Ⅰ はじめに
1 保護者対応の現状と研修のニーズ 保育者による保護者支援が 2008 年に改訂され た保育所保育指針の中に、「保護者に対する支 援」が新設されたことから、そのニーズの高さ は明らかである。保護者支援の項目は制度的な 変化に伴い、2018 年 4 月からの新保育所保育指 針においては、「子育て支援」と改められた1)2)。 高まるニーズに応えるべく保護者支援が保育者 の重要な職務の一つとして位置付けられている ことが示されているが、多様な保護者との関わ りに困難を感じる保育者は少なくない。先行研 究においては、保護者対応の困難が発生する要 因に着目したものや関係改善のために求められ る保育者間の連携に着目したものなどがみら れ、保護者対応の困難を軽減する方法が求めら れている3)4)5)6)。一方、保育士の早期離職や心 身の不調につながる一因として保護者対応を挙 げている報告もあり、保護者対応の難しさを物 語っている(氏家、2015)7)。日々の保護者対応 に感じる困難は、保護者支援を妨げる要因とな る。 特に、経験年数が浅い保育者が抱く保護者対 応の難しさは 6 年以内の若手保育者が保護者と コミュニケーションを取る際、微妙な感情の機 微を察しながら関わりを模索しているとグルー プインタビューで語っている姿が報告されてい る(片山、2015)8)。また、経験年数が概ね 5 年 までの保育者が保護者対応に余裕がもてず、自 分自身のコミュニケーション力を気にしている 姿が報告されている(成田、2012)9)。若手保育 者が保護者対応に困難を感じていることを示し ているが、経験を積めば保護者対応の困難が軽 減するとは言えないとも指摘している10)11)。 保護者対応の難しさと現状は、現職保育者が 受けたいと希望する研修テーマとして保護者対 応が多いことからも分かる12)。2017 年から保育 者の処遇改善の一環として始められた保育者の キャリアアップ研修でも、保護者支援が研修分 野の一つに位置付けられている13)。しかし、演 習やグループ討議を組み合わせた研修形式が求 められているものの、講義形式が主である。保 護者対応の実際に活かし、保護者対応に感じる 困難を軽減するためには、参加型の主体的な学保育者−保護者間の誤解事例を題材とした
コミュニケーショントレーニングの試み
張 貞京
本研究は保育者が保護者対応に困難を感じている現状を改善すべく、保護者との良好なコミュニ ケーション関係の形成維持に有効なトレーニングプログラムの開発に取り組んだ第一報である。保 護者との間で発生した誤解事例を用い、保護者対応に悩む若手保育者を対象に発生の状況や保育者 の意図、保護者の背景、原因を探り、グループで共有するプログラムを実施した。誤解が発生した 事例を客観的に捉え、その要因に気づくことで誤解を防ぎ、良好な関係づくりが期待できる。 キーワード:保護者、保育者、誤解事例、コミュニケーショントレーニング、若手保育者習プログラムが必要ではないだろうか。 実例を通して学ぶことで保育者が保護者と良 好な関係を形成維持できるコミュニケーション スキルを向上させることができれば、保護者対 応の困難軽減につながると期待できる。 2 研究の経緯 筆者は、保育者が感じる保護者対応の困難を 軽減すべく、保育者と保護者のコミュニケー ション改善を目指す研究を進めてきた。他者と のコミュニケーション関係においてトラブルを 減らし良好な関係構築と維持のために有効な方 法として、誤解体験から要因を探り、次に活か す学習方法に着目した。誤解を防ぐことでコ ミュニケーション改善を可能にし、そのために は誤解を客観的に捉えること、誤解発生の一般 法則を知識として持つことが必要だと提案され ている(三宮、2008・2017)14)15)。保育現場に おいて発生する誤解は程度の違いはあっても、 様々なトラブルの原因となる可能性があり、予 防するために失敗から学ぶ学習プログラムが必 要であると考えた。 これまで、保護者および保育者より収集した 誤解事例の発生要因とプロセスについて分析を 行い、保護者―保育者間のコミュニケーション 改善に向けて対応策を探ってきた。現職保育者 を対象にした誤解事例の調査では、保育者が保 護者に誤解される要因として、「時間的なずれ」 「コミュニケーションの媒体」「伝達表現の問題」 「場面」「認識のずれ」「対応・認識不足」の 6 つ のカテゴリーが得られ、複数の要因が関係して いる誤解体験が多くみられた。保護者との良好 なコミュニケーションには、保護者のおかれた 状況や関係性、知識理解と責務に関する要望な どの違いを保育者が認識する必要があった。さ らに、多くの保育者が誤解体験の有無に関わら ず、保護者とのコミュニケーションを改善する 研修を希望していた。保護者対象の調査では保 育者を誤解した事例と保育者に誤解された事例 を収集することができ、保護者の立場からも保 育者とのコミュニケーションに困難を感じてい ることが伺えた。さらに、保育者対象の個別イ ンタビュー調査では、保護者に誤解された体験 がないと回答した 1 名のフリー保育士が担任保 育士と保護者の関係や状況を俯瞰的に捉え、両 者のコミュニケーションをサポートしている様 子を語った(張他、2016・2018・2019)16)17)18)。 以上より、保育者と保護者間において発生し た誤解を客観的に捉えて両者の置かれた状況や 背景を多面的かつ複合的に考えることができ、 参加型で主体的な学びを可能にするトレーニン グプログラムの開発を目指す。本研究では保護 者とのコミュニケーション改善を目指して行っ たコミュニケーショントレーニングについて報 告し、その有効性を探る。
Ⅱ トレーニングの方法および内容
1 トレーニングの目的 現職保育者を対象として収集された事例を使 用して、誤解の発生要因やプロセスを客観視す ることで、可能な予防対策や解決策について考 え学ぶことをトレーニングの目的としている。 2 対象と実施方法 近畿圏内の保育所(園)に勤務する保育者の うち、保護者対応の経験が少なく、困難を抱え る可能性が高い勤務年数 3 年以内の保育者を対 象とした。 (1)実施時期と場所 2019 年 2 月に保育所施設責任者へ研修参加者 募集の文書を送付し、保育者への個別依頼状および募集要項の配付を依頼した。3 月に 5 名の応 募者があり、研修実施日の連絡調整後に実施日 時を決定した。実施場所は京都文教短期大学の 講義室を利用した。 参加協力を申し出た保育者が所属する園の施 設長に研究の趣旨説明を行い、研究協力への同 意を得た。協力者本人には、研究の概要、IC レ コーダーによる音声記録、データ管理や個人情 報保護の方法、安全管理、インフォームド・コ ンセントに関して、書面および口頭での説明を 行い、同意を得た。 (2)参加者の構成比 トレーニングの参加を希望した 5 名の構成比 を表 1 に示す。全員が 20 代女性で、保育園に在 職しているのが 3 名、認定こども園に在職して いるのが 2 名であった。研修会を実施した 3 月 時点で、就職から 3 年目の保育者が 3 名、2 年目 が 1 名、1 年目が 1 名であった。クラス担任を経 験しているのは、就職 1 年目の 1 名を除き、4 名 がクラス担任を経験していた。 3 事前アンケート 参加者には保護者対応の困難に関する事前ア ンケートに回答を求めた。項目を下記に示す。 ①保護者対応について困難を感じることがあり ますか。該当するものに○をつけて下さい。 (いつも感じる・時々感じる・ほとんど感じない・ 全く感じない) ②①で「いつも感じる」「時々感じる」と回答さ れた方は,その内容について教えて下さい。 4 トレーニングの内容 (1)事例 事例と質問項目が記載されたトレーニング シートを用意し、練習問題(3 歳児クラス)に取 り組んでもらった後、事例(5 歳児クラス)につ いて考えて記入するように進めた。各事例は下 記のとおりである。 ●練習問題(3 歳児クラス)の事例 ●事例(5 歳児クラス) (2)事例に対する質問項目 事例に対する質問は下記に示す 4 項目で構成 されている。練習問題は記入例を示した。 ●練習問題(3 歳児クラス) 事例を読み、次の①∼④の記入例の他に思い つく事柄を書いてみましょう。文章でも箇条書 きでもかまいません。 ①この時の状況(場面、タイミング、やりとり など)にはどのような特徴があると思いますか。 好奇心旺盛で、活発な A ちゃん(3 歳児)に ついて、降園時にお母さんから「今日はうち の子どうしていましたか?」と聞かれ、「今日 も自由人でした!」と答えたところ、不快な 表情をされました。 運動会で和太鼓をします。昼寝の時間に子ど もが練習をしたいと言ったので練習させてい ました。 後日、その子の保護者から「うちの子は太鼓 が叩けないから昼寝せずに練習させられてい るんですか?」と電話がありました。 表 1 参加者の構成比 在職園 経験年数 担任経験の 年齢クラス 副担任経験 の年齢クラス 年齢 A 保育園 3 年目 3 歳児クラス 4 歳児クラス 20 代 B 認定こども園 3 年目 2 歳児クラス1 歳児クラス 3 歳児クラス 20 代 C 認定こども園 3 年目 1 歳児クラス 20 代 D 保育園 2 年目 0 歳児クラス 20 代 E 保育園 1 年目 20 代
(記入例)・降園時で忙しくしていた時であった。 ・お母さんとは、それまであまり話す機会がな かった。 ②保育者はどのような意図をもって行動してい たと考えられますか。 (記入例)・お母さんからの質問にとっさに思い ついたことを伝えた。 ・活発な A ちゃんのことを褒めたいと思った。 ③保護者がこのような行動をとった背景にはど のような思いがあったと考えられますか。 (記入例)・「自由人」という言葉を聞いて、先生 の言うことを聞かない子だと思われていると 思った。 ・先生からけなされているように感じた。 ④誤解の原因について、どのようなことが考え られますか。 (記入例)・保育者は良い意味で使った言葉が、保 護者には悪い意味にとらえられた。 ・A ちゃんのどのような姿を見て「自由人」と 表現したのか、伝えられていなかった。 事例(5 歳児クラス) 事例を読み、次の①∼④について思いつく事 柄を記入して下さい。文章でも箇条書きでもか まいません。 ①この時の状況(場面、タイミング、やりとり) にはどのような特徴があると思いますか。 ②保育者はどのような意図をもって行動してい たと考えられますか。 ③保護者がこのような行動をとった背景にはど のような思いがあったと考えられますか。 ④誤解の原因について、どのようなことが考え られますか。 (3)適切な対応について考える トレーニングシートに記入後、下記の①∼③ の手順に従って進め、誤解を発生させないため の適切な対応について考えるように促した。 ①事例について誤解が発生した状況の特徴、保 育者の意図、保護者の背景、誤解の原因につい て考え、グループで共有するように進めた。 ②今後の対策(どうすれば誤解を防ぐことがで きるか)、誤解が起こった場合に、どのような フォローが良いかについて意見交換を行った。 ③意見交換を踏まえて、研修担当者がフィード ं ޤ ฯ ं ү ฯ ࢂՅं ޣմࣆྭ ଠࢂՅं ήϩʖϕͲڠ༙ 図 1 トレーニングの関係図
バックを行った。 5 トレーニングプログラムの方法 事例に関する質問項目は、①誤解が発生した 状況の特徴、②保育者の意図、③保護者の背景、 ④誤解の原因について、順に進めることが求め られている。項目の構成は誤解事例を客観的に 捉える視点に気づき、多様な発生要因を考える ことが求められている。質問項目への記入後は、 グループでの意見交換を行う。誤解事例から読 み取った背景や原因などについて自身の視点と 異なる他の参加者の視点から学び、多面的な視 点に気づくことが期待できる(図 1)。さらに、 研修担当者が総括のフィードバックを行い、保 護者とのコミュニケーションにおいて、客観的 な視点をもち進めていく必要性を確認した。 6 記録の方法 参加した保育者の名前と在籍園名は、個人が 特定されないように修正し、トレーニングシー トの記入内容についても、個人や園が特定され ないように、一部の修正を行った。 参加者には、個人が特定されないように A ∼ E の個人コードを与えた上で、フェイスシートお よびトレーニングシートに記入された回答を全 て記録し表にまとめた。
Ⅲ 結果
1 事前アンケートにみる保護者対応の困難 保護者対応の困難に関する事前アンケート結 果を表 2 に示す。経験 3 年目の 3 名は保護者対 応に時々困難を感じ、経験 2 年目と 1 年目の 2 名 はいつも困難を感じていると回答している。 困難を感じた内容を参加者別にみていく。経 験年数 3 年目の A は多様な保護者に合わせて伝 達することの難しさを感じていた。B は保護者か らの苦情や関わりづらい保護者への対応に困難 を感じており、子ども理解を求めて伝達したも のの保護者に伝わらないと感じていた。 A や B と同じく経験年数が 3 年目である C は、 保護者からの質問に対して返答できず、自分自 身の経験不足からくる困難を感じていた。 経験年数 2 年目の D は、コミュニケーション に苦手さを感じており、保護者対応において受 表 2 保護者対応に感じる困難 経験年数 保護者対応に 困難を感じる 保護者対応に困難を感じる内容 A 3 年目 時々 けががあった時などの伝え方を丁寧に伝えたつもりでも保護者によって捉え方が 違い、少し話ずらくなったりすることがある。また、精神的な病気を持っておられ る保護者と話すときには一言一言をしっかり考えて伝えるようにしているため、 時々困難を感じることがある。 B 3 年目 時々 ・保護者が園でしてほしいことをできていなかったことを指摘される。 ・挨拶が返ってこない ・園での子どもの気になる姿を伝えるが、伝えたいことが伝わらない。 C 3 年目 時々 ・経験がないことを聞かれた時(家でのわがまま、イヤイヤがすごい。朝起きてき て寝られない等) D 2 年目 いつも 話すことが苦手なので、保育中の嬉しい、面白い話をするのもうまく伝えられない ので難しいなと感じる。保護者からの家庭での子どもの様子を話してもらう時も聞 くだけになってしまって話が途切れてしまうことがよくある。 E 1 年目 いつも 自分が保護者に伝えるという経験はあまりないが、他の先生が伝える、となった時 に自分だったらどうするかな、どう伝えたらいいのかなと困る。(ex. 子どもがけが をしてしまったら)動的になる自身の姿に課題を感じていると回答 している。1 年目の E は、保護者対応の経験がほ とんどなく、先輩保育者が保護者に対応する姿 に接し、不安を感じていた。 保護者対応の困難について、いつも感じてい ると回答している D と E は、経験年数から他の 3 名に比べて保護者対応の機会が少なく、自身の コミュニケーション力そのものに不安を感じ、 保護者対応の実際への不安が高まっていること が分かる。 2 各項目に対する回答の視点 参加者がトレーニングシートに記入した回答 を項目別に A ∼ E の順に示す。同じ事例である にも関わらず、参加者によって回答の視点が異 なっている。 次に、グループで共有した際に追加記入した ものを表の右側に示した。追加記入は、グルー プで共有する際に参加者がワークシートの欄外 やペンの色を変えて追加記入している。各自が トレーニングシートに記入した回答に対してグ ループで共有することで、他の参加者の視点を 取り入れて書き加えられていることが伺える。 他の参加者の視点が取り入れられていると考え られる項目を矢印で結び示す。 (1)練習問題(3 歳児クラス) ①誤解発生の状況の特徴について(表 3 −①) 保護者から子どもの様子を聞かれて、「今日も 自由人でした」と答え、不快な表情をされた状 況の特徴として、発生状況については参加者に よって捉える視点に違いが見られた。A と B は 伝達の時間がなかったと捉えている点は共通す るが、A は日中の子どもの様子を把握できてい ないと捉えているのに対して、B は保護者が抱く 不信感にまで触れている。C は保護者が我が子の *矢印(→)は他の参加者の視点から影響された記入を示す 表 3−① 練習問題< 3 歳児クラス事例>の回答 ༙ ڠ Ͳ ϕ ʖ ϩ ή յ ى $ ʀೣͶʰ͞Ξ͵ͳ͞Θ͗͞Ξ͵͑Ͷֺ͢ΞͲ͏ Ήͪ͢Γʄʱͳఽ͓Ζ࣎ؔ͗͵͖ͮͪɽ ʀ۫ରదͶՁΝ͢ͱ͏͖ͪΉͲݡΗͱ͏͵͖ͮ ͪɽ ʀพͶఽ͓Ζ͞ͳ͍͗Ζฯޤं͗͏ͪɽ ʀɼ݆Ն % ʀଠฯޤंͶ࿊ཙ͍͗ΕɼΦϒλʖχΝͦΖΆ ʹ࣎ؔ͗͵͖ͮͪɽ ʀฯޤं͗ฯүंͶଲ͢ͱɼࢢʹΝݡͱΔ͓ͱ ͏͵͏৶״͍͗ͮͪɽ ʤى͵͢ʥ & ʀ͕͠Ξ͗$ͬΎΞฯүԄͲ༹ࢢΝ҈Ͷ ࢧͮͱ͏ΖʤबΕͶͯ͏ͱ͏͜ͱ͏Ζ͖ʥɽ ʀ୯͖ͳΝͪ͢͏ـͫͮͪɽ ʀ݆ ʀଠฯޤंͳ͖ͪͮͪ͢ɽ ʀೖࠔ͖Δ৶״ ' ʀஊ͖Δࢢʹ༹ࢢΝ͚ͪ͠Ξͤ͞ͳ͗ঙ͵ ͖ͮͪɽ ʀ࣎ؔ͗͵͚ɼҲݶͲʞͳࢧͮͪɽ ʀ৶״Ͳಚ͏͖͵͖ͮͪɽ ʀॡ͵ʹͲʞ࣎غద ( ʀනɼݶ͏๏͵ʹɼݶཁ͗ଏΕ͵͏ɽઈ໎ଏɽ ʀ۫ରదͶɼʹΞ͵͞ͳ͢ͱ͏ͱֺ͢ΞͲ͏ͪ ͖ɼΝฯޤंͺซ͖ͪͮͪ͘Ͳͺʞʃ ʀฯޤं͏ͯͬΎΞͳݡͱΔ͓ͱΖ͖ ͵ʃͳ͏͑৶״͖Δʃ ʀଠฯޤं࿊ཙࣆߴ͍͗ͮͪɽ ʀ࣎غʤ೧ౕ͵ʹʥɼؖܐͰ͚Ε͗Ήͫͫͮ ͪɽ ᶅ
集団での様子を不安に感じていたり、誰かと話 したいと望んでいたりする状況として捉え、関 係がつくられていない 4 月の可能性もあると考 えている。D は普段から子どもの様子を詳しく 伝えていなかったためであると捉えている。E は 説明不足であり、保護者の思いとのずれがあっ たと推測している。参加者の多様な視点を受け、 グループで共有した際、他の参加者の視点を取 り入れている様子が矢印から読み取れる。 ②保育者の意図について(表 3 −②) 保育者が発した意図として、参加者の捉え方 は概ね共通している。A、B、D、E は親しみを 込めた良い意味で伝えていたとする保育者のポ ジティブな意図として捉えている。C は特別な意 図はなく伝えていたと考えており、ネガティブ な意図はなかったと捉えているため、他の参加 者の捉え方に類似している。唯一、A は保育者 が子どもの様子をしっかり見ることができな かったためであると捉えており、他の参加者が グループ共有を通して A の視点を取り入れてい ることがみられた。 ③保護者の背景について(表 3 −③) 保育者の発言に不快な表情を見えた保護者に ついて、A は保育者に対して不信感を抱いてい る場合や心配な姿を間接的に伝えようとしてい ると保護者が解釈していると捉えている。B、C、 E は保護者の期待に保育者が気づかず、応えられ ていないためと考えている。一方、D は保育者 が使った言葉に対して、保護者がネガティブな イメージを持っていたためと捉えている。 グループの共有で、欄外などに追加記入が多 くみられ、他の参加者の視点を取り入れている ことが分かる。 ④誤解発生の原因について(表 3 −④) 発生の原因について参加者の捉え方は多様で あった。A は表現の問題があると考えており、誰 もがポジティブに捉えられる言い方で伝えるべ きだとしている。また、伝える人の人物像によっ ても伝わり方が変化すると考えている。次に、B は保育園での様子を知りたいと願う保護者の思 いに応えることができなかった保育者の責任に ついて触れており、保育者に対する不信感に *矢印(→)は他の参加者の視点から影響された記入を示す 表 3−② 練習問題< 3 歳児クラス事例>の回答 ༙ ڠ Ͳ ϕ ʖ ϩ ή յ ى $ ʀ۫ରదͶՁΝ͢ͱ͏͖ͪΉͲݡΗͱ͏͵͖ͮ ͪɽ ʀѳ͏қັͲͺ͵͚ݫـ͏ͮͼ͏ͫͮͪͳ͏͑͞ͳ ͗ఽ͓͖ͪͮͪɽ ʤى͵͢ʥ % ʀࣙࢧ͏Ν࣍ͮͱ͏Ζોత͵ͳ͞ΘΝఽ͓ͪ ͖ͮͪɽ ʀ$ͬΎΞͶଲ͢ͱ͢ΊΝࠒΌͱఽ͓ͪɽ ʤى͵͢ʥ & ʀՁߡ͓ͱ͏͵͖ͮͪʤࣙ༟ਕण͜खΕ๏ʥ ʤى͵͢ʥ ' ʀدৼԤͲɼ৯ʓ͵͞ͳͶοϡϪϱζ͢ͱ͏Ζ ༹ࢢΝఽ͓ͪ͏ͳࢧͮͪɽ ʀ۫ରద͵༹ࢢΝݡΗͱ͏͵͖ͮͪʃ ʀқັखΕҩ͏ΉͲߡ͓ͱ͏͵͖ͮͪɽ ʀ͢ΊΝࠒΌͱࣙ༟ਕ ( ʀྒྷ͏қັʤ͢ΊΝࠒΌͱ͏ͮͪʥͲࣙ༟ਕɼͪ ͚͠Ξ͞ͳΝֺ͢ΞͲ͏ͪɼͳఽ͓ͪ͏ͳࢧͮ ͪɽ ʀఽΚΕ๏Νߡ͓ΖɽਕͨΗͩΗण͜खΕ ๏͍͗Ζɽ ʀ$ͬΎΞ͞ͳΝͥͮͳݡΗͱͺ͵͏͵ ͖ͮͪͪΌɽ ᶆ
よって言葉の受け取り方がネガティブに転じた と考えている。C は保育者の表現不足を原因とし て考えており、D は保育者と保護者の言葉の捉 え方が異なっていたためと考えている。E は日々 の保育の中で具体的に説明することの重要性を 意識していた。誤解発生の原因に関する参加者 の多様な視点がグループで共有された。 (2)事例(5 歳児クラス) ①誤解発生の状況の特徴について(表 4 −①) 昼寝をせず、運動会に向けた太鼓の練習をし たと我が子からの報告に、練習を強制されてい *矢印(→)は他の参加者の視点から影響された記入を示す 表 3 −③ 練習問題< 3 歳児クラス事例>の回答 ༙ ڠ Ͳ ϕ ʖ ϩ ή յ ى $ ʀΊͱ͚Ηͱ͏ͪͫΘ͖͑ɽέϧηͲූ͏ͱ͏ͪͳ ͏͑қັ͵ͫΘ͖͑ͳઈ໎ଏͲ৶״͗͑ΉΗ ͪɽ ʀଡಊͫͳԗյ͢Ͷଌ͓ΔΗͱ͢Ήͮͪɽ ʀ͍ΉΕཚͬ͗͘͵͏ɽ֪ద͵͞ͳ ͫ͜ΝݶΚΗͪ͗ـͶ͵Ζɽ % ʀҲೖ༹ࢢΝซ͖ͪͮͪ͘Ͷɼࣙ༟ਕͳ͏͑Ҳݶ Ͳఽ͓ΔΗɼࣙࢢΝ͖ͮ͢ΕݡͱΔ͓ͱ͏͵͏ ͳ״ͣͪɽ ʤى͵͢ʥ & ʀରΝซ͖ͪͮͪ͘ʤஊͳҩ͑ͳ͞Θʥ ࠕೖ༹ͫ͜ࢢɼड़པΖΓ͑Ͷ͵ͮͪࣆɼ༓ͫͬͳ ؖΚΕ ʤى͵͢ʥ ' ʀʰࣙ༟ਕʱͳ͏͑ݶཁͶ͍ΉΕྒྷ͏ϟʖζ͗͵ ͖ͮͪɽ ʀ͘͵͞ͳΝ͢ͱ͏ͪ|Ͳͺ͵͚ɼ|ঋघ͵͞ͳΝ͢ ͱ͏ͪ|ͳࢧͮͪɽ ʀ৶״ ʀୌߨಊΝԗյ͢Ͷ ʀ۫ରదͶซ͖ͪͮͪ͘ ʀ֪͗ซ͖ͪͮͪ͘Ͳͺ͵͏Ͷʞ ʀࢧͮͱ͏ͪศࣆͲͺ͵͖ͮͪɽ ( ʀࣙ͗ซ͖ͪͮͪ͘͞ͳͳҩ͑͞ͳ͗ศͮͱͪ͘ɽ ʀͬΎΞͳը͗ࢢΝݡͱ͚Ηͱ͏ͪ ͖ʃέϧηͲ͑͏ͱ͏ΖͫΘ͖͑ʃ ʀ༓ͫͬͳؖΚΕ͗ड़པΖΓ͑Ͷ͵ͮ ͪ͞ͳΝซ͖ͪͮͪ͘ɽˢՊͲ͖Ζ ͞ͳͣΎ͵͏͞ͳΝʃ ᶇ *矢印(→)は他の参加者の視点から影響された記入を示す 表 3 −④ 練習問題< 3 歳児クラス事例>の回答 ༙ ڠ Ͳ ϕ ʖ ϩ ή յ ى $ ʀࣙ༟ਕͳ͏͑නݳΝͮͳ୯͗ซ͏ͱϛζτΡϔ Ͷଌ͓ΔΗΖݶ͏๏Ͳఽ͓Ζ΄͘Ͳ͍ͮͪɽ ʀఽ͓ΖਕΫϡϧένʖͶΓͮͱఽΚΕ๏͗ҩ ͑ɽ ʤى͵͢ʥ % ʀҲೖ༹ࢢ͗எΕͪ͵͖ͮͪฯޤंࢧ͏Ͷ͓Δ Η͵͖ͮͪɽೖʓɼࣙࢢʹΝݡͱΔ͓ͱ͏͵ ͏ͳ͏͑৶״͍͗ΖͲɼʰࣙ༟ਕʱͳ͏͑ݶཁͶ ಚ͗͏͖͵͖ͮͪɽ ఽ͓Ζਕਕณ͍Ζʃฯޤं֪ & ʀݶཁଏΔͥɽනɼฯүंɽ ʤى͵͢ʥ ' ʀฯүंͳฯޤंͲʰࣙ༟ਕʱͳ͏͑ݶཁଌ͓๏͗ ҡ͵ͮͱ͏ͪɽ ʀݶ͏๏ ʀ֪ ( ʀ۫ରదͶʄʄʄ͗ࣆͳ͏͑͗ൊ͜ͱ͏ͪɽ ʀฯүं֪ʤΫϡϧένʖʥͶΓͮ ͱण͜खΕ๏ҩ͑ɽ ᶈ
ると抗議の電話をしてきた事例について、参加 者の捉え方に違いが見られた。A は本来の保育 時間を守っていないことや保護者への説明がで きていなかった状況であると捉えている。B も保 育者が伝えていなかったと考えている一方で、 我が子がクラスの他の子どもと同じように出来 ない可能性に不安を抱く保護者の視点を捉えて いた。C は保育者への不信感があったためと捉え るとともに、保育者から伝達できていなかった と推測している。D は子どもが保護者に伝える 際、偏った伝え方をしたため勘違いが発生した と考えている。E も子どもから断片的な情報だけ が伝わったと捉えており、実際には一人だけで はなかった可能性にも触れている。グループの 共有で、他の参加者の視点を取り入れている様 子が追加記入からみられた。 ②保育者の意図について(表 4 −②) 昼寝をさせずに練習をさせた保育者の意図を 捉える視点は、演習問題の事例と同じく共通し ていた。A、B、C、D、E の全員が子どもの意志 を尊重したためと考えている。さらに、A、B、 C は運動会に向けて練習をさせたい保育者の焦 りがあったと捉えている。また、A は昼寝時間 が保育時間中であるため、保護者の送迎時間に 影響しないと保育者が考えていたと捉えてい る。 グループの共有では、A の視点を他の参加者 が取り入れていることが追加記入から読み取れ た。 ③保護者の背景について(表 4 −③) 保護者が抗議の電話をしてきたことは保護者 が誤解したと捉える視点で概ね共通するが、保 *矢印(→)は他の参加者の視点から影響された記入を示す 表 4 −① 5 歳児クラスの事例 ༙ ڠ Ͳ ϕ ʖ ϩ ή յ ى $ ʀຌཔͲ͍Ηͻ৺ΝͤΖ࣎ؔͶͤΖͳ͏͑ಝच ͵ಊ͘Ν͢ͱ͏Ζɽ ʀ͞͞ͳΝฯޤंͶԄ͖Δͺఽ͓ͱ͏͵͖ͮ ͪɽ ʀͨͪΌʰͦ͠ΔΗͱ͏Ζʱͳ͏͑නݳͶ͵ͮ ͪɽ ʀҲਕΉͪͺևஊ༹ࢢΝซ͖ͥͶࢢ͖Δ ซ͚ͳɼड़པͱ͵͏͖Δ͵͖ͳࢧ͑ɽࢢ͖Δ ͖ࣘ͢ͶΔ͵͖ͮͪͪΌɽ % ʀͨೖͶࢢʹ͗࿇सͪ͢͏ͳ͏ͮͱ৺Νͦ ͥͶ࿇सͪ͢͞ͳΝఽ͓ΔΗͱ͏͵͖ͮͪɽ ʀฯޤं͗ࢢʹ͗ଠࢢʹͳಋͣΓ͑Ͷଢޓ Νୡ͜͵͏͞ͳͶ҈Ͷࢧͮͱ͏ͪɽ ʤى͵͢ʥ & ʀฯүं৶״͍͗Ζɽ ʀӣಊճͶ͜ͱئͮͱ͏ΖࣆΝఽ͓ΔΗͱ͏ ͵͖ͮͪɽ ʤى͵͢ʥ ' ʀࢢʹ͗৺ͱɼ৺࣎ؔͶ࿇स͢ͱ͏Ζ͞ͳ ͫ͜Νఽ͓ɼ͗|ͦ͠ΔΗͱ͏Ζ|ͳרҩ͏͢ ͖ͪ͢Η͵͏ɽ ʀҲਕͲ͢ͱ͏Ζ͖ɼ͵ʹɼ۫ରదͲͺ͵ ͖ͮͪɽ ʀԄ͖Δఽ͓Ζɽ ʀฯүं͖ΔͶซ͚Ͳͺ͵͖ͮͪͲ৶ ״ʃ ( ʀࢢʹ͖ΔฯޤंͶ͢͏಼༲Ͳͺ͵͏͗ ఽΚͮͪɽ ʀҲਕͫ͜Ͳͺ͵͖͖ͮͪ͢Η͵͏ɽ ʀࢢʹΊ ʀ࿇सͦ͠ΔΗͱΖͳרҩ͏ ʀ৺࣎ؔͺ৺Ζ࣎ؔͣΎ͵͏ʃ ʀฯүं͖ΔͶఽ͓ͱΔ͓Ηͻʞɽ ᶅ
護者の思いの読み取り方は多様であった。A と C は昼寝がないことに保護者が疑問を抱いたと 推測している。さらに、A は保護者が子どもか ら、太鼓の演奏が未完成であるため練習を強制 的にさせられていると聞いている可能性に触れ ているが、C は保護者が我が子だけが未完成であ *矢印(→)は他の参加者の視点から影響された記入を示す 表 4 −③ 5 歳児クラスの事例 ༙ ڠ Ͳ ϕ ʖ ϩ ή յ ى $ ʀࢢ͖Δ͖͢͵͏ͪΌɼࡡͮͱΉͲͦ͠ Ζ΄͘͞ͳ͵͖ͳ͍ٛ͗ͮͪɽ ʀʰ͗ୡ͜Ξ͖Δͦ͠ΔΗͪʱͳࢢ͖Δ ݶΚΗ͖ͪஎΗ͵͏ɽ ฯޤंৼয়ସ % ʀࢢʹ͗ଢޓ͗Ͳ͘͵͏͞ͳΝ҈Ͷࢧͮ ͱ͏ͪͲɼฯүं͖ΔͲ͵͚ࢢʹ͖Δ ৺Ν͢ͱ͏͵͏͞ͳΝซ͘ɼ৶״ู͗ͮ ͪɽ ʀଢޓΝΏΔ͠Ηͱ͏Ζͳࢧͮͪɽ ʤى͵͢ʥ & ʀࣙࢢͫ͜ड़པͱ͏͵͏Ͳͺ͵͏͖ͳ ͏͑҈ ʀ৺͗͵͚͵ͮͱΖɽ ʤى͵͢ʥ ' ʀ৺Νͦ͠͵͏Ͳɼଢޓ͗ୡ͜ΖΓ͑Ͷ͵ ΖͪΌɼໃཀྵཀྵ࿇सΝͦͪ͠ͳרҩ͏͢ͱ ͏ͪɽ ʀ͑ͬࢢͫ͜ʃˢৼഓɼਐର ʀΏΕͪ͏Νଜ॑ͪ͗͢ࢨͶ೦͗Εɼࢢʹ ࣙਐ͗ୡ͜ͱ͏͵͏ͳ״ͣͪˢࣙक࿇ ʀࢢʹ͖Δ࿇सͪ͢ͳࢧ͖ͮͪʃͳߡ͓Ζ ༪༡͗͵͖ͮͪʃ ( ʀڋΕͦ͠ΔΗͱ͏Ζɽ|͑ͬࢢͫ͜|ɽ ʀࢢʹͺໃཀྵ͢ͱ͵͏͖͵ɽ ʀӣಊճ࿇सͲରൾΗͱ͏ΖͫΘ͑ͳ ͖ɼৼഓ͖Δɽ ʀࢢʹๅࠄ๏ͶΓͮͱɼण͜खΕ๏͗ ҩ͑ɽ ʀࡂॄਫ਼Ͷ͵ͣΌͱ͵͏ʃˢஊ͖Δ ҈͖Δɽ ᶇ *矢印(→)は他の参加者の視点から影響された記入を示す 表 4 −② 5 歳児クラスの事例 ༙ ڠ Ͳ ϕ ʖ ϩ ή յ ى $ ʀࢢʹΏΕͪ͏ʄͳ͏͑қࢧΝଜ॑͢ͱͣΎ ͍ΏΘ͑ʄͳ࿇सͤΖ͞ͳͶͪ͢ɽ ʀౌ߳ԄΝΌͪΕஙΌͱ͏ΖΚ͜Ͳͺ͵͏ Ͳɼਫ਼Ε͖Δୌ͵͏ͳࢧͮͪɽ ʤى͵͢ʥ % ʀࢢʹـ࣍ͬΝͶ͢Γ͑ͳɼ৺ΓΕ ଢޓΝ༑ͦͪ͠ɽ ʀΕ ʤى͵͢ʥ & ʀ࿇सΝͦ͠ͱ͍ͪ͝͏ɽ ʀΕ ʀฯү࣎ؔΝ࢘͑ɽ ' ʀ৺࣎ؔ͵Ͳɼ৺Ν͢ͱΆ͢͏͜Ηʹɼ ࢢʹ͗࿇सͪ͢͏ͳݶͮͪͲɼ࿇सͦͪ͠ɽ ʀฯү಼࣎ؔ͵Ͳɼྒྷ͏ͳߡ͓ͪɽ ʀਫ਼ΕʶࢢʹΏΖـ ( ʀࢢʹқࢦΝࣆͶͪ͢͏ɽ ʀฯү಼࣎ؔͲ࿇सͲͪ͘Δɽ ʀӣಊճΉͲͶ࿇सͪ͢͏ɽ ᶆ
ると不安に感じていた可能性を推測している。 それに対して、B は保護者が以前より我が子の太 鼓演奏が未完成であると不安に感じている中、 昼寝を練習に変更した活動を報告しない保育者 への不信感が募っていたと考えている。D は強 制的に練習をさせられたと保護者が一方的に勘 違いした可能性に触れ、E は我が子の疲れを心配 している保護者の気持ちを推測している。 追加記入された内容から、参加者によって異 なる多様な視点を他の参加者がグループ共有の 中で取り入れている様子が読み取れた。 ④誤解発生の原因について(表 4 −④) A は誤解発生の原因を捉えることに留まら ず、保育の流れにおいて変更が生じた場合は、保 護者に正確に伝えるべきであったと改善策まで 考えている。B も変更をした当日に保護者に伝え るべきであったと考えており、子どもからの伝 達によって誤解が発生する可能性に触れてい る。C と D も子どもの伝達では部分的なものに なると考えており、D は部分的な伝達が誤解を 招いていると捉えている。E は伝達時の表現に工 夫が必要だとしている。他の参加者との共有に より、発生の原因を探るだけでなく、日々の保 育につながる視点が見られた。
Ⅳ 考察
1 トレーニング事例について 練習問題(3 歳児クラス)と事例(5 歳クラス) のどちらも、保育者の意図に関する参加者の視 点は概ね共通していた。参加者のほとんどが発 言の背景にある保育者のポジティブな意図を捉 えている。一方で、保護者がみせた姿の背景に ある思いを読み取ることは参加者によって多様 であった。誤解が発生した状況の特徴と原因に ついても、参加者の視点が多様であった。これ らより、参加者は保護者に子どもの様子を日常 的に伝える保育者がポジティブな意味で表現し *矢印(→)は他の参加者の視点から影響された記入を示す 表 4 −④ 5 歳児クラスの事例 ༙ ڠ Ͳ ϕ ʖ ϩ ή յ ى $ ʀฯүं͗ͨೖ͏ͯͳҩ͑ಊ͘ΝͤΖͲ ͍ΗͻɼؾΕͶͺఽ͓Ζʤ͵ͧ෨ʥ΄͘Ͳ ͍ͮͪɽ ʤࢢʹͫ͜Ͳͺ͵ͳ͞Θ͗ൊ͜Ζ͞ ͳ͍͗ΖͪΌʥ ʤى͵͢ʥ % ʀͨೖ͑ͬͶɼఽ͓ΔΗ͵͖ͮͪ͞ͳͲɼ ࢢʹ͖ΔΝซ͘ΏΔ͠Ηͱ͏Ζͳࢧͮͪɽ ʤى͵͢ʥ & ʀࢢʹ͗ҲਕʤʃʥͲ࿇स͢ͱ͏Ζࣆͫ͜Ν ఽ͓ͪɽ ʀࢢʹ͗ࣙͲͲ͘ͱ͏͵͏ͳఽ͓ͪɽ ʤى͵͢ʥ ' ʀࢢʹ͗ՊͲͤͳ͘ɼ৺Ν͢͵͏Ͳ࿇स ͪ͢͞ͳͫ͜Νఽ͓ɼฯޤं͗|ͦ͠ΔΗͱ͏ͪ| ͳרҩ͏ͪ͢ɽ ʀฯޤंઈ໎͗ଏΕ͵͖ͮͪɽ ʀઈ໎๏ ʀݺʓͶ͖ͮ͢Εઈ໎ ʀ৶བؖܐ ʀଠฯޤं͗ʞ͵ʹɼఽΚΕ๏༹ʓ ( ʀฯޤंͶʰʕʕ͚ΞͬΎΞ͗ࣙΔ࿇सͪ͢͏ ͳݶͮͱͪ͘ΞͲͤΓʄʱͳݶ͏๏ͶΝ ͯͯ͢ఽ͓Ζɽʤ͑ͬࢢɼ͗ΞͻͮͱΖ͵ɼ ͳࢧͮͱΔ͓ΖΓ͑Ͷʥ ʀͤ΄ͱฯޤं͠Ξ͗ݡΗΖϙϭφϚʖχ ͵ʹͶىͤΖɽ ʀ৶བؖܐ ᶈているものの、保護者の受け取り方や思い、状 況などが異なり、複合的に影響することで誤解 が発生すると学ぶことができたと考えられる。 そして、用いた事例がどの保育現場でも発生す る可能性があり、トレーニング事例として有効 であったと考えられる。 2 トレーニングの進め方について トレーニングシートの項目である発生した状 況の特徴、保育者の意図、保護者の背景、発生 の原因の順に考えて、グループで共有したが、各 項目別に参加者が捉えた視点は多様なものであ り、グループの共有から視点を増やしていく姿 がみられた。トレーニングシートの進め方が事 例を多面的な視点で捉えるよう促し、同じ事例 に対する他の参加者の異なる視点に気づくこと で、保護者とのコミュニケーションにおいて意 識すべき多面的かつ複合的な視点を得ることに 繋がっていくと期待できる。 3 今後の課題 参加者の事前アンケートにみられるように、保 育者が保護者対応の困難を感じているのが現状 である。保育者が感じる困難を軽減するために は、トレーニングプログラムの確立と継続的な学 びの機会が必要となる。しかし、本研究ではト レーニングの事例と進め方の有効性にのみ注目 しているため、今後は参加者が感じるトレーニン グ効果の測定による検証が必要である。