浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除に関する研究
全文
(2) 近大水研報. 13号. (2013). 2 2 FKC-R2と FKC-GFの比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 255. 材料および方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 255. 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 255. 考察・・.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 258. 2・3 野 外 分 離 株 で 作 製 し た FKCの比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 260. 材料および方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 260. 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 261. 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 262. 野外分離株の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 263. 3・1 人 為 感 染 に よ る 毒 性 比 較 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・. 263. 材料および方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 263. 結果および考察・. 264. 第 3部. 3 2 性状試験による表現形質の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 266. 材料および方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 266. 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 267. 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 267. 3 3 8D8-PAGE法 に よ る 全 菌 体 タ ン パ ク 質 の 比 較 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・. 270. 材料および方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 270. 結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 270. 3・4 DNA-DNAハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン に よ る DNA相向性の比較・・・・・・・. 272. 材料および方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 272. 結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 272. 3・5 168rDNA塩 基 配 列 の 比 較 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・. 275. 材料および方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 275. 結果および考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 275. 総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 278. 238.
(3) 加藤:浸潰ワクチンによる滑走細菌症の防除. Summary. ・. . • . . . • . • . . . . . • • . . • . . . . • . .• • • ... 280. 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 283. 文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. 284. 239.
(4) 近大水研報. 13号. (2013). 緒言. 1960年代に始まった人工種苗生産によってマダイ Pagrusmajorの養殖は西日本を中心 に急速に広まり, 1997年 に は 年 間 生 産 量 8万トンに達した (Kumai2002) が,同時に養殖 場では自家汚染の進行と,魚病被害の拡大による多大な損害に悩まされることになった 。 海産魚の滑走細菌症もマダイ養殖の発展とともに顕在化した疾病の 1つで. 1970年代の. tal .1979,増村・若林 1977)以来,現在に至るまでマダイの種苗生産に大き 報告 (Hikidae な損害を与え続けている o また国内のマダイ種苗生産においては,生産技術の進歩により,. 2 -1 月 に 採 卵 さ れ る 早 期 生 産 種 苗 , ま た 1 0 -1 1 春期に採卵される従来の種苗に加え, 1 月に採卵される秋期生産種苗など,養殖業者の需要に合わせて生産することが可能になっ た(宮下・瀬岡 2005)。 その結果,従来春期から初夏に発生するとされてきた種苗生産期に おける滑走細菌症(畑井 2006b,Wakabayashi2004)は,近年は秋期から初夏までの聞に 散発的に発生し,流行期が長期化していると言える 。 近畿大学水産研究所白浜実験場だけ でも,例年総生産尾数の数%から 10%が本疾病によって失われ,被害額は 500万円前後に 上 る と み ら れ る o 本疾病の被害は, 1985 年 頃 か ら 養 殖 生 産 量 が 急 激 に 増 加 し た ヒ ラ メ. Paralichthyso l i v a c e u s(村田 2000b)においても報告され (Baxae tal .1986, Baxae tal . 1987b),さらにその後イシダイ,. トラフグ,ブリ等にも感染が認められるようになった. (Bernerdet1998,宮崎ら 1975,Wakabayashie tal .1986)0 また,本疾病は当初日本の 海産養殖魚に限定されていたが,近年はヨーロッパ,オーストラリア,アメリカなどのス ズキ目およびカレイ目魚類からも報告されており,世界規模で被害を与えている ( A l s i n a. tal . 1990, Bernerdete tal . 1994, Chene tal . 1995, andBlanch1993, Bernerdete Handlingere tal .1997, MacVicarandWhite1979, S o l t a n ie tal .1994)。 原 因 菌 処' nacibaculummaritimum(Suzukie tal .2001)(s y n .F l e x i b a c t e rmaritunus. Wakabayashie tal .1986) は強いタンパク質分解活性を持ち,擢病魚は鰭の崩壊および欠 A l s i n a and Blanch 1993, Baxa e t al . 1986, 損,体表のびらんや壊死を呈するため ( Bernerdet 1998,畑井 2006b,増村・若林 1977, Wakabayashi 2004),他の細菌による 983),さらに被害が大 二次感染が誘発されて (Bernerdet1998,畑井 2006a,木村・楠田 1 きくなることが多い 。本疾病の治療にはニフルスチレン酸ナトリウムによる薬浴が極めて 有効であり (Baxae tal .1988, Bernerdet1998,金井 1996, Tabone1996),かつてはマ ダイに対しでも投薬されていた 。 しかし現在はスズキ目魚類への使用が禁止されているた め(農林水産省 2006),本症に対して使用可能な薬浴剤が存在しない 。次善の策としてその 他の抗菌剤の経口投与が行われているが,擢病魚は摂餌が不活発であり,また擢病魚中の. T .maritimumは主に体表患部で増殖している (Baxae tal .1987a)ため,薬浴剤ほど顕著な 240.
(5) 加藤:浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 効果は期待できない。そのため,現状では頻繁に病魚を取り上げ,収容密度を下げる等の 消極的な処置により疾病の蔓延を防ぐことが主要な対策となっている 。 またヒラメを含む カ レ イ 目 魚 類 に お い て は 現 在 の と こ ろ 50g以 下 の 魚 に 限 り ニ フ ル ス チ レ ン 酸 ナ ト リ ウ ム の 薬浴による治療が承認されているが(農林水産省 2006),欧米ではすでに食用魚に対する使 用が全面的に禁止されており (Bernerdet1998), 食 品 安 全 上 の 観 点 か ら 今 後 国 内 で も 使 用 禁止になる可能性が高い口その上,近年は薬剤の使用記録を残すことが規定され(農林水産 省 2006), 養 殖 魚 生 産 現 場 の 情 報 開 示 が 求 め ら れ つ つ あ る こ と か ら , 承 認 薬 剤 の 投 与 に も 消極的にならざるを得ない。 以上述べたように,抗菌剤による滑走細菌症の治療が極めて 困難になっていることから,本疾病の対策は治療から予防に移っていく必要があると考え られる. D. 近 年 水 産 用 ワ ク チ ン は そ の 重 要 性 を 増 し て き て お り , 現 在 国 内 で は 9種 類 の ワ ク チ ン が 承認されている(農林水産省 2006)。カ ラ ム ナ リ ス 病 や 細 菌 性 冷 水 病 に 代 表 さ れ る 淡 水 性 の 滑走細菌症では,実用化には至っていないものの不活化ワクチンの研究が比較的盛んに行 わ れ て お り , 疾 病 の 防 除 に 有 効 で あ る こ と が 実 験 的 に 証 明 さ れ て い る (BaudinLaurencin. 1991,FujiharaandNakatani1971,Holte tal .1993,間野ら 1996,Mooree tal .1990, ObachandLorenzen1994, Rahmane tal .2000)。 そ れ に 対 し て 海 産 魚 の 滑 走 細 菌 症 に お け る ワ ク チ ン に 関 す る 研 究 は , 以 前 は ほ と ん ど 行 わ れ て い な か っ た が (Bernerdet 1998,. Wakabayashi2004)最 近 に な っ て ホ ル マ リ ン 不 活 化 菌 体 , 粗 LPS,菌体外毒素などの注射 投 与 に 対 す る 血 中 免 疫 応 答 の 上 昇 が シ ー パ ス Dicentrarchuslabrax( S a l a t ie tal .2005)や ヒラメ(河原ら 2001)で報告され,ワクチンによる防除の可能性が示された。またスペイン ではターボット Scophthalmusmaximusに 対 す る ワ ク チ ン が 開 発 さ れ , 特 許 が 認 め ら れ ているが (Toranzoe tal .2005),国内の主要養殖魚に対するワクチンの有効性に関する研究 は皆無である。したがって国内で最も本疾病の被害を受けるマダイおよびヒラメに対する ワクチンの実用化は,水産養殖にとって極めて重要な課題であり,生産現場からも強く求 められている。 本研究では,海産魚の滑走細菌症に対するホルマリン不活化ワクチンの実用化を目的と して,以下の検討を行った。第 1部 で は 研 究 を 進 め る 上 で 不 可 欠 な , 再 現 性 が 高 く 効 率 的 な滑走細菌症の人為感染法を確立するために, BCG接 種 用 管 針 を 用 い た 体 表 へ の 接 種 法 を 検討した。第 2部では T . maritimum の 基 準 株 R2 (Wakabayashi e t al . 1986). ( =NCIMB2154,以下 R2) か ら 作 製 し た ワ ク チ ン の 有 効 性 の 検 討 , お よ び R2以 外 の 分 離 株 群 か ら 作 製 し た ワ ク チ ン と の 比 較 を 行 っ た 。 ま た 第 3部 で は , 野 外 分 離 株 に つ い て 人 為感染による毒性の比較を行うと共に,分類学的検討を行った。. 241.
(6) 近大水研報. 13号. (2013). 第 1部 BCG接種用管針を用いた人為感染法の検討. ワクチンの効果を判定するには,. 自然感染あるいは人為感染後の死亡率を対照区と比較. する必要がある 口人為感染法としては,注射法(飯田ら 1981,楠田ら 1981,Nakajimae t. al . 1997,佐古 1992a,佐古 1992b),あるいは浸漬法 ( E l l i o t tandShotts 1980,楠田ら 1981)な ど が 一 般 的 に 行 わ れ て い る 。 し か し な が ら 海 産 魚 の 滑 走 細 菌 症 に お い て は 注 射 法 AlsinaandBlanch 1993, PeinandEmery 1993, Wakabayashie tal . では効果がなく ( 1984), 浸 1 責法も体表を傷っけなければ,疾病の成立が確実ではないとされている (Handlingere tal .1997)。 し か し ワ ク チ ン の 効 果 を 判 定 す る 場 合 , 高 い 再 現 性 が 求 め ら れ ることから,従来の方法による人為感染は不適当な場合が多い。そこで本節では,効率的 な 滑 走 細 菌 症 の 人 為 感 染 法 を 確 立 す る た め に , BCG 接 種 用 管 針 を 用 い て 体 表 に f. maritimumを接種し,滑走細菌症の再現を試みた。. 材料および方法. 供諒魚 近畿大学水産研究所白浜実験場で生産された平均全長 15.0cm,平均体重 5 5 . 2g のマダ イ 50尾を供試魚として使用した 口. 供諒菌. 70%海 水 改 変 サ イ ト フ ァ ー ガ 寒 天 培 地 ( 以 下 MCA70) で 25C, 24 時 間 培 養 し た f 0. maritimumR2を供試菌として用いた 。. 試験区および人為感染. 200L容 パ ン ラ イ ト 水 槽 4基に供試魚を 10尾ずつ収容し,体表接種区 3基 お よ び 対 照 区 1基をそれぞれ設定した。またこれらとは別に 500L容 パ ン ラ イ ト 水 槽 1基に供試魚を 30 尾収容し浸漬区とした。体表接種区では, R2を PBSに懸濁した菌液に BCG接 種 用 管 針. i g . 1・1 ) の先端を数秒間浸した後,供試魚の左 (株式会社日本ピーシージーサプライ, F F i g . 1・2 以下スタンプ接種)。 体側面を 1回押圧することによって体表に接種を行った ( . 0X 109 , 2 . 0X 1010 , 1 .5X 1011 CFU/mLとした。また対照 菌懸濁液の濃度はそれぞれ 4 . 3X108CFU/mLの 区では PBSを同様の方法でスタンプ接種した 。浸漬区では供試魚を 5 菌懸濁海水に 20分間浸潰することによって人為感染を行った 。 人為感染の翌日から 7 日 後まで 1 日 1回死亡魚を取り上げた口また死亡魚の体表患部を検鏡した後, MCA70を用. 242.
(7) 加藤:浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. いて患部,肝臓,腎臓からの細菌分離を試みた。. F i g . 1・ 1 .I n j e c t o rdesignedf o rhuman BCGvaccination. F i g . 1 2 . Stamp i n j e c t i o n on body surfaceo fredseabream.. 結果. i g .1 3に示した 。 スタンフ。接種を行った試験区の累積死 人為感染後の死亡率の推移を F 亡率は,生菌濃度 4 . 0X109 CFU/mLで攻撃した区では 40%, 2 . 0X1010 お よ び 1 .5X1011. CFU/mLで攻撃した区ではともに 100%であった 。有 意 水 準 5%、 で χ2検定を行ったところ, 3 つのスタ ン プ 接 種 区 は そ れ ぞ れ 対 照 区 に 対 し て 有 意 差 が 認 め ら れ た 。 ま た 浸 漬 攻 撃 区 お よび対照区の供試魚は滑走細菌症の症状を呈さず,供試魚の死亡は認められなかった。. 100 , . 司 、 通F 空 75 、 ' + 〉J 同. + e L g J. 50. 。 25. 三. 。 。. 2. 3. 4. 5. 6. 7. Days afterchallenge .Changesinthem o r t a l i t i e so fredseabreama f t e rstamp Fig.1・3 1 0 9 challengewithT .maritimumR2. 4.0X10 2 . 0X10 5 1 1 X10 ,0 immersion,. .control .. ・ ・ ,. 243. , ・ 1 ..
(8) 近大水研報. 13号. (2013). スタンプ接種を行ったすべての供試魚 の接種部位に潰蕩状の患部が形成され. ( F i g .1 4 ), 顕 微 鏡 下 で T .maritimum 様の滑走運動をする長梓菌が多数観察さ れた ( F i g .1・5 )口 ま た 人 為 感 染 1日後に 死亡した供試魚体表から T . maritimum が分離された 。 しかしながら肝臓およ び腎臓からは T .mari timum は分離さ. F i g .1 4 .Redseabreami n f e c t e dbystamp c h a l l e n g e .. れなかった。 なお,実験期間中の平均 水 温 は 21 .8Cであった 。 0. 考察. 0 ' " ' '100%の 死 亡 率 が 認 スタンプ接種区では供試魚の体表に潰蕩状の患部が形成され, 4 められた 。 さらに死亡魚の患部から T .maritimum が分離され,滑走細菌症の感染成立が 確 認 さ れ た 。 したがってスタンプ接種によって滑走細菌症の再現が可能であることが明ら かとなった 。 さらに 3つ の ス タ ン プ 接 種 区 に お い て , 最 も 低 濃 度 ( 4 . 0X 109CFU/mL) で 攻 撃 し た ス タ ン プ 接 種 区 の 死 亡 率 は 40%にとどまった 。ま た 接 種 菌 濃 度 が 高 い 試 験 区 で 早 期 に 死 亡 す る 傾 向 が 認 め ら れ た 。 この結果は菌懸濁液の濃度を調整することで死亡率のコ ントロールが可能であることを示唆し ている. O. 皮下注射によって攻撃した場. 合,注射のダメージにより対照区に生 菌接種区と同等の死亡率が認められる こともあるが (Baxae tal . 1987a),本 実験では. PBS を 接 種 し た 対 照 区 に 死. 亡が認められなかった 。 したがってス タンプ接種が魚体に与えるダメージは 無視できるものと考えられる. O. また,同時に行った浸漬法による攻. F i g . 1 5 . T . maritimum i n smear o f surfacel e s i o no fi n f e c t e dredseabream.. 撃では滑走細菌症を再現することはで きなかった. マダイでは滑走細菌症は海水温 1 6 ' " ' '20Cで 発 生 す る こ と が 多 い (Donald 0. O. 1981)ことから れる. O. 本 実 験 の 水 温 21 .8Cは 滑 走 細 菌 症 の 再 現 適 温 よ り や や 高 か っ た と 考 え ら 0. またマダイ種苗生産現場では成長とともに被害が収束するが,供試魚(平均体重. 244.
(9) 加藤:浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 5 5 . 2 g ) は通常滑走細菌の感染試験に使用されるサイズより大きかったため,浸 1 責法による 感染の成立が困難であった可能性が高い。そのような条件下にも関わらず. 本実験ではス. タンプ接種によって感染を成立させることができたことから,スタンプ接種は滑走細菌症 の人為感染法として浸漬法よりも優れていることが明らかとなった。水温や入手可能な実 験魚のサイズは時期によって異なるが,スタンプ接種法により滑走細菌症の人為感染が周 年実施可能となった。体表局所に限定した攻撃が可能であることからも. ワクチン開発の. みならず,病原機構の解明などに広く応用可能な手法である。 水温が低く魚体が小さい場合など,条件によっては浸漬法でも人為感染が成立すること から,以下の実験では浸漬法による攻撃も併用した。予備攻撃試験の結果,浸漬法では攻 撃強度や再現性が不十分であると判定された場合はスタンプ法を用いた。. 245.
(10) 近大水研報. 13号. (2013). 第 2部 浸 漬 ワ ク チ ン 有 効 性 の 検 討. 滑走細菌症は様々な海水魚で発生しているが,国内ではマダイおよびヒラメにおける被 害が最も深刻である(畑井 2006b,金井 1996, 水 野 2006,Wakabayashi2004)。 そ こ で 本 研 究 で は こ れ ら 2魚 種 を 対 象 と し て , 浸 漬 ワ ク チ ン に よ る 滑 走 細 菌 症 の 防 除 を 試 み た 。 ワ ク チ ン 接 種 法 と し て 注 射 法 が 最 も 有 効 で あ る こ と は よ く 知 ら れ て い る が (Nakanishi 1998,矢野 1995), 魚 類 で は 体 表 に お け る 局 所 的 免 疫 応 答 が 体 内 部 の そ れ と 独 立 し た も の である可能性が示されており (LobbandClem1981,Romboute tal .1986),体表局所に感 染する T .maritimumの 場 合 , 抗 原 に よ り 直 接 体 表 を 刺 激 す る 方 法 が 効 果 的 で あ る と 期 待 される。また,本疾病が流行する稚魚期においては魚体が小さいため,注射法は効率的で はない。以上の理由から,本研究では浸漬法を採用した。. 2 1 FKC-R2の 有 効 性 の 検 討 . maritimumの基準株 R2か ら 作 製 し た 不 活 化 菌 体 ( 以 下 FKC-R2) を供試 本節では T ワクチンとして,人為感染したマダイにおける滑走細菌症発症予防効果を検討した。加え て,防御効果が得られるワクチン接種後の日数,および追加免疫の効果についても検討し た。さらにヒラメにおいても FKC-R2の有効性の検討を行った。. 材料および方法. 供試ワクチン ワクチンの抗原として, 2001年 に 東 京 大 学 か ら 近 畿 大 学 水 産 研 究 所 白 浜 実 験 場 に 分 与 さ o. れ , -80Cで凍結保存されている T .maritimumの基準株 R2を使用した。大きさの異なる アルミパット 2枚 (312x241x35mm,349x274x37mm) の 小 さ い 方 を 底 皿 , 大 き い 方 を 蓋 と し て 重 ね 合 わ せ て 乾 熱 滅 菌 し た 容 器 に 作 製 し た MCA70に,同液体培地で 25C,24 0. 時間前培養した供試菌体を均一に塗抹した。 25C,48時間培養した後,寒天培地を削らな 0. いように注意しながら,滅菌したスライドガラスで菌体を掻き集めて回収した。この菌体 に1.5%ホルマリン PBSを 10倍 量 加 え , ガ ラ ス ホ モ ジ ナ イ ザ ー で ホ モ ジ ナ イ ズ し て 均 一 に懸濁させた後, 4C, 48 時 間 静 置 し て 不 活 化 さ せ た 0. O. (FKC-R2) を洗浄せずに希釈し,ワクチンとして供試した。. 246. このホルマリン不活化菌体.
(11) 加藤 :浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 実験 I マダイにおける有効性の検討 供試魚 近畿大学水産研究所白浜実験場で生産された平均全長 4.9cm,平均体重1.6gのマダイ 稚魚 120尾を供試魚、として使用した 。. 試験区およびワクチン接種. 500L容 パ ン ラ イ ト 水 槽 2基に供試魚を 60尾ずつ収容し,ワクチン接種区および対照区 にそれぞれ設定した 。 ワクチン接種は,海水に FKC-R2を湿重量で 20μg/mLの濃度で、懸 濁し、供試魚を 30分間浸漬することによって行った 。. 人為感染 ワ ク チ ン 接 種 1 週 間 後 に , 両 区 そ れ ぞ れ 30 尾 ず つ に 1 .6x107CFU/mL お よ び. 2.2x107CFU/mLの 2段階の生菌濃度で浸漬攻撃を行った 。攻撃は MCA70で 25C,約 24 0. 時間培養した R2を鴻過海水に懸濁し,供試魚を 20分間浸漬して行った 。供 試 魚 は そ れ ぞ れ 200L容パンライト水槽に収容し,人為感染の翌日から 7 日後まで約 12時間ごとに死亡 魚を取り上げ,以下の式により有効率を算出した 。. 有効率 ( % ) = ( 1ー. FKC投与区の死亡率 FKC非投与区の死亡率. )x100. また死亡魚の体表患部を検鏡した後,体表患部,肝臓,腎臓より MCA70上 に 細 菌 の 分 離を試みた 。. 実 験 H マダイにおいて防御効果が得られるまでの日数の検討 供試魚 近畿大学水産研究所白浜実験場で生産された平均全長 8.8cm,平均体重 1 4 . 6gのマダイ 稚魚 200尾を供試魚として使用した 口. 試験区およびワクチン接種. 200L容ノミンライト水槽 4基に供試魚を 50尾 ず つ 収 容 し , ワ ク チ ン 接 種 3 日後攻撃区,. 1週間後攻撃区. 2 週間後攻撃区,および対照区にそれぞれ設定した 。 ワクチン接種は,. 海水に FKC-R2を湿重量で 20μg/mLの濃度で懸濁し、供試魚を 30分間浸潰することによ って行った 。 人為感染を全区同時に実施できるように,攻撃試験日から逆算してワクチン 接種目を決定した 。. 247.
(12) 近大水研報. 13号. (2013). 人為感染 実験 Iと同様に培養した R2を癒過海水で1.1X108CFU/mLに懸濁し,供試魚を 20分間 浸 潰 し た 。 実 験 Iと同様に有効率を算出し. 死亡魚については体表患部の顕微鏡観察と f. maritimumの分離を試みた 。. 実験日!マダイにおける追加免疫効果の検討 供試魚 近 畿 大 学 水 産 研 究 所 白 浜 実 験 場 で 生 産 さ れ た 平 均 全 長 5.7cm,平均体重 2 . 5g のマダイ 稚魚 120尾 を 供 試 魚 と し て 使 用 し た 。. 試験区およびワクチン接種. 500L容 パ ン ラ イ ト 水 槽 4基 に 供 試 魚 を 30尾ずつ収容し,ワクチン接種は攻撃 1週 間 前 のみ(以下 1週間前接種区), 2週 間 前 の み ( 以 下 2週間前接種区), 1お よ び 2週間前の. 2回(以下 2回接種区),および非接種(以下対照区)の 4設 定 と し た 口 FKC-R2の接種は 実 験 Iと同様に行った 。 接 種 目 は 人 為 感 染 を 全 区 同 時 に 実 施 で き る よ う に , 攻 撃 試 験 日 か ら逆算して決定した 口. 人為感染 実 験 Iと同様に培養,調製した R2をj 慮過海水で 2. 4X107CFU/mLに懸濁し,供試魚を. 20分 間 浸 潰 し た 。実 験 Iと 同 様 に 有 効 率 を 算 出 し , 死 亡 魚 に つ い て は 体 表 患 部 の 顕 微 鏡 観 察と T .ma r i t i mumの分離を試みた 。. 実験 I V ヒラメにおける有効性の検討 供試魚 近 畿 大 学 水 産 研 究 所 白 浜 実 験 場 で 生 産 さ れ た 平 均 全 長 5.9cm,平均体重 2 . 3 gのヒラメ稚 魚を 120尾使用した。. 試験区およびワクチン接種. 200L容 パ ン ラ イ ト 水 槽 を 用 い て 実 験 I Iと同様の 4試験区を設定し,各々 30尾 ず つ 供 試 魚 を 収 容 し た 。 ワクチン接種は,海水に FKCR2を湿重量で 20μg/mLの濃度で懸濁し、 供 試 魚 を 30分 間 浸 潰 す る こ と に よ っ て 行 っ た 。. 248.
(13) 加藤.浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 人為感染. R2による 予備攻撃では十分な死亡率が得られなかったため, 2003年 6月 に 近 畿 大 学 水 産研究所白浜実験場で飼育されていたヒラメより分離された T . maritimum GF0609 ( 以 下 GF0609)を 人 為 感 染 に 用 い た 。GF0609を約 24時間培養し, ~慮過海水で 4.5x10 7 CFU/mL に 懸 濁 し た 菌 液 中 に 供 試 魚 を 20分 間 浸 潰 し た 。 実 験 Iと 同 様 に 有 効 率 を 算 出 し , 死 亡 魚 については体表患部の顕微鏡観察と T .maritimumの 分 離 を 試 み た 。. 結果. 実 験 Iマダイにおける有効性の検討 人為感染後の生残率の推移を F i g .2 1・1 お よ び F i g .2 1 2 に示した. D. 生菌濃度. 1 .6x107CFU/mLで浸漬攻撃したグループの最終生残率は, FKC-R2接 種 区 93.3%,対照 区 60.0%, 有 効 率 は 83.3%で あ っ た 。 ま た 2.2x107CFU/mLの 生 菌 濃 度 で 攻 撃 し た グ ル ー プの最終生残率は, FKC-R2接 種 区 83.3%, 対 照 区 53.3%, 有 効 率 64.3%であった 。 有 意. 100 , 、 、 』 園 訳 J. 80. ω. + e J 60 l o . . . m 〉. 40. 〉 』. コ. C J ). 20. 。 。. 2. 3. 4. 5. 6. Daysafterchallenge F i g . 2・ 1・ 1 . Changes i n the s u r v i v a lr a t e so f red sea bream immersion-vaccinated with FKC o fT . maritimum R2, a f t e r 7 immersion challenge with the bacterium 1 .6X 10 CFU/ml .. vaccinated,A control .. 249.
(14) 13号. 近大水研報. (2013). 100 、 f , 旬 訳、. ω + e J l o . . .. 何. 〉. 80 60 40. 』 〉. コ ω 20. 。 。. 2. 3. 4. 5. 6. Daysafterchallenge . Changes in the survival rates o f red sea bream F i g .2 1・2 . maritimum R2,after immersion-vaccinated with FKC o fT .. immersion challenge with the bacterium 2 . 2x107 CFU/ml vaccinated,. .control .. 水 準 5%、 で χ2検 定 を 行 っ た と こ ろ. 2つ. の FKC-R2接 種 区 の 最 終 生 残 率 は そ れ ぞ れの対照区に対して有意に高かった。死 亡魚、には尾柄部体表にスレ様の変色およ び鰭の融解が認められた C F i g .2・1・3 )0 体表患部を検鏡した結果,すべての死亡 魚で T .maritimum様の滑走運動をする 長梓菌が多数観察された. D. 攻 撃 後 24 時. Fig.2・1・3 .Redseabreami n f e c t e dby immersionc h a l l e n g e .. 間以内に死亡した供試魚の体表患部から は T .mari timumが分離されたが, 36時 間以後に死亡した供試魚からは f. maritimum は分離されず, う 下: b r i o属 細 菌 が 分 離 さ れ た 。 肝 臓 お よ び 腎 臓 か ら は す べ て の 死亡魚で T .maritimumは分離されなかった 。 な お , 実 験期 間 中 の 平 均 水 温 は 20.0Cであ 0. った。. 実験日マダイにおいて防御効果が得られるまでの日数の検討 人為感染後の生残率の推移を F i g .2 14 に示した。最終生残率は 3 日後攻撃区 4%, 1 ・. 週 間 後 攻 撃 区 56%, 2週 間 後 攻 撃 区 76%,対照区 0%で,有効率は 3 日後攻撃区 4.0%, 1. 250.
(15) 加藤:浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 100 , 、 , ま. 80. 、、~. ω + C L J •O. c a. 〉. 60 40. L 〉. コ. ω 20. 。 。. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. Daysafterchallenge F i g .2 1 4 . Changes i n the s u r v i v a lr a t e so f red sea bream immersion-vaccinated with FKC o f T . maritimum R2, a f t e r immersionchallengewiththebacterium._vaccinated3daysb e f o r e e f o r e challenge,.vaccinated 2 challenge,. vaccinated 1 week b weeksb e f o r echallenge,. c o n t r ol .. 週 間 後 攻 撃 区 56.0%, 2週 間 後 攻 撃 区 76.0%であった 。 有 意 水 準 5%で、 χ2検定を行ったと ころ. 1週 間 後 攻 撃 区 お よ び 2週 間 後 攻 撃 区 の 最 終 生 残 率 は 対 照 区 に 対 し て 有 意 に 高 か っ. た。 死 亡 魚 に は 尾 柄 部 体 表 に ス レ 様 の 変 色 お よ び 鰭 の 融 解 が 認 め ら れ た 。 体 表 患 部 を 検 鏡 した結果,すべての死亡魚で Tmaritimum様 の 滑 走 運 動 を す る 長 梓 菌 が 多 数 観 察 さ れ た 。 攻撃後 24時 間 以 内 に 死 亡 し た 供 試 魚 の 体 表 患 部 か ら は T maritimumが分離されたが,. 36時 間 以 後 に 死 亡 し た 供 試 魚 か ら は Tmaritimumは分離されず ,V i b r i o属細菌が分離さ れた 。肝 臓 お よ び 腎 臓 か ら は す べ て の 死 亡 魚 で T .ma r i t i mumは分離されなかった 。なお, 実験期間中の平均水温は 2 0 . 3Cであった 。 0. 実験日I マダイにおける追加免疫効果の検討 人為感染後の生残率の推移を F ig.2-1-5に示した 。 1週 間 前 接 種 区 63.3%, 2週 間 前 接 種 区 63.3%, 2回接種区 76.7%,対照区 10.0%,有効率は 1週 間 前 接 種 区 59.3%, 2週間 前 接 種 区 59.3%,2回接種区 74.1%であった 。有 意 水 準 5%で、 χ2検定を行ったところ 間前接種区. 1週. 2週 間 前 接 種 区 お よ び 2 回 接 種 区 に そ れ ぞ れ 対 照 区 に 対 す る 有 意 差 が 認 め ら. れた 。 しかし 2回接種区と 2つの 1回 接 種 区 の 聞 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。死 亡 魚 に は尾柄部体表にスレ様の変色および鰭の融解が認められた。 体表患部を検鏡した結果,す べ て の 死 亡 魚 で T maritimum様 の 滑 走 運 動 を す る 長 梓 菌 が 多 数 観 察 さ れ た 口 攻撃後 24. 251.
(16) 近大水研報. 13号. (2013). 100 戸 、 曲 示 、 J 、. 80. ω + O J O L. ー 。 。 〉. 60 40. 〉 』. コ. ω 20. 。 。. 2. 3. 4. 5. 6. 7. Daysafterchallenge F i g . 2・1・5. Changesi nthes u r v i v a lr a t e so fo n c e -andt w i c e vaccinatedredseabream,a f t e rc h a l l e n g e ._o n c e -vaccinated1 e f o r e week b e f o r e challenge,φonce-vaccinated 2 weeks b w i c e - vaccinated 1 week and 2 weeks b e f o r e challenge,. t challenge,. .control .. 時間以内に死亡した供試魚の体表患部からは T .maritimumが分離されたが, 36時間以後 に死 亡 し た 供 試 魚 か ら は T .maritimumは 分 離 さ れ ず , V i b r i o属 細 菌 が 分 離 さ れ た 。 肝 臓 お よ び 腎 臓 か ら は す べ ての死亡魚で T .maritimumは分離されなかった 。 なお,実験期間 中の平均水温は 20. 0Cであった 。 0. 実験 I V ヒラメにおける有効性の検討 人為感染後の生残率の推移を F ig.2-1・6に示した 。最 終 生 残 率 は 1週間後攻撃区, 3日後 攻 撃 区 お よ び ワ ク チ ン 非 投 与 区 は い ず れ も 0%,2週 間 後 攻 撃 区 16.7%,有効率は 2週 間 後 攻 撃 区 16.7%, 1週 間 後 攻 撃 区 お よ び 3 日後攻撃区はともに 0%であった 。有 意 水 準 5%で が 検 定 を 行 っ た と こ ろ , 試 験 区 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 口死 亡 魚 に は 尾 柄 部 体 表 に スレ様の変色および鰭の融解が認められた。 体表患部を検鏡した結果,すべての死亡魚で. T .maritimum様 の 滑 走 運 動 を す る 長 梓 菌 が 多 数 観 察 さ れ た 。攻 撃 後 12時 間 以 内 に 死 亡 し た供試魚の体表患部からは T .maritimumが分離されたが, 24時 間 以 後 に 死 亡 し た 供 試 魚 からは T .maritimumは分離されず,. う 下; b r i o属 細 菌 が 分 離 さ れ た 。 肝 臓 お よ び 腎 臓 か ら は. すべての死亡魚で T .mari timum は 分 離 さ れ な か っ た 。 な お , 実 験 期 間 中 の 平 均 水 温 は. 2 5 . 0Cであった 。 0. 252.
(17) 加藤:浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 可. r. 、 一.-. 1 0 0 , 、 訳 ? J J 、 司. ω + e J O L. 8 0 6 0. ー. 〉 e. 40. 』 〉 .. コ. ω. 2 0. 。 。. 2. 3. 4. 5. Daysafterchallenge( h ) Fig.2・1・6 . Changesi nthes u r v i v a lr a t e so fJapaneseflounder immersion-vaccinated with FKC o fT . maritimum R2,a f t e r immersionchallengewithT .maritimumGF0609.• vaccinated3 daysb e f o r echallenge,. vaccinated1weekb e f o r echallenge,. vaccinated2weeksb e f o r echallenge,. .control .. 考察. 本節では滑走細菌症に対する予防効果を検討するために. T .maritimumR2のホルマ. リン不活化菌体を抗原とした浸漬ワクチンをマダイおよびヒラメに接種し、人為感染でそ の有効性を検定した。なお,本研究では T .maritimumの 人 為 感 染 に は 効 果 が 低 い と さ れ ていた浸漬法. 27, 44) に よ っ て 人 為 感 染 を 実 施 し た が , 対 照 区 で は. 90%以 上 の 死 亡 率 が 認 め. .1X1 08 CFU/mLという高濃度の菌液に供試魚を浸潰したため られた 。これは1.6X107'"'-'1 と考えられる 。 実験 Iでは,マダイにおいて FKC-R2浸 漬 に よ る 防 御 効 果 を 判 定 し た 。1 .6x107CFU/mL お よ び 2.2x107CFU/mLの 2段 階 の 生 菌 濃 度 で 浸 漬 攻 撃 を 行 っ た と こ ろ , 有 効 率 は そ れ ぞ れ 83.3%, 64.3%であった 。 実 験 条 件 下 で 有 効 率 が 60%に 満 た な い ワ ク チ ン は 持 続 期 間 が 短 く, 野 外 試 験 に お い て 予 防 効 果 が 低 い と 言 わ れ て い る (Donald 1 981)こ と か ら , 有 効 率. 64.3%以上であったマダイでは,滑走細菌症に対して FKC浸漬ワクチンが有効であること が示された 。 実験 I Iで は , ワ ク チ ン 接 種 後 の 経 過 日 数 の 相 違 に よ る 影 響 を 検 討 し た 。 2週 間 後 攻 撃 区 で有効率 76.0%, 1週 間 後 攻 撃 区 で 56.0%,3日後攻撃区で 4%となった 。 ワクチン接種後. 253.
(18) 近大水研報. 13号. (2013). 1週間目には免疫の効果が現れ,ワクチン接種から人為感染までの期間が長い試験区で有. ' " ' ' 効率が高くなる傾向が認められた。 一般的にマダイの養殖用種苗は陸上水槽で全長 1. 3cmまで飼育された後,海面の小割り生責に「沖出し 」 される(宮下・瀬岡 2005)0 滑走細 菌症が蔓延するのは主に沖出し数週間後から 6cm 程度に成長するまでである(増村・若林. 1 9 7 7 )ことから,ワクチンによって滑走細菌症を防除するためには,少なくとも沖出し 1週 間前までにワクチンを接種することが望ましい 。 実験 1 1 1では 2回接種区を設定し. 1回接種区および対照区と比較することで,追加免. .maritimumホルマリン不活 疫効果の検討を行った 。 seabassを供試魚とした報告では T 化 菌 体 に 対 す る 血 中 抗 体 価 は 1回接種 20 日後の 128倍に対し 2回接種 15 日後は 512倍. S a l a t ie tal . 2005)。本研究においても 2回接 と顕著なブースター効果が認められている < 種区の有効率は 74.1%で,いずれも 59.3%であった 1回接種区よりも高い結果が得られた ことから, 2回以上の免疫によってより高い効果が得られることが確認された 。 マダイの滑走細菌症に対する浸漬ワクチンの有効性が明らかとなったが,マダイにおい ては沖出し直後から水温が上昇し滑走細菌症が収束するまでの数ヶ月間,ワクチンの効果 が持続することが望ましい 。 今後は浸漬ワクチンによる抗病性の持続期間を明らかにする 必要がある 。 実験 IVでは FKC-R2の有効性をヒラメにおいても検討したが,マダイ由来の R2によ る予備攻撃では十分な感染が認められなかった 。 一方ヒラメ病魚から分離された GF0609 で攻撃した場合,対照区の死亡率が 100%を示したことから ,特 定 の 菌 株 に 対 す る 感 受 性 が魚種によって異なることが示唆された 。 同時に,同一魚種であっても菌株によって毒性 が異なることも明らかとなった 。 GF0609 による攻撃では. 2週 間 後 攻 撃 区 に お い て も 有. 効 率 16.7%であり, FKC-R2による感染防御効果が極めて低かった。原因の 1っとしてワ クチンに用いた株と人為感染に使用した株が異なっていたことが疑われたため,次節では ヒラメ分離株で作製したワクチンの有効性を検討した 。. 254.
(19) 加藤:浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 2-2 FKC-R2と FKC-GFの比較. 1 1に お い て , マ ダ イ で は 有 効 で あ っ た FKC-R2が GF0609で攻 撃 し た ヒ ラ メ で は 有 効 性が認められなかったため,本節では GF0609で不活化ワクチンを作製し(以下 FKC-GF),. FKC-R2と と も に そ の 有 効 性 を マ ダ イ お よ び ヒ ラ メ に お い て 検 討 し た 。. 材料および方法. 供試魚 近 畿 大 学 水 産 研 究 所 白浜 実 験 場 で 生 産 さ れ た 平 均 全 長 11 .8cm,平 均 体 重 30 . 7g のマダイ. 120尾 , 平均全長 18.7cm,平均体 重 6 3 . 6g のヒラメ 120尾 を 使 用 し た 。. 供試ワクチン. 1 1で使用した FKC-R2,およびヒラメ由来株 GF0609を FKC-R2と同様の方法で 不 活 化 し た 菌 体 (FKC-GF) を供試ワクチンとした 。. 試験区およびワクチン接種. 200L容パンライ ト水槽 6基に供試魚、を 10尾ずつ収容し, 3基を R2攻撃区, 3基を GF0609攻 撃区とした。さらに両区各 1基を FKC-R2接種区, FKC-GF接種区,および対 照区に設定した 。 ワクチン接種は浸漬法によって行い,浸漬濃度は湿重量で 20μg/mL,浸 漬 時 間 は 20分とした。. 人為感染. FKC接 種 10 日後に, MCA70で 25C,約 24時間培養し, PBSに懸濁した R2お よ び 0. GF0609の菌懸濁液を BCG接種用 管 針 で 供 試 魚 体 表 に 接 種 し た 。 R2の接種菌液の濃度は マ ダ イ に で は 2.2x1010CFU/mL,ヒラメでは 6.6x1010CFU/mL, GF0609の 濃 度 は マ ダ イでは 3.0x1010 CFU/mL,ヒラメでは 6.1x1010 CFU/mLで あった. D. 人為感染の翌日から. 7 日後まで約 12時間ごとに死亡魚を取り上げ,有効 率 を 算 出 し た 。死 亡 魚 に つ い て は 体 表 患 部 の 顕 微 鏡 観 察 後 , 体 表 患 部 か ら MCA70上に T .marjtjmumの分離を試みた 。. 255.
(20) 13号. 近大水研報. (2013). 結果. マダイ. R2攻 撃 区 の 生 残 率 の 推 移 を F i g .2 2・1に示した 。最 終 生 残 率 は FKC-R2接 種 区 で は 80%, FKC-GF接 種 区 で は 40%,対照区では 20%であった 。有 効 率 は FKC-R2接 種 区 で は 75%, FKC-GF接 種 区 で は 25%であった 。 有 意 水 準 5%、 で χ2検定を行ったところ, FKC-R2接 種 区の最終生残率は対照区に対して有意に高かった。. GF0609攻 撃 区 の 生 残 率 の 推 移 を F i g .2 2 1 に示した 。 最 終 生 残 率 は FKC-R2接 種 区. 100 r 、 町 ぎ空 、 . - 80. ω. +J 。 目 ~. 60. ー. c a. 〉. 40. 〉 L.. コ ω 20. 。 。. 2. 3. 4. 5. 6. 7. Daysafterchallenge 1 .Changesi nthes u r v i v a lr a t eo fimmersion-vaccinated F i g .2 2・ redseabreama f t e rchallengewithR2s t r a i n .(口)Vaccinatedwith FKC-R2,(ム)vaccinatedwithFKC-GF ,(0)control .. では 100%,FKC-GF接 種 区 で は 100%, 対 照 区 で は 90%であった 。この結果から ヒラメ由来株 GF0609は マ ダ イ に 対 し て 毒性が弱いことが示された。 すべての死亡魚の菌接種部位には潰湯 状の患部が形成され ( F i g .2 2・2 ), 体 表 患部を検鏡した結果. T maritimum様. の滑走運動をする長梓菌が多数観察され た。 ま た 死 亡 魚 か ら は T maritimumは 分離されず,体表患部からビブリオ属細. F i g . 2・2 2 .Redseabreami n f e c t e dby stampc h a l l e n g e .. 256.
(21) 加藤:浸漬ワ クチンによる滑走細菌症の防除. 菌 が 分 離 された 。 なお ,実験期間 中の平均水 温は 21 .7Cであった 。 0. ヒラメ. R2攻 撃 区 の 生 残 率 の 推 移 を Fig.2 2 3~こ示. し た 。 最終生残率は FKC-R2 接種区では 80 % ,. 100 r 、町 ぎ更 、 - 80. ω. +' 何 L. 一 何 〉. 60 40. 〉 L. コ ω 20. 。 。. 2. 3. 5. 4. DaysafterchaI l e n g e F i g . 2 2・3 . Changes i n the s u r v i v a l r a t e o f immersion-vaccinated Japanese flounder a f t e r challenge with R2 s t r a i n . (口) Vaccinated with FKC-R2,(ム) ,(0)control . vaccinatedwithFKC-GF FKC-GF接 種 区 で は 80%,対照区では 100%であった 。 このことからマダイ 由来株 R2は ヒラメに対して毒 性 が弱いことが 確 認 さ れ た 。. GF0609攻 撃 区 の 生 残 率 の 推 移 を F ig.2 2・4に示した 。 最 終 生 残 率 は FKC-R2接 種 区 で は 0%, FKCGF接 種 区 で は 0%,対 照区 では 10%であった 。. , 戸 、 、 ま. 。+. 100 80. f O J L. 60. e 〉 o. 40. L 〉. 20. コ. ω. 。 。. 2. 3. 4. 5. Daysa f t e rchallenge Fig.2・2・4Changesi nthes u r v i v a lr a t eo fimmersionv a c c i n a t e d Japanesefloundera f t e rchallengewithR2s t r a i n .(口)Vaccinated withFKC-R2,(ム)vaccinatedwithFKC-GF ,(0)control . 257.
(22) 近大水研報. 13号. (2013). 有 意 水 準 5%で、 χ2検定を行ったが, R2攻撃区, GF0609攻 撃 区 い ず れ に お い て も 試 験 区 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 そのた め有効率は算出していない。 死亡魚の菌接種部位には潰蕩状の患部 が形成され ( F i g .2・2 5 ), 体 表 患 部 を 検 鏡した結果,すべての死亡魚で. T .. maritimum様 の 滑 走 運 動 を す る 長 梓 菌 が 多 数 観 察 さ れ た 。ま た 死 亡 魚 か ら は T .. maritimumは分離されず,体表患部から. Fig.2・2・5 .Japaneseflounderi n f e c t e d bystampc h a l l e n g e .. ビ ブ リ オ 属 細 菌 が 分 離 さ れ た 。 なお,実 験期間中の平均水温は 1 8 . 9Cであった 口 0. 考察. 前 節 の ヒ ラ メ に 対 す る GF0609攻 撃 で は , い ず れ の 試 験 区 に お い て も 有 効 率 16.7%以 下 で あ り , 感 染 防 御 効 果 が 認 め ら れ な か っ た 。 原 因 の 1っ と し て ワ ク チ ン に 用 い た 株 (R2) と 人 為 感 染 に 使 用 し た 株 (GF0609)が異なっていたことが疑われたため,本節では FKC-R2,. FKC-GF両 ワ ク チ ン の 有 効 性 を マ ダ イ お よ び ヒ ラ メ で そ れ ぞ れ 検 討 し た 。攻 撃 に は 両 魚 種 ともに R2お よ び GF0609の 2株を用いたが, GF0609で 攻 撃 し た マ ダ イ お よ び R2で攻 撃 し た ヒ ラ メ の 生 残 率 は , 対 照 区 で も 80%以 上 を 示 し た が異なる種特異的病原因子を持つことを示唆している. D. このことは R2お よ び GF0609. O. R2 で 攻 撃 し た マ ダ イ に お い て は FKC-R2 接 種 区 で 高 い 有 効 率 (75%) が 得 ら れ , T .. maritimumの 感 染 に 対 す る 浸 漬 ワ ク チ ン の 効 果 が 確 認 さ れ た 。 しかし FKC-GF接 種 区 の 有効率は低く. (25%), R2と GF0609で は ワ ク チ ン と し て の 効 果 が 異 な る こ と が 明 ら か と. なった 。 これには R2お よ び GF0609の 病 原 因 子 の 違 い が 影 響 し て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る. O. 一 方 FKC-R2, FKC-GFいずれのワクチンによっても, GF0609の 攻 撃 に よ る ヒ ラ メ の 滑 走 細 菌 症 を 抑 制 す る こ と は で き な か っ た 。 ワ ク チ ン 株 と 攻 撃 株 が 同 じ GF0609であって も効果は見られず,ヒラメではマダイと異なり F K C浸 漬 ワ ク チ ン の 有 効 性 を 確 認 す る こ と ができなかった。 その理由としては,ホルマリンで不活化した T .maritimumの ヒ ラ メ へ の筋肉内接種によって血中抗体価の上昇が認められることから(河原ら 2 001 ),ヒラメでは 体 内 の 免 疫 系 と 比 較 し て 体 表 の 局 所 免 疫 が 不 十 分 で あ る 可 能 性 が 考 え ら れ る oFKC接 種 か ら人為感染までの期間 ( 10 日 間 ) が 短 す ぎ た た め , す な わ ち ヒ ラ メ の 免 疫 応 答 が マ ダ イ に. 258.
(23) 加藤 :浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 比べて緩やかであることも考えられる。あるし、は. GF0609の病原因子は R2に比べてホ. ルマリンによる変性を受けやすいのかも知れない。 前節および本節の人為感染試験では,滑走細菌症の典型的な症状を示し,体表患部に T .. maritimum様の長梓菌が多数観察されたにも関わらず. T .maritimumを培地上に分離. .maritimumの他にも多くの細菌が混在し できない事例が多数見られた。体表患部には T ており,その多くは T .mari t i mumの発育を阻害する (Pazose tal .1996)。本実験において. i b r i o属細菌が T .maritimumの発育を阻害した可能性が考え も体表患部から分離された V られる。. 259.
(24) 近大水研報. 13号. (2013). 2-3 野外分離株で作製した FKCの比較. 前節ではヒラメだけではなく,マダイにおいてもヒラメ分離株由来ワクチンの防御効果 が低いことが示唆された。 そこでワクチンの実用化に当たっては多数の野外分離株から FKCを 作 製 し , さ ら に 検 討 を 行 う 必 要 が あ る と 考 え ら れ た 。 本 節 で は 野 外 分 離 株 14株 で. 作製した FKCの 有 効 性 を マ ダ イ を 供 試 魚 と し て 比 較 し た 。. 材料および方法. 供試魚. 4cm,平均体重 3. 1g ) 近 畿 大 学 水 産 研 究 所 白 浜 実 験 場 で 生 産 さ れ た マ ダ イ ( 平 均 全 長 5. を 450尾 使 用 し た 。. 供試ワクチン 1990年から 2003年 に 和 歌 山 県 の 養 殖 場 に お い て 滑 走 細 菌 症 の 症 状 を 呈 し た 擢 病 魚 か ら MCA70 上 に 分 離 さ れ , コロニーの色調および形状 ,顕 微 鏡 観 察 に よ っ て T maritimum. と簡易同定されたマダイ由来 11株,ヒラメ由来 1株 ,. トラフグ由来 1株 CTable2・3-1) を. 供 試 し た 。 1977年 に 広 島 県 の マ ダ イ 病 魚 か ら 分 離 さ れ た T maritimumの基準株 , R2を 加 え た 14株について, 2-1の FKC-R2 と同じ方法で不活化し ,供 試 ワ ク チ ン と し た 。. Table2-3・ 1 .Strainsofglidingbacteriausedforvaccination. N o . 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 1 12 1 3 14. S t r a i n R2 SM2202s OM2203 SM2325 SM3322c OM3510 GF0609 SUT3523 MC9210 MC9226 MC9227 MG9112 MK9035 SM2202n. Dateo fi s o l a t i o n l30,1977 Ju. F e b .2 . 2002 M a r .2 3 . 2002 M a r .25,2002 Mar.2 2 . 2003 May10,2003 Jun.9 . 2003 May23,2003 M a r .25,1992 J u n .1 . 1992 J u n .1 . 1992 A p r .19,1992 J u n .6.1990 F e b .2 . 2002. 260. Hostf i s h Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Japanesef l o u n d e r T i g e rp u f f e r Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream. L o c a t i o n Hiroshima Shirahama Kushimoto Shirahama Shirahama Kushimoto Shirahama Susami Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama.
(25) 加藤 :浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 試験区設定およびワクチンの投与. 200L容 パ ンライト水槽 15基に供試魚を 30尾 ず つ 収 容 し た 。 14基を FKC接 種 区. 1. 基を対照区に設定した 。FKC接種は浸漬法によって行い,浸漬濃度は湿重量で 20μg/mL, 浸漬時間は 30分とした。. 人為感染. FKC接種から 2週間後に MCA70で 25C, 約 24時間培養した R2を,滞、 過 海 水 で 4.6x107 0. CFU/mLに懸濁し,供試魚を 20分間浸潰した 。 人為感染の翌日から 10 日後まで約 12時 間ごとに死亡魚を取り上げ,有効率を算出した。また死亡魚については体表患部の顕微鏡 観察後,体表患部,肝臓および腎臓から MCA70上に T maritimumの分離を試みた 。. 結果. 3 2に示した 口 FKC接種区の最終生残 人為感染後の最終生残率および有効率を Table2 率は 0~90% ,有効率は -3 .4 ~89.7% となり,供試株間で有効性に大きなばらつきが見ら. れた 。有意水準 5%、 でχ2検定を行ったところ ,7区 (R2,SM2202s,OM2203,SM2325,. SM3322c, OM3510, SUT3523,MC9210) の 生 残 率 は 対 照 区 に 対 し て 有 意 に 高 か っ た 。 特に SM2202s, SM3322c, OM3510の 3 区では 60%以上の有効率が得られ, R2で免疫 した区を上回った 。 体表患部を検鏡した結果,すべての死亡魚で T .mari t i mum様 の 滑 走. Table 2 3 2 . Protection against R2 challenge by 14 typesofFKCsi nredseabream. S t r a i n R2 SM2202s OM2203 SM2325 SM3322c OM3510 GF0609 SUT3523 MC9210 MC9226 MC9227 MG9112 MK9035 SM2202n C o n t r o l. NO.of X2t e s t c h a l l e n g e df i s h Pく0 . 0 5 30 Pく0. 05 30 Pく0. 05 2 8 Pく0 . 0 5 30 Pく0 . 0 5 2 9 Pく0 . 0 5 30 30 Pく0. 05 30 2 9 30 30 30 30 2 9 30. 261. S u r v i v a l RPS( % ) % ) r a t e( 5 6 . 7 5 5. 2 7 2. 4 71 .5 46. 4 44. 6 4 3 . 3 4 1. 4 7 5. 9 7 5. 0 9 0 . 0 8 9. 7 3 6 . 7 3 4 . 5 4 3 . 3 4 1 . 4 2 0 . 0 1 7 . 2 2 3 . 3 2 0 . 7 一3. 4 3 . 3 3 . 3 1 3 . 8 1 0 . 8 3 . 3. 。 。 。.
(26) 近大水研報. 13号. (2013). 運動をする長梓菌が多数観察された。攻撃後 24 時間以内に死亡した供試魚の体表患部か らは T .maritimumが分離されたが, 36時間以後に死亡した供試魚からは T .maritimum は分離されず , V i b r i o属 細 菌 が 分 離 さ れ た 。 肝 臓 お よ び 腎 臓 か ら は す べ て の 死 亡 魚 で t. maritimumは分離されなかった。なお. 実験期間中の平均水温は 1 9 . 6Cであった。 0. 考察. 本 節 で は 野 外 分 離 株 13株 お よ び 基 準 株 R2で作製した FKCをマダイに投与し, R2の 人為感染に対する有効性について検討した。その結果生残率が対照区に対して有意に高か. .maritimumには 3種 類 の 血 清 ったのは 14の FKC接種区中 7区のみであった。現在 , T tal .2004,Avendano・Herrerae tal .2005)。 血 型が報告されている (Avendano-Herrerae 清型との関連性は不明であるが,本実験での有効性のばらつきは免疫原性の差異によるも のである可能性が考えられる。 SM2202s, SM3322c, OM3510の 3 区では,人為感染に. R 2 )で免疫した区よりも明らかに高い有効率が得られた。これら 3株 は R2より 用いた株( も多量の防御抗原を持っている可能性が考えられる口 以上のことからワクチン実用化のためには,各漁場における原因菌株のタイプについて 調 査 を 行 い , 場 合 に よ っ て は R2以外の株のワクチンを作製する必要があると思われる。. 262.
(27) 加藤:浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 第 3部 野 外 分 離 株 の 比 較. 第 2部でマダイにおいて R2由来の浸漬ワクチンが有効であることが明らかとなったが, 弱毒株 GF0609から調製したワクチンの R2攻撃に対する防御効果は低かった。さらに野 外分離株 1 3株でワクチンを調製して比較したところ,株によって R2攻撃に対する防御効 果に大きなばらつきが見られた。そこで第 3部では,野外分離株の毒性を人為感染によっ て評価し,ワクチンとしての有効性と比較すると共に,それぞれの株の分類学的検討を行 った。. 3 1 人為感染による毒性比較. 野外分離株を供試菌としてマダイに対する人為感染を行い,死亡率により株間の毒性比 較を行った。. 材料および方法. 供試魚. 003年に生産された平均全長 15.3cm,平均体重 5 7 . 0 近畿大学水産研究所白浜実験場で 2 g のマダイを. 200尾使用した。. 供試菌株. 2 3で用いた 1 4株 を 含 む 20株を用いた ( T a b l e3・1 1 ) 0. 試験区設定. 200L容 ポ リ カ ー ボ ネ イ ト 水 槽 20基に供試魚を 1 0尾 ず つ 収 容 し 供 試 菌 20株 に そ れ ぞ れ 1基ずつ割当てた。. 人為感染. MCA70で 250 C 約 24時間培養し, PBSで 4 . 5x1 08CFU/mLに調製した菌懸濁液を BCG接種用管室十で供試魚体表に接種した。人為感染の翌日から 7 日後まで約 24時間ごと 5 . 50 Cであった。 に死亡魚を取り上げ,体表患部を検鏡した。実験期間中の平均水温は 1. 263.
(28) 近大水研報. 13号. (201 3). Table3・1・1 .Strainsofglidingbacteriausedf o ri n f e c t i o n .. 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 14 1 5 1 6 1 7 1 8 1 9 20. S t r a i n R2 SM2202s OM2203 SM2325 SM3322v SM3322c SM3404 SM3509 OM3510 SUT3523 GF0609 MC9210 MC9226 MC9227 MG9111 MG9112 MK9004 MK9035 MS0427 SM2202n. Date Ju. l3 0 . 1977 F e b .2,2002 M a r .23,2002 M a r .25,2002 M a r .22,2003 M a r .22,2003 A p r .4,2003 May9,2003 May10,2003 May23,2003 J u n .9,2003 Mar .2 5 . 1992 J u n .1,1992 J u n .1 . 1992 9 1 A p r .19,19 A p r .19,1992 M a r .1 6 . 1990 J u n .6,1990 F e b .2,2002. F i s hh o s t Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream T i g e rp u f f e r Japanesef l o u n d e r Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream Redseabream. L o c a t i o n H i r o s h i m a Shirahama Oshima Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Oshima Susami Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama Shirahama. 結果および考察. 人為感染の結果を Table 3・1・2 に示した 。 死亡魚の体表患部を検鏡したところ,すべて の死亡魚で滑走細菌が確認された 。 マダイ由来株 18株中 9株 で 70%以上の高い死亡率が得られたが,他の 9株 で は 死 亡 が 認められなかった。滑走細菌症の症状を示すマダイ擢病魚から分離されたにも関わらずマ ダイに対して病原性を示さなかった株については,強毒株の感染病巣に 2次的に感染して いた,特定の条件下でのみ病原性を発揮する,あるいは保存中に病原性が低下しやすいな どの理由が考えられるが更に検討する必要がある 。またトラフグ由来株 (SUT3523) 攻 撃 区は 80%の死亡率を示したが,. ヒ ラ メ 由 来 株 (GF0609) 攻 撃 区 は 20%にとどまった 。. GF0609は第 2部でヒラメに対しては強い毒性を示すことが確認されているので,その他. の株についても魚種によって感受性が異なることが考えられる 。 2-3 においてワクチンの有効率が 20.7%以下であった株は,本節の攻撃試験においてす. べて死亡率 0%で あ っ た 。 こ の こ と か ら マ ダ イ に 対 す る 弱 毒 株 と 強 毒 株 で は , 病 原 因 子 お よび免疫原性が異なると考えられた。そこでこれらの菌株に対して,以下で詳細な分類学 的検討を行った 。 264.
(29) 加藤:浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 1・2 . Result o Table 3 f experimental i n f e c t i o no fg l i d i n gb a c t e r i a .. S t r a i n 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 6 1 7 1 8 1 9 2 0. R 2 SM2202s OM2203 SM2325 SM3322v SM3322c SM3404 SM3509 OM3510 SUT3523 GF0609 MC9210 MC9226 MC9227 MG9111 MG9112 MK9004 MK9035 MS0427 SM2202n. Dead ( f i s h ) 7 1 0 9 9 9 1 0 8 9 9 8 2. 。 。 。 。 。 。 。 。 。. 265. M o r t a l i t y ( % ) 7 0 1 0 0 9 0 9 0 9 0 1 0 0 8 0 9 0 9 0 8 0 2 0. 。 。 。 。 。 。 。 。 。.
(30) 近大水研報. 13号. (2013). 3-2 性状諒験による表現形質の比較. 野 外 分 離 株 中 に T maritimum基 準 株 と は 病 原 性 お よ び 免 疫 原 性 の 異 な る 株 が 認 め ら れ たため,本節ではそれら 20株の性状を詳細に比較した。. 材料および方法. 供試菌株. 3 1と同じ滑走細菌 20株 を 用 い た 。. 生理学的性状. 2 5,30,50,75, 改変サイトファーガ培地(以下 MCA) を 基 礎 培 地 と し て 海 水 要 求 性 ( 100%) お よ び 塩 分 要 求 性 (0%, 3%) を,また 100%海 水 改 変 サ イ ト フ ァ ー ガ 培 地 を 基 礎 培地として発育温度 ( 5, 15, 25, 30, 37C) お よ び 発 育 pH ( 4 " ' 1 0 ) を比較した。 0. 各種培地上での発育 トリプトソーヤ (TSY) , BH , I BCP-D, CTA,マツコンキー,普通寒天およびそれら に 3%NaCIを 添 加 し た 培 地 上 で の 発 育 を 比 較 し た 。. 炭素源利用能. 95種の炭素源利用能によって細菌を同定するマイクロログシステム(バイオログ社)を 利 用 し て , 各 株 の 単 一 炭 素 源 利 用 能 を 比 較 し た 。 MCA70 で 前 培 養 し た 供 試 菌 株 を 100% 人工海水で調整した i noculatingf l u i d (0.02%GellanGum, 0.03%PluronicF-68) に懸 濁し, 95種 の 炭 素 源 が 固 着 さ れ た 96穴 GN2マ イ ク ロ プ レ ー ト ( バ イ オ ロ グ 社 製 ) に 接 種し, 24時 間 培 養 後 , 目 視 に よ っ て 陰 性 対 照 の ウ ェ ル に 比 較 し て 強 く 発 色 し て い る ウ ェ ル の炭素源を検索した。供試した炭素源は Table3・2 2に示した 44種類に, α-Cyclodextrin,. Glycogen,N-Acetyl-D-Glucosamine,L-Arabinosse,D-Cellobiose,D-Fructose,L-Fucose, D-Galactose,Gentiobiose,α-D-Glucose,m l n o s i t o l,α -D-Lactose,Lactulose,Maltose, D-Mannose,D-Melibiose,B-Methyl-D-Glucoside,D-Psicose,D-Raffinose,L -Rhamnose, D-Sorbitol,Sucrose,D-Trehalose,Tu ranose,X y l i t o l,C i s A c o n i t i cAcid,C i t r i cAcid, D-GalactonicAcidLactone, D-GalacturonicAcid, D-GluconicAcid, D-Glucosaminic -HydroxyPhenylaceticAcid,I t a c o n i cAcid,MalonicAcid, Acid,D-GlucuronicAcid,p QuinicAcid,D-SaccharicAcid,S u c c i n i cAcid,BromosuccinicAcid,SuccinamicAcid, 266.
(31) 加 藤 :浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. Glucuronamide,D-Alanine,D-Serine,D, L-Carnitine,y -AminoButyricAcid,Inosine, Phenyethyl-amine,Putrescine,D, L-α-GlycerolPhosphate,α -D-Glucose-1-Phosphate, D-Glucose-6-Phosphateの 51種 類 を 合 計 し た 計 95種類である 。. 結果. 生理学的性状および各種培地上での発育. Table3 2 1に結果を示した 。25%海 水 MCA. 3%NaCl添加 MCA,5C,37C,3%NaCl 0. 添加普通寒天において. マダイ由来強毒株. トラフグ由来株. 0. ヒラメ由来株の 1 1株 ( 以. 下強毒株群)とマダイ由来弱毒株 9株の間(以下弱毒株群)に発育の差が認められた 。. 炭素源利用能. Table3 2 2に結果を示した 。表に示さなかった 51種の炭素源については,供試した 20 株すべてが利用できなかった 。強毒株群の内すべての菌株が利用できた炭素源は 18種,弱. ceticAcid, 毒株群の内すべての菌株が利用できた炭素源も 18 種であった 。 このうち A FormicAcid,α-KetoButyricAcid,D, L-LacticAcid,PropionicAcid,L-Alanyl-glycine, L-AsparaticAcid,L-GlutamicAcid,Glycyl-L-AsparaticAcid,Glycyl-L-GlutamicAcid, L-Ornithine,L-Threonineの 12種は両群で共通に利用可能であった 。強毒株群のみ利用 可能であったのは, D-Arabito , lα -HydroxybutyricAcid,α -KetoGlutaricAcid,L-P r o l i n e,. LSerine,2-Aminoethanolの 6種,弱毒株群のみ利用可能であったのは,Tween80,α-Keto u c c i n i cAcid, L-Asparagine,Hydroxy-LP r o l i n e,L -Leucineの 6種であ V a l e r i cAcid, S った 。. 考察. 強毒株群と弱毒株群で多くの性状に差が認められた 。 生理学的性状では弱毒株群は強毒 株群に比較して発育可能温度域が広かった 。また,弱毒株群は NaClのみを添加した MCA で発育可能であり,海水要求性も低かった こ とから , Na以外のイオンに対する要求が低 いと考えられる。また炭素源の利用能の比較では,強毒株群,弱毒株群ともに 18種類を. 2種類であった 。 マダイに対 利用することができたが,両群共通で利用可能な炭素源は 1 して強い毒性を示したマダイ由来 9株 と ト ラ フ グ 由 来 1株は,マダイ由来弱毒株群 9株と は多くの表現形質で異なっていた 。 ヒラメ由来の 1株はマダイに対しては低い毒性しか示. 267.
(32) 13号. 近大水研報. (2013). さなかったが,表現形質では強毒株と多くの性状で一致していた 。 したがってヒラメ由来 株を強毒株群として扱った 。. Table3・2 -1 .P h y s i o l o g i c a lc h a r a c t e r i s t i c so f20T e nacibaculums t r a i n s . 戸 s 」 a、 I l : : ω t 孟 L : •. Redseabream ( H i g hv i r u l e n t ). g g gg 言g 語E s g gg 喜E EE gコ ト 円 回 削 c / ). Growthi n Seawater ( % ) 25 30 50 75 100 NaCI( % ). + + + +. + + + +. + + +. + + +. + + + +. + + + +. + + +. + + +. + + +. + + + +. Redseabream (Lowv i r u l e n t ). E U a D E 3 E. + + +. E ii Ei Ei Ei. 55ii 主. 主. 主. 日. + + + + +. + + + + +. + + + + +. + + + + +. + + + + +. + + + + +. + + + + +. + + + + +. + + + + +. +. +. +. +. +. +. +. +. +. 主. O 3 pH. 4 5 6 8. 9 10 Temperature 5 15 25 30 37. + + +. + + +. + + +. + + + + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + +. + + + + +. + + + + +. + + + +. + + + + + + + + + +. + + + + +. + + + + +. + + + + +. + + + + +. +. +. +. +. +. +. +. +. + + +. Growthon N u t r i e n tAgar 3%NaCIN u t r i e n tAgar BCP-DAgar 3%NaCIBCP-DAgar CTAAgar 3%NaCICTAAgar TSA 3%NaCITSA BHIAgar 3%NaCIBHIAgar MacConkeyAgar ~Na旦坦坦QonkeyAzar. 268. +.
(33) 加藤:浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. Table3 2 2 .Thea b i l i t yo f20T enacibaculums t r a i n st ousecarbons o u r c e .. l ι k 岳宅t .. Redseabream ( H i g hv i r u l e n t ). E 5 g 5 E 2 5 s 5 S 5 5 gE g E き D e x t r i n Tween4 0 + Tween8 0 A-Acetyl-D-Galactosamine A d o n i t o l D A r a b i t o l + i E r y t h r i t o l D-Mann比0 1 P y r u v i cAcidM e t h y lE s t e r + S u c c i n i cAcidMono-Methyl-Ester A c e t i cAcid + FormicAcid + α-HydroxybutyricAcid + s-HydroxybutyricAcid y H y d r o x y b u t y r i cA c i s α-Keto8 u t y r i cAcid + α-KetoG l u t a r i cAcid + α. -KetoV a l e r i cA c i d D, LL a c t i cAcid + P r o p i o n i cAcid + S u c c i n i cAcid L-Alaninamide L A l a n i n e LA l a n y l g l y c i n e + L-Asparagine + + LA s p a r a t i cAcid L-GlutamicA c i d + G l y c y lー しA s p a r a t i cAcid + G l y c e l L -GlutamicAcid + LH i s t i d i n e Hydroxy ー しP r o l i n e L-Leucine L-Omithine + L P h e n y l a l a n i n e L P r o l i n e + LP y r o g l u t a m i cAcid L-Serine + L-Threonine + UrocanicAcid U r i d i n e Thymidine 2-Aminoethanol + 2, 3 8 u t a n e d i o l G l v c e r o l. Redseabream (Lowv i r u l e n t ). 。 8 2 3 @ E 8 2 3a h 8 EF = 8 EN = 8 Es E 空 2 g 空 自 h 2 牢 a Z 記 望 富 出 2 守. 山. + +. + +. +. + +. + + + +. + + +. + + +. + + +. + + + + +. + + + +. + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +. + + + + + + + + + + + + +. + + + +. + +. + + + + + +. + + + + + +. + + + + + + + +. + + +. + +. +. + + + + + + + + + + +. + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +. + + + + + + + +. + + + + + + + +. + + + + + + + + + +. + + +. +. + + + + + + + + + + + +. + + + +. + + + +. + + + + + + + +. + + + + + +. + + + + + + + + + + + +. + + + + + + + + + + + +. +. + + + + + + + + + + + + + + +. + +. + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +. + +. +. +. + + +. + +. + + + +. + + + +. + + + + + + + +. + + + + +. + + + +. + + + +. + + +. + + +. +. + + + + + +. + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +. + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +. 269. + + + + + +. + + + + + +. + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +. +. + + + + + +. +. + + + + +. + + +. + +.
(34) 近大水研報. 13号. (2013). 3-3SDS-PAGE法による全菌体タンパク質の比較. 本 節 で は SDS-PAGE法による全菌体タンパク質の比較を行った。. 材料および方法. 供試菌株. 3・1と同じ滑走細菌 20株を用いた。. SDS-PAGE法 常法に従い 12%アクリルアミドゲルを用いた SDS-PAGE法によって,全菌体タンパク 質をゲル上に分離した。電気泳動後, CBBR-250を含んだ染色液で染色し,発現したバン ドの位置によって供試菌株を比較した。. 結果および考察. SDS-PAGEの結果を F i g .3 3・1に示した。強毒株群が T .maritimumR2とほぼ同一の バ ン ド パ タ ー ン を 示 し た 。 3-2 の 表 現 形 質 の 結 果 と あ わ せ て , 強 毒 株 群 1 1株は. r. maritimumと同一の分類群であることが示された 口しかし弱毒株群のバンドパターンは強. .maritimumと別種である可能性が示唆された。 毒株群とは異なっており,弱毒株群が T また弱毒株群 9株はほぼ同一のタンパク質組成,表現形質を示しており,単一の分類群で あることが示された。. 270.
(35) 加 藤 :浸漬ワクチンによる滑走細菌症の防除. 向 。 唱 ロ ロo u。ω@HHωaMW ﹄J. Lowv i r u l e n ts t r a i n. トN. t[. ∞. g∞ 冨. 凶倒的閃同. ∞ ︻. ωNCNN同 t. 何. 回. L S Lむ一ロ門岡県 w凶刊FF. V i r u l e n ts t r a i n s. Fig3 3・ 1 .Wholec e l lp r o t e i np r o f i l e so f20T enacibacuJums t r a i n s. 2 7 1.
(36) 近大水研報. 13号. (2013). 3-4DNA-DNAハイブリダイゼーションによる DNA相同性の比較. 3 3では,マダイ由来弱毒株の全菌体タンパク質組成が T .maritimumとは大きく異な っていることが明らかとなり,別種であることが強く示唆された 。細菌分類学では 70%以 上 の DNA 相 向 性 を 示 す 株 を 同 種 と す る 種 の 定 義 が 広 く 認 め ら れ て い る こ と か ら. (StackebrandtandGoebe11994),本節では種の異同を明らかにするために DNA-DNAハ イブリダイゼーションによる株間の DNA相向性を測定した。. 材料および方法. 供誌菌株. 3・1と同じ滑走細菌 20株を用いた。. DNA-DNAハイブリダイゼーション. マイクロプレートハイブリダイゼーションにより DNA相向性を測定した 。江崎ら. 5 8 )の. 方法に従い,フェノールクロロホルムによって菌体 DNAを抽出し,各標識株の DNA と. 37Cで ハ イ ブ リ ダ イ ズ さ せ た 。 す な わ ち 供 試 菌 20 株 お よ び 陰 性 対 照 と し て 防b r i o 0. anguillarumVA-04(以下 VA-04)の計 21株の 1本 鎖 DNAをマイクロプレートに固定し,. T . mari timum 基 準 株 R2, ヒ ラ メ 由 来 株 GF0609, マ ダ イ 由 来 弱 毒 株 MK9035 (以下 MK9035),VA-04の計 4株 の 標 識 DNAとそれぞれ反応させた。. 結果および考察. 各 標 識 DNAに対する DNA相同性を F i g .3 4・1 " " '3 4 4に示した 。 R2お よ び GF0609 を 標 識 株 と し た 場 合 , 強 毒 株 は す べ て 相 向 性 70%以 上 で あ っ た が , 弱 毒 株 と の 相 向 性 は. 21 .7 " " ' 5 4 . 2 %であった 。 また, MK9035 を 標 識 株 と し た 場 合 , 強 毒 株 で は 相 向 性 2 3 . 3 " " ' 2 . 2 " " '94.7%であった 。 また以上 3 株 の 標 識 株 に 対 し て 47.3%で あ っ た が , 弱 毒 株 で は 7. V i b r i oanguillarumVA-04はいずれも 31 .1%以下と相向性は低かった 。また VA-04を標識 株 と し た 場 合 , 供 試 菌 20株 は す べ て 相 向 性 49%以下であった。 以上の結果から,基準株 R2を含むマダイ由来強毒株群,トラフグ由来強毒株 SUT3523 およびヒラメ由来弱毒株 GF0609は T .maritimumに属することが確認された 。 一方,マ ダイ由来弱毒株群はすべて同一種であったが. T . mari timum とは別種であることが明ら. b r i oanguillarumに対していずれの菌株も相向性が低かったことから, かになった 。ま た 防; 272.
(37) 加藤:浸漬ワクチ ンに よる滑走細菌症の防除. ハイブリダイゼーションの条件に問題はなかったと考えられる。. 120 100. 9 4 . 6 9 2 . 0. : . : . . . -9 0 . 1. 8 6 . 9. ω匡 ) ω ω @ c x Z ω一. (諒. 80. 8 2 . 2 79. 0. 7 4 . 6. 60. 51 .9 43. 7. 4 6 . 0. 4 2 . 2. 40. 3 6 . 535. 0. 20. 守口l︿﹀. ENCNN芸悶. hN守口師三. Z2. 凶円。由 一. oqZ2. ~. 守口. 0. NFF申0 2. 。言~. FFF申0 2. o. 三 ← 性. h-NN由0 2. 由。田町三回. 守口サ円三回. N N円円三回. 。. ﹀N N円 円 三 回. N2凶. 回剖円. ONN20. 円. CNN2的. a. 守 、. z. 崎 明 刷. 。. U n l a b e l e dDNA F i g .3 4 -1 .DNAr e l a t e d n e s swiths t r a i nR2.. 120 100. 100. 9 2 . 1. ω庄 ) ω ω ω c x z m w 一. ( 浜. 80 60. 40. 20. 273. 守O l ︿﹀. Fig.3・4・2 .DNAr e l a t e d n e s swiths t r a i nGF0609.. ENONN 主的. X2. v 2. UnlabeledDNA. hN マO的主. 田町。。 マ 。 。 。. NFF002. FFF002. hNNO02. ω. @NNO02. @OLO. ← コ. OFNO02. 。 。. OFEu-. 。 主 。 。 由 円 三ω. ω. 守O守 円 三. 主 F 的. oNN円 己 主 的. ﹀N N. 回N. 一 町 三ω. 円 円 円 一 町 三ω. 区. 円O N N 2 0. 、. pa. 帥NON. 。.
(38) ' t. 幻 nHHHH 守口E d﹃﹀. ENONN2的 hN守口凶2. 2. 町一円。由一証. 守口白血一 Z2. 02. N F F申. 02. F F F申. hNN申 02. 100. 100. Fig.3・4・4 .DNAr e l a t e d n e s swiths t r a i nV i b r i oanguiJJarumVA-04.. 守O l ︿﹀. CNONN2ω. hN寸O ω 2. 回 目UOOXE. マooov-2. NFF002. FFF@02. hNN002. U n l a b e l e dDNA. d 内. q叫. a﹃. 仰門. qu. EU. n u. nRM. R J W. d 司. d. 司. qu. e o. a E. ・ ・ 内 £ d. 司. a﹃. @NN002. OFN002. 。。@OLO. OF凶 円2 0. 。。山門主的. 0 守2 v主 的. oN判 的 問 主 的. ﹀NN門 的 霊 的. 山一同門NEω. 円ONN20. NONN2ω. 曲 一. 274. ・ ・ . ‘. 司. d. 。 司 。 司 nt 。 司. 40. 4JHM﹃. mn口HH. a﹃. n-M. n u. q叫. a﹃ aaT. a骨. Eu n u EU. a﹃. ト. i M 1. 由。由円事的. 守口芝山蓬凶. N一同伺伺霊的. 。. ﹀制一四円円塞的. N2凶 由一四円. ONN20 同. a﹃. コ ω. 、 白. 日 mnHHH. 舗. wNON一町三回. 、. p4. g. 制. ( ま. 20. 。. 46. 7. 45. 6. ~ ~. o. !<. HHHH. 80. ) ω ω ω C可ω一有一@広. 60. U. ~. ". U. 霊 ト u .. . ~. 。. 同. 同. 1. ) ω ω ω z x z m wω広 ( ポ. 邑. F. F 同. 1". 一. 1 4 0 . 1. , ~. 60. F司. n. 8 0 . 278. 8 門 7 5 . 0 t d l 1 1 門 7 2 . 2. 80 ・ド. n u 叩 F. u m , 守. 100. 8 3 . 1 7 9 . 8; ; . . 8 6 . 6. ー. ~. ー. ,.. 20. 【. n_. 4 7 . 3 4 3 . 344. 1 44. 3 40. 9 F 司 3 8 . 8 1I F 33. 6. 40. P. 120. (2013). 13号 近大水研報. U n l a b e l e dDNA. Fig.3・4 3 .DNAr e l a t e d n e s swiths t r a i nMK9035.. 120.
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