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日本のITとIT人材の発展のために原点から考えよう

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Academic year: 2021

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(1)IPSJ Magazine. [巻頭コラム] 日本の IT と IT 人材の発展のために 原点から考えよう ▪田中 久也  最近 IT 利活用力の強化がよく語られる.経済産業省の次世代高度 IT 人材も IT を使ってビ ジネスや業務に革新を起こす人材を育てることを目標に掲げている.私も同じように講演等 で話しているが,IT が業務や経営を革新する道具であることは,IT が生まれたときから変わっ ていない. 私がベンダの SE だったときもお客様の業務革新を IT によって実現することを目標にして いたし,経営戦略の実現がお客様との共通の喜びであった.それゆえ SE つまり IT のプロにとっ ては業務に精通することが最も大事な価値基準であった.それが少しゆがんだのは,90 年代 にオープン化やダウンサイジングが進んでからだと思う. オ ー プ ン 化 も ダ ウ ン サ イ ジ ン グ も IT に 閉 じ た 方 法 論 で あ る し,TCO(Total Cost of. Ownership)削減という言葉はもっぱら IT 自身のコスト削減を目的としたものであった.人 材育成も PM,IT アーキテクト,IT スペシャリスト等,IT に閉じた世界に光が当たりすぎて しまった. インターネット,携帯端末,クラウドと利用者からみると IT はコモディティ化しており, その流れはますます加速している.そのため IT のプロに経営や業務を学ばせるのではなく, 業務や経営のプロに IT 使いの上手になってもらうことが経営や業務革新の早道だと言われて いる.これは従来の IT プロを自認する人からみたら屈辱である.長い間目的と手段を履き違 えていたことを恥じなければならない.あなた仕様を考える人,私作る人という役割分担を. 巻頭 情報処理 Vol.54 No.2 Feb. 2013.

(2) ■ 田中 久也 (独)情報処理推進機構 理事. 1977 年富士通(株)入社.2010 年(独) 情報処理推進機構 理事,現在に至る.. ビジネスモデルあるいはシステム部門の前提としてきたことを反省しなければならない.  日本のソフトウェア開発は,労働集約型のプロセスを効率よく行うことを目指してきた. コーディングと単体テストだけを外注する発想をよしとしてきた.そんな役割分担から優れ た人材が育つわけがない.アプリケーションは作りたい人が自身で素早く作れるような手段 を用意すること,汎用ソフトウェアや革新的なソフトウェアは少数の才能ある人が効率よく 作れるように開発環境を整備すること,それがソフトウェアエンジニアリングの本質であっ たはずである.  Web 系のビジネスを行っている企業にとっては当たり前のことであるが,ソフトウェアの 価値とはステップ数や人月で計るのではなく,売上やダウンロード数が多いといった良いソ フトウェアを創り出すことだという原点に返らなければならない.人月に基づく取引モデル も変えなければならない.5 分で作ったソフトウェアでもドキュメントでも良いものには高 く対価を払う,100 人月かかったソフトウェアでも価値に見合った対価しか払わない.人材 を規格化してレベルに値段をつけるのではなく,人材のダイバーシティを進め,才能を持つ 人材が伸び伸び働き,創出するアウトプット,アウトカムに値段をつける当たり前の価値観 に変えていかねばならない.  今後,日本の IT と IT 人材が国際競争に勝ち抜き発展していくために原点から考えよう.. 情報処理 Vol.54 No.2 Feb. 2013. 巻頭.

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