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Fig. 6 Convolution 法と Superposition 法による KERNEL の相違 モデルベースアルゴリズムでは, 計算された TERMA と KERNEL を重畳積分することで人体内吸収線量分布を 算出する 5). 従って, モデルベースアルゴリズムは不均質領域における 1 次

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Academic year: 2021

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モデルベースアルゴリズムでは,計算されたTERMA と KERNEL を重畳積分することで人体内吸収線量分布を 算出する5).従って,モデルベースアルゴリズムは不均質領域における1 次線の減弱補正および第 1–2 世代では 不可能とされていた散乱光子と 2 次電子の補正を可能にした.しかし,モデルベースアルゴリズムが計算する TERMA と KERNEL は,すべて水の TERMA と KERNEL であり,そのため,算出される人体内吸収線量は Dose to water である.

ここで問題となるのは,人体物質の構成元素の中でも骨(Bone)と水(H2O)の組成比の違いであり,骨(Bone)と水 (H2O)の組成比は,肺や脂肪などの他の人体物質と比較して大きく異なる6)(Table 1).Fig. 4 (b) で示すように, 組成比の違いは質量衝突阻止能 に差を生じ,吸収線量の計算に影響を及ぼす.そのため,人体不均質物 質を水に対する相対値として計算をするモデルベースアルゴリズムは,組成比の違いによって生じる吸収線量の違 いを考慮して正確に計算することは不可能であると考える. 4. 理論ベースアルゴリズムが計算する吸収線量 –媒質吸収線量(Dose to medium)- 理論ベースのアルゴリズムは,Monte Carlo 法を用いることで光子および電子の挙動をシミュレーション可能とし, リニアックの構造における光子や電子の挙動,そして,媒質の物理データ(物理密度と構成元素とその組成比)をも Water

Z (H2O) Air Lung Adipose Tissue Muscle Cartilage Bone

H 1 11.19 10.30 11.40 10.12 10.20 9.60 3.40 C 6 10.50 59.80 11.10 14.30 9.90 15.50 N 7 75.50 3.10 0.70 2.60 3.40 2.20 4.20 O 8 88.81 23.20 74.90 27.80 76.18 71.00 74.40 43.50 Na 11 0.20 0.10 0.10 0.50 0.10 Mg 12 0.20 P 15 0.20 0.20 2.20 10.30 S 16 0.30 0.10 0.30 0.90 0.30 Cl 17 0.30 0.10 0.10 0.30 Ar 18 1.30 K 19 0.20 0.40 Ca 20 22.50

Fig. 6 Convolution 法と Superposition 法による KERNEL の相違

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とに人体における不均質領域での光子の相互作用(質量減弱係数 )や電子の相互作用(質量衝突阻止能 )が計算される.そのため,モデルベースアルゴリズムでは不可能とされていた媒質吸収線量(Dose to medium)の算出が理論ベースアルゴリズムでは可能である.本章では,理論ベースアルゴリズムが計算する Dose to medium について説明する. Dose to medium を計算するためには,媒質の物理データ(物理密度と構成元素とその組成比)が必要とされる. まず,物理密度の算出にはCT 値–物理密度変換テーブル(CT to PD Table)が用いられる.CT to PD Table と は,CT to ED Table における相対電子濃度に代わって,Fig. 5 (b) に示す物理密度(Physical Density(g/cm3)) が用いられた変換テーブルのことを示す.つまり,理論ベースアルゴリズムはRTPS に登録された CT to PD Table に従って各ボクセルのCT 値を物理密度に変換する.次に,媒質の構成元素とその組成比を特定することが必要と なるが,現在の技術では,直接CT 値から入手することは困難であり,患者個々のデータを使用することができない. また,仮に入手出来たとしてもデータ量が膨大となるため,計算時間が延びてしまう問題が生じる.そこで,各社が とった手段がCT to Material Mapping である.CT to Material Mapping とは,CT to PD Table より得られた 物理密度からICRU または ICRP で報告されている体内物質の代表的なデータを割り当てることであり,すなわち, CT 値から Material を特定する方法である7)(Table 2).なお,特定された各 Material の構成元素とその組成比 についても代表的なデータが割り当てられるようになっている.

このように,理論ベースアルゴリズムではCT to PD Table と CT to Material Mapping を用いることで媒質の物 理データが計算され,これらの情報をもとにモンテカルロシミュレーションを行うことでDose to medium による人体 内吸収線量分布が算出される.

Mass Density[g/cc] Material

Eclipse の CT 値-Mass Density Curve から算出したCT Value[HU]

Min. Max. Min. Max.

0.0 0.0204 Air -1000 -957 0.011 0.6242 Lung -966 -374 0.5539 1.001 Adipose Tissue 脂肪 -434 1 0.9693 1.0931 Muscle Skeletal 骨格筋 -59 117 1.0556 1.6 Cartilage 軟骨 57 976 1.1 3.0 Bone 128 3063

5. 理論ベースアルゴリズムによる Dose to medium から Dose to water への変換の問題点 –convertedDose to water- われわれは,RTPS で計算された線量分布を検証するために水あるいは水等価ファントムを用いて測定を行う. このとき,測定で得られる線量は水吸収線量であるが,理論ベースアルゴリズムがCT to PD Table を用いて計算 した吸収線量はDose to medium である.現在,世界が基準とする吸収線量は水吸収線量であり,電離箱線量計 には水吸収線量校正定数が与えられるため,Dose to medium としての測定には不確かさを生じる可能性があると 考えられる.すなわち,実測による検証を行うためには,媒質を水等価に変換する必要がある.そのため,理論ベ

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ースアルゴリズムにはDose to medium を Dose to water に変換する機能が搭載されており,この方法について はAAPM TG-105 でも推奨されている1).なお,理論ベースアルゴリズムにおいてDose to medium から変換さ れた Dose to water のことを本報告では convertedDose to water とする.ここで注意しなければならないことは,

convertedDose to water は第 1–3 世代線量計算アルゴリズムにおいて用いられてきた Dose to water とは異なると

いうことである.convertedDose to water は,Dose to medium から変換された理論ベースアルゴリズム特有の水吸収 線量であって,前述したDose to water とは異なる.以下に Dose to medium とconvertedDose to water の違いに ついて説明する.

Dose to medium からconvertedDose to water への変換式を以下に示す8).

ここで, はconvertedDose to water, はDose to medium,そして は水と媒質の質量衝突阻止

能比を表す.これより,convertedDose to water は,計算された Dose to medium に Fig. 4 (b) に示す「水と媒質の 質量衝突阻止能比」を乗じるだけで算出される値である.

Dose to medium をconvertedDose to water へと変換することによって生じる線量差については,いくつかの報告 が存在する.AAPM TG-105 では,軟部組織における Dose to medium とconvertedDose to water の線量差は約 1-2%であるが,骨などの高密度領域においてはconvertedDose to water に変換することで最大約 15%もの線量増 加がみられたと報告されている1).また,Ma らは,骨等価物質における Dose to medium,convertedDose to water およびDose to water を比較した結果,Dose to medium と Dose to water に大きな差はみられなかったが, convertedDose to water と Dose to water では,convertedDose to water の方が約 10%以上高線量になることを報告 している9).さらにUsmani らは,脊椎に対する IMRT において Dose to medium とconvertedDose to water を線 量分布図および線量体積ヒストグラム(DVH)で比較をしている.その結果,線量分布図については Dose to medium でほとんどみられなかった高線量領域がconvertedDose to water に変換することで散在するようになり,そ の差は最大で約10%,DVH については Organ at risk(OAR)(Spinal Cord,Esophagus および Trachea)で約 1%の線量差しかみられなかったが,clinical target volume(CTV) = gross tumor volume(GTV)では約 5%以 上もの線量増加がみられたことを報告している10)

これらの報告から,Dose to medium とconvertedDose to water は骨領域において大きく乖離することがわかる.骨 領域における線量計算結果の乖離の原因は,convertedDose to water への変換に用いられる にある. Fig. 4 (b) に示すように,肺や筋肉の はほぼ1 であることに対して,骨の は1.1 前後と約 10% 高くなり,変換式から骨領域におけるconvertedDose to water は Dose to medium よりも約 10%高くなるといえる. つまり,骨の は他の人体物質よりも高くなるというわけだが,その原因は骨の「水素含有率」が他の人体物 質と比較して大きく異なる(約 7%)ためである(Table 1).Chang らの報告によると,肺等価物質における「水素含有 率」を増加させたところ,肺の吸収線量(Dose to lung)は増加したとされている 11).そこで,NIST の XCOM12) ESTAR13)を用いて,人体物質を構成する各元素に対する光子の質量減弱係数 および電子の質量阻止能 の計算を行い,その結果を Fig. 7 に示す.これより,放射線治療に用いられる高エネルギー領域において, 人体物質を構成する各元素に対する および は水素以外ほぼ同じであり,言い換えれば,構成元素の中 で「水素含有率」のみが吸収線量に影響するといえる.

convertedDose to water への変換に伴う線量増加が及ぼす臨床的な影響については,特に骨内にある腫瘍の吸

収線量を計算する場合に考慮する必要がある.腫瘍は骨よりも軟部組織(水)に近い組成となるため,convertedDose to water の方が実際の腫瘍における吸収線量を反映しているとも考えられ,臨床の場においては Dose to

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medium かconvertedDose to water のどちらを用いることが最適か,まだ議論がなされており,今もなお,正確な答え は出ていない14)

6. 放射線治療における吸収線量の評価について

本報告において,現在の汎用線量計算アルゴリズムであるモデルベースアルゴリズムによって計算される Dose to water,そして,現在,最も高精度とされる理論ベースアルゴリズムによって計算される Dose to medium および

convertedDose to water について説明してきた.本章では,吸収線量の評価について考える.RTPS で立案された

治療 計画 に おける 線量 評 価を行 う とき ,OAR に対する耐容線量の指標として,ASTRO から報告された QUANTEC15)が最も多く用いられている.しかし,QUANTEC はモデルベースアルゴリズムによって計算された線 量(Dose to water)による指標である.すなわち,理論ベースアルゴリズムが計算する Dose to medium および

convertedDose to water における OAR に対する耐容線量の指標としては適さない可能性がある.

今後,線量計算アルゴリズムはモデルベースアルゴリズムから理論ベースアルゴリズムへ移行するであろう.その 移行に伴い,計算される吸収線量はDose to water と Dose to medium の計算が可能になる.しかし,過去から 用いられている水吸収線量による線量評価はDose to water である.線量計算精度を上げるための物理的アプロ ーチによって計算されるDose to medium と,過去から蓄積された水吸収線量(Dose to water)による臨床的評価 の溝をうめていくことが今後の課題である. 7. まとめ 線量計算アルゴリズムがモデルベースアルゴリズムから理論ベースアルゴリズムへと進化したことにより,取り扱わ れる吸収線量は水吸収線量から媒質吸収線量へと移行可能となる.現在,水を基準としている吸収線量の定義お よび過去から蓄積された水吸収線量での臨床データでは,この媒質吸収線量を評価する事はできない.そこで, 実測による水中での検証結果と比較可能にするため,理論ベースアルゴリズムでは媒質吸収線量を水吸収線量に 変換する機能が搭載されている.しかし,変換される水吸収線量はモデルベースアルゴリズムによって計算される Fig. 7 人体組織を構成する各元素に対する質量減弱係数と質量阻止能

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水吸収線量ではなく,媒質吸収線量から変換された理論ベースアルゴリズム特有の水吸収線量であり,特に骨領 域における線量評価が大きく異なることに注意が必要である. 謝辞 今回,発表を行うにあたり,オブザーバーとしてサポートして頂きました大阪大学医学部附属病院 太田誠一氏, 近畿大学医学部附属病院 霜村康平氏に感謝申し上げます.またご指導,ご意見頂きましたわかば会スタッフの 皆様に感謝申し上げます. 参考文献

1. AAPM Report 105: Issue associated with clinical implementation of Monte Carlo-based photon and electron external beam treatment

2. ICRU report 44: Tissue Substitutes in Radiation Dosimetry and Measurement 3. 日本アイソトープ協会: 放射線取扱の基礎

4. 日本医学物理学会編: 外部放射線治療における水吸収線量の標準計測法 (標準計測法 12). 通商産業研 究社

5. XIO_TUT_INSIDE_JPN, rev. A. Elekta K.K.

6. Seco J and Evans P.M. Assessing the effect of electron density in photon dose calculations. Med.Phys. 2006; 33(2): 540-552

7. Sato S et al. Varian seminar,2011

8. RT_WP_JA_MONTECARLO_AUG11. BRAINLAB.

9. Ma C-M et al. Dose specification for radiation therapy: dose to water or dose to medium?. Phys. Med. Biol. 2011; 56(10): 3073-3089

10. Usmani M et al. Comparison of Absorbed Dose to Medium and Absorbed Dose to Water for Spine IMRT Plans Using a Commercial Monte Carlo Treatment Planning System. IJMPCERO 2014; 3(1): 60-66

11. Chang K-P et al. A Comparison of physical and dosimetric properties of lung substitute materials. Med.Phys. 2012; 39(4): 2013-2020

12. http://www.nist.gov/pml/data/xcom

13. http://physics.nist.gov/PhysRefData/Star/Text/ESTAR.html

14. Liu H.H. Dm rather than Dw should be used in Monte Carlo treatment planning. For the proposition. Med.Phys. 2002; 29(5): 922-923

15. Marks LB et al. Use of normal tissue complication probability models in the clinic. Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 2010; 76(3 Suppl): S10-19

参照

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