Title
組成未知の有機物群の活性炭吸着特性に関する研究( 内容の
要旨(Summary) )
Author(s)
李, 富生
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第084号
Issue Date
1998-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1805
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本 籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委且 李 富 生(中華人民共和国) 博 士(工学) 甲第 84 号 平成10 年 3 月 25 日 生産開発システム工学専攻 組成未知の有機物群の活性炭吸着特性に関する研究 (血tiⅦtedCahdsorptionofOr辟miclixttlreOf 伽p鴨iti血) (主査)教 授 湯 浅 晶 (副査)教 授 安 田 孝 志 教 授 藤 田 裕一郎 助教授 松 井 佳 彦
論文内容の要旨
水道水源の流域の自然条件や人間活動の影響に応じて,河川や湖沼水中の汚染有機物の種類や濃度 が変化し,どのような水質の原水に対しても適切な浄水処理を行って水道水の水質を高め,安心でき る水道水を供給していかなければならない。活性炭吸着処理は異臭味やトリハロメタン生成原因物質, その他の多くの種類の汚染有機物を除去する優れた処理法である。本研究は,実際の用廃水処理に直 面する組成を完全に把撞することができない混合有機物群を対象に,有機物群を構成する成分の吸着 特性の違いを考慮し,多成分の視点に立って,有機物群の平衡吸着容量特性と固定層吸着過程を定量 的に表現する方津の提案と実際の用廃水による実験実証に関するものであり,活性炭吸着処理施設の 設計や捷作条件の決定を支援できる有意義な研究である。 1.本研究の成果 (1)組成未知有横物群の平衡吸着寄主特性の定量的評価 単成分系の吸着等温線がF帽皿dlicb式(定数虻と指数1何で表される成分からなる多成分系について, 吸着指数(1/〝)を成分によらず一定とする考えから,有機物全体の平衡吸着容量特性を表す合計吸着等 温線モデルと,合計吸着等温線に及ぼす初期漉度の影響の規則性を反映する2種類の一本化モデルを 理想吸着溶液理論から誘導した0実際の用廃水中の組成未知の有機物の1/〝を一定とした場合の構成成 分の吸着強度(定数均分布は,対数正規分布の方が適切であることを定性的な検討により明確にした。 次いで・対数正規分布に基づいて有機物を分割し・吸着強度分布の特定パラメーター‰と可笹の平均 値と標準偏差)及び吸着指数1/〝の3係数を確定することによって,起源,時期,前処理条件が異なる 数種類の用廃水中有械物の合計吸着等温線を良好に表現することができた。この方法は凝集やオゾン 処理など有機物の平衡吸着容量特性への影響とその作用機構を解明する上でも有効であることが明ら かになった0また,提案した2種類の合計吸着等温線の一本化モデルについて,その妥当性を実際の 用廃水中有機物の合計吸着等温線の一本化結果から検証した。さらに,捷案した表好手法に基づいた シミュレーションにより,多成分系有機物の競合吸着機構,有機物の吸着強度分布と濃度組成分布の 有機物全体及び特定成分の平衡吸着容量特性への影響などを明らかにした。P)吸着強度と分子量分布に基づいた組成未知有機物群の組成分類 活性炭吸着は水中有機物除去の仕上げ役を担う上で有効であることと,構成成分の分子量の違いが 水処理効率に及ぼす影響が大きいことから,吸着強度(定数のと分子量(価γ)分布に基づいた有機物群の 分類方法を捷案した。次に,実際の原水中の有機物を分子量分布に基づいて分画し,共存下における 各分画分有機物群の平衡吸着容量特性を実験結果に基づいて検討した上で,有機物全体の初期組成分 布,吸着の進行に伴う組成分布の変化などを定量的に評価した。さらに,決定された有機物の初期組 成分布と組成定義式に基づき,競合吸着下における各分子量分画分有機物群の平衡吸着容量特性を定 量に予測することができた。 (3)組成未知有機物群の固定層吸着過程の定量的評価 固定層吸着における組成未知有機物群の破過挙動を多成分系の視点に立ってシミュレーションする ための方法を提案した。固定層吸着過程の数式モデルは,軸方向分散を無視しうる押し出し流れを考 えて,被吸着質の物質収支式,表面拡散,細孔拡散,並列の表面拡散と細孔拡散をそれぞれ活性炭粒 内における物質輸送の卓越因子とする液境膜・粒内拡散モデルにより構成された。数式モデルの数値 解析は直交選点法に基づいて行うこととし,活性炭粒径方向と固定層深さ方向の選点確定用量み関数 や選点線数を,吸着速度の異なるフェノールとDBSを被吸着質とした差分法による解析結果と比較検 討することにより確定した。次いで,実際の用廃水中有機物の破過挙動のシミュレーションを行い, 解析結果と実験結果との照合により,提案した方法は組成未知有機物群の固定層吸着過程を定量的に 評価する上で有効であること,活性炭粒内における有械物の輸送過程は表面拡散と細孔拡散の並列拡 散モデルを用いた方がより適切であること,その際の表面拡散係数は吸着強度(定数のと分子量(ん如) の指数関数として表されることなどを明らかにした。さらに,吸着強度によって分割した各構成成分 の固定層吸着挙動について,流出率の経時変化,吸着帯の形成状況と推移傾向,活性炭粒内における 被吸着質の吸着量分布などの較点から検討を行った。 2.本研究の有用性 本研究で提案した方法は,組成未知の多成分系有機物群の平衡吸着容量特性と固定層吸着過程を定 量に表現する上で有効であり,従来の評価手法より推定精度が高く,応用しやすいことに特徴がある。 また,回数の少ない実験を実施し,得られた実験データを提案した方法に基づいて解析すれば,起源, 時期,前処理条件が異なる用廃水中有機物の吸着特性の比較と予測,適切な吸着処理施設とその操作 条件についての検討が可能となる。 発表論文リスト(学位論文に直接関係する論文) 1)EvaluationoftheoveralladsorptionisothermofbackgroundorganicsonactivatedcaJbon, AkiraYuasa・独唱Li,YoshihikoMatsuiandKunioEbie,Prcc・OflOthIWSA-ASPAC R喝ional Con鮎nceandExhibition,Vol・2,pp・542一章51,1996(HongKong). 2)AdsorptionEquilibriaofmulticomponcntorganicmixturesofunknowncomposition,AkiraYuasa, Fushen?Li,YoshihikoMatsuiandKunioEbie,環境工学研究論文集,第33巻,Pp.123-132,1996. 3)ChaJuteristicsofcompetitiveadsorptionofaquatichumicsubstanCeSOntOaCtivatedcarbon, AkiraYuasa,Fush飢寧Li,YoshihikoMatsuiandKunioEbie,Proc・Ofthe6thIAWQAsia,Paci6cRegional Conference,Vol・2,pp.1387-1394,1997(Seoul). 4)BatchadsorptionequilibriaofmolecularWeightぬctionsofbackgroundorganics,AkiraYuasa,拠
andYoshihiko Matsui・PTtN:・4thChinaJapan-USA Symposium on AdvancedSeparation Scienceand
5)^dsorptionbehaviorofbackgroundorganicsin丘xedbedadsorbers,Fushen寧Li,AkiraYuaBaandYoshihiko Matsui,Proc・4thChina-Jap皿-USASympOSlumOnAdvancedSeparationScienceaJldTechnology,pp・ 290-295,1997(Guang血ou).
論文審査結果の要旨
学位論文の内容について審査した結果,次のような結論が得られた。 (1)本研究の成果 本研究は単成分系及び組成既知の多成分系有機物の活性炭による吸着特性に関する既往の理論を組 成未知の有機物群の吸着特性の定量的評価に導き,その過程において生じた様々な問題を順次に解決 し,最終に実際の用廃水中有機物の吸着特性を高い精度で表現・予測できる新たな評価手法の構築に 達した,従来の研究を発展させたものである。 組成特定が不可能な実際の用廃水中有機物群に対し,これと同様の平衡吸着容量特性をもたらすこ とを前捷に仮想組成分布を設け,それに基づいた分割により有機物群全体の固有の吸着特性の違いは 分割した成分によって反映された。こうしたことにより,有棲物全体の平衡吸着容量特性,組成,固 定層吸着過程は分割された成分の競合吸着下における吸着挙動から定量的に評価することができた。 組成未知有鱒物群の平衡吸着容量特性の定量的評価については,まず,有機物全体を吸着特性が異 なるⅣ個の成分(ト1,2,…,州に分割し,単成分系においてそれぞれの成分のFre皿dlicb吸着指数(1血) を成分によらず一定(1仇=肋)とした場合における構成成分の吸着強度(定数㌫)分布は,対数正規分布に 想定することが比較的適切であることを理想吸着溶液理論から誘導した合計吸着等温線モデルに基づ いた定性的な検討結果から判明した。次いで,対数正規分布に基づいて有機物を分割し,吸着強度分, 布の特定パラメーター‰とげ匹一の平均値と標準偏差)及び吸着指数肋の3係数を確定することによっ て,組成未知の有機物群の合計吸着等温線は同モデルにより良好に表現されることを起源,時期,前 処理条件が異なる数種類の用廃水中有機物を対象にした吸着実験結果により検証した。 組成未知有機物群の組成分類については,吸着強度(定数〟)と分子量(肋)分布に基づいた有機物群の 組成分類方法を提案し,それに基づいて起源が異なる3種類の原水中有機物の初期組成分布を決定す ることができた。次いで,決定された右横物の初期組成分布と組成定義式に基づき,吸着の進行に伴 う有枝物の組成分布の変化,競合吸着下における各分子量分画分有機物群の平衡吸着容量特性を定量 に予測することが可能となった。 組成未知有様物群の固定層吸着過程の定量的評価については,吸着強度によって分割した各構成成 分の固定層吸着過程を,被吸着質の物質収支式,表面拡散,細孔拡散,並列の表面拡散と細孔拡散を それぞれ活性炭粒内における物質輸送の卓越因子とする液境膜・粒内拡散モデルにより定量化し,直 交選点法に基づく数式モデルの数値解析に用いられる活性炭粒径方向及び固定層深さ方向の選点確定 用量み関数や選点総数を,吸着速度の異なるフェノールとDBSを被吸着質とした差分法による解析結 果と比較検討することにより確定した。次いで,実際の用廃水中有機物の破過挙動のシミュレーショ ンを行い,解析結果と実験結果との照合により,提案した方法は組成未知有機物群の固定層吸着過程 を定量的に評価する上で有効であること,活性炭粒内における有機物の輸送過程は表面拡散と細孔拡 散の並列拡散モデルを用いた方がより適切であること,その際の表面拡散係数は吸着強度(定数杓と分子量(肋′)の指数関数として表されることなどを明らかにした。 (2)本研究の有用性 本研究で提案した方法は,組成未知の多成分系有機物群の平衡吸着容量特性と固定層吸着過程を定 量に表現する上で有効であり,従来の評価手法より推定精度が高く,応用しやすいことに特徴がある。 また,回数の少ない実験を実施し,得られた実験データを提案した方法に基づいて解析すれば,起源, 時期,前処理条件が異なる用廃水中有機物の吸着特性の比較と予測についての検討が可能となり,こ れらの方法は活性炭吸着処理施設の設計や操作条件の決定を支援する上で有用である。