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日本企業における経営者の後継者育成 (経営者教育研究グループ) 利用統計を見る

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日本企業における経営者の後継者育成 (経営者教育

研究グループ)

著者

村瀬 慶紀

雑誌名

経営力創成研究

9

ページ

103-114

発行年

2013-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007563/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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日本企業における経営者の後継者育成

Succession Planning ofTop Management in Japanese Companies 東 洋 大 学 経 営 力 創 成 研 究 セ ン タ ー 研 究 支 援 者 キ 欄 慶 紀 要旨 本研究は、日本企業における経営者の後継者育成に関して先行研究を整理した うえで、その実践例として企業内大学の実態について検討する。また後継者育成 は、経営者が主体的に行ってし、かなければならないことから、後継者の最終的な 選抜・指名を行う「取締役会Jの役割、経営者と取締役会との関係性について言 及する。将来の経営者育成に必要な要件として、早期に経営者候補を選抜し、将 来の経営者に必要な能力開発を経営者が取締役会と協調しながら育成していくこ とが重要である。 キーワード、(keywords):経営者育成(TMD:TopManagement Development)、

Ab

stract 取締役会(Boardof Director湖、 CEO(ChiefExecutive O伍cer)、企業内大学(CorporateUniversity)、eラーニ ング(e"Learning) This paper aims to classify previous research aboutsuccessionplanning of top management in Japanese companies. And the actual condition of corporate university is described. 8uccession planning is the top management should ca町Yout actively.80 it is important to the role of board of directors.Therefore this paper describes the ideal relationship between top management and board of directors.Top management development for the next generation should be earlyselected, and it shoulddevelop the top management in corporation with boardof directors.

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はじめに

将来の経営者育成は、経営環境の急速な変化のなかで、企業が永続的に事業を 行っていくためには重要な課題となる。しかしながら、日本企業は“経営者とし ての"後継者育成が進んで、いない現状にあり、これらの問題に特化した研究も盛 んに行われているとはいえない。 そこで本研究では、まず日本企業における後継者育成の現状や諸理論に関する 先行研究を概観する。そのうえで、後継者育成の実践例として企業内大学の実態 について述べる。最後に後継者の最終的な選抜・指名を行う「取締役会」の役割 について考察する。後継者育成は、経営者が主体的に取り組んでいかなければい けない課題であり、経営者と取締役会の関係性lこついても言及する。

1

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日本企業における経営者育成の現状

日本企業における経営者の後継者育成は、企業規模を問わず、遅れているとい える。帝国データバンク(2011)によると、 2011年の社長の平均年齢は、 59歳 9 カ月と過去最高を更新し、社長の交代率は、 2.46%と過去最低を更新している注1) (図表1)。 これを企業規模別に参照すると、大企業に関しては、資本金 10億円以上の企 業に関しては、社長の平均年齢は64歳 0ヵ月と、調査開始以来 2年連続で過去 最高を更新している(図表2)。一方で、中小企業においても、大企業に比べて平均 年齢そのものは低いが、高齢化が進んでおり、その理由として事業承継を含めた 後継者育成が遅れていることが指摘されている。 70 60 50 40 30 20 10 0 1986 図表1 社長の平均年齢推移 1991 1996 2001 2006 輯購平均年齢(歳) 田制四社長交代率(%) [出典]帝国データバンク(2011) [凶上記資料を基に筆者が5年毎のデータに修正し、作成した。 2011 『経営力創成研究』第9号,2013

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図表2社長の平均年齢推移(資本金別) 1997年 2001年 2005年 2009年 2011年 1000万円未満 55.05 56.06 57.08 58.00 57.11 5000万円未満 56.08 57.09 58.09 59.07 60.01 1億円未満 58.05 58.08 58.11 58.11 59.07 5億円未満 60.01 59.08 59.08 59.10 60.11 10億円未満 62.04 61.09 62.05 63.00 64.01 10億円以上 63.03 62.11 62.11 63.01 64.00 全社長平均年齢 56.08 57.09 58.09 59.05 59.09 [出典]帝国データバンク(2011) [凶上記資料のうち、 1997年以降のデータを一部抽出し、作成した。 少数点以下の単位は「ヵ月Jを示している。 日本を代表する企業においても、例えばキャノン株式会社では、御手洗冨士夫 氏が2012年1月に76歳で代表取締役会長兼社長に復帰し、スズキ株式会社では、 82歳の鈴木修氏が2008年 12月に代表取締役会長兼社長に復帰した。 株式会社ファーストリテイリングでは、 2002年11月に柳井正氏から玉塚元一 氏に社長交代したが、 3年間で辞任し、柳井氏が再び代表取締役会長兼社長に復 帰した。このように、 日本企業では社長の復帰現象が起きている。 一方で、社内に将来の経営者として相応しい人材がし、ないために、社長を「公 募」するような動きも出てきている。例えば、株式会社毛髪クリニックリーブ21 では、 2011年8月に代表取締役の岡村勝正氏が転職サイト 「ピズサーチ」を通じ て年収3,000万円以上で次期社長候補を募集した。結果的に30代後半から 50代 までの約500人が応募し、最終候補として4人が選抜され、将来的には1人は社 長、 3人は経営幹部社員のポストが用意されているという山)。 一方で、2010年に新聞広告記事に年収3,500万円以上とし、う条件で社長を公募 した株式会社ユーシンでは、将来の海外事業拡大を見据えて海外勤務に精通した 元外交官を選抜した。しかしながら、同社の自動車部品に関する知識がなく、結 果的に成果を出すことができずに退任したーロ1)。 このように日本企業は、将来に向けた経営者候補の育成が遅れているといえる。 それらの理由として、第一に経営のグローノ勺レ化が進展するなかで、海外事業に 関する経営ノウハウが蓄積されていないことが挙げられる。例えば、自動車メー カーの海外進出に伴い、下請けを担ってきた自動車部品メーカーも追随するケー スが散見されるが、初めて経験する海外事業で経営の舵取りを行うのは容易では ない。しかしながら、海外経験が豊富な人材を迎え入れでも“経営ができる人材" であるとは限らない。 第二に後継者育成としての経営教育が企業の中で、未成熟だ、ったことが挙げられ る。詳細は次章で述べるが、日本企業は人事関連部門が主体となる階層別研修や ビジネススクールへの通学支援で、はなく、経営者が主体となって早期に経営者候 補を選抜し、“経営者としての"育成プログラムを展開していく必要がある。 『経営力創成研究』第9号,2013

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日本企業における経営者育成に関する先行研究

経営者教育の問題は、重要であるにも拘わらず、著作は必ずしも多くなかった (河野,2010)。特に将来の経営者育成に焦点を当て、必要な能力や仕組みを開発す る動きは、理論や実践において必ずしも積極的に行われてきたとはし、えない。 例えば亀井(2005)は、日本企業の経営者育成をめぐる問題点として、特に日本 のミド、ル層が各分野のエキスパートで構成され、 トップになるための教育やトレ ーニングを受けないまま全社の方針に関する意思決定の最高責任者になってしま っている問題点を指摘した。そのうえで、今後は人材育成を意思決定の中枢機能 とリンクさせていく動きを加速すべきであると結論づけ、同時に「経営職」の存 在を提唱し、経営職という一つの職種として意図的・計画的に経営職候補を育成 することが重要であるとした。 守島(2005)は、経営者育成の手段として「早期選抜型制度(以下、「同制度」と いう)Jを導入し、経営者育成を選抜型のキャリア開発として考えることを主張し た。そのうえで、日本企業の 2,523社(80社回答)を対象に、同制度に関する実態 調査を行った。結果、同制度を導入していると回答した企業は38.8%、導入して いないと回答した企業は47.5%で、あった 主要な調査結果を以下に紹介する。 (1)導入の理由 同制度を導入していると回答した企業に、その理由を尋ねたところ、 「国際化 の進展や大競争時代にあって、経営者に求められる資質・能力が変わったため」 が59.5%、「従来型の育成制度の内容で、は時代のニーズに合わないため」が 45.2%、 「従来型の育成制度の内容では育成に時間がかかるため」が 38.1%、「社員の競 争意識やチャレンジ精神の高揚を図るため」が28.6%で、あった(図表 3)。 図表3 導入の理由 国際化の進展や大競争時代にあって、経営者に求められる資質・能力が変わったため 59.5弛 従来型の育成制度の内容では持代のニーズに合わないため 45.2目 従来型の育成制度の内容では育成に時聞がかかるため 38.1百 社員の競争意識やチャレンジ精神の高揚を図るため 28.6% [出典]守島 (2005) (2)導入していない理由 同制度を導入していないと回答した企業に、その理由を尋ねたところ、「人材の 選抜が難しし、」が52.6%、「育成のための適切なプログラムがなしリが 34.2%、「他 の人事制度との連携が難ししリが34.2%、「選抜されなかった社員のモチベーシ ヨンの低下」が31.6%、「効果について疑問がある」が13.2%で、あった(図表 4)。 『経営力創成研究』第9号, 2013

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図表 4 導入していない理由 人材の選抜が難しい 52.6% 育成のための適切なプログラムがない 34.2% 他の人事制度との連携が難しい 34.2明 選抜されなかった社員のモチベーションの低下 31.6弘 効果について疑問がある 13.2弘 [出典]守島 (2005) (3)選抜対象となる社員の条件および選抜方法 同制度の選抜対象となる社員の条件については、 「役職」が90.0%、「一定レベ ル以上の人事・業績評価を受けたもの」が65.0%、「年齢」が60.0%、「勤続年数」 が12.5%で、あった(図表5)。なお、「役職」と回答した企業のうち、具体的な役職 としては、「課長クラス」が77.8%、「係長クラスJ36.1%、「次長 ・部長クラス」 が33.3%で、あった。また、同制度の選抜対象となる社員の選抜方法について尋ね たところ、「上司の推薦Jが59.0%、「通常の人事 ・業績評価の結果」が41.0%、 「経営トップの指名」が38.5%、「人事部の推薦Jが35.9%、「論文 ・リポート審 査」が25.6%、「社内公募」が23.1%、「経営トップ・役員の面接」が17.9%であ った(図表6)。 図表5 選 抜 対 象 と な る 社 員の 条件 図表6選 抜 方 法 役 職 I 90ぴ自│ 上司の推薦 59αh 一定レベル以上の人事・業績評価を受けたもの I 65び川 通常の人事・業績評価の結果 41αb 年 齢 I 60.0% I 経営トップの指名 38.5% 勤続年数

I

12.5

人事部の推薦 35.9帖 [出典]守島 (2005) 論文・リポート審査 25.6帖 社内公募 23.1弘 経営トップ・役員の薗接 17.9% [出典]守島 (2005) (心教育研修プログラムおよび実務経験において重要な育成方法 同制度の教育研修プログラムでの育成方法に関しては、「社内の経営塾・スクー ル ・特別講座での教育」が74.4%、 「社外の教育研修機関のエグゼクティブコー ス等の受講」が43.6%、「経営・業務改革プランの提出と発表会の開催」 が17.9%、 「自己啓発支援」が17.9%、「国内の大学院・ビジネススクールへの留学」が10.3%、 「海外の大学院 ・ビジネススクールへの留学Jが7.7%で、あった(図表7)。 一方で実務経験での育成方法に関しては、社内の重要ポストの経験」が53.1%、 「子会社・関連会社への出向」が43.8%、「社内の特定部門の経験Jが28.1%、「海 外事業所での勤務」が21.9%で、あった(図表8)。 『経営力創成研究』第9号, 2013

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図表7教育研修プログラムにおいて重要な育成方法 社内の経営塾・スクール・特別講座での教育 社内の教育研修機関のヱグゼ、クティブ、コース等の受講 経営・業務改革プランの提出と発表会の開催 自己啓発支援 圏内の大学院・ビジネススクールへの留学 海外の大学院・ビジネススクールへの留学 [出典]守島 (2005) 図表8 実務経験において重要な育成方法 社内の重要ポストの経験 子会社・関連会社への出向 社内の特定部門の経験 海外事業所での勤務 [出典]守島 (2005) 74.4% 43.6% 17.9% 17.9首 10.3% 7.7百 53.1目 43.8弘 28.1弘 21.9弘 以上の調査からも明らかなように、経営者育成に関しては、急速な経営環境の 変化に伴って従来型の階層的な人事制度で、は、対応で、きなくなってきたといえる。 一方で、経営者候補の早期選抜型制度を導入していない理由を参照しでも、「人材 の選抜が難ししリ、「育成のための適切なフoログラムがなしリことを挙げている企 業が多く、同制度の導入に消極的というよりは、経営者育成のための仕組みづく りが遅れているといえる。 同制度の導入にあたって、最も留意するべきことは、経営者候補の選抜基準を 明確にし、公正に選抜することである。つまり、現怪営者が主体となって過去の 業績や将来の潜在能力の測定するための基準を設け、後述するように取締役会と 一体で育成することが重要である。同調査からも明らかなように多くの企業が「上 司の推薦」を挙げており、恋意的な評価になる場合も懸念されることから、自薦、 他薦を問わずに参加の機会を得られる工夫も必要である。

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経 営 者 育 成 に 関 す る 取 り 組 み ー 企 業 内 大 学 を 事 例 に し て ー (1)日本企業における企業内大学の発展過程 近年、将来の経営者育成の一環として、企業内大学(CorporateUniversity) に対する関心が高まってきている。Meister(2002)は、企業内大学(Corporate University)について 「事業のニーズを満たす教育手段のすべてを統合・企画・ 開発・実行する戦略的な中核機関」と位置づけている。 日本企業は大嶋(2007)が指摘するように、これまでOJTを重視した教育を 行ってきた。そのため、「研修センター」や「企業内高校」は存在したものの、 技能・技術系を中心とした人材育成に特化しており、能力開発の視点からカ リキュラムが積極的に改善されるケースは少なかった。その後、 1980年代の 『経営力車]1成研究』第9号, 2013

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バブル経済時には大規模な通信設備を導入したり、施設の近代化を図ってき たりしてきた。この時期に関しても、経営問題の解決や将来に向けた能力開 発といった戦略的な内容で、はなく、あくまでも階層別の 「“効果的な"業務の 習得」を中心としたもので、あった。その後、 1990年代前半のパブ、ル経済の崩 壊を機に、企業は研修施設の売却や教育投資への抑制が行われた。ところが 1990年代後半には、アメリカのGEやモトローラが設立した先進的な企業内 大学への関心の高まり を背景に、日本企業でも 2000年代以降、大企業を中心 に企業内大学の設立が増加してきたのである。 大嶋は、 2000年代以降の導入に関して、 2000"'"'2004年頃の 「第 1次企業 内大学ブーム」と 2005年以降の 「第 2次企業内大学ブーム」に区分して議 論を行っている。第 1次企業内大学ブームにおいては、アメリカの GEに代 表されるような大規模製造業や IT企業を中心に設立が相次いだ時期であり、 第2次企業内大学ブームにおいては、金融、広告、小売、サービス業を含め たあらゆる業種が設立した、と述べている。特に近年では日本産業訓練協会 (2006)の調査でも明らかなように、日本企業の人材育成部門の重点分野とし て 「次世代リーダーの育成」を掲げる企業が最も多し、(図表 9参照)ことから、 将来の経営者、管理者の育成に対する関心が高まってきているといえよう。 (2)企業内大学におけるeラーニングの活用 近年の企業内大学の大きな特徴として、 eラーニングを活用する事例が増えて きている。特に大規模企業においては、さまざまな利点がある。例えば学習時間、 場所の制約がなく、仕事の進捗に応じていつでもどこからでも学習に参加するこ とができる。海外事業を展開している企業では、 ITのネットワークを通じて進出 先国の従業員も参加することができ、国籍を問わず公正な教育機会を提供するこ とができる。また、その都度、教育管理者や講師を派遣する必要もなく、通常の 研修・セミナーに比べてコストが安いことも挙げられる。 経済産業省(2007)が実施したeラーニング、導入率に関する調査によれば、従業 員 5, 000 人以上の企業で 82.8%、 2 ,000~5 ,000 人の企業で 62.9% が「導入済み」 と回答しており、大企業になるほど積極的に導入する傾向が強し、(図表9参照)。 一方で、企業内大学におけるeラーニングの導入分野について参照すると、「全 社員研修(コンブライアンス等)が67.4%と最も多く、次いで「内定者研修」が38.2%、 「一般社員研修」が 36.0%と続いており、 「経営幹部研修」に関しては、わずか 1.1%で、あった(図表10参照)。したがって日本企業においては、経営者育成におい てeラーニングを活用している事例は少ないといえるが、企業が将来的にグロー パル化を行し、現地国の人材を経営者育成する際には、活用の必要性が出てこよう。 大嶋(2007)はリーダーの育成において、eラーニングの活用は一般的に不向き だといわれてきたが、近年では海外を中心に、集合研修と IT活用の併用で、フ。ロ グラムを開発したり、経営トップとの研修内容を充実させるために、事前学習や 事後フォローにeラーニングが活用されていると述べている。例えば韓国のサム スン・グループ。は、現在および将来的に生じる企業の経営課題を解決する能力が 『経営力創成研究』第9号, 2013

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U E i 必要なことから、単なる研修ソフトの視聴だけでなく、 web会議(例えば skype) のようにリアルタイムな教育環境を構築している。これは一般的に「ブレンディ ッド・ラーニング(BlendedLearning)Jと呼ばれる手法であり、オンライン上で 経営シミュレーションやデ、イスカッションが取り入れられている注2)。 図表9 従業員規模別eラーニング導入率(%) 1000人未満 .0 5000人 以 上 ~OOO~4YYY人 9 1000~ 1999人

20 40 60 80 100 機導 入 済 み 翻 導 入 検 討 中 総末 導 入 翻 無 回筈 [出典]経済産業省商務情報政策局情報処理振興課編(2007) 図表10 eラーニング、の導入実績、効果、今後の導入意向(%) 全 社 員 研 修 67.4 経 営 幹 部 研 修 中 間 管 理 職 研 修 ー 般 社 員 研 修 内 定 者 研 修 侍定テーマ男1)研 修 非 正 規 社 員 研 修 その他

10 20 30 40 50 60 70 80 綴eラーニング導入実績墾eラーヱングの導入効果臨今後のeラーニング導入意向 [出典]経済産業省商務情報政策局情報処理振興課編(2007) 『経営力創成研究』第9号,2013

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経営のグローノ勺レイヒに伴い、 日本においても企業規模を問わずに海外進出を展 開するケースが増えてきたことから、将来的には現地人を対象にした経営者育成 プログラムも検討してし、かなければならない。特に経営者の育成においては、タ スクフォースを編成し、現在生じている経営問題の解決につなげてし、かなければ ならない。そのため、ブレンディッド・ラーニングのようなeラーニングの手法 を活用し、リアルタイムで本社とのコミュニケーションを通じて現地人の経営者 育成に努めていくことが必要になる。 (3)企業内大学の実践ーソフトパンクとファーストリテイリングの事例ー 経営者育成を最優先に掲げて企業内大学を設立した最近の事例として、「ソフト パンク株式会社」と「株式会社ファーストリテイリング」の2社が挙げられる。 ソフトパンク株式会社は、現代表取締役孫正義氏の後継者育成を目的に 2010 年7月に「ソフトバンクアカデミアJを設立した。受講者は、ソフトパンクグル ープ社員と外部の両方から募っており、外部の人材に関しては、定員の3分の 1 を公募(一次予選、二次予選、最終審査を通過)で募集し、受講料は無料である。 孫氏は、自身の「人生 50ヵ年計画J(20代 ;名乗りを上げる、 30代;軍資金 を貯める、 40代 ;ひと勝負かける、 50代:事業を完成させる)において、 60代に は「次の世代に事業を継承する」と公言している。同社が求める人材像として「孫 正義の後継者を目指す人」、「情報革命に対する志の高い人物」、「多くの人々を惹 きつけられる人物」、「誇れる経験・実績を持つ人物」 を挙げている。内容は、経 営課題に基づくプレゼンテーションを中心としたプログラム、経営シミュレーシ ョンのゲーム等が行われている。 本講座の特徴は、現代表取締役である孫氏が主体となって経営者育成に取り組 んでいることである。孫氏も教壇に立ち、自身の経験から会得した経営者として の心得や適切な意思決定のあり方等を中心に自ら受講者に伝承している注3)。 一方で株式会社ファース トリテイリングは、ク、、ローパルに活躍で、きる経営者を 育成するための教育機関

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を設立し、将来の経営人材候補として国籍を問わずに全世界の優秀な人材を発掘、 育成しようとしている。外部からの登用もあるが、その場合は入社して参加する ことになる。特に同社の基幹事業で、あるユニクロの海外進出を加速するために、 現地庖舗の運営責任者として若手を中心に活躍が期待されている。2010年度は約 100名がこのプログラムを受講していたが、 2011年度は前年度の参加メンバーを 若干入れ替えして約 115名となり、上海、ノ旬、ニューヨーク等の海外拠点に派 遣されている。

FR-MIC

は、将来の経営者育成に必要な能力として、「新しい日本企業の姿を 描く構想力JI実際にその会社を運営する能力JI業績を上げる実行力」の3点を 掲げており、特徴的な育成フ。ログラムが用意されている。 具体的には、 一般的な階層別の幹部研修や座学研修とは異なり、実際の経営課 題をテーマにして取り組んでいる。例えば売上高約5兆円を達成するために、ど のような新規事業を立ち上げれば良いか、具体的な提言を行う機会があり、現怪 『経営力創成研究』第9号, 2013

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営陣から承認されると即座に新規事業として責任を担うことになる。また、 FR-MICの参加者自身が講義を行ったりする機会も設けられている注針。 ソフトパンクの事例は、「ソフトパンクアカデミア」を通じて将来の経営者候補 を発掘することが最大の目的となる。ファーストリテイリングの事例は、即戦力 として将来の経営者候補を育成することが最大の目的となる。他方、現経営者が 両プログラムに参加し主体的に将来の経営者育成に関与している点は共通してい る。また、両プログラムの参加にあたっては、社内 ・社外を問わずに幅広く募っ ている。先の社長公募の事例からも明らかなように、従来の終身雇用制の環境下 で、年功的に昇進が進んだ社内の人材のみが経営者候補となるような現象は減少 しつつある。日本企業の将来の経営者育成にあたっては、転換期に差し掛かって いるといえる。

4

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経営者育成における取締役会の機能と役割

これまで、経営者育成を行っていくうえで、将来の経営者候補を早期に選抜し、 育成していくことの重要性とその取り組みについて述べてきたが、最後に次の経 営者を指名する際に生じる問題について取り上げる。具体的には次期経営者を承 認する取締役会の機能と役割について検討する。 次期経営者の指名時期においては、任期満了時に関わらず、不測の事態(病気、 不慮、の死、突発的辞任、逮捕等)によって、急逮指名しなければならない場合も想 定される。そのため、長期的な視野で経営者育成プログラムを構築し、その選定 プロセスを確立してし、かなければならない。その際に次期後継者を承認する取締 役会が、日頃から後継者育成に対する関心を高めておかなければならず、経営ト ップの関与が重要になる。 取締役会は、株主総会で選任された取締役によって構成され、株主に代わって 会社の業務が適正に運営されているか監督し、 同時に最高意思決定機関としての 役割を担っている。後継者育成にあたっては、定期的に開催される取締役会にお いて後継者育成を議題とすることが必要になる。

例えば、前

P&G

の会長兼

CEO

であるA.

G

.

L

a

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氏は、

CE

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時代に短・長 期的な事業の健全性のために、リーダーの育成と訓練が重要であると認識し、取 締役会の 4つの職責

(

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E

O

後継プランの作成と経営幹部層の育成、全社レベルで、 の戦略の管理、全般的な企業統治、事業リスクの管理)のなかに経営者育成を掲げ、 定期的に開催される取締役会の議題に取り上げることにし、取締役会の関心を高 めた。また、

CEO

交代の準備に計画的、継続的に社外取締役の協力を得るため に、委員会設置会社の機関でしづ報酬委員会の名称を「リーダー育成・報酬委員 会」に改めた。さらに次期

CEO

を最終的に選任するのは、社外取締役の専権事 項とし、社内から生じる思惑を払拭し、公正性や透明性の確保に努めた。 経営者候補の選考フ。ロセスにおいては、積極的に取締役の関与を強めるために 少なくとも年に一度は海外の拠点を視察し、経営者候補と取締役との接点を増や した。後継者育成における現

C

E

O

の役割として、彼は「取締役会において後継

CEO

選抜を前に進めるための触媒役で、ある」としづ。そのためにも経営者が主 『経営力創成研究』第9号, 2013

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体となって自社の状況に関わらず、経営を担う心構えと実力を備えた CEO予備 軍をできる限り多く取締役会と協働しながら育成することが責務となる。

おわりに

本研究は日本企業における将来の経営者育成について、単なる経営者像やリー 夕、ーシッフ。像について議論するのではなく、経営者育成のための仕組みづくりに 焦点を当て、その現状と課題、あるいは企業内大学の実態について検討を行った。 既述のとおり将来の経営者候補は、現経営者が主体的に育成してし、かなければ ならない。営業、技術、人事、財務等の各職能のフ。ロフェッショナルが、“経営が できる人材"と同等であるかというと必ずしもそうとはいえない。 亀井(2005)のしづ“経営職"のプロフェッショナルになるためには、 全社的な 戦略として経営者候補を早期に選抜し育成するプログラムを構築してし、かなけれ ばならない。そのためには、まず早期選抜型制度や企業内大学等を活用しながら 経営者候補を全社的に育成することが必要になる。実際に企業のケースから判断 すると、車且織内外問わず幅広く将来の経営者候補を募っている実態が窺えた。 さらに経営者候補の中から、最終的に将来の経営者を選抜・指名する段階にお いては、取締役会との関係が欠かせない。経営者が取締役会との 「触媒役」にな って経営者候補を全社的に育成するためのシステムを構築しなければならない。 先に紹介したA.G.Lafley氏は、さ主怪営者候補に対して継続的なプロセスと進化を 設けて経営者育成に徹した。例えば、 小規模な事業で優れた成果を上げた人材に は、大規模で複雑な事業を担当させたり、先進国の市場で高い手腕を発揮した人 材には、新興国市場へと配置したりと常に「試練」を与えた。また、国境を越え た買収案件や伝統的なブランドや事業の切り離し、新たなビ、ジネスモデ、ルの構築 等、常に経営者は経営者候補に対して継続的な試練を与え、その成果を取締役会 の下部組織である 「リーダー育成・報酬委員会」で議論し、まさに現経営者が、 経営者候補と取締役会の触媒役となって取締役会の関心を高めた。 触媒役といっても単に特定の経営者候補を取締役会に紹介することではない。 あくまでも取締役会に意思決定権を持たせ、経営者は後継者の発掘に徹し、情報 提供を行うという立場である。 将来の経営者育成は、決して短期間でできるものではないが、いつ不測の事態 が起こるかもわからない。また、経営環境の変化によって求められる経営者像も 日々変化する。したがって日本企業は、次期経営者をいつでも選出できる体制を 整えていくことが求められており、そのためには全社的な戦略で、経営者と取締 役会が協調しながら育成することが急務となっている。 【注】 1 )詳細に関しては、岩田(2012)を参照されたい。 2)ブレンディッド・ラーニンクー(BlendedLearrring)の詳細に関しては、 JoshBersin(2004)を 参照されたい。 113 『経営力創成研究』第9号,2013

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3)詳細に関しては、参考文献に記しであるホームベージ、もしくは孫(2011)にソフトパンク アカデミアでの特別講義として 「意思決定の極意」、ならびにその心得として「孫の二乗の 兵法」が紹介されている。

4)詳細に関しては、参考文献に記しであるホームページを参照されたい。

【参考文献】

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Josh Bersin(2004) The BlendedLearning島 ok,John Wiley & Sons. 【ホームページ】 株式会社ファーストリテイリング (FR-MIC) http://www.fastretailing.comJemplovmentlia iplhowgrowl (最終アクセス日:2013年1月4日) ソフトパンク株式会社(ソフトパンクアカデミア) http://www.softbank.co.io/academia/ (最終アクセス日 2013年1月4日) 受付日:2013年1月14日 受理日:2013年2月12日 『経営力創成研究』第9号, 2013

図表 2 社長の平均年齢推 移(資本金別 ) 1 9 9 7 年 2 0 0 1 年 2005 年 2009 年 2 0 1 1 年 1000 万円未満 5 5 . 05  5 6
図表 4 導 入していない理由 人材の選抜が難しい 5 2 . 6 %  育成のための適切なプログラムがない 3 4 . 2 %  他の人事制度との連携が難しい 34 . 2 明 選抜されなかった社員のモチベーションの低下 3 1
図表 7 教育研修プログラムにおいて重要な育成方法 社内の経営塾・スクール・特別講座での教育 社内の教育研修機関のヱグゼ、クティブ、コース等の受講 経営・業務改革プランの提出と発表会の開催 自己啓発支援 圏内の大学院・ビジネススクールへの留学 海外の大学院・ビジネススクールへの留学 [出典]守島 ( 2 0 0 5 ) 図表 8 実務経験において重要な育成方法 社内の重要ポストの経験 子会社・関連会社への出向 社内の特定部門の経験 海外事業所での勤務 [出典]守島 ( 2 0 0 5 ) 74

参照

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