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Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

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Academic year: 2021

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I 糖尿病とは? 1 糖尿病とは どんな病気ですか? 私たちが生きていくためにはエネルギーが必要です。このエネルギー源となるのが、糖質(炭 水化物)、たんぱく質、脂質(脂肪)であり 3 大栄養素と呼ばれています。特に糖質は熱に変わり やすく、エネルギー源として最もよく使われます。口から入った糖質(ご飯、パンなどの穀類、イモ 類、果物)は、唾液や膵液の消化酵素によって、小腸でブドウ糖に代わり、血液の中へ吸収され ます。 血液中のブドウ糖のことを血糖といい、その濃度のことを血糖値といいます。食後、血糖値が上 昇すると血液中のブドウ糖は膵臓から分泌されるインスリンの働きによりエネルギーとして利用さ れます。余分なブドウ糖は、やはりインスリンの働きによってグリコーゲンに変化して肝臓や筋肉 に蓄えられたり、皮下脂肪になったりします。その結果、血糖はコントロールされます。 このようにインスリンが身体の中でうまく働いていると血糖は高くならずに一定(80∼140mg/dl) に保たれているのです。糖尿病はインスリンの働きが不足すると、ブドウ糖が利用されず血糖が 上昇する高血糖病といえます。 2 どうして糖尿病になるのでしょうか? 糖尿病の要因はひとつではなく多くの因子が重なり合って発病します。この要因は、遺伝と環 境の大きく二つに分けられます。糖尿病には性質の異なった二つのタイプがあります。1 型糖尿 病と 2 型糖尿病です。成人の糖尿病の大多数は、2 型糖尿病であり肥満タイプに多く、両親や兄 弟が糖尿病であることが少なくありません。すなわち遺伝体質の人に、過食、運動不足、ストレス、 妊娠などの要因が加わると糖尿病が発病するといわれています。食事指導や少量の経口糖尿 病薬の内服で改善する場合が多いのですが、コントロール不良な場合や合併症が高度の場合 はインスリン注射が必要となることがあります。 一方、1型の糖尿病の場合は、小児期から青春期に突然発症しますが、糖尿病全体の 2∼3% を占めるに過ぎません。環境因子よりも、自己免疫の関与やウイルス感染が原因とされ、膵臓か らインスリンがほとんど分泌されませんので頻回のインスリン注射を必要とします。 その他の糖尿病として二次性糖尿病があります。膵臓の病気(慢性膵炎、膵癌)/慢性肝障害 /ホルモンの病気(下垂体、甲状腺、副腎の病気)・ステロイド内服者などの他の病気により二次 的に起こってくる病気です。 3 どのような症状が出ますか? 糖尿病になったからといってすぐに症状が出るわけではありません。糖尿病は知らぬ間に発 病し、最初はほとんど症状が出ないのが通常です。以下のように一人一人異なります。 (1)全く症状がないが、健康診断などで指摘された人 食欲が亢進し肥満の人が多いようです。

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(2)糖尿病の症状がはっきりしている人 尿糖が出ると多尿となり、身体から水分が失われ、口渇、多飲などが現れます。 ブドウ糖が利用されないため、自分自身の身体(筋肉や脂肪)を少しずつ使い始めるので、疲れ やすくなり、食べているのにやせてきます。 (3)昏睡状態で緊急入院 する人 著しい高血糖を伴う脱水症や血液が酸性になること(ケトアシドーシス)により、頭痛、吐き気、 腹痛などが出現し、すみやかに治療しなければ数日のうちに昏睡状態に陥ります。 (4)合併症に伴う症状のある人 視力低下、手足のしびれ、むくみ、性力減退、排尿障害、便秘や下痢などの胃腸障害、化膿な どの皮膚障害に代表される全身に及ぶ多彩な症状が出てきます。 4 糖尿病の診断はどのように行われるのでしょうか? 糖尿病は血糖が高くなる病気、すなわち高血糖病ですから尿等の検査だけでは糖尿病の診 断はできません。 1. 早朝空腹時血糖値 126mg/dl 以上 2. 75g 糖負荷試験で 2 時間値 200mg/dl 以上 3. 随時血糖値 200mg/dl 以上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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4. 早朝空腹時血糖値 110mg/dl 未満 5. 75g 糖負荷試験で 2 時間値 140mg/dl 未満 1∼3のいずれかの血糖値が観察された場合には「糖尿病型」と判定する。 4および5の血糖値が確認された場合には正常型と判定する。 上記のいずれにも属さない場合は境界型と判定する。 血糖測定時間 空腹時 負荷後 2 時間 判定区分 126mg/dl 以上 または 200mg/dl 以上 糖尿病型 糖尿病型にも正常型にも属さないもの 境界型 グルコース濃度 (静脈血漿) 110mg/dl 未満 および 140mg/dl 未満 正常型 (日本糖尿病学会:糖尿病診断基準検討委員会報告、1999 より引用改変) 糖尿病の診断 別の日に行った検査で1)∼3)のいずれかで「糖尿病型」が再確認できれば糖尿病と診断 できる。 ただし次の1)∼4)のいずれかの場合は、1 回の検査が「糖尿病型」であれば糖尿病と診 断してよい。 1)口渇、多飲、多尿、体重減少など、糖尿病の典型的な症状がある場合 2)同時に測定した HbA1c 値が 6.5%以上の場合 3)確実な糖尿病網膜症が認められた場合。 4)過去に「糖尿病型」を示した資料(検査データ)がある場合。現在検査した血糖値が 糖尿病の基準以下であっても、上記の条件が満たされた記録がある場合は糖尿病の 疑いを持って対応する。 血糖値 空腹時血糖値 126mg/dl 以上 随時血糖値 200mg/dl 以上 3)尿糖 血糖が 160∼180mg/dl 以上になると尿に糖が出ます。 4)HbA1c(ヘモグロビンエーワンシ ー) 赤血球の色素であるヘモグロビンは、ブドウ糖と結合すると離れにくいグリコヘモグロビンとな ります。グリコヘモグロビン値は測定時より約 1∼2 ヶ月間の血糖の平均を反映し、血糖値よりも 安定したコントロール指標となります。糖尿病の血糖コントロールが悪いと高くなります。 糖尿病の合併症とは? インスリンの作用不足により高血糖の状態が長い間放置されると生活にさまざまな支障をきた

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す合併症が出現します。合併症が現れてから治療を希望される、あるいは合併症が現れてから 初めて受診される方も少なくありませんが、基本的には合併症を元に治すことはできません。 一方で、血糖のコントロールだけでなく合併する高血圧や高脂血症をあわせて治療することは 合併症が進行しないように、また出現しないようにする上で大切なこともわかってきました。その ためにも糖尿病を早期に発見し、血糖のコントロールを良好に保つこと、合併症に対する定期的 な検査が必要なのです。 これまで糖尿病に特有な合併症として、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症 が代表的なもので 3 大合併症として強調されてきました。しかしながら、糖尿病の人では健康人 の 4∼6 倍も心筋梗塞や脳卒中になりやすいといわれています。また、癌の発生も多いといわれ ています。これら心筋梗塞や脳卒中、癌は直接死亡と直結する病気であり、早期に診断し治療す ること、できれば発症しないように努めることがこれからの糖尿病の大きな課題と思われます。 (1)糖尿病性神経障害 一般に高血糖が 5 年以上放置されると起こりやすくなります。両足先の しびれや痛み、あるいは温度や痛みに対して感覚が鈍くなる、といった症 状で始まります。このためケガや火傷、靴擦れを起こしても気がつかず、で きた傷口から感染が始まり、足壊疽(足が腐った状態)の大きな原因になり ます。また 10 年以上たつと内臓の働きを調節している自律神経の機能が 低下し、便秘、下痢、食欲不振などの胃腸障害、血圧の調節がうまくいか ないことによる立ちくらみ、膀胱機能障害による頻尿、排尿困難など多彩 な症状が現れます。 (2)糖尿病性網膜症 一般に高血糖が 7 年以上放置されると起こりやすくなる合併症です。網 膜は眼の奥にある血管と神経とが網の目のように張り巡らされた薄い膜で す。網膜の血管が詰まり血液の流れなくなった網膜からはやがて新生血 管と呼ばれる細くてもろい血管がたくさんできてきます。やがてこれらが破 れ、眼底出血を繰り返しながら最終的には失明に至ります。新生血管が出 現し悪化する病変部をあらかじめレーザー光線で焼いて進行をとめる方法 (光凝固療法)が行われます。現在、わが国における成人の失明原因の第 1 位です。 視力低下の自覚が無くても眼底検査をすると網膜症が現れていることが 少なくないので、定期的に検査を受ける必要があります。網膜症が出現し ている方は激しい運動、低血糖発作、高血圧、喫煙などで悪化することが あるので注意が必要です。

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(3)糖尿病性腎症 一般に高血糖が 15 年以上放置されると起こりやすくなる合併症です。腎臓の糸球体が傷害さ れると尿に蛋白が漏れ出るようになり腎症の合併と診断されます。尿中の蛋白量が増えると、血 圧が高くなり、身体がむくんできます。このような状態をネフローゼ症候群と呼び、すでに腎症の 末期状態です。さらに 進行すると老廃物を処理する腎臓の機能が低下し、尿毒症という危険 な状態に陥ります。このような状態を腎不全といい、放置する昏睡や心 不全から死に至り、人工透析を受けなければ生命を保つことができなく なります。 (4)足病変 糖尿病と診断された人の足には、潰瘍、壊疽(えそ)、水疱といったさ まざまな病変が起こりやすく、その原因として下肢の血行障害や神経 障害、感染症などが複雑に関係しています。動脈硬化症のために足の 血管が細くなり血液が十分に流れなくなると、まず足が冷えやすくなり、 一定の距離を歩くと足が痛くなって少し休まないと歩けないといった間 歇性跛行(かんけつせいはこう)が現れます。さらに進行すると足先の 色が青黒く変色し安静にしても痛みが起こるようになり、いよいよ足が 腐り始めます(足壊疽)。 また、糖尿病性神経障害を合併していると両足先の感覚が鈍くなっているため、患者さんは痛 みを訴えることが少なく、その結果、壊疽の発見が遅れ足を切断しなければならなくなることがあ ります。このため糖尿病の患者さんは日ごろからしっかりと足の手入れ(フットケア)を行う必要が あります。

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(5)動脈硬化症 動脈硬化は血管壁が硬くなって、血液の流れる内腔が細くなる病気です。糖尿病のため高血 糖が長く続くと糖尿病がない人に比べて 10 年以上早く動脈硬化が進むといわれています。 また糖尿病には高血圧や高脂血症が合併しやすいため、よりいっそう全身の血管が硬く、もろ くなり、つまったりします。特に血管がつまって重篤な障害が出やすい箇所として脳、心臓、腎臓、 足があります。ある日突然心臓疾患や脳卒中になる場合もあります。また、糖尿病の方は健康 人の 2∼4 倍も心筋梗塞や脳梗塞になりやすく死因の上位を占めています。肥満や喫煙と合わ せ包括的に治療することが大事になってきます。

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(6)糖尿病の正しい治療とは? 糖尿病の治療の目的は、血糖を中心とした糖代謝異常とともに合併する高血圧や脂質代謝異 常もあわせて治療し、禁煙、体重のコントロールを合わせて行うことが効果的です。糖尿病の合 併症でも細い血管障害である神経障害、網膜症、腎症の発症、進展の防止には血糖を正常値に 近くにコントロールすることが大切です。そのためにはまず HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値 6.5%未満を目標にしましょう。また、大血管障害としての脳血管障害や心筋梗塞、狭心症の発症、 進展を防ぐにはさらに高血圧やコレステロールの管理が大切になることがわかってきました。

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下に掲げるのは、日本糖尿病学会が推奨するコントロールのガイドラインです。大切なことは、 血糖コントロールだけではなく体重、血圧、脂質、喫煙も合わせて管理することです。 1.血糖コントロール指標と評価 可 優 良 不十分 不良 不可 HbA1c 値(%) 5.8 未満 5.8∼6.5 未満 6.5∼7.0 未満 7.0∼8.0 未満 8.0 以上 空腹時血糖(mg/dl) 80∼110 未満 110∼130 未満 130∼160 未満 160 以上 食後 2 時間血糖値(mg/dl) 80∼140 未満 140∼180 未満 180∼220 未満 220 以上 2.体重 標準体重(kg)=身長(m) 身長(m) 22

BMI(body mass index)=体重(kg)/身長(m)/身長(m) 3.血圧 収縮期血圧 130mmHg 未満 拡張期血圧 80mmHg 未満 4.血清脂質 総コレステロール 200mg/dl 未満(冠動脈疾患がある場合には 180mg/dl 未満) LDL コレステロール 120mg/dl 未満(冠動脈疾患がある場合には 100mg/dl 未満) 中性脂肪 150mg/dl 未満 HDL コレステロール 40mg/dl 以上 5.腹囲 腹囲径 男性 85cm 未満 女性 90cm 未満 6.合併症有無の検査 (日本糖尿病学会編:科学的根拠にもとづく糖尿病診療ガイドラインより引用) しかしながら、糖尿病は大きく遺伝と環境、特に生活習慣が深くかかわる病気ですが、同時に 環境因子、すなわち生活習慣の改善により大きく治療が左右される病気でもあります。その基本 となるのが食事療法と適度の運動を行う運動療法です。とりわけ食事療法は糖尿の方全員が行 うべき治療法で、しかも安全、安価で最もよく効く糖尿病の特効薬です。また、ライフスタイルの改 善(具体的には、現在の体重を 7%程度に低下させること、週 150 分程度の散歩をすること)は、 糖尿病の発症予防にも効果があることがわかってきました。それでも不十分な場合には、薬物療 法を行います。ただし、お薬が糖尿病を治すのではなく、血糖のコントロールを良くするものと考 えていただき糖尿病の治療が基本的に食事と運動であることを忘れないようにしましょう。

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下のグラフは、富山逓信病院の糖尿病循環器外来に通院中の患者さんの成績です。いまだ十 分にコントロールされていない方もいらっしゃいますが、通院を継続されている方は、血糖、血圧、 脂質いずれも目標値に達成あるいはそれに近い状態になっておられます。

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参照

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