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序文(pdf)

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Academic year: 2021

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現在,生態学を勉強している学生にとっては,やる気をなくすような文献に 出会うことが多い.1960年代後半から1970年代前半にかけての古典的研究は, この生態学という研究分野を劇的に変化させた.そのような研究は,時には当 惑させられたりもするが,たいていは魅力的なもので,理論的な方法によるも のである.現在の生態学のコースには,生活史の記述と同じくらい,複雑な微 分方程式を含んでいて,数学が生態学の中でほとんど使われなかった1960年 代以前の状況とは劇的に変化している.また,実験や観察による研究でも,い まや抽象的な理論から導き出される予測に頼っている.生態学は,この急激に 発展してきた理論的な概念のおかげで,極めて刺激的な学問になってきた. このパラダイムシフトから生じたはずみによって,学生がこのような学問を 学ぼうとするときには,ある種の欲求不満を感じるようだ.著者らの経験では, その欲求不満は,生態学の基本的で定量的な原理に対して的外れな評価を下し ているためであることが多い.この本は,可能な限り発見的な方法によって,こ のような基本を示すことを意図した. このような基本とは正確には何のことを指しているのだろうか? 生態学のす べての分野に対して基礎となっている定量的な枠組みを要約しようとしても, うまくいかないであろう.実際,アメリカの大学での “一般生態学” のコース の内容はかなり異なったものになっている.最近のテキストを比べてみても, テーマの選択と配列の仕方が漠然と相関しているだけである.この流動性は, 生態学という科学がまだまだ若いためなのだと思う.このように整合性がない ということで,生態学者の中には失望する人がいるかもしれないが,逆に多く の生態学者にとっては刺激の源になるだろう.

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ii 序 文 それでも,基準となるものを発展させてきたように思われるものが,生態学 の分野の中にはある.表題の中に,“個体群生態学”を含むすべてのコースは, つまるところは同じ内容をカバーしている.この分野のすみっこでは,生態学 者は何が基本的なテーマを構成しているのかについて暗黙の了解があるようだ. 現代の生態学のどのような文献でも,個体群生態学のほとんどの研究の基礎と なっている,1つあるいはそれ以上の基本的概念を見つけることができるだろう. 本書はこのような個体群生態学の第1原理を示すことを試みている.また, 高学年の学部生や低学年の大学院生のためのテキストとして意図されていて, 基本的なテーマの解析を詳しく示すことに焦点があてられている.したがって, いろいろな文献を紹介するということは全く考えていない.1つ1つの応用は 示されているモデルやテクニックの例として選ばれているだけであって,あら ゆる文献の中でもっともよいものであるとか,もっともよく知られている研究 である,という意図は全くない:それらはただ単に例に過ぎないのである.実 際,個体群生態学の文献のレビューは数巻にもわたるし,あまり多くの効果を もたらしてはくれない.本書は,そのような取り組みはしていない. 個体群生態学のテーマ,したがって本書のテーマは高度に数学的であるが, 解析学と線形代数学の基本的な理解ができれば十分である.ずっと前に解析学 を勉強した学生にとって,この基本的なテーマを十分に理解するために必要な ことといえば,微分と積分の基本的な性質と,簡単な関数の微分の仕方を理解 していることだけである.一方,生態学を専攻している学生の多くは,線形代 数学の基本的な計算方法の予備知識を持っていない.このような学生のために, 第3章の最後に付録を入れてある. 本書の構成は基礎となる第1章を土台としている.第1章を読んだ後では, 第6章のテーマにある程度依存している第8章を除いて,残りの章は独立して いる.第2章は生活史を含む理論的な問題に対する第1章の応用例である.こ のテーマはStearns(1992)でさらに完璧に紹介されている.第3, 4章は第1 章の原理の応用としてやや複雑になったものを紹介している.第3章は構造モ デルのもっとも単純な側面を扱っていて,年齢や生育段階のモデルに重点をお いている.この入門的なテーマに関するもっと複雑な内容は,Caswellのすば らしいテキストに書いてある(Caswell 2001).第4章は基本モデルへの非線

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序 文 iii

形性の導入であり,このテーマは数学的に難しいのだが文献の数は急増してい る.多くの生態学の学生にも親しみやすい2つの文献は,Jackson(1991)の

2巻セットと,Aligood, Sauer & Yorke(1996)によるあまり総括的ではない

が平易に書かれているテキストである.第5章は個体と個体群の空間的な集合 の統計的記述と,空間的な情報を取り入れた個体群動態モデル,特にメタ個体 群動態を扱っている.空間統計学は,特に地理情報システム(GIS)の利用に よって,ここのところ急激に発展している分野である.著者らの取り扱いは初 歩的であり,このテーマに興味をもった学生はもっと高度な手法を調べる必要 がある(たとえばDiggle 1983).メタ個体群理論は平均場理論として厳密に伝 統的な形式で紹介される.この概念のさらに詳細で複雑な研究はHanskiのモ ノグラフに書かれている(Hanski 1999). 最後に,第6, 7, 8章は2種間相互作用の紹介である.第6章は一般的に正–負 の相互作用を扱い,特に捕食者–被食者相互作用として定式化される.このテー マにおけるもっと複雑な取り扱いは,多くの文献の中で捕食者–被食者理論の応 用として見出すことができるが,そのような発展的な捕食者–被食者理論を扱っ た特別なテキストを著者らは見たことがない.有用性のある応用はHawkins & Cornell(1999)の中に見出すことができる.疫学はまさに捕食者–被食者理論 の寄生微生物への概念的な応用であるが,使われている枠組みは基本的にはメタ 個体群のそれであり,第7章で議論したものである.このテーマに関する標準

的な文献はAnderson & May(1991)である.第8章は種間競争を扱っている. 第8章で示されたテーマのもっと複雑な研究はTilman(1982),MacArthur (1970),Chesson(1990)∗1の中に見出すことができる. 本書の中のすべてのテーマは,ミシガン大学の大学院生と高学年の学部生の 4つのグループに示されてきた.著者らは,現在のようなテキストになるため の改良に貢献してくれたこれらの学生に感謝している.著者らはまた,初期の 原稿に対して実質的な貢献をしてくれた同僚のMark Wilsonや,個体群生態 学の授業で原稿を使ってくれた同僚のMercedes Pascualにも感謝したい. ∗1訳注:参考文献から抜け落ちているが,次の文献だと思われる.Chesson, P.L. 1990.

Ge-ometry, heterogeneity and competition in variable environments.Phil. Trans. R. Soc. Lond. B 330:165–173.

参照

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