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ラット慢性腎症の発生機序に関する病理学的研究

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Academic year: 2021

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Title

ラット慢性腎症の発生機序に関する病理学的研究( 内容の要

旨 )

Author(s)

池山, 聖一

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第110号

Issue Date

2002-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2164

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

名(本籍)

学位授与年月

学位授与の要件

研究科及び専攻

研究指導を受けた大学

学 位

一(愛知県)

博士(獣医)

獣医博甲第110号

平成14年3月13日

学位規則第4条第1項該当

連合獣医学研究科

獣医学専攻

岩手大学

ラット慢性腎症の発生機序に関する病理学的研究

主査

岩 手 大 学

副査

帯広畜産大学

副査

岩 手 大 学

副査

東京農工大学

副査

岐 阜 大 学

慢性腎症(chromic progressive

nephrosis,CPN)はラットを用いた慢性毒性試験で発生

率が高く,また主要死因であることから重要である。その原因は自由飽食に基づく蛋白質

過剰摂取と考えられるが,その発生機序は充分明らかでない。被験物質の作用機序解明に

あたり,その投与に基づく変化とCPNなど自然発生病とを区別する必要がある。従って,

重要な CPN

の発生機序検討は毒性評価上必要と思われる。本研究ではその一環として皮

質尿細管上皮の多様な形態変化に注目し,その形成機序を検討した。

第1章では,飼料を自由飽食させたラットにおける尿蛋白量と皮質尿細管上皮の変化 (形態および増殖活性)との相関性を検討した。即ち,C再:CD(SD)IGS系雄ラット13週 齢(7例),104週齢(7例)および105週齢(3 例)の尿蛋白量を測定し,またこれら全

ての腎臓を組織学的に観察した。111週齢のF344/DuC巧系雄ラットの腎臓(1例)を電子

顕微鏡で観察した。更に,104

および105 適齢の全ての腎臓について抗増殖細胞核抗原 (proliferating

ce11nuclearantigen,PCNA)免疫組絃化学染色を施し,皮質尿細管上皮にお

ける陽性細胞数をその増殖活性の指標とした。結果として,尿蛋白量(mg/16 br)は104 週齢(67±47,平均±標準偏差,以下同様)および105適齢(45±11)で13週齢(12±4)

と比べて有意に多かった。104および105週齢の全例が組織学的に中等度または重度のCPN

と診断され,その程度と尿蛋白量との間で有意な正の相関性がみられた。これらで皮質尿 細管上皮の形態は正常,単層・褐色色素沈着,単層・扁平化(管腔狭小化),単層・扁平 化(管腔拡張)および重層化に分類された。重層化上皮と単層・扁平化上皮(管腔拡張) に刷子縁がみられたことから,これらは一部には近位尿細管由来であった。管腔狭小化し

(3)

一210-た単層・扁平化上皮に刷子縁はみられず,これは遠位尿細管または集合管由来であった。

これら上皮の断面数と尿蛋白量との間に正の相関性がいずれも有意にみられた。重度CPN

(2例)で各1本の近位尿細管で上皮重層化による管腔狭窄がみられ,それより被膜側で 管腔拡張を伴なった扁平化上皮がみられた。104 および105適齢の皮質尿細管における

PCNA陽性細胞数(/10視野)は重層化上皮(72±65,68±107)と管腔拡張を伴なった単

層・扁平化上皮(各々,27±34,2$±31)で,管腔狭小化を伴なった単層・扁平化上皮(2

±3,0.3±0.6),単層・褐色色素沈着上皮(0.1±0.4,0±0).および正常上皮(3±3,5±5)

と比べて明らかに多かった。重層化上皮のみで尿蛋白量と

PCNA陽性細胞数との正の相関

性が有意であった。以上のことから,蛋白尿と関連して近位尿細管で増殖活性冗進から重

層化上皮が形成され,それによる管腔狭窄に基づき管腔拡張と上皮扁平化が起こり,また

遠位尿細管または集合管では管腔狭小化を伴なった上皮扁平化が起こるものと考えられた。

第2 章では,自由飽食させたラットの皮質尿細管上皮における増殖活性とアポトーシ スとの相関性を検討した。F344/DuCわ系雄ラット19適齢(5例),59週齢(6例)および 111週齢(16例)の腎臓を組織学的に観察し,またDNA断片化のin situ検出(TdT-mediated dUTP-biotin nick endlabeling,TUNEL)を行った。59週齢(6例)と111週齢(8例)の

皮質尿細管上皮について上記と同様に増殖活性を測定した。結呆として,59適齢以上の 全例が組織学的に CPN

と診断された。また111週齢の全例でアポトーシス小体が,皮質

尿細管の重層化上皮および管腔拡張を伴なった単層・扁平化上皮でみられた。重層化上皮

のみでTⅥヾEL陽性率(19-59適齢で0±0%,111適齢で0.9±1.2%)とCPNの組織学的

程度との間に有意な正の相関性がみられた。重層化上皮および単層・扁平化上皮(管腔拡

張,管腔狭小化)におけるPCNA陽性細胞数(/10視野)は,111適齢(各々,7$1±607,

429±206,24±20)で59週齢(同,41±37,32±35,1±3)と比べて有意に多く,また

これらと

CFNの組織学的程度との間で何れも有意な正の相関性がみられた。重層化上皮

のみで・PCNA陽性細胞数とTUNEL陽性率との有意な正の相関性がみられた。以上のこと

から,皮質尿細管の増殖活性克進から重層化上皮が形成され,ここでアポトーシスが発生

すると考えられた。・その病理学的意義は生体の恒常性維持のため異常または過剰細胞を排

除することと推察された。 本研究でラットCPNの発生機序に関して得られた知見は今後,慢性毒性評価に必要な

情報となる可能性がある。

果 の

申請者は・ラットを用いた慢性毒性試験で発生率が高く,主要死因であることから重要性の高い 慢性腎症(chronicprogressivenephrosis,CPN)について,その発生機序解明の一環として,皮質尿細 管上皮の形態変化に注目してその形成機序を検討した。 皮質尿細管上皮の形態変化についてその分類と発生部位の同定を試み,また増殖活性を測定し, これらと尿蛋白量との相互の相関性を以下の通り検討した。即ち,飼料を自由飽食させた若齢および 老齢ラット(CD系,雄)の尿蛋白量を測定し,またその腎臓を組織学的に観察した。また,老齢ラ ット(F344系,雄)の腎臓を電子顕微鏡で観察した。更に,老齢ラットの全ての腎臓に抗増殖細胞核 抗原免疫組織化学染色を施し,皮質尿細管上皮における陽性細胞数をその増殖活性の指標として検討

(4)

-211-した。その結見 中等度ないし重度のCPNで皮質尿細管の重層化上皮と管腔拡張を伴なっ`た単層・ 扁平化上皮がみられ,、そこに刷子縁がみられることから,これらに近位尿細管由来の部分が含まれる ものと考えられた。また,管腔狭小化を伴なった単層・扁平化上皮は,常に刷子縁がみられないこと からt遠位尿細管または集合管由来と考えられた。これらの形態変化は尿蛋白量と有意に相関して増 加していた。増殖活性と尿蛋白量との正の相関性は,重層化上皮のみで有意であった。以上のことと 重度CPNにおける組織所見から,尿蛋白量増加と相関して近位尿細管上皮で増殖活性克進から重層 化部位が形成され,これによる管腔狭窄に基づいて管腔拡張を伴なった扁平化上皮が形成されると考 えられた。 次に皮質尿細管上皮における増殖活性とアポトーシスとの相関性を以下の通り検討した。即ち, 飼料を自由飽食させた若齢ないし老齢のF344系雄ラットの腎臓を組織学的に観察し,またDNA断片 化の血∫血検出を行らた。更に,皮質尿細管上皮の増殖活性を上記と同様に測定した。その結果,中 等度ないし重度のCPNでは皮質尿細管の重層化上皮と管腔拡張を伴なった単層・扁平化上皮でアポ トーシス′ト体がみられ,その発生率と細胞増殖活性との正の相関性が重層化上皮のみで有意であった。

このことやら,皮質尿細管で増殖活性克進から重層化上皮が形成され,ここでアポトーシスが発生す

るものと考えられた。その病理学的意義は生体の恒常性維持のため異常または過剰細胞を排除するこ とと推察された。これらの研究により,ラットCPNの発生機序の一端が明らかとなった。 以上について,審査委鼻全員一敦で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位 論文として十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文 題 目 著 者 名 Apoptosisofproliftrativecorticaltubularepitheliainchronicprogressivenephrosisofrats IkeyamaSeiichi・NukuiTakashi,NishibeTadayuki,FurukawaSatoshi,GozyoMasanObu andOkadaKosuke 学術雑誌名 TheJournalofVttennaryMedicalScience 巻・号・貢・発行年:62(4):367-374,2000 既発表学術論文

l)題

目 著 者 名 SpontneouspinealomainamaleCづ:CD(SD)IGSrat

Ftmkawa Satoshi,KobayashiKiyoshi,Usuda K可i,Thmura Tbhru,Miyamoto Yasuo, HayashidaKenichi,IkeyamaSeiichi,GoryoMasanObuandOkadaKosuke 学術雑誌名 TheJoumalofVtterinaryMedicalScience 巻・号・貫・発行年:61(1):4l-44,1999 2)題 目 著 者 名 Apoptosisandcellproliftrationinrathepatocytesinducedbybarbitl∬ateS FurukawaSatoshi,UsudaK可i,Fl再iedaYbhko,TamtmTbhTu,MiyamatoYisuo,Hayashi Kenichi,IkeyamaSeiichi,GoryoMasanObuandOkadaKosuke -212一

(5)

学術雑誌名 TheJoumalofVbterinaryMedicalScience 巻・号・貢・発行年:62(l):23-2S,2000 3)題 目 著 者 名 Spontaneousmucin-SeCretingadenocarcinomaoftheileuminamaleCIj:CD(SD)IGSrat FurukawaSatoshi,UsudaKqji,KobayashiKiyoshi,MiyamOtO Yasuo,HayashiKenichi, KanekoIwao,IkeyamaSeiichi,GoryoMasanObuandOkadaKosuke 学術雑誌名 Joumalor恥xicologicPa血0logy 巻・号・貫・発行年:13(l):53-55,2000 4)題 目 著・者 名 Efftctofclo丘brateonceupopulaboninrathepatocytes FtFukawaSatoshi,UsudaK可i,KanekoIwao,MiyamotoYasuo,IkeyamaSeiichi,Goryo MasanobuandOkadaKosuke 学術雑誌名 JoumalofTbxicolo由CPぬ0logy 巻・号・貫・発行年:13(4):257-260,2000 5)題 目 著 者 名 E飴ctofbutylatedhydroxytolueneoncellpopulationinrathepatocytes

Furukawa

Satoshi,Usuda、K可i,Tamura

Tbru,Kd)Ota Rie,Ikeyama Seiichi,Goryo MasanObu,MasegiTbshiakiandOkadaKosuke 学術雑誌名 JournalofTbxicologicPath0logy 巻・号・貢・発行年:14(2):145-150,200l 6)題 目 著 者 名 UnilateralrenaldysplasiainaSyrianhamSter

Ikeyama Seiichi,Nishibe Tadayuki,Furukawa S申OShi,Goryo MasaJ10buand Okada Kosuke

学術雑誌名 JournalofTbxicologicPath0logy 巻・号・貢・発行年:14(4):309-312,200l

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