第21巻 通巻第48号(1970) 207
ブドウの早期落莫に閲す−る研究
Ⅴ 梅雨期の湛水・多湿が早期落葉に及ぼす影響について 樽 谷 勝 Ⅰ 緒 p 当地方のCampbell,s Early種ブドウ園における早期落葉庭ついて,筆者(14,)5)はさきに,梅雨期中の落葉には,お もに結果枝基部真における全英身の黄化と葉脈の糞変にもとずくものとの2類型がみられたことを報告した.−・般 に水田転換l詞や傾斜地下麓の平坦地閤の,梅雨期の連日降雨による滞水またほノ地下水位の過高が認められる園地で ほ,葉脈の糞変葉の発生と,それ紅ともなう落葉が多く観察され,この時期における早期落葉の特徴を示している ことが認められた1. 本報ほ.これらの観察をもとに,おもに梅雨期の湖水が,結果枝基部の葉脈黄変葉の発生と落葉に及ぼす影響を実 験的に観察し,その原因を究明するとともに,園地での調査を行なったものであるり 本研究の遂行にあたり,京都大学教授小林茸博士のと懇篤なるご指導を賜わり,また本実験に対し本学部葦澤正 義教授より種々ご教示をいただいた.あわせて深甚の謝意を表する.なお,本報の要旨ほ.園芸学会昭和41年度秋季 大会において発表したい Ⅱ 材料および方法 A 湛水処理による実験 本学部付属農場において,たて・よこ各々1い5m,探さ0.7肌のコンクリー†製角型ポットに植栽した6年生の Campbell,s Earlyを用い,1964年および1965年の両年,いずれも7月1日より3日間湛水,6日間泌水,9日間湖 水,12日間湛水の各区と無処理対照区の5区を設け,各l茎2樹ずつ同一・樹を供試して反覆穿験を・行なヶた.ポット 内の土壌ほ花こう岩の容水盛24.6%の礫質の砂壌土で,地表面には敷革を施したが,地表面以下の土壌中有機物は ほなはだ少なかった.所定期間の湛水後ほ.,ポットの下位より直ちに排水し,その後ほ自然状態下においた 土壌湿度の調査は,地表下15C孤の土壌 をとり,乾土法濫より測定し対容水鼠% 虹換算した,土壌Ehの測定は同部位の 土壌について,泥水期間中および排水 後,ガラス電極pH討(東亜電波工業K K製,HM−5A型)により測定した.. また,湛水処理後における細根の状態を 観察した. 枝梢の伸長状態および基部葉の糞変・ 落葉状態の観察ほ,供試樹の全枝栴にっ いて行ない,1枝栴当りの平均値で示し た.基部菓の見かけの同化還は半葉・打 技法紅よ・つて測定したル葉内5要素含量 (N,P,K,Ca,Mg)の分析には,木棺 基部の3∼5節位葉をとり,Nほガンニ ソグ氏変法,Pはバナドモリプデン比色 第1図 湛水処理実験の状景(1964年,1965年とも同様紅反覆した)香川大学農学部学術報告 208 法,Kほ炎光光度法,CaおよぴMgはEDTA法に・よった B 多湿ブドウ園における諏査
1965年7月の梅雨期申に.,北東面の埴質土壌よりなる緩傾斜地の6年生Campbell’sEaIly国に飢、て∴傾斜上部
の排水良好地樹と,傾斜下麓部の多湿地樹について,結果枝基部葉の貴変現象および落葉状態の観察を行ない,あ わせて基部葉の葉内5要素含盈を分析し,両樹についで比較した Ⅱ 実験・調査の結果 A 湛水処理による実験 1い 土壌湿度および土壌飢の変化 実験期間中(7月1日∼8月6日)に・おける各区の土壌湿度の変化ほ,第2図のとおりである‖ すなわち,各湛 水処理区ともに,排水後3∼15日間は,土壌容水屋二の50%程度以上の土壌湿度な保ったが,7月下旬以降は各区と も30%前後にまで低下した.この傾向は1965年の場合も同じであった 湛水時および排水後の各区に.おける土壌のEb ほ,寛1表のとおりである.7月6日測定に.お いて,無処理対照区の134mvに.対し,3日間湛 水区(排水後3日)183mv,6日間湛水区(当 日排水後)94mv,9日間湛水区.ぉよぴ12日間 湛水区(いずれも湛水申)では,−59mvおよ び−287mvを示し,湛水中のものは土壌が還元 状態であった. なお,7月20日測定(いずれも排水後)の場 合は,各区とも274∼290mvの範囲で,土壌は 正常な酸化状態にもどって.いた. このような土壌状態のもとにあった各区の根 群(紬板)の劇部を採取し,観察した状態ほ第 3図のごとくであって,湛水後の細根は湛水処 理日数紅比例して,その枯死・腐敗がほなはだ しくなったぃ さらに排水後1土壌湿度が漸次乾 燥状態になるにつれて,浅層部の細根は乾?固・ 脱落し,比較的探層部に.おも、て紳根の再生がみ られた.しかし細根の再生状態は,湛水期間の 長い区はど劣った.. 2.枝棉の伸長と基部葉の同化力 実験開始時以降に.おける新棉の伸長状態は貨 4図のどとく,両年の場合ともに.6日間以上の 湛永処理区では新栴伸長が劣り,とくに12日間 <U 0 7 莫U 土 0 6 壌 湿 0 馳 0 4 度 ︵容水盤%︶ 貨1表 湛水時および排水後の土壌Eh 1964年 7 月 6 日 測定 7 月 20日測定Eh8】pH i状 態
Eb6lpH 状
mV
区区
照水〃〃〃 対湛
膵謂
無36912
444一44 9︵む857 134 日日日[口 1714118 後 水〃〃〃 排 95774 44555 3497 8958 1 2 一一209 湛水区.では,排水後でもなお劣った.1964 年と1965年の新栴伸長の状態をくらぺる と,6日間以上の湛水処理区では,1965年 の場合にほ前年よりも緩やかな伸長曲線を 示して,樹勢の衰え.が認められた. 木棺(結果枝)基部の第4∼5節位葉に ついて,湛水処理前,湛水期間中および排 水後に,見かけの同化畳を測定した結果は, 第2表のとおりであった. 第21巻 通巻第48号(1970) 第3図 湛水処理による板群(細根)の枯死状態 (1964年7月13甘採取・観察) 第4区l新相の伸長状態比較
香川大学農学部学術報儀 210 算2表 基部葉の見かけの同化量変化(grノm2/Am6∼pm3)1964年 すなわち,湛水処理前(7月1 日)の同化鼠に対して,湛水期間中 (7月7日)および排水後(7月16 日,7月29日)においてほ,湛水処 理各区の同化塁は無処理対照区にく らべて劣り,12日間湛水区の場合に は健全な緑葉でも同化塁がはなはだ 少なく,とくに黄変葉は同化機能が 消失していた 注:新梢基部の4∼5節授業について単葉・打抜法により測定 3,.本楯基部葉の葉内5要素含量 本給基部の策3∼5節位葉檻ついて,実験開始時から6日ごとに採葉してN,P,K,Ca,Mgの5要素を分析した 結果は第3表のとおりである 寛3表 基部葉における5要素含鼠の変化 (乾物垂孝) 1964年 7月28日 27日後
二‥ 丁ご ̄
7月13日 12日後 7月19日 18日後 N含鼠は湛水後,漸次低下する傾向がみられ,9日間湛水l云.および12日間堪水区では,湛水の後半期から排水恒後 にかけて,その含鼻の低下がいちじるしいい この場合,葉脈黄変葉では縁色健全葉にくらぺて,葉内のN含盈がい貨21巻 通巻第48号(1970) 211 ちしるしく低かった. P含量ほ湛水後,−・時的紅わずかに上昇したが,その後ほ低下する傾向がみられ,9日間湛水区および12日間湛 水区においては,その傾向が明らかであったい K含鼠ほ,湛水および土壌湿度の高い期間に.は比較的高い含盈を保持したが,排水後土壌乾燥がはなはだしくな るに.つれて急激に.低下した. Caほ湛水処理開始と同時に上昇がみられ,3日間湛水区は,その後も比較的高い含盈を維持した.しかし6日間 以上の湛水各区では,土壌湿度の低下ととも紅やや減少する傾向がみられた… Mg含盟ほ,湛水および土壌湿度の高い期間にはあまり変化しないが,湛水期間が長くなり,また排水後,土壌
が乾燥するにつれて減少する傾向を示した.湛水処理によって発生した某脈責変葉のMg含愚は,緑色健全葉とほ
ほ同じ程度の含量であった。.無処理対照区でほ,土壌乾燥にともなって−Mg含量が低下した. 4.本栴基部葉の黄変・落葉状態 湛水処理開始後の本楯(結果枝)基部葉における黄変尭の発生ならびに.落葉状態ほ,1964年と1965年ともに同様 の傾向を示したいすなわち,湛水処理によって生した黄変葉の大部分が,寛5図のような葉脈の黄変に.よるものであ り,湛水処理開始後7∼10日ごろより発現した. なお,本実験に.みられた葉脈費変葉は, 1962年および1963年紅行なった実態調査に おいて,排水不良園や地下水位の過高園で 観察されたものと,同様な徴候を示すもの であったい本実験の場合の木棺基部葉にお ける黄変・落葉の状態ほ,寛6図に示すご とく無処理対照区乾くらべて,湛水処理の 各区および湛水期間の長い区ほど,黄変・ 落葉が多い傾向がみられた.この傾向は12 日間湛水区でもっとも顕著であった1. こ.のような講変・落葉の発現状態を観察 したところ,湛水処理開始後7日ごろまで の間は,まだその発生が少なかったが,そ の後6日間以上の湛水各区でほ黄変・落葉 が多くなった.さらに.,これらの各区では 排水後1∼2週間は,以前に続いて黄変・ 落葉の発生が多かった. 第5区Ⅰ湛水処理によって生じた葉脈黄変菓(1964年) 7月25日以降における落葉数の増加ほ,日焼症類似または菓緑の褐変其の発生によるものであって,各区間に.差 異なくほとんど平行的な上昇を示した B..多湿ブドウ園における調査 前項の湛水処理実験に対して,1965年7月の梅雨期申に,6年生Campbell’s Earlyの多湿園について,結果枝基 部葉の黄変・落葉状態ならびに葉内5要素含意を調査した結果はつぎのとおりである.香川大学農学部学術報告 212
袖 71319 25 31袖
調査月日 ‰71319 25 31侮
調査月日 第6図 木棺基部真の累加落葉状態(本給1本当り) 1.結果枝基部棄の黄変・落葉状態 7月11日と7月26日に調査した結果は,舞4表のとおりであるい この時期における多湿園の黄変菓の大部分が, 葉脈黄変によるものであり,7月11日調査の場合,−・結果枝当りでみると,傾斜上部の排水良好地樹において約 0い5枚に対し,傾斜下鹿部の多湿地樹は約1.9放であった. 第4表 多湿ブドウ園の黄変・落葉状態 1965年 7 月 11日 7 月 26 日 排水良好地樹l多湿地樹排水良好地樹l多湿地樹 結果枝本数(本) 77 146(1.89) 24(0い31) 85 46(0.54) 77 153(2,00) ・・∴ ・ 37(0.43)F 136(1.76) 地下水伐て地表下00)l 63O 27・O j 註:()は結果枝1本当りの換糾直 また,同日における落葉数は,排水良好樹の0・16枚に対し,多湿地樹では0.31枚であった. 2り 結果枝基部葉の案内5要素含量 7月11日に採取した結果枝盛部の緑色健全葉,葉脈黄変葉,全英身の糞変襲および既落葉のN。.P,K,Ca,Mg の5要素含塁を分析した結果は,第5真のとおりである..籍21巻 通巻第4網(1970) 彿5表 多湿ブドウ園の黄変菓・落葉内5要素含盈(乾物壷%)1965年 213
N 】 p I K I Ca
健 全 葉 菜脈の黄変菓 同上の既落葉 全菓身の黄変葉 同上の既落葉 註:1965年7月11日採葉 N含墓ほ,健全樹健全葉の3.03%紅対して,葉脈黄変基2.37%,仝柴身の黄変葉1.51%で,糞変葉のN合鼠は低 い値を示した.また,既落葉のN含還ほ,各党変菜と同じ程度の含愚であった. P含鼠は,健全葉0.185%に対して,葉脈頒変葉0.115%,全英身の貴変某0一.165%であり,さらに既落葉はそれ ぞれ0,.079%,0い088%を示した…すなわち,黄変襲および既落葉のP合壷は,健全葉にくらぺてはるかに低い. X含量は,健全葉の1=27%に対し,葉脈贋変柴1.18%,全英身の黄変窯1.08%を示し,既落葉ではそれぞれ1.06 %および0.98%で,P含盈の場合とはぼ同じ傾向がみられた.. Ca合鼻ほ,健全葉の1.60%に対して二,葉脈式変菓1‖45%,同既落葉1.40%を示し,仝葉身の貴変菓でほ1..90%, 同既落莫1.33%であった. Mg含畳紅ついては,健全菓の0い31%に対して二,葉脈糞変葉0…28%,同既落葉0.33%を示し,全葉身の糞変葉0.31 %,同既落莫0い37%であった.すなわち,健全葉と各黄変襲および既落葉との相互間に.は一億の傾向はみられ ない… Ⅳ 考 察 一般に果樹園土壌の過湿・排水不良は,土壌空屈の欠乏,土壌の酸化還元竃位の低下ならびに有害還元物質の生 成などによる,根の呼吸作用の減退をはじめ,新根の伸長停止あるいは垂水分の吸収阻害を起こし,樹体の発育不 良や果実の品質・収量の低下をもたらす1・(8,4・5木7,10,11,17・18・19・叫飢)これらの事項紅関連した諸報告のうちから,比 較的本実験との関係が密接であると思われるものをとりあげて,若干の考察をして.みよう. 小林ら(10)は,各種の果樹根群の耐水性紅ついて一失験的な観察を行ない,果樹の種類紅よって根群の酸素要求度が 異なることを報告している−すなわら酸素要求度の比較的大なるもの(イチジク,桃)では,土壌が過湿になった 場合,土壌が還元状態になるより以前に,酸素不足による伸長停止あるいは萎凋の現象があらわれ,耐水性の比較 的強いもの(ブドウ,柿)では,いちじるしい還元状態で儲酸化鉄の生成ならびに硫化水素の検出されるころ紅枝 棺の伸長停止あるいほ萎凋があらわれることを観察して:いる・さらに小林・島村および池郡11)は,糖を有機質材料 として−添加し,果樹の種類間の耐水性を実験した結果,単なる湛水では抵抗性の強いブドウ,オリL−プなどが,有 機質加用の土壌湛水でほきわめて弱いことを報告しているり 林・脇坂(6)ほ,果樹の湿垂について−,土壌の酸化還元電位の低下と果樹の生育との関係,ならび把.有害還元物質 の生成と果樹根群との関係について調べている小それに・よると,土壌が湛水あるいは過湿の場合紅は,果樹の酸素 要求度の差異のはか,土壌中の有機物含意が多いときには土壌の酸化還元電位の低下がいちじるしく,有害還元物 質も短期間にあらわれることを述べているいまた森田(17・18)は,土壌中の酸素濃度と果樹の植生との関係を実験し, 酸素欠乏紅強いもの紅棉・ブドウをあげ,酸素欠乏に弱いものとして桃をあげており,さらに土壌の酸化還元電位 との関係をみている. 岩崎ら(8・12,13)は,土壌空気中の酸素濃度がブドウDelawareの生育ならび紅養分吸収紅及ぼす影響庇っいての実験 を行ない,土壌通気の不良あるいは土壌空気中の酸素濃度が低下するにともなって−,ブドウの樹体生長が悉くな り,葉内のK,PおよぴMgの含鼠が減ることを観察し,それが土性を異に・した場合に軋砂質土壌碓埴質のものよ りも,その影響が大きいことを報告しているりまた川口(9)は,水田土壌の化学について,還元状態の発達および酸 化還元竃位に関する詳細な記述をしている.香川大学農学部学術報雀 214 本実験の場合も,湛水処理の期間が比較的長い区(6日間湛水区以上の各区)においては,土嚢の酸化還元電位 が低下していることから,土壌中の酸素濃度の低下が考えられ,さらにそれにともなう,なんらかの有害還元物質 の生成が予想される.すなわち,6日間以上の湛水区においては,細根の枯死・腐敗および新棺伸長の低下がみら れたことなどは,上述の影響叱よるものと思われる. 柴が正常な炭素同化作用を行なうに.ほ,まず菓が健全でなければならない・本実験でほ濾水処理を行なった場合 に.,処理開始致時日を経るにしたがって同化豊が減少し,減水日数が長くなるほどその傾向が強くあらわれたい と く紅12日間泥水区では,黄変葉の発現とともに,その同化能力の消失が認められたが,これは葉が健全さを失なっ たことを意味するものである∴葦滞ら(1・2)は,当地方ブドウ園の草書発生に関する研究報告において,成熟期ごろ の高温・乾燥は,土壌湿度の低下および柴面兼敬意め増大をきたし,同化カを低下させていると述べ,土壌中の水 分不足がその原因であるとしている.しかし、本実験の場合には,むしろ土壌中の水分過剰に起因する生理的障害か らくる第2次的影響と考.え.られる∩ っぎ紅,基部某内の5要素含量を分析した結果,泥水処理開始初期においてニ,新栴伸長の一博的な促進ととも 紅,菓内要素含屈の一博的上昇の現象がみられたが,これは本実験がポット試験であり,供試土壌が花こう岩の有 機質に乏しいものであったためであろう・つまり,湛水処理前における土壌水分の不足勝らに対して−,湛水期間の 短い区または湛水処理後の初期には,湛水が土壌中の水分補給と土壌中の可姶態養分の吸収促進に役立ったものと 素合屋でほ,第4表ならびに儲5表 思われる.しかしながら,多湿ブドウ園の落葉状態とその結果枝基部菓の5要 に示すごとく,明らかに過湿地またほ地下水他の高い場所に・生育するブドウ樹において,黄変其とその落葉数が多 い巾 また,その葉脈黄変莫は健全葉にくらべてN,PおよびE含量が低い. 以上のよう紅,ブドウ樹に対する梅雨期の湛水処理または過湿ブドウ園における,結果枝基部其の黄変葉ならび にその落葉現象の発生状態ほ,筆名(1り5)が実態調査の場合に認めた葉脈糞変葉の発現と一激するものである・ しかして梅雨期の湛水・多湿が,ブドウ樹の新梢基部薬の黄変・落莫の原因と考えられるが,土壌が湛水または 過湿状態になってから以降,黄変・落葉が発現するまでの間に・おける土壌の理化学性の変化,細根および樹体の発 育・其の生理的機能障害などについての,−連の諸作機構に関する詳細な究明が,今後紅なされなければならな い.とくに梅雨期に.おけるブドウの早期落葉の多くが,葉脈貴変葉の発現に起因することよりして−,その発現機構 の究明が塵要な課題であると考える. Ⅴ 摘 要 香川県地方のブドウ園紅おける梅雨期ごろの早期落葉の原因を究明するため,1964・1965年の両年に,6年生 Campbell,s EaIlyを用い,7月1日より3日間,6日間,9日間,12日間の各湛水処理区を設け,結果枝基部にお ける糞変葉の発現と落莫に及ぼす影響を観察した. (1)湛水処理開始以後の黄変共に.軋葉脈黄化の糞変装があらわれた小それほ多湿ブドウ閲に発生したものと同 じ傲候を示した. (2)湛水開始後の土壌ほ,土塊Ebが低下し,湛水期間の長い区では,細根が枯死・腐敗したひ (3)6日間以上の湛水処理でほ,排水後の新棺伸長ならび紅次年における枝棺の発育が劣った・ (4)結果枝基部葉の同化力は,湛水期間が長くなると低下し,黄変葉では全く同化機能が失われていた・ (5)結果枝基部菓の5要系(N,P,K,Ca,Mg)を分析したところ,N合盟は逐次低下する傾向を示し,と くに.9日間湛水医と12日間湛水区では,湛水後半欺以降の合盈低下がいちじるしいu黄変葉のN含盈は健全其の約 1/2である.P合盛は湛水後,一博的に高まったが,その後低下した.KおよびCa含盟ほ,湛水および土壌湿度の 高い期間には比較的高かったが,土壌乾燥につれて低下した.Mg含盈ほ,排水後の土壌乾燥に・ともなって低下し た∴葉脈の貴変葉のMg含盈は,健全葉とあまり変らなかったい 文 献 (1)葦澤正義,樽谷勝:葡萄の深耕樹における夏季乾燥の影響,香川大農学軌13(21,133∼140(1962)− (2)葦渾正義:馴t県紅おける葡萄の葦害紅関する研究,香川大農紀要,(17),1−69(1964)一
発21巻 通巻第48号(1970) 215
A酢〝・ざ♂Cい肋γぞ・ざ(∠.・30,98∼101(1934)
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(13)KoBAYASHI,A,K・IwASA王(Iand T・TERA㌍UMA‥Po11en germination andberry set,grOWth and qualityofI)elawaregrapesasaffectedbysoiloxygencancentIation,].HoYi。AISSOCJa少l33(4),265 ∼272(1964) (14)桶谷勝:ブドウの早期落葉に関する研究,Ⅰキャンベルス・アーリー層の一甲潮落斐の実態,香川大農学報,16 (1),103∼108(1963) 仏劫 樽谷勝:ブドウの早期落葉に関する研究,Ⅱ地形,土壌条件の異なるキャンベルス・アー・リー園における早期 落葉の実感,香川大恩学報,18(1),96∼102(1966) (摘 桶谷勝‥ブドウの早期落葉に潤する研究,Ⅳ梅雨期の落葉がその後の園内気象,果実温度ならびに果実の成 熟・品質紅及ぼす影響紅ついて,香川大農学報,20(1),91∼100(1968) (17)森田修ニ:土壌の駿化還元温悼に関する研究,Ⅰ果樹園及び茶園土壌の酸化還元電位と優良,不屈の関係に・就 いて,日土肥雄13(7㌧ 451∼460(1939) (1母 森田修ニ:土壌の酸化還元竃位に関する研究,Ⅱ果樹園及び茶園土壌の酸化還元竃位の時期的変化に就いて, 日土肥雑,14(7〉,411∼425(1940)山 (19)森田義彦,石原正義:果樹の生育に及ぼす土壌の物理的組成の研究,Ⅰ果樹園土壌の諸調査肋間学払17 (1,2),92∼99(1948). 鋤 森田義彦,石原正義‥果樹の生育濫及ぼす土壌の物理的組成の研究,Ⅰ果樹園土壌の諸調査t2),国学誌,19 (1),13∼22(1950) 位1)山崎伝:畑作物の湿害に関する土壌化学的並.に/植物生理学的研究,農技研報B,1,(1952)・
香川大学農学部学術報告
STUDIESON THEI)EFOLIATION OF GRAPE VINESIN THE SUMM邑R SEASON
V.The effect of submergenCein the ralny SeaSOnOn the early defoliation
Masaru:KuRETANI
216
SⅦmm8ry
Six years old Campbell′s Early grapevines we工eSubmerged toinvestigate eaIly defoliation of the Vinesin Kagawa prefectuIe・
1)By the submergence someleaves showed chlorosisof vein and changed yellow。This symptom WaS the same as that occursin humid gIape Vine orchard.
2)Theoxidation r?duction potezltialof the submerged soillowered and the root hairs died remarkablyin thelong teIm treatmentS。
3)Thevines which submerged moIe than6daysshowedpoorshootgzowth after drainage evenin
the followlng year.
4)Carbohydrateassimilationof theleaves at the basalpart of bearing shoots decreased as the
treatment continued.Especially,theleaves which changed yellow showed no sign of carbohydrate assimilation.
5)Asthe$ubmergence continued,it was found thatN contentoftheleaves decreased gradually P contentincIeaSed temporary,butdecreasedlater.X,Ca and Mg contents were relatively high during the soilwas humid,but as the soilbecame dry they decreased。Mg contento王the yellowleaves
WaS almost the samelevelas that of the healthyleaves.