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肺動脈拡張を随伴する先天性心疾患について

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(1)

(東京女医大面第26巻第10号頁542−549昭和31年10月)

肺動脈拡張を随伴すろ先天性心疾患について

緒 東京女子医科大学小児科教室(主任磯田仙三郎教授)

教 授 磯田仙三郎・藤 本 茂 子

セン サブ ロウ ラジ モト シゲ :t dソ ダ 講 師 青 i井 一ノオ イ 言

令 子・藤 原 京 子

1イ コ フジ ワフ キヨウ コ

(受付 昭和31年8月20日)

肺動脈拡張は特発性異常として単独の場合もあ るが種々なる先天性後天性心臓血管異常に伴う場 合がある1)。われわれは先天性心疾患に此肺動脈 拡張を伴った4例に遭遇しその臨床所見がBota110 氏管開存や心房中隔欠損と紛らわしく殊にX線像 に於て二等との鑑別が難しい二合のある事を痛感 したのでその症例を掲げて肺動脈拡張の診断及び’ 鑑別点についていささか考察を試みようと摺う次 第である。 症 例

第1例吉○徹 9歳の男

旧例はFallot氏4徴に肺動脈拡張を伴ってい た事を剖検上子認したものである。 症状と所見:出生当時は格別の異常を気付かず その後著明なチアノーゼを認め動くと息苦しそう で入浴も永く出来ず,歩行開始も遅かった。歩く ようになってからも歩行の途中で呼吸困難,チア ノーゼの増加が起り,膝を抱えて眠り,暫くする と恢復して再び歩き出す有様で,このような状態 が現;在まで続いているという。 所見としては著明なチアノーゼと鼓檸指を呈 し,心雑音は胸骨左側第2第3肋間腔に於て鋭利 の収縮期雑音が最:も強く,しかも此処に振頭を触 れる。心電図は右肥大型。血圧は正常(右上肢で

96∼72mmHg,左上肢で82∼66mmHg,右下肢

で94∼681nmHg,左下肢で84∼60mmHg)。.血液 はヘマトクリット値が41.2%であって赤血球数は 多くない。動静脈血の02量少く差も少ない,即 赤血球数…384×104,血色素量(ザーリ)900/。 色素係数…1.17 ヘマトクリット値 41.2% 白血球数…7400(N33%, E 10%, Ly50%, M7%) ち動脈血では8.41Vol%(62.63%),静脈一血では 8. 29Vol.% (61. 73%1)i. 以上の臨床所見からFallot氏4徴とは考えら れるがX線像がFallot氏4徴だけでは騎に落ち ない点がある。即ち肺動脈弓の隆起と肺門躍動の ある事である。 第1例 9歳♂ Fallot氏4徴+肺動脈拡張 剖検の結果次の所見を得た。肺動脈口部狭窄, 心室壁肥大,心室中隔の膜様部欠損,大動脈右:方 転位(騎乗)即ちFallot氏4徴としての所見が あり更に其他肺動脈弁の上部が楕円形に拡張して いる。Botallo氏管は閉鎖している。 即ち此剖検によってX線像に於ける肺動脈弓の

Senzaburo ISODA, Reiko AOI, Shigeko FUZIMOTO, Kyoko FUJIWARA (Department of Pediat−

rics, TokyoWomen’s Medical College) : Congenital malformation ofthe heart with the dilatation of pul−

(2)

隆起が了解し得たと老える。

第2例大○○○夫 7歳の男

本例は心房中隔欠損を伴ったEisenmenger氏 3徴に肺動脈拡張を認めたものである。 症状と所見:仮死状態で生れ,這い始めた6カ 月頃から爪に紫藍色を帯び,1年半頃から歩き始 めた。それ以上特別変った事は無かったが保健所 で始めて心臓病のある事を告げられ,4年4ヵ月 の時某病院でBotallo氏懇懇存と診断されたと云 う。3歳5カ月の時無事に麻疹を経過した。 所見は身長(113.8㎝),胸囲(56.3cm)は標準 値だが体重(16.7kg)は稻劣り痩せている。顔色 はよいが爪だけが軽微のチアノーゼを帯び鼓三指 ではない。脈搏正常,1血圧亦正常値(98∼70mm Hg)。呼吸に異常なく肺腹肝脾四肢共に変りはな い。 心臓は心尖搏動を左乳線上に視られ濁音界正 常。振顛を胸骨左側第3肋間で触れる。聴診上第 2肺動脈音が著明に二進し収縮期雑音の最強点は 胸骨左側第3肋間でその性状は稽長引く雑音であ るが猫媚性とも云い難いものである。背部では左 肩前面に伝って謡える。 X線検査では肺門陰影が増強し肺動脈弓の著し き膨隆と搏動を認められ,なお左室の拡大も認め られる。又第1斜位で心房の拡大も認められる。 ツ厚応(1:2000)陰性,尿に異常はない。血液 橡に格別の事なくJカL沈1亘渡は1時間一・5mm,2時 聞…20mm,心電図では胸部誘導に於て右肥大を 思わしめ,5!. QR Sの延長から不完全ブロックあ りと考えられる。 心電図の各波時間(秒)

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I

aVR

aVL aVlil V4R V.gR Vl VL, V:1 1 V. 1 vr, f V6 P O. 07 0. 06 0. 05 0. 05 i O. 05 0. 05 0. 05 0. 05 0. 05 O. 06 0. 06 0. 06 0. 06 1

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O. 09 0. 10 0. 10 0. 09 0. 08 0. 08 0. 07 0. 08 0. og 1’ O. 09 0. 08 0. 10 l O. 09 0. 09

QTiRR1

O. 35 0. 40 0. 40 0. 32 0. 32 0. 31 0. 37 0. 36 0. 30 0. 35 0. 35 0. 35 0. 35 0・351 o. 63 1 0. 67 0. 67 i O. 62 0. 63 0. 65 O. 70 0. 70 0. 67 0. 05 0. 65 0. 65 1 4 0. 65 i O. 65 i ; 心臓カテeテル検査成績

血液像

最大最小平均 02 CO L, 赤血球数…・………… 血色素量(ザーリ) ヘマトクリット値 白1血球数 N 59e/5,

B O ,

Ly 38%, ・・・・・・・…@一・i・・・・… 4・75×10L gge% 43e% 7200

E 1%

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下大静脈i O O O

右心房

8 5.5 6 122,119v%1 4・1,sg−t.vofo1

左心房1・3・669・脚5・V%・q・8・V%

右心lil 1041660

21,t35Ve/5 t:3..t6.7.Ve%

>i’= ’”’/ 第2例 Eisenmenger氏3徴+肺動脈拡張 肺動脈 128 62 83 18,422V%43,596V% 搏肺血液循環時間は正常(6秒) 以上の所見から本例は心房中隔欠損と共にBo− tallo一管開存があると診断したのであるが手術 後不幸の転帰を取り,網検したところBotallo氏 管開存は全くなく,心房中隔一部欠損とEi[cn・ menger氏3徴で更に肺動脈拡大があった事次の 如くである。 剖検所見:1) 肺動脈が大動脈より遙に太い。 大動脈の直径L5cmであるのに,肺動脈の直径 2.3cm,2)卵円孔は閉鎖しているが卵円孔側面 に直径約0.5cm大の中隔欠損がある。3)右直 壁1.5cm左室壁1,1cm,4)大動脈軽度に右方 に転位する。Botallo氏管閉鎖し,肺動脈に狭窄

(3)

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食 部なく肺野肺門に結核病巣を認めなかった。 以上の剖検から臨床所見を推測すればカテーテ ル検査に於てBotallo氏管開存に似た点はあった が肺動脈内の02量が増大して居らず心房内の圧 が著しく高かった。おそらくこれが為に肺に欝血 を生じて更に肺動脈の高血圧を生じ肺動脈の拡張 を惹起したものではないかと窺えられる。 第3例 岩○喜○0 4歳5カ月の女児 旧例は手術所見だけで剖検しなかったが第2例 と同類のように思われる。 症状と所見:乳児期には格別の異常に気付かず 生長したので医師の診察によって始めて心臓病あ る事を知ったと云う。然し近頃になってから走る 時息苦しさを示し屋外で遊ぶ事を好まず,入浴し ても2∼3分で息苦しさが認められると云う。 現在の顔色正常でチアノーゼ無く,脈搏も呼吸 も診察時は変りがなく心臓以外に変った処はなく 身体発育も標準値範囲である(身長94cm,体重 12.6kg,胸囲51cm)。 胸廓は胸骨下部が隆起し,心尖搏動は見えず弓 頭を触れない。心臓濁音界は左右に拡大してい る。聴診上は第2肺動脈音は顕著に冗議し収縮期 雑音は第2肋間腔で最強,鋭利であるが猫媚性で ない。X線検査では肺動脈弓の搏動が認められ肺 動脈弓の著しき隆起と左室の拡大及び肺門部の欝

第3例 4j5m♀肺動脈拡張

血像が認められる。 一血圧は上肢で98∼70mmHg,下肢で122∼75 mmHg,血液の搏肺循環時間6秒,三三循環時間 8秒で正常値。血沈は1時間8,2時聞22mm。 .血液像は軽度の白血球増多ある他格別異常は無 い。 心電図,肢誘導に総て各波高は正常範囲内にあ り,位置型も正常型を示すが唯QRSの時聞が梢

(4)

赤血球 血色素量(ザF一リ) ヘマトクリット 血小板数 白」血球 N E B Ly M

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l 血液。,景

477×10. 7090’ 330% 11×104 13, 800 36. so% 3.5e/5 0 o% 59.se% O. 5e% (一)

血液CO2量,

動脈血 18.6V%

静脈血 11.8V%

35.9ve% 38.6Ve/5 心電図の各波時間(秒) P

PQ …QRSIQT RR

1 o.1 1 o. 16[ o.1 i o. 2s , o. s7

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v. 1 o. 071 o. isl o. ni

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0. 28 O. 57 v,, 1 o. iol o. i7, o. i71 o. 301 o. s6 i v, i o. iol o. 201 o. ioi o. 30[ o. s7

延長している観がある。 カテーテル検査ではカテーテルが下大静脈から 右心房に入『り右心房から直ちに液の逆流した程の 高圧部に達し02量の多い事(17.5V%=84.1%) から左心房に通じたものと思われた。なおカテー テルは肺動脈と思われるとζうに於ても高圧を示 したが機械の故障に依り残念乍ら02を測定し得 なかった。 手術時所見:以上に依って心房中隔欠損とBo・ tallo氏管開存ありと考えて手術する事になった がBotallo氏管開存は全然なく,大動脈が意外に 細く之に反して肺動脈が甚しく太い。且つ振動が 肺動脈根部には触れず大動脈根部に触れるとの執 刀者榊原教授の言葉から考えると心室中隔欠損が あるものと推定された。剖検が無くこれ以上の詳 細は判然しないが肺動脈の拡張を認め得た点は確 実であって上述の諸検査から合せ考えると第2例 と非常によく似た点が多いので心房中隔欠損を伴 ったEisenmenger氏3徴に肺動脈拡張を伴った ものと思われる。 第4例 白○○美7歳の女児 本例は難険上,心房中隔欠損と僧帽弁の一部欠 損に肺動脈の著しき拡張を伴った例で,臨床上は

(5)

肺動脈拡張以外の異常だけが診断し得たものであ る。 症状と所見=3歳頃迄は格別病気をせず4歳頃 から心臓部の隆起に気付かれその頃から呼吸が早 く屋外遊びや走る事を好まなくなった。チアノー ゼは認めなかったと云う。5歳の夏下痢で診察を 受けた際始めて心臓病を指摘され6歳の時某病院 で心房中隔欠損らしいと云われた。昭和30年4月 入学して通学距離5∼6分であるのに帰路はラン ドセルを背負えず,5月頃から浮腫を生じ6月に は烈しき咳と呼吸困難が加わり肝臓が膀迄肥大し て3カ月自宅療養をしたと云う. 9月14日入院。その時の所見では浮腫なく,顔 色正常顔貌に苦痛見えず脈搏正常。呼吸も刷くな い。体重12.78kg,身長106.5cm,チアノーゼは どこにもなく心臓以外に異常は認められない。 心臓は収縮期雑音が胸骨左側下部に於ても強く 聴えるが心尖部の雑音が最:も強く顕著であり第2 肺動脈音が充進している。振顛は触れない。 濁音界は左右特に右:方に拡大している。X線検 査では肺門躍動なく肺に多少の欝一躍像あり,心臓 は肺動脈弓僅に隆起を思わせる程度で,心室部は 左右に拡張していて僧帽弁障碍の形を示す(写真 其1)。ところが入院中尿量が減少して肝2横指触 れ心不全状態となった時のX線像は写真(其2) の如く肺動脈弓の著しき膨隆を示した。

心電図はPQ及びQRSの延長があり位置型は

肢誘導では左肥大型であるが胸部誘導では両側肥 大型を示している様に思われる。 現像,1血圧共に正常で血沈速度は1時間値20mm ’2時間値45mm,尿に変りはない。 第4例 (其 2) 心電図各波の時間(秒)

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1 O. 07 1 O. 22 1 O. 1 0.25 0.二7

1][ O.1 1 O. 22 1 O.1 o. 27 1 o. so

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PQ I QRS QT ! RR

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O. 10 e. 20 1 o. io i o. 20 1 o. 4s

第4例 7j♀(其 1) カテーテル検査では先端が右房から左房更に左 室に達したので此検査では心房中隔欠損が証明さ れ,その部の圧が欝欝している衷を認めた。肺動 脈には通ぜずしてその状態不明。 12月8日手術施行後不幸の転帰を取り剖検し た。 剖検所見:1)肺動脈が大動脈より非常に太い (大動脈円周4.2cm,肺動脈円周6. Ocm),2)心

(6)

O L.ig (Vol. e/e)

14. 90 @ 14. 03 圧 minivmax. Mean 一・7・・1下大静脈. @ 14.84

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ミ21右房

0∼2913右房

@ 17. 68

8∼2214左房

@ 17. 99

0∼20 10i左肺静脈

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繕/回【門卜戸暁

・1 ,1 房中隔は後壁から堤状に突出して痕跡を止むるの み,3)僧帽弁は1つ欠損して堤状に痕跡を止む るのみ,4)心室壁は左室の肥厚あり。(右室壁 9mm,左室壁14mm)。斯様に何れの病変も心臓 の罪育不全に基くものである。 考 案 抑も肺動脈拡張はDeterlingi・3)の蒐集によれば 単独のものの他,先天性心疾患や後天性心臓若く は血管の疾患に随伴し,先天性心臓病にして肺動 脈拡張を随伴するものは心房中隔欠損,Botallo 氏管開存,Lutenbacher症候群, Eisenmenger,氏 3徴,或はFallot氏4徴であって総動脈幹の不平 均分割に原因するものもあると云う。Assma44) の統計では先天性心臓疾患の1/2乃至%に之を伴 い,その20%はBqtallo氏管開存に合併し,.之に 次ぐものは心房中隔欠損に合併するものであると 云う。又Schnitker1)に依れば肺動脈拡張を伴う

(7)

最も普通のものはBota110氏管開法と心房中隔欠 損と心室中隔欠損及びEisenmenger氏3徴であ ると云う。吾々の例にはBotallo氏管鼻疽に伴っ たものは無く,第1例はFallot氏4徴に伴い,

第2例はEisenmenger氏3徴十心房中隔欠損に

伴ったもので,第3例は剖検はなく手術時所見で あるが,第3例と同類と思われる第4例は心房中 隔欠損+僧帽弁不全に伴ったものであった。即ち 4例中3例迄が心房中隔欠損と共存した事は注目 すべき点であって,釜揚合心房内の欝一血によって 肺の欝血更に肺動脈の圧充進となって拡張を招来 するものかと思われる。 肺動脈拡張症の症状と鑑別診断に就て:本症が 他の心臓疾患と合併している場合はそれ等の疾患 による症状と共に複雑化する為に肺動脈拡張症そ のものの症状を捕え難い。依って単独のものの症 状はどうであるかを知ろうとしたが吾々は2∼3 の記載しか見当らなかった。Lanbry7)やOppen− heimer8), Chisholmlo)の記載によれば,1) 自覚 症は平素全くなくチアノーゼも認められないが唯 運動時に呼吸速迫,咳及胸痛が起ったと云う。2) 胸部所見では心臓が特に右側に肥大拡張する。心 雑音は無い筈であるのに肺動脈拡張の%には之を 聴き然も幾分鋭利にして収縮期雑音を胸骨左縁第 2叉は第3肋間腔に聴取し得るとSchnitkerは記 載し,G. Parsons11)も4例中凡て雑音ありと記載 している。何故に雑音をi現わすかに就てChisholm の説明では肺動脈拡張によって肺動脈弁口がその 先端に狭窄部を生ずる結果であろうと述べてい る。第2肺動脈音充進を呈するが振顛を触れる事 が少い。3) X線像では肺動脈弓の膨隆と躍動期 年の欝血像を現す。4) 肺動脈内圧の冗進だが, G.Parsonsの例では右辺圧と同様又は少しく低 い。その02:量は右室と同量叉は低値。5)心臓 血管造影法では肺動脈内の欝滞状態を示す。 之を要するにBota110氏管開存若くは心房中隔 欠損の所見と類似する点が多い。従ってBotallo 氏管開存,心房中隔欠損及肺動脈拡張の何れが合 併する心疾患であるか又単独の心疾患として何れ であるかを鑑別する必要があると考える。 依って此等3者の類似点と相違点を挙げれば次 の如くなると。先ずBota110氏山開存と肺動脈拡張 症との類似点は,1) 自覚症状が平素殆ど無いが あっても軽微な事。2)第2肺動脈音の充進,3) 雑音最:強の画所,4) X線所見で肺動脈弓の隆起 とその搏動,肺門躍動及肺の欝血像,5)肺動脈 内圧の向進等が主なる類似所見であって,相違点 は,1)雑音の性状がBotallo氏管開存の特有と する猫媚薬と異なる事。2) 肺動脈拡張では胸壁 に振頭を触れ難い事。3) X線量で肺動脈弓隆起 がBotallo氏管開存の揚合より顕著なる傾があ る。4)肺動脈内02量が増加していない。5) カテーテルがBotallo氏管開存の場合には大動脈 内に進行する事がある。6)血管心臓造影法では Botallo氏管開存の際は肺動脈部影像が一度薄く なって再度出現する傾向にあるが肺動脈拡張症で は斯様にはならない等である。 心房中隔欠損と肺動脈拡張と似た点がある。そ れは,1)平素チアノーゼ無く自覚症状も少い 事。2)雑音の最:強揚所と雑音の性状。3) X線 で肺動脈弓の隆起等であるが心房中隔欠損はカテ ーテル検査によって容易に確認し得る。但し心房 中隔欠損の存在する揚合にその欝1血によって内圧 の著しく充進ずる時は単に心房中隔欠損だけでな く肺動脈拡張を伴っている事を以上の症例が示し ている。此事から海老すればカテーテルが,たと え肺動脈内へ進入しない章章でも左房圧から肺動 脈拡張の存在をも推測し得らるべきかと思われ る。 要するに肺動脈拡張をBotallo氏管開祖や心房 中隔欠損と鑑別するにはX画像の他に雑音の性状 やカテーテル検査が重きをなすと考えられる。 結 び 肺動脈拡張を随伴した4例の先天性心疾患の剖 検例を掲げ,肺動脈拡張が他の先天性心疾患に合 併する星合には診断が困難で特に心房中隔欠損や Botallo氏管開智の合併と紛らわしい事,更にそ れ等との鑑別をなすには如何なる点に注意すべき であるかを述べた。 稿を終るに臨み今井病理学教授,榊原教授並に心研 諸員の御厚意に対し深謝の意を表する。 本論文の大要は昭和31年5月日本小児科学会総会で 発表したものである。 参考書と文献

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(8)

of the’Hear’t, the commonwealth Fund, New

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6) Boyd,.LLJ. and McGayack, T.H.:Mod.

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(1937)・

11) Sir Leonatd, G. Parsons:Modern Trends

参照

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