鳥大演報 Nb■ 1979 01)
クスギおよびコナラの果実の発育 に
Changes in Chernical Constituents
ln OrercIPs acvrss′
阿a Carr.
ともなう化学成分の変化
橋
詰
隼
人
※
Hayato
during the Development of Acorns
and Overcvs serrara Thunb.
HASHIZUME
Summary
Changes in chemical cOnstituents during acorn development lvere studied in
Q.αc"ιJss'碗 and Q.scTTα施. The results obtained are as fOllows i
The cOntent of total sugar in acorns increased during the active growth period of acOrns(late August to mid September)and decreased during acorn maturation. The contents of crude starch and crude fat increased rapidly
from September to October. The contents of total nitrogen, phosphOrus,
calciunl, and magneSium decreased gradually accOrding to the progress of acorn development. Especially nOtable among these changes 、vas the accumu― lation of starch. The mature acorns of Q.α cvιJssl胸 and Q.dcTTα tt contained
about 46 percent crude starch, based on dry llreight.
H ク スギ
,コ
ナ ラは シイタケの原木 と して重要 な樹題 である。今 日,
シイタケ産業の発展,林
種転換 な どによ って原木が不足 し,原
木林造成の必要性が強調 されている。ク ヌギ,
コナラは しさ本が困難 で,新
し く原木林 を造成す る場合や,育
種 によ って よ り優れた もの を育成す る場合 には,結
実を促 進 して種子 を早 く,多
量 に とる必要がある。 そのためには,開
花・ 結実に関す るいろいろな問題 を研究 しなければな らない。筆 者は前報3∼づにおいて クヌギおよびコナラの結実,果
実の発 達な どにつ いて※ 鳥取大学農学部造林学研究室 ;LabOratOry oF Siiviculture,Facdty Of Agricdture,
TOttOri Ulliversity9 TOttOri 680
C72) 橋 詰 隼 人 研究 し
,そ
の結果 を報告 したが,今
回果実の発達 にと もな って化学成分が どの ように変化す るか を調 べ たので報告す る。 本研究 は,昭
和53年
度 文 部 省 利学 研究費補助金 によ って行 われた もので あ る。付記 して感謝 の意 を表す る。Ⅲ
材料 と方 法
1.材
料
1977年
に,岡
山県真庭 郡チ│1上村鳥取大学 蒜 山演習林 内の クヌギおよび鳥取市湖 山町鳥取大学 樹木 園内の 甲ナラか ら,前
者 は2年
目の果 実 を,後
者 は1年
目の果 実 を採取 して化学分析 に供 した。果実 は7月上旬か ら10月
中旬 まで, 10∼
15日
お きに採取 し, 65∼
70℃
で乾燥後粉砕機で粉砕 して, 体析時 まで-20℃
で貯 蔵 した。化学分析 には, 3月
下旬 までは殻斗 を含 む果 実全体 を用いたが, 9
月上旬以降 は殻斗 と堅果 を別々に分 けて分析 した。2.化
学 分 析 乾燥粉末試料 は, l VTPの節 を通 して化学分析 に用 いた。化学分析 は主 に栽培植物分析法 ° を参考 に して行 った。 炭水化物 :試 料05康を80%エ
タノール 100流ι(50泌
×2回
)で 1時間,熱
時 間 抽 出した。 抽出 液をろ別 し,減
圧下でエタノールを除 き,水
酸化 亜鉛法 で除蛋 自 し, 50寵どに定 容 した。その中か ら 0.5れををと り, 4%硫
酸 で 加水分解 して,全
糖 の定 量 に用 いた。残溶 は, 0.7N塩
酸で25時
間 加 水 分解 し,水
溶液 をろ別 して 除蛋 自後250記をに定容 し,そ
の中か ら05れ″をとって粗 デンプンの定量 に 用 いた。糖の定量 はソモギ・ ネルソン法 を応用 して行 い,
日立分光光度計で500″μの吸光 度 を測定 して求 めた。糖は グルコースとみな して計算 した。 また,粗
デ ンプンの量は測定値 に0.9を乗 じて 求 めた。 粗 脂防 :試 料 10分 を円筒 ろ紙 に と り,ソ
ックスレー抽 出器 を使用 して,
エテルエーテルで8時
間抽出 して求 めた。 全窒素 :試 料 0.5∼1分を濃硫酸で狩解 し,半
微量 ケルダール法 で定量 した。 リン :試 料17を
硝酸 と過塩素酸 で湿式灰化 した後100れをに定 容 し,
そ の 中か ら一定量をとって バ ナ ドモ リブデン酸法で発色 させ,
日立分光光度計で445″μの透過率 を測定 して求 めた。 カ リウム :試 料0.5量を0.2N塩
酸100滋
で1時
間,振
と うしなが ら抽出 し,ろ
液 を炎光光度計 で測 定 して求 めた。 カル シウム・ マグネシウム:試料2分を硝酸 と過塩素酸で泥式灰化 した後 1002を に定 容 し,そ
の 中か ら一定量 をと ってEDTA滴
定法 によ って定量 した。クスギおよびコナラの果実の発育にともな う化学成分の変化
Ⅲ
結 果 と考 察
1,炭
水化物および脂肪の変化
分析 の結果 をFig l∼31こ示す。果実 の全 糖 含有量 は7月上旬か ら漸次増加 し,コ
ナ ラでは8月上 旬か ら9月下旬 に,
ク スギでは9月上 。中旬 に最大にな った。堅果の全糖含有量はその後種子の成熟 に と もな って減少し
, lo
懸
月中旬に最低
亀
に
なっ
た
。し
ま
6 か し, ク ヌ■ゞ 電 4の殻斗の全糖
ほ
含有量は
9月起
2 上旬以降 も増力日を続 け, 種
Jtdy AtI&
能p. Oct.
子の落下時期
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孟評
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f監:丞t♂1 Q.αοtrtどssじ砲 and Q.w′砲施 に最 大 に な っ○:ulxdevebped frdt ●:Nut O i lnvOlucre (73) ” 50 〓 ∞ も 伊 ふ ︻ ﹃ ︼o , 口 ω 留 o 儀 た。堅実の粗 デ ンプンおよ び粗脂肪合有 量 は
,
コナ ラでは8月下旬か ら,
クヌギでは9月上旬か ら急激に増加 し,種
子の 落下時期 に最大 にな った。 クヌ ギの殻斗の粗デンプン含有量については著 しい変化がみ られなか った。 成熟種子の粗 デ ンプン含有率は クヌギ,
コナラとも約46%,粗
脂肪含有率は クスギが4.8%,コ
ナラが4.3%
であ った。 クヌギおよび コナラの種子 はデンプン合有量 が著 しく高 く,デ
ンプン種子 とい える。2.無
機 成 分 の 変 化 ――:Q.αむ,ιムdttα ――:Q.d?rr″α Fig・ 2∼8の符号 は Fig.1と 同様 で あ る。July Aug, Sep. Oct.
Fig.2 Seasonal changes in the cl■ lde
stalch cOntent Of acOrns
」
uly Augo Sep. Oct.
Fig・3 Seasonal chalages in the cnlde fat cOntent of acorns
果 実に含 まれ る無機成術の変化 をFig.4∼
8に
示 した。果実の全窒素合有量は,
クヌギ,
コナラと も7月上旬か ら9月中旬 までやや急 激に,そ
の後 は緩慢 に減少 して, 10月 中 旬 に 最 低 にな った。 リ ンの合有量 も全窒素 と同様に7月以降果実の発達,成
熟 に と もな って漸次減少 した。 カ リウムの含有 量 につ ぃて は クスギ,
コナラとも著 しい季節変化がみ られなか った。 カルシウムとマグネシウムの合 o馬 ︻ o芸 ネ も お 宿 o 曾 RC74J 橋 諸 隼 人
胞
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JJIァ Aug. Slep. Oct,
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asO範1,llanges,a the碗10中oO■tent Of acorns
July
喚 , .Sep. Ocr.B―g.ヨ 能 1,onal Cllang6れ 山o
tllagIIesiral.co■ tent of acOrn,
有量は7月‐
上旬から
9月
1中旬まで急激に,そ の後は緩慢に減少した
.。3.果
実
│の1発育 と化学 成分の変化 との関
1係クスギの果寿の発育と全糖および粗デンプンの含有景の変化との
1関係を
Fig鸞に示したとクヌギの
努 隠弘
ゴ
計
,︱︱ = l il ド クヌギおよびコナラの果実の発育にともな う化学成分の変化 05) 堅果 は8月下旬か ら9月中旬の 間に急速に生長 し て
, 10月
上 旬 にほぼ落下時期 と同 じ大 きさにな った。また堅果 の乾重量は 9月 上 旬 か ら10月
中 旬の 間に直線的に増加 し, 10月
中・ 下旬 に最大 にな った。堅果の生長 曲線 と全糖および粗 デ ンプ ンの合有量の変化 とを対比 してみ ると,全
糖の合 有量 は9月上・ 中旬に急激 に増加 し,堅
果 の伸長 生 長の ピークと一致す る。 また,粗
デ ンプ ンの含 有量 は9月上旬 か ら10月
中旬 まで直線的に増加 し,堅
果 の乾重量の増加 曲線 と一致す る。 コナラの堅果は 3月 中旬か ら9月中旬の 間に急 速 に生長 し, 10月
上 旬 に大 きさが最大にな った。 また,堅
果の乾重量 は 8月 下旬か ら種子の落下時 期 まで ほぼ直線的 に増加 した。堅果 の全糖含有量 は8月上旬か ら増加 し, 8月
下旬∼ 9月 上旬 に最 大 にな り,以
後減少 し, 10月
上 旬 に最低にな っ た。また,粗
デ ンプンの合有量は8月下旬か ら9 月下旬 まで急速 に増加 し,種
子 の落下時期 に最大 にな った。 コナラにおいて も,果
実の発達 と糖お よびデ ンプ ンの合有量の変化はよ く対応 して いる。すなわち, クスギや コナラの果 実の生長には糖が重要な役割 を演 じてお り,果
実の成熟に ともな って主 としてデ ンプンが貯蔵養分 と して種子の中に蓄積 し,乾
重量が増加す ることがわか った。BOmer卜
のは ォー ク類の果 実の成熟 にと もな う化学 成分の変化を研究 し, c.ん
ι∽ια,Q.蒻
即 , Q.クルιあsなどでは,果
実の成熟 に と もな って可溶性窒素 と可溶性炭水化物が減少 し,粗
脂肪 と不 溶 性炭水化物が急激 に増加す ることを認 めた。 また, Sllumard oakとwhte Oakで
は, 8月
下旬か ら 堅果の中に不 溶性炭水化物が急速に蓄積 し,前
者で は炭水化物の合有量 が平均25%,後
者で は40%
に達 した とき,種
子 は成熟 して発芽す るよ うにな った。次に無機成分の変化 についてみると,BOnner
の研究1∼かによるとオー ク類 では リン,カ
ル シウム,マ
グネシウムなどは一般 に種子の成熟 にと もな って減少す るよ うであ る。 クヌギ,コ
ナラでは,種
子の成熟 に ともなって デンプンと脂肪 が増加 し , 窒素,
リン,カ
ル シウム,マ
グネシ ウムが減少 し,BOnneゴ
∼)の結果 と大 体一致 した。V
摘
要
ヌギ とコナラの果実の発育 にと もな う化学成分の変化をしらべて次の結果 をえた。 全 糖の含有量 は果実の生長最盛期 に増加 し,果
実 の成熟 に ともな って減少 した。 粗 デ ンプンおよび粗脂肪の含有量は果実の発達,成
熟 に ともな って増加 したが,と
くに9月か 君邑
⊇ く ︵ .↓ ・ F ネ H ﹃ F 燥 荘 r り o Ю ヨ ︼ 。 ﹃ 宙 ミ ︼ミ 的 B の 一﹁ ゛ 。 ゛ 照 o り , 日 0 中目 O O % 40 30 20 10」
uly Aug. Sep. oct.
Fig.9 Thc relatiOn bet、 Юen acOrndevc10pment alld thc changes Of tOtal sugar and crude starch cOntcnts in Q.αctrιιssι馳
― Heigllt Of nuts O‐―‐O Total sugar content ― Dry weight Of nuts ●――-O crude starch cOntent
ク ´ 1 2
(76) 橋 詰 隼 人 ら