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教育再生実行会議初等中等教育ワーキンググループ資料 1 教育分野の国際的な動向 - 新たな 学び のあり方を考える - 東京大学大学院教育学研究科 准教授 北村友人 1

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(1)

教育分野の国際的な動向

-新たな「学び」のあり方を考える-

1 東京大学大学院教育学研究科 准教授 北村 友人 教育再生実行会議初等中等教育ワーキンググループ 資料1

(2)

2

先を見通すことが難しい時代

A World of Increasing Complexity, Uncertainty and Fragility

Society 5.0

:人と機械が複雑かつ高度に関係し合う社会

Industry 4.0

:サイバーフィジカルシステムを基礎とした

第四次産業革命

VUCA

な時代:

Volatile(不安定)、Uncertain(不確実)

Complex(複雑)、Ambiguous(曖昧)

• 「

持続可能な開発目標(

SDGs)

」:誰一人取り残さない

「豊かさ」を再定義

(3)

3

雇用の変化と求められるスキル

% o f to ta l e m pl oy m en t year

Data Source: ESCAP (2014), Statistical Yearbook for Asia and the Pacific

Source: Levy and Murnane (2013), Dancing with Robots: Human Skills for Computerized Work, Third Way

(4)

4

技術革新とその急速な拡がり

(アジア太平洋地域)

地域別の携帯電話契約数 インターネット使用者数

Source: ESCAP (2013), Statistical Yearbook for Asia and the Pacific

In te rn et u se rs , pe r 10 0 po pu la tio n year

(5)

5

持続可能な開発目標(

SDGs)

2015年に採択。2030年を目標。

人間

社会

環境

(6)

6

SDGs:目標4 教育

• すべての人々に

包摂的

かつ

公平

質の高い

教育を提供

し、

生涯学習

の機会を促進する

Ensure

inclusive

and

equitable quality

education and

promote

lifelong

learning opportunities for all.)

<ターゲット4.7> 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能な ライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の 推進、グローバル・シティズンシップ、文化多様性と文化の持続 可能な開発への貢献の理解の教育を通して、すべての学習者 が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習 得できるようにする。

(7)

7

SDGsを実現する教育のあり方

• 学習観の

共通性

多様性

– どんな時代でも、求められる基礎的な資質・能力は変わらない – 同時に、時代の変化に対応できる「教授・学習の様式」の変容 – 政治的・経済的・社会文化的なグローバル競争に資する人材の 育成 – 伝統文化、宗教、言語、政治体制などのローカルな文脈

• すべての目標

において教育が重要

– 人材育成 – 研究開発

• 民主的な社会の担い手である

「市民」

の育成と

ESD

(8)

8

持続可能な開発のための教育(

ESD)

• 新しい教授・学習の様式 • 課題発見・問題解決型で、体験的・実践的な学び • 持続可能な開発: 環境-経済-社会・文化 • 領域横断・教科横断型の学び: 「つなげて、広がる」

• Whole School Approach

• 地域との連携: 地域の資源や外部人材の活用

• Inter-disciplinaryかつTrans-disciplinaryなアプローチ

(9)

9

UNESCO Futures of Learning

• 1970年代から国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、定期的に「教育」の役割 や「学習」のあり方について提言を行ってきた。

• 2020年に国際諮問委員会を立ち上げ、2021年に報告書を出す予定

https://en.unesco.org/futuresofeducation/initiative

(10)

10

UNESCO Futures of Learning

• 教育と開発に対する人間中心主義(humanistic)のアプローチ

• グローバルな公共善(global common good)としての「知識(knowledge)」

• 「学習(learning)」と教育のあり方を再定義

• 未来を民主的な社会にするための方略

• 公正さ(equity) と包摂(inclusion)

• 主に検討しているテーマ・領域:

– 人と地球の持続可能性(Human and Planetary Sustainability)

– 知の生産、アクセス、統治(Knowledge Production, Access and Governance) – 市民性と参加(Citizenship and Participation)

– 労働と経済安全保障(Work and Economic Security)

– 領域横断的なイシュー: ジェンダー、文化と文化遺産、テクノロジー、等

参考文献: UNESCO (2020)Visioning and Framing the Futures of Education (https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000373208/PDF/373208eng.pdf. multi)

(11)

11

UNESCO Futures of Learning

• 教育と「人間中心主義(humanism)」の関係性を問い直す • 人間は「社会的」存在であるだけでなく、「生態学的(エコロジカル)」 な存在でもある • 人間を特別な存在や個人的な存在と捉えるのではなく、世界や自然 の中で集合的かつ関係的な存在であると理解する • 「そこにあるもの」としての世界を学ぶのではなく、世界との関係性 の中で学ぶ • 「人新世(anthropocene)」における人間中心主義とコスモポリタニズ ムにもとづく教育のあり方 • 地球に負荷をかけていることに対する、人類全体としての責任

参考文献:Common Worlds Research Collective (2020) Learning to

Become with the World: Education for Future Survival. Paper

(12)

12

UNESCO Futures of Learning

• 知ることを学ぶ(Learning to know) • 為すことを学ぶ (Learning to do)

• 共に生きることを学ぶ (Learning to live together) • 人間として生きることを学ぶ (Learning to be)

『学習:秘められた宝』(ユネスコ・21世紀教育国際委員会報告書、1996年)

• 自分自身と社会を変容することを学ぶ

(Learning to Transform Oneself and Society)

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13

OECD Future of Education and Skills 2030

• 「コンピテンシーの定義と選択」

OECD教育インディケータ事業 (Definition and Selection of Competencies: DeSeCo)1997年開始、2003年最終報告

• キー・コンピテンシー(

key competency)

– これからの時代に求められる資質・能力 – 知識、スキル、態度、価値 • 道具を相互作用的に用いる • 異質な人々かなる集団で相互にかかわりあう • 自律的に行動する

• 反省性(

reflectivity):省察的な思考・行動の基盤

(14)

14

OECD Future of Education and Skills 2030

• 生徒たちが将来の「豊かな」生活を思い描き、 それを実現するために必要となる知識、技能 、態度、価値を育むことを支援するような教育 システムの実現を目指している。 • 「生徒のエージェンシー(Student agency)」:変 化を起こすために、自分で目標を設定し、振り 返り、責任をもって行動する能力 • エージェンシーを発揮し、自らが持つ可能性を 発揮できる方向へ進むために 、生徒は「学び の中核的な基盤」を持つことが重要である。 https://www.oecd.org/education/2030-project/teaching-and-learning/learning/ 参考文献:白井俊『OECD Education 2030プロジェクトが描く教育の未来 -エージェンシー、資質・能力とカリキュラム』ミネルヴァ書房、2020年

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OECD Future of Education and Skills 2030

• 主に中等教育段階を想定した議論 【第1フェーズ】(2015~2018年) • 2030年に向けた、生徒に求められるコンピテ ンシー(「学びの 羅針盤(ラーニング・ コンパス)」) • 国際的なカリキュラム・デザインに関する共通原理の分析 【第2フェーズ】(2019年~) • 2030年に向けた、教師に求められるコンピテンシー • カリキュラムの効果的な実施を可能とする共通原理の分析

参考文献:鈴木文孝「OECD 学びの羅針盤(Learning Compass) 2030と Education2030 Phase2に向けて」

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OECD Future of Education and Skills 2030

• 「学びの羅針盤(Learning Compass)」 – 何のために学ぶのか? – どのようにして学ぶのか? – どんな力が必要なのか? • 「個人としてのウェルビーイング」と「社会としてのウェルビーイン グ」を実現する: 人間自身も生態系(エコシステム)の一つ • より良い未来の創造に向けた変革を起こすコンピテンシー – 新たな価値を創造する力 – 対立やジレンマに対処する力 – 責任ある行動をとる力 • カリキュラム・デザイン: 教科内容の精選、教師への支援、効果的な実施 参考文献:白井俊『OECD Education 2030プロジェクトが描く教育の未来 -エージェンシー、資質・能力とカリキュラム』ミネルヴァ書房、2020年

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教科横断的な「学び」と教師の役割

• 教科横断・領域横断的

な「学び」の重要性

• 教科担任制

における教科横断の難しさ

• 生徒たちが自ら

教科横断・領域横断的な学びを行う

• 新学習指導要領で強調されている

「カリキュラム・マ

ネジメント」

「マネージャー」

になるという意味

• ガイド

としての教師

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Source: Direct Course (http://directcourseonline.com/equity-equality-inclusion/) 公平(equality) 公正(equity) システムの転換

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イノベーションを創出する柔軟な「学び」

• イノベーションは、いかに創出されるか • 体系化された「知識」や「スキル」を身につけるだけでは、すぐに古く なってしまう • ひとつの「正解」だけでは、複雑な世界を理解することはできない • 「失敗」も含めて、多様な学びの機会を逃さない • 「学び方」を学ぶ • 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」によるイノベーションの促進

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20

Infollution さらには Infodemic

<Presented by Dr. Gwan-Jo Kim, Director of UNESCO Bangkok at the University of Tokyo on December 10, 2015>

20 インターネット上の過剰な情報の氾濫 子どもから大人まで、さまざまな形態の「デジタル公害」にさらされている 暴力的なコンテンツ、ネットでのいじめ、ネット中毒。 加えて、フェイク・ニュースなどの誤った情報の氾濫、等々。 Information + Pollution Information + Epidemic

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21

新型コロナウイルス(

COVID-19)による

教育機会の喪失

• ユネスコによれば、世界中で

16億人

の学習者たち

が、COVID-19を原因とする学校閉鎖の影響を受け

た。

(6月8日:11億人、2021年1月23日:9億9千万人)

• これは、就学人口の

91%

に相当する。

(6月8日:63.3%、 2021年1月23日:56.6%)

• 学校閉鎖は、

188ヵ国

で実施された。

(6月8日:129ヵ国、 2021年1月23日:130ヵ国) UNESCO data (2020年4月6日の時点) https://en.unesco.org/covid19 /educationresponse/

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オンライン教育と言いつつも。。。

-世界各地の状況を見ると― • 途上国(途上国(低所得国・低中所得国)では、40%以下の世帯にしかイ ンターネットへのアクセスがない。 • もちろん、先進国でも、同様の問題がある。米国では、12%の世帯がイン ターネットにアクセスできず、地域によってはブロードバンド整備が進んで おらず、40%の世帯がアクセスできないところもある。 (US Census, 2019) • 世界的には、女性のインターネットへのアクセスは、男性よりも25%低い というデータがあり、とくに、サハラ以南アフリカでは男性の50%以下であ る。 (World Bank, 2016) • オンライン教育は、障がいを持つ人々にとって、プラスにもマイナスにもな る。

(23)

23

感染初期に導入された遠隔教育のタイプ

Source: Calvalho and Hares (2020)

https://www.cgdev.org/blog/more-our-database-school-closures-new-education-policies-may-be-increasing-educational

(24)

24

COVID-19によって、何が問題として意識されたか

• 学校閉鎖をはじめとする

就学機会の制限

• オンライン授業等による

「不完全」な学習

• 学習支援や学習環境の観点から

「格差」

が拡大

• 子どもの安全

という観点からの課題

- 安全な場としての「学校」、定期健康診断での発見、等

• 健康問題

の深刻化

- 学校給食による栄養摂取の意義

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COVID-19に対する国連の対応

<教育とCOVID-19に関する政策概要(2020年8月4日)> • コロナ禍の中で、史上最大の教育システムの混乱が起きている • 4つの重点分野: – 学校を再開する – 財務に関する決定で教育を優先する – 最も支援の手が届きにくい人々に焦点を置く – 教育の未来は今ここで決まる • SDGsの達成に向けて飛躍を遂げるきっかけとして、デジタル・リテラシーと インフラへの投資、学び方を学ぶ方向への進化、教員とコミュニティーに対 する持続的な支援等が必要 • 未来にふさわしい、包摂的で、強靭かつ質の高い教育制度を築くため、大胆 な対策を講じることが必要

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COVID-19に対するユニセフの報告

国連児童基金(ユニセフ) 『レポートカード16-子どもたちに影響する世界:先進国の子ども の幸福度を形作るものは何か』(2020年9月3日) • 日本の子どもの「身体的健康」(子どもの死亡率、過体重・肥満の子 どもの割合を用いて分析)は先進国38か国中1位であるのに対し て、「精神的幸福度」(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率を用 いて分析)は37位である • ウェルビーイングの観点から課題が大きい

(27)

27

新学習指導要領

• 育成を目指す資質・能力の明確化 - 知識及び技能の基礎 - 思考力、判断力、表現力等の基礎 - 学びに向かう力、人間性等 • 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善 • 各学校におけるカリキュラム・マネジメントの推進 • 教科横断的な学び; ESDの推進; アクティブ・ラーニングの導入 • 教育内容の充実: 言語能力の確実な育成、伝統や文化に関する教育の充実、体験活動の充実等

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28

さまざまな課題

• どんな時代でも、求められる基礎的な資質・能力は変わらない • 機械的ではなく、人間的なアプローチによる「個別最適化」 • カリキュラムの最適化を進めることが不可欠である • 新しい教授法を導入するための教員養成・研修が必須 • 協働的・探究的な学びを促進するために、「学級規模の最適化」 を図ることが重要である(=「少人数学級」化はその第一歩) • 新しい教授・学習の様式に対して、それをどう「評価」できるか • 学校内の連携、そして、地域との連携

(29)

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さまざまな課題

• 新しい「学び」(=主体的・対話的・探究的な学び)は「格差」を広げ るリスクと背中合わせである • 公正なインクルーシブ教育の実現が大きな課題 • 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」は、ICTを用いて物理 世界に存在しない事象を実現することによって、人々の生活 を根底から変える大きな変革を起こし得るが、そのための能 力開発、インフラ整備、支援体制拡充を進める必要がある • デジタル化→デジタルネットワーク化→DX

(30)

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今後への提言

• すべての子どもの「学び」を保障し、SDGsの達成に資する取り組みを推進す べき • 国際的に議論されている人間観・世界観を踏まえつつ、日本らしい教育のあ り方を考え、さらには国際的な学力論の潮流を形成する議論に積極的に参 加していくことが欠かせない (例)文科省「日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Port)」の知見を活用 • ICTを活用した「個別最適な学び」や「協動的な学び」の取り組みをさらに深め るため、ラーニング・コンパスやウェルビーイングの視点を踏まえ、学習者主 体の取り組みを推進するとともに、教育課程のあり方を検討すべき

(31)

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東京大学大学院教育学研究科准教授 東京都教育委員 北村 友人

参照

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