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IT好き放題:自分の思いを大切に

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Academic year: 2021

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(1)私. この分散型リアルタイム OS は,OS 機能の処理分散 は,情報処理に関する研究や実用化および教. を特徴とするものです.この OS を搭載した計算機は,. 育に従事してきました.特に,分散処理の基盤ソフト. 実用化され,2 万数千台が稼働しました.自分の思い. ウェアに関するものです.情報処理学会に入会したの. を提案することの大切さを感じました.. は,1982 年です..  開発中の分散処理 OS は独自 OS であり,大学に.  1970 年代後半から 1980 年代にかけては,分散処. おいて,学生と協力しながら 10 年以上継続して研究. 理を支えるさまざまな技術が生まれました.LSI 技術. 開発を行っています.具体的には,モノリシックカーネ. の確立によりμプロセッサやさまざまな入出力制御用. ル構造の Tender,マイクロカーネル構造の AnT,さ. LSI が登場し,計算機の小型化と低価格化が進みまし. らに Linx ベースの Mint といった 3 つの OS を研究開. た.さらに,これらは LAN を生み出しました.また,. 発し,マルチコアプロセッサにおける分散処理につい. ソースプログラムが公開された UNIX の登場が分散処. ても,研究開発を進めています.役立つ機能や機構. 理に拍車をかけました.. の研究開発よりも,従来にない新機能や新機構の研.  私は,分散ファイルシステムや分散型リアルタイム の提案と研究開発を進めています.. 基 応 専 般.  開発した分散ファイルシステムは,UNIX を基盤と. [シ ニ ア コ ラ ム]. I T. 好き放題. Messag e. OS の研究開発と実用化に携わり,また分散処理 OS. n Favorite I T so. したものです.この分散ファイルシステムは,グループ アクセス機能を有する点が特徴的であり,この機能を 利用した電子会議システムも開発しました.また,こ の OS を搭載した計算機は実用化(数千台が稼働)さ. [No.42]. 自分の思いを大切に. れました.当時,我々と同様な分散ファイルシステムを. 究開発を重視しています.つまり,現在の機能や性能. とサンマイクロシステムズも開発し ベル研究所 (AT&T). を 2 割程度向上させるための研究開発ではありません.. ていました.同様な研究がほかでもなされていること. 従来にない新機能や新機構は,現在抱えている問題. は残念でしたが,世界レベルの研究であることに自信. の解決には,役立たないかもしれませんが,新たなサ. を持ちました.しかし,NTT と AT&T はサービス提. ービスやプログラム構造の実現に貢献する可能性があ. 供業者であり,サンマイクロシステムズは計算機販売. ります.この点を重視しています.たとえば,プログラ. 業者でしたので,世の中に広まった分散ファイルシステ. ム実行速度調整機能は,プログラムの実行速度を自由. ムは,サンマイクロシステムズの NFS です.研究レベ. に調整する機能です.この機能により,計算機ハード. ルと世の中への広がりの違いを意識させられました.. ウェア性能の高低に関係なく,利用者が自由にプログ.  開発した分散型リアルタイム OS は独自 OS であり,. ラムの実行速度を変更でき,自分に合った速度でサー. 私は独自 OS の研究開発を行えて幸運でした.OS に. ビスを受けられます.もちろん,計算機ハードウェア性. 興味を持ち,既存の NTT 独自 OS や UNIX の問題. 能を超えて実行することはできません.このため,こ. 点を洗い出し,新たな OS の研究開発が必要と思い,. 「高速に計算機を の機能を提案(約 20 年前)した際,. その旨を上司に提案しました.その数年後に新たな. 動かすことが大切なのに,遅くする必要はない」旨の意. 独自 OS の開発が始まり,担当者の一員になりました.. 見をいただいたことがあります.現状の問題のみを抱え ていた方のご意見でしょう.しかし,現在,この機能は,. 谷口秀夫 Hideo TANIGUCHI 岡山大学. [正会員] [email protected] 昭和 53 年九大・工・電子卒業.昭和 55 年同大学院修士課程修了.同 年日本電信電話公社電気通信研究所入所.その後, NTT データ通信(株), 九州大学を経て,岡山大学 理事・副学長.. マルチメディア処理の実行保証やセキュリティの観点に よる走行制限を可能にする機能として,非常に有効な ものです.現状の問題解決を重視するあまり,未来の 新しい機能や機構を見捨ててはいけません.  若手の皆様の挑戦を楽しみにしています.. (2013 年 11 月 18 日受付). 情報処理 Vol.55 No.7 July 2014. 679.

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