1
論・
文】 日本建築学会構造 系論文報告集 第436号・
1992年6月 Journat of Struct.
Constr.
Engng,
AIJ,
No.
43fi.
June,
1992剛接 合単 層
ラ
チ
ス
ド
ー
ム の
座 屈
荷
重 推 定 法
部
材
の座
屈応 力度 を用
い る方 法
、
AN
ESTIMATION
PROCEDURE
OF
THE
BUCKHNG
LOAD
OF
A
RIGIDLY
JOINTED
SINGLE
LAYER
RETICULAR
DOME
By
usingthe
buckling
stress ofthe
constitutive rnember加 藤 史 郎
*,柴
田 良一
* *,
植 木 隆
司* **
Shiro
KA
TO
,
Ryoichi
SlllB
・4
TA
andTafeashi
UEKI
The
puTpose of the present paperis
toinvestigate
an estimat 童on procedure of the ultimatestrength of reticular
domes
with geometrical imperfections and under non・
uniformloading
.
The
elastic plasticbuckling
stresshas
been
summarized to evaluate thebuckling
load as a function of anormalized slenderness ratio with reduction factorα.
According tQ several numerical compari.
sons,
the effects of the imperfection are considerablein
case of pin supporteddome
more than ro1.
ler
supported one.
Even
though these effects can not be neglected,
the proposed procedure is proved to give abeneficial
estirnation of thebuckling
load
with reduction factor a.
Keywortts :5 加g晦妨8厂r8 ’磁
1
θr ぬ耀,
bu‘鳶伽 9昭厂 寉,
buckling str’
ess,
geometrical imPerfecijon,
non
・
観 承冫rmloa
ご伽9,
strain energy単層ラ チス ド
ー
ム,
座 屈 曲 線,
座 屈 応 力度,
幾何 学的 不 整, 非 等分布 荷 重, ひずみエ ネル ギー
1.
序一
般に 単 層状の ラチス ドー
ム は,
骨 組構造 と連 続 体 シェ ル との複 合され た力 学 的 性 質を持ち,
様々 な 座 屈 形 式1) が発生す る。
その座 屈 性 状 を 正 確に把 握す る に は, 各 種の要因 を考慮
した検 討が必 要とさ れ る。 例えば,
積 雪や風に よ る不均一
な荷 重 分 布お よ び節 点 位 置のずれ な どの形 状 不 整が,
座屈荷 重に及ぼ す影 響卜 81 等が検 討さ れてい る。
さ らに, こ れ らの要 因を考 慮し た座屈荷 重の推 定 法に 関す る研 究 が進め ら れて い る。 例えば,
連続体 置 換 法に 基づ い て単 層ラ チ ス ドー
ムの座屈 荷 重評価 式を導いた研 究9)・
10) , ラチス ドー
ムの座 屈 荷重を座屈荷 重 係 数に よ り 整 理し た研 究2L]1 ),
IZ ) が あ る。
ま た, ラ チス アー
チ やラチ ス柱に対す る座屈荷 重 を 評 価するうえ で,
連 続 体的取り 扱い に よ る有効 細 長 比に基づい た研 究t3 )『
15 ]が あ る。
さ らに,
離散 的な骨組解 析か ら得ら れる正 規 化 細 長 化ti:) に基づ い て,
座 屈 荷 重 を 分 析し た研 究跏 ηが あ る。
ところが実際の設計あ るい は予 備 設 計では
,
ドー
ム の 幾何学的 形 状や境 界 条 件 等の影 響が考 慮でき,
かつ 簡易 な解析で座屈荷 重を推 定する方 法が しば しば望ま れ る。
この実用的な推 定 法 を検 討する ため,
著 者ら は以 下の 2 点に着目 し た。
(1 ) プ チ冬ドー
ムは線 材で構成さ れ る骨 組で ある。
(2
)主に部材の軸 力で荷 重を伝 達する構造で あ る。
特に,
部 材の正 規 化 細 長 化を変
数と す る柱 材の圧 縮 強 度 式18 )を用い て,
ラチス ドー
ム の座 屈 耐 力 (以 後,
座 屈荷 重 と 呼ぶ )を推定す る方法 を検 討し た。
こ の研 究19)・
2°1は,
以 下の よ うに行われ た。
(1 ) 線形 固有恒解
析で得ら れ る特 定の部材の線 形 座 屈 軸力 か ら正 規 化 細 長 化 A を求め る。
(2
) 既 往の柱 材の圧 縮 強 度 式ls )に準拠 し, A を用い て その部 材の平 均圧縮 強度を推 定す る。
(3 )こ の部 材の平 均圧縮強度 (以 後
,
座 屈 応 力 度と呼 ぶ)に基づい て ドー
ム の座 屈荷重 を推 定す る。 本 論文の一
部は,
文 献19}で 発表し ている。
t.
* 豊 橋枝 術 科 学 大 学 建 設 工 学 系 教 授・
工博 *t 豊橋技術 科学大 学建 設 工 学 系 大 学 院生・
工修 * * * 巴組 鐵 工所建 設 技 術 開 発 室・
工修Prof
.
,
Dept.
of RegionalP
恥a皿ning,
Toyohashi Univ.
・
of Techn〔}logy,
Dr.
Eng,
Graduate Student
,
Dept.
of Regional P』nnlng,
Toyohashl Univ.
ofTechnology
,
M.
Eng,
De ρt
.
of CDnstruc口on Technical Devebpment,
Tomoegumi IronWorks
,
M.
E皿9.
(4 )推 定さ れ た座屈 荷 重と弾 塑 性 座 屈 荷 重を比 較し, 座 屈 応 力 度 を用い た座 屈 荷 重 推 定 法の可 能 性 を 示す
。
し か し,
既 報の研 究20 ]では,
ラチス ドー
ム の座 屈にとっ て重 要な要 因で ある形 状 初 期 不 整 等の影響につ い ては,
検 討が なされて いない。
そこ で,
本 研 究では図一
亅に示 す よ うな限 られ た ドー
ム形 状で はあるが,
以 下の条 件を 検 討の対 象と す る。 荷 重 形 態,
形 状 初 期 不 整,
部 材 初 期 不 整 部 材の降伏 応 力度,
ドー
ム周 辺の補 強 これ らの条件を考 慮し た う えで,
既往の柱 材の圧 縮 強 度 式]S )に 準 拠してラ チス ドー
ム の座 屈 荷 重を分 析 する。 これ よ り, 既報で示 し た推定法 W)の 適 用 可 能性を検討す る。
ただし,
本 研 究で は部 材に発 生す る曲 げモー
メ ン ト が軸 力に比べ て比較的 小さいと仮 定す る。 つま り,
膜応 力 が 支 配 的で あ る シェ ル に類似す る よ う なモデル を対象 と する。
2.
解析モデル 2,
1 全 体の形 状 解 析 対 象と し た ドー
ム は, 図一
1に示す正六 角形 平 面D
r
と
}
↑
z
\、
0
\
v
・’””T
” ’iiii’「
双
θo!
’
t
h
断 面 図L
部 材 数8本E
Y
↑
F
AX
DC
B
A
X
部材半 交 角θo R (cm ) L (cm ) H (cm ) の偏平 な単層 ラ チス ドー
ムで あ る。
節 点は曲率半 径R
の球面上に あ り,
各部材の長さ が な るべ く等し く な る よ う な 三角 形 網 目 を構 成してい るものと す るt「2j。
ドー
ム の む く り を表すパ ラメー
タ と し て,
図一
一
一
1
の断 面図に示す よ う に, 頂 点0
に接続す る部 材 (Q
の の水 平 面か らの傾き と等し く な る部 材 半 交 角e
,を 採用 す る。
解 析モ デル は比 較 的 偏 平な ドー
ム であり,
eeは 2°
と 4°
の 2種 類で ある。
な お, 効 率 的に数 値 解 析 を行う た め, 力 学 的 性 状におい て X 軸に関 する対 称 性 を仮 定し,
図一
1の平 面 図に示す 1/2領 域ABCD を解 析す る。
2.
2
部 材モ デル 単層ラ チス ドー
ム を構 成す る部 材は, 図一2
に示す よ うに全 長にわ た り一
様な円管で あ る。
部 材の断 面 性 能が ドー
ム の座屈性 状に与え る影 響を検 討す る た め,
パ ラ メー
タ と し て部 材の細 長 比 λ。 を用い る tt3〕。
ドー
ム を 構 成する部 材は, 表一
ユ に示す 部 材 種 別α 1一
α,
の 7種 類 である。
部材の接合は, 円管の端部が 互いに節点で剛に接合さ れ てい る ものと す る。
弾 塑 性 解 析に あ たっ て は,
材料非 線 形性を考慮する ための要素が部材の両 端部と中 央に配 置さ れ ている、
こ の要 素に対 し て, 弾 性 時の縦 弾 性 係 数 E=
2 100 tf/cm2,
降 伏 後の縦 弾 性 係 数E,=
E/100の値 を設 定し た。
応 力 とひず みの 関 係に は,
バ イ リニ ア型の 履歴 を仮 定して い る。 た だ し,
降 伏応 力度にっ い て は cr.
。X2.
4tf
/cm2 を棊 本と す る が,
付加 的な条 件と し て高 い 降 伏 応 力度の値を もつ 部材に よ り 構 成 さ れ る ラ チス ドー
ム を想 定 し, σ y=
2、
8, 3.
8tf/cm2 と し た2
種類の 高 降 伏 応 力 度 部 材モデル につ いて も検 討し た副。
2.
3 ラ チス ドー
ム内の部 材の配置 基本と なる解析モ デル (表一
2の基 本モ デル )は,
原 則 的に全体が 1種 類の部 材よ り構成さ れ ている。 基 本モ デル を構成 す る部材の細長 比 λo は,60,
100,
140 (部 材 種 別as,
as,
α7)の 3種類で あ る (表一
ユ,
2 参 照)。 0 σ 24 4287.
0 2369,
4 166.
5 2129、
0 2279.
0 326,
8’
do臨
.国
翻
図一
1 ラ チス ドー
ム の形 状 a )全体図 b> 断 面分 割 図 図一
2 ラ チス ドー
ムを構 成する部 材 表一
1 ラチス ドー
ムを構 成す る部材の諸元部
材 種 別 α1 α2 α3 α4 α5 α6 α.
T 部 材(
Aa)
の細 長比 λo 20 40 6080
100120140 直 径dD
(
cm)
44・
o
断面積A
。(
e
. 2)
213」3 断 面二次モ
ー
メン トro(
cm4)
47961
.
80
22.
0
53.
282997
,
61
14.
5
11.
0
9.
0
7.
5
6.
15 17.
72 13.
32
13.
35
9.
97
9.
42440.
68
187.
35
121.
15 62,
17 弓2.
.
71一
92
一
表
一
2 周 辺補強モ デル での補強部材の設定 モデル\領 域 内 部/周 辺 内 部/周辺 内部1
周 辺 基 本モデル 1段 階 補 強モ デル 2段 階 補 強モ デル α3ノα3 α31α2 α 3/α1 α5ノα5 α5/α4 α5/α3 α7/α7 α7/α6 α7/α5D
O
A
鷲鐙
匚 = 内 部 領 域 部材一 周 辺領 域 部 材 図一
3 周 辺 補 強モ デル の補強領域Ptidd
a)等 分 布 荷重 b} 付 加集 中 荷 重 図一
4 ラ チス ドー
ム に作 用す る荷 重 分 布 形態 c) 中央 偏載 荷重・
一
方,
ロー
ラー
支 持モデル で は,
ラチス ドー
ム の内 部の 部材に比べ周辺の部材に大き な軸力が発 生する。
こ の よ う な構造物を設 計す る場 合に は, その部 分 を補 強する こ と が考え ら れ る。
こ の補 強の影 響 を検 討する ために,
周 辺補 強モデル と して 6種 類の モ デ ル (表一
2参 照 ) を想 定した。 こ の モデルでは,
同一
の ドー
ム中に 図一3
に示 す内 部 領 域 部材お よ び 周 辺領 域 部 材と して,
2種 類の部 材が使わ れ るこ とに な る。
それ ぞれ の周 辺補 強モ デルに 対して,
周 辺領 域の部 材が表一2
に示す よ うに補 強さ れ てい る。
2.
4 境 界 条件 本 研 究では,
対 照 的な 2種 類の境 界 条 件を採 用し た。 (a )ピン支 持 :六
角
形 周 辺の支 持 点につ い て,
すべて の方 向の変位が拘 束されて い るもの。 (b
)ロ
ー
ラー
支 持 :六角 形 周 辺の支 持 点につ い て,
’
6 つ の 隅点で は水 平 面を放 射 状に節 点が移 動し,
他の支 持 点で は 六角形の各辺に直 角に節 点が水 平 移 動 する もの。
2.
5
荷重 条 件 単 層ラチス ドー
ム に作 用す る荷 重と して は,
基 本的に 自重の よ うな荷 重 形態 を 想定し た。 この荷重 は,
各節点 で鉛 直 下 向きに作 用す る もの で あ る。 た だ し,
単層ラ チ ス ドー
ム では部分的な荷 重を受け る場 合に座屈モー
ドが 変化し,
ドー
ム の耐 力が低 下 す・
るこ と が あ る。
そ の た め,
載 荷 形 態が 図一
4a
に示す よ うな 自重とし て の等 分 布 荷 重だけで な く,
図一
4b,
c の場 合につ い て も検 討し た。 こ こで は,
屋 根に附属 する設 備 等に よ る付 加 集 中 荷 重 (図一
4b }や,
積 雪 荷 重 等で見ら れ る中央 偏 載 荷 重 (図一
4 c) を対象と し た。
な お,
付 加 集 中 荷 重につい て は,
等 分 布・
荷重 が作用 している状 態に さ らに特 定の節 点に集 中 荷 重 が付加し た場 合 を想 定 する。 このと き,
荷 重の集 中 度パ ラ メー
タ ερを 式 (1)で定 義する。
Ep−
P
等
認
・
……・
一 ・
……一 ………・
・
(・) こ こ で , P。
dCiは付 加さ れ た節 点で の荷重であ る。
対 象 節点 以 外で は,
すべ て の 節 点で 等 分 布 状の 節点 荷重P 。
。
i を 受けて い る。
付 加 集 中荷重を導入 す る節 点は,
等 分 布 荷 重を受け る ドー
ム の 解析結果か ら判 断し た。
こ の節 点は,
座 屈 荷 重に与え る影 響が著し い と思わ れ る点 で あ る (図一7
参照)。
ま た,
付 加 集 中 荷 重’
(Paca−
P。nt) は下向 きの荷 重に限定し,
ε。
>0で あ る。
2.
6 幾 何 学 的不 整 形状不整は多様な発 生 状 態 をと り,
座 屈 性 状に大き な 影響 を与えることが知られ て い る 6 そ こ で,
本研究で は 対 象を限定し, 特定の節 点が設 計しだ位 置か らず れた場 合 (形状 初 期 不 整 ),
特 定の部 材に元た わみが生 じて い る場 合 (部 材初期不 整)の 2種 類 を想 定した。
形 状 初 期 不整 は, 図一
5に示すよ うに節 点の 位 置が ドー
ム球 面か らずれ たもの と する。
こ のずれ Wt の大き さ を表すパ ラメー
タ と し て,
ラ チ ス ドー
ム を連 続 体に置 換した場 合の有 効 殻 厚 t。 (表一
3)により,
式 (2
)の よ うに無 次 元 化 し た εg を用い た。 な お,
本 研究で は節 点の位 置が内側にずれ た 場合を対 象と す る。
不 整 量は,
’
パ ラ メー
タ』
ε。が0.
1,0.
2と なる よ うに設 定し,
例えば,
部 材 種 別 α 3 (λ。ニ
60,d
。=
14.
5.
cm )に よ り構 成され た 単 層 ラ チス ドー
ム の ずれ を持つ 節点で は, ω iが 1.
729,
3.
458cm と な る。
ε9
=
Wi/te・
・
・
・
・
・
…
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一一・
・
・
・
・
・
…
r・
…
(2)
孟。= 2 面
砿
一
93
一
表
一
3 連 続 体置 換し た場 合の有 効 殻 厚 te 部 材 細 長 比 λo断面二 次半 径
io
(
cm)
te
(
cm)
60100140 0ソ
ー 3 Qり
O1 432 17.
2910
.
437
.
38D
D
・
図一
5 形状 初 期 不整の定 義糠
コ
δ\ 、
/
δ
E
丶F
’ ε一一
B
図一6
部 材 初 期 不 整の定 義A
ビ ラ 節 点に与 える場 合 (付 加 集 中 荷 重、
形 状 初 期 不 整ともに) ヒ バr’
冒
’
”匿
””
、
1\/
魅
/ \
ノ \ θo=
4σ
θo=
2° !く:鹽
”一
”…’
7
丶/
、
/
\
、
、
’
’
r
’
’
\、
ノ’
θ o畜
2°,
4°、
’
r’
!b、
、
一
支 持 部 材に与え る場 合 (部 材 初 期 不 整 ) 図一
7 幾 何 学 的 不 整 を導 入する位 置 モー
ドを仮 定し,
2種 類の不 整 量を与え た の みで あ り,
これ らに対 する推 定 され た座 屈 荷 重の不整 敏 感性を検討 す る ため に は, さ ら に拡 張し た不 整の種類や程 度に対 す る解 析が必 要で ある。
3.
解 析 手 法 本 研 究で は, 正 規 化 細長 比 お よ び弾 塑 性 座 屈 応 力度 を 求め る た めに,
それぞれ線 形 固 有 値 解 析, 弾 塑 性 座 屈 解 析 を行っ た。 これら の離 散 的な骨 組 解 析の手 法は既に確 立され, 数 値 解 析で広く用い られて い る もの である か ら 説 明は省 略す る。
な お,
弾塑性座屈 解 析につ い て は文 献 12) を 参 考に され たい。
部 材 初 期 不 整とし て は,
図一
6に示す よ うに部 材 全 長 に わ たっ て 二 次 関 数で近 似 された 元たわみを 仮 定し てい る。そ の方 向は,
座 屈 時の局 部 的な部 材 変 形に基づいて, ドー
ム球 面の 中心 を向 く もの とし た。 部 材 初 期 不 整の大 き さ を表 すパ ラ メー
タ εm は,
部 材 中 央の最 大 初 期 変 位 δと ドー
ム の有 効 殻 厚te
を用いて,
式 (3 )の よ うに 定 義される。
本 論文で・
は, εm=0.01
,0.
02
を設 定し て お り,
構 成 部 材の部 材 長1
。に対して,
酬1735,
4
/867
程 度の値とな っ ている。
ε初=
δ/te…
t・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一
・
・
・
・
・
…
(3
) 形 状 初 期 不 整や部 材 初 期 不 整につ い て は,
不 整 を与え る節 点や部 材の 位置に よっ て その座 屈 荷 重 P。。 に対す る 影 響は大き く異な る。
そのた め,
これ らの効 果を 正 し く 評 価す るには, 座 屈荷重 を最も低下さ せ る位置にこれ ら の不 整 を導 入 する必 要がある。
そこ で, 本 研 究で ば等分 布 荷 重 を 与え た場 合の弾塑性座 屈 解析の結 果に基づ い て,
最 も著しい変位が生じ た部 分 を対 象に し て 予備 解 析 を行っ た。
その 中で, 座 屈 荷 重が最も低 下す る不 整モー
ドを確 認し, 図一
7に示す節点ま た は部 材に不 整 を導 入 し た。
い ずれ の幾 何 学 的 不 整につ い て も,
限られ た不 整4.
解 析 結 果 4.
1 解 析 結 果の ま とめ方 連続 体シェ ル の座 屈に関する研 究が示す よ う に,
ドー
ム に発 生 する応 力は,
シェ ルでは面 内 力 が支配的で あ るe、
また,
座 屈 耐 力の評 価にあた っ て も,
曲げ 応 力度で は な く平 均 座 屈 応 力 度tSS)で 耐 力 を表現す ること が し ば し ば である。一
方,
単 層ラチス ドー
ム は 線 材 か ら構 成さ れる骨 組 構 造で はあるが,
そ の応 力状 態は連続 体シェ ル に類 似して いる。
こ の場 合の応 力は,
面 内 力 (軸 力)が支配的であ り曲 げ応 力の発 生は小さ い。
つ ま り,
こ の類 似 性に注目 す れ ば,
ドー
ム を 構 成 す る 部 材 に発 生 する平 均 軸 応 力 度 で,
そ の 座屈荷重を分析す る方法が考え ら れ る。よっ て,
本 研 究では以 下の考え方に基づい た方 法を採 用 し た。
(1) ドー
ム の部 材に発 生する曲げ応力 は 小 さい と仮 定 す る。
(2) あ たか もその部 材が軸 力 を受け る柱のよ う な挙動 を す る と類推す る。
(3
) ドー
ム内で特に座屈に深く関係する特定の部 材の 軸 力に注 目する。
一一
94
−・
・
(4) 既 往の柱 材の圧 縮 強 度の まと め方に準 拠 して座 屈 荷 重 を 評 価する
。
骨 組 構 造 物 中の圧 縮 力 を 受 ける部 材の圧 縮 強 度の算 定it6)で は,
式 (5)で計 算さ れ る 正規 化 細 長比!1
(文 献18)’
で は曲 げ座 屈 細 長 比 λ、)が主なパ ラ メー
タ と し て使わ れ る。
例え ば, 日本 建 築 学 会の鋼 構 造 限 界 状 態 設 計 基 準 (案 )]a)で は,
ノ1の 関 数とし て座 屈 応 力 度 [式 (11)] が提 案され ている。
そ こ で,
本 研 究で は式 (11)に準拠 し,A
を基 本パ ラメー
タとし て用いる。
ただし , 式 (11) は文 献18)に示さ れて い る終 局 限 界 状 態 設 計における 曲げ 座 屈 限 界耐 力 式に お い て,
以 下の点が修正さ れ て い る。
・
耐 力 係 数φ 。を1とする。・
曲 げ座 屈 細 長 比入, を 正規 化 細長 比 A で置換す る。 ・降 伏 限 界耐 力Ny を降 伏 応 力 度 σ yで置 換する。・
弾 性 曲げ 座屈 耐 力N
,を線形 座屈応 力 度 σ泙で置換す る。
・ ラ チス ドー
ム特 有の不整等に よる耐 力の低下 を考慮す る た めに,
低減率α を追 加す る。
正規化細長 比A
を 用い て ドー
ム の座 屈 荷 重P。
r を分 析 する方 法は,
(手 順1 )〜
(手順 5 )のよ うに示され る。
(手 順L2 ,3
)で は,
ドー
ムの座 屈 荷 重に 深 く関係す る 部材 (以 後,
特定部材と呼ぶ)の設 定 法お よ び座屈荷 重 推 定 法を示して いる。 ま た (手順4,5
)で は,
ドー
ム の 座 屈 荷重を求め る際に用いる部 材の座屈応 力 度 を, 弾 塑 性 座 屈 解 析の座屈応 力 度と比 較 検 討 して いる。
こ こ で は,
弾塑性座屈 応 力 度 をn の 関数と し て表 現し,
座 屈 応 力 度 推 定 式と して の適 用 可 能 性 を検 討して いる。 な お,
以 下の条 件 を考 慮したモデル につ い て の線 形 固 有 値 解 析は 完全系に準じ る もの とし,
(手 順1,
2, 3)は完 全 形 状の 結 果 を共 通に用い る (表一
4参 照 〉。 ・付 加 集 中 荷 重,・
形 状 初 期 不 整,・
部 材 初 期 不 整 ・高 降伏
応 力度部 材による モ デル (手順1
) 座 屈 を検 討 する荷 重として,
設 計 荷 重に対 応 する基 準 荷 重 PDを 定 義する。 その 大き さ と分 布モー
ドは,
図一
4
に基づい て定め る。
こ の荷 重 が 作 用す るモ デル の線形 固 有 値 解 析 より,
最 小の線 形 座 屈 荷 重 P諮 と対 応する 座 屈モー
ド,
線 形 座 屈 荷 重 時の各 部 材の軸 力1V燦を求 め る。 (手順 2 > 上 記で各 部 材の軸 力N
浄が計 算 さ れる が,・
その 中で ドー
ム の座 屈に深く関 係 する部 材 (特 定 部 材 ) を以 下 a,
b
の 2種 類の方 法で仮 定する。
(a ) 部 材の ひずみエ ネルギー
によ り定め る方 法 :ピン 支 持 あるい はロー
ラ厂 支 持の ドー
ム におい て,
線 形 固有 値 解 析か ら得 ちれ る座 屈モー
ド に よ り,
各 部 材に生じ る ひずみエ ネルギー
E を求める。
式 (4) を 用い て,
こ のE
を線 形ひずみエ ネル ギーE
,と軸 力の効 果による非 線形 ひずみエ ネルギーEn
とに分 離する。 こ こ で は,
成 分ごとに これ らの ひずみエ ネル ギー
の分 布 状況 を分 析す る。
E
=E
‘十En ・
…・
…・
………
…・
・
…・
・・=
=
9
・ゆ,
En
→
鵬 ・ K‘:線 形 剛性マ ト リ ッ ク スKn
:非 線 形 剛 性マ トリッ ク スD
:座 屈モー
ド Kl=
=
[K1(O)+K2(0)コ=
[K1(O)]:N=
0・
Kn=
[K,(IV黝十K2(N鰹 )]−
K,:N=
1V評・
(4)K
,(N
):座 屈た わ み角 法で の弾 性 剛性マ トリッ クス κ2(N
)二座屈た わみ角 法で の軸力の効 果に よ る 剛性マ ト リッ クスN
:部材に作用 す る軸 力1V
鰹:座屈時の部材 軸 力 座 屈変形の大き な領 域で は,E
,は正で大き な値にな り, En は負で絶対 値が大き く な る。
かつ, そ の和 E は 負で絶 対 値が大き く なる。
し た がっ て, こ こ で は部 材の 座 屈に支 配 的な影 響 を与え る部 材 軸 力に関 係 するものと して, 非 線形ひずみ エ ネル ギー
En に注 目する。
こ のEn
の値が負で絶 対 値が最 大と な る部 材 を, 特 定 部 材の・
一
つ と して採 用 する。
これをa 部 材とL ’
, こ の部 材の線 形座屈軸力を1V
踟 と する。
なお,線 形ひずみエ ネル ギー
表一
4 線形 固有 値 解 析におけ るエ ネルギー・
軸力の分布形態 境 界 条 件 ピン支 持 ロー
ラー
支 持 部 材 半 交 角θo20
40 20 40 部材細長比λo 601001406010014060100MO60100140 完 全 形 状 AAAAAADCCCCC 付 加 集 中荷重 ε冨
0.
1,0.
2)
AAAAAADCCCCC 形 状 初 期 不 整(
ε昌0.
1
ρ.
2)
AAAAAADCCCCC 部 材初期不整(
εm磊0.
01 ,0.
02)
AAAAAADCCCCC 高 降 伏応力度部 材(
σ=
2,
8β.
8)
AAAAAADCCCCC 中央偏 載荷重 BBBB・ BBDDCCCC
周 辺 補 強モ デル (.
1段 階 ) 周辺補強モ デル (’
2段階 ):
:
:
:
:
:
BBCDCDBBCDCD一 95 一
分布と非 線 形ひずみエ ネル ギ
ー
分 布に おい て,
ひずみエ ネルギー
の 集 中して いる領 域は本 解析で扱っ た ドー
ム で は一一
致 し てい る。 (b
) 部 材の 軸 力に より定め る方 法 :・
・
一
方,
ロー
ラー
支 持の ドー
ムで は,
線 形 固 有 値 解 析において圧縮 軸 力が他 の部材に比べ て著し く大き く な る部材が現れ る 。 こ のと き,
どの部 材が ドー
ム の 座屈に最も大き く関 与して い る か を,
軸 応 力 度や平 均 軸ひずみな どの分 布だ けで判 断す る こと は,
力 学 的に十 分であるとは言い難い。
し か し な が ら,
こ こ で は線 形 固 有 値 解 析よ り得ら れ る部 材の軸 力 が,
他の部 材に比べ て著し く大き く な る部 材に注 目す る。
そこで, 座 屈 時の部材の軸応 力慢を単 材と して の弾 性 座 屈応 力度で無 次 元 化す る。
こ の 値が最 大とな る部 材 も,
ドー
ム の座 屈に深 く関係す る部材と して採 用 する。 こ の 部 材がa 部 材と一
致する場 合に は, a 部 材のみ を特 定 部 材とし て採 用する。一
方,一
致しない 場 合に はこ の 部材 をb
部 材と し, a,b
の 2種 類の部 材を特 定部 材と して 採 用す る。
こ こで, こ のb
部 材の線形 座屈軸 力を1V
跳1 とする。
(手 順3 )a お よび
b
部 材に対し て , 正規 化細長 比A
〔m,Alb
)を求 め る。
正 規 化 細 長 比A
は,
線形 固有値 解 析に お ける座 屈 時の部 材 軸 力と し て, 前 述の a,b
の 2種 類の部 材の 軸 力1V諮ω,
鵡 瓢 を用い て,
式 (5 )よ り定義さ れ る。
ノ1rca
=
σシ/σ蟹ロ,
ACb,=
σy/σぎ鍋切・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(5 ) σ臨 濯1V
諮 叫/ん σ齠切=
N2 ’ , ,/A こ こ で, ay は部材の降 伏 応 力 度,
σ諮は線 形 座 屈 応 力 度,A
は部 材 断 面 積で あ る。
次に, 式 (ll)よ り座屈応 力度 σ、。
を求め,
それら の 部 材の圧 縮 強 度 NXua, NX.,,を式 (6 >の ように推 定 す る。
酵。 ω= 月、。
・
σ。。
(ノ1
、a),
N9
。 、,=A
,切・
σ,払 b ,),
…・
・
・
……・
一 ・
・
……一 ……
(6) た だ し,
この段 階では低 減 率 α=
1と する肋。
基準 荷重P
。に対す るa, b部 材の軸 力 IV。cen, N。(b)を線 形 解 析よ り求め る。 これ よ リ ドー
ム の座 屈 荷 重 瑠r を 式 (7 )の よ う に推定す る。・:・・a」
一
職・
覊
臨一N
…,・
藷
一 ・
…a
,b
部材の中で低い座屈 荷 重が推 定さ れる部 材 を,
対象 と す る ドー
ム の座屈に最も深く関 係 する部 材と して m 部 材と呼ぶ。 この部 材の 正規 化 細 長 比 をAl.
m )とす る。
ま た低い ほ うの座 屈荷重を,
対 象と し た ドー
ム の座 屈 荷 重 と す る。
(手順 4 ) 弾塑 性 座 屈 解 析を実 行し,
ラチス ドー
ム の座 屈 荷 重 P&を求め る。 こ の荷 重P9。に対し て上記の手順で定め た特 定 部 材m の弾 塑 性 座 屈 応 力 度 a:.
を, 式 (8
)で仮一
96
一
定する。
σぎ。言 ハ1
:凋 /Almp
……・
一 一 ・
…・
一
…・
・
…7……
(8
) こ こ で,N
ぎ砌 は式 (9
)か ら求 める m 部 材の 軸 力,
Afm
、 tiその 断面積であ る。
材料非線形 性お よ び幾 何 学 的 非 線 形 性が考 慮さ れ る ドー
ムの座 屈挙動のもとで は,
本 来 作 用 する荷 重 と部 材 の軸力は線形 関 係には ない。
し か し なが ら, 本 推 定 法で は弾 塑 性 座 屈 軸 力1V翫側 を, ラ チス ドー
ムの 座 屈 荷 重pe
.を利 用して近 似 的に式 (9>で仮 定す る。
lve
・・1− P
醗
…・
……・
・
……一 ・
・
・
……・
・
(・) ただし,
N。[m /は基 準 荷 重P
。にお け るm 部材の軸 力であ る。
し た がっ て,
式 (9)では ラ チス ドー
ムに作用 す る荷 重が 座屈 荷 重に 至 る まで,
作 用 荷 重と部 材 軸 力の間に線 形 性を仮 定した ことになる。
(手 順 5) 上 記の ように定め ら れ たm 部 材は,
弾 塑 性 座屈解析に お い て も ラ チス ドー
ムの座 屈 を 代表す る部 材 (特 定 部 材 ) と仮 定す る。
そこで, 式 (8
>の弾塑性座屈 応 力 度σ9r
をm 部 材の正規化細長比 Aqm)の関数とし て図一
9〜
14の よ うに離散点で表現し,
/1cm)と σ2r
の関 係を式 〔ユ1〕と 比較す る。
さ ら に, 推定さ れ た座 屈荷重と弾 塑 性 座 屈 解 析に よる座 屈 荷 重とにつ い てその比を検 討し,
推 定さ れ た座 屈 荷 重の もつ 統 計 的 性 質を 明 らか にする。
4.
2 解 析 結 果は じ め に
,
正規
化 細 長 比や座 屈 軸 力 を求める特 定 部 材 を 決 定す る た めに,
(手順 1,
2)で述ぺ た ように線 形 固 有値解析を行っ た。 線 形座屈モー
ドに よ るひずみエ ネル ギー
分布の状況, 基準荷重に対す る軸 力の分 布 状 況 を表一
4に示す。
ひずみエ ネルギー
お よ び軸 力分 布 状 況に応 じ て どの 部 材が特定 部 材と な るか を,
図一
8の A,B
,C ,D
欄に示して い るtis] 。 ピン支 持の場 合は,
図一
8の A ま たは Bの欄に示さ れ る部 材,一
方,
ロー
ラー.
支 持の ひず みエ ネル ギー
分 布 軸 力 分布 特 定部材A
響
爨
一驪
i
歹
B
響
響
綏
覊
罫
c
驪 靉 響
欝
D
響
響
響
匪巴 ]エ ネル ギー
あるい は軸 力が集 中してい る領」或 図一
8 ひずみエ ネルギー・
軸 力の分 布 形 態の分 類場合の多く
’
は,
C
ま’
た はD
の欄の部 材 が 特 定 部 材である。 次に,
弾 塑 性 座屈解析か ら得ら れ る座 屈 荷重 Pぎr を 用いて,
式 (8),
(9 }か ら特 定部 材m の弾 塑 性 座 屈 応 力度σぎ, を計 算す る。
この値 σ9r
を部 材の降 伏 応 力 度 ay で正規化し,
縦軸に表 示し たものが図一
9一
ユ4で あ る。
なお,
横 軸の 正規化 細長 比 A は, 4.
1節の 手 順に従っ て決 定され た特 定 部 材に対して求めた もの で あ る。 図 中 の そ れ ぞれ の点は,
正 規 化 細 長 比 A の小さいほ う か ら 部 材細長 比h
が60,100, 140に対 応す、
る。
図中,
式 (10) はオ イラー
の座 屈 曲 線である。咢
一
圭
(A> … )・
・
…・
…
1
・
一 ………
(1
・) ま た,
式 (ll )は終局限界状 態 設 計 法la )に よ る曲げ座 屈 限 界 応 力 度に基づい た座 屈 応 力 度 推 定 式で ある。 12σ s
(!
1L
> λぎ) σcr=
:
α゜
1.
2五 a・・
一 ・・
(
・・一
…倉
≡
霆
)
・y (・… ≦ ・9
) σ,。
= α・
σ y (A
≦ λ:)・
…
……・
………
(ユ1) こ こ で,
弾性限界細 長 比 雄=
1.
29, 塑 性 隈界細 長 比 λ馨=
・
O.
15
と し ている。 また,
α は座 屈 応 力 度 推 定 式の低 減率とし て,
不整 等に よ り低 下し た座 屈 応 力度を評 価す る た めに用 いてい る瀏。
た だし,
低 減 率α は中心 圧縮 柱材お よびラ チス ドー
ム の構 成 部 材におい て,
それ ぞれ 異なっ た性 質 を示し,
こ の ことは両 者の応 力 状 態の相違 に起 因す る もの である。
以下 4.
2.1〜4.
2.
5
節では,
荷 重 条 件,
初 期 不 整 等を 考慮 し た 場合の 弾塑 性 座 屈 応 力 度σ:r の 性 状を検討す る。 図 中の点線は式 (ll )で計 算さ れ た座屈応 力度を 表 し,
○△口の 印は弾塑性座屈 解析の結果を 示 し ている。 4.
2.
1 荷 重形態が弾 塑 性 座屈応 力 度に与え る影 響 σぎ
11
σ ,1
.
0
0
.
5
0
aj ピン支 持AO
周 辺 領域で の補強が な く,
形 状 初 期 不 整の ない完 全 形 状モデ
ル を用い て,
荷 重 形 態の みが変 化し た場 合の座屈 応 力度の変 化 を検 討する。『
(イ ) 付 加 集 中 荷 重 付 加 集中荷重 (図一
4b )を受ける場 合の結 果を、
ピ ン 支 持,
ロー
ラー
支 持の場 合につ い てそ れ ぞ れ図一
9a,b
に示す。
付 加 集 中 荷重を 与 え た節 点は図一
7に示 し た と お り で あり,
その大き さ は ∈ρ=
・
O.
1,
0.
2 とし た。
図一9a ,
b
よ り,
ロー
ラー
支持に比べ て ピン支 持の ほうで 付加集 中荷 重の影 響が大き く なっ てい るこ と が わ か る。 な お、
影 響の 大きい ピン支 持の場 合であっ て も,
式 (11 ) の低 減 率 α を0.
8に す るこ とに よ り,
座屈 応力度 推 定 式は解析 結 果の ほ ぼ下限値に対応す る。
(ロ) 中 央偏 載 荷 重 中央偏載荷 重 (図一
4c )に対す る結果を,
ピン支 持,
ロー
ラー
支 持の 場合につ いて そ れ ぞ れ 図一10a,
b
に示 す。
ロー
ラー
支 持の場 合,
等 分 布 荷 重で は6箇所の隅点 に接続さ れ る部 材に軸 力が集 中し, こ れらの部材が支 配 的に影 響し て ドー
ム の座 屈 荷 重が決 定され る。
そ れに対 して,
中 央 偏 載 荷 重で は載 荷 面 積が減 少し,
周 辺の部 材 に集 中す る軸 力が低 下す るた め, 節 点 当た り の座 屈 荷 重 は増 加 する。一
方,
ピン支持の場 合に は,
中 央に荷重 を偏 載す るこ とによ り ラ チス ドー
ム周 辺 節 点 (図一
1の点 a,b
)が浮 き 上が る。 その た め,
周 辺節点の 1つ 内 側 (図一
1の点 c,d
}での局部 的な座 屈が進 行し,
座 屈荷重の低下が 生 じ る。
そ れに伴っ て,
座屈応力 度につ い て も著しい低 下 が見 られ る。 ピン支 持の場 合に は低 減 率 a を0.
75とす れ ば,
式 (ll)が解 析 結 果の下 限 値を与え る。
4.
2.
2 形 状初 期 不整 が弾塑性座屈応 力度に与える影 響 1種 類の部 材の み か ら構 成さ れ る基 本モデル 俵一
1,
2
参照〉に等分布 荷 重が作用 す る 場合につ い て,
形状初 σ畧
.1
σ,1
.
0
0
,
5
0
b〕ロー
ラー
支持AO
図一
9 付加集巾荷重を 受 け る 場合の座屈応 力 度一
97
一
σ
畧
.1
σy1
.
0
0
.
5
0
a)ピン支 持AO
σぎ
.1
%
1
.
0
0
.
5
0
b)ロー
ラー
支持AO
図一
10 中央偏載 荷 重 を 受 け る 場 合の座 屈応 力 度 σ8
.1
σy1
.
0
O
.
5
0
a)ピン支 持AO
σぎ
.1
%1
.
0
0
.
5
0
b)ロー
ラー
支 持AO
図一
11 形 状 初 期 不 整を考慮、
し た 座屈応 力度 σ盈
!
σ y1.
0
0
.
5
0
a) ピン支持AO
σぎ
,1ay
1
.
0
0
.
5
a=
1.
O l”
・
・
.
.
、 酋
圏 式
(
10)
.
コ 式(
11)
丶.
丶 1
”
・
.
甲
臼
e
:
’
・
。.
一
一
一
一
一
一
一
一
呷
一
一
1幽
一
一
°
・
一
一
一
一
一
噂
1■
ち一
:θ,=
=
20
1’
.
,
一一
:θ o=4
°丶
.
.
○
:完 全 形 状ξ皿=
0
.
0
’
・
・
.
.
.
△ 3部材初 期不整ε 楙
蕭
0
.
01
口
:部材 初 期不eq
ε1
,1
=
O
.
02
0
.
A
図一
12 部材 初 期不 整を考 慮し た座 屈 応 力 度し
b)ロー
ラー
支 持、
.
0
一
98
一
σ
8
.1
σy1.
0
O
.
5
0
a・
〉ビン支 持AO
σぎ
.1
σy1
.
0
0
.
5
0
b)ロー
ラー
支持AO
図一
13 高 降 伏応力度部材を用い た場合の座 屈 応 力 度 期 不 整による座 屈 応 力 度の変 化を 検 討 す る。
図一
5の形 状 初期不整を図一7
に示し た位 置に導 入し た場
合の解 析結果を,
ピン支 持の場 合は図一
11a,
ロー
ラー
支 持の 場 合は図一
llb に示す。
ただ し,
形 状 初 期 不 整量 Eg は0.
1,0,
2
の 2種 類である。
図一
11a,
b
から形 状 初期 不 整の影 響は,
ピン支 持の場 合に顕 著に現れ るこ と がわ か る。
特に Eg三
〇.
2の場 合に は ∈g=
0,
0に比較し て, 座屈応 力 度 は 最 大 30% 程 度の低 下を示 しでい る。 し か し ながら,e
,=
4“
,
λ。=
100以 上の場 合に は,
座 屈 応 力 度は ほとんど低 下し て い な い。
これ は,
ドー
ムを構 成す る部材が細い場 合に, ラ チス ドr ム の座 屈 荷 重が部 材座 屈 的な座 屈 性 状に よ り決 定さ れる ためである。 よっ て,一
般 的に ピン支持 ドー
ム で は,
形 状の不 整に対し て 極め て敏感で あ ると 考え ら れ る。
以 上により, ピン支持 の 場 合に は低 減 率 a を0.
7と す れば,
式 (11)は解 析 結果の下 限 値を与える ことにな る。
一
方,
ロー
ラー
支 持の 場合に は, ほ とん ど形 状 初 期 不 整の影 響が現れて いない。
4.
2.
3部材 初 期 不 整が弾 塑 性 座屈応 力 度に与え る影 響
図
一
6の部 材 初 期 不 整 を 図一
7に示した位 置に導入 し た場 合の 解 析 結 果 を,
ピン 支 持の場 合は 図一12a
, ロー
ラー
支持の場合は図一
12b に示す。 た だ し,
E。
、
VS O.
Ol,
0.
02
で あ り, こ の不整
量は鉄 骨 精 度 測 定 指 針 21)に お け る梁の 曲が りの標 準 許 容 差 [式 (12)]に基づ いて設 定 し た。δ≦
t
。/1
ooo
かつ δ≦lomm−・
…・
…・
・
一
……・
(12) こ こ で,
δは た わ み許 容差, るは部 材 長で あ る。 よっ て,
本解 析 で は部 材 長 は 300cm で あ り,
初 期た わ み δは0.
3cm
以下.
にな る。・
図z−
12a,
b
に示す と おり,
両 支 持 条件と もに部 材 初 期 不 整の影 響は ほと ん ど 現れ て い ない。
本 研 究で与え た程 度の部 材 元た わ みに対 して は, 不 整の影 響はき わ めて小 σ畧
。1
σy1.
0
0
.
5
A
O
O
図一14
周 辺補強モ デル による座 屈 応 力 度 (ロー
ラ「支 持〉 さ い と言え る。
4.
2.
4 部材の降伏 応 力 度が弾塑性座 屈 応 力 度に与え る 影 響 高い降 伏 応 力 度を持つ 部材に よ り構 成され た モデル の 解 析 結 果を,
ピン支 持,
ロー
ラー
支 持につ い て そ れ ぞれ 図一
13a, b に示す。 高 降伏応 力 度とし て は σy1Z.
8,
3.
8tf/cm2 注41 を用い て い る。
図一
13a か らわ か る よ う に, ピ ン支 持モ デル の各 座屈応 力 度は σ y=
2.
4 tf/cm2 の 部 材 を用い た完 全 形状ドー
ム の結 果に比べ,
若 干の低 下 が生 じて い る。
よっ て,
ピン支持 ∂)場 合に は低 減 率 α をO.
9とする ことに より,
式 (11)が解 析 結 果の下 限値 を与え る ことにな る。,
4.
2.
5 周 辺の補 強が弾塑性座屈応 力 度に与え る影 響 周 辺 部 材に軸力 が 集 中 するロー
ラー
支 持につ い て,
図一
3に示す 周 辺 領域の部 材 を補 強し た場 合の検 討 を 行っ た。
正 規 化 細 長 比 A に対 する座 屈 応 力 度の値 を 図一
14 に示す。
周 辺 を補 強し た場 合に は,
ロー
ラー
支 持である一
99
一
にもか かわ らず