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Novel role of Rac-Mid1 signaling in medial cerebellar development

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Academic year: 2021

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博士論文審査結果の要旨

学位申請者

中 村 高 志

主論文 1 編

Novel role of Rac-Mid1 signaling in medial cerebellar development. Development 144(10): 1863-1875, 2017

審 査 結 果 の 要 旨

小脳は内耳前庭覚, 視覚, 深部知覚などの情報を統合し, 体平衡や眼球運動への出力を制御する ことで平衡機能の維持に中枢的な役割を果たしている. 小脳の機能的発達には組織学的な層構造の 形成が不可欠であり、その形態学的な成熟過程については以前から研究が進められてきたが、層構 造形成を制御する分子機構については未だに不明な点が多い. 申請者は, 神経突起の伸長に関与する主要な細胞骨格制御分子である Rac が小脳の組織構築なら びに平衡機能の成立に関与する可能性について, 機能欠失モデルマウスを用いて検証した. Rac 分子 種にはRac1, Rac2, Rac3 が含まれ, 神経細胞では Rac1 と Rac3 が発現することが知られている. Rac1 は全身で欠失すると胎生致死となるため, 申請者は内耳有毛細胞と小脳顆粒細胞に特異的に発現す る Atoh1 のプロモーターマウスと Cre-LoxP システムにより Rac1 コンディショナルノックアウト (cKO)マウスを作成し, Rac3KO マウスと交配して内耳有毛細胞と小脳顆粒細胞に特異的な Rac1,3 ダブルノックアウト(DKO)マウスを作製し解析した.

まずRac1,3DKO マウスの歩行を観察したところ, 平衡機能障害による失調歩行を認めた. 一方で, Rac1cKO マウスおよび Rac3KO マウスでは明らかな平衡機能障害を認めなかった. Rac1,3DKO マウ スの内耳有毛細胞には形態学的異常はみられなかったが, 小脳で内顆粒層の部分的な欠損が見られ たことから, 平衡機能障害は小脳失調によるものと判明した. なお, Rac1 単独の欠失では内顆粒層 の菲薄化を認め、Rac3 単独の欠失では明らかな組織学的変化はなかった. 以上より, Rac は小脳顆粒 層の形成と平衡機能の獲得に寄与すること, ならびに Rac1 と Rac3 は部分的に相互の機能を代償す ることが明らかになった. 次いで発生各段階で小脳の形態を解析したところ, Rac1,3DKO マウスで は発生初期における小脳外顆粒層の形成は正常だが,内顆粒層へ向かう垂直移動が障害されること が判明した. また, Rac1,3DKO 顆粒細胞では細胞の分裂能および分化能は正常に維持されるが, 垂 直移動する前にアポトーシスを生じることが示された. さらに, 器官培養を用いた細胞生物学的手 法により, Rac1,3DKO 顆粒細胞では樹状突起形成と細胞遊走が障害されることが示された. 最後に 申請者は, Rac1,3DKO マウスの小脳組織を RNA マイクロアレイに供し, Rac の下流分子として OpitzG/BBB 症候群の原因遺伝子として知られる Mid1 を同定し, Rac1 が Mid1 の発現を転写レベル で制御すること, および Mid1 が小脳顆粒細胞の神経突起形成と遊走に関わることを確認した. 以上 より, Rac1 と Rac3 は小脳顆粒細胞で代償的に機能し, Mid1 を介して顆粒細胞の樹状突起形成と細胞 遊走を制御し, 小脳の層構造形成に寄与すると結論づけている. 以上が本論文の要旨であるが,本研究は Rac-Mid1 という新規シグナルが小脳の形態・機能的発 達に必須であることを様々な手法を用いて明らかにしており,医学的価値のある研究と認める. 平成29 年 9 月 21 日 審査委員 教授 外 園 千 恵

印 審査委員 教授 八 木 田 和 弘

印 審査委員 教授 平 野 滋

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