1.はじめに
日常生活では、「話す」以外にも「書く」という言語行動が行われており、その 1 つにメールによる言語活動が挙げられる。メールはコミュニケーションの媒体の 1 つとして使用されるが、適切な丁寧さと構成で書かなければ、対面場面より摩擦 や理解のすれ違いが生じやすいといわれている(李佳盈 2004、宮﨑 2007)。メール で依頼を行う場合を例に挙げると、表現の選び方や展開の仕方が依頼の目的達成に 影響を及ぼす可能性が対面場面より高いと考えられており、さらに、相手の反応が 無い状態で依頼行動を行わければならない(大友 2009)。相手の表情が見えず、即 時的な反応が無いうえ、適切な丁寧さや構成を以て書く必要があるため、メールを 書くことは母語であっても気を遣うものであり、外国語であればなおさらである。 メールライティング能力はアカデミック環境及びビジネス環境において重要な能力 の 1 つとされているが(東会娟 2016)、これは、より高度な言語運用を目指す韓国 語学習者にとっても同様であるといえよう。 本研究は以上のような背景から、韓国語のライティング教育につなげるために、 韓国語母語話者が作成したメール文を収集し、そこに見られる語彙や表現の特徴、 意味公式の使用様相等について記述するii。2.先行研究
依頼メールを対象とした研究は、以下に挙げるように日本語教育の分野での論考 が多く、日本語母語話者と日本語学習者が作成したメールを比較するという手法を とっている。 まず、李佳盈(2004)は、依頼メールの展開を①予告(件名)、②依頼前の行動、韓国語母語話者の依頼メールにおける
語彙と意味公式の使用様相
―本を借りるタスクの場合―
i小 島 大 輝
③予告(本文)、④先行依頼、⑤依頼、⑥依頼後の行動の 6 つに分け、日本と台湾 の依頼メールの展開と依頼のストラテジーについて分析した。同じく依頼メールを 扱った宮﨑(2007)では、日本語母語話者とタイ人日本語学習者によるメールを分 析し、その談話展開を①件名、②開始部、③主要部、④終了部の 4 つに分け、各段 階をさらに下位分類した。これらのようにメールの構造を展開ごとに分類するアプ ローチは、これ以降の関連する研究における分析の枠組みの基礎となっており、日 中の依頼メールを扱った大友(2009)や日韓の依頼メールを扱った李善姫・金周衍 (2016)等もこれに倣っている。このうち、李善姫・金周衍(2016)の研究は、日 本語母語話者、韓国語母語話者、韓国人日本語学習者のメールを分析したものであ る。メールの内容は、指導教授に推薦状の執筆を依頼するというもので、日韓では [依頼予告][状況説明][志望動機][推薦状依頼]といった意味公式が依頼メール の中心的な要素となっている点に変わりはないとしつつ、韓国語では[呼びかけ] や[感謝]の意味公式が見られる点を指摘している。 韓国語教育の観点から論じたものとしては、秦秀美(2016)が挙げられる。秦秀 美(2016)では、「留学する大学に提出する推薦書の依頼」「レポートの提出期限延 長の依頼」「先生の研究室にある本の貸出の依頼」という内容で学生から先生に依 頼メールを送るという状況を設定し、日本語を母語とする韓国語学習者にメール文 の作成を課した。韓国語母語話者にも同様のメール文の作成を課し、比較した結 果、日本人学習者は依頼の発話文そのものが特定の言語形式に偏っているか不十分 なものが多く、その原因は文法的な不適切さよりも、言語運用上の適切な使い分け が十分ではないという問題と関連していることを述べている。一方、韓国語母語話 者が推薦書と本の貸出の依頼をするメールを締めくくる際には、感謝や謝罪の表現 が使われるが、何に対する感謝や謝罪であるかが具体的に示されることが多いとし ている。 以上の各研究の対象者と依頼(タスク)の内容を、関連するいくつかの研究を追 加し、表にまとめると次のようになる。
③予告(本文)、④先行依頼、⑤依頼、⑥依頼後の行動の 6 つに分け、日本と台湾 の依頼メールの展開と依頼のストラテジーについて分析した。同じく依頼メールを 扱った宮﨑(2007)では、日本語母語話者とタイ人日本語学習者によるメールを分 析し、その談話展開を①件名、②開始部、③主要部、④終了部の 4 つに分け、各段 階をさらに下位分類した。これらのようにメールの構造を展開ごとに分類するアプ ローチは、これ以降の関連する研究における分析の枠組みの基礎となっており、日 中の依頼メールを扱った大友(2009)や日韓の依頼メールを扱った李善姫・金周衍 (2016)等もこれに倣っている。このうち、李善姫・金周衍(2016)の研究は、日 本語母語話者、韓国語母語話者、韓国人日本語学習者のメールを分析したものであ る。メールの内容は、指導教授に推薦状の執筆を依頼するというもので、日韓では [依頼予告][状況説明][志望動機][推薦状依頼]といった意味公式が依頼メール の中心的な要素となっている点に変わりはないとしつつ、韓国語では[呼びかけ] や[感謝]の意味公式が見られる点を指摘している。 韓国語教育の観点から論じたものとしては、秦秀美(2016)が挙げられる。秦秀 美(2016)では、「留学する大学に提出する推薦書の依頼」「レポートの提出期限延 長の依頼」「先生の研究室にある本の貸出の依頼」という内容で学生から先生に依 頼メールを送るという状況を設定し、日本語を母語とする韓国語学習者にメール文 の作成を課した。韓国語母語話者にも同様のメール文の作成を課し、比較した結 果、日本人学習者は依頼の発話文そのものが特定の言語形式に偏っているか不十分 なものが多く、その原因は文法的な不適切さよりも、言語運用上の適切な使い分け が十分ではないという問題と関連していることを述べている。一方、韓国語母語話 者が推薦書と本の貸出の依頼をするメールを締めくくる際には、感謝や謝罪の表現 が使われるが、何に対する感謝や謝罪であるかが具体的に示されることが多いとし ている。 以上の各研究の対象者と依頼(タスク)の内容を、関連するいくつかの研究を追 加し、表にまとめると次のようになる。 〈表 1 関連する先行研究と対象者及びタスクの内容〉iii 先行研究 対象者と人数 タスクの内容 李佳盈(2004) 日本人 30 組、台湾人 30 組 研究への協力 宮﨑(2007) 日本人 14 名、タイ人 4 名 タイ人学習者 14 名 大学教員へのインタビュー 大友(2009) 日本人 30 名、中国人 30 名 研究への協力 李善姫・金周衍 (2016) 日本人 15 名、韓国人 15 名 韓国人学習者 30 名 推薦状の執筆 金庭・金玄珠 (2016) 日本人 10 名、韓国人 20 名 管理人への忘れ物の保管(依頼)の他、 連絡、報告、問い合わせ、お礼、断り、 予定伺い、お詫び 東会娟(2016) 日本人 30 名、韓国人学習者 30 名 本の貸出 秦秀美(2016) 日本人学習者 36 名、韓国人 13 名 推薦書の執筆、レポート提出期限の延 長、本の貸出 これまでの研究は日本語教育分野のものが多く、韓国語教育の観点からメール文 を分析したものは少ない。秦秀美(2016)のように韓国語学習者がそれぞれ書いた メールを韓国語母語話者のものと比較すれば、両言語の依頼メール文の特徴や学習 者が誤りやすい表現等が鮮明になると思われるが、本稿では両者を比較する前段階 として、韓国語母語話者によるメールの実態を明らかにすることを試みる。
3.データの概要と研究方法
3.1. データの提供者と収集方法 2017 年 12 月から 2018 年 1 月にかけて、関東と関西の計 2 ヶ所の大学にてデー タ収集を行った。データの提供者である韓国語母語話者(以下、参加者)は両大学 合わせて 30 名(女性 19 名、男性 11 名)、平均年齢は 25.8 歳(SD=5.2 歳)で、全 員が留学生であるiv。データ収集の際は、ノートパソコンを用い、予め作成してお いたメールテンプレートに直接入力するかたちで行われた。参加者には口頭で作業 内容を説明の上、韓国語でタスクを課し、実際に送るメールを想定して入力するよ うに指示した。制限時間は設けず、途中休憩は自由とした。入力の際、辞書の参照 及びインターネットの使用は認めていないv。3.2. タスクの内容 資料収集の段階で 6 つのタスクを参加者に課したが、そのうち 2 つは本を借りる 依頼をするものとしたvi。これは、金澤編(2014)による『日本語教育のためのタ スク別書き言葉コーパス』(以下、YNU コーパス)におけるタスクに倣ったもので あり、依頼をする相手はそれぞれ、面識のない教員と親しい友人である。2 つのタ スクと YNU コーパスのタスクを以下に示すvii。 タスク 1:당신이 구하려고 했던 『사회학 논집』(『社會學論集』, 김 OO 편 저 , 2017 년 , XX 출판사 ) 이라는 책이 도서관에는 없고 , 도서 검색 시스템에 서 검색해 보니 이정수 교수님 ( 남성 , 교수 ) 연구실에 있다는 것을 알게 됐습 니다 . 이정수 교수님과는 전혀 면식이 없는데 , 리포트를 쓰려면 반드시 그 책 이 필요합니다 . 이정수 교수님께 메일을 보내 책을 빌려 달라고 부탁하십시 오 . 리포트 제출 마감은 3 주일 후입니다 . タスク 2:당신이 구하려고 했던 『사회학 논집』(『社會學論集』김 OO 편저 , 2017 년 , XX 출판사 ) 이라는 책이 도서관에는 없었지만 매우 친한 친구인 김 영근 씨 ( 같은 학년 , 동갑 , 남성 ) 가 가지고 있다는 것을 알게 됐습니다 . 리포 트를 쓰기 위해서는 반드시 그 책이 필요합니다 . 김영근 씨에게 메일을 보내 책을 빌려 달라고 부탁하십시오 . 리포트 제출 마감은 3 주일 후입니다 . YNU1 :あなたが借りたいと思っている『環境学入門』という本が図書館に はなく、面識のない田中先生の研究室にあることがわかりました。レポートを 書くためにはどうしてもその本が必要です。田中先生にそのことをメールでお 願いしてください。 YNU2 :あなたが借りたいと思っている『環境学入門』という本が図書館に はなく、仲の良い鈴木さんが持っていることがわかりました。レポートを書く ためにはどうしてもその本が必要です。鈴木さんにそのことをメールでお願い してください。
3.2. タスクの内容 資料収集の段階で 6 つのタスクを参加者に課したが、そのうち 2 つは本を借りる 依頼をするものとしたvi。これは、金澤編(2014)による『日本語教育のためのタ スク別書き言葉コーパス』(以下、YNU コーパス)におけるタスクに倣ったもので あり、依頼をする相手はそれぞれ、面識のない教員と親しい友人である。2 つのタ スクと YNU コーパスのタスクを以下に示すvii。 タスク 1:당신이 구하려고 했던 『사회학 논집』(『社會學論集』, 김 OO 편 저 , 2017 년 , XX 출판사 ) 이라는 책이 도서관에는 없고 , 도서 검색 시스템에 서 검색해 보니 이정수 교수님 ( 남성 , 교수 ) 연구실에 있다는 것을 알게 됐습 니다 . 이정수 교수님과는 전혀 면식이 없는데 , 리포트를 쓰려면 반드시 그 책 이 필요합니다 . 이정수 교수님께 메일을 보내 책을 빌려 달라고 부탁하십시 오 . 리포트 제출 마감은 3 주일 후입니다 . タスク 2:당신이 구하려고 했던 『사회학 논집』(『社會學論集』김 OO 편저 , 2017 년 , XX 출판사 ) 이라는 책이 도서관에는 없었지만 매우 친한 친구인 김 영근 씨 ( 같은 학년 , 동갑 , 남성 ) 가 가지고 있다는 것을 알게 됐습니다 . 리포 트를 쓰기 위해서는 반드시 그 책이 필요합니다 . 김영근 씨에게 메일을 보내 책을 빌려 달라고 부탁하십시오 . 리포트 제출 마감은 3 주일 후입니다 . YNU1 :あなたが借りたいと思っている『環境学入門』という本が図書館に はなく、面識のない田中先生の研究室にあることがわかりました。レポートを 書くためにはどうしてもその本が必要です。田中先生にそのことをメールでお 願いしてください。 YNU2 :あなたが借りたいと思っている『環境学入門』という本が図書館に はなく、仲の良い鈴木さんが持っていることがわかりました。レポートを書く ためにはどうしてもその本が必要です。鈴木さんにそのことをメールでお願い してください。 上で述べた方法によって、タスク 1 で得られたデータの一例を示すと次の図の通 りである。 〈図 1 作成された依頼メールの一例viii〉 3.3. 研究方法 本研究では、韓国語母語話者が実際に送ることを想定して作成したメール文を資 料として分析する。上述したように、メール文は予め設定したタスクを韓国語母語
話者に課すことで収集するが、このタスクは、韓国の大学生活で実際にありうる出 来事を状況として設定している。分析にはまず、先行研究においてメール文の分析 に用いられた意味公式に着目し、先行研究の枠組みを援用するかたちで当該メール 文での使用様相を概観する。そして、フリーの計量テキスト分析ソフトである KH Coderixを用いて、メール文の中で頻出する語x、共起しやすい語を明らかにする。 これにより、使用されやすい語、言い換えれば学習者にとって学習すべき単語、表 現等の提示につながると考えられる。 韓国語の 2 つのタスクは、依頼の内容という点では同じであるが、メールの送信 者と受信者との親疎関係や上下関係による表現の違いや特徴等が明らかになるもの と思われる。また、参考程度ではあるが、既に公開されている YNU コーパスのデ ータを用いて比較することで、日韓の相違点を見出すことが可能になると見込まれ るxi。なお、本稿で用いるデータは、すでに述べたように韓国語母語話者 30 名から 提供を受けたものであるが、決して多い数字ではない。しかしながら、一連の先行 研究が対象とした人数やデータ量と比較して、これまでの研究の流れの中では概ね 妥当な範囲にあることを付言しておきたい。
4.依頼メールで使用される意味公式
意味公式(機能的要素)は一種のラベルのようなもので、メールに限らずある言 語行動がどのような要素によって構成されているかを分析する際に利用される(熊 谷 2016)。例えば、熊谷・篠崎(2006)、西尾(2012)、東会娟(2016)、李善姫・ 金周衍(2016)等の一連の研究は、意味公式(機能的要素)を把握する手法をとっ ている。 本稿では、先行研究に倣い、扱う意味公式を次の表のように設定した。話者に課すことで収集するが、このタスクは、韓国の大学生活で実際にありうる出 来事を状況として設定している。分析にはまず、先行研究においてメール文の分析 に用いられた意味公式に着目し、先行研究の枠組みを援用するかたちで当該メール 文での使用様相を概観する。そして、フリーの計量テキスト分析ソフトである KH Coderixを用いて、メール文の中で頻出する語x、共起しやすい語を明らかにする。 これにより、使用されやすい語、言い換えれば学習者にとって学習すべき単語、表 現等の提示につながると考えられる。 韓国語の 2 つのタスクは、依頼の内容という点では同じであるが、メールの送信 者と受信者との親疎関係や上下関係による表現の違いや特徴等が明らかになるもの と思われる。また、参考程度ではあるが、既に公開されている YNU コーパスのデ ータを用いて比較することで、日韓の相違点を見出すことが可能になると見込まれ るxi。なお、本稿で用いるデータは、すでに述べたように韓国語母語話者 30 名から 提供を受けたものであるが、決して多い数字ではない。しかしながら、一連の先行 研究が対象とした人数やデータ量と比較して、これまでの研究の流れの中では概ね 妥当な範囲にあることを付言しておきたい。
4.依頼メールで使用される意味公式
意味公式(機能的要素)は一種のラベルのようなもので、メールに限らずある言 語行動がどのような要素によって構成されているかを分析する際に利用される(熊 谷 2016)。例えば、熊谷・篠崎(2006)、西尾(2012)、東会娟(2016)、李善姫・ 金周衍(2016)等の一連の研究は、意味公式(機能的要素)を把握する手法をとっ ている。 本稿では、先行研究に倣い、扱う意味公式を次の表のように設定した。 〈表 2 意味公式と実際の用例〉 上の表のような分類に照らし合わせ、日韓のデータにおける意味公式の使用人数 を示すと次の通りであるxii。 〈表 3 タスクごとの意味公式と使用した人数〉 意味公式 タスク1 (面識のない先生) (n=30) タスク 2 (親しい友人) (n=30) YNU1 (面識のない先生) (n=30) YNU2 (親しい友人) (n=30) 人数 比率(%) 人数 比率(%) 人数 比率(%) 人数 比率(%) 宛名 14 46.7 2 6.7 24 80.0 5 16.7 呼びかけ 18 60.0 18 60.0 1 3.3 2 6.7 挨拶 29 96.7 5 16.7 14 46.7 16 53.3 名乗り 30 100.0 13 43.3 30 100.0 2 6.7 詫び 16 53.3 3 10.0 22 73.3 5 16.7 依頼予告 12 40.0 8 26.7 22 73.3 9 30.0 事情説明 29 96.7 28 93.3 30 100.0 30 100.0 依頼 28 93.3 30 100.0 30 100.0 30 100.0 情報提供 30 100.0 24 80.0 30 100.0 30 100.0 提案・調整 18 60.0 5 16.7 10 33.3 2 6.7 返信要求 17 56.7 16 53.3 16 53.3 11 36.7 感謝 14 46.7 2 6.7 0 0.0 0 0.0 締めくくり 8 26.7 7 23.3 26 86.7 13 43.3 補償 0 0.0 10 33.3 0 0.0 0 0.0 署名 16 53.3 8 26.7 29 96.7 11 36.7 連絡先 5 16.7 0 0.0 8 26.7 1 3.3どの意味公式をどのような順序で使用するかは、参加者によって異なるが、今回 の依頼メール、特に上位者へのメールでは概ね上の表にあるような順序で使用され ていた。以下では、件名を除いたメールの本文を大きく 3 つに分け、各パートで使 用されやすい意味公式と実際の文例をいくつか挙げる。 4.1. 開始部分で使用される意味公式 メールを書き始める部分、すなわち開始部分では、[宛名] [呼びかけ] [挨拶] [名乗り] [詫び]等の意味公式が使用されやすい。使用例を挙げると以下の通りで ある。 ⑴ a.[呼びかけ] [挨拶]이정수 교수님 안녕하십니까 !(イ・ジョンス先 生こんにちは !) b.[名乗り]저는 ○○대학 ○○학부 ○학년 ○○라고 합니다 .(私は○ ○大学○○学部○年の○○と申します。) c.[詫び]우선 허락도 없이 메일 드리게 되어 대단히 죄송합니다 .(ま ず、許しもなくメールを差し上げることになり、申し訳ございませ ん。) ⑵ a.[挨拶] [名乗り]안녕 ~~ 나 ○○인데ㅠㅠ(アンニョン~~、私○ ○だけどㅠㅠ) b.[詫び]미안한데 나 [사회학 논집]책 필요한데 너가 가지고 있다고 들었어(悪いんだけど私、[社会学論集]の本が必要で君が持ってる って聞いたんだ) メールの開始部分において、タスク 1 で顕著に多かったのが[挨拶]である。韓 国語の場合、「안녕하십니까 .」や「안녕하세요 ?」等がこれにあたり、30 名中 29 名が使用している。一方で YNU1 においては約半数の 14 名が使用しており、「は じめまして 11 名、おはようございます 1 名、こんにちは 1 名、はじめまして。こ んにちは。1 名」といった例が見られたxiii。面識のない人に送信する場合、日本語 母語話者のメールでは「はじめまして」と挨拶する傾向にあるが、韓国語母語話者
どの意味公式をどのような順序で使用するかは、参加者によって異なるが、今回 の依頼メール、特に上位者へのメールでは概ね上の表にあるような順序で使用され ていた。以下では、件名を除いたメールの本文を大きく 3 つに分け、各パートで使 用されやすい意味公式と実際の文例をいくつか挙げる。 4.1. 開始部分で使用される意味公式 メールを書き始める部分、すなわち開始部分では、[宛名] [呼びかけ] [挨拶] [名乗り] [詫び]等の意味公式が使用されやすい。使用例を挙げると以下の通りで ある。 ⑴ a.[呼びかけ] [挨拶]이정수 교수님 안녕하십니까 !(イ・ジョンス先 生こんにちは !) b.[名乗り]저는 ○○대학 ○○학부 ○학년 ○○라고 합니다 .(私は○ ○大学○○学部○年の○○と申します。) c.[詫び]우선 허락도 없이 메일 드리게 되어 대단히 죄송합니다 .(ま ず、許しもなくメールを差し上げることになり、申し訳ございませ ん。) ⑵ a.[挨拶] [名乗り]안녕 ~~ 나 ○○인데ㅠㅠ(アンニョン~~、私○ ○だけどㅠㅠ) b.[詫び]미안한데 나 [사회학 논집]책 필요한데 너가 가지고 있다고 들었어(悪いんだけど私、[社会学論集]の本が必要で君が持ってる って聞いたんだ) メールの開始部分において、タスク 1 で顕著に多かったのが[挨拶]である。韓 国語の場合、「안녕하십니까 .」や「안녕하세요 ?」等がこれにあたり、30 名中 29 名が使用している。一方で YNU1 においては約半数の 14 名が使用しており、「は じめまして 11 名、おはようございます 1 名、こんにちは 1 名、はじめまして。こ んにちは。1 名」といった例が見られたxiii。面識のない人に送信する場合、日本語 母語話者のメールでは「はじめまして」と挨拶する傾向にあるが、韓国語母語話者 のメールではそのような例は 1 例のみであったxiv。この他、受信者が上位者である タスク 1 は、受信者との関係上、タスク 2 に比べて[宛名] [名乗り] [詫び]等が 使用される傾向にあり、依頼を行う前に様々な文言が付加される。 4.2. 中心部分で使用される意味公式 依頼メールの中心となる部分では、[依頼予告] [事情説明] [依頼] [情報提供] といった意味公式が使用されやすい。 ⑶ a.[依頼予告]사실 다름이 아니라 교수님께 한 가지 부탁의 말씀을 드 리고자 연락 드리게 되었습니다 .(実は、ほかでもなく先生に 1 つお 願いをさせていただきたく、連絡を差し上げることになりました。) b.[事情説明]도서 검색 시스템을 통해 , 교수님께서『사회학 논집』을 소장하고 계시다는 것을 알게 되었습니다 .(図書検索システムを通じ て、先生が『社会学論集』をお持ちになっていらっしゃることを知る ことになりました。) c.[詫び] [依頼]정말 죄송하지만 , 사회학 논집을 빌려주실 수 있으신 가요 ?(本当に申し訳ありませんが、社会学論集をお貸しいただける でしょうか。) ⑷ a.[依頼予告]나 너한테 부탁이 있어서 오래간만에 메일 보낸다 .(私、 君にお願いがあって、久しぶりにメールを送るよ。) b.[事情説明]근데 얘들한테 물어보니까 니가 그책 가지고 있다하더 라 . 리얼로 그거 없으면 레포트 못씀 .(ところで、みんなに聞いてみ たら、君がその本持ってるって言ってたんだ。リアルにそれなかった らレポート書けない。) c.[依頼]너도 리포트 땜에 빌렸나보구나 . 다 쓰면 그 다음에 나 좀 빌 려줘 .(君もレポートで借りたんだね。使い終わったら、次に私にち ょっと貸して。) この部分では、送信者が受信者に対し、まさに本を借りるための依頼を行う。突
然のメールを受け取った受信者から依頼の達成を導きやすくするために、[依頼] の前にメールを送ることになった経緯の説明がなされ、[依頼予告]や[事情説明] が用いられる。タスク 2 では、何の本が必要なのか、書名がない例があったが、既 に件名や開始部分において示されている場合があったためであるxv。 4.3. 終了部分で使用される意味公式 終了部分では、[詫び][返信要求][感謝][締めくくり][補償][署名][連絡 先]といった意味公式が確認された。 ⑸ a.[詫び]면식도 없습니다만 , 이렇게 실례를 무릅쓰고 메일을 드려서 송구합니다 .(面識もありませんが、このように失礼を顧みずメール を差し上げ恐縮です。) b.[返信要求]연락 기다리겠습니다 .(ご連絡お待ちしております。) c.[締めくくり]그럼 잘 부탁드립니다 .(それでは、よろしくお願いい たします。) d.[感謝]감사합니다 .(ありがとうございます。) e.[署名] [連絡先]○○○ 올림 . 메일 : [email protected] 전화 : xxx-xxx-xxx(○○○拝。メール : [email protected] 電話 : xxx-xxx-xxx) ⑹ a.[詫び]갑작스레 부탁해서 미안해 .(急にお願いしてごめんね。) b.[締めくくり]부탁해 ~(お願い~) c.[感謝]암튼 메일 읽어줘서 고마워ㅜㅜ !(とにかく、メール読んで くれてありがとうㅜㅜ !) d.[補償]다음에 내가 밥 한번 살게(今度、私がご飯おごるよ) まず、[詫び]はメールを締めくくる終了部分においても[依頼]の後に用いら れ、タスク 1 や YNU1 のように受信者が上位者の場合に用いられやすい。[署名] は既に開始部等で名乗っているため、誰から送信されたメールかは分かるが、[連 絡先]等も同様にあえて用いることで丁寧な印象を与えることができる。ただし、 YNU1 に比べるとタスク 1 では使用数が少ない。
然のメールを受け取った受信者から依頼の達成を導きやすくするために、[依頼] の前にメールを送ることになった経緯の説明がなされ、[依頼予告]や[事情説明] が用いられる。タスク 2 では、何の本が必要なのか、書名がない例があったが、既 に件名や開始部分において示されている場合があったためであるxv。 4.3. 終了部分で使用される意味公式 終了部分では、[詫び][返信要求][感謝][締めくくり][補償][署名][連絡 先]といった意味公式が確認された。 ⑸ a.[詫び]면식도 없습니다만 , 이렇게 실례를 무릅쓰고 메일을 드려서 송구합니다 .(面識もありませんが、このように失礼を顧みずメール を差し上げ恐縮です。) b.[返信要求]연락 기다리겠습니다 .(ご連絡お待ちしております。) c.[締めくくり]그럼 잘 부탁드립니다 .(それでは、よろしくお願いい たします。) d.[感謝]감사합니다 .(ありがとうございます。) e.[署名] [連絡先]○○○ 올림 . 메일 : [email protected] 전화 : xxx-xxx-xxx(○○○拝。メール : [email protected] 電話 : xxx-xxx-xxx) ⑹ a.[詫び]갑작스레 부탁해서 미안해 .(急にお願いしてごめんね。) b.[締めくくり]부탁해 ~(お願い~) c.[感謝]암튼 메일 읽어줘서 고마워ㅜㅜ !(とにかく、メール読んで くれてありがとうㅜㅜ !) d.[補償]다음에 내가 밥 한번 살게(今度、私がご飯おごるよ) まず、[詫び]はメールを締めくくる終了部分においても[依頼]の後に用いら れ、タスク 1 や YNU1 のように受信者が上位者の場合に用いられやすい。[署名] は既に開始部等で名乗っているため、誰から送信されたメールかは分かるが、[連 絡先]等も同様にあえて用いることで丁寧な印象を与えることができる。ただし、 YNU1 に比べるとタスク 1 では使用数が少ない。 この他に特徴的なのは、[締めくくり] [感謝] [補償]等である。[締めくくり] は YNU1、YNU2 において多用されているが、これは「よろしくお願いします」の ようにメールの最後に添える一言である。韓国語にも同様の表現がないわけではな いが、秦秀美(2016:6)が「韓国語の「잘 부탁드리겠습니다」は日本語に比べて 実質的なことばの意味が強く、本題で依頼したことが承諾されるかどうかがわから ない状況で、再びお願いをする表現を用いると、多少押し付けが強いと感じられる かもしれない」と述べていることから、タスク 1、タスク 2 では使用数が少ないも のと思われるxvi。 次に[感謝]と[補償]は、タスク 1、タスク 2 にのみ確認された意味公式であ る。[感謝]はタスク 2 においては 2 名しか使用していないが、タスク 1 では 14 名 が使用していることから、受信者が上位者である場合に用いられやすいことを示し ている。次の例は、[感謝]が用いられた HANA 韓国語教育研究会(2010:94) からの引用である。
〈図 2 業務メールの文例(下線は引用者)〉 上の例はメールライティングの見本となる文であるが、「고맙습니다 .」(ありが とうございます。)によって締めくくられているxvii。タスク 1 では、[感謝]と[締 めくくり]の両方を用いた参加者がいなかった。この点から[感謝]は、(6c)の ようにメールを読んだことへの謝意を示す他に、メールを締めくくる際に用いられ る表現としても機能している。 [補償]は、(6d)のように受信者に一方的な負担を恒常的に負わせないための 配慮(西尾 2012)として、利益を与えることで何らかの補償をすることを表明す る際に用いられる。上の例の他には「레포트 쓰고 사례는 꼭 할테니까 커피 마시러 가자 !」(レポート書いた後、お礼は必ずするから、コーヒー飲みに行こう!)や 「술 살테니 그 책 좀 빌려주라 .」(一杯おごるからその本ちょっと貸してくれ。)と いった例がある。これらは、上位者に用いると却って失礼になりかねないため、タ スク 1 では使用されなかったと考えられる。[補償]と関連して、金庭・金玄珠 (2016)では、誕生日プレゼントのお礼のメールをホストマザーに送るというタス クにおいて、相手にお返しとしてプレゼントを送る(送った)という内容が書かれ ていたことを述べている。金庭・金玄珠(2016)はこれを[代替]としており、こ の場合のメールは依頼ではないものの、[補償]と通じる点があることは興味深い。
〈図 2 業務メールの文例(下線は引用者)〉 上の例はメールライティングの見本となる文であるが、「고맙습니다 .」(ありが とうございます。)によって締めくくられているxvii。タスク 1 では、[感謝]と[締 めくくり]の両方を用いた参加者がいなかった。この点から[感謝]は、(6c)の ようにメールを読んだことへの謝意を示す他に、メールを締めくくる際に用いられ る表現としても機能している。 [補償]は、(6d)のように受信者に一方的な負担を恒常的に負わせないための 配慮(西尾 2012)として、利益を与えることで何らかの補償をすることを表明す る際に用いられる。上の例の他には「레포트 쓰고 사례는 꼭 할테니까 커피 마시러 가자 !」(レポート書いた後、お礼は必ずするから、コーヒー飲みに行こう!)や 「술 살테니 그 책 좀 빌려주라 .」(一杯おごるからその本ちょっと貸してくれ。)と いった例がある。これらは、上位者に用いると却って失礼になりかねないため、タ スク 1 では使用されなかったと考えられる。[補償]と関連して、金庭・金玄珠 (2016)では、誕生日プレゼントのお礼のメールをホストマザーに送るというタス クにおいて、相手にお返しとしてプレゼントを送る(送った)という内容が書かれ ていたことを述べている。金庭・金玄珠(2016)はこれを[代替]としており、こ の場合のメールは依頼ではないものの、[補償]と通じる点があることは興味深い。
5.依頼メールで使用される語彙
5.1. 文中で共起しやすい語 上では、メールの各パートで使用される意味公式について確認した。ここでは、 実際に使用された語彙が文中でどのように共起しやすいのかを、意味公式と併せて 提示する。なお、これに先立ち、テキストの補正と前処理を行っている。KH Coder で語を抽出する際、テキストにおける分かち書きのゆれがあったり、文が途 中で改行されていたりすると、誤解析が生じることがある。また、参加者の実名や 所属先等の個人情報が書かれている場合は、これらを匿名化する必要があるため、 本研究では、あらかじめ以下のようなデータ補正(加工)を行ったxviii。 分かち書きの統一:찾아 뵙다 ⇒ 찾아뵙다、주실수 ⇒ 주실 수 等 表記の統一 :레포트 ⇒ 리포트 等 個人情報の匿名化:参加者の氏名 ⇒ 송신자、メールアドレス ⇒ 메일주소 大学名 ⇒ 소속、電話番号 ⇒ 전화번호 参加者が任意で伏字にした部分(○○학년) ⇒ x 학년 等 その他の加工 :(改行補正とピリオドの追加)하⏎는데요 ⇒ 하는데요 . 等 (本の名称)사회학 논집、사회학논집、社會學論集 ⇒ 책이름 (本の情報)刊行年、出版社等: ⇒ 책정보 以上の手順を経た後、KH Coder の機能を用いて文中で共起しやすい語によるネ ットワーク図xixを描画したものが以下の図である。〈図 3 タスク 1 における共起ネットワーク〉 1 つ注意点として挙げるとすれば、タスクの指示文に示されている語が高頻度で 出現・共起する可能性が高くなることである。例えば、指示文にある「책이 도서 관에는 없고 , 도서 검색 시스템에서 검색해 보니」、「리포트를 쓰려면 반드시 그 책 이 필요합니다 .」、「리포트 제출 마감은 3 주일 후입니다 .」等は、図中のグループ ②、⑦、⑨に現れている。しかしながらこのような点は前提であり、見方を変えれ ば、指示文にはない語が頻出するとなれば、当該タスクを達成するために知ってお く必要のある語と見なすことができよう。 以下では、共起する語が、どのような意味公式とともに用いられているかをグル ープごとに記述する。
〈図 3 タスク 1 における共起ネットワーク〉 1 つ注意点として挙げるとすれば、タスクの指示文に示されている語が高頻度で 出現・共起する可能性が高くなることである。例えば、指示文にある「책이 도서 관에는 없고 , 도서 검색 시스템에서 검색해 보니」、「리포트를 쓰려면 반드시 그 책 이 필요합니다 .」、「리포트 제출 마감은 3 주일 후입니다 .」等は、図中のグループ ②、⑦、⑨に現れている。しかしながらこのような点は前提であり、見方を変えれ ば、指示文にはない語が頻出するとなれば、当該タスクを達成するために知ってお く必要のある語と見なすことができよう。 以下では、共起する語が、どのような意味公式とともに用いられているかをグル ープごとに記述する。 5.2. 書き始めの文言(グループ①、グループ④) グループ①と④は、メールの開始部分に使用されている語で、これらで構成され る文は[挨拶]や[名乗り]の意味公式が用いられる。 ⑺ a.이정수 교수님 안녕하세요 .(イ・ジョンス先生こんにちは) b.이정수 교수님 , 안녕하십니까 !(イ・ジョンス先生、こんにちは!) ⑻ a.저는 소속(대학교) 2 학년 송신자(개인명)이라고 합니다 .(私は 所属(大学)2 年生の送信者(個人名)と申します。) b.저는 소속(학과)에 재학중인 송신자(개인명)라고 합니다 .(私は 所属(学科)に在学している送信者(個人名)と申します。) ⑺はタスク 1 で参加者のほとんどが用いていた[挨拶]が確認できる文で、안 녕、하다、시が共起する。⑻はすべての参加者が用いた[名乗り]の文で、自身の 所属先とともに氏名を라고、하다によって伝えている。受信者が面識のない人物で あるため当然の結果といえばそれまでであるが、自己紹介で用いる「-( 이 ) 라고 하다」が明確に現れているのが分かる。 5.3. 詫びの文言(グループ③) グループ③では、대단히と죄송の 2 語が共起している。これらは[詫び]の意味 公式が用いられる文に現れる。 ⑼ 교수님 안녕하세요 . 우선 허락도 없이 메일 드리게 되어 대단히 죄송합니 다 .(先生こんにちは。まず、許可もなくメールを差し上げることになり、 たいへん申し訳ありません。) ⑽ 갑작스럽게 메일로 이런 부탁을 드리게 되어 다시 한 번 대단히 죄송합니 다 .(突然メールでこのようなお願いを申し上げることになり、重ねてお 詫び申し上げます。) 例⑼と⑽はいずれも「대단히 죄송합니다 .」のかたちで用いられている。メール
をパート別に見ると、このうち⑼は依頼に入る前であるメールの開始部分におい て、メールを送ったことに対して、⑽は依頼を終えた後であるメールの終了部分に おいて、依頼したことに対して[詫び]を表す際に用いられている。これら以外に は、依頼が行われる部分での使用が確認できる。 ⑾ 바쁘신 와중에 죄송하지만 괜찮으시다면 제가 그 책을 잠시 빌려도 되겠습 니까 ?(お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしければ私がその本を しばらくお借りしてもかまいませんか。) ⑿ 불쑥 이렇게 메일로 부탁 드려서 대단히 송구스럽지만 , 실례가 되지 않는 다면 , 교수님께 『사회학 논집』을 빌리고 싶습니다 .(突然このようにメ ールでお願いし、たいへん申し訳ありませんが、失礼でなければ、先生に 『社会学論集』をお借りしたいのです。) ⑾は許可求め表現、⑿は願望表現によって依頼を行っている文である。例にある ように、「바쁘신 와중에 죄송하지만」や「송구스럽지만」のかたちで、メールの 中心部分においても確認でき、[詫び]の意味公式の使用箇所はさまざまである。 5.4. 説明への転換の文言(グループ⑧) グループ⑧では、다르다、아니다、책이름、책정보がそれぞれ共起している。こ のうち、다르다と아니다は文中において「다름이 아니라」または「다름이 아니오 라」のかたちで現れる。 ⒀ a.다름이 아니라 소장하고 계신 책의 대출 건 때문에 연락 드립니 다 .(ほかでもなく、所蔵されている本の貸出の件でご連絡差し上げ ました。) b.다름이 아니라 지금 제가 리포트를 준비하는 과정에서 조사를 하던 도 중 , 책이름 ( 사회학논집 (『社会學論集』, 김 OO 편저 , 2017 년 , XX 출판사 ) 이라는 책이 필요하게 되었습니다 .(ほかでもなく、今私が レポートを準備しているところで、調査をしている間に、『社会學論
をパート別に見ると、このうち⑼は依頼に入る前であるメールの開始部分におい て、メールを送ったことに対して、⑽は依頼を終えた後であるメールの終了部分に おいて、依頼したことに対して[詫び]を表す際に用いられている。これら以外に は、依頼が行われる部分での使用が確認できる。 ⑾ 바쁘신 와중에 죄송하지만 괜찮으시다면 제가 그 책을 잠시 빌려도 되겠습 니까 ?(お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしければ私がその本を しばらくお借りしてもかまいませんか。) ⑿ 불쑥 이렇게 메일로 부탁 드려서 대단히 송구스럽지만 , 실례가 되지 않는 다면 , 교수님께 『사회학 논집』을 빌리고 싶습니다 .(突然このようにメ ールでお願いし、たいへん申し訳ありませんが、失礼でなければ、先生に 『社会学論集』をお借りしたいのです。) ⑾は許可求め表現、⑿は願望表現によって依頼を行っている文である。例にある ように、「바쁘신 와중에 죄송하지만」や「송구스럽지만」のかたちで、メールの 中心部分においても確認でき、[詫び]の意味公式の使用箇所はさまざまである。 5.4. 説明への転換の文言(グループ⑧) グループ⑧では、다르다、아니다、책이름、책정보がそれぞれ共起している。こ のうち、다르다と아니다は文中において「다름이 아니라」または「다름이 아니오 라」のかたちで現れる。 ⒀ a.다름이 아니라 소장하고 계신 책의 대출 건 때문에 연락 드립니 다 .(ほかでもなく、所蔵されている本の貸出の件でご連絡差し上げ ました。) b.다름이 아니라 지금 제가 리포트를 준비하는 과정에서 조사를 하던 도 중 , 책이름 ( 사회학논집 (『社会學論集』, 김 OO 편저 , 2017 년 , XX 출판사 ) 이라는 책이 필요하게 되었습니다 .(ほかでもなく、今私が レポートを準備しているところで、調査をしている間に、『社会學論 集』, 金〇〇編著 , 2017 年 , XX 出版社)という本が必要になりまし た。 (13a)は[依頼予告]、(13b)は[事情説明]の文に「다름이 아니라」が現れた 例である。これらは、依頼に入る前にどのような事情によってメールを送ったの か、自身の置かれた状況を切り出す際に用いられている。タスク 1 では、22 名が この形式を用いている一方で、日本語の YNU1 では、「ほかでもなく」という表現 は見当たらず、切り出す際に「実は」が 2 例用いられている。なお、タスク 2 での 「다름이 아니라」の使用者は 4 名のみであった。 5.5. 依頼の中心と配慮の文言(グループ⑩) グループ⑩の語は、それぞれ主に依頼を行う文において共起しやすい。 ⒁ a.혹시 제가 잠시 빌릴 수 있다면 1 주일 정도 빌려도 괜찮을까요 ?(も しよろしければ、私が少しお借りできるならば、1 週間ほどお借りし てもかまわないでしょうか。) b.혹시 지금 그 책이 지금 필요하지 않으시다면 잠시나마 빌려 주실 수 있으신가요 ?(もしよろしければ今、その本が今必要となさっていら っしゃらないのであれば、少しの間、お貸しいただけるでしょうか。) ⒁は言わば依頼の核心部分となる文といえるが、それぞれ「빌려도 괜찮을까 요 ?」、「빌려 주실 수 있으신가요 ?」のように빌리다を中心に許可求め表現と可能 表現によって依頼を行っている。また、語尾「-( 으 ) ㄹ까요」、「-( 으 ) ㄴ가요」 によって、より配慮したかたちになっている。そして、特徴的なのは혹시の使用で ある。タスク 1 では 13 名が、タスク 2 では 17 名が혹시を使用している。혹시につ いて例えば김지혜(2010)は、韓国語教育の立場から語彙情報を分析し、その意味 を大きく「可能性や疑い」「仮定」「蓋然性の低い推測」のように分けている。今回 のようなメールに現れる혹시は、「仮定」の意味に近いといえるが、同じ仮定を表 す副詞の「만약」「만일」等は現れない。親疎関係や上下関係にかかわらず、何ら
かの依頼を行う際の緩衝表現として使用されていると考えられる。 次に依頼の後に共起しやすい語に찾아뵙다がある。これは[提案・調整]の文に 現れやすい。 ⒂ a.교수님께서 괜찮으신 시간대를 저에게 알려 주시면 , 제가 교수님 연 구실에 찾아뵙도록 하겠습니다 .(先生がご都合のよい時間帯を私に 教えていただければ、私が先生の研究室に伺うようにいたします。) b.리포트 제출까지 아직 시간이 많이 있기 때문에 교수님이 괜찮은 시간 에 제가 찾아뵙겠습니다 .(レポート提出まで、まだ時間があります ので、先生がよろしい時間に私が伺います。) ⒂は、本を借りるという依頼をした後に、直接受信者を訪ねて本を受け取ること を提案している例である。このような提案をする例は YNU1 にも見られ、上位者 から本を借りるというタスクにおいては、共通して用いられる配慮表現といえよ う。 5.6. 不可抗力を仄めかす文言(グループ⑤) グループ⑤に見られる語は、メールの開始部分や終了部分で共起しやすい。ここ では、「- 게 되다」のふるまいに着目する。 ⒃ 도서관에서 필요한 책을 검색하다 그 책이 도서관에는 없고 교수님 연구실 에 있다는 것을 알게 되었습니다 .(図書館で必要な本を検索したところ、 その本が図書館には無く、先生の研究室にあるということを知りました。) 「- 게 되다」は、ある状態に置かれる受身形や、ある状況に至ったことを表す (白峰子 2004、국립국어원 2005)。⒃の「- 게 되다」は、何らかのきっかけによっ て知るという状態に至ったという点では典型的な例である。しかし、次に挙げる 「- 게 되다」は、これとは少し性質が異なる。
かの依頼を行う際の緩衝表現として使用されていると考えられる。 次に依頼の後に共起しやすい語に찾아뵙다がある。これは[提案・調整]の文に 現れやすい。 ⒂ a.교수님께서 괜찮으신 시간대를 저에게 알려 주시면 , 제가 교수님 연 구실에 찾아뵙도록 하겠습니다 .(先生がご都合のよい時間帯を私に 教えていただければ、私が先生の研究室に伺うようにいたします。) b.리포트 제출까지 아직 시간이 많이 있기 때문에 교수님이 괜찮은 시간 에 제가 찾아뵙겠습니다 .(レポート提出まで、まだ時間があります ので、先生がよろしい時間に私が伺います。) ⒂は、本を借りるという依頼をした後に、直接受信者を訪ねて本を受け取ること を提案している例である。このような提案をする例は YNU1 にも見られ、上位者 から本を借りるというタスクにおいては、共通して用いられる配慮表現といえよ う。 5.6. 不可抗力を仄めかす文言(グループ⑤) グループ⑤に見られる語は、メールの開始部分や終了部分で共起しやすい。ここ では、「- 게 되다」のふるまいに着目する。 ⒃ 도서관에서 필요한 책을 검색하다 그 책이 도서관에는 없고 교수님 연구실 에 있다는 것을 알게 되었습니다 .(図書館で必要な本を検索したところ、 その本が図書館には無く、先生の研究室にあるということを知りました。) 「- 게 되다」は、ある状態に置かれる受身形や、ある状況に至ったことを表す (白峰子 2004、국립국어원 2005)。⒃の「- 게 되다」は、何らかのきっかけによっ て知るという状態に至ったという点では典型的な例である。しかし、次に挙げる 「- 게 되다」は、これとは少し性質が異なる。 ⒄ a.다름이 아니라 제가 이번에 수업 관련 리포트 작성에 『사회학 논집』 이 꼭 필요해서 연락을 드리게 되었습니다 .(ほかでもなく、私が今 回、授業関連のレポート作成に『社会学論集』がどうしても必要で、 連絡を差し上げることになりました。) b.다름이 아니라 교수님께 부탁을 드리고 싶은 일이 있어 이렇게 메일을 드리게 되었습니다 .(ほかでもなく、先生にお願い申し上げたいこと がございまして、このようにメールを差し上げることになりました。) ⒄の場合、連絡やメールを差し上げることは、自然にそのような状態に至ったわ けでもなく、誰かに強制されたわけでもない。メールを送ること自体はあくまで自 分の意志で行っているというのは、状況として明らかである。この場合の「- 게 되다」は、メールを送らざるを得ない状況であるため、ある種の不可抗力によって 送るに至ったということを示しているものと思われる。
6.まとめ
本稿では、面識のない教員に本を借りるというタスクによって、日本に留学中の 韓国語母語話者 30 名が作成した依頼メールを資料とし、親しい友人に借りる場合 や日本語の同様のタスクの結果と適宜比較しつつ、そこにはどのような意味公式と 語彙が用いられるのかを記述した。 韓国語のメールは日本語に比べ、上位者に対して[呼びかけ] [挨拶] [提案・調 整] [感謝]が多く使用され、また、受信者が上位者以外の場合は[補償]も使用 されやすい傾向があった。このうち、[呼びかけ]、[感謝]、[補償]といった意味 公式の使用は、日本語にはほとんど見られないものであり、先行研究の結果と共通 する点も確認された。 次に共起しやすい語彙に目を向けてみると、全体で 10 のグループに分かれた。 それぞれのグループは、当該文中で使用される意味公式とも関連があり、依頼のタ スクを達成するために、複数の韓国語母語話者が共通して使用している語の組み合 わせが明らかになった。 本研究は、韓国語母語話者が書く依頼メールの実態の一端をいくらか描写できたにすぎないが、実際の意味公式の使用様相とそれに付随する語の共起様相の両方を 提示できた点に意義があると考える。見方によっては当然に用いられると思われる 表現もテキストマイニングによって、より鮮明に浮き彫りになり、使用実態として の確たる証拠付けがなされるのではなかろうか。 今回の分析対象は韓国人留学生によるデータに限ったため、韓国語母語話者の一 般化という面においては限界がある。データを追加して分析を継続することで、こ の点を克服するとともに韓国語学習者による同様のデータとの比較を加えることは 今後の課題としたい。 【謝辞】本研究の調査の過程で多くの方々にご協力いただいた。ここに記して感謝 申し上げる。なお、本研究は JSPS 科研費 18K12478 の助成を受けて行われたもの である。 参考文献 국립국어원(2005)『외국인을 위한 한국어 문법 2』、커뮤니케이션북스 김지혜(2010)「한국어 학습자를 위한 양태부사 ‘아마’ 와 ‘혹시’ 의 어휘 정보 연구」、『한 국어학』47、한국어학회 李善姫・金周衍(2016)「韓国人日本語学習者の E メールにおける依頼行動」、『日本語文 學』69、韓国日本語文學會 大友沙樹(2009)「電子メールにおける依頼のストラテジー―日中対照の観点から―」、『国 際文化研究』15、東北大学大学院国際文化研究科 貝森時子・洪淳珠(2013)『今すぐ書ける韓国語レター・E メール表現集』、 語研 金澤裕之編(2014)『日本語教育のためのタスク別書き言葉コーパス』、ひつじ書房 金庭久美子・金玄珠(2016)「韓国における日本語学習者のメール文の特徴―メール文の開 始部と終了部の表現に注目して―」、『日本語學研究』50、韓國日本語學會 金庭久美子・金玄珠(2017)「メール文における挨拶表現-韓国における日本語学習者のメ ール文調査から-」、『横浜国大国語研究』35、横浜国立大学国語・日本語教育学会 熊谷智子(2016)「会話分析と談話分析」、『語用論研究法ガイドブック』、加藤重広・滝浦真 人編、ひつじ書房
にすぎないが、実際の意味公式の使用様相とそれに付随する語の共起様相の両方を 提示できた点に意義があると考える。見方によっては当然に用いられると思われる 表現もテキストマイニングによって、より鮮明に浮き彫りになり、使用実態として の確たる証拠付けがなされるのではなかろうか。 今回の分析対象は韓国人留学生によるデータに限ったため、韓国語母語話者の一 般化という面においては限界がある。データを追加して分析を継続することで、こ の点を克服するとともに韓国語学習者による同様のデータとの比較を加えることは 今後の課題としたい。 【謝辞】本研究の調査の過程で多くの方々にご協力いただいた。ここに記して感謝 申し上げる。なお、本研究は JSPS 科研費 18K12478 の助成を受けて行われたもの である。 参考文献 국립국어원(2005)『외국인을 위한 한국어 문법 2』、커뮤니케이션북스 김지혜(2010)「한국어 학습자를 위한 양태부사 ‘아마’ 와 ‘혹시’ 의 어휘 정보 연구」、『한 국어학』47、한국어학회 李善姫・金周衍(2016)「韓国人日本語学習者の E メールにおける依頼行動」、『日本語文 學』69、韓国日本語文學會 大友沙樹(2009)「電子メールにおける依頼のストラテジー―日中対照の観点から―」、『国 際文化研究』15、東北大学大学院国際文化研究科 貝森時子・洪淳珠(2013)『今すぐ書ける韓国語レター・E メール表現集』、 語研 金澤裕之編(2014)『日本語教育のためのタスク別書き言葉コーパス』、ひつじ書房 金庭久美子・金玄珠(2016)「韓国における日本語学習者のメール文の特徴―メール文の開 始部と終了部の表現に注目して―」、『日本語學研究』50、韓國日本語學會 金庭久美子・金玄珠(2017)「メール文における挨拶表現-韓国における日本語学習者のメ ール文調査から-」、『横浜国大国語研究』35、横浜国立大学国語・日本語教育学会 熊谷智子(2016)「会話分析と談話分析」、『語用論研究法ガイドブック』、加藤重広・滝浦真 人編、ひつじ書房 熊谷智子・篠崎晃一(2006)「依頼場面での働きかけ方における世代差・地域差」、『言語行 動における「配慮」の諸相』(国立国語研究所報告 123)、国立国語研究所、くろしお出 版 秦秀美(2016)「韓国語学習者の e メールの書き方に関する一考察―学生から先生への依頼 を中心に―」、『関西大学外国語教育フォーラム』15、関西大学外国語教育研究機構 東会娟(2016)「韓国人日本語学習者のメールにおける依頼のストラテジー―日本語母話者 と比較して―」『情報処理センター年報』18、帝京大学情報処理センター 西尾純二(2012)「日本語の配慮言語行動の社会的多様性」、『「配慮」はどのように示される か』、三宅和子・野田尚史・生越直樹編、ひつじ書房 HANA 韓国語教育研究会編著(2010)『韓国語ライティングの文例集』、アルク 樋口耕一(2012)「社会調査における計量テキスト分析の手順と実際―アンケートの自由回 答を中心に―」、『コーパスとテキストマイニング』、石田基広・金明哲編著、共立出版 樋口耕一(2014) 『社会調査のための計量テキスト分析―内容分析の継承と発展を目指して ―』、ナカニシヤ出版 白峰子(2004)『韓国語文法辞典』、大井秀明訳、野間秀樹監修、三修社 宮﨑玲子(2007)「電子メールにおける依頼の展開構造―日本語母語話者とタイ人日本語学 習者の対照研究―」、『日本語・日本文化研究』17、大阪外国語大学日本語講座 矢田まり子(2014)「ビジネスメールに表れる配慮表現の考察」、『言語と文化』8、京都外国 語大学 李佳盈(2004)「電子メールにおける依頼行動:依頼行動の展開と依頼ストラテジーの台日 対照研究」、『言語文化と日本語教育』28、お茶の水女子大学日本言語文化学研究会 i 本稿は、국제한국언어학회(国際韓国言語学会、2019 年 7 月 11 日、モナシュ大学)に て口頭発表した内容をまとめたものである。 ii メールには、パソコンを用いて送信するものもあれば、携帯電話から送信するもののほ か、ショートメッセージを含む場合も考えられるが、本稿で扱うメールとは、パソコンを 用いて送信するメールのことをいう。なお、本稿では日本人を日本語母語話者、韓国人を 韓国語母語話者の意味で用いる。
iii 金庭・金玄珠(2016)は、韓国人日本語学習者 30 名のうち、上位グループと下位グルー プから各 10 名、計 20 名のメールデータを対象とし、秦秀美(2016)は、日本人 36 名から タスクごとにそれぞれ 12 通、計 36 通のメールデータと韓国語母語話者 13 名から 18 通の メールデータを考察の対象としている。 iv 内訳は、実施当時のものである。30 名中 10 名が大学院生であった点、兵役を終えてか ら来日した留学生がいた点等から平均年齢が高くなってはいるが、学生という枠組み自体 は変わらない。また、平均と SD からの年齢幅は 20.6 歳から 31.0 歳で、20 代の学生という 共通項でまとめることができる。 v 参加者がデータの入力を終えたら謝礼を支払い、参加者が特定されないようデータを加 工することを条件に、入力済みデータの使用許諾書にサインをしてもらった。 vi 6 つのタスクはそれぞれ「面識のない大学の教員に本を借りる依頼をする」「親しい友人 に本を借りる依頼をする」「以前、授業を受けたことがある大学の教員にアンケート調査の 依頼をする」「少し面識のある後輩にアンケート調査の依頼をする」「指導教授に推薦書執 筆の依頼をする」「指導教授に進路相談の依頼をする」というもので、いずれも大学生活 (留学生活)で起こりうる場面を想定した。本稿では紙幅の都合上、本を借りる依頼につい てのみ述べることとする。 vi i 本研究では、金澤編(2014)に付属している『日本語教育のためのタスク別書き言葉コ ーパス』を利用した。ただし、本調査で使用したタスクは、参加者が状況を把握しやすい よう、当該コーパスのタスクより少し具体的な設定にしている。なお、依頼をする相手は それぞれ、面識のない教員と親しい友人という点では変わらないが、相手の名前は韓国人 の名前(이정수、김영근)とした。 viii 氏名や所属先等を伏せた段階のものである。分析に使用するために、ここからさらにデ ータを補正(加工)することになる。 ix KH Coder は、樋口耕一氏(立命館大学)によって開発された計量テキスト分析のため のフリーソフトウェアで、次の URL からダウンロードできる。https://khcoder.net/dl3. html x KH Coder では、形態素解析した単位を「語」と呼んでおり、韓国語を解析した場合、 ここには、接辞や語尾等も含まれる。 xi 将来的に韓国語学習者にも同一のタスクを課すことで、韓国語母語話者のデータと比較
iii 金庭・金玄珠(2016)は、韓国人日本語学習者 30 名のうち、上位グループと下位グルー プから各 10 名、計 20 名のメールデータを対象とし、秦秀美(2016)は、日本人 36 名から タスクごとにそれぞれ 12 通、計 36 通のメールデータと韓国語母語話者 13 名から 18 通の メールデータを考察の対象としている。 iv 内訳は、実施当時のものである。30 名中 10 名が大学院生であった点、兵役を終えてか ら来日した留学生がいた点等から平均年齢が高くなってはいるが、学生という枠組み自体 は変わらない。また、平均と SD からの年齢幅は 20.6 歳から 31.0 歳で、20 代の学生という 共通項でまとめることができる。 v 参加者がデータの入力を終えたら謝礼を支払い、参加者が特定されないようデータを加 工することを条件に、入力済みデータの使用許諾書にサインをしてもらった。 vi 6 つのタスクはそれぞれ「面識のない大学の教員に本を借りる依頼をする」「親しい友人 に本を借りる依頼をする」「以前、授業を受けたことがある大学の教員にアンケート調査の 依頼をする」「少し面識のある後輩にアンケート調査の依頼をする」「指導教授に推薦書執 筆の依頼をする」「指導教授に進路相談の依頼をする」というもので、いずれも大学生活 (留学生活)で起こりうる場面を想定した。本稿では紙幅の都合上、本を借りる依頼につい てのみ述べることとする。 vi i 本研究では、金澤編(2014)に付属している『日本語教育のためのタスク別書き言葉コ ーパス』を利用した。ただし、本調査で使用したタスクは、参加者が状況を把握しやすい よう、当該コーパスのタスクより少し具体的な設定にしている。なお、依頼をする相手は それぞれ、面識のない教員と親しい友人という点では変わらないが、相手の名前は韓国人 の名前(이정수、김영근)とした。 viii 氏名や所属先等を伏せた段階のものである。分析に使用するために、ここからさらにデ ータを補正(加工)することになる。 ix KH Coder は、樋口耕一氏(立命館大学)によって開発された計量テキスト分析のため のフリーソフトウェアで、次の URL からダウンロードできる。https://khcoder.net/dl3. html x KH Coder では、形態素解析した単位を「語」と呼んでおり、韓国語を解析した場合、 ここには、接辞や語尾等も含まれる。 xi 将来的に韓国語学習者にも同一のタスクを課すことで、韓国語母語話者のデータと比較 することも可能となる。 xii 同一メール内において当該意味公式が 2 回以上使用された場合もあるが、本稿では、使 用した人数としてカウントしている。 xiii YNU2 の例には、「こんにちは 6 名、おはよう 5 名、ひさしぶり 3 名、おつかれー !!1 名、 どもー(^ ○ ^)/1 名」が見られた。 xiv 「처음 뵙겠습니다 .」(はじめまして。)という例が確認されたが、対面状況ではないた め、稀な例ではないだろうか。 xv タスク 2 はタスク 1 に比べてメールの分量が少なく、本来、必要であると思われる情報 の欠落が散見された。メール以外のコミュニケーション手段が発達し、短い文章でのやり 取りに慣れていることが影響しているかもしれない。 xvi ただし、実際に[締めくくり]は 4 分の 1 程度の参加者が使用している。日本語学習経 験のない韓国語母語話者であっても同様の結果が出るのか、今後、継続して調査する必要 があろう。 xvii この例以外にも HANA 韓国語教育研究会(2010)の文例には、「감사합니다」「고맙습 니다」が締めくくりに用いられた例がいくつか確認できる。いずれも日本訳は「ありがと うございます」であった。 xviii データを補正した後、解析に入る前に強制抽出する語と解析から除外する語を選択する 「前処理」を実行する。今回、解析から除外した語は無かったが、表記統一及び匿名化した 情報である송신자、메일주소、전화번호、소속等や伏字にした x、タスクに出てくる架空 の人物(例:이정수=教授)等を強制抽出する語の対象とした。また、名詞である「참고」 は、動詞「참다」と連結語尾「고」に誤解析されてしまうため、同様に強制抽出する語の 対象とした。 xix 円の大きさは出現頻度に比例している。描画時の設定は最小出現数 8、Jaccard 係数 0.3 以上、フォントサイズ 130%(太字)で、使用した品詞はそれぞれ、普通名詞、依存名詞、 代名詞、動詞、形容詞、存在詞、指定詞、副詞、指示詞、補助用言、先語末語尾、連結語 尾、動詞派生、形容詞派生、語根、任意指定語である。KH Coder で描画されたネットワ ーク図は、いくつかのグループに分けることができるが、本稿では各グループを点線で囲 っている。なお、図中の各数字は筆者が任意で施したグループ番号である。