〔特 別 掲 載〕
(東京女医大誌第28巻第1号頁40−47昭和33年1月)先天性心疾患の脾一撮脾一塁血液循環時間について
東京女子医科大学小児科教室(主任磯田仙三郎教授)講 師 青
アオ 井イ令
レイ子
コ(受付昭和32年11月30日)
1 緒 言 心臓疾患患者の血液循環時間測定報告は大部分 が成人におけるもので而も後天性心疾患について の報告例が多く1)∼9),:先天性心疾患についてはそ の例数極めて少い1)5・9)∼11)。かつ叉小児に適する エーテル法及びスルファミン法によって測定した る報告は探し得ない。よって著者は先に発表した る健康児の騰一肺及び騰一盛血液循環時間測定成 績を規準にして先天性心疾患児の騰一肺及び鱒一 差血液循環時間を種々の病型について検討したる ところ病型鑑別に資するところありと考えここに 発表する。 H 検査対象見 先天性心疾患の轡型診断は臨床上の診断ではややも すれば誤診であることも少くないから検査対象児は臨 床診断の他に当院榊原外科教室において手術によって 確めたもの,或は剖検によって病型を確認し得たるも ののみを選び,2∼15才迄の男児51例,女児46例,計 97例についてその測定成績をまとめることにした。皿 検査方法
臆一肺循環時間はエーテノレ法により,騨一耳循環時 間はスルファミン法によって測定した。測定方法の詳 細は前編健康児の項に記載したのでここでは省略す る。 IV 測定成績並に考按 先天性心疾患児のth1.液循環時間の遅速を判定す る為には先に著者が発表した正常児の搏一肺,三 一耳循環時間の年令別及び身長別測定値を規準に して比較することとした。心搏動数による循環時 間の変動は,搏動数が40∼60増加しても1秒足ら ずであるから1秒以内の相違は正常範囲となし, 1秒以上の差あるものを短縮,又は延長となしたQ 叉腿一肺,騰一二両循環二三の差を表現する為に は騰一二より脾一二循環時間の長い揚合を潮差と し,その逆を逆差と表現した。叉正常心の平均差 より1秒以上差あるものを大差とし,平均差と等 しきものを正常差とし,正常差に達しないものを 三差として記載した。 短 延 正 逆 大 縮・ 長・・ 差・・ 差・・ 差・・ 正常差一 世 差・・::瞬値…概の差あ・鵬
・縛一肺く搏一耳 ・・ー一月市〉陣一子 一正常心の平均差より1秒以上の差 ・・ウ常心と同一の三 一正常差未満の差 1)Bota11氏管開存 Eppinger(1941)11), Ziegler(1951)11)はBotall 三管開存の場合の一血液循環時間は正常であるとい い,Johnsen(1950)11)は腕肺時間及び腕試時間は 1例の軽度の心不全患者では延長していたと述べ ているが,著者の男児2例,女児9例,計11例の 成績は第1表に示した如くである。 これを纏めて検討すれば(b)表の如くBota11 氏管開存においては腿一肺及び臆一耳循環時間両 者共に正常のものが多い。然し中には臆一耳循環 時間だけ延長するものも少くないし,又両者共短 縮若しくは両者共に延長のものもないではない。 然し何れの揚合でも両者の時問差は大部分が正常 差である。 2) 心房中隔欠損 短路の方向が左→右に向う限り循環時間は正常 値の範囲内にあるとGasul(1949)1ユ), Lequime Reiko AOI (Department of Pediatrics, Tokyo Women’s Medicai Co]lege) : Studies on the circulation第1表(a)
姓 名
齢令
艶g網秒判定序1判定秒半y−re
隙巧,レ法i。,レフ。,職「両循環の差
川○恵○
・1…m1・・3 5i正’常 ・正常 ・1正罷
.水○容○ ♀「5j g9
4.8 正常若・一・子♀1・j ・・5・・65
正常
・正常1…正室差
・短縮’
P’.・.u少豊
楊・裕♂ ・・1・…55睡常・2延長 ・1大差
安・英・♀i・」i・…5「4辛子 ・1.短縮L・正罷
「杉・典・♀ ・」 ・・9・・1・[短縮 ・十割2匪誰・
1中・建・i♂i・j・・m
福9晶・1・「一.6・
・2・・35・・2「い・・匹星.
護…○麦Ol黒..
・・8・・55歪制・3」延劇・8大差
廊鼠訂ぬ捕「三子劇…隊差
i世子継⊥4二三三冠
1三・恵・T1♀ ・5j…・63 7正常・2正常 ・.1群豊一
型一千・「引』・5・F副.一了席巨∼.F當「5屡常差
回1表(b)循環時閥 例 数両循環の差
.脾7肺一..漣=.耳:t.一一一一.一…一一L.一一㎝一_正常
正常1 4
正常差
正常
短綱
匡常 延一長
i短縮
1二二
1 一 一 一 “と吟犀一一1
3i大 差
L....”一....一一短細 2
正常差
延長
1 正常差
’ti
(1950)ii), Donzelet(1951)ii), Gross(1951)ii),
Ziegler(1951)i1)等は述べているが,著者の男児 6例,女児8例,計14例についての測定成績は第2 表に示した如くでこれを整理すれば(b)表の如く である。即ち心房中隔欠損では腿一肺循環時間は 正常,短縮延長種々であるが,脾一耳循環時間の 延長するものは1例もなく正常か短縮しているも のが大多数である。これから推察すれば血液は右 →左に向うものが少くない様に思はれる。両者の 第2表(a)
姓 名1性
年令1身 長
i (cm)
1
・一テ・レ法レ・レフ・・ン法1両媚環の差
出判定秒判定1秒判定
佐・.美・子」♀
誘‘6j1・至』117.O
i
4jgm
高○恒○
砺匝磁痢・1孟常い・1零…9一
短綱・梅綱司正灘
矢・鉄・1♂・」・・m・・4・・
4 5 E:一i・十割・階差
長・し・・1・[7…m・2…1・短縮
平・み・・t♀・j・・ml・・6・・53塵縮
・震害L5睡誰
・陰子
平 ○深・.智、♂[・月
隆♂ ・j ・2…i3・・随縮 ・.短縮
ii6,i一・i[i,i−151.1.一,’g・[...一]]”.’g−Ilil,IIIIiliiili“![1/ill−51Lriir!Egee i♂1…m・・4・・56[正常1・、騨・1等差
4 正常差
5.5 正常差芦○一〇
堀○政○ ♀ 9j
山・民・1♀ ・・「繭8
,一F・明・1・1・…ml・2司一’6,一正制一81短縮
112・ O 161亜旧壁.
延長
6 短縮’ 0 差なし
・短縮r
S障嵯
2 少’差
一41一
1釜台・・・…mi・46・・i …延長 ・陣二一…障少差1
水○幸○
♀ ・4」「・5・・i・1正釧・随縮 ・差なし
角・勝・「♂1・・j ・35・・1・随綱・・
正常
7 大差
第2表(b)循環時間
」専一堕一 一月専一冥府
数 両循環の差正常 短縮
司少差
短縮 正常
2 大 差
短縮 三綱 ・正常差
延長・ 短縮
2 逆三差
時間差は様々で少数例には臆一肺循環時論が延長 して騰:一浪循環時間が短縮し逆少差を示したもの があった。斯く種々のものがあるのは欠損部の大 小多様なるが為かと老えられる。 3) 心室中隔欠損 男児7例,女児6例,計13例について標準値と 比較したものが第3表(a)である。 第3表(b)によって知らるる如く.S室中隔欠損 第3表(a)1姓 二
丁年令
身 長
(cm) エーテル法 スルファミン法.飯・彦・1♂・…m・・5・・
両循環の差
!e判定i酬判刻刻判定
・1正酬・
正司・
正常差金9雪虫制・j一.遡い一隆.旦㌔.L蟹劃・Lt−Ji豊
.大・美・副♀1・・_・㍗9−L一重一型・・正.當・r.正常男
生・厚91・1・■・璽堅塁劃.・1短.劃.1一塵
.関墜・子副・・L・23・・8延・長 ・陣綱・}少差、.
・・1正亙1司大差
田・松・郎[・L….L・28・・L窓巴里一...
竹・芳・1♀{・・jl・27・・57屡常.・・正−制・正罷
1曽・達.・DL…‘「・2…}rl正劇2陣縮・}少差
三・和・1♀
L
12 j t t t145・ 061里常
・短縮・堅陣
伊・梅・♀・2・1・44・・[1正司・随縮 ユ『「少差tt
.河蝉_gL登_.璽_一璽r.窪し.陣墨.L旦1旦型・差なし
一高・堅⊥重_ ・・.ロr屯?ltL細註..…・⊥短堕=一?一一…L増葦
土・英・♂1・5jl・6…i・L正常i・2・・i正訓・・1正離
第3表(b)循環時間
例
数両循環の十 一..臆コ肺 一_.鵬一耳正常 正常 ・1正常差
正常 短縮
3 少 差
短縮 正制
・1大差
i F差.1
短縮 短縮
延長 正常1
延長 短縮
・1差なし
ド セ・1
光差2
逆差1・
にあってはwa・一一一肺循環時聞は正常のものが多いが 延長しているもの又は短縮しているものもある。 然るに臆一耳循環時聞の延長するものはなく短縮 又は正常のものが相なかばする。而して両循環時 間の差は少く,中には逆乱を示すものも稀にある ことをみた。これから推測すれば中隔欠損部から 大動脈に灌注するものが少くない様に思われる。 4) 且市重む脈狭窄 Adamus(1951)11), Ziegler(1951)11)によれば 正常範囲内の循環時間であると云うが,著者の男 児,女児共に2例つつ計4例の肺動脈狭窄につい第4表(a)
姓 名、
1
性’1年令
身 長 Ilエーテ・レ法
スフレファミン山山循環の差
(・m)i秒判定秒‘判定秒判定
鈴 ○ 道 ○ ♂ 5j2m・・9・・5[正常 ・
、正常 2 正常差
北Q政○ ♂. 6j .107.0 11 延長
・31延引・
正常差土○め○み
♀i・jl・・… 61正常 ・! fi綱・
亭亭
三〇由○子
♀1・・j ・39・・1・1正常・3i正制・
正常差 第4表(b)循環時間
.膝一肺 .一t搏一耳正常
正常
延長
平一恒
例
半田循環の差2 正常差
短三
一i一“P少.一
丁護.「 ・
g
正常差
ての成績は第4表の如くであった。即ち臆一肺循 環旧聞は延長するものもあるが正常のものが多 い。三一耳循環時聞はそれぞれ隣一肺循環時間に 伴って正常であったり,延長したり,或は短縮す る傾向がみられる。従って両循環時間の差は正常 のことが多い。 5)Botal】氏三戸存に心室中隔欠損の合併 第5表i l 1
姓 名i性i年令1身長
1’ rl’ Fir’(cm5
エ・・テル法。,レフ。,。法揃循藻の差
秒判定1秒判則秒1判定
桜・崇・険.・3j・32… 正常い2
正常
・1正離
男児1例であるが,臆一寸,六一宿六循環時間 並に両者の高高に正常であった(第5表)。 6)Bota11三管開存に肺動脈狭窄の合併第6表
男児2例であるが,六二では歩一肺循環時間は 正常で,博一耳循環時聞は延長し,而して両循環 時間の差は正常よりやや大であった(第6表)。 姓i ii
名1性1年令身長1
[ [ 1 (cm)
1エーテ,レ法』tt.一妬。。,。法1両循環の差…秒1判定
秒判定序判定
水○直○
♂ ・j ・2・i・1正常・・延劇・1大差
広・但・1♂ ・j}・2・ 6}正制・2i延長一61大差
7)心房中隔欠損に肺動脈狭窄の合併 臆一面循環時間は様々で必ずしも短縮せず正常叉 男児1例,女児3例,計4例の測定成績は第7表 は寧ろ延長する縞合がある。これを推測するに狭 に示す如く,臆一肺循環時聞は延長すること多く, 窄の程度と心房申隔欠損の大さによってそれぞれ第7表
姓 名
1・一テ・レ剖…フ。・・法
性年令1身長
(cm)
両循環の差
木○広○
釧判定秒判定−秒1判.「定
♀1・j ・・8…3延劇・9延劇・
大差
堀・由・子♀1・j ・・6・・1・陣劇・”1短縮 ・
差なし渡○
肇1♂1・j ・28・・1・
正常 10 正常 3 .正常差
陳・陽・1・…L塑・い[延長1・陣縮」一. rl.
逆差、
一48一
笙8表(a)
姓
名 性年令
身 長
(cm) エーテル法 スルファミン法門循環の葦
秒「判定秒1判定秒判定
懊・由・子1♀L3ji・9… 41延長 ・1正常1・
正常差歯・静・i♀F・1・…58i賑・3延長1・
大.差出・美・1♀ ・」1・3・・【61延引・短縮1一・睡斎
忌O健○
♂L4jl・…’1一・21延劇・1正常[一・1逆蹉
渡・宏・1♂ ・j ・9・・551正常 ・
短縮 一1 晶晶出
血・幸・♀1・jl・6・・1・1延長 ・1正常1一・1砂差
出○
環♂[・」1・・7・・い6匹劇.・短縮F・・lme
三・賢・1♂1
5j4m
iozol 6
正常
・法面・降なレ
志・剥♂1・jl・・3・・5・・1正常 ・随縮一…陣少差
藤○哲○
8i sjgml gs.21 ii
延長
・陣縦一・
逆大差親○利○
♂1・j・一1・・3・・13i短縮 ・
短縮 1 少差
.菊・雅・1♀i・ji・・4 61正常 ・
短縮 一2 逆少差
止・み・副♀1・」 ・・7・・3・・随縮1.・・i正鴬 6・・
大差
栗・敦・♀、遇⊥.遡い一i.干常
松・光・♂ ・」1・・6・・8
延長 ・1短縮一2一
3 短 縮 一3 逆三差逆少差
下・孝♂ ・j ・・21・
正常
8 短縮
3 少壷
中○風○ ♂ 6j5m
.山.ツ淳g巨.L・・
・・…@2延長L.g匝.劃一・
豆』「司正制・短縮 ・i差な・
山○雅○
而山蟹1m・j一
華b越・墨1♂一
ラj1
佐・劃♂1・壷
♂ ・・痂i・匪劇..fl]短寵西
随弼…i正劇コ
.・・gI釜
・醐・
一一一一.t一一一一一.一一一一 ’「Oi見なし
短縮
延長下7一痘緒…
蹉
逆三差 逆大差 逆延長
9”’.w緒.
P...・]壷飾中・雅・♀ ・j.、[・・剰・
・j・m巨・4・・1・
.登.驩p.6「・p
♀・9jl・22・… 応長L7』短副一・
正制・陣縫 ・少差
短編丁7慮縮ド・.
n遮差
菅○智○
逆正面−宮・安・1・’1・j一・25・・い5
延長
野・登・子♀1・・j ・28・・iお
‘延長
・髄1一・・1逆藩
■短綱一28紙面
國罰純・一.可.欺._璽.皿一..11亜..常
…三・喜・郎1♂1・?Llj’⊥.・3・!・・延長.
浅・和・i♂1・・j・ml・3・ 7正制...一8.薄霧 ・1少、.差
浅・一δ■司ll凹坑.t..血』1…・寸書蜘ユ」1鑛llL1晶出
ノ「δ啓・塵…璽..痂..一一・6応長・4匹長」L逆嵯
・随縮 ’・「三差
一8工葱1一劃1−2一 丁丁差東○
仁降i/tj’・m[・35…4
延長
.・司正制至
逆少差』早算・副・{・3・列・・3.一.一」・・.匹.劇一・21正常…
u21少差
’吉・1・・陰1 ・3・ 1・47・・いrl延鏡.・2犀常「3「壷差
出○
劃♂1・4j ・561・・1延長1・・1正常 ・差なし
第8表(b)
循環時間 例 数回循環嵯1
臆一実 鱒一耳
1正常
短縮
三差51
12 逆差41
1差なし3{
短縮 正制 ・詠 差1
短縮 短綱
・少 差[
1逆差5
延長 正常 71正常1
1差なし1
雛翻一塁騰讐i
異るものかと老えられる。 8) Fallot氏四二 男児19例,女児17例,計36例で第8表に示したが これによれば第8表(b)の如く,Fallot氏四徴に おいては騰一肺循環時間が正常で臆一耳循環時間 のみが短縮しているものもあるがそれよりも寧ろ 臆一肺循環時間は延長し,二一耳循環時間は短縮 しているものが最:も多い。猶本型にわいて最:も注 目されることは両循環時差の点で両循環時間差が 二二となる揚合が極めて多く,然らざるものでも 正常差に達しないものが多いことが特有である。 9)Fallot氏五徴 第9表(a) エ・・テル法 スルファミン法 1両循環の差陛■..一一.一名L壁面身聖子}脇塞L融1判定1秒一判定・
週笹・♂i…m・91・L翌L聾蓮_.一色…互劃二士⊥逆謹.
縞・奉・「♂i…m.・・δi・【正刻・1短縮一・逆差
力・・康・i♂{・j・司i・・78障長i・陣縮1.…一・
1逆差1
[. .Ll ..:
一十9∠信一?.Ls...d・迦一L..塑..L到∫劉.・:・L騨.にg抄差.
旦二割二一〕.・・虹L・33.…一門韮.堂L酬…錘堕L1⊥傘準.
L佐・明・1♂1…L…rL釜1墜曇匪∴嘘一一虹嘩.
・i・…m・321・3匪旧.琶.「一.一.・一瞬碗」二・⊥鰭
1鈴・避・1
斎・一・♂』
ヒ3・・4・・4毒魚・短縮一二d導星.
第9表(b)蒔弓田幽回数1両㈱差
正常 短綱 ・嘘難
延長 正制 ・障子
延長 短綱 ・逆寄
男児7例,女児1例,計8例の成績は第9表に
示す如くである。 即ちFallot氏五二は二一肺循環時間が正常か又 は寧ろ延長し,騰一毛頒環時間が短縮したものが 殆ど全例で而も両循環時間差は逆差か又は正常差 に達しない。即ちFallot氏四徴と殆ど似ている。 1の卵円孔開存と心室中隔欠損を伴った大血管転位
臨床及び精密検査ではFallot氏四徴と紛らはし かった女児の1例である。この例は剖検上大血管 の完全転位であってそれと共に心房では卵円孔開 存のみで心房中隔欠損なく,心室中隔欠損は非常 に大であったものであるがこの例においては臆一 肺循環時間は正常値で,騰一耳循環時間だけ短縮 していて臆一肺循環時間と等しく,両者の時間 差がなかった。即ち本例は臨床及び精密検査で Fallot氏四十を疑い乍らも1血液循環時間の点に おいてFallot二四徴及び五徴と異っていた点は 鑑別上注目すべき処かと老える。 一 45 一一第10表 姓 名 性 年 焼 身 長 (cm)
エーテル法
秒困定
スノレファミン法秒1判定
両循環の差
秒 判 定南・代1♀1・j・ml・6・・1・正常[・【短綱・差なし
11)大血管転位と静脈環流異常を伴った右胸心 男児1例の剖検例でその解剖所見は右胸心であ って猶その他大動脈も肺動脈も静脈」血心室より排 出し,肺動脈は甚しく細小であった。猶心房中隔 下部欠損と卵円孔開存及び心室中隔欠損を伴い, 而して静脈J血心房は高度の拡張肥大で上面に左右 無名静脈が上大静脈を形成することなしに夫々別 々に流入し,外側面には左右肺静脈が,後下面に は肝から出た2こ口静脈が流入していたもので極 めて複雑な先天性心異常である。 第11表 姓 名 豊 年 令 身 長 (cm) エ・・テル法秒1判rv
スルブァミン法 両循環の差
秒判定秒判定
山・ 副舎
5j 106・3延劇・短綱一・漱差
その臆一肺循環時間は延長し,臆一十循環時間 は短縮し,両循環時間の差は逆大差であった。即 ちFallot氏四叉は五徴の循環時聞と似ていた。 12)卵円孔開存と心室中隔欠損を伴った真性総動脈幹二二
剖検例で肺動脈幹は痕跡すらなく,太さ直径2 ㎝の巨大な雌が左右両心室の間に跨り,三つ の半月弁を有し,弁口附近から冠状動脈が排出し, 更にそれより先から無名動脈,左総頸動脈,猶こ れに次いで左右の肺動脈枝,次いで左鎖骨下動脈 が言出している。而して猶心室中隔欠損と卵円孔 開存を伴っていたものである。 第12表 姓 名 鼠 賊 令 身 長 (cm)エeテル法
秒i判定1
スルフアミン法秒凶 定
両循環の差
秒1判定
井、○ 雅 ○ 1]IIII2111111i21i!1 i20・g.E7
延量i・81延長
1少差
本寺においては臆一子,騰一十循環時聞共に延 長して,両循環時間の差は正常差に達していなか った。 13)三尖弁閉鎖不全 男児1例の本症は騰一三,二一耳循環時間共に 延長し,両循環時間の差は正一差であった。 第13表 姓 名 性 年 令 身 長 (cm) エーテル法 スルフアミン法秒判定1秒判定
両循環の差
秒 判 定野・俊9.L♂1.駐
1086・・延刺・堅艮2・・1正罷
総 括 種々なる先天性心異常型について騰一二及び臆 一十循環時間を測定して之を検討したるところ同 一三型で解剖学的異常の大小,強弱,或は病変の 複雑さによって一様の成績が得られるとは限らな い様に思われるが病型によって夫々大凡の特有点 を有するが如く思われ次の如く総括する。 1) Botall氏子開学では臆一門及び搏一耳循環 時間共に正常のものが多い。然らざる少数例にお いても両者の時間差は概して正常差を示す。 2) 心房中隔欠損の二合は臆一肺循環時間は正 常,短縮,延長多様であるが,騰一華循環第三は 正常叉は短縮している。而して両者の時間差は様 々で逆差を示す蜴合もある。3)心室中隔欠損では三一肺循環時聞は正常の ものが多いが時には延長叉は短縮しているものも さる。然し騰一耳循撮時開は正常か又は短縮して 両者の時間差は少く逆差を示すものが稀にある。 4)肺動脈狭窄の場合は臆一肺循環時聞1E常の ものが多く,騰一耳循環時閤は騰一肺循環時闇に 伴ってそれぞれ正常,延長叉は短縮する傾向があ る。従って両者の時闇差は正常のことが多い。 5)二種合併症 a)Botall氏管開存に心室中隔欠損を伴ったもの は騰:一肺,騰一面共に正常であった。 b)Botall三管開存に肺動脈狭窄を合併せるもの は搏一語循環時閥正常であったが騰:一尺循環時間 が延長していた。 c)心房中隔欠損に肺動脈狭窄を伴ったものは博 一肺循環時間が延長するが,騰:一点循環時間は様 々で必ずしも短縮せず正常叉は寧ろ延長する揚合 がある。 6)Fallot氏四面及び五徴では概して騰一肺循 環時間が延長し,臆一言循環時間が短縮して両循 環の時間差が面差を呈するものが極めて多い。鑑 別診断上特に重要視すべき点と心える。 7) 卵円孔開立と心室中隔欠損を伴った大血管 転位は他の臨床精密検査においてFallot氏四徴 と紛らわしいが本検査iにおいてはFallot,三四徴 と異り搏一肺循環時闇は正常で脾一耳循環時間が 短縮して両者の時間差がなかった。 8) 静脈環流異常を伴った複雑なる大」血管転位 の右胸心ではFallot氏四面及び五六と類似する 循環時問成績を得た。 9) 卵円孔開存と心室中隔欠損を伴った真性総 動脈幹温存では他の臨床諸検査でFallot氏四徴 に似ていたが本検査成績ではそれと異り,騰一 肺,聴一耳循環共に延長して両者の時間差少く正 常値に達しない。 10)三尖弁閉鎖不全は臆一肺,腰一耳両循環時 問共に延長し,両者の時間差は正常である。 結 辞 臨床診断のみによらず手術叉は剖検によって病 型を確認し得たる97例の先天性心異常児について 右心循環時間をエーテル法により,左心循環時間 をスルファミン法によって測定し種々なる心異常 型別に循環時間を検討したる成績を述べた。 本検査法は小児の場合最:も適当の検査法と卜え るが未だ本法による測定成績の報告を見ざるとこ ろであってこの検査成績が幾分なりとも先天性心 異常の轡型鑑別診断に貢献するところあらんかと の考えからここに発表して諸賢の御批判を仰ぐこ ととした。 稿を終るに臨み,終始御懇篤なる御指堪,御校閲を 賜った磯田教授に深甚なる謝意を表し並に榊原教授, 織畑教授,他心研諸員の御厚意に深謝の意を表すとと もに,小児科医局諸姉の御援助に対して厚く謝意を表 します。 文 献 1)木村 元:北越医学会誌,51,1233(昭11). 52, 1293 (巨召12) 2)伊藤 勤:日本内科学会雑誌,29,235(昭16) 3)沢田藤一郎,藥桂樹:実験医報,28,161(昭 16) 4)藥 桂樹;実地医家と臨床,19,964(昭17) 5)、松岡和之:海軍:軍医会雑誌,33,1116(昭19) 6)唐川正典,胡田光信:日本循環器学会誌,14, 177 (HB25) 7)蓋谷康雄,関 清,山川邦夫:貝回循環器学 会誌,14,177(昭25) 8)若松 大;鹿児島医学雑誌,25(昭25) 9)油谷廉雄:日本内科学会雑誌,41,468(昭27) 10)塩谷康雄,遠藤真次,尿井東一:日本循環理学 会誌,16,80(昭27) 11)本間日臣訳:心疾患,肺疾患の生理学,1955. (医歯薬出版)