エンバク冠さび病の抵抗性発現機構に関する研究
山 本 弘 幸
Study on the Mechanism of Resistance Expression
in the Crown Rust Disease of Oat
HiroyukiYAMAMOTO
緒 1 3 3 4 6 6 7 7 7 8 9 9 9 10 11 12 12 13 1313 14 14 15 15 15 16 17 第1費 宿主組俄に.おける菌体の初期発育 第1項 実験材料および方法 第2項 エソバク初生薬における菌体の初期発育 第3項 考 察 第2章 宿主細俄における抵抗性確立と過敏感え死 第1節 抵抗性確立の時期第1項 実 験 法
第2項 接種後の人為処理と菌体発育 第3項 考 察 第2節 過敏感え死と抵抗性との閑適第t項 実 験 法
第2項 宿主組織の過敏惑え死 第3項 宿主細胞膜の透過性 第4項 考 察 第3章 抵抗反応における抗菌性増加第1項 実 験 法
第2項 抗菌性の検出 第3項 浸出液の抗菌性の経時的変化 第4項 抗菌性区分の分離 第5項 剥離表皮における感染菌糸伸長 第6項 考 察 第4葦 抵抗反応における蛋白質および酵素活性の変化 第1節 抵抗反応時における蛋白質の変化第1項 実 験 法
第2項 各区分中の蛋白質含量 第3項 可溶性蛋白質の質的変化第4項 考 察 第2節 フユニルアラニンアンモニアリア・−ゼ(PAL)活性の変化……り………・・……・
18
第1項 実 験 法
18 19 20 21 21 21第2項 感染にともなうPALの活性変化
第3項 ■7立ノ・−−ルおよびフラポノ・−リレ含量の変化 第4項 考 察 第3節 ポリフェノ・−・ル酸化酵素の活性の変化 第1項 実 験 法 第2項 感染にともなうアイソザイムおよびペルオヰシダ、−ゼ(PO)活性の変化‥…22 第3項 考 察 25 26 26 26 26 28 29 29 第5章 蛋白質・核酸合成と抵抗性発現との関係 第1節 菌体発育におよばす蛋白質および核酸合成阻害剤の影響 第1項 実 験 法 第2項 某組織内の菌体発育におよばす蛋白質合成阻害剤の影響第3項 BcSの効果の検討
第4項 某組織内の菌体発育におよばす核酸合成阻害剤の影響 第5項 考 察 第2節 感染初期の蛋白質および核酸のdβ耽0γ0合成と抵抗反応発現との関連性……30
第1項 実 験 法
30 31 33 35 35 36 36 36 第2項 感染初期の蛋白質合成 第3項 核酸合成と蛋白質合成の時間的関係 第4項 考 察 第6章 抵抗反応発現時における蛋白質のdβ%0γ0合成と酵素活性 第1節 蛋白質合成と酵素活性との関係 第1項 実 験 法第2項 BcS処理によるPAL活性の変化
第3項 抵抗反応の阻害とペルオヤシダ1−ゼアイソザイム(PI)の変化・・・……・………37
第4項 考 察 第2節 蛋白質合成と抗菌性物質の生成第1項 実 験 法
第2項 抗菌性増加におよばすBcSの影響
第3項 CrOSS−prOteCtionにおよばすBcSの影響
第4項 考 察 総合考察および結論 摘 要 引 用 文献 英 文要約・−・1・−・ 緒 特定の植物に疾病を起こす微生物の数はきわめて限定されており,自然界に分布する植物全てほ何らかの形で 病原菌に抵抗することによって種が保存されていると考え.られる‖ 植物の病害抵抗性に関する研究はきわめて多 数でまた多岐に.わたって:おり,とくに.抵抗性の生理学的研究については特筆すべきものが多い(57)い 糸状菌病に. おける植物の抵抗現象についてほ,感染組織で呼吸増高,解糖系の転換,エネル単一猛得系の代謝高揚,細胞内 諸成分の合成の活性化などが古くから知られている(11・23・82・72√103・109・122・12∂・152・188)り また,菌体発育阻害の直接的原 因であるファイトアレキシソ生成やフェノ−ル酸化に関与する酵素額の活性増高も数多くの病害で明らかにされ てこいる(5・14・21・60・74・8さ・8り04・128180・189・15り62・163〉‖ これらはいずれも,抵抗性発現時に.おける蛋白質代謝の変動の反映 として理解される“ 生体内における蛋白質の変化は,外部からの刺激に.対応してde彿0γ0合成が誘起される場合と,既存の蛋白 分子が遊離活性化する場合とに大別される.前者については,瓜谷一派(6川8・69・154・155)のサツマイ卑黒斑病に・関す る研究や,HADWヱG玉:R一於(20・42・48・叫45・46′47・48−49・11¢・150)の・エンドウのファイトアレキシソ(ピサチン)誘導機構に 関する研究に代表されるように,非病原性菌の侵害に対応して.特定の酵素蛋白フユニノレアラニソアンモニアリア −ゼ(PAL),チロづ/ンアン・モニアリア・−ゼ(TAL),ペルオキシダ・−ゼ(PO)などが核酸合成を経て合成され るとされている.後者に.関しては,DEVERALI.and WooD(27),BARNETT(9),CuRTIS and BARNETT(22), STRAND and MussELL(135)がそれぞれソラマメ赤色斑点病,ダイズ白絹病,ワタ萎凋病で明らかに.したよう に,菌の侵害で傷害をうけた細胞壁から酵素蛋白質PO,ポリフェノラーゼ(PPO)などが遊離して活性化する 事例がある,これらはいずれも死物寄生菌病に関する研究であるが,活物寄生菌病についても,ダイコンべと 病(4),オオムギうどんこ病(40)などにおいてPALのde%0γ0合成が抵抗性に関与すると推定されている. さび病の抵抗性に.おける蛋白質代謝についても古くから多くの研究者に.よって報嘗されてきた.それらによる と,不親和性菌糸に侵召された宿主組織では一般的に.蛋白質含盈はほとんど変化しない(7・34邦・1$9)−・方,質的な 変化について,SAMBORSKIetal.(112)はコムギ品種Khapliが果さび菌び㌦cciniagraministritici)K.対し て抵抗反応を示す時に2種の蛋白質がそれに.関与すると推定している,.VON】∋ROEM】∋SENandHADWIGER(160) はアマさび菌抵抗性のnearisogemicline 4系統を用いて研究し,抵抗反応の第1次段階において蛋白質合成 が患要であると指摘した。.また,酵素蛋白質に・ついては,他の多くの疾病の場合と同じく,さび病についても POの活性増加が報告されている.,すなわち,ANDREEVandSHAW(2〉はアマさび病,STAHMANN一派(88・129・131182) およびFRI6andFucHS(83)(ま.コムギ果さび病,JoHNSONandCuNNINGHAM(64)はコムギ赤さび病,MoNTA− LBINI(90),MoNTALちINIandM:ARTEくgl〉はインゲソさび病で,それぞれ抵抗反応に.おける酵素活性増高や特異的 なPOアイソザイムの出現および盈的増加を認めている. PALについては,HADWIGER etal.(44)がアマさび病,インゲソさび病,コムギ赤さび病,トウモT2コシ び病で宿主が抵抗反応を示す場合でも変化しないと報告したにとどまっているい 宿主蛋白質変化がさび病抵抗性に葛極的に関与するとの報告は以上のとおりであるが,一・方,蛋白質代謝の抵 抗現象への関与を否定する報告も少なくない.JoHNSONet al.(68〉はコムギ赤さび病で,また,WRIGLEY and W玉:BSTER(1¢9)はコムギ果さび病について,それぞれ可溶性蛋白質の変化をディスク電気泳動法で調べ,不親和性
菌接種菓と健全葉間に有意な差異がないと述べている..FRI己and王‡EIT即USS榊=ま免疫二慮拡散法,同電気泳 動法に・よる実験結果から,果さび病に抵抗反応を示すコムギ菓の蛋白質については,接種後に質的な変化は認め
ー・2 一 難いと報告したまた,最近BARNAetal.(7)は各種処理を行なって果さび病抵抗性の発現を阻害した状態のコ ムギ品種Kbapli菓の蛋白質を免疫学的,電気泳動的に比較し,宿主菓蛋白質代謝の変動は抵抗反応に関与しな いと結論したPO活性の増加についても,DALY一・派(2425・119・120〉ほ抵抗性に.みられる特異的POアイソザイムの 変化が単なる随伴現象でしかないと論じている.KIRAI.Y一派(8・70)もコムギ果さび病,イソゲソさび病について 研究し同様な見解を述べている. 蛋白質と核酸の合成ほ盈的に相関するといわれ(75),蛋白質のd針削肌合成ほ,一般的にほmRNAの合成を ともなう死物寄生菌病では抵抗反応時の組織でほ蛋白質合成に先立って核酸合成が増高することが間接的に.証 明されている(¢¢)さび病に・おける核酸代謝の研究は多くは親和性の品種・一儲系を用いて行なわれており(10・52・$8・54・ 165・166),不親和性の組合せで検討されたものは少ない.Ro王王RINGER etal.(107)ほコムギ黒さび病に.おいて,不親 和性菌接種菓ではRNA含急が変化しないと報告したh TANIet al.(144・145〉によると,エソバク冠さび病では, 抵抗反応時に.,菌体発育の停止に先立ってmRNA,rRNA,SRNAの合成が著しく増高するしかしながら, 不親和性菌接種エソバク菓から分離した核酸の鋳型活性は健全菓核酸の場合と全く同じである(146)すなわち, 既往の研究では,さび病抵抗性の宿主英に.おける蛋白質合成の質的,最的変化と核酸合成の変動とが直接的に.結 びついた事例はみあたらない.. 以上に述べた諸報告が示すようにり宿主蛋白質合成のさび病抵抗反応への関与に.ついてはいまだ統一的な見解 がえられていない. 筆者は冠さび菌(P≠¢¢宜耽宜αeOγト0ウ甘α£ααγβ彿αβ)レ・−・ス226を接種した抵抗性エ・ソバク品種勝冠1号の初生薬 (感染型0;)を供試して抵抗反応に・おける蛮自質代謝の役割について一遍の研究を行ない,少なくとも本実験系 でほ蛋白質のdβ%0γ0合成が抵抗性に密接に関与するとの結論に達したぃ研究成果の一部ほすでに発表したが (147・148・149・17217り7り76), 本論文はさらに最近の知見をも加えて系統的にまとめ,全体的な考察を加えたものであるい 第1草では供試実験系に・おける宿主内菌体発育停止の様相を経時的に・詳細に・調べ,第2,3茸では抵抗性決定 の時期ならびに菌体発膏停止の直接的原因について論じたぃ これらの事象を基盤に・して,第4茸でほ抵抗反応宿 主菓における蛋白質の質的ならびに盈的変動および従来から多くの病害で抵抗性との関係が指摘されている PALならびにフェノ・−ル炉酸化酵素の活性変化を追跡した.さらに・,第5,6草では蛋白質のdβ%0γ0合成 が抵抗性に関与することを証明し,その蛋白質が酵素蛋白PALおよびPOを含まず,抗菌性物質の生成笹関与 している点を明らかにした。なお,従来の多くの報告では,抵抗反応時に・起こる諸現象が直接抵抗性に.関与する 要因であると解釈しているが,第5,6章において,とくに・抵抗性に閤与する要因と単なる随伴現象とを厳密に. 区別するよう留意した 本稿を草するに・あたり,御校閲の労を賜わった東京農業大学農学部元教授向 秀夫博士,ならびに同教授金木 良≡.博士,岡山大学農学部教授奥 八郎博士,農林省農業技術研究所酒井隆太郎博士に腐心より感謝の意を表す るまた,香川大学名誉教授内藤中人博士,本学教授諸岡信一博士には御指導,御助言を賜わり,本研究室助教 授谷 利一博士にほ平素から御指導および激励を頂いた さらに,近畿大学農学部教授平井篤造博士,元神戸大 学農学部教授鈴木直治博士,愛媛大学農学部教授浅田泰次博士,京都大学農学部助教授獅山慈孝博士,鳥取大学 農学部教授西村正噴博士,岡山大学農学部助教授大内成志博士,本学助教授岩原章二郎博士,同助教授桑原正章 博士,大阪歯科大学助手尾上孝利氏,京都府立大学農学部助手吾川正明博士にほ研究途上に御教示と御援助をそ れぞれ頂いた,抗生物質およびェソバク種子は名古屋大学農学部教授富山宏平博士,三共農薬研究所角 博次博 士,武田薬品工業農薬技術部日下大器博士,筑波大学農学群助教授膠屋敬三博士,同助教授佐藤昭二博士の御高
− 3、− 配をそれぞれ賜わり,実験に.際しては本研究室宝金広行氏,同門田源一氏,同志賀宏志氏および専攻生諸氏の極 めて熱心な協力をえた.ここに深謝の意を表する次第である なお,本論文は東京農業大学審査学位論文を印刷に付したものである 第1章 宿主組織における菌体の初期発育 ELLINGBOE(80)に.よると,主動遺伝子に基づくオサムギおよびコムギうどんこ病の抵抗性の発現様式ほ,最終 病徴が同一であっても,対応する追伝子の種類匿よって異なるまた,LITでL即IELD(80)ほアマさび病で,対応 する退伝子の組合せに.よって菌体発育が異なると報告している. さび病の抵抗性ほ,一般に.外部病数の判定㌢こよる感染型で類別されている(58)しかし,同方法では夏胞子堆の 数および大きさを菌体発育の基準にするため,胞子堆を形成しない場合にほ抵抗性を詳細には類別し難い.. 植物組織内におけるさび菌の菌体発育を定盈的に測定したのほLITでLEFIELD(81)(1969)が最初のようである.
その後,HEATH(50),NAITO etal.(95),SooD and SACKSTON(121),SxIPP and SAMBORSKI(126)が抵抗性, 羅病性問の定量的な比較を行なっているが,それらの結果によると,菌体発育の阻害は,第1次吸器の形成直後, あるいほ胞子堆分化の前後などに認められ,抵抗性の程度によって発育阻害の開始時期ほ異なる‖抵抗反応は結 果的に・は菌体発育の阻止に・ほかならないから,抵抗性機作の解明には,まず侵入段階から菌体発育停止までの過 程を詳細に観察し,菌体発育を定量的に把握することが重要であろう.そこで本章・ではまず,種々の品種の・エ・ソ バク初生薬を供託して冠ざび菌の侵入初期の発育型を光麒的に調査し,接種後の菌体発育の状態を経時的に把握 するい 第1項 実験材料および方法 1,′ 供試品種および育苗 エソバク勝冠1号,PcNo.38,39,40,47,48および50の7品種を用いた. 秤を除去した種子は,1日湿室ベトリ皿中で催芽させたぃ パ・−ミキエライドを発芽床にしたベトリ皿中に発芽の 良好な種子を播き,250C,6,000∼8,000ルックス螢光灯連続照射下で,毎日定盈の春日井氏水耕液(142)を施しな がら青笹したり
2.供託菌および夏胞子採取 ユLソバク冠さび菌(戸‰ccinia coronata CDA.f.sp..avenaeFRASERand ムEDい)レ′−ス226(59)および203(115)を用いた.レ1−・ス226の夏胞子ほ香川大学農学部のガラス室で栽培している ビクトリア226−S(174〉の躍病成菓から,内藤および谷く98〉の方法により同調化して得た,時期的に屑病成案の得難 いときや,レ・−・ス203の場合は,定温器内のビクトリア226−・Sおよび膠冠1号の初生葉上にそれぞれ形成され た夏胞子をはらい落し,2日後に新しく葉上に形成された夏胞子を採取した.保存は5あるいは150C暗所で1 週間以内とし,いずれも80%以上の発芽率を示すもののみを使用した。 3.接種 播種7日後の初生薬の先端から2∼5cmの間の裏面に.,夏胞子を毛筆で全面に塗布した.接種植物 は飽和湿度に.20時間放置後,再び育苗時の条件下に.もどした、 4‖ 染色および観察 所定時間後に接種菓5枚ずつを無作為に採取し,ただちに5mmの長さに.切断後, SHIPTONand BROWN(124)の方法に準じて染色した.観察ほ光学麒徴鏡の600倍下で行ない,感染菌糸長は 孔下のうから葉肉内を蔓延している菌糸の全長を合計して表わしたまた,吸器は長径10〟m以上のものを成 熟吸器とみなした.
−4・− 第2項 エンバク初生薬における菌体の初期発育 親和性ならびに不親和性解明の基錐ともいうべき初期の相互反応をみるため,エソバク7品穆の初生薬におけ る冠さび菌レ−・ス226および203の菌体発育を定盈的に測定し,それぞれの発育型を経時的に把握した. 1… 感染菌糸の発育 勝冠1号菜匿.おけるレ1−・ス226(不 親和性),203(親和性)の両者の発育は,夏胞子の発芽, 附着器形成,気孔下のう形成および感染菌糸の伸長のいず れにおいても,その開始時間には差異ほなかった.しか し,接種14時間以後の感染菌糸の伸長速度は両レ−・ス問で 異なった(第1図).接種後14時間から同35時間までの 両レ・−・スの伸長速度はそれぞれ,レ・−ス226で3.5′Jm/hT・, レ−ス203では6..5/Jm/hrで,接種後20時間から1%レ ベルの危険率をもって有意差が認められるように.なった、 レ−・ス226の感染菌糸は接種35∼40時間後に.伸長を停止 し,また,接種後28時間頃から感染菌糸の内容物も消失 し始めたい 以上のように,勝冠1号初生薬に.おける両レ−スの生育 については,すでに・吸器形成以前からきわめて明瞭な差が 認められる本現象が他品種でも共通に.認められるか否か 0 0 0 5 感染菌糸長︵叩︶ 接種後の時間(時) 第1図 勝冠1胃薬に.おける冠さび菌の 感染菌糸の初期発育 226:不親和性 203:親和性 を知るためPeNo.38,39,40,47,48および50の初生薬における両レースの菌糸伸長について調べたい ただ し今回は,勝冠1号の結果に.基づき観察は接種28,40および48時間後に.限って行なった.結果を第2,3図に・ 示したい 第2図 6品種のエソバク菓におけるレ・−・ス226 第3図 6品種のエソバク菓におけるレース203 の感染菌糸の初期発育 の感染菌糸の初期発育
a:Pc38 b:Pc39 c:Pc40 d:Pc47 e:Pc48 a:Pc38 b:Pc39 c:Pc40 d:Pc47 e:Pc48
f:Pe50 f:Pe50
第2固から明らかなように.レー・ス226の菌糸は接種鵠時間までは6品種とも同じ速度で伸長したが,Pe48お ょび50では接種後40∼48時間頃から生育の遅延がみられた.Pc38,39および47においては,少なくとも接種 後48時間までほ菌糸伸長遅延の傾向は認められず,レ1−ス226は碍病性の伸長を示したPe40の場合,接種後
−−・5 − 40時間の伸長は上記の3品種よりも劣るが,同48時間には3品種とほぼ同様に・時間に比例した伸長を示した 一方,これら品種上に.おけるレ・−ス203の菌糸伸長についてみると,接種後28時間までは品種間差異が認めら れないが,Pe48および50に・おいては,接種後40時間には菌糸伸長が停止していた(第3図).Pe38に・おける 伸長ほ接種後40時間まではPe39,47および49と同一であったが,同48時間にほ停止した 2.吸羊の発達 先にも述べたように,さび病菌に対する宿主抵抗性の第1段階は,吸器の発育阻止にみられ るとされているので,吸群の形成 と成熟を指標にして菌体発育を観 察した(第4図) 勝冠1号初生薬に.おいてはレ− ス226および203とも,接種後20 ∼28時間に第1次吸器を形成し た、レ−ス226の感染菌糸あたり の吸器形成率は接種後35時間に 最高に達し,以後変化しなかった レ・−・ス203はレ−・ス226と異なり, 同時間後も増加し接種後48時蘭 に.はすべての感染菌糸が吸器を形 成した(第4・−a図).また,レ・− ス226は第1次吸群が未熟で,か つ,第2次政界を全く形成しなか ったのに対し,レース203は第1 次吸券も成熟し,接種後35時間 吸詩形成率︵%︶ 頃から菌糸あたりの吸語数も増加した(第4・−b図) 他品種におけるレ・−ス226の菌糸あたりの吸器形成率は第1表に示すとおりである 第1表 6品種のエソバク実に.おけるレ・−ス226の吸器の形成状態 a:接種後48時間に測定 これから明らかなように,Pc40だけが勝冠1号と同等であったが,他の5品種ではいずれも増加していた. 成熟吸器の形成率は6品種とも勝冠1号におけるよりも高い.第2次吸器の形成はPe38,39および47の躍病 型においては良好であった.同様のことをレ・−ス203についても調査した(第2表).結果が示すように菌糸あ たりの吸器形成率はいずれの品種においても勝冠1号に比較して低く,Pe50では勝冠1号の場合の紳1/3であ った小
一− 6・− 第2表 6品種の・エ・ソバク菓におけるレ・−ス203の吸器の形成状態 a:接種後48時間に測定 同様な傾向は成熟吸器および菌糸あたりの吸語数に.も認められた= とくにPe48および50においては成熟吸器 は極めて少ないかまったく観察されなかった 第3項 考 察 〟βZα刑pβ0γαg宜%宜(81),ヱゐ¢エ宜α循≠ん宜(127),打γ0竹も財¢e∂pんαきβ0∼宜(50),たgγα仇宜%甘さ亡γ宜亡壱β宜(126)の菌体発育 について,それぞれの宿主の抵抗曜病億品種間で定温的に比較した結果に.よると,抵抗性宿主内での発育阻害ほ いずれも第■1次吸器形成後の接種後36∼48時間嘆から認められる. 本実験では,7品種の初生薬とレ・−ス226および203の組∴合せについて観察したにすぎないが,初期の菌体発 育に・は種々の型が認められた.これらの品種笹.おける両レー・スの接種後48時間までの感染菌糸の発育を比較す ると,勝冠1号におけるレー・ス226の菌体発育は感染菌糸伸長開始の接種後14時間から遅延し,同35∼40時間 に停止する(第1図).このような発育型は他の組合せでは両レ・−・スともみられず,いずれも接種後28時間まで は発育が良好である(第2,8図).ただし,Pc48,50に.おいて:ほ両レ・−スとも接種後40∼48時間に発育は停 止し,他の組合せでほ,同48時間後も抵抗羅病性間に.顕著な差異はみ.られなかった. −一方,吸器の発達について調べた結果(第4図,第1,2表)に.おいても勝冠1号菓におけるレース226の発 育は特徴的であるすなわち,吸器はほとんど未熟のままであり,かつ第2次吸器の形成も悪い∴ただし同様な 傾向はPe48,50におけるレース203においても認められた.またPc40,48および50とレ−・ス226の組合せ, Pe38,39におけるレ−・ス203でほ第2次吸器の形成が不良であったけ 以上のように儲体発育を指標にすると勝冠1号初生業の抵抗反応ほ桂めて特徴的であり,これまで報告されて きたいずれの系よりも早期に始まる型といえる. 第2章 宿主組戯に.おける抵抗性確立と過敏感え.死 前章では勝冠1号初生薬においてレ・−・ス226がきわめて特徴的な菌体発育型を示すことを明らかにしたが,抵 抗性が感染のどの段階で決定され,また発現するかを明確にすることは重要である.EHRLICH and EHRLICI‡ (28・29),HEAT王‡and HEATII(51)によると,さび病の抵抗性は第1次吸器の形成時に決定されるしかし最近 TANIe七al.(148)はエ・ソノミク冠さび菌2菌糸を用いたCrOSS−prO七ectionの実験から,少なくとも本病において
ほ病隊菌が気孔下のうを形成する時期(接種後8∼12時間)にすでに抵抗反応への細胞内調節が不可避的に確立 されていると推定したい
・−7・−・ 因となるとの報蕾も多数あるく28・29・51・85・125・1戸叩7).しかし,過敏感え死は抵抗性の原因ではなく,結果であるとの 見解もある(8・18・70・8(・98) さらに,RoHRINGER一派がコムギ果さび病感染組織で検出した特異的な過敏感え死誘 起物質は,その後同一・派に.より否定されている(108〉. 本章では,初期の菌体発育を指標に.して,抵抗反応の決定時期および過敏感え死の抵抗反応における役割につ いて検討する‖ 第1節 抵抗性確立の時期 一腰に,さび病の抵抗曜病性の決定ほ第1次吸器形成後数時間以内といわれている(29・51).しかし,前述のとお り勝冠1・弓では第1次吸器形成前にすでに蘭抗反応が出現しているものと考え.られるから,発現機構を知るため には抵抗性が感染過程のどの段階で決定されるかを把捉することも蜜要であろう 本筋では,一・,二の人為処理後の菌体発育の変化に基づき,宿主組織の抵抗性の決定時間について検討を試み る. 第1項 実 験 法 1.重複接種 ベトリ皿で育苗した初生薬裏面に第1次菌として,レ・−ス226を濃厚に・接種した‖所定時間後 に.湿室よりとり出し,下記条件で温湯処理後,第2次菌のレース203を表面に接種し,20時間湿室中に保った. 第2次接種後48時間に虜1章第1項4.の方法に・従って第2次接種菌の菌体発育を観察した.なお,温扮処理笹 より第1次接種菌のその彼の発育ほ停止した 2..温湯処理 上記同様の初生薬を500Cの定温器で5分間あるいは500Cの温湯で15秒間処理後,レ−ス 226を接種し湿室中に償ったい所定時間ごとに茎部を1cmつけて切断し,イオツ交換水を入れた試験管に・切り 口をさし込み上記同様に観察した 第2項 接種後の人為処理と菌体発育 接種に.よる宿主の変化を検討するため,レ・−・ス226接種後に人為処理を行なって菌体発育の差異を調べたn l.重複接種時間と菌体発育 第1次菌のレ・−ス226接種後8時間に温湯処理し,第2次接種したレ・−・ス203 の菌体発育を調べた(第3表)−その結果,第1次菌と第2次菌の接種間隔を8時間とした場合には第2次接種 第3表 不親和性菌接種後の湿熱処理葉に・おけるレー・ス203の菌体発育 a:罪2次菌接種後48時間に測定 b‥500c,15秒 e:第1次菌接種から湿熱処理までの時間
− 8・− したレ・−ス203の菌体発育は無処理区同様に旺盛であった.しかし,レ・−・ス226を接種後12時間以上経過して 温湯処理し,レース203を接種した場合に.は後者の発育は阻害され,同16時間以後の処理区では本来親和性レ −・ス203がレ−ス226と同程度の不親和性の発育塾を示した 2..温度・切断処理時間と菌体発育 温度処理後に.レ・−・ス226を接種し,所定時間ごとに茎部を切断すると, 切断までの時間の違いによって1菌体発育に.差異を生じた(第4表),すなわら温度処理あるいほ切断処理のみ では,レース226の菌体発育は無処理と同様・であったが,温度処理の直後あるいは接種後8時間までに茎部を切 断した場合にはレース226の菌体発育ほ親和性レー・ス203と同様に腫盛であった.ところが,温度処理12時間 以後に切断した場合には菌体発育が著しく不良となり,不親和性菌本来の発育塑を示す−ように.なった 第4表 温度処理後の切断菓におけるレ・−・ス226の菌体発育 a:接種後48時間に測定 b:50Oc,5分 c:500c,15秒 d:温度処理後に接種し,接種から切断処理までの時間(時) 第3項 考 察 第1次接種後,所定時間ごとに.温湯処理して∴ レー・ス226のそ・の後の発育を停止させて,親和性の第2次接種 菌レ・−ス203の菌体発育を調べてみると,第1次菌レ←−・ス226接種後8時間までに処理.した場合に・ほ,第2次接 種菌レー・ス203は親和性本来の発育を示すが,12時間経過後に温湯処理した場合に・は,第2次接種の親和性菌の 発育が著しく阻害された(第3表)また,温度処理後に不親和性レ・−スを接種し,所定時間ごとに・茎部を切断 してその生育を測定した実験でも,処理後8時間までに切断したものでは親和塾の生育をするが,12時間経過後 に切断したものでは不親和型の生育を示した(第4表)小 これらの結果は,レ・−・ス226接億8∼12時間の問に宿主組織の抵抗反応が不可避的に確立されることを示唆 する.同時間はTANIetal.(1頼が病教を指標として抵抗反応の決定時間を推定した結果とも一致するから,エソ バク冠さび菌レ・−・ス226を接種した膠冠1号の宿主では,菌が気孔を通過して気孔下のうを形成する時期にすで に抵抗反応が確立されていると考えられるしたがって−,この結果は第1次吸器の形成によって病原菌と宿主原 形質膜とが接触する時期に抵抗反応が決定的となるとのEHRLICfIandEHRLICH(28・29),HEATIIandHEATII(51) の考えとは相容れない.しかし,第1章でも示したとおり,勝冠1号の抵抗反応は感染菌糸伸長開始期(接種後 14時間)からすでに発現しているのであって,本考察で示した抵抗性の決定時期(接種後8∼・12時間頃)はそ れに先立っているから,筆者の結論は本実験系に関する限り妥当であるい
・−・9・− 第2節 過敏惑え死と抵抗性との関連 抵抗性宿主に.おけるさび菌の菌体発育阻嘗は,過敏感え死による菌の封じ込めあるいは飢餓によるとの報告が 多い(2829・51・55・85・12S・12叩7〉.また,一・般に過敏惑え死細胞は第1次吸語形成以後に.出現するとされているく51・121・126) 勝冠1号とレース226の組合せでは,接種後8∼12.時間に抵抗性が決定され,同14時間以後から抵抗性が発現 するが,この時期ほ屠1次吸器形成以前であるしたがって本実験系では従来の諸報告とは異なり,過敏感え死 が菌体発育阻害の原因でない可能性が大きい 本節でほ本病における抵抗性の発現と過敏惑え死の因果関係を明確にする目的で宿主組織のえ死およびえ死に いたる生理的変性について解析を行なう 第1項 実 験 法 1い 過敏惑え死細胞の判定 宿主の過敏感え死細胞は BROWNetal.(18)が級告した−7エリソプ/t/1−・濃染部と MARTE and MoNTALBINI(85)が用いた螢光発色部により判定した‖ 螢光装置はツァイス万能頗徴鏡付置のもの を用い,フィルターー・はタイプⅡ,BG3ユキサイタ・−・および50/44バリヤ−の条件で観察した
2.電解質の漏出畳の測定 SAMADDER and ScHEFFER(111)の方法に・準じた まず,5mmの生薬切片100 枚(250mg)をか−ゼに包み,イオツ交換水で1分間水洗した… 薬片は振逸機(120rev・/min,25◇C)にとり つけたイオツ交換水50mlを入れたビ1・・・・か−・に入れ,東亜電波電導度計(K=1小0)で5∼60分間の電解質の漏 出盈を測定した.結果ほ〟mhos/g生体重で示し,か−・ゼを浸潰したイオツ交換水区を対照区としたい 3い 炭酸同化産物の漏出畳の測定 種子20粒を播種して青首した径9emのベトリ皿を,接種前に密封デシケ 1−タl−・(10…41)中K,入れ,100pCiのNa214CO8に10%の乳酸を加えて14CO2を発生させ,250C,8,000ルッ クスの条件下で4時間炭酸同化を行なった2時間室内に放置後常法により夏胞子を接種した血ついで,5枚の 菓の接種部位.から5mmの切片35枚(80mg)を採取してか−ゼに包み,20mlのイオン交換水を入れたど・−カ 一に浸潰し,上記と阿一条件で振蛍した..浸出液から200〝lを取り,Bray液(176)10mlを加え,堀場日立液体 シソチレ・−ショソカウンタ・−で漏出した放射能を測定した.結果ほdpm/g生体重で示した. 第2項 宿主粗放の過敏惑え死 本項ではまずェソバク7品種の過敏感え死 の状態を光学顕微鏡および螢光顕微鏡によっ て調べ ,菌体の発育阻害と過敏感え死出現の 時間的経緯を明らかにした 勝冠1号に」/−ス203を接種した場合,接 種72時間後までは侵入部において光顕的変 化は全く認められなかったい 一方,レース 226接種菓では,接種28時間後から,吸器の 形成された葉肉細胞あるいは感染菌糸と接触 した細胞に過敏惑え死が出現し始めた(第5 図).侵入部におけるえ死細胞の割合ほ時間 過敏感え死細胞数;︶〓H 5 4 3 2 16 20 24 28 35 40 48 60 72 接種後の時間(咋) 第5図 冠さび菌接種の勝冠1号菓における過敏感え死の経時的 変化 ●,○,温:アニリンブルー濃染部を光顕祝祭 ×,ロ:螢光発色部を螢 光銃後銃観察 226‥不親和性 20$‥親和性
ー10− とともに増加し,接種40時間後に巌高となった.また,接種35時間後からは,菌体に未接触の隣接細胞にもえ 死細胞がみられ,同60時間後に.ほ侵入部位あたり約5細胞がえ死していた本現象はアニリソプル・−染色法,螢 光検出法のいずれの実験方法においても全く同一傾向 として認められたい第6図に侵入部の過敏感え死細胞 を示した. 同様のことを他のPc番号を異にする6品種のエソ バクについて調べたレ−・ス226を接種した場合,40 時間頃からPc40,48および50の侵入部位の葉肉組 織に過敏感え死が観察された接種48時間後の観察 結果をまとめたのが第5表である.過敏感え死ほPe 48が最も多く,Pe39,47でほ全くみられなかった. 一方,レ・−ス203接種の場合は,過敏惑え死出現頻度 第6図 レ−ス226侵入部に.おける勝冠1号実の過敏 感え死神胞 n:え死細胞i:感染菌糸 s:気孔 は少なく,Pc50だけが侵入部位の約半数の部位に.おいて過敏感え死を起したにとどまった 第5表 冠さび菌を接種した6品種のエ・ソバク菜に.おける過敏感え死の状態 a:接種後48時間に測定 第3項 宿主細胞膜の透過性 細胞の生死判別の最も確実な方法としで細胞膜の半透性の喪失を調べることが古くから行なわれてきた(151〉 とくに.電解質,同化産物の漏出を測定する方法は精度の高いことから(158・1¢4),近年生理学の分野で広く応用され ている1そこで筆者は光顕的に観察した細胞え死を生理学的に確認する意味で不親和性および親和性のレ・−・スを 接種した勝冠1号菓の電解質, 同化産物の漏出について調べ た 1.電解質の漏出 接種48 時間後の試料を用い,細胞内 容物の漏出盈をイオ・ソ交換水 の伝導度の変化に.より調べた (第7図)り 振澄開始後5∼ 20分頃までは急激に伝導度が 上月し,以後は60分までほ とんど変化しないい この傾向 は健全,両レ・−・ス接種菓区と も同一であった小 つぎに,不
−11一 親和性レ・−スを接種した菓片の振汲60分後の不親和性レース接種薬に.おける電解質の漏出は速度・盈ともに健 全菓よりも高い僧を示すが,親和性の組合せでは有意な差は認められない電解質の漏出と接種後の時間との閑 係を比較すると(第8図),レ−・ス226接種後40時間 まで健病間の漏出盈に.ほ有意な差異ほ認められないが, 接種薬では48時間から漸次増加し始め,同60時間に. 最高となり,以後ほ変化しなかった一方親和性レ叫 ス203を接種した菓では,実験期間中麒著な変化はな かった 2.炭酸同化産物の漏出 放射性同位元素を用いた 細胞内容物の漏出測定法は最も感度の高い方法である. 同方法によってレ1−ス226を接種した勝冠1号築から 漏出した放射能を測定した(第9図).その結果, 14CO2同化産物の漏出の健病問に.おける差異は接種16, 35時間後・では認め難いが,同48時間後に」/−・ス226 接種菓での増加が明瞭となった.なお,炭酸同化産物 接種後の時間(畔) 第8区rlノー・ス226接種の勝冠1号実年おける電解 質の漏出盈の経時的変化 H:健全 226:接種 の漏出畳も,電解質の場合と同様で,振漁開始20分後頃までに急速に増加し,以後一定となった ×105 m 放射活性︵dpJ是壷︶ 浸潰時間(時) 第9図 レース226接種の勝冠1号薬における14CO2同化産物の漏出盈 a:接種後16時間 b:同35時間 c:同48時間 H:健全 226:按轍 第4項 考 察 過敏感え死についての観察によると(第5図,第5表),勝冠1号とレー・ス226の組合せでは,接種後28時間 までは光頗的には何らの変化も認められず,その後急速に.過敏感え死細胞数が増加し,40時間後には最高に達 する.この結果を菌体発育と対比させてみると,過敏感え死ほ.菌体発育の遅延期には現われず,菌体の発育が停 止する接種後35∼40時間頃から急激に増加する.他のPe番号を異にする6品麓の・エソバク実について過敏感
・−・12・−−・ え死の頻度と菌体発育の程度を比較した結果に.おいても,菌体発育の悪い組合せほどえ死の割合が高いとは限ら ず,Pc38−・レー・ス226のように罷病型に過敏感え死の生じる場合もある.また,過敏惑え死の過程における生理 的変化を膜の透過性の機能を指標に.して調べてこみると(第8,9図),細胞内からの電解質および14CO2同化産 物の異常漏出はいずれも不親和性レ・−ス226を接種後48時間から認められた.こ.れは光顕観察による過敏惑え 死の出現よりも遅いから,え死の過程の生理的変化は少なくとも,菌体発育が阻害されはじめる時期に.は起こっ ていないことを示唆している.以上のように,勝冠1号菓に.おけるレー・ス226の菌体発育阻害は,宿主組織が変 性する以前に起こるから組織細胞のえ死を抵抗性発現の第1義的要因としてこは考えるこはできない.この点で, 過敏惑え死を抵抗性の原因とするSTAKMAN(188),HILU(55),ZIMMER(177),EHRLICH and EHRLIC王Ⅰ(28),HEATH and fIEATH(51),MARTE and MoNTALBINI(85),SKIPP and SAMBORSKI〈128),BAILEYく5),SKIPP et al.く125) の報告と筆者の結果とほ異なる.
第3章 抵抗反応における抗菌性増加
前章において明らかにしたように.,勝冠1号レ−ス226系に・おいては組織細胞の過敏感え死は抵抗性発現に関 与しないので,レ−・ス226の菌体発育の阻屠は戯蘭低物質の生成による可能性が大きい.抗菌性物質のさび病躍 病植物に.おける生成に.ついて:は,LITTLEFIELD(79),LEATH and RowELL(77),CHEUNG and BARBER(18)が アマさび病,コムギ果さび病などで報思しており,BAILEY andINGHAN(6)ほUromycesappendiculatus
に感染したインゲン菓からファイトアレキシソの一種7アゼオ・リソを単離したり また,FARKASandKIRALY(81〉, KIRALY and FARXAS(71),SEMPIOetal.(121)ほそれぞれコムギ果さび病,インゲソさび病ではフェノ1−・ル現に
よって菌体の発育が阻止されるとしている. 筆者ほ勝冠1号実に.おける菌体発育阻害の原因を知るために不親和相互■反応系において菓中に生成される抗菌 性物質について検討を加えた.本章でほその結果について述べ,それら抗菌性物質の抵抗性における意義につい て二考察する. 弟1項 実 験 法 1..葉肉切片浸出液の調製および抗菌性の検出 抗菌性物質の検出には,植物表面に滴下した水滴を用いる方 法すなわち“drop diffusate technique”(21)がしばし用いられている‖ 本実験でもこの方法を試みたが,抵抗 躍病間に抗菌性の差異を検出できなかったので,以下の方法を用いた. 健全および濃厚接種した菓の表面表皮を剥離後,カミソリで5×5mm2の切片に切断し,剥離面を下に.してイ オツ交換水上に浮逆させた.5分後に.浸出液を採取し,イ オン交換水で適宜希釈してレース226または ぴγ0竹も財eββ Jdわαβの夏胞子を浮かべ,20◇C,16時間放置後に発芽率 および発芽管長を調べた 2‖ 剥離表皮上の感染菌糸形成 内藤および山本(96)の 方法により剥離表皮上にinfection struCture を形成 ぎせ,気孔下のうから菌糸の先端までを測定して感染菌糸 長としたすなわち裏面表皮を剥離後,外面に夏胞子を接 第10図 剥離表皮上の感染菌糸形成法
A:剥離表皮 B:infection structure C:ろ紙片 D:スライドグラス
・−13一 種し,表皮の両面が空気と接するように席端に.ろ紙片を置いて,250C,湿室ペトリ皿中に.一定時間放置した(第 10図)‖ アニリソブル1一波(94)で染色後,600倍の光学顕徽鏡下で観察した 第2項 抗菌性の検出 健全菓またはレ・−ス226および203接種菓の葉肉切片の浸出液をイオン交換水で2倍に廟釈して,レ・−ス226 の発芽率および発芽管伸長に・およぼす影響を調べた(第6表)発芽率はいずれの浸出液とも良好でイオン交換 水区と同様であった.健全およびレ←−ス203接種其 の浸出液では,イオ・ソ交換水区と同様に.発芽管伸長 は良好であったが,レー・ス226を接種後28および 35時間に.採取した浸出液では,伸長が顔著に阻害 された、このことほ不親和菌接種菓における抗菌性 物質の生成を示している 第6表 冠さび菌接種菓の葉肉切片浸出液に.おける 抗菌性 第3項 浸出液の抗菌性の経時的変化 抗菌性の程度と接種後の時間との関係を調べたと a:発芽管長 発芽後16時間に測定 ころ,L/−ス226接種薬で検出される浸出液の抗菌性は接種20時間後から検出可能となり,同35時間後に最高 となった(第11図)この傾向はレース226およびぴγ0竹も財Cβさ./αわαβのいずれを検定菌としても同様であっ て,抗菌性物質の増加するこの時期が,初生薬におけるレ・−ス226の感染菌糸に伸長遅延および停止の起こる時 期と一致しているこのことは抗菌性物質の菌糸伸長停止への関与を強く示唆する.なお,発芽率に.ついてはい ずれの区においても阻害が認められなかった 0 0 0 0 2 感染菌糸整叩︶ 接種後の時間(時) 第11図 勝冠1号菓における冠さび菌の発育と抗菌性の経時的変化
a:感染菌糸の伸長 b,e:抗菌性 b:検定菌に・レース226を使用 e:検定動こ仇Ⅶ柳購ねあαeを使用 226:レース226接種実の浸出液 H:健全菜の浸出液 W:イオン交換水
第4項 抗菌性区分の分離
上述の諸結果から,エソバク勝冠1号にレー・ス226を接種した場合,抵抗反応としてその集中に或種の抗菌性 物質が生成されることが推定される.同物質の分離精製を試みた結果,葉肉1..Ogから得た葉肉切片浸出液20ml
−・14−
を減圧乾国後,メタノ・−ソレに溶解し,8倍盈のエチルエ・1一子ルを加えたところ淡白色の沈殿が得られたいこの沈
殿物中(以下フラクショソAと称す)に・抗菌性物質が含まれていることが明らかとなった(第12図)・ 案肉切片の浸出滴」
∠一茶発乾固(300c) ∠−メタノール溶解 エー遠心分離 第5項 剥離表皮における感染菌糸伸長 前項で検出された抗菌性物質が葉肉組織で生産される ことを明確にする実験の一つとして,表皮組掛こおける 親和性,不親和性レースの伸長を観察した(第13図) それによると剥離表皮における感染菌糸の形成時間は腰 紐織中と同様であったが,そ・の後の発育は菓組織の場合 と異なった.すなわち剥離表皮では,接種後14時間か らの伸長速度ほ」/−ス226および203とも同一であっ た.また,伸長停止期(接種後48時間)における両レ −スの感染菌糸長は約160/Jmに・もおよんだ 不溶部 可溶部 ム_エチルエーテル添加 (8倍鼓 ■%) 不溶部 (フラクションAと称す) 第12図 抗菌性区分の分画過程 第6項 考 察 LITTLEF王ELD(79)ならびにCHEUNGandBAR】∋ER〈18〉 はそれぞれアマさび病およびコムギ果さび病に.おける CrOSS−protectionの結果から,ファイトアL/キシソ生 成の可能性を強く指摘した.LEATHand RowELL(77〉 も且伊州朋励磁(非病原菌)に感染したトウモロコシ でファイト7レキシ∵/の生成を示唆している.しかし, ファイトアレキシソ生成の直接的証明ほBAILEY and IHGHAM(6)のインゲソざび病における報告以外は,みあ たらないまた,フェノ−ル煩に.よってもコムギ果さび 菌あるいはインゲソさび菌の発育は阻害されると報告さ 第13図 勝冠1号の剥離表皮上における冠さび 菌の感染菌糸の発育 226:不親和性 203:親和性 れているが(31・121〉,いずれも,菌体発育とそれらの物質との関連性を経時的には調べられていない. 本実験ほ,勝冠1号実における抗菌性物質の生成の可儲性について接種後健時的に・検討したところ,つぎのよ うな4点が明らかとなった(第6表,第11,12,13図).すなわち(1)抗菌性の増加は不親和性レ・−ス226接種 菓の葉肉切片浸出液にのみ認められる,(2)抗菌性物質生産盈と感染菌糸遅延の時期ほ時間的に一致している, (幻メタノ−・ル可溶−エ1−テル不溶区分に抗菌性が確認された,(4)剥離表皮における感染菌糸の伸長速度および長 さに.両レ・一・ス間に差異はなく,葉肉組織での抗菌性物質生産が裏づけられたなお,この物質は剥離切片をイオ ソ交換水に.5分浮遊して得たものであるから,剥離や水に浮遊したための人工的原因に・よるとは考え難い‖ また,後述(第4章第2節)のように.レ・−ス226接種後の勝冠1号菓から抽出したフェノ・−ル現には抗菌性は認 められないから,フェノール炉は菌体の発育阻害の要因ではないと考えるこの点はSEEVERSand DAl.Y(118) がコムギ果さび病抵抗反応に対して述べた見解に一激する. 一般に抵抗性宿主におけるさび菌の菌体発育阻害は過敏感え死が原田とされてきたが,第2章第2節で明らか にしたように,勝冠1号菓でほ組織細胞のえ死がレ・−・ス226の菌体発育阻止の原因にほならない,.また,錦織(叩,・−・15・−・ HILU(55),HEATH(50),LITTLEFIELD and ARONSON(81)は細胞壁の肥厚が菌体発育阻止の一・田に.なる場合もあ
ると述べているが,LEATH:and RowEI.Ⅰ.(F6〉は細胞壁肥厚の抵抗性への関与についてほ否定的見解を示してい る.本実験でも細胞壁の肥厚ほみられなかったからLEATHand RoⅥrE工JLの見解に.一致す−る1. 以上の諸結果から,勝冠1号に.おけるレ・−ス226の菌体発育の阻害は,抗菌性物質の生成に起因すると考える.
第4草 紙抗反応に.おける蛋白質および酵素活性の変化
C¢γαね¢財β舌乞8./宣刑むγ宜α£α(1〉またはガβ£乞¢0あα8宜dせ眈刑仇0竹もpα(87〉に・感染したサツマイモおよび動物加・ pん亡ん0γ′α五りぴb8とα彿8(153)に感染したジャガイモでほいずれも抵抗性品種に・おいて蛋白質含意が増加する.その うちサツマイ・モ黒斑病ではdβ%OVOに合成される蛋白質が免疫学的手法によって証明された(158・157) さび病に.おいては抵抗性品種の蛋白質含盈は,コムギ果さび病(102〉では感染が進むに従って減少するい また, コムギの果さび病抵抗性品種Ⅹhapliは茎の切断処理濫より躍病性に転換するが,この場合に2種塀の蛋白質 が消失することが明らかに・されている(112)い しかし,コムギ赤さび病(8さ)では抵抗反応時に蛋白質の変化は認めら れず,自然条件下で感染した果さび病(169)および赤さび病(¢8)でほディスク電気泳動法および血清学的方法に.よ っても質的変化は検出されない(7・84〉 蛋白賀代謝の変動は酵素の活性変化を伴なう場合が多いが,なかでもPAL,POおよびPPOが抵抗性に関 ・与する酵素として注目されている… イネいもち病(86),サツマイ・モ黒斑病(154),ジャガイモ疫病(85・38),コムギうど んこ病(40)およびダ髄βαγ宜祝例菌接種のエンドウ(44)ではPAL活性と抵抗性の問に正の相関性が認められている. POの活性増加あるいほPOアイソザイムバンドの増加ほ■アボカド疫病(159),イネいもち病(88・128),イネごま菓枯 病(99・100),ジャガイモ疫病(152),テンサイ褐斑病(104),トウモロコシごま菓柏病(84),トマト萎凋病(105)などでは抵 抗性に関係すると報葛されている.またサツマイモ黒斑病(61),テンサイ褐斑病(104)では抵抗性品種に.おいてのみ PPOの活性が著しく増高するひ さび病でほ,コムギ赤さび病(64),アマさび病(2)抵抗性にPOが関与すると考えられているが,コムギ黒さび病, インゲソさび病に・おいては,PO活性の増加を抵抗性発現の原因と考える報告く2・さ3・90・91・129181・1さ2)と単なる随伴現象 であるとする報告(24・25・70・119120)とがあって.必ずしも一・致した見解はえられていない. 本草では抵抗性発現にともなう総体的な蛋白質の変化について把捉する・ついで,抵抗性に関与するとされて いるフェノ・−ル代謝に関連する酵素の活性変化について検討を加えるけ 第1節 抵抗反応時における蛋白質の変化 コムギ品種Khapliにおけるさび病抵抗性の場合には,さび菌の感染に・ともなって呼吸の増加がみられる が(122・128),蛋白質は減少する(1O2)・また,最近では,BARNAetal・(7)はさび病の抵抗性に.ほ贋白質代謝は関与し ないとの見解を出したけ 勝冠1号でほ第8章で述べたように不親和性レ1−・ス226接種実においては抗菌性物質が生成されるが,この抗 菌性物質の生成がde彿OVβ合成の酵素に・よるかあるいは単なる酵素の賦活に基づくものかを知ることは宿主.−・ 病原菌相互反応の機構の解析に虜要な知見を与える したがって本節ではまず感染菓における蛋白質の変化か ら調べてみるい 第1項 実 験 法 1・定盤 生薬1いOgを1mMMgC12,1mMβ−・メルカプトニタノ1−ルを含む10mM:リン酸緩衝液(pH・−・16・−・ 7”5,OOC)20ml中で,ブレンダ1一塾ホモジナイザ1−I(日本精機HB塾)により3分間(20,000rev./min)磨砕 した」磨砕液を二重ガ∴ゼでろ過後,1,000×g,10,000×g,各15分および105,000×g,120分の分画遠心分離 を行ない,各沈殿部ほ周・一緩衝液K・懸濁した蛋白質含量は牛血清アルブミンを標準液とし,Folin−Ciocalteu 液(さ2〉を用い,750nmの吸光度から算出した. 2h ディスク電気泳動 二亡・ソバク生業1・Og・を1いと同一緩衝液1ml中・で乳鉢に.より磨砕後,二重ガ・一・ゼでろ 過した10mlずつイオソ交換水を入れた50枚のベトリ皿中で,夏胞子0.5gを250C,3時間発芽させた後, ろ紙で回収し,エソバク菓と同様の磨砕ろ過,を行なった.両ろ過液を105,000×g・,120分遠心分離して,上澄 液を供試した. 電気泳動法はミツミ科学産業の装置を用い,DAV王S(26)の方法により7..5%分離用ゲル(pH8‖3)で行なった. エソバク某および夏胞子は蛋白質急がそれぞれ500〟g,300/‘gとなるように盾径5mmのカラムの濃縮用ゲル 上に直接添加し,†リス1−グリlシソ緩衝液(pH8。3)を用いて:,2mA/ゲル,2時間0∼5Ocで泳動した、蛋白 質のバンドはアミドブラックで染色後,7%酢酸中で電気泳動約に脱染色し,東洋デンシトロ㌧−ルDMU−′2型 の621nm波長下で記録した. 3い 抗体作製およびディスク免疫電気泳動 2…と同様の方法で調整した接種後35時間のユ・ソバク集および発 芽後3時間の夏胞子の蛋白質抽出液に等量のFr・eund’s完全アジュノミソト(Difco)を加え,油滴状となるまで 充分混合したものを抗原とした注射は2週間間隔で2回うさぎの足先,大腿部の皮下に少盈ずつ分散して行な った、全採血ほ,最後の注劇後10日に窺部動脈から行ない,370C,1時間放置後00Cに.1夜静際して血清を分 離させた。血清の回収は10,000×g,10分の遠心分離により行ない,最終濃度0..1%の窒化ソ−ダを添加して −200Cで貯蔵した. ディスク免疫電気泳動はCAllSIMPOOLASe七al.(15)の方法に・準じたすなわち,ディスク電気泳動後のゲル を半分に.割り,切り口がスライドグラス上のアガロ・−・ス(0“1%窒化ソ1・・・・■・ダを含むベロナ・−リレ緩衝液,M=0小05, pH8.6に0小8%■7ガロ・−スを溶かす)プレ・−・ト面と接触するように抗体満の横に静督したり反応は200C,4日 間行ない,蛋白質バンドは螢光灯の透過光下で確認される沈降線に・よって決定した。. 第2項 各区分申の蛋白質含量 まず,不親和性レースを接種したエソバク集中の蛋白質含盈の変化について検討した.予備実験に・よると,菓 磨砕液の全蛋白質合致には顕著な変化ほ認められなかったので,菓磨砕液を遠心法によって種々の分画とし,各 第7表 レ・−・ス226を接種した勝冠1号菓における蛋白質含量 a:沈殿部 b:上澄部 技:健全 226:接種
−17・− 区分中の蛋白質を定量した(第7表). 初生薬の蛋白質含盈は,菌体発育の停止する接種35時間までほ健病問に.検知できるほどの差異を生じなかっ た.ただし72時間後の接種葉では,105,000×g上澄区分の蛋白質急が増加していた.他の分画すなわち細胞頻 粒などには有意な差異ほ生じなかった. 第3項 可溶性蛋白質の質的変化 1..ディスク電気泳動 第2項の結果から明らかなように・,少なくとも感染初期において.■,検出できるほどの 蛋白質の変化は認められない.しかし,それは全蛋白としでであり,個々の蛋白の変化については不明である そこで接種20,28,35および48時間後の菜中可溶性蛋白質についてディスク電気泳動法で分画し,蛋白質の種 炉を調べたところ,第14図のように18本の蛋白バンドを生じたが,このバク−・ンは健病問,接種後時間のいず れにおいても変化が認められなかった.なお,夏胞子の蛋白バンドは19本であった 1吸光度︵621nm︶ ゲルの良さ(cm) 第14図 勝冠1号のレース226接種集および夏胞子の可溶性蛋白質のディスク電気泳動像 a:按庖 b:健全 e:夏胞子 接種後35時間および発芽後3時間のバンド 2い ディスク免疫電気泳動 前項において明らかに・したように・,抵抗反応を示しているエソバク菓の蛋白質の 質的変動ほ顕著でないしかし,最も鋭敏とされている免疫学的手法によっては何らかの変化が検出できる可 能性がある.そこで菓浸出液の抗菌性が強くなる接種後35時間(第11図)に採取した試料で抗体を作製し, 感染集中蛋白質の質的変化を血清学的に調べた(第15図)GRABA(39〉に.よる免疫電気泳動法,ⅩABATand MAYER(65)によるOucHTERLONYの二盟拡散法では健病問に・沈降線の差異は認められなかったが,CATSIMPOO− LASetal・(15)によるディスク免疫電気泳動法では健全区にはない沈降線(バンド6)が認められた.夏胞子の抗 体とエソバク菓の抗原あるいほ逆の組合せでは,ともに・沈降線を生じなかった.ただし,夏胞子の抗体と同抗原 の間では4本の沈降線を生じた‖ 第4項 考 察 こ亡・ソバク初生薬を,核およびクロロブラスト,ミトコソtごり■7,ミクロゾームの各細胞顆粒部および可溶部に 分画し,蛋白質含盈の変化を調べたが,接種後35時間まではいずれの場合も健病間に.有意な差異が認められな かった(第7表)1ただし,接種後72時間の接種菓では,細胞質の可溶部および全磨砕液の蛋白質含盈は増加し
18 a c b B + a c b A 第15図 勝冠1号のレース226接種集および夏胞子の可溶性蛋白質のディスク免疫電気泳動 A:膠冠1号菓 B:夏胞子 A,Bのa:それぞれ健全菓,夏胞子の抗原 A,Bのb:接種薬 の抗原 A,Bのe:・それぞれ接種薬,夏胞子の抗体 図中の数字ほ沈降線の番号 接征後35 時間および発芽後3時間の抗原 たしかしこの時期は第1章で明らかにしたように.,l←−ス226の感染菌糸の発育が停止してから約32時間も 経過していることに.なるから,この変化が抵抗反応に周与するとは考えられない,蛋白質の質的変化を調べた結 果によると,ディスク電気泳動法,ニ重拡散法および免疫電気泳動法のいずれの場合も,コムギ果さび病(7・釣・川9) コムギ赤さび病(¢8)において報告されている結果と同様であって健病間に・蛋白質の質的変化は認められなかった (第14図).しかしながら,ディスク免疫電気泳動法によって分析した結果,レース226接種菓には新たに特異 的な沈降線(第15図のバンド6)が出現することが明らかになった,この沈降線は夏胞子の抗体とエソバク接 種菓との反応では出現しないから,宿主由来のde%0γ0の蛋白質と考えられる‖ すなわち,本結果ほレ・−ス 226接種の勝冠1膏薬では感染にともなって蛋白質代謝が変化したことを示唆している.この点についてはさら に次章で検討を加える. 第2節 フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAl一)活性の変化 PAL活性の変化については,HADWIGER etal.(44〉がアマさび病,インゲソさび病,コムギ赤さび病および トウモロコシさび病のいずれでも健病間に差異がないと報告したにとどまっており,その他のさび病では抵抗性 と本酵素との関係は不明であるPALはフェノl−・ル代謝の“keyenzyme”(14)であり,フェノ1−ルはさび病の 抵抗性に.関係するといわれるので(81・71),さび病でもPALが抵抗性に関与す−る可能性は少なくない. 本節ではまず感染にともなうPAL活性の変化ならびに・植物成分のうちでPAL活性と関係があると思われる フェノ・−ル,フラボノ−・ルの含量を調べる‖ 第1項 実 験 法
−−19・− エソバク菓2.Ogを50mMトリス一塩酸緩衝液(pH7..6)5ml中で磨砕した20,000×g,15分の上澄液を粗酵素 液に用いた.反応ほ.100mM湖酸ナトリウム緩衝液(pH8.5,400C)25mi,50mML1−フェ1=・/レアラニン含 有朔酸ナトリウム緩衝液1mlおよび粗酵素液1い5mlを混合して,400C,2時間行なった反応後6NHCl
Oい1mlを添加して反応を停止させた後,・エチルエ・一テル7..5mlを加え.,はげしく混和した,静置後エ・・−・テル層
を5ml採取し,300C下で蒸発乾国後残漆に.50mMNaOH3mlを加え,268nm波長下で吸光度を測定した. 対照区は反応時間0時間とし,ケイ皮酸盈の換算ほAsADA and MATSUMOTOの方法(4)によった.2.フユノl−・ルおよびフラポノール含畳の定量 抽出はSEEVERS and DALYし118)の方法に準じた.すなわち, エソバク莫1いOgを80%メ.タノ・−・ル5mlで3分間磨砕後,ニ重が−ゼでろ過した液を1,000×g・,5分遠心分 離した.沈殿部を80%メタノ仙ルで2回洗浄後,上記上澄液に加えて.粗抽出液とし,以下の実験に.供した.
フェノl−・ル畳の測定はSwAIN and HILLIS(137)の方法によったすなわち,上記抽出液を350C「ごで蒸発乾国 後80%メタノ・−・ル2mlに再び溶かした.同液0‖1mlに.Folin−Denis試薬0。5mlおよびイオン交換水8.A mlを加え,3分間静置後,飽和Na2CO8水溶液1mlを添加し,室内に1時間放置した測定は725nmの波長 下で行ない,標準液にはかアニイン酸を用いた.対照としてほ,抽出液をイオン交換水に変えたときの吸光度を 用いた、 フラボノl−・)Lの定最はKATOndMISAWA(68)の方法に準じたすなわち,上記抽出液を80%メタノ1−・ルで3 倍に希釈した液1mlに80%メタノ・−ル1mlおよびNa2COさ飽和の80%メタノ1−リレ溶液8mlを加え,400nm 波長■下で吸光度を測定した小 対照にほ飽和Na2COさを添加しないときの吸光度を用いた… 第2項 感染にともなうPAIJの活性変化 まずェソバク実におけるPAL活性の測定条件を検討し,感染に.ともなう勝冠1号初生薬の活性変化につい て調べた. 1… PAI」活性の反応条件 健全菓およびレトー・ス226接種後35時間の試料を用い,反応の最適pH償および 時間,生成物について検討した(第16図) 健全菓におけるPAL活性は低いが,接種薬の活性は高く,最適pH値ほ.8..5付近であった(第■16−a図). 健全菓では反応後3時間まで,接種薬では同2時間まで反応時間と活性は直線関係を示した(第16−b図). 反応彼の生成物の最大吸収波長は268nm付近にあり,ケイ皮酸の紫外部吸収曲線と一致した(第16−・e図).
∵二
弓ヽ 0 眼光度︵綱讐 0 放免辟又 1 2 3 反応時【7玉川咋) 波 長(nm) pH 第16図 レース226接種の勝冠1号菓におけるPAL活性の反応条件 a:pH b:反応時間 e‥生成物の紫外部吸収 注:健全 226:接種 2..PAIJ活性の経時的変化1.の結果に基づき反応条件を,pH8.5,2時間とし,レ・−ス226および203按ー・20− 聴後の活性変化を調べた. エ・ソバク健全菓のPAL活性ほ低く,測定期間中の変動は認められなかったが,レー・ス226接種菓の活性は接 種後8時間から増加し始めて,同12時間に健全菓の約4倍となった..以後は同28時間まで漸減するが,つねに 健全菓の約2倍以上の活性を保持した。接種後35∼40時間に再び活性が増加して,約6倍となった後,同48時 間にふたたび低下した(第17−・a図) レ−・ス203接種菓でも同様に.接種後8時間から活性が増加し,同12時間に健全実の約3倍となった.しかし, その後の活性は漸次低下し,接種20時間以後ほ健全菓と同様であって,・一定の値を示した(第17−・b図) ケイ皮酸︵m。/g生重/時間︶ 〃. e 第17図 冠さび菌接種の勝冠1号菓におけるPAL活性の経時変化 a;不親和性 b:親和性 H;健全 226,208:接種 第3項 フェノールおよびフラポノール含量の変化 前項で示したように.,レ・−ス226接種菓・ではPAL活性の特異的増加が認められる.このことは不親和性接種 菓中における■7ェノ−ル系化合物生成の増加を示唆する.本項ではレ・−・ス226接種集中に・おけるフェノ・−リレおよ び17ラボノ仙ルの生成物の変化を調べてみた(欝18図) 1 0 9 00 1100 カフェイン酸︵mg/g生求︶ 暇光度︵400nm︶ 4 5 0 0 0 3 8 12 16 20 28 35 40 48 接種後の時間(時) 第18図 レ・−・ス226接種の勝冠1号菓におけるフェノ・−ルおよびフラボノ1−ル合金 ●,○:フェノール ▲,△‥フラボノール H:健全 226:接種
・−21一− 健全菓のフェノールおよびフラボノ・−ル盈は測定期間中一定であって,レ・−・ス226接種実においても,これら の化合物の含盈に・ついては,健病間に靡著な差声ミ認められなかった・ 第4項 考 察 本節の結果から明らかなように.,勝冠1号初生薬に不親和性レ←−ス226,親和性レ・−ス203を接種した場合そ のいずれにおいても接種8∼16時間後に.PAL活性が増高している(第17図)これは,さび菌の感染組織に おいてPAL活性が変化しないとしたHADWIGER et al.(44)の結果とは→致していないしかしながら,この増 高は両レ・−スともほぼ等しいので非特異的な活性増大であると考えられる、一方,接種後20時間以後,とくに 同35∼40時間の顕著な活性増高ほレ仙ス226接種菓だ桝こ特異的に認められるから,一般的には抵抗性に関与 するもののようにみられるい ただし,感染菓のフェノ・−ルおよびフラボノ・−ル舎監が増高しない(第18図)か ら,このPAL活性の増高ほフェノ・−リレ煩の生成にはつながらない.・また,コムギうどんこ病に感染した抵抗性 のコムギ乗でほPAL活性が増高して,リグニソ合成が活性化されるようであるが(40),筆者の系では抵抗性エソ バク実においてもM餌1e(8)およびフロログルシソ一塩酸($)反応が陰性であったから,PAL活性の増高はリグニ ソ生成と関係しない.このようにPAL活性が増高して:も生成物は増加しないので,PAL活性増高は抵抗性と 無関係と思われるが,この点については第6章に.おいてさらに検討を加えたい. 第3節 ポリフェノール酸化酵素の活性の変化 従来,さび病ではPO活性が躍病性よりも抵抗性品種に・おいてつねに・高いことから,本酵素の活性増加は抵 抗反応に.関与サーると考えられてきた. 本節では,フェノール酸化酵素の感染に.ともなう変化について調べる 第1項 実 験 法 1… ペルオキシダーゼアイソザイム(PI)の検出 ディスク電気泳動はDAVIS(28)の塩基性ゲル(pH8・・3)お よび永井(92)の酸性ゲル(pH4…3)を用いて,前章第1節第1項2の方法で行なったアイソザイムの分離は, 約200〝gの蛋白質を含む50mMトリス一塩酸緩衝液(pH7・・6)の磨砕抽出液(20,000×g,15分の上澄液)を 用いて,2mA/ゲル,00C,2時間行なった一PIの発色はつぎの方法によった、すなわち,泳動後のゲルを0・04 %ペソチジン ,0.14%0−・ジアニシジン,0‖24%グアイヤコールおよび0.1%p・−ワニニレソジアミンを含む 100mM酢酸緩衝液(pI‡6い0)に10分浸潰後,0い02%H202を含む上記緩衝液中に・移した.反応5∼10分後, WooD(1叩の方法で7%酢酸溶液に浸して脱色した… ■バンドの出現後はすみやかに,東洋科学デンシトロ・−ル DMU−2塾に.より,567nm波長で吸光度を測定した 2り ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)およびインドール酢酸オキシダーゼ(IAAO)アイソザイムの検出 PIと同一条件でディスク電気泳動を行なった後,PPOアイソザイムはCHEUNGandWILLEでTSく1g)の方法 に.より検出した、すなわち,ゲルを100mM酢酸ナトリウム媛衝液(pH6.0)中で各種基質と通気条件下で 反応させた また,IAAOアイソザイムはFRENKEL(32〉の方法により,ゲルを100mM酢酸ナトリウム媛衝 液(pH6い0)中でβイソド・−ル酢酸と反応させた後,MEIJDTand GAINES(89〉の反応液中に移し,室内に1夜放 置した