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螺旋状回折格子によるOAM 光通信への応用

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螺旋状回折格子による OAM 光通信への応用

代表研究者 李 洪譜 静岡大学 工学部 教授

1 はじめに

インターネット、無線ネットワークの急激な普及に伴い、世界中を駆け巡る情報量は、年2~3倍の割合 で増え続け、情報通信インフラである光ファイバネットワークの更なる高速大容量化が必要となり、これを 支えるシステムとして軌道角運動量(OAM)モード分割多重と波長分割多重(WDM)技術を融合したシステムの実 現が期待されている。OAM モードは伝搬方向に対して螺旋面状の等位相面を持つ、直交性がある電磁波であ る。OAM モード多重光通信システムでは、異なる多数 OAM モードの光を同時に伝送させ、その全体の通信容 量は、使用した OAM モードの数によって整数倍に大きくなる[1-2]。このようなシステムの実現は OAM モード 生成・分離デバイスが不可欠である。しかしながら、今迄開発した OAM モードの発生・制御技術は、ほとん ど位相ホログラフィーと空間回折格子法、あるいはバルク系グレーティングや空間変調器やレンズ、又はア レイ導波路グレーティング等を用いた方法である。その二つ方法の欠点は、質の高いバルク素子を必要とす ることと、それら自身を光ファイバシステムの導波装置と結合することが困難になり、実用が難しく、実際 不可能である。一方で、螺旋状ファイバ回折格子(HLPG)はファイバ軸に沿って周期的なスクリュータイプの 屈折率変調があるファイバコンポーネントであり[3-4]、OAM のような固有モードを有するので、現在有望な OAM モード多重デバイスとして注目されている[5-7]。現在、1本の短い光ファイバに、できるだけ多くのチ ャンネル(波長)の OAM モードを有するファイバデバイスの実現が強く求められているが、その為の設計法 及び製作技術は存在しない。 本研究では、位相のみのサンプリング法に基づく新しいマルチチャンネル HLPG の設計法と製作法を提案し、 その方案を実証する。また、2 つの回折格子を重ね合わせることにより,直流部分をサンプリングする方法 を提案し、その方法の実用性と有用性を実験的に実証する。例として、提案した炭酸ガス(CO2)レーザの照射 法による通常のシングルモードファイバ (SMF)を用いられ 3 チャンネルの HLPG を試作する。最後に、作製し た多チャンネル HLPG を用いて、多チャンネル 1 次 OAM モードの発生・制御を実験的に検証し、その方案の妥 当性、実用性を調査する。

2 位相サンプリングの法による多チャンネル HLPG

2-1 位相サンプリングの原理と位相サンプリング関数最適化 サンプルドファイバブラックグレーティング(FBG)と同様に、サンプルド HLPG はその振幅が周期的なサン プリング関数S(z)によって変調されたもので、その屈折率変調 nM(z,) は次のように表される[8-9]

 

( , )/2 exp( ) exp 2 /

( ) Re ) , (z n z il il z 0 S z nM           (1) ここで、符号 Re は実数部の意味である。またn(z,) は最大屈折率変化、z はグレーティングに沿った方向 の位置、は方位角、0はグレーティングの周期、l は HLPG の螺旋度、S(z) は周期的サンプリング関数であ る。フーリエ級数を用いて、S(z)は次のように表される。

 

   m m i m z P s z S exp 2  / (2) ここで、P はサンプリング関数の周期であり、Smは複素フーリエ級数の m 次係数である。便利のため、式(1) における HLPG 屈折率変化の直流成分はゼロであると仮定される。さらに HLPG の屈折率変調が十分に小さい 時、クロス透過スペクトル tc() (クラッド領域の光透過スペクトルと言う)は式(1)の両辺を z 方向にフーリ エ変換することによって得られ、

               m m m s s M c P m l s z n z S z n z n t () ( ( ,)) ( ( ,)) ( ( )) ( ( ,)) ( ) (3)

(2)

2

と表される。ここで、 (corecladl2 0)/2 は波数領域におけるグレーティングの離調、coreとclad はそれぞれコアの基本モードの伝搬定数および特定のクラッドモードの伝搬定数である。演算子はフーリ エ変換を、

は畳み込みを、

はデルタ関数を表す。上記の方程式から、サンプルド HLPG の透過スペクト ルは、シード HLPG の透過スペクトルとフーリエ領域における周期的なサンプリング関数の畳み込みによって 得られることが分かる。結果として、波数領域においてlpの間隔を持つ多チャンネル透過スペクトルが得 られ、振幅を除けば、各チャンネルの透過スペクトルは、シードグレーティングのものと同一なものになる。 さらに、本研究では通常の単一モードファイバに、単一の螺旋構造(l=1)によって HLPG が形成されているが、 この場合のチャンネル間隔は P P n n clad eff core eff

    ) ( 2 (4) と表される。ここで、 core eff nclad eff n はそれぞれコアの基本モードおよびクラッドモードの実効屈折率であり、 はシードグレーティング HLPG の中心波長である。多チャンネル HLPG を設計するにあたり、位相のみのサ ンプリング法を用いる。これは、各サンプリング周期において振幅のアポディゼイションを加える必要がな く、HLPG の場合は特に適し、設計と製作両方とも容易になる。一般性を失わないように、サンプリング関数 の位相

 

z は、いくつかの調和項を含む形式で、

 

      m m J n n nz P s i m z P i z i z

s( ) exp exp cos2 / exp 2 /

1    (5) を表す。ここで、調和項の数 J は最小化され、各項のnはそれらのフーリエ係数 Smが想定するチャンネル数 の内で均一になるように最適化される。式(5)におけるフーリエ級数の対称性より、J 項からなる級数によ って最大 2J-1 個の均一なチャンネルを実現することが出来る。式(5)におけるn の最適な数値を得るため に、複数のパラメータを持つコスト関数を減少させる焼きなまし法を用いる。最適化の目標は、チャンネル 間隔と各フーリエ係数 Sm均一になること、及び帯域内の回折効率が最大になることである。ここで、コス ト関数を

         M M m J m M S z E 2 2 2 1 1 2 ) , , ( ) (

(6) と定義する。ここで、 は帯域内のチャンネル数(2M+1)に対する回折効率、Smはサンプリング関数のフー リエ級数である。これらの和は回折効率と呼ばれ、 2 1

  N m m S  となる。上記の理論分析結果を確認するため、 我々はいくつかの位相のみのサンプリング関数を設計した。特に、3 チャンネルおよび 9 チャンネルの位相 のみのサンプリング関数の最適化の結果を、図 1 および 2 に、それぞれ示す。図 1(a)に 3 チャンネルの位相 のみサンプリング関数の位相分布(1 周期内)を示す。その解析式は以下のように表れる。 ) / z (2 cos 1.437 ) ( 3 zP    (7) 図 1(b)はチャンネルスペクトルであり、3チャンネルの不均一さは 0.5% 以下、帯域内のエネルギー(回折) 効率は 91%以上のことが分かる。図 2(a)は 9 チャンネルの位相のみのサンプリング関数の位相分布であり、 その解析式は以下のように表れる。 ) z/ cos(10 0.171 ) z/ cos(8 0.318 -) z/ cos(6 0.420 ) z/ cos(4 0.758 -) / cos(2z -2.935 ) ( 9 P P P P P z               (8) 図 2(b)はチャンネルスペクトルであり、9チャンネルの不均一さは 0.4%以下、帯域内のエネルギー(回折) 効率は 97%以上のことが分かる。

(3)

3 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 -2 0 2 (a) Phase ( radian ) z (normalized to P) -4 -2 0 2 4 0.0 0.2 0.4 0.6 FT of exp(i (z)) (b) Amplitude Channel # 図 1. 3 チャンネル位相のみのサンプリング関数の最適化 (a) 1 周期内の位相分布、 (b) チャンネルスペクトル 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 -4 -2 0 2 4 (a) Phase ( radian ) z (normalized to P) -10 -5 0 5 10 0.0 0.2 0.4 FT of exp(i (z)) (b) Amplitude Channel # 図 2. 9 チャンネル位相のみのサンプリング関数の最適化(a) 1 周期内の位相分布、 (b) チャンネルスペクトル 得られたサンプリング関数の有効性をさらに確認するため、空間領域でシード HLPG とサンプリング関数を掛 けた。そしてサンプルド HLPG の透過スペクトルを伝達行列法で計算した。ここで、シードグレーティングの 周期0は 620 m とした。その他のパラメータ、ファイバコア及びクラッドの半径 a1、a2、コア、クラッド、 周囲の媒質の屈折率 n1 、n2、n3はそれぞれ a1=4.1 m、a2=62.5 m、 n1=1.4580、 n2=1.4536、 n3=1.0 とし た。結果として、HLPG の透過スペクトルには、基本コアモードとクラッドモード間の結合により生じる損失 ピーク(ノッチ)が並ぶことになるが、ここでは周期 620 m の HLPG が波長帯域 1500-1650 nm において生 じさせ、HE13 モードとの結合のみを考慮する。それゆえに、本研究では HLPG の HE14モードに対する共振波長 を 1560 nm とした。図 3 はサンプルド HLPG の透過スペクトルの計算結果で、図 3(a)は 3 チャンネル、図 3(b) は 9 チャンネルのものである。両者のサンプリング周期は 1.984 cm、グレーティングの全長は 5.952 cm(3 サンプリング周期)である。3 チャンネルおよび 9 チャンネル HLPG の最大屈折率変化は、それぞれ 1.72x10-4、 3.0x10-4 と仮定する。図 3 より、両者のチャンネル間隔およびノッチの大きさには均一性が見られ、グレー ティングの強度(ノッチの深さ)は 10 dB よりも大きいと言える。これは、提案したサンプリング法が HLPG にも適用でき、ノッチの深さが 10 dB を超えるような、強い HLPG においても十分に機能することを意味する。 1540 1560 1580 1600 1620 1640 -15 -10 -5 0 Tra nsmis sion ( dB ) Wavelength (nm) (a) 1450 1500 1550 1600 1650 1700 -15 -10 -5 0 Tra nsmis sion ( dB ) Wavelength (nm) (b) 図 3. 位相のみのサンプルド HLPG の設計結果(a) 3 チャンネル、(b) 9 チャンネル

(4)

4 2-2 位相のみのサンプルド HLPG の作製と測定結果 前節に得られた数値計算結果を確証するため、いくつか 3 チャンネル HLPG を実際に作製した。実験に用いた 装置を図 4 に示す。これは、我々が単チャンネル HLPG の作製のために開発した、使用したものと同一である [10]。ここで、ZnSe レンズで CO2 レーザを絞り込み、ファイバに直接照射する従来方法とは異なり、サファ イア結晶管を用いられる。図 4 中の移動ステージは並行移動のみ可能ものである。このステージ上にホルダ と回転モーターが載せられているが、結晶管はステージの外に固定されている。光ファイバをステージ上に セットする際は右のホルダ、結晶管の中心、回転モーターを通るようにセッティングする。図5に HLPG 中の レーザ照射部の拡大図を示す。CO2レーザは直接にファイバではなくファイバが通っているサファイア管に照 射する。これにより、結晶管全体が加熱されるため、ファイバを均一に加熱することができる。図5におい て、CO2レーザを照射すると結晶管の内部にあるファイバが加熱され溶融状態になり、その時、回転モーター でファイバを捻じり、同時に移動ステージを動かす、するとファイバにねじり変形を加えることができる。 さらに、図 1(a)に示した、設計された位相関数(z)はグレーティング周期に書き込まれるが、それにより各 グレーティングの周期は、

j

j M j 01 /2, 1   (9) と表される。ここで、0(本研究では 620 m とした)はシードグレーティング(単チャンネル HLPG)の周期、M は一つサンプリング周期内のグレーティングピッチ数、j j -j-1は隣接するグレーティングピッチの位 図4 多チャンネル HLPG 作製装置の概図 図5 作製装置に結晶管付近の拡大図 相差である。式(9)より、設計したサンプルド HLPG の局所的な周期を再度計算した。3 チャンネル HLPG に対 応する、一つサンプリング周期内のグレーティング周期(32 周期のグレーティングからなる)を図6に示す。 この図から、位相のみのサンプリングを導入したことでグレーティング周期は均一ではなくなり、グレーテ ィングごとに異なる長さを持つようになったことが分かる。作製に当たり、ファイバの移動速度および回転

(5)

5 モーターの速度を精密に制御することで、HLPG の周期の誤差は±1m と見積もることが出来る。最後に、 1510-1620 nm の帯域を持つ ASE 光源と OSA を用いて、作成した多チャンネル HLPG の透過スペクトルを測定 した。図7に 3 チャンネル HLPG の透過スペクトルの例を示す。これは図 3(a)に示したシミュレーション結 果と類似しており、3 つのノッチ(チャンネル)が、約 30 nm の均一な間隔で存在している。チャンネル間隔 は式(4)より、サンプリング関数の周期とシードグレーティングの周期から決定される。本研究で提案された 位相のみのサンプリング法が HLPG でもうまく動作することを明らかにする。 0.0 7.5 15.0 22.5 30.0 600 610 620 630 640

Period (u

m)

Period Number

Periods (m) 図6 設計された位相のみのサンプルド 3 チャンネル HLPG の各グレーティングの周期 1540 1560 1580 1600 1620 1640 -12 -8 -4 0

Tra

nsmis

sion

(

dB

)

Wavelength

(

nm

) 図7 3 チャンネル HLPG の透過スペクトル

3 直流サンプルリグ法による多チャンネル HLPG

3-1 直流サンプリングの原理 直流サンプリング法は 2 つのグレーティングを用いてそれぞれのグレーティング周期の差を利用し直流部 分のサンプリングを行うことにより多チャンネル化を実現する方法である。直流サンプリング法を用いた多 チャンネル HLPG を図8に示す。まず、周期0の元となる HLPG(シードグレーティング)を書き込み、その 上に周期pのサンプリングとなる LPG をシードグレーティングと同じ個所に書き込む。ここでサンプリング LPG の周期pがシード HLPG の周期0よりはるかに大きい場合、シード HLPG における直流部分のサンプリン グが可能となる。サンプリング HLPG では、DC 屈折率変調関数が周期的な矩形関数である場合、その屈折率 変化分布nP(z)は、 図8 直流サンプリング法を用いた多チャンネル HLPG の模式図

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6

        n P P P z n rect z z n n ( )  2 [ /(0.5)] (  )  (10) と表すことができる。ここでn2は HLPG の最大屈折率変化、P はサンプリング LPG の周期、 は畳み込み 演算を表し、rect(z)は0.5 デューティサイクルの矩形関数であり、 はデルタ関数である。サンプリング LPG の周期Pはシード HLPG0の周期よりはるかに大きいと仮定されているので、LPG はゆっくりと変化する 様々な屈折率変化としてみなすことができ HLPG の DC 部分屈折率変調を変化させるだけである。言い換える と、LPG から生じるゆっくりと変化する様々な屈折率変化の効果に起因して、式(1)の位相項は線形なもので はなく無視できないため、この位相の変化は、 z n rect z r z n dz n P P z M         

   ) ( )] /( [ 2 ) ( 2 0       (11) と表すことができる。ここで は中心波長である。式(11)を式(1)に代入することにより、位相変調された HLPG の屈折率変調分布は、

/2 exp( ) exp 2 / exp ( )

Re ) , (z n1 j j z 0 j z nM      M      (12) と表すことができる。式(12)の位相変調項exp

jM(z)

は周期特性のためフーリエ級数展開が可能であるので、 式(12)は以下のように表すことができる。

/2

exp( ) F cos

2 z(1/ +n/ )

) , ( 0 p -n n 1       

     n j z nM (13) ここで、F はフーリエ級数である。式(13)からnnMすなわちシード HLPG とサンプリング LPG の重ね合わせ は、無数の新たに得られたグレーティング(チャンネル)からなるものとみなすことができ、それらの各々 は、異なる次数 に関して振幅(n1/2)Fnおよび周期 を有する。上記の結果は、グレー ティングの振幅に存在する差異を除いて、従来のサンプリング方法を用いて得られた結果とほぼ同じとなり、 ここではサンプリング LPG が一般的なサンプリングのように正確に働くことを示している[11]。 3-2 矩形サンプルド HLPG の作製と測定結果 本論文では直流サンプリング法を用いて多チャンネル HLPG を製作する。実験装置の概略図を図9に示す。 図9のように 2 つ工程に分けて多チャンネル HLPG の製作を行う。まず第 1 工程では 通常よりも周期数の多 い HLPG を製作する。第 2 工程では、HLPG を作製した箇所に CO₂ レーザを直接照射して LPG を書き込む。シ ャッターを用いて周期的にレーザの ON/OFF を切り替えながらステージを動かすことにより LPG の製作を可能 としている。作製した 3 チャンネル HLPG の透過スペクトルの測定結果を図10に示す.図10から実際に 相対的な深さがほぼ等しい 3 つのチャンネルが存在し、10 dB 以上の深さを有していることがわかる。また 各チャンネルの間隔は約 42 nm となっておりシミュレーションに近い値となる。また中央のチャンネルの両 側に位置するチャンネルが左右非対称となっていることがわかる。これはシード HLPG の開始端とサンプリ ング LPG の開始端の位置にずれが生じているからであると考えられる。

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7 図9 実験装置の概略図(移動ステージ部分) 図10 直流サンプリング法による作製した 3 チャンネル HLPG の測定透過スペクトル

4 多チャンネル HLPG による OAM モード変換器の実現と観測

作製した3チャンネル HLPG の OAM モード特性に関する研究も行った。図11は、OAM モードを観測するた め実験系である。これは光渦の位相分布を観察するために一般的に使用されているものとほぼ同じである [12]。波長1500 から 1600nmの範囲の波長可変レーザ(Agilent 8168F)が光源として使用される。波長可変 レーザからの入射光は、図 11 に示すように、3dB カプラによって 2 つ経路に分割される。一つは、作製した HLPG に導かれ、対物レンズ(40x)を使用してビームスプリッタ(BS)を通してコリメートされる。もう一 つ経路は、CCD (IR カメラ:浜松ホトニクス C2741-03)の結像面において第1経路からの光ビームとの干 渉縞を生成するために球面ビームとして使用される。生じる干渉縞の可視度を調整するために、偏光コント ローラ(PC)および減衰器が使用される。また、図10に透過スペクトルが示されている同じ3チャンネ ルの HLPG を試験対象とした。図12は、CCD ディスプレイで観察された結像パターンを示す。その中図 12(a) と(b)、および(c)は、参照ビームをブロックされ、40 倍レンズは 10 倍レンズを代わり、透過されているチ ャンネル1、チャンネル2、およびチャネル3(すなわち、波長1510、1555、および 1590nm)での光強 度分布を示す。一方、図 12(d)、(e)、および(f)は、それぞれ 3 つのチャネルでの干渉パターンを示す。図 12(a)-12(c)から、得られた3つのチャネルはすべて同じ LP14クラッディングモードを明らかにした。これは 提案されたサンプリングサンプリング方法の正確さを明らかにした。さらに重要なことに、図 12(d)-12(f) から、OAM モード(l=1)が 3 つのチャンネルで同時に生成され、それぞれが〜20dB の変換効率を持っている ことがわかる。これは、我々の HLPG で励起されたクラッディングモードが本質的に OAM 性能を有するもので あることを確認出来、本研究提案されたマルチチャネル HLPG が多波長 OAM 発生器として使用できることを明 らかにした。

(8)

8 図11 HLPG の OAM モードの特性を観測するための実験系 図12 3チャネルHLPGに OAM モード(l=1)に対する強度分布および干渉パターン。 (a) と(d)、(b)と(e)、及び (c)と(f)はそれぞれチャンネル1、チャンネル2、及びチャンネル3の結 果を示す。

5 まとめ

本研究では、位相のみのサンプリング法に基づいた、新しい多チャンネル HLPG の作製法を提案し、実証を行った。 CO2レーザを用いて、位相のみサンプルド 3 チャンネル HLPG の作製を行った。この方法により、通常の単一モードフ ァイバによる多チャンネル HLPG の作製が可能となる。また HLPG においてマルチチャネルを生成することを可能にす る簡単で効率的な直流サンプリング手法が提案し、実証を行った。フェーズオンリーサンプリング HLPG の製造方法と 比較して、提案された直流サンプリング法は、特に CO2レーザ書き込み技術を使用することによって、マルチチャンネ ル HLPG の製造プロセスを非常に容易にすることができる。 1 つの典型的な例として、矩形の DC サンプリングされた 3 チャンネル HLPG を理論的にも実験的に実証した。最後に作製した 3 チャンネル HLPG を用いて、HLPG に存在する軌 道角運動量(OAM)モードを確認出来た。 これは、1 つの HLPG を使用したマルチチャネル(波長)OAM モードの実験 的生成に関するレポートは世界初であり、提案されたサンプリング HLPG は、多波長 OAM 発生器への応用を見出すこと ができる。

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〈発 表 資 料〉

題 名 掲載誌・学会名等 発表年月

Multichannel Fiber Bragg Grating Based

on DC-sampling Method Optics Commun. 2019, August Multichannel long-period fiber grating

realized by using the helical sampling

approach IEEE J. Lightwave Technol. 2019, May

Optimal design and fabrication of multichannel helical long-period fiber gratings based on phase-only sampling method

Opt. Express 2019, Feb.

All-fiber circular polarization filter realized by using helical long-period fiber

gratings, IEEE Photon. Technol. Lett. 2018, Nov. Mode-couplings in two cascaded helical

long-period fibre gratings and their application to polarization-insensitive band-rejection filter

Optics Commun. 2018, August Design of an edge filter based on a

phase-only modulated long-period fiber

grating IEEE Photonics Journal 2018, Jan.

Multichannel helical long-period fiber grating realized by using the

DC-sampling approach IEICE Society Conference 2019 2019, Mar. 多チャンネル螺旋状長周期ファイバグレー

ティング

電子情報通信学会 2018 ソサイエテ

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