68 氏名(生年月日) 本 籍
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学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(1) トモエ巴ひかる(昭和33
医学博士 甲第170号 昭和63年11月18日 学位規則第5条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者) 透析患者の廃用膀胱に関する研究 (主査)教授 太田 和夫 (副査)教授 杉野 信博,教授 野本 照子論 文 内 容 の 要 旨
目的 透析患老について腎移植の前後で膀胱容量ならびに 膀胱内圧を測定し,膀胱機能の可逆性を確認するとと もに,術中採取した膀胱の筋肉組織片のin vitroにお ける薬剤感受性および組織像を観察することにより, 廃用膀胱について基礎的,臨床的検討を行った. 対象および方法 1987年9月から1988年5月までに東京女子医科大学 腎臓病総合医療センターで生体腎移植を受けた成人透 析患者20名と,膀胱に手術操作を加える必要のあった 正常腎機能を有する成人3名について検討した.透析 患者は入院時に1日尿量を100ml以上有するものを有 尿透析患者群とし,無尿のものを無尿透析患者群とし た. 1.膀胱容量および膀胱内圧の測定 透析患者の腎移植前および移植後2~3ヵ月めに CO2ガスチストメトリーを用いて測定した. 2.膀胱体部平滑筋の薬剤に対する反応 1)アセチルコリン(Ach)に対する反応 手術中に採取した膀胱壁より漿膜および粘膜を除去 して筋肉組織片とし,Magnus法を用いてKrebs溶液 中で10-7~10-3MのAch濃度における反応を観察し た, 2)高張性高K液に対する反応 同様にして,Krebs溶液中の筋肉組織片にKCI溶液 を添加し,124mEq〃のK+に対する反応を観察した. 3.膀胱の組織所見 膀胱壁はホルマリン固定後,HE染色, Masson染 色,Toluidine blue染色を行い,光顕的に観察した. 結果 1.無尿透析患者群の廃用膀胱は最大膀胱容量が著 しく減少し,膀胱のコンプライアンスは低く,37.5% の症例で最大尿意時膀胱内圧と初期尿意時膀胱内圧の差が15cmH20以上のいわゆる不安定膀胱を呈した
が,腎移植後3ヵ月めにはほぼ正常化した. 2.Achに対する膀胱体部平滑筋の収縮反応は,正 常群と比較して透析患者群で低下しており,特に無尿 透析患者群ではAch 10-7M(p〈0.005)~10-5M(p< 0.05)において統計学的有意差を認めた.一方K+に対 する収縮反応は,正常群と透析患者群との間に差を認 めなかった. 3.透析患者の膀胱の光顕所見は,筋肉の萎縮,線維 化,ならびに結合組織の増加は認めなかった. 考察および結論 透析患者の膀胱機能は腎移植により回復すること. ならびに透析患者の膀胱体部平滑筋のAchに対する 収縮反応は低下しているが,一方K+に対する収縮反 応は低下していないことが明らかとなった.また光顕 的には膀胱組織に著変を認めなかった.以上より透析 患者における膀胱障害は,膀胱体部平滑筋のAchに対 する収縮反応の低下が重要な因子であると考えられ た. 一958一69