にぴ た り と照 準 を合 わ せ た ケ ア を提 供 して い る 。 反 面 、 卓 越 した 技 能 を も っ先 入 た ち が 、 臨 床 で お こる 現 象 を的 確 に 見 極 め 、 優 れ た ケ ア技 術 を適 用 して い る に もか か わ らず 、根 拠 や 判 断 基 準 が 明確 に記 載 さ れ な いた め に そ の 有 効 性 が 評 価 さ れ な い現 状 も存 在 す る。 そ の 基 準 が 熟 練 した 臨 床 家 に共 通 す る も の で あ る と き 、そ こ に は 、必 ず 、 生体 が 示 す 現 象 に ひ そ む 原 理 が 潜 ん で い る はず で あ る 。 そ の原 理 は何 か?達 人 た ち は 判 断 を行 う 際 、 どの よ うな 生体 の 反 応 を と らえ て い る の だ ろ うか?そ の 原 理 を明 らか に す る こ とが 助 産 診 断 学 の 基 礎 と な る 知 識 体 系 とな る に 違 いな い 。 筆 者 が 現 在 取 り組 ん で い る研 究 テ ー マ は 、乳 児 の 吸畷 メ カ ニ ズ ム の解 明 で あ る 。 母 乳 確 立 に 影 響 す る要 因 で あ る に も関 わ らず 、 「吸 畷 良 好 」 「吸 畷 不 良 」 と い っ た 吸 畷 機 能 の 判 断 は 主観 に依 存 して い る 。 吸 畷 の 良 否 、 上 手 、 下 手 は 何 を基 準 に 判 断 され る の だ ろ うか?有 効 な 吸畷 に は どん な 特 徴 が あ るの だ ろ うか?こ う した 問 題 意 識 が 、 筆 者 を 吸 畷 生 理 研 究 へ と向 か わ せ た 。 II吸 畷 機 能研 究 の歴 史 乳 児 が 吸 畷 に よ っ て乳 汁 を獲 得 す る プ ロセ ス は 、 乳 首 の圧 搾 によ る と広 く信 じ られ て いた が 、そ こ に 、陰 圧 に よ る 吸 引機 構 が 関 与 して い る こ と を客 観 的 に 証 明 し た の はGunther(1945) で あ る。ArdranはX線 解 析 と吸 畷 圧 の 計 測 を併 用 し、 舌 に よ る 「圧 搾 」 と 「吸 引 」 の2要 素 に よ っ て 吸 畷 運 動 が 行 わ れ て い る プ ロセ ス を 明 ら か に した 。 そ の 後 、Woolridge、Weber らが超 音 波 を活 用 して 乳 汁 吸 引 メカ ニ ズ ム を 詳 細 に 分 析 し 、 吸畷 運 動 の 主体 は 舌 の 蠕 動 様 運 動 に よ り行 わ れ て い る こ とを 報 告 した 。 そ の 後 も、吸 畷 波:Suckgraphyの 計測 を主 流 に 、 口腔 内 ビデ オ 撮 影 法 に よ る 口腔 内 の 観 察 、 104 日本 助産 学 会 誌 第15巻 第3号(2002.3)

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ワー ク ショ ップ 〈助 産研 究 に活用 す る生理 的反 応 〉 超 音 波 断 層 法)、 筋 電 図 に よ る 咀嚼 筋 筋 活 動 の分 析 を総 合 して 同 時 計 測 す る こ と に よ っ て 吸 畷運 動 時 にお け る 口腔 周 囲 組 織 の 協 調 メ カニ ズ ム を明 らか に した もの 、X線 テ レビやMRI によ り吸 畷行 動 を動 的 に捕 らえ る 方 法 な ど、 画 像 や 生 理 学 的 手 法 を さ ま ざ ま に駆 使 して 吸 畷 機能 研究 が行 わ れ て い る。 III吸 啜 機 能 評 価 の 方 法 吸畷 機 能 評 価 と して 広 く用 い られ て い る方 法 は 、 吸 畷 圧 の 計 測 や 吸 畷 運 動 に使 用 す る筋 群 の筋電 図 を計 測 す る方 法 で あ る。 筆者 も吸 畷 機 能 研 究 に取 り組 み は じめ た 当 初 は この 方 法 論 を学ぶ と こ ろか らス ター トした 。 しか し、 これ ら の研 究 は シー ル ドル ー ム な どの 巨 大 装 備 や 特 殊機 器 を必 要 と し、母 子 の 生 活 を 支 援 す る看 護 の 視 点 か らみ れ ば あ ま りに 日常 性 か らか け 離れ て い た。 母 子 の 自然 な 状 態 を あ りの ま ま に と らえ る た め には 、 フ ィー ル ドに で か け 、 日 常生活 の 中 で観 察 す る の が 原 則 で あ る。 そ のた め に 、持 ち 運 び 可 能 な簡 易測 定装 置 を開 発 す る必 要 もあ っ た 。実 験 状 況 で な く、 で き る だ け 自然 な現 象 を と ら え る方 法 は な い もの か と方 法論 を模 索 した 。 IV助 産 婦 が 活 用 で き る 吸 畷 機 能 評価 法 の 確 立 今 、最 も 力 を入 れ て 取 り組 ん で い る測 定 方 法 は 、画 像 分 析 で あ る.助 産 婦 の観 察 に 活 用 す るため に は 、 で き る だ け簡 便 で特 殊 装 置 を必 要 と しな い 方 法 が 望 ま しい。 現在 用 い て い る方 法(DLT:Direct Linear Transfomation法)は2台 の デ ジ タル ビデ オ カ メ ラで 撮影 した 映 像 を 画像 分析 ソ フ トを使 用 して 吸 畷 運 動 を量 的 に分 析 しよ う とす る もの で あ る 。この 方 法 によ り、 助産 婦 が 肉 眼 的 に と らえ る事 の で き る吸 畷 運 動 の特 徴:吸 畷 リズ ム(吸 畷 の速 度 、 持 続 や 休 憩 の入 り方)、 口や あ ごの 動 か し方 な ど に特 徴 あ る パ タ ー ンが 見 い だ さ れ な いだ ろ うか 、 そ のパ ター ンが乱 れ る 場 合 に は どの よ うな 要 因が 関 係 して い るか 、 母 乳 と哺乳 瓶 の 吸 畷 行 動 の 違 い は何 か 、 な ど につ い て 明 らか に し、 母 乳 の必 然性 を 裏 付 け る吸 畷 運 動 の 特徴 を明 らか に す る と共 に 、 吸 畷 障 害 や 吸畷 困難 の 診 断 指 標 を確 立 し、 吸 畷 訓 練 法 を 開発 す る た め の 基 礎 的 研究 と位 置 づ け て 吸 畷 メ カ ニ ズ ム の 解 明 に取 り組 ん で い る 。 V研 究 を進 め る た め に どん な研 究 方 法 に も さ ま ざ ま な 限 界 が あ って 、現 象 の 全 体 を と らえ る こ とは で き な い。 と は い え、 私 が 研 究 に取 り組 む 際 に最 も大 切 に して い る の は 、 「対 象 か ら離 れ な い 」 と い う こ とで あ る 。対 象 の 姿 が み えず 、 デ ー タだ け が 一人歩 き す るよ うな研 究 は意 味 が な い。 と い う こだ わ りで あ る対 象 に最 も近 い と こ ろ で 、 『共 に い る 』 よ う心 が け 、 そ の 現 象 の 中 か ら直 接 把 握 した デー タ を解 析 す る と い う姿 勢 は崩 した くな い と考 え て い る。 研 究 者 主体 の 実 験 的 設 定 で はな く、対 象 の い る場 所 に出 か け 、直 接 同意 を頂 き 、反 応 を 確 認 しな が らお こな う こ と 、 この ことが 、 どん な に 苦 労 が 多 くて も、 実 験 研 究 と異 な り、 さ ま ざ ま な攪 乱 因子 の 多 い 人 間 相 手 の研 究 にお い て 、 得 られ た デ ー タか ら最 大 限 の 結 果 を読 み と る た め の 必 須 条 件 で あ る と 考 えて い る。 ま た 、 少 な か らず 負 担 をお か けす る に もか か わ らず 、 き わ め て 好 意 的 に協 力 し て いた だ け る対 象者 た ち へ の最 大 限 の 配 慮 で あ る と思 っ て い る。 日本 助 産学 会 誌 第15巻 第3号(2002.3) 105

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ワー ク シ ョップ 〈助 産研 究 に活 用 す る生 理 的反 応 〉 ワ ー ク シ ョップ 〈助 産 研 究 に活 用 す る生理 的反 応 〉

助産研究 に活用す る生理的反応

話題提供者 慶應義塾大学看護医療学部 近 藤 好 枝 私 は 、新 生 児集 中 治療 室 に入 院 し、呼 吸管 理 を受 けて いる極 低 出 生体 重 児 が、処 置 や ケアによ ってどのような変 化 を起 こすのか 、その変 動 は どれ くらい持続 す るのか 、落 ち着 きを取 り戻 すた めに は 、いつか ら、どの ようなケアが 、どれ くらいの 時 間(持 続 的 か 間欠 的 か)加 わ れ ば よいか 、を明 らか にす るため に研 究 をす す めてい ます。未 熟 な脳 を傷 つ けないため に侵 襲 を防ぐケアの 開発 は、発 達 の促 進 に 大きな意 義 を持 っ と考 えるか らで す。 私 の研 究対 象 は 、1500g未満 の弱 々しい赤 ちゃん たちです。ここで は 、気 管 内 吸 引か らの回 復 を 促 す ケアとして 「境 界付 腹 臥位 屈 曲姿勢 」を試 み るまで の経過 を、生 理 学 的 変数 の選 定 に焦 点 をあ てて述 べたい と思 います 。 本研 究 は、Alsのsynactiveモデ ル を枠 組 み としています 。Alsは、発 達 は 、自律 神 経 系 、運 動 系、 睡 眠 覚醒 状 態 、注 意集 中力 と相 互 作 用 系 、自己制御 系 という5つのサ ブシステムが 、互 い に協調 し あ い影 響を与 えあいなが ら神経 機 能を発 揮 してい くとい う生態 学 的 モデ ル を提 唱してい ます 。早産 児 に対 して は、刺 激 が負 荷 にならない ようそ れぞ れ の感 受性 の レベ ル とシステムの脆 弱 さにあわせ たケアの提 供 を推奨 しています。 この考 え に基 づ き、「境 界 付 腹 臥位 屈 曲姿 勢 」の効 果 が、極 低 出 生体 重 児 の 示す どのような反応 によって明 らか にできるのか を探 索 しました。文 献 を用 いながら概 念 を分解 した り、構 築 したりという 作 業(サ ブストラクション)を繰 り返 しました。その結 果 、3つの サブ システム 、自律神 経 系(心 拍 数 と動 脈 血 酸 素飽 和 度)、運 動 系(ストレスサイン:四肢 や 躯 幹 の緊 張 、姿勢 の不 安 定 さ、顔 面 筋 の緊 張と 弛緩 、胸 郭 の拡 大 の程 度 、呼 吸 パターン)、状 態 系(Thomanの 睡 眠覚 醒 状 態 の7state分類 、っまり、 ① 活発 な 覚醒 ② 静 かな 覚醒 ③ む ず か りあるい は泣 き ④まどろみ ⑤ 睡 眠 覚醒 の移 行 ⑥活 動 的 睡 眠 ⑦ 静 的 睡 眠)を選 びだ し、これ らを成 果 変 数 としました。睡 眠 覚 醒 状態 につ い ては 、観 察 時 の state、stateの移行 回 数 、静 的睡 眠 に入 るまで の所 要 時 間を変 数 に加 えました。 心拍 数 と動 脈 血 酸 素 飽 和 度 の値 は 、新 生 児 心 拍 呼 吸モ ニター と動 脈 血 酸 素飽 和 度 測 定 装 置を 用 いて 間接 的 に測 定 しました。運 動 系 の指 標(ストレスサイン)は 、Alsらが 作成 した項 目を修 正 して 用 いました。運 動 系 と状 態 系 の項 目は 、行 動 観 察 によってデ ー タを収 集 しました。 106 日本 助 産 学 会 誌 第15巻 第3号(2002.3)

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ワー ク シ ョップ 〈助 産研 究 に活 用 す る生 理 的反 応 〉 「境 界 付腹 臥位 屈 曲姿 勢 」を実施 した群 は、通 常ケア群 に比 べ 、静 的 睡 眠 に入 るまでの 所 要 時 間 が115±7.2分 と短 く、ストレスサインが素 早 く、著 しく低 下しました。このことか ら、静 的 睡眠 に入 るま での所 要 時 間 とストレスサ インの 出現数 は 、「境 界 付 腹 臥位 屈 曲姿 勢 」の結 果 として極 低 出生 体 重 児 に生 じた真 の変 化 を捉 える重 要 な指標 であることが 明らか になりました。 生理 学 的 測 定 には 、精 度 と正確 さが 求 められ ます 。た とえば、精 度 につ いてみ ると、対 象 の重 症 度 による誤 差 や 環境 要 因 の変動 によって生 じる測 定 誤 差 が考 えられ ます 。また正 確 さ(真の 値 に測 定値 がどれ ほ ど近 いか)は 、測 定機 器 の校 正や 測 定者 のトレー ニング等 によって正確 さを向上 させ ることが期 待 できます 。今 回 、測 定 方 法 および 変 数 の選 定 に関 して最 も注 意を払 ったのは 、対象 に 害を及 ぼ さない 非侵 襲 的 なもの であるか どうか とい うことでした。倫 理 的 配 慮 は言 うまでもありませ ん が、測 定 が 引き起こす 刺激 が結 果 へ の脅 かしになる危 険は避 けるべ きです 。 最 後 に 、本研 究 は緒 につ いた ばか りであり、デ ータ収 集 用具 の 一 貫性 、安 定性 、反 復 可能 性 に 加 えて妥 当性 を検 討 しつづ けなけれ ばな りませ ん 。小さな赤 ちゃんが発 したシグナ ル を正 確 に読 み とり評価 す る方 法を身 に つ けることが 信頼 性 の確 保 にとって重要 であると考 えています 。 引 用 ・参 考 文 献 近 藤 好 枝, 堀 内 成 子: 低 出 生 体 重 児 に 対 す る 気 管 内 吸 引 後 の な だ め る ケ ア, 臨 床 看 護 研 究 の 進 歩, Vol.12, 64-73, 2001. 仁 志 田 博 司: 個 別 的 発 達 促 進 ケ ア(1),助 産 婦 雑 誌Vol.55, No.6, 533-537, 2001.

Stephen B.Hulley., Steven R Cummings.: Designing Clinical Research, 1988, 木 原 正 博 監 訳, 医 学 的 研 究 の デ ザ イ ン ,34-45, 医 学 書 院MYW, 1997.

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ワ ー ク シ ョ ッ プ 〈タ ッ チ ケ ア 〉 ワ ー ク シ ョ ップ 〈タ ッ チ ケ ア 〉

タ ッチ ケ ア の 本 質 とそ の 実 践

―産科施設および地域での具体的展開―

フ ァ シ リ テ ー タ ー タ ッチケァ研究会 井 村 真 澄 優 しい 肌 と肌 のふ れ あ い は,人 間 の存 在 と他 者 との か か わ りに と って不 可 欠 な もの で す 。 出産 後 お母 さん は,そ っ と赤 ち ゃん に触 れ,抱 き寄 せ,お っぱ い を含 ませ ます 。母 と子 の 親 密 な か か わ りは五 感 を 通 して 開始 され ます が,と りわ け触 角 を 十 分 に用 い て 我 が 子 を知 り,母 と子 の 関係 性 を深 めて い くこ とが重 要 です 。 皮 膚 は,脳 や 中枢 神 経 系 と同 様 外 胚 葉 に 起 源 を持 ち 「露 出 した脳 」 と いわ れ,人 の か らだ の表 面 を 被 って 外 界 か ら広 範 囲 に多 様 な刺 激 を受 け取 ります 。 そ れ らの刺 激 は,大 脳 皮 質 で認 識 され る一 方,大 脳 辺 縁 系 ・視 床 下 部 ・ 下 垂 体 に伝 え られ,情 動 ・自律 神 経 ・内分 泌 ・免 疫 ・生 体 リズ ム に影響 を与 え ます 。 肌 と肌 の ふ れ あ い は,心 地 良 く 「快 刺 激 」 で あ る こ とが 好 ま し く,心 身 の ス トレス に な る よ うな 「不 快 刺 激 」 の 入 力 で あ って は な りませ ん 。 さ らに,心 地 よ い肌 のふ れ あ い と共 に見 っ め あ いeye-to-eye contact,語 りか けあ う こ とmothereseが,親 子 の体 と心 と関 係 性 を育 ん で い き ます 。 この よ うな親 子 の相 互 交 流 は,日 々の 生 活 に お い て 自然 な形 で十 分 に行 う こ とが 望 まれ ます 。 タ ッチ ケ ア や ベ ビー マ ッサ ー ジ は,そ の よ うなふ れ あ い の き っか け や ヒ ン トを 提 供 して い き ます 。 まず は じめ に,産 科施 設 で の タ ッチ ケ ア ク ラ スの 実 際 を ご紹 介 します 。 この ク ラス に は, 毎 回10名 前 後 の母 子,そ して場 合 に よ って は父 親 や祖母 も参 加 しま す 。 ク ラス は産 後 の育 児 不 安 を軽 減 す る育 児 支 援 の 一環 と して行 わ れ て い ます 。 こ こで は,母 と子 の ふ れ あ いを促 す タ ッチ ケ ア を紹 介 す る と共 に,母 親 同士 の コ ミュニ ケ ー シ ョ ンの 場 を 提 供 して い ます 。 終 了 後 は助 産 婦 を交 た情 報 交 換 の 場 と して も活 用 され ます 。 母 親 同 士 の 楽 しい お話 も弾 み,参 加 者 か ら好 評 を得 て い ます 。 次 に,地 域 で の ベ ビー マ ッサ ー ジ ク ラ スの実 際 を ご紹 介 します,お もな参 加 者 は母 子 です が,両 親 揃 って参 加 され る こ と もあ ります 。 マ ッサ ー ジ手 技 の紹 介 を した後,時 間 が許 せ ば 母 親 同士 で お互 い に マ ッサ ー ジを し合 って,気 持 ち よ さを実 感 して頂 き ま す。 触 れ合 い に よ る母 親 の リラ ックス と精 神 的 安 定 は 「癒 し」 の 原 点 です 。 ま た,ク ラス で お茶 を 飲 み な が ら ゆ っ く り過 ごす ひ と時 は,母 親 同士 の 交 流 の 場 と もな りま す。 この他,指 導 者 養 成 ワー ク シ ョ ップ も開催 して い ます 。 マ ッサ ー ジは手 技 で は な く,「母 児 共 に マ ッサ ー ジを楽 しむ 」 こ とが 何 よ り も大 切 で す。 孤 立 傾 向 に あ る母 児 の地 域 で の サ ポ ー トの 一環 と して これ らの 活 動 を展 開 して い ます 。 本 日は,産 科 施 設 ・地 域 で活 動 され て い るお二 人 に実 践 で の具 体 的展 開 を紹 介 して頂 い た あ と,ご 参 加 の 皆 様 に も赤 ち ゃん人 形 を用 い て演 習 して頂 き ます 。 演 習 後,皆 様 の活 発 な意 見交 換 を期 待 して お ります 。 108 日本 助 産 学会 誌 第15巻 第3号(2002.3)

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ワ ー ク シ ョ ッ プ 〈タ ッ チ ケ ア 〉 ワ ー ク シ ョ ップ 〈タ ッ チ ケ ア 〉

地 域 で の ベ ビー マ ッサ ー ジ に関す る活 動

話 題 提 供者 ヒー リ ングス ペ ース ・ア クェ リエル 菅 田 倫 子 I緒 雷 「ベ ビー マ ッサー ジ」 とお 聞 き に な る と、 多 くの方 が 何 か特 別 な手 技や 資格 が 必 要 な の で はない か と考 え られ る よ うで す.し か しそ の ル ー ツ を辿 れ ば 、 日本 に も以 前か らご く 自然 な 手 当て に も似 た 「按 摩jr指 圧 」 そ して子 守 唄 と同時 に な され るタ ッ ピン グな どが あ ります 。 これ らの手 技 か ら得 られ る肉 体 的効 果 の違 い は あ ります が 、全 て に共 通 す る こ とは 肌 と肌 の 触れ 合 い に よ る リラ ック スか ら得 られ る精神 的 安 定 です 。 これ は最 近 良 く耳 にす る 「癒 し」 の原点 で あ る とい えます 。 助 産婦 を語 る と き、 そ の職 種 の 特 異性 を挙 げ る とす れ ば、 ま ず 「感 覚 」 と 「手 」 で あ る と私 は考 えてい ます 。器 具 も何 も必 要 とせ ず 、そ の 個 人 が備 えて い る 「感 覚 」 と、そ の 延 長線 上 にあ るそ の感 覚 を伝 導す る 「手 」、それ らは言葉 以 上 の もの を語 りま す。それ らを使 った技 術 の一つ にベ ビー マ ッサ ー ジ が あ る と感 じてい ます。 ベ ビー マ ッサー ジの 手 技 を指 導 す る時 、 そ こでは技 術 以 外 の サ ポ ー トも同 時 にな され る場 とな ります 。 「ベ ビー マ ッサ ー ジ」 を 通 して期 待 され る効 果 と して は、 母 児 の絆 を深 め 、児 の健 康 や発 達 を促進 し、母 親 の 精神 的 安 定 を図 る な どが あ ります が 、そ こ に助産 婦 が 入 る こ とで 母 児 へ の サポー トが一 層 強 化 され る こ と とな ります 。 そ して 地域 に出 て い る助 産 婦 の 一 人 と して 、 自 分が持 って い る 才能 を発揮 で き る場 に も成 り得 るの です 。 II 実 践 の 内 容 実践 にあ た り、 私 の活 動 は大 き く2つ に 分 かれ ま す。 1つ は地 域 での 母 児 へ のベ ビー マ ッサ ー ジ教 室 で す。 私 自身 、京 都 市 左 京 区 にお いて 「ヒー リン グス ペ ー ス ア クエ リエ ル 」を主 催 して お ります. これ は 自宅 一 階 部 分 を使 用 し、 ベ ビー マ ッサー ジ ク ラス の他 、 ア ロマ テ ラ ピー マ ッサー ジや そ の ク ラス な どに使 用 して い る スペ ー ス です 。 ベ ピー マ ッサー ジ ク ラス は 、 月2回 の ペ ー ス で1時 間 ず つ 午前 に2回 の ク ラ ス を開催 して お ります。3回 ほ どい らっ しゃ る と手 技 を一 通 り覚 え られ る よ うです 。 主 な対 象 は 、 生 後2ヶ 月 か ら這 い這 いす る まで と し、保 護 者 に対 してベ ビー マ ッサ ー ジ手 技 を指 導 してい ま す。 主 日本助 産 学 会 誌 第15巻 第3号(2002.3) 109

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ワ ー ク シ ョ ッ プ 〈タ ッ チ ケ ア 〉 に参加 され るの は母 親 で、5%ほ どが 両親 揃 って の 参加 で す。 参加 の き っ か け は チ ラシ な ど や 雑 誌 に掲 載 され た もの を 見た とい う方 が80%ほ どで 、 残 りは 紹 介 な どで す。 雑 誌 を ご覧 に な られ る場 合 は遠 方 が ほ とん どで す の で 、お近 くの 教 室 が あ れ ば そ ち らを紹 介 して い ます 。 指 導 の 際 、私 自身 は 人形 を使 用 し、 母 親 が 実際 に児 の マ ッサ ー ジ を します 。 一 通 りの 手技 を 行 うの に約20分 ∼25分 を要 します 。 そ の後 、 残 りの30分 は 育児 相 談や お 母様 同 士 の交 流 の 場 と し、 お 茶 を飲 み な が らゆ っ く り過 ご して い た だ きま す。 ク ラス所 要 時 間 は全 部 で約 1時 間 です 。 個 人 レッス ン は希 望 が 無 い 限 り してお りませ ん。 なぜ な ら母親 同 士 の交 流 の場 を提 供す る こ とも、 このベ ビー マ ッサ ー ジ ク ラ ス の 目的 の 一 つ で あ るか らです 。 少 子 化 ・核 家 族 化 が進 む 中、 この よ うに気 軽 に 出 か け られ 相 談 で き る場所 が果 たす 役 割 は大 き い と思 わ れ ます。 自分の 子 供 だ け で な く、 他 の 子供 の成 長 発 達 を観 察 す る こ とに よっ て得 られ る情 報 が、 育児 へ の大 きな 支 え とな って い る よ うです 。 ベ ビー マ ッサ ー ジ 終 了 後 の児 は 、哺 乳 して 眠 って しま うケ ー ス が 多い よ うで す 。 ま た 、時 間 が許 せ ば ベ ビー マ ッサ ー ジ終 了後 母 親 同 士 で互 い に マ ッサ ー ジを して い ただ き、 マ ッサ ー ジ の気 持 ち よ さ を実感 して も らい ます 。 母親 が リラ ック スで き、 ス トレス を発 散 で き る と、児 も 自然 と落 ち着 く場 合 が 多 々 見受 け られ ま す し、 そ の よ うな効 果 が あ った と電 話 で お知 らせ くだ さ るケ ー ス も多 くあ ります 。 マ ッサ ー ジ に は、 基 本 的 に は有 機 栽 培 無農 薬 の植 物 オ イ ル を使 用 します 。 使 用 頻 度 と気 候 に よ って使 用 オイ ル を調節 してい ま す。 主 に使 用 してい るの は 、 ひ ま わ りの種 の オイ ル や ホ ホ バ オ イ ル です 。 エ ッセ ンシ ャル オ イ ル は原 則 的 に使 用 しませ ん。 私 の行 っ てい る も う一つ の取 り組 み は 、ベ ビー マ ッサ ー ジ教 室 を指 導 で き る人 達 の 養成 で す 。 この 対象 と な る方 々 は助 産 婦 が 多数 を 占 め ます が 、 乳 幼児 に 関係 す る看 護 婦 、 母 親 対象 の教 室や 集 ま りを企 画 され てい る方 々 も参加 され ます 。 ベ ビー マ ッサ ー ジへ の関 心 が 高 ま る につ れ て 、 この マ ッサ ー ジ を指 導 で き る よ うに な りた い とい う方 も多 くな りま したが 、 この 手 技 を習 われ る方 には 、 以前 か ら母 児 に 関 わ って い る方 で あ る こ とを 条件 に してお りま す。 なぜ な ら母 児 へ の 取 り組 み は、 付 け焼 刃 で 出 来 る も ので は な い と思 って い る か らです 。 母児 と一緒 に成 長 して い く気 持 ちで 取 り組 む こ とが大 切 だ と考 えて お ります 。 指 導者 養 成 には 、 全 国 か ら参 加 され る1日 ワー ク シ ョ ップ を2∼3ヶ 月 に1回 大阪 で開 催 し て お ります 。 都 合 の 会 わ な い方 々 には 京都 の教 室 にお 越 しい た だ き 、個 人 でお 教 え してお り ま す。 どの場 合 で も 「母 児 共 にマ ッサ ー ジ を楽 しむ 」 とい うこ とを 、 必ず 心 に留 め てい た だ きます 。 手 技 が 大 切 な の で は あ りませ ん。 マ ッサ ー ジは 楽 しむ もの な の です 。 I II 考 察 ベ ビー マ ッサ ー ジ ク ラス を通 して 、適 切 な援 助 を適 切 な 時 期 に提 供 で き る機 会 が増 えれ ば、 孤 立傾 向 に あ る現 代 の 育児 の改 善 に 非 常 に役 立つ で しょ う。保 護 者 へ の正 確 な情 報 の提 供 や 、 地 域 と医療 ・保 健 機 関 の連 携 のた めに パ イ プ役 とな る こ とは 、 地 域 にお け る助 産 婦 の 果 たす 重 要 な役 割 で あ る と 日々実 感 して お ります 。 110 日本 助産 学 会 誌 第15巻 第3号(2002.3)

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ワ ー ク シ ョ ッ プ 〈タ ッ チ ケ ア 〉 ワ ー ク シ シ ョ ッ プ 〈タ ッ チ ケ ア 〉

愛 育 病 院 にお け る タ ッチ ケ アー の実 際

―そ の具 体 的 手技 と方 法 ―

話題提供者 愛育病院看護部 影 山 初 子 出産 後 退 院 して か ら育 児 不 安 を抱 えて い る母 親 を 多 く見受 け ます 。 愛 育病 院 で は か ね て よ り、 産後 の 育児 支 援 の一 環 と して 、 電 話 相 談 を行 い 、 ま た母 乳相 談 室 を開設 し、 母親 の 不 安解 消 の た め の 窓 口 と して き ま した。 最 近 は 、 来院 時 や 、 メール に よ るベ ビー マ ッサ ー ジへ の 質 問 、 要 望 が 時 々 あ る こ と、 当院 の 山 口院 長 が タ ッチ ケ ア ー を推 進 して い る こ とも あ り、 タ ッチ ケ ア ー を通 して母 親 同志 の コ ミュニ ケ ー シ ョンの場 と して 、 ま た育 児 不 安 解 消 の場 と して タ ッチ ケ アー ク ラ ス を開 始 しま した。 毎 回10名 前 後 の 母 と子 、 時 に 父や 祖 母 の参 加 も あ りま す。 終 了後 は助 産 婦 へ の質 問 や 、 お 互 い 育児 用 品 の 情 報 交換 、お しゃべ りが く りひ ろげ られ ま す。 今 回 は この タ ッチ ケ ア ー ク ラ ス の実 際 につ い て 述 べ ま す。 日本 助 産 学会 誌 第15巻 第3号(2002.3) 111

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