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The Japan Society for Economic Education Article The Journal of Economic Education No.33, September, 2014 論文 経済政策としての 経済教育の展開 Ⅱ Deployment of the Econ

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 本稿は紙幅の都合で(Ⅰ)(Ⅱ)に分けており,『経済教育』 第 32 号に(Ⅰ)を掲載し,『経済教育』第 33 号に続編として (Ⅱ)を掲載した。

Ⅲ.日本の経済教育の現状

 Ⅰ章にて述べたように,厳しい経済状況を踏まえて 日本においても経済教育の必要性は認識されるように なってきており,様々な取り組みが行われている。以 下では日本の経済教育の現状について,それぞれの推 進主体等に基づいて分析を行う。 1.学習指導要領1)  学校教育の内容は学習指導要領において詳細に定め られている。2002 年には「生きる力」の育成のため に確かな学力,豊かな心,健やかな体を育むことを目 標にした学習指導要領が定められた。それに基づいて 児童・生徒が自発的に横断的な課題に取り組む総合的 な学習の時間が小学校から高等学校までに設けられた。 総合的な学習の時間は,経済教育の妨げとなる「教科 の壁」を取り除くものであり,経済分野の取り組みも 行われるようになった。2011 年の学習指導要領にお いては,ゆとり教育による学力低下から,知識や技能 の習得とともに思考力・判断力・表現力などの育成が 掲げられた。  経済分野を扱うことが多い社会科では,長年にわ たって年号や地名を暗記する科目と考えられてきた が,2)新しい学習指導要領では単なる知識ではなく, 考え方を重視している。そのため中学校の公民的分野 で「現代社会をとらえる見方や考え方」として「対立 と合意,効率と公正」という経済に関する概念が導入 された。  人間は社会集団を形成して,そこに所属して生活を 送っている。同じ社会集団に属するとはいえ,個々人 にはそれぞれの個性があり,価値観や生活様式は異 なっている。そのため同じ社会集団に所属していても 全ての点で一致することはなく,社会集団内での意見 の相違や利害関係の対立が生じる。そのような「対 立」を相互の立場を尊重し,互いの意見の相違を理解 しながら,互いに協力して乗り越えて「合意」を形成 することが求められる。  また,そのようにして形成された「合意」が妥当で あるか否かを判断する基準となるのが「効率」や「公 正」の概念である。「効率」の観点からは,合意され た内容が合理性に基づいた無駄を省いた最善の方法に なっているかを検討する。「公正」の観点からは,合 意形成に関して民主的な手法に基づいて全ての参加者 に平等に機会が与えられたか,合意によって著しく不 利益を被る者がいないかを検討する。  このように「対立」を乗り越えて「合意」を形成し, その「合意」が「効率」に基づいており,かつ「公 正」なものかを検討するという一連の行為が「現代社 会をとらえる見方や考え方」である。  現代社会が複雑化し,多様な価値観から利害関係の 調整が困難となったことで,「現代社会をとらえる見 方や考え方」として「対立」を乗り越えて「合意」を 形成し,かつその「合意」が「効率」に基づいて「公 正」なものかを見極める能力が必要とされるように なった。  また,「対立と合意,効率と公正」の概念の導入は, 市場経済システムを前提としたものとなっている。学 校教育は学問的な背景を踏まえて行われることから, 学習指導要領も学問的な体系に基づいて定められてい る。このことは経済分野も同様である。しかしながら, 経済学の基本となる経済理論は市場経済システムを前 提としたマクロ経済学・ミクロ経済学に基づいた数理 経済学と計画経済を前提としたマルクス経済学に基づ

Article

The Journal of

Economic Education No.33, September, 2014

論文

経済政策としての

経済教育の展開(Ⅱ)

─日本の経済教育の推進のために─

Deployment of the Economic Education as the Economic Policy (II) :

For Promotion of the Economic Education in Japan

水野 英雄(椙山女学園大学)

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いた制度的・歴史的アプローチの経済学とに分かれて いる。これまでの学習指導要領やそれに基づいた教科 書は両方の内容を含んでおり,両方を教えることは困 難であるために,中途半端な状態となっていた。また, 古い概念から新しい概念まで扱うために学習内容の量 が増える一方であった。例えば,重商主義や重農主義 を扱う部分から,マクロ経済学やミクロ経済学の考え 方に基づいた部分,さらには最新のゲーム理論や行動 経済学に基づいて考えるべき部分3)やコンプライアン ス等の法律に基づいた部分まであった。そのため量が 多すぎる原因になっている。さらには,現在の経済学 の教育が理論を重視するものであり,現実の制度や政 策との関係を理解しにくい面がある。  現代社会は市場経済システムに移行したことから, 「効率と公正」は市場経済システムに基づいた分析に 絞っていくことで,学習の論点を明確化することが可 能である。アメリカの CEE(CouncilforEconomic Education,経済教育協議会,旧 NCEE)による経済 教育のスタンダードをはじめ,諸外国の経済教育に関 しては,市場経済システムを前提に内容を設定してい る。また,諸外国では現実の問題との関係を重視して おり,理解を深めやすくなっている。「対立と合意, 効率と公正」の概念の導入は経済学の学問的背景を踏 まえたものであり,諸外国のスタンダードに一歩近づ いたものとなっている。 2.政府・自治体  政府は 2005 年を「金融教育元年」と定めて,経済 教育の推進主体となる組織の整備や各種のイベントの 開催,教材の提供などを行った。  政府主導で行われている主な経済教育には①消費者 教育と②金融教育がある。 ① 消費者教育  経済の発展に伴い様々な商品が誕生したことで消費 者に被害や損失が生じる機会が増えている。また,状 況によってはその損失は政府が補填し,最終的には納 税者が負担することになる場合がある。様々な悪質商 法や振り込め詐欺等も流行している。そのため,消費 者にはそれらに関する知識を身に付けることが求めら れる。  長い人生の中で,自立した消費者としての生涯を送 ることは,個々人の生活にとっては重要な課題である。 また,自立した消費者の育成は,規制や保護に必要な 社会的コストを低下させる。そのため消費生活に必要 な経済や金融に関する知識を普及させることは,消費 者がより豊かに暮らすための方策を得ることにつなが る。  そのような背景を踏まえて,2009 年には消費者庁 が設置され,消費者教育に関しても取り組みを行った。 また,2012 年 12 月に消費者教育の推進に関する法律 (以下,消費者教育推進法)が施行され,学校におけ る消費者教育に関してより一層の取り組みが進められ た。消費者教育推進法の施行を受けて,学習指導要領 においても経済分野の充実が図られた。 ② 金融教育  ①の消費者教育と同様の観点から,金融に関する教 育も重視されている。アジア通貨危機やサブプライム ローン問題に伴うリーマンショック,ギリシャ発の ユーロ通貨危機等の過去の世界経済の混乱の原因は金 融に関する問題によるものが多い。それらの金融危機 の原因は,個人投資家だけでなく,機関投資家におい ても金融自由化による複雑な金融商品を理解できずに 購入しているためである。  同様に日本においても金融自由化による金融商品の 複雑化や世界経済における様々な金融危機の影響から, 問題が生じている。  そのため金融制度や金融リスクを正しく理解し,適 切な資産運用によって老後の資金を確保し,生活保護 等に頼ることなく安定した生活を送るために,金融に 関する専門的な知識の教育が求められており,金融リ テラシーとして必要な知識の普及のための取り組みが 行われている。  日本における金融行政を担う機関として 2000 年に 金融庁4)が設置され,金融行政の一環として,金融市 場の活性化を目指して金融知識の普及を図っている。 2005 年には金融教育元年のもとで,政府主導により 金融機関や各種団体によるイベントやセミナー等の 様々な取り組みが行われた。  その他の観点からの現代社会における経済に関する 教育としては,キャリア教育,起業家教育,食育, ESD(EducationforSustainableDevelopment,持続 可能な開発のための教育)等があげられる。  若者の働く意欲の低下からキャリア教育が重視され ている。キャリア教育は職業を通じて自分がお金を稼 ぐことの意義,即ち自らの自己実現と社会への貢献を 考えることである。そのためキャリア教育の普及は就 労意欲を高めるとともに,「ブラック企業」等の極端

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な職場で働くことを回避することや,ワークライフバ ランスによる仕事と家庭のよりよい両立を可能にする。 また,キャリア教育は起業家教育にもつながり,低迷 する日本経済において,新規産業の育成の契機となる。  その他では,食品の安全・安心や健康,食料自給率 の関係から食育が重視されている。さらには,これら をまとめたものとして位置づけられる,環境や資源に 関する制約のもとでの ESD が推進されている。  このように経済分野の扱うべき内容は多岐にわたっ ている。経済教育の重要性の認識は高まり,政府の政 策によって教員向けの経済教育のためのイベント等や 教材の提供は増えている。各種のイベント等への参加 者は増えており,様々な教材の活用が行われるように はなってきているが,教員は約 100 万人いることから 考えると,参加者も実践事例も相対的にみてまだまだ 少ない。そのため政府によるより一層の取り組みが必 要である。 3.学校  学校における経済教育は経済的知識の普及のために は欠かすことのできないものである。しかしながら, 現状では積極的に取り組まれているとは言い難い。金 融庁が 2004 年に実施した「初等中等教育段階におけ る金融経済教育に関するアンケート」によれば,金融 経済教育に関して「重要でありかつ必要である」とい う回答が小学校 57%,中学校 75%,高校 81%と最も 多くなっている。その一方で,金融経済教育の実践に 関しては,「積極的に行っていきたい」は小学校 6%, 中学校 19%,高校 29%にしか過ぎず,「必要に応じて 行っていきたい」は小学校 88%,中学校 78%,高校 69%となっており,実際に積極的に金融経済教育に取 り組んでいるとは言い難い状況である。  金融経済教育に積極的ではない要因として最も多く あげられたのは,「学習指導要領での扱いが異なるた め」が小学校で 50%,「教科書等に関係事項の記載が 少ないため」が中学校で 44%,「社会における金融経 済教育に対する必要性の認識が異なるため」が高校で 44%となっている。また,金融経済教育のより一層の 推進を図るために金融庁が行うべき施策に関しては, 「文部科学省をはじめ教育行政機関との連携を強化す べきである」が小,中,高ともに約 70%という回答 であり,次に「関係の教科教育研究団体との連携を 図っていくべきである」が約 20%となっている。金 融経済教育に関する金融庁への意見としては,小,中, 高ともに「児童・生徒に理解できるような金融に関す る消費者保護策などの情報を積極的に提供して欲し い」という回答が約 50%と最多となっている。次い で「租税教室と同様,金融経済教室を開催してほし い」が小学校では 23%,「教師に対し,金融経済の研 修会などを主催して欲しい」が中学校で 14%,高校 では 23%となっている。  同様の調査結果は多く,5)学校において経済教育の 重要性は認識しているが実践はなされていない現状が 示されている。その理由は「保護者からの苦情が怖 い。」「経済に関して教える能力がない。」という点に まとめられる。学校教育において「子どもにお金の話 はすべきではない。」という認識は教員も保護者にも 根強く残っている。特に近年は「モンスターペアレン ト」と呼ばれる過剰な要求を行う保護者の存在から学 校が委縮し,苦情になりそうなことを避けることから, 経済教育に関して積極的に取り組まない学校もある。 また,教員になるための教育の中で,経済に関する知 識を学ぶ機会はほぼ皆無であることから,教員が経済 に関する教育を行うことを困難にしている。(詳細は 6 節にて述べる。)経済のような個々人から社会,さ らには世界まで対象が広範な分野に関してはどの教科 で取り上げるかが定まっておらず,「教科の壁」が存 在するために,既存の教科では対応が困難であること も指摘できる。6) 4.企業・業界団体,民間団体  経済活動の主体として企業は重要な役割を果たして いる。企業にとって消費者が関連する分野の知識を持 つことは,自社の商品に対する興味を高め,購買意欲 につながるものとして企業活動に有益である。また, 企業による経済教育は CSR(CorporateSocialRespon-sibility,企業の社会的責任)の観点からも評価される。 さらには,子どもに教育を行うことで,企業のイメー ジがよくなり,将来の優秀な人材の確保につながる。  そのため,自社の関連する分野での経済教育の取組 が行われている。具体的には企業の見学や子供向けの 教室の開催などが行われている。7)  しかしながら,企業活動は利潤追求であり,教育の 成果はすぐには出ないことから,費用対効果で検討が なされるため,積極的には取り組みにくい。特に,厳 しい経済状況の中で人材と費用が限られていることか ら,成果に直結しない教育を行うことが困難となって いる。  個別の企業や団体による教育は,それぞれの企業や 団体の利益となる内容,具体的には株式投資を増やす

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ための証券会社による投資教育などがあり,危惧され ている。しかしながら,バブル期のような短期的利益 を求めての株式投資の勧誘のような投資教育はかえっ て顧客を減らし,企業イメージを低下させるものとな る。そのため長期的な利益となるような投資教育を行 えるような教育内容や教材の整備が業界団体等によっ て行われており,健全な投資環境の育成のための教育 に移行している。8) 5.家庭  日常生活に経済活動は欠かせないものであり,生活 の場である家庭と深く関わっている。そのため積極的 に教えたいという家庭がある一方で,「子どもにお金 の話はすべきではない。」という認識の家庭もある。 経済的知識があるから豊かになり,豊かな家庭ほど子 どもに経済に関する知識を教えたがる。その一方で, 貧しい家庭は経済に関する知識が少なく,教えること が出来ないという経済教育に関する格差となっている。  筆者のうちの鵜飼遥佳は保護者が経済教育に対して どのような意識を持ち,学校や家庭で経済教育を進め ていくことに対してどのような考えを持っているのか を調べるために,小学校の子どもをもつ保護者 15 名 に対しアンケート調査を行った。(有効回答者は 13 名)このアンケートは標本数が少ないため,様々な保 護者の意見を反映できたわけではない。しかしながら, アンケートを実施した対象は愛知教育大学の小学校高 学年の親子を対象とした公開講座「親子で学ぼう!  経済のしくみ」の受講者であり,経済教育に熱心な保 護者であることから,積極的なニーズを把握するもの として分析できる。  「経済教育は必要か」という問いに対しては回答者 全員が「必要」と答えている。また,「家庭で経済教 育をすべきか」という問に対しては,「思う」が 54%, 「やや思う」が 31%で約 8 割の保護者が家庭でも経済 教育を行うべきと回答している。その理由として「自 己管理を学ぶ必要がある」「各家庭にあわせた経済教 育が必要であるから」「おこづかいなど家庭でも出来 ることはあるから」など,家庭に密接に関係した内容 で経済的能力を養うことの必要性が指摘された。但し, 「学校では学べないので……」といった,学校で行わ れる機会が少ないため,家庭での教育が必要であると いう意見もあり,経済教育が学校教育で浸透していな いことを示す指摘もあった。一方「どちらともいえな い」と回答した保護者の中には,「家庭では経済の仕 組みを教えるのは難しい」といった意見があった。経 済教育が普及していない中で,家庭においてどのよう な内容を教えるべきか定まっておらず,また,保護者 自身も学校で経済教育を受けてきていないために知識 が足りないという現状がある。このことは家庭におい て経済教育を実践する際の課題である。  実際に経済教育を家庭で保護者自身が行ったことが あるのかの質問に関しては,「ある」と答えた保護者 は 69%であった。その内容として一番多かったもの は,「おこづかいの使い方」についてであった。子ど もにとって一番身近なお金である「おこづかい」につ いては保護者にとって扱いやすいものである。その他 には絵本を使ったり,ニュースを解説したりしながら 各家庭で工夫した経済教育を実践しており,親が子ど もに伝えたいという思いが強いことが示された。  学校での経済教育についての意見では,「学校で経 済教育をすべきか」という問いに対しては「思う」が 85%,「やや思う」が 15%で全員が学校での経済教育 は「すべき」と考えていることが示された。また,そ の理由として「社会の仕組みや変化を子どもなりに知 る必要がある」「税金・保険・投資など最低限のルー ルは教えたほうがいい」など子どもにとっても身近な 社会について知ることの意義を示した意見や「家庭で は足りない部分や家庭では教えてもらえない子どもの ためにもすべき」といった学校という全ての子どもが 公平に学ぶことのできる場での経済教育の必要を示す ものがあった。また,保護者の学生時代についての質 問である「自分自身が学校で学びたかった経済知識が あるか」という問いに対して 77%の保護者が「ある」 と答えていた。また,その内容は「投資」「保険」 「カードの仕組み」など,自分の生活に深いものや金 融知識が多いことが示された。このように保護者自身 も学びたかった内容があることから,学校教育の中で は経済教育が不十分な内容であったことが示された。  学校・家庭を含めて経済教育はどの時期から始める べきかについては,一番多かったのは,小学校高学年 で 54%,次いで小学校低学年が 23%と小学校から始 めるべきと考えている保護者が 7 割以上であった。中 には就学前でもその年齢にあった経済知識を身につけ ることが可能だという意見もあり,早期の経済教育の 開始を求めていることが示された。  アンケート結果の最後にどの時期からどのような内 容を学校と家庭で扱うかを質問したところ,小学校低 学年では「買い物の仕方」「お金の意義」「お金の仕組 み」といったお金を使った基本的なやり取りを教えた 方がよいと考えている保護者が多かった。小学校高学

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年では「税金」「働く」「銀行」が多く,自分の身の回 りのことだけでなく,自分が暮らす地域や社会も学校 で扱って欲しいと考えている。中学校では「円安円 高」「将来設計」「財政赤字」など国や国際レベルの経 済,また自分の未来を見据えた経済について教えるべ きと考えていること示された。  家庭については,「就学前」では「お金の仕組み」 「おこづかいの意義」「買い物の仕方」であり,小学校 低学年も同じ項目が挙げられていた。このことから, 就学前から小学校低学年にかけて自分の生活に密着し たお金の使い方を学習すべきと考えていることが示さ れた。小学校高学年では「家計のやりくり」「税金」 「消費者教育」「クレジットカード」が多く,現金だけ でなく,カードやお金に関するトラブルなども早い段 階で学ぶべきという意識をもっていることがわかった。 中学校になると「保険」や「投資」など資金運用につ いて家庭でも触れさせていく必要があるという意見が 増えた。但し,中学校以降になると「必要ない」とい う意見も増え,家庭での教育より学校での教育への期 待が高まっていることが示された。また,例えば「お 金の意義」や「税金」などは学校の項目でも家庭の項 目でも似た時期に多く,学校と家庭の両方からのアプ ローチも期待されていることがわかった。  このアンケートを通して,保護者は経済教育の必要 性を認識していることが示された。また,そのほとん どが小学校や就学前からの学習を望んでおり,保護者 自身も経済について各家庭なりに子どもに教えようと している様子がわかった。また,経済教育を始める時 期も小学校や就学前といったとても早い段階から望ま れており,学校教育での積極的な取り組みが望まれて いた。  家庭と経済を考える際に「生活経済学」という分野 がある。経済教育に関しては経済は難しいものという イメージがあり敬遠されがちであるが,一番身近なか かわりである経済主体は家庭における「家計」であり, その「家計」は自分自身でもある。このような「家 計」と経済の密接なかかわりを扱うものが「生活経済 学」である。  具体的な内容としては消費者問題が挙げられる。消 費者問題は「消費者と生産者,販売者の立場が異なる ことによって消費者が受ける被害や不利益を引き起こ す問題」9)として定義される。科学技術が高度化し, 社会が複雑化する中で悪徳商法やインターネット被害 などから消費者の権利をいかに守るか,また消費者自 身がどのように自立した行動をしていくかが課題と なっている。多重債務や消費者信用も大きな課題であ り,自分がいくらお金を借りたのか,またいくら返さ なければならないのかわからず,自己破産してしまう ケースもある。このように自分の身の周りの行動から 起きうる問題にどのように対処していくのか考えるの が消費者問題である。  また,ライフサイクルも挙げられる。ライフサイク ルは,小学校・中学校のキャリア教育などで自分がど のような人生を送りたいかなどを考える機会である。 しかし,実際にライフサイクルを考える際に一番大切 なことは,それぞれのライフイベント(結婚,出産, 育児)において一体どのくらいお金が必要か,また家 を買う,などといった大きな額の買い物の際に貸借を どのように行えばよいかなど,家庭の中でのお金の動 きを考えることである。  このように家庭と経済は密接にかかわっていること が理解できる。しかしながら,日本では家庭において お金が何のためにどのくらい必要なのかを子どもに伝 えてこなかった。また学校においても経済と絡めて, ライフサイクルや消費者教育を行う機会は限られてい た。家庭でのお金の話は子ども自身の生活に密着して おり,将来働き始めた際には自ら家計を考えなければ ならない立場になるため,生活経済学の視点から家庭 と学校の連携による経済教育が求められる。 6.教員養成  図 1 は鵜飼遥佳・前田宗誉・村井望(2011)が行っ た愛知教育大学における社会科の教員志望(教員免許 取得予定)の学生に対するアンケート調査の結果であ る。問 3 経済学講義の受講コマ数に示されるように, 経済に関する授業の履修は約 9 割の学生が一つか二つ である。岩田年浩・水野英雄(2011)は全国の教員養 成系学部に経済学の授業に関するアンケート調査を 行ったが,同様のことは多くの教員養成系学部に当て はまり,経済の授業の受講は一つか二つである。この ことは社会科の教員になるためには一つぐらいは経済 学の授業があるが,それ以外の者は経済の授業を全く 受講せずに教員になるという,教員養成の段階で経済 が扱われていないことの問題が示される。10)  また,多くの教員養成系学部で経済学を担当する教 員は一人またはゼロである。11)経済学の教員といって も専門は様々であり,基本となる経済理論もマクロ経 済学・ミクロ経済学に基づいた数理経済学と,マルク ス経済学に基づいた制度的・歴史的アプローチの経済 学とに分かれており,一人の教員が両方を教えること

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は困難であるために,担当者の専門に依存して一方は 教えられるが,もう一方は教えられない状況となって いる。  そのため,図 1 のアンケート調査の結果に基づけば, 「問 2 経済について興味関心はあるが,問 7 経済的 知識は不十分であり,問 9 公民科で経済分野を教え ることには不安を持っている」という教育学部生像が 示される。既に教員となっている者についても同様で あり,経済分野に自信のない教員は多い。教員が教え ることができない,そのために児童・生徒は学校で教 えられていない,教えられていないから保護者(親) や教員になっても子どもに教えることができない,と いう悪循環となっている。それを「学校ではお金の話 はすべきではない。」という理由で正当化している。  教員養成系学部で経済学を受講する学生の多くは将 来社会科の教員になるが,社会科の学生は地理・歴史, 公民と分かれており,かつ公民であっても,経済学が 専門ではなく,法律学・政治学・社会学が専門の学生 が多い。そのため,経済に関する興味関心が低いこと は当然のことであり,問 10 履修した経済学講義の 感想では,面白くなかった,あまり面白くなかった, という回答が約半数で,面白かった,少し面白かった, は約 20%にしかすぎない。  これらの理由から,中学校社会科の教員養成であっ ても,経済に関する知識は十分ではない。ましてや主 免が小学校の社会科である学生が多い教員養成系学部 では,経済に関して高度に専門的な内容の教育は行わ れておらず,基礎すらも十分ではないという現状が示 される。 7.日本における経済教育の課題  これまでみてきたように,日本における経済教育に は次のような課題が挙げられる。  ①教育内容が体系的になっていない。  ②体験学習等の実践的な内容となっていない。  ③学校等での組織的な取組を行っていない。  ④教員の教える能力が不足している。  筆者らはこれらの課題が経済教育の推進を妨げるも のとなっていると考える。それを踏まえて次章では経 済教育の推進のための方策を検討する。

Ⅳ.経済政策としての経済教育の推進

 Ⅱ章において諸外国の経済教育の状況について,Ⅲ 章において日本の経済教育の現状を分析してきた。そ の結果,諸外国に比べて日本の経済教育の状況は十分 とは言い難いことが示された。  それを踏まえて,本章では諸外国の取り組みを考慮 した日本における経済教育の展開について,(1)教育 内容の体系化と取り組みの組織化,(2)教員の経済的 知識の向上,(3)体験的・実践的な教材の活用,の観 点から考察する。  これらの諸点については,Ⅲ章 7 節で述べた課題を 克服するためのものであり,これらの諸課題を解決す ることなくして経済教育の普及は不可能であり,重要 なものである。 1.教育内容の体系化と取り組みの組織化  経済教育が積極的に取り組まれているのはアメリカ とイギリスである。資本主義経済システムの国である アメリカとイギリスでは,市場メカニズムのメリット を活かすために,経済に関する知識の教育を行ってい る。同様の理由から,市場メカニズムに基づいた経済 発展を目指す韓国やその他の発展途上国においても経 済教育は積極的に取り組まれている。これらの国々で は,経済教育は経済政策の一貫として行われている。  経済教育の取組みは,アメリカ型の民間主導か,イ ギリス型の政府主導かに分けることが出来る。アメリ カ型では,民間の団体がそれぞれの裁量で教育内容や 方法を考え,実践している。それに対してイギリス型 では政府が方針を定め,それを実行している。  日本の教育制度は文部科学省によって体系的に行わ れているイギリス型であり,経済教育の普及はイギリ ス型の政府主導の方が容易である。食育や環境教育等 も,文部科学省主導であることから定着した。逆に, 経済教育が普及しないのは,文部科学省が優先順位を 低く認識しているからである。経済分野の教育でも キャリア教育や消費者教育推進法の施行後に力を入れ 始めた消費者教育は文部科学省主導によって学校に受 け入れられている。経済教育全般に関しても同様に文 部科学省の主導による取組みが求められる。  教育内容に関しても,日本はイギリスのように政府 主導であり,文部科学省の学習指導要領によって詳細 に定められている。教科書についても同様に文部科学 省による検定制度がある。このことは学習指導要領に 定めさえすれば,学校は実践せざるを得ないというこ とであり,現に中学校の学習指導要領において,「対 立と合意,効率と公正」という経済に関する概念が導 入されたことで,様々な実践が行われるようになって きている。

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調査対象:  平成 23 年度前期において 「社会科教育C」を受講する学生 標本数:161 名(予備調査 1 名含む) 調査時期:  平成 23 年 7 月 21 日~ 8 月 5 日 有効回収数(率):108 人(67.1%) 調査不能数(率):53 人(32.9%)

経済に関するアンケート

問 2 経済への興味関心

問 3 経済学講義の受講コマ数

問 4 経済に関する新聞記事を読むか

問 7 経済的知識

問 9 公民科を教える不安

問 10 履修した経済学講義の感想

51%

49%

15%

8%

1%

0%

27%

42%

3% 5%

9%

15%

26%

25%

18%

4%

14%

34%

5%

23%

10%

6%

63%

44%

40%

1%

1%6%

6%

12%

16%

4%

17%

どちらとも いえない ある 少しはある あまりない ない 2 コマ 8 コマ 4 コマ 3 コマ 1 コマ 無回答 やや不十分 十分 やや十分 どちらとも いえない 不十分 無回答 少しある ない あまりない どちらとも いえない ある 無回答 あまり 面白くなかった 面白かった 少し 面白かった どちらとも いえない 面白くなかった 無回答 あまり 読まない ときどき 読む よく読む 読まない 図 1 教員養成系学部の学生へのアンケート 【出典】 鵜飼遥佳・前田宗誉・村井望(2011) 「先生のための金融教育(小学校編/中高編)」 日本銀行『第 7 回日銀グランプリ〜キャンパスからの提言〜』 論文 http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/data/ rel111214a3.pdf

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 但し,学習指導要領は詳細であることから内容が多 すぎる面があり,児童・生徒の発展段階に応じた内容 に厳選する必要がある。また,社会科にありがちな単 なる暗記科目としてではなく,アメリカ型の実学志向 に近い,実際に役立つ内容を積極的に取り入れること が求められる。  アメリカやイギリス,韓国の教育課程や目標を見て みると,経済教育は市場経済システムを積極的に教え ていくことで行われている。日本においても経済教育 の機会を増やしていくとともに,市場経済システムと いう現在の経済の考え方を明確に示していく必要があ る。 2.教員の経済的知識の向上  教育はサービス産業であり,教育の質は教員の資質 に依存する。そのため教員の資質向上のために教員免 許更新制度の導入や教職大学院による教員養成の修士 化などの改革が行われている。  現在の教員養成には「量」と「質」の問題がある。 教員養成系学部だけでなく一般の学部においても大量 の教員免許取得者が養成されているが,実際に教員に 採用されるのはその一部であり,多くの教員免許取得 者は教職に就いていない。教員採用数の変動は大きく, 近年は東京などの大都市部では倍率が 2 倍程度と極め て低く,「教員全入時代」といえる状況となっている。 そのため質の低下が懸念されている。  これらの「量」と「質」の問題からも先に述べた教 員養成改革が検討されており,そのモデルとされたの は本稿の前編である「経済政策としての経済教育の展 開(Ⅰ)─諸外国における政策との比較から」のⅡ 章 5 節で述べたフィンランドであり,修士化による養 成の高度化やコアカリキュラムの整備,教育実習の拡 充などが検討されている。12)  経済教育の観点からは,教員養成での経済教育の義 務化が考えられる。同様に「経済政策としての経済教 育の展開(Ⅰ)─諸外国における政策との比較から のⅢ章 6 節で述べたように,教員になるための教育の 中で,経済に関する知識を学ぶ機会はほぼ皆無である ことから,教員が経済に苦手意識を持ち,経済に関す る教育を行うことを困難にしている。13)そのため,先 のフィンランドの教員養成における「教科の専門家で あるとともに教育の専門家となるように工夫する。」 に示されるように,教員の専門科目としての経済を教 える能力の向上が求められる。そのためには教員にな る上で必要な経済的知識を定義し,それを教えるため の教員養成における経済教育カリキュラムを確立し義 務化することが必要である。  フィンランドにおいては総合制教育学校や高学年の 担任をする者は他学部の専攻科目の履修が可能である。 日本の教員養成系学部においても他学部である経済系 の学部の専門科目の履修を可能にすることで,経済教 育を実践が可能な教員を養成することが出来る。但し, 確立された経済教育カリキュラムがなければ初学者に 経済系学部の高度に専門的な内容の授業が行われるよ うな事態となることが危惧され,「教科学」の観点か ら,教科の専門家であるとともに教育の専門家となる ように授業内容を工夫することが必要である。  優れた教員の養成のためには,教員養成の高度化と 共に,教員養成の早期化も考えられる。ドイツにおい ては職業選択は早期に行われ,それに基づいた専門職 養成としての学校教育が行われる。教員に関しても同 様に,大学以前の段階で意欲を持った人材を見出し, 早期からの専門職教育を行うことが優れた人材の育成 につながるものと期待出来る。14)また,その職業に適 していないと判断した場合には,早期に違う進路への 変更が可能となるというメリットもある。15)  さらには,教員になった者への継続的な取組も重要 である。経済は生き物であり,日々刻々と状況は変化 する。新たに学ばなければならない知識も増えていく。 そのため各種の研修等で最新の経済知識を学び続ける 必要がある。アメリカなどでは民間の団体がそのよう な役割を担っており,教員向けの各種のセミナー等が 開催されている。日本においても経済団体等がそのよ うな継続的な教員への研修の重要性を認識し始めてお り,各種のセミナー等が推進されている。 3.体験的・実践的な教材の活用  経済教育が学校教育の中で積極的に取り組まれてい ない理由は教員が経済について教える方法を学んでい ないためである。そのため 2 節で述べたように,教員 養成系学部において将来教員になる学生に経済につい て学ぶと同時に,教える方法を学ばせる必要がある。  具体的には,貿易ゲームや株式ゲーム等の経済ゲー ムによるアクティブラーニングの授業を通じて実践的 な学習の方法を学ばせることである。貿易ゲームや株 式ゲームなどの体験型授業を実施することで経済をよ り身近なものとして理解を深めることができ,かつ教 員になった際にはその授業は実践としてすぐに役立つ ものとなる。16)特に,経済問題は利害関係が生じるこ とから,経済ゲームを通じて「対立」から「合意」を

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導くことは,「現代社会をとらえる見方や考え方」を 学ぶものとなる。  諸外国では経済分野の体験型学習は多くの実践が行 われている。アメリカの経済教育は実学志向であり, ゲーム教材等を用いて体験的な学習を行っている。イ ギリスの子供信託基金も,自らの運用の経験を通じて 学ぶものである。日本の教員養成系学部においても実 践事例がある。17)  「経済ゲーム」のような体験型学習は教員養成系学 部のような経済に興味関心が低い学生にも経済や経済 学を嫌いにさせない。現在は教員養成改革が検討され ているが,経済分野に限らずアクティブラーニングは 教員になって役立つ実践的な内容の専門教育として効 果的である。  筆者の経験では,経済ゲームの授業を受けた学生か らは高い評価を得ており,「教員になったら実践して みたい。」という意見が多い。このことは,ただ単に 経済ゲームを行うのではなく,「学校教員に役立つ経 済的知識の教育」という明確な目的意識を持っている ためであり,そのような問題意識から教科学や教科開 発学としての展開が可能である。18)また,教員養成系 学部の学生も教員になった際に役立つ実践的な授業を 望んでいる。19)

Ⅴ.まとめ

 本稿では諸外国における経済教育の現状を分析し, それらの取り組みと比較しながら日本における経済政 策としての経済教育の展開について考察を行った。過 去の研究においては諸外国の事例の紹介は多いが,本 稿ではそれらを踏まえて各国の経済教育を比較し,そ の上で日本における経済政策としての経済教育の方策 を示すことができた。  その結果,日本における経済教育の推進のためには, ①教育内容の体系化と取り組みの組織化,②教員の経 済的知識の向上,③体験的・実践的な教材の活用,が 必要であることが示された。  ①に関しては,経済教育が積極的に取り組まれてい るアメリカを参考にして経済教育の推進を論じている 研究が多いが,日本の教育制度は文部科学省によって 体系的に行われているためイギリス型であり,経済教 育の普及のためにはイギリス型の政府主導の方が容易 であることを考慮すべきである。  ②に関しては,フィンランドの教員養成のように教 科の専門家としての教員養成を経済分野において行う ことを推進すべきである。  ③に関しては,教育の質的転換の中で体験型学習の 導入は経済分野だけでなく全ての教科に当てはまるこ とであり,教材の開発やそれを使いこなせる教員の養 成が求められる。  資源や環境の制約が厳しくなる中で,経済発展を達 成していくためには ESD のように経済的知識は不可 欠のものである。経済政策としての経済教育の積極的 な取組みが求められる。 註 1) 本節は水野英雄(2013)「経済システムの変化と学習指導 要領における「対立と合意,効率と公正」の概念の教員 養成における理解」に依拠している。 2) 社会科が暗記科目であるという認識は受験による影響が 大きい。 3) 「対立と合意」はゲーム理論や行動経済学に基づいて分析 が可能である。 4) 前身は 1998 年に設置された金融監督庁である。 5) 同様の調査には証券知識普及プロジェクト・金融証券知 識の普及に関する NPO 連絡協議会(2005)「学校におけ る経済・金融教育の実態調査」等があり,経済教育の重 要性は認識しているが実践はなされていない現状が示さ れている。 6) そのため,1 節で述べたように総合的な学習の時間等の活 用が効果的である。 7) 詳しくは梅下隆芳・水野英雄(2009)「地域の企業等との 産学連携による経済教育」,水野英雄(2010)「産学官連 携による実習等を活用した教員養成」他を参照。 8) このような取組はコンプライアンスの観点からも行われ ている。 9) 大藪千穂(2012)『家庭経済学』205 ページより引用。 10) 筆者のうち水野英雄らは教員養成系学部においてどのよ うに経済学の授業が行われているかを調査しているが, 十分な状態であるとは言い難い。また,大学の定員削減 によって,経済学の専任の教員のいない教員養成系学部 が増えている。詳しくは岩田年浩・水野英雄(2010)「教 員養成系学部ではどのような経済の授業が行われている のか─教員養成系学部への調査結果から─」を参照。 11) 詳細については前掲書を参照。 12) 詳しくは本稿の前編である水野英雄・鵜飼遥佳(2013) 「経済政策としての経済教育の展開(Ⅰ)─諸外国におけ る政策との比較から─」『経済教育』第 32 号を参照。 13) 詳しくは前掲書を参照。 14) 早期化による教員養成として,愛知教育大学と愛知教育 大学附属高校では「高大連携教育システム」を設けてお り,教職への高い意欲を持った人材を早期に選別し,組 織的かつ継続的に育成することで有為な教員を養成する ことを目指している。大学への入学についても高大連携 特別選抜入試によって行っている。 15) 教員になってすぐに退職する者が増えているが,早期の 人材育成はそのような人材のミスマッチを事前に防ぐこ とにつながる。 16) このような体験型授業の実践についての詳細は水野英雄 (2010)『少子化時代の教員需要と教員育成の課題』他を 参照。 17) 経済ゲームや起業体験等の教員養成系学部における体験

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型学習の実践事例を紹介している。詳しくは岩田年浩・ 水野英雄編著(2012)『教員養成における経済教育の課題 と展望』三恵社を参照。 18) 教科学や教科開発学は,教員養成系学部における専門教 育のあり方を示すものである。詳しくは水野英雄(2011) 「教員養成における経済教育の展開─児童・生徒の「生き る力」を育むために─」を参照。 19) 鵜飼遥佳・前田宗誉・村井望(2011)「先生のための金融 教育(小学校編/中高編)」日本銀行『第 7 回日銀グラン プリ〜キャンパスからの提言〜』において,教員になっ てから役立つ経済分野の授業として,学生が自ら体験型 学習を含めた授業の提案を行っている。詳しくは水野英 雄・鵜飼遥佳・前田宗誉・村井望(2012)「社会科におけ る経済分野の教科開発学における展開」を参照。 参考文献・資料 [1] 岩田年浩・水野英雄(2011)「教員養成系学部ではどのよ うな経済の授業が行われているのか─教員養成系学部へ の調査結果から─」『経済教育』第 30 号 [2] 岩田年浩・水野英雄編著(2012)『教員養成における経済 教育の課題と展望』三恵社 [3] 魚住忠久・山根栄次・宮原悟・栗原久編著(2005)『グ ローバル時代の経済リテラシー 新しい経済教育を作る』 ミネルヴァ書房 [4] 鵜飼遥佳(2013)「学校と家庭の連携による経済教育─よ りよく社会を生きるために─」愛知教育大学卒業論文 [5] 鵜飼遥佳・前田宗誉・村井望(2011)「先生のための金融 教育(小学校編/中高編)」日本銀行『第 7 回日銀グラン プリ〜キャンパスからの提言〜』  論文 http://www.boj.or.jp/announcements/release_2011/ data/rel111214a3.pdf  プレゼンテーション資料 http://www.boj.or.jp/announ cements/release_2011/data/rel111214a4.pdf  審査講評 http://www.boj.or.jp/announcements/release_ 2011/data/rel111214a11.pdf [6] 梅下隆芳・水野英雄(2009)「地域の企業等との産学連携 による経済教育」『産学官連携による実習等授業の教育効 果に関する研究─社会的ニーズを踏まえた人材育成のた めの試み─』報告書 愛知教育大学 [7] 大藪千穂(2012)『家庭経済学』放送大学教育振興会 [8] 加納正雄(2005)「アメリカの NCEE と日本の「公民」の 経済教育の比較研究─市場と価格の理論をめぐって─」 『滋賀大学教育学部紀要 教育科学』第55 号 [9] 加納正雄(2006)「アメリカの NCEE と日本の経済教育の 比較研究─利潤追求,競争,市場経済の評価に関して─」 『滋賀大学教育学部紀要 教育科学』第56 号 [10]加納正雄(2007)「アメリカの NCEE と日本の経済教育の 比較研究─金融教育に関して─」『滋賀大学教育学部紀要  教育科学』第57 号 [11]加納正雄(2008)「アメリカの NCEE と日本の経済教育の 比較研究─仕事と職業に関して─」『滋賀大学教育学部紀 要 教育科学』第58 号 [12]加納正雄(2009)「効率と公正を学ぶための経済教育」 『滋賀大学教育学部紀要 教育科学』第59 号 [13]姜泰権(2008)「韓国の高校における経済教育の現状─釜 山を中心に─」『経済教育』第 27 号 [14]金融広報中央委員会・知るぽると 各種資料・ホーム ページ http://www.shiruporuto.jp/ [15]金融広報中央委員会(2009)『金融教育プログラム─社会 の中で生きる力を育む授業とはー』 [16]金融庁(2004)「初等中等教育段階における金融経済教育 に関するアンケート」 [17]金 融 庁(2005)「 金 融 教 育 に 関 す る 国 際 比 較 」2005 年  http://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/singi/f-20050524-1/02.pdf [18]金融庁総務企画局政策課(2006)「初等中等教育段階にお ける金融経済教育に関するアンケート調査結果報告書」  http://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/sonota/f-20040831- 3b.pdf [19]ゲーリー E. クレイトン著,大和証券商品企画部訳,大和 総研教育事業部監訳(2005)『アメリカの高校生が学ぶ経 済学─原理から実践へ─』WAVE 出版 [20]庄井良信・中嶋博編著(2005)『フィンランドに学ぶ教育 と学力』明石書店 [21]証券知識普及プロジェクト・金融証券知識の普及に関す る NPO 連絡協議会(2005)「学校における経済・金融教 育の実態調査」 http://www.jafp.or.jp/about/research/fil es/houkoku.pdf [22]消費者教育支援センター著(2000)『経済学習のスタン ダード 20─21 世紀のアメリカ経済教育─』 [23]消費者庁(2012)「消費者教育の推進に関する法律の概要」  http://www.caa.go.jp/information/pdf/kyouiku_gaiyou.pdf [24]全国銀行協会(2008)「金融経済教育の一層の充実に向け て」 http://www.zenginkyo.or.jp/news/entryitems/news 200229_1.pdf [25]タルヤ・ホンカネン,ヘイッキ・マルヨマキ,エイヤ・ パコラ,カリ・ラヤラ著,高橋睦子監訳,ペトリ・ニエ メラ,藤井ニエメラ・みどり訳(2011)『フィンランド  中学校現代社会教科書─15 歳市民社会へのたびだち─』 明石書店 [26]中央教育審議会(2012)「教職生活の全体を通じた教員の 資質能力の総合的な向上方策について(答申)」 http:// www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__ icsFiles/afieldfile/2012/08/30/1325094_1.pdf [27]内閣府経済社会総合研究所(財団法人日本経済教育セン ター委託研究)(2005)『経済教育に関する研究会』中間 報告書 [28]服部一秀(2009)「ドイツおける経済教育の動向─ドイツ 経済教育学会版教育スタンダードに焦点化して─」『山梨 大学教育人間科学部紀要』第 11 巻 [29]福原敏恭(2008)「金融イノベーションの進展と米国にお ける金融教育の動向─サブプライム問題発生後の状況─」 金融広報中央委員会 http://www.shiruporuto.jp/teach/ consumer/report2/pdf/ron081017.pdf [30]福原敏恭(2010)「グローバルに拡大する金融教育ニーズ と英国における金融教育の動向─ポスト・クライシスの 金融教育に向けて─」金融広報中央委員会 http://www. shiruporuto.jp/teach/consumer/report3/pdf/ron100816. pdf [31]裴光雄(2012)「韓国の教員養成における経済教育─ソウ ル教育大学の経済学特殊講義の事例紹介─」岩田年浩, 水野英雄編著『教員養成における経済教育の課題と展望』 三恵社 [32]北欧閣僚評議会編(2003)『北欧の消費者教育─共生の思 想を育む学校でのアプローチ─』新評社 [33]文部科学省(2008)『中学校学習指導要領解説社会編』 [34]宮原悟(2010)「「経済教育」研究(第 5 報)─中学校新 学習指導要領社会科「公民的分野」における「対立と合 意」「効率と公正」をめぐって─」『名古屋女子大学紀要  人文・社会編』第 56 号 [35]水野英雄(2005)「経済教育の必要性と目標─初等教育か らの連続性を求めて─」『経済教育』第 24 号

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参照

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