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井上円了『実地見聞集』第三編について 利用統計を見る

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(1)

井上円了『実地見聞集』第三編について

著者名(日)

三浦 節夫, 豊田 徳子

雑誌名

井上円了センター年報

3

ページ

110-112

発行年

1994-07-20

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00002612/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

井上円了﹃実地見聞集﹂第三篇について

三浦節夫豊田徳子

ミミミご§。    、§§こミぎ 110  本稿は既に本年報の第二号︵一九九三年七月二〇日 刊︶に発表した井上円了の﹃実地見聞集﹄第二編の続 編、すなわち第三編を翻刻したものである。  第二編は明治十九年九月一日より同二十一年二月二 十二日までのことを記録しているが、この第三編は明 治二十一年四月から起草されている。終わりの時期が いつであったのかは記されていない。  本編にはこの時期の井上円了の諸活動を知る手がか りが記録されている。  第一点は欧米視察によるものである。井上円了は哲 学館創立から九カ月後、すなわち明治二十一年六月九 日から翌二十二年六月二十八日まで、一年間をかけて 欧米諸国の視察を行っている。その成果は後日、﹃欧米 政教日記﹄と題して上下二編にまとめられた。本編で は断片的ではあるが、この視察に基づく事実や見方な どが明らかにされている。  第二点は井上円了の﹁全国巡回﹂︵全国巡講ともい う︶に関するものである。これは哲学館創立後に館主 自らが同館の資金募集のために全国各地を巡回したこ とであるが、第一回の出発は明治二十三年十一月二日 と記されている。この﹁全国巡回﹂については、﹃東洋 大学百年史﹄通史編1の第一編第五章第二節﹁館・王の 全国巡回﹂に詳述されているので省略するが、この巡 回で得た民俗学的な事象の見聞が本編に記されている。

(3)

なお、本編の中に﹁全国旅行日記ヨリ抜葦ス﹂という 記述があり、別冊の専用日記が存在していたとも考え られる。  第三点は明治二十三年二月に刊行される﹃星界想遊 記﹄に関するものである。﹁百二十四 〇空想 小説材 料﹂﹁百二十五 〇同上 夢中ノ妄想﹂など、同書で執 筆された内容の骨子が記されている。また、同書の﹁題 言﹂において構想を練った場所は伊豆修善寺温泉の旅 館﹁青州楼﹂とされているが、﹁百二十九 〇修善寺見 物日記﹂をみると、符合していることが分かる。  第四点は井上円了の晩年の活動、すなわち﹁哲学堂﹂ に関係すると思われるものである。本編にコ七八 東京地理﹂と題して、雑司ヶ谷の鬼子母神にはじまる 各地の紹介がなされているが、現在の哲学堂の周辺、 ﹁江古田蓮華寺﹂など当時の﹁中野村通り﹂に関する記 述がある。  以上の他に、本編には明治十年から二十二年までの 略歴や著述︵単行本と雑誌論文︶、二十三年の主な出来 事など、井上円了本人に関することも記録されている。  つぎに、この第三編の書誌を簡単に紹介したい。  書型はタテ一七・八センチ、ヨコ=二・○センチ、 罫紙の袋綴じである。表紙は標色で秋草を形取った模 様が空押されている。そこに題嬢はなく、朱色で﹁実 地見聞集 第三篇﹂と打ちつけ書きされている。本文 の丁数は総数九十八丁、巻初と巻末に遊紙があり、そ れぞれ一丁と十九丁である。巻初の遊紙には﹁明治廿 一年四月起之﹂と起草の時期が記されているが、その 後が墨付け本文で七十六丁となっている。本文の行数 は一面十一行である。  なお、別紙で朱色の罫紙︵一面十二行、タテニ六・ 四センチ、ヨコ一七・四センチ︶が一丁挟まれていて、 同紙には図が記されている。  この記録集の原本はつぎの写真のように手書きであ るが、筆者自身の字には、略字、俗字なども多くみら れる。そのため、凡例を以下のようにした。 111 井LFIrf実地見聞集j第;篇について

(4)

〔表紙〕 〔本文〕 一 二 三 四 五 ⊥ /、 七 活字に改めるにあたり、できるだけ通行字体に した。 変体仮名、合わせ文字は通行のかなに改めた。 誤用文字、重複文字などには︵ママ︶を傍記し た。 欠損あるいは判読できない部分は、口で示し︵不 明︶と傍記した。 項目が列記されているところでは、見やすくす めために、改行したところもある。 原文の中に、今日では使用をつつしむべき差別 用語が用いられているが、研究資料という観点 から原文のままとした。 編者の注記は︹︺内に記した。 112

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