治療中の生活支援
~化学療法を中心に~
✚徳島赤十字病院 がん化学療法看護認定看護師 武市知子 2016/3/26 グループ・ネクサス・ジャパン リンパ腫医療セミナー in徳島抗がん薬のイメージ
食欲がなくなる? 吐くのかな? へとへとに なるんじゃ ないか? 髪が抜ける?細胞分裂が盛んながん細胞(抗腫瘍作用) 細胞分裂が盛んな正常細胞(副作用) 抗がん薬 細胞分裂が 盛んな部位 髪の毛 皮膚 口、のど 胃、腸管 骨髄 (脱毛) (口内炎) (悪心・嘔吐、下痢、便秘) (爪の変化、色素沈着) (白血球、赤血球、 血小板の減少) 3
抗がん薬における主な副作用
抗がん薬 一般的に多い 消化器症状 骨髄抑制主な副作用と発現時期
経 過 副 作 用 投与当日 過敏反応、アナフィラキシー、急性悪心・嘔吐、 不整脈、血圧低下、頻脈、めまい、発熱、血管 痛、耳下腺痛、腎不全、 2~3日 遅発性悪心・嘔吐、発疹、全身倦怠感、食欲不 振、便秘 7~14日 口内炎、下痢、食欲不振、胃部重感、骨髄抑制 14~28日 臓器障害、膀胱炎、皮膚の角化や肥厚、色素沈 着、脱毛、神経障害、免疫不全 2~6ヶ月 肺繊維症、うっ血性心不全 数年 2次発がん、白質脳症私が血液科病棟に配属されたころは
まだリツキシマブは登場していなかった 抗がん薬の副作用に対する知識不足 今のように関連した書籍や看護雑誌も少なかった 口内炎も多かったし、副作用対策がやや後手だった 血管外に漏れると炎症や壊死を起こす薬剤を末梢血管か らおそるおそる投与管理 必ず脱毛するのに、脱毛対策として情報提供できるもの がなかった がん化学療法看護認定看護師を目指すきっかけに安全に、安楽に、安心して
治療を受けていただくために
初回治療は入院で 病気そのものの苦痛を緩和しつつ、治療できるよ う援助 抗がん剤を安全に、安楽に投与管理 治療に使用する抗がん薬の特徴をつかみ、早期か ら副作用対策を行う 自分自身で副作用をモニタリングし、セルフケア できるよう援助看護師として気を付けていること
化学療法への心理的な準備状態を整える 副作用や対処方法をイメージできるように 個々に合わせた情報提供 副作用やセルフケア、対処行動の結果を一緒 に評価し、フィードバック 気兼ねなく医療者に相談出来るように現在は・・・
安心してください 使用する抗がん薬の特徴をつかんで、先取りで副作用対策 様々な分野の医療スタッフが対応 問題解決に向けて、多職種によるカンファレンスで情報共 有し、専門性を発揮 歯科医とも連携し、口腔衛生は格段に良くなっている 医療・がん相談支援センターでのウィッグや帽子の相談会 を定期的に開催し、必要に応じて情報とウィッグを提供 前腕CVポート導入により、抗がん薬投与時の安全を確保R-CHOP療法とは
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における標準的治療 作用機序の異なる4剤の抗がん剤と抗体薬を組み合わせた多剤併用療法 〔投与スケジュール〕1クール21日 薬剤 投与量 day1 day2 ~ 5 リツキシマブ 375mg/㎡ ↓ シクロフォスファミド 750mg/㎡ ↓ ドキソルビシン 50 mg/㎡ ↓ ビンクリスチン 1.4 mg/㎡(MAX2mg/body) ↓ プレドニゾロン 100mg/body ↓ ↓ ↓ ↓ ↓R-CHOP療法と副作用
day1 2 3 4 5 6 7 10 14 21 入 院 リツ キ サ ン 退 院 制吐剤投与 脱毛 白血球減少 悪心・食欲不振 便秘 しびれ 入院中にかつらや帽子 の相談をして準備を! 投与から2か月以 内に発症 転倒、熱傷、け がの予防を 治療が始まると同時に感染予防対策 として手洗い、うがい、身体の清潔 を保ち、マスクの着用を! すっきり出るまで入院中から 緩下剤を内服して調整を! 悪心がある場合は制吐剤を 頓用で内服、食べやすい物 を食べれる時に! 外来受診時の採血で白 血球が少ない時には、 G-CSFを皮下注射 C H O P 療 法 インフュ―ジョン リアクション 腫瘍崩壊症候群インフュージョン・リアクション
• 分子標的治療薬の投与後に発現する注射に伴う 症状 • 投与中または投与開始後24時間以内に現れる有 害反応 • アレルギー反応や過敏症と類似した症状もある が、その薬特有の症状もみられるため区別され ている • 紅潮、発汗、発熱、悪寒などのインフルエンザ 様症状があらわれる • ほとんどは初回点滴静注開始後30分~2時間よ り24時間以内に現れる12
投与速度を守り、15~30分毎にモニタリング
初回投与は25mg/時 から開始、1時間後に 100mg/時へ、さら に1時間後に 200mg/時へ注入速 度を上げることがで きる. 初回投与に問題がな ければ、2回目以降は 100mg/時で開始可 能 予防のため投与30分前 に、抗ヒスタミン剤、 解熱鎮痛剤を内服 投与中、何かおかしい と感じたら伝えてくだ さい腫瘍崩壊症候群
血液がんの治療でみられる合併症 抗がん薬治療時に、腫瘍量が多いと腫瘍細胞 が大量に壊れ、腫瘍細胞中のカリウム、リン、 核酸などが急激に血液中に放出されることで起 こる 高尿酸血症、高カリウム血症、高リン酸血症、 低カルシウム血症が出現 腎不全の原因に 腫瘍量の多い初回治療時は、対策を十分行い、 慎重に治療が行われています悪心・嘔吐時の食事の工夫
タイミングを見て食べる 調子のよいときに 少量ずつ5~6食に分けて 好きな時に、少しずつ食べられるものを用意しておく 食事の全体量を減らし食べる品数を増やす 冷まして食べる そうめんや冷ややっこなど冷たいままで食べられる ものを食べる 胃への負担の少ないもの(炭水化物の多い食品)を選ぶ (高脂肪食は腸の蠕動運動を停滞させるため避ける) 脱水予防にできるだけ水分摂取を心掛ける悪心・嘔吐時の食事の工夫
食前に番茶やレモン水でうがいをする 食事内容は嗜好に合わせて 治療中はお粥やご飯のにおいで症状を誘発される ことが多いので、においの少ない食品を選択する パンや麺類に変更したり果物、酢の物、ゼリー、 プリンなどすすめてみる 温かいものは温かく、冷たいものは冷たくしたほ うが悪心を誘発することは少ない感染予防
• 手洗い:流水と石鹸で、特に食事の前や排泄後、 清掃等の家事を行った後 • マスクの着用:特に不特定多数の人ごみに出る ときは • うがい:外出後や食事の前後 • 歯磨きや義歯の手入れ • 身体の清潔を保つ:入浴やシャワーを行い、皮 膚、陰部・肛門部の清潔を保つ • 感染者に近づかない • 予防接種脱毛中のケア
頭皮の保護:目の荒いヘアブラシの使用 刺激の少ないシャンプー剤 強い摩擦を避けた洗浄 ドライヤーによる熱刺激を避ける 外出時かつらや帽子の利用 (直射日光や外傷を避ける) 頭皮を傷つけないように (頭皮が乾燥して傷が治りにくい) 環境整備:抜け落ちた髪が散乱するのを防ぐ (バンダナやナイトキャップ使用) 抜け落ちた髪の処理 (粘着テープやベッドブラシを使用)便秘時のケア
食物繊維の多い野菜や果物を食べる工夫 食欲増進のための調理の工夫 空腹時、起床時に冷水あるいは牛乳を飲む 水分不足にならない様に、こまめに水分を摂る 生活習慣・排便習慣を整える 適度な運動(身体の状態に合わせた運動を) 腹部のマッサージや温罨法効果的に下剤を内服
薬 物 名 機 序 適 応 酸化マグネシウム 便の軟化 便秘治療の第一選択 センノシド ・消化管蠕動の促進 ・大腸刺激性の下剤 ・就寝前に内服 ・直接大腸で作用す る ピコスルファート 新レシカルボン坐薬 直腸の炭酸ガスによ る刺激 便が硬く,肛門部を 通過困難な場合や怒 責をかけられない場 合 グリセリン浣腸 腸の粘膜を刺激して 排便を促進生ものを食べてよい?
治療中の白血球が1000(個/μL)以下の時期が1週 間以上長く続くと重篤な感染症をおこす恐れがありま す。 治療中、常に白血球が少ないわけではないので、採血 結果を見ながら、担当医師や看護師に相談してくださ い。 一般的な食中毒の注意事項を守りましょう。 食べ物を扱うときにはしっかりと手洗いを • 手に傷があるときには素手で調理しない • 調理する器具(まな板、包丁、ふきんなど)を清潔に • 品質賞味期限を確かめる • 生ものの保管と取り扱いは清潔に • 調理したものは、早めに食べる手足のしびれが気になります
CHOP療法ではビンクリスチンによる末梢神 経障害が起こります。 程度は個人差あり。手袋、靴下をはく範囲 症状はしびれ、冷感、痛み、手足の感覚がな い、ボタンがかけにくい、物がつかみにくい、 歩くときにつまずいたり転んだりする、階段が 登れないなど 転倒、やけど、打撲に注意 症状を和らげるために、マッサージや手指の 運動を治療すると味覚が変わる?
副作用で味覚が変化してしまう時期がある 口の中に何も入っていないのに味を感じる、 何も味がしない、本来の味と違う感じ、何を食 べてもいやな味がする、甘いものが苦く感じる、 甘みが強く感じるなどの味覚の変化 原因は、唾液分泌障害による口腔乾燥、味蕾 細胞の障害、末梢神経障害 対処法は、口腔ケア、味覚の変化の回復を助 ける亜鉛の摂取、症状に合わせて食事の工夫をペットの世話やガーデニング
をしてもいい?
ペットとの接触後はよく手洗いを ペットからの感染症もあるので、ペットの健康を 保つ、飼育環境を清潔に、糞の処理は他の人にし てもらう、ペットとの濃厚接触を避ける、咬み傷 やひっかき傷を作らないなど注意が必要 白血球が少ない時期はガーデニングは控えたほう が良いでしょう 土の中にも細菌がいますので、手袋・マスクをし て、傷を作らないようにしましょう治療中にお酒やたばこをやめ
なければならない?
禁酒、禁煙をおすすめします タバコは多くのがんの原因 心臓や肺に影響を与える アルコールの摂取は、肝臓に負担をかけ、薬 の代謝に影響を与えるため抗がん薬は毒性が強いと聞きました
何に気を付けたらよいですか?
• 抗がん薬は、投与後に尿、便、汗、涙、嘔吐物などの 中に排泄されて、体の外に出ていきます。体の外へ出 てしまうまでの時間は薬の種類によっても差がありま すが、48時間を目安に注意が必要です • 抗がん薬のカプセルや錠剤は患者さん自身で内服する ようにし、その後は手を洗いましょう。 • 抗がん薬がこぼれたり、排泄物で汚れた時は、他の洗 濯と分けて2度洗いします。汚染がない場合は特別な 取り扱いは不要です。 • 抗がん薬の大半は、尿や便に排泄されます。便座に 座って排泄し、ふたを閉めて2回洗浄しましょう。病棟看護師 がん化学療法看護 認定看護師 看護助手 外来看護師 (外来化学療法室) 病棟薬剤師 管理栄養士 理学療法士 放射線技師 検査技師 輸血部門 MSW がんサポートチーム ICT 医師 形成外科医 皮膚科医 病理医・技師 精神科医 臨床心理士 放射線診断医 治療医 歯科医 歯科衛生士 移植コーディネーター 家族 臨床工学技士