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健全銀行主義の一考察

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Academic year: 2021

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(1)通貨金融統制の困難 既稿(研究ノート「金融不安定性と貨幣」, 東京経大学会誌 251 号,2006 年)において指 摘したように,金融革新が進んで現金節約的 決済手段の層が厚くなり,銀行預金と競合す る金融資産が増加し,また預金受入をしない 業者の決済業務進出も生じるようになって, 今日では金融政策の中間目標としてのマネー サプライの適格性が疑わしくなり,また銀行 のみを対象とする厳密な規制の維持も困難さ を増している。 最終目標についても現代の中央銀行はデフ レを回避するだけでなく,緩やかなインフレ を許容する範囲内に通貨供給をとどめなけれ ばならず,さらに変動相場制のもとでは目標 を単純に物価安定にとどめることもできず, 資産価格の乱高下の防止という任務が加わっ てくる。このような状況のなかで長期金利水 準・資産価格変動への働きかけの重要性が見 直されるようになってきた。 だが中央銀行の金融政策は原則としては短 期金融にかかわる貨幣市場への介入を中心に すえている。この貨幣市場に対する中央銀行 の働きかけが投資動向に影響を与える資本市 場にそのまま波及するとはかぎらない。なぜ なら今日では機関投資家に代表される貯蓄資 金の運用者の層の厚みが増していて,その保 有資産の組み替えにともなう資産貨幣の保蔵 動向によって市場は大きな影響を与えられる からである。 この貨幣の投機的需要の動向は不確かな将 来への予想や慣習・惰性に左右されながら証 券価格・長期金利の動きに作用する。 たとえば長期金利を左右する要因として将 来の短期金利への予想があり,また長期債券 のリスクやインフレ発生のリスクなどによる 「プレミアム」の変動がある。 市場における短期金利への将来予想を変え るためには中央銀行は一定方向への金利誘導 を長期に継続する態度を堅持しなければなら ない。だが市場の変動に敏感に反応して大量 の国際資本移動が生じる現代,その移動に迅 速に対応するためにしばしば中央銀行は一定 方向への金利誘導の継続を断念せざるをえな い局面に直面する。現代の金融政策は必ずし も国内の事情を優先して展開できるとはかぎ らない。 また長期金利の構成要因であるプレミアム についても投資家の楽観的な期待が支配する 好況局面ではそれは低水準に抑えられがちで あり,逆に低迷が続く局面では投資家の意欲

健全銀行主義の一考察

野 田 弘 英

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が冷え込んでプレミアムは高水準に押し上げ られがちである。そのため短期金利の上昇や 下落がそのまま長期金利に反映されるとはか ぎらない。 このような通貨金融統制の困難が積み重な ってくる現代では,何よりもまず,あらため て現代において通貨供給機関としての銀行の 役割がどのように展開し変化しているかを認 識することが重要であろう。 (2)不換制下の中央銀行 通貨供給機関としての銀行を考察する際に はまず中央銀行と民間銀行を区別しておかね ばならない。 中央銀行は法定貨幣としての強制通用力を もつ銀行券を独占的に発行する。その現代の 銀行券は不換銀行券であって,つまり中央銀 行は兌換義務を負うことなく,決済を終結さ せるファイナリティ(支払い完了性)をもつ 通貨を発行するのである。中央銀行の管理す る当座預金も法貨によって支払われることが 確実であるかぎり銀行券に準じる性質をもっ ている。一方,民間銀行の管理する要求払い 預金はその振替・移転によって通貨機能を発 揮するとはいえ,預金通貨そのものはファイ ナリティをもたず,法貨による支払債務を内 包しつつ流通する。この点では銀行券(およ び中央銀行預金)と民間管理の預金通貨とは 質的に異なる。 銀行券は実体貨幣(金属貨幣)との対比に おいては素材的に無価値な象徴貨幣であり, 加えて中央銀行のバランスシートには負債と して計上されるところから,信用貨幣と呼ば れることが多い。しかしこのように不換銀行 券を信用貨幣と呼べば,ファイナリティをも つ銀行券(および中央銀行預金)とそれをも たない民間管理の預金通貨との区別が不明瞭 になる。本稿ではこのような両者の区別を明 確にするために銀行券を現実貨幣(現金)と 呼び,民間管理の預金通貨を信用貨幣と呼ぶ ことにしたい。つまりここでは貨幣支払債務 を内包して流通する通貨を限定的に「信用貨 幣」と定義する。 もっとも中央銀行も民間銀行もともに銀行 であるという点では中央銀行通貨も民間銀行 の預金通貨と同様に銀行通貨としての性質を もっている。 中央銀行は独占的な発券銀行であると同時 に「銀行の銀行」である。民間銀行が社会的 再生産に密着し,企業・家計の要請に応じた 通貨供給に従事するのに対応して,中央銀行 は民間銀行の準備預金を集中的に保管し,民 間銀行に支払準備金を供給する。不換銀行券 はそのような銀行の銀行としての中央銀行が 創造し,管理し,回収する銀行通貨である点 において,政治的理由によって財政需要充足 のために発行される政府紙幣とは異なり,再 生産の必要に応じて伸縮する弾力性をもって いる。 不換銀行券の多くは民間経済の要請に対応 して発行され,不要となれば貸出の返済金や 預金として中央銀行のもとへ還流する。その 還流機構の作動によって著しいインフレの進 行が防止され,再生産において客観的な一般 的通用力をもつ通貨としての銀行券への信認 が支えられる。この還流機構を欠いた政府権 力による強制通用力の付与だけでは,不換紙

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幣は一般的流通手段現金としての通用力を持 続させることはできない。 銀行券流通の伸縮自在な運動を支える代表 的な仕組みは,中央銀行の貸出によって発行 され,その返済によって還流し,消滅すると いう返済・還流・消滅のルートである。なか でも手形再割引による発券ルートでは民間の 要請に応じて発行された銀行券は短期間のう ちに中央銀行へ還流し消滅して,還流機構の 作用は速やかに発揮される。貸出期間が長く なれば個別経済主体の手許現金として銀行券 が保有される期間は長期化し,再生産の変動 に対応する銀行券流通の弾力性が低下する。 したがって中央銀行の長期貸出は可能な限り 避けられるべきものとされている。 もっとも銀行券の発行は貸出によってのみ 生じるわけではない。 まず既存の預金が引き出されるばあいがあ る。すなわち中央銀行の貸出の結果として創 造された預金ではなく,既存貨幣の預託によ って生じた本源的な預金が払い戻されて,銀 行券が市中に出回るばあいがある。 近代的な銀行制度にとって貨幣財産の私的 所有は与えられた前提条件であり,金貨であ れ銀行券であれ補助貨幣であれ,いずれかの 現実貨幣形態をまとった既存貨幣ストックの うえに銀行は成り立っている。したがってそ れらの既存貨幣により形成された預金の払い 戻しによる発券は中央銀行によってしばしば 繰り返されている。このような預金形成とそ の払い戻しを繰り返しつつ流通する銀行券は, 貸出による発券のばあいとは違って通常は消 滅しないで回流を続ける。 また金の買い上げによって銀行券が発行さ れることもある。現代でも中央銀行の保有資 産の一部として金の占める比重は軽視すべか らざるものがある。素材的・使用価値的に不 滅の金そのものと引き換えに発行される銀行 券は,既存預金の払い戻しのばあいと同様に, 消滅せずに回流を続ける。 これらの消滅せずに流通する発券残高は, 貸出によらずに発行される部分であるから, 中央銀行の貸出調整によってこれをコントロ ールすることは難しく,金融・資本市場を乱 調に導いてゆく一要因ともなる。とはいえこ れらは,既存の貨幣(および金)ストックに 対応して発行され流通する点では,兌換銀行 券流通にも不換銀行券流通にも共通して見ら れる部分であり,それらの流通によるインフ レ助長的な作用は限られている。 これに対して不換銀行券流通のもとで膨張 した現象として,貸出(および買オペ)によ って発行されながらも,消滅せずに流通する 中央銀行通貨の運動が存在する。すなわち国 債担保貸出(および買オペ)によって国債と 引き換えに通貨が発行されるばあい,通貨は しばしば永続的に流通を続けることになる。 なぜなら,国債の借り換えなどで国債残高が 維持されるかぎり,事実上政府による国債の 償還は行われず,したがって中央銀行のもと への通貨の還流・消滅は事実上生じないから である。 今日,国債は流動性が高く安全な資産とし て銀行・企業・家計によって大量に保有され ている。このような国債の累積現象は不換通 貨を利用した金融政策による財政政策のアコ モデーションの結果として生まれたものであ る。国債発行の市中消化体制によって吸収さ

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れた民間資金はすでに財政支出によって再生 産へ投入されているから,ここでの既発債と 引き換えの中央銀行の通貨供給は追加の資金 供給となり,その通貨供給に還流・消滅の道 が事実上閉ざされているとすれば,それは容 易に過剰流動性環境を強める原因となる。中 央銀行による支えをえて流動性の高い金融資 産が市中に累積すれば,それはときに物価や 資産価格の投機的高騰を推進し,またその反 動としての長期の価格下落を誘導する。 国債累積は資産インフレをふくむ広義のイ ンフレをときに著しく助長して,現金通貨た る銀行券への信認をも動揺させる可能性をは らんでいる。「信用貨幣」ではなく,政府紙幣 類似の性格をもつ不換銀行券の特徴はここに 最も明瞭に現れる。政府からの中央銀行の独 立性が声高く叫ばれる理由の一つはここにあ る。 中央銀行の通貨供給は政府の財政政策の下 僕となってはならない。さらに中央銀行の行 動にたいする海外部門(国際収支)の動向や 国際協調上の要請などによる国際的制約も今 日では強力である。 (3)スミスの規範 中央銀行の通貨供給は不換制度のもとでも 上述のような制約をもつのであって,無制限 に行われうるものではない。そのことは中央 銀行から支払準備金を供給される民間銀行の 貸出行動にも準備金による制約が厳然として 存在することを意味する。現金準備率や流動 比率による制約が銀行行動を制する作用は今 日でも小さくはない。現金準備を危機に陥れ ないように銀行の行動を律するための健全銀 行主義の原則がいかなるものかは,現代の銀 行にとって重大な関心事なのである。 この問題に対する古典的な回答を与えてい るのが「スミスの規範」である。アダム・ス ミスは個別銀行の健全経営を論じる際に背後 の再生産の必要に応じる適正な通貨供給の重 要性を指摘する。 産業資本の再生産の循環運動が規則的に進 行していれば,銀行の貸出によって再生産へ 投入された貨幣は流通において機能したのち 出発点に戻ってくる。このことに着目してス ミスは,貸付けによって発行される銀行券が 返 済 に よ っ て 銀 行 に 戻 っ て く る 回 路 と し て 「真正手形の割引」を推奨した。スミスは,企 業家の経常的な手許準備金を流通手段の休息 形態とみなし,これを銀行券におきかえる方 法として,確実に支払われる真正な手形の割 引を提唱する。このばあい銀行券の供給は流 通貨幣におきかえられる適正通貨の供給であ り,兌換請求をもたらさずに銀行の健全経営 を支え,また金紙代替節約によって再生産拡 大に貢献すると位置付けられる。このように スミスは銀行信用の利用を企業家の経常的手 許資金の充足に限定すべきと主張する一方, 長期資金は長期債により金利生活者等から調 達すべきだと指摘する。 この主張は,近代的な貸付資本の成立基盤 が産業資本の規則的な還流運動にあるという 認識を背後にもち,銀行信用の役割を再生産 への事後的介入に限定して,再生産秩序を乱 す信用の能動的介入を排除する目的をもつ。 この考えはイギリスにおいて銀行学派の「還 流の法則」論に継承される(拙稿「金融不安

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定性をめぐる学説史」,信用理論研究学会編 『現代金融と信用理論』大月書店,2006 年,所 収)。 スミス自身は,客観的な流通必要量法則に ついて彼なりの認識をもちつつ再生産循環の 円滑な進行を前提して「真正手形」を取り上 げ,また国内流通において節約された金を海 外に輸出して再生産拡大を推進するという雄 大な動態的構想と結びつけて,この主張を提 示している。しかし彼の見解が「商業貸付理 論」とか「真正手形原理」と呼ばれて一般に 流布してゆくにつれて,流通必要量について の彼なりの認識は忘れ去られ,その所説は個 別銀行にとって健全銀行主義の原則を論じた ものとうけとめられるようになった。 社会的再生産視角を内包した原初の「スミ スの規範」を現代に適用するには,真正手形 割引を提唱する際にスミス自身が設定した枠 組みを明確化しつつ再生産の順調な進行を想 定し,そのもとで必要とされる通貨量を供給 する銀行の役割を明示する必要があろう。こ の方法によれば,銀行券の専一的流通という 現代的状況において,企業家への経常的手許 資金の供給と長期設備資金の供給という二つ の金融の役割の区別と関連を明らかにするこ と が で き る 。 こ の よ う な 試 み の 所 産 と し て 「生産物流通金融の下流において新投資金融が 生じる」という見方がうまれる(山口茂『経 済循環と金融市場』前編第 4 章,東洋経済新 報社,1963 年)。 この見方では,既存生産物の流通に対応す る貨幣の供給として,手形割引による銀行券 (または預金通貨)の供給が生産物の売上金に よる所得形成に先行し,銀行券が生産物購入 に投入されると,それは手形債務支払いによ って銀行のもとへ還流し,消滅する。ここで 「下流」の新投資金融は流通金融で供給された 銀行券の一部(「貯蓄」)を生産物購入に投入 する役割をもつと位置付けられるから,一期 間内にすべての銀行券は還流,消滅し,消滅 せずに沈殿する銀行券は存在しない。期首・ 期末ともに貨幣残高はゼロである。 経済成長とともに年々増加する流通貨幣量 の重要な部分はたしかにこのような銀行の手 形割引・流通金融によって充足される。しか し資本制生産確立後の景気変動を前提すれば, 実需と投機は渾然一体となり,実手形も過剰 取引と結びつくから,手形が確実に支払われ るかどうかは事前にはわからない。手形の自 己流動性とは円滑な再生産循環を前提に成り 立つものであって,恐慌・不況期にはそれは 成り立たないし,また好況期にも業績不良の 業者にあっては手形不渡りが生じうる。 したがって手形割引のばあいも銀行信用貨 幣の流通にとって金庫内の支払準備金の存在 は不可欠であって,現代でも民間銀行は割引 信用供与において現金準備率に注意をはらわ ざるをえないし,また現金通貨を供給する中 央銀行は再割引適格手形を厳選することによ って通貨の還流の停滞を避けなければならな い。 (4)手形割引と資本の貸付 現実の商取引では,天候などの予測できな い要因によって生産が大きく左右される商品 ほど大きな価格変動リスクからまぬかれるこ とはできない。そのため,金融市場と同様に,

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穀物,原油などの第一次産品市場では価格変 動リスクに対するヘッジ機能を果たすための 先物市場が成立し,それは同時にリスクを集 中的に引きうける業者の投機的な活動を前提 する。市場の発展過程そのもののなかからヘ ッジャーとスペキュレーターの対応関係が自 然発生的に形成されるのである。 このような価格変動リスクは程度の差はあ れ商取引一般にともなうものであって,市場 経済では価格は生産者のコストを基準に決ま るものでは必ずしもない。 商業信用は,このようなリスクに対処し信 用販売によって販路を確定しようとする生産 者・流通業者の衝動を背景とし,同時にリス クを引きうける投機的な業者の活動も包み込 みながら展開する。したがって銀行の手形割 引は,たんに取引需要に応じて通貨を供給す るという受身の役割を担うだけでなく,投機 的動機もふくむ商取引意欲に一定の影響をあ たえる。現金準備の状態によって銀行は割引 率を変動させ,そのような割引依頼人の取引 意欲に影響をおよぼすのである。つまり手形 割引であっても銀行は産業資本から相対的に 独立した利子つき資本の運用者として行動す る。ことに過熱期における中央銀行の再割引 の動向は市場に強力な作用をあたえることに なる。 もっとも,取引意欲に一定の作用をおよぼ すとはいえ,再生産に対する手形割引の基本 的な役割は企業家に既存生産物の売上金の先 取り効果をあたえることにあり,この意味で はそれは再生産への事後的介入にとどまる。 商取引の盛行によって市況が繁栄状態を示し ているあいだ企業家は割引信用によって事業 を継続するための資金を獲得できる。だが商 取引の減退によって販路停滞が表面化し,不 渡り手形がふえてくると,割引信用は速やか に減少し,そのため企業家は予備金の取り崩 しによって支払いに対応せざるをえない。こ の点に着目すれば割引信用はその基本的性格 において再生産・所得形成の動向を反映する 市況に順応して伸縮するものといえる。 だが商業信用を継承する銀行信用の機能展 開は手形割引にとどまらない。さらに追加資 本の供給という銀行信用の働きがある。 再生産において商業信用が担う役割には, 信用連鎖拡大・手形流通による貨幣節約に加 えて,流通期間中の生産の連続性維持に必要 な追加資本の相互融通(相互融通による節約) がある。多くのばあい企業家は与信者である と同時に受信者であるから,商業信用に含ま れる追加資本供給の作用は鮮明にはみえない。 だが信用連鎖の末端にいる一方的債権者と一 方的債務者の関係に注目すればそこに資本貸 付の関係が含まれていることははっきりみえ てくる。 こ の 流 通 期 間 中 の 追 加 運 転 資 本 の 相 互 融 通・節約という商業信用の働きを受け継ぐ銀 行信用の機能の一例として,たとえば金融技 術的には手形貸付を活用して商人・生産者が 在庫投資を行うばあいがある。このばあい形 式は短期貸付であっても,書換継続によって 手形貸付は長期運転資金の調達にも利用され る。ここでは長期債発行による長期設備資金 調達とは異なり,銀行間市場の発達に支えら れた追加資本調達が行われ,銀行信用は生産 要素調達資金の供給によって再生産へ事前的 に介入する。

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なお付言すれば,この在庫金融は最初から 事業拡大を意図した在庫投資を支えるばあい だけではなく,後ろ向きの滞貨金融が前向き の在庫金融へ転化するばあいもありえようし, また銀行と企業の関係が密接であれば手形貸 付でなく当座貸越という貸付形式がえらばれ ることもあろう。 商業信用を継承する銀行信用の役割には, 手形割引(既存資本の形態転換)とともに資 本貸付(追加資本の供給)も含まれるのであ る(拙稿「流通手段と貸付資金」,東京経大学 会誌 223 号,2001 年)。 (注記)本稿は,前稿「金融不安定性と貨幣」 を受け継ぎ,拙稿「金融不安定性をめぐる学説史」 (前出)において詳述できなかった論点について加 筆したものであって,2004 年度国内研究の成果で ある。

参照

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