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向精神薬の適正使用を目指した東京女子医科大学精神科の取り組み

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総 説 ( 東 女 医 大 誌 第 泌 頁 El日5~E2却0 平成臨時増刊82 年1l号 )月 |

向精神薬の適正使用を目指した東京女子医科大学精神科の取り組み

1東京女子医科大学医学部精神医学講座 2東京女子医科大学病院薬剤部 イ ナ ダ 稲 田 コノTヤシ 小林 ケン オシブチ 健1. 押 淵 サ ヤ カ タカハシ 清香l・高橋 カ ワ ノ マサヒコ 英 弘1 ・ 河 野 仁 彦l 結 花2 ・ 石 郷 岡 純1 (受理 平成7 年 12 0 月4 日)1 A c t i v i t i e

s Conducted by teh Department f Po ytrhiaycs , Tokyo Women's Mdicale ytsiervinU rfo Proper Psychopharmacological Treatment and A wareness

Ken INADA¥ rodehiHi OSHIBUCHI¥ Masahiko KA W ANO¥

Sayaka KOBA Y ASHI¥ Yuka T AKAHASHI 2 and Jun ISHIGOOKA 1

1 enrtmpaDe t Pfoyrtaihcys lo, ohcS Mfoenicide , Tokyo Women's lacideM ytisrevinU 2 tnetmarDpe ycPahamrfo , Tokyo ns'meWo lacideM ytisrevinU latipsoH P h a r m a c o l o g i c a l pyrahet thiw ciprotohcysp stenga si na tanrtpoim tntmeeart method ni . Picpotrochys a g e n t s lduohs be udes retfa luferac noitaredisnoc tforieh sksir and .stifeneb eroprP lacigoolcamrahp yaphert -ni v o l v e

s gnitaulave and gnicnalab eht sksir and stifeneb tfo eh cituepareht methods and .stnega To maximize eht b e n e f i t s and eiznimmi eht sksir pfolacigolocamrahpohcys yperath , we have neakdertnu lareves stcejorp ni eht

Department foyrtahicyPs Tokyo Women's lcadieM ytiservinU , hcus :sa )1( ginnrnu a bcisa cirtaihcysporuen s t u d y otdliub a smetys otetaulave ehtlacigoloib mechanisms pfo aygolocmrahpohcys , )2(gnicudortni eht -na t i p s y c h o t i c drug enip, azolc , ni

J

npaa , )3(ginctundco seitivitca on teh eroprp eus bfosenpieaziodzne , )4(ginploevde a pychos notia閑cude program eotetacdu stneitap and seilimaf tuoab lacioglocamrahp yparhet , )5(gnittes up c-inil c a l senilediug on plcaiglooacmrah ypareht ro.fslanoisseforp Key W o:sdr lacigloocamrahp ypraeht enipez, aidozneb enip, azolc noitacud, e-ohcysp lacin, ilc enilediug はじめに 現在の日本において 向精神薬を用いた精神科薬 物療法は,精神科治療における重要な治療手段の一 つである.事実,向精神薬の処方量は,一般人口の 5% に及ぶほど一般的なものとなっており1) )-4 薬物 療法の意義を見極め,適切に使用することが求めら れている. 薬 物 療 法 に 限 ら ず 治 療 的 介 入 を 評 価 し 医 療 の 質を高めるための方法として,エビデンス医療 (-ive

dence based medicine : EBM) がある.ここでは,

臨床疑問に答える臨床研究の成果を蓄積し,ガイド ラインにまとめ,治療を最適化する.ガイドライン において重視される考え方は,介入(治療)による 益と害の公平な評価であり,益と害のバランスで, 介入(治療)を行うか否かを検討する )5 つまり, EBM における治療の適正化とは,益と害のバランスを適 正化することにある.薬物療法の適正化をこの考え 方に当てはめるならば,益を最大化し,害を最小化 することが求められる.東京女子医科大学精神科で は,益の最大化と害の最小化を目指して,様々な活 動を行ってきた. 薬物療法の益,すなわち有効性の最大化のために, 図 : 稲 田 健 干6668-261 東京都新宿区河田町1-8 E -m a i l : [email protected] 東京女子医科大学医学部精神医学講座

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的確な対象を選択することは,薬物療法の有効性を 最大化できる可能性がある.このために,薬物療法 における薬物選択を,生物学的に評価する方法の確 立を目指して,基礎実験を行ってきた.もう一つは, 有益な新規抗精神病薬の導入を進めてきた代表的 な例が,治療抵抗性統合失調症治療薬のクロザピン である.次に,薬物療法の害,すなわち有害事象の 最小化のために,薬物療法をシンプルに,最小化す ることを目指した活動を行ってきた.具体的には, ベンゾジアゼピン系薬の適正使用活動が挙げられ る.さらに,益と害のバランスの最適化のために, 薬物療法の意義を患者さんや家族にうまく説明する 必要がある.このために行ったことが,患者および 家族に対する心理教育である.また,最適化を専門 職を対象として普及することを目指し関連学会に 協力して,睡眠薬の適正使用・休薬ガイドラインの 作成)6 統合失調症薬物治療ガイドラインの作成に携 わった. 本総説では,これらの一連の活動を振り返る. 1 . クロザピンの日本への導入 クロザピンとは, 6919 年にオーストリアで承認さ れた抗精神病薬である.他の抗精神病薬が無効な, 治療抵抗性統合失調症に対して有効であることが, 複数の研究グループによって示されている制.反面, 無頼粒球症をはじめとする重篤な副作用が存在する ことも明らかであるため9)1 )0 その使用においては, 血 液 検 査 を 含 む 厳 重 な モ ニ タ リ ン グ が 必 要 と な る)ll 日本において クロザピンの開発は7019 年代 にはじまったものの,無頼粒球症の懸念から中止さ れ, 2004 年 再 度 の 開 発 が 行 わ れ2009 年 上 市 さ れ た2)1 東京女子医科大学病院は 4200 年からの開発治 験に関わった.この治験の主な目的は,クロザピン によって発現する副作用に関して,無頼粒球症の早 期発見,早期治療を目的とした血液モニタリングシ ステムなどの安全対策の検討であった玖この治験 により得られたデータをもとに,クロザピンの使用 方法についての規則が定められた.すなわち,クロ ザリル患者モニタリングサービスlirazolC( tneiatP M o n i t o r i n g cevirSe : CPMS) に医療機関,医療者, 患者を登録した上で,検査結果と処方量を登録し, これを複数の職種によって確認しながら処方がなさ れるというものである. 現在までに,クロザリルTM として処方されるすべ ての症例はCPMS に登録されている. 9200 年7月 2 9 日(市販開始日)から 2014 年11

30 日までに CPMS に登録された患者数は, 2,936 例である. CPMS 登録医療機関は200 医療機関を超え,全都道 府県にI医療機関以上存在する. 当院においては, 2009 年の上市と同時に,クロザ ピン登録医療機関となり現在までに約04 例の症例 に対して投与を行ってきた.その継続使用率は約 70% であり,一般の抗精神病薬の継続率が30% 程 度とされているωことを考慮するときわめて高い. 治療の継続率が高いことはその治療法の利点が欠点 を上回っていることを示唆しており,治療法の有用 性を反映しているとみなすことができるとすれば, このような有用性の高い薬剤の導入に携わったこと は,言奪らしいことであるといえる. わカ雪国における 治療抵抗性統合失調症患者数が,約 20,000~50,000 人と推定されている14)1 )5ことを考慮すると,クロザピ ンの使用率はまだ高くない.クロザピンのメカニズ ムを解明することや,クロザピンを安全に使用する システムを構築する努力は今後も続けられる必要が ある. 2 . べンゾジアゼピン系薬の適正使用活動 ベンゾジアゼピンenipezaidozne(b : BZ) 系薬は, γアミノ酪酸(gamma-aminobutyric dica : GABA)-BZ 受容体複合体に作用し,抗不安,鎮静・催眠,筋 弛緩といった作用を呈する薬物である.優れた有効 性と安全性から全世界の臨床領域において汎用され ているが,特に日本においてはBZ 系薬の使用量が 多いことや,多剤併用が行われていること)2)1 が指摘 されている. BZ 系薬の問題点は,転倒リスクの増大同)17)認知機 能 の 低 下 や 健 忘 の 発 生)81 交 通 事 故 リ ス ク の 増 大問)斗1)依存性割引などを挙げることができる.依存 性については, 日本国内の薬物依存症治療施設にお ける調査制

l

こおいて,入院の原因となった薬物の第

2

位であり,その主な入手先は医療機関であることが 明らかとなり,看過できる状況にない. BZ 系薬の問題を回避し,適正に使用するために, BZ 系薬に関する知識を周知することは重要であ る.そこで,当院では BZ 系薬の適正使用啓発活動 として,①啓発冊子の作成と配布,②職員対象の広 報活動,③採用医薬品の見直し,の3点を行った久 これらの活動は,精神科,薬剤部,医療安全対策室 および医薬品安全管理委員会が協働し病院全体の課 題として行った.啓発冊子の内容は, BZ 系薬の名 称,効果,副作用,中止の方法,不眠や不安への薬 以外の対処方法,専門科受診の案内などとした

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これらの活動の結果,当院での

BZ

系薬の処方患 者数は約

18%

減少した.また処方せん発行患者数に おける

BZ

系薬の処方割合も約

4%

減 少 し た 詳 細 には,

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1

0

2

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3

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ヵ月間に,当院 で処方せんが発行された全患者数はそれぞれ

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人でほぼ変化がなかったが,

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系薬の 処方数と処方率は

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8

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人から

4

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人へと

%

9

.

7

1

減少した診療科別の比較では,精神科の

BZ

系薬処 方患者数は

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人から

2

,1

9

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人に減少し精神科以 外の診療科では,

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1

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人から

5

0

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.

4

人に減少してい た. 同じ期間に,薬剤師を対象とした調査では,活動 (啓発冊子の配布と服薬指導)に対する問題は報告さ れなかった.よって,

BZ

系薬の適正使用に向けた取 り組みは,病院全体の

BZ

の処方数を減少させる効 果があることが示唆され,大きな問題は生じないこ とが示された)62 3 . 抗精神病薬の作用機序に関する基礎研究 向精神薬の薬剤選択は,臨床試験によるエビデン スや臨床医の経験に基づいて行われている.統合失 調症の治療薬である抗精神病薬は共通してドパミン

D2

受容体遮断作用を有するが,この作用がどのよう に幻覚や妄想,精神運動興奮といった精神病症状を 改善するのかはいまだ不明である.統合失調症にお いては,情動の不安定性が存在,情動の不安定は, 統合失調症の予後と直結する仰)8ことが知られてい る.逆の面からみると,情動を安定させることは, 統合失調症の症状改善に直結するので,抗精神病薬 の情動安定作用の生物学的基盤を明らかにすると, 抗精神病薬が精神病症状を改善する生物学的基盤を 明らかにできる可能性がある.さらに,生物学的機 序が明らかとなれば,情動を安定させる薬物の選択 方法に新たな情報を提供できる可能性や,新薬の開 発に有益な情報をもたらす可能性がある.このよう な仮説に基づいて 実験は行われた 1)実験の概要 実験には

SD

系統のラットを用いた.ラットに対 して,メタンフェタミンを連日投与し逆耐性モデ ルとしたうえで,上記の実a験を行った.メタンフェ タミン逆耐性モデル捌は,メタンフェタミンの慢性 投与を行うと,ヒトにおいては覚せい剤精神病と呼 ばれる統合失調症に類似した精神病症状を呈し, げっ歯類においては,刺激に対する過感受性を示す ことから,統合失調症あるいはストレス脆弱性のモ デルとされる. ラットに対して,ブザー音と電気ショックからな る恐怖条件づけ)03 を行い,ブザー音(条件刺激)のみ で恐怖情動反応を生じるよう学習させた.このラッ トに対して,脳内微少透析プローブを挿入しブザ} 音を聞かせたときの扇桃体におけるドパミンの変動 を継時的に測定したさらに,抗精神病薬の前処置 による影響を測定した この実験系により,抗精神病薬の投与によって情 動中枢である扇桃体のドパミンがどのように変動す るか,恐怖条件づけによってどのように変化するか, 統合失調症モデルではどのような変動があるかを観 察した. 2 ) 実験の結果 逆耐性モデルラットにおいて,条件刺激を提示す ると,扇桃体において過剰なドパミン放出が生じ る3l)このドパミン過剰放出は古典的な抗精神病薬 のハロペリドール辺) 新規抗精神病薬のアリピプラ ゾール3ぺ治療抵抗性症例に有効とされるクロザピ ンによって共通して抑制された.さらに,臨床では 統合失調症治療薬でなく 気分安定薬に分類される パルプロ酸3へ抗うつ薬のエスシタロプラム,抗不安 薬のジアゼパムも過剰なドパミン放出を抑制した. 各種向精神薬聞の違いは,条件刺激提示前のドパミ ン基礎値に対する効果において見出された.すなわ ち, ドパミン受容体括抗薬であるハロペリドールは 基礎値を上昇させ, ドパミン部分作動薬のアリピプ ラゾールは低下させた久また,ドパミン受容体への 親和性のないパルプロ酸却やエスシタロプラム,ジ アゼパムでは,基礎値の変化は認めなかった. 一連の実験結果から,ラットにストレスを負荷す ると扇桃体のドパミンが過剰放出され,このスト レス負荷時のドパミン応答を抑制することは,向精 神薬に共通した作用であることが明らかになった. ストレス負荷時のドパミン応答を ストレス脆弱性 の生物学的モデルと解釈すれば,向精神薬はストレ ス脆弱性を改善していると考えることができ,各薬 剤が最終的に精神症状を改善するという薬効を発揮 するには,ストレス脆弱性を改善しているためであ るとの仮説を立てることができるようになった. 同時に, ドパミンの基礎値に対する効果は大きく 異なっていたことから,各薬剤はドパミン受容体へ の直接作用,あるいは異なる作用機序を経て,扇桃 体ドパミン系に作用していると考えられた.臨床に おける向精神薬の使い分けは 主に精神症状から行 われているが,本研究により,ストレス脆弱性やス

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トレス応答を生物学的に捉え 使い分けを考えるこ とにつながる可能性がある. 以上,一連の研究は 現行の向精神薬の使い分け や創薬のスクリーニングをドパミンの放出に対する 作用応答から考えるきっかけを与える研究となっ た. 4 . 心理教育の開発 心理教育

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とは,

1

精神障害やエ イズなど受容しにくい問題を持つ人たちに,正しい 知識や情報を心理面への十分な配慮をしながら伝 え,病気や障害の結果もたらされる諸問題・諸困難 に対する対処法を習得してもらう事によって,主体 的に療養生活を営めるように援助する方法」と定義 される34U 心理社会的治療法である.対象とされる領 域は,精神医学領域に限らず,医療全般のほか,社 会福祉の全般に及ぶ. 1)心理教育が薬物療法の適正化のために必要で あった理由 統合失調症の治療は,薬物療法と心理社会的治療 の両者が協働して行うものであるという考え方は, 現 在 で は 常 識 と な っ た し か し 以 前 は , 薬 物 療 法 と心理社会的治療は別個のものとして発展してきた 経緯もあり,別の治療であるかのように行われてき た.薬物療法についての理解が深まると,両者とも に,統合失調症のストレス脆弱性を改善して,治療 につなげるという考え方に到達し両者の理論を統 合することは,薬物療法の適正化につながると考え られたそこで,本学の精神科では,ストレス脆弱 性を改善することをかぎ概念として,薬物療法と心 理社会的療法の治療理論を統合し治療を行うこと を目指して心理教育プログラムを開発した 2 ) 本学での心理教育プログラム 本学での心理教育プログラム却には,多職種が関 わることが基本となっている.医師,看護師,心理 士,薬剤師,作業療法士などが関わる. 2004 年に始 まった統合失調症患者の家族を対象としたプログラ ムを皮切りに,現在では全4回の患者向け教育セッ ションと,全

8

回の生活技能訓練

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回の家族の会が継続的に実施され ている. 統合失調症の患者本人を対象とした教育セッショ ンは0062 年に開始され,少しずつ改良を加えなが ら,現在は週に1回のペースで,病棟デイルームで 行われている.毎回数名01--- 名程度の参加者があ る.プログラム参加を通して ストレスへの対応や 服薬の重要性が認識され,患者さんの自主性,自発 性,主体性がみられるようになっている.また,家 族の会は毎年3---2 クール,各ク}ルに6---5 家族を 迎え入れている.家族自身が疾患や対処についての 知識を整理し,自分自身の生活を回復させる一助と なっている. さらに医療者側には,スタッフ聞の意思統ーが図 られ,コミュニケーションが行いやすくなり,チー ム医療に取り組んでいるという実感・安心感が得ら れるようになった.現在まで,入院回数や再発回数 といった量的データをアウトカムとした有意差を 持った変化は認められていないものの,上記のよう な質的な変化が認められている. 総体として,

1

あらゆる治療は,社会生活において 避けがたいストレスに対して,当事者自身がうまく 対処できるようになるために行う」という共通した 目的意識を患者・家族・医療者が共有し治療を進 めていくことが可能となった. 5 . 薬物療法ガイドラインの作成 薬物療法の最適化を専門職を対象として普及する ことを目指し,関連学会に協力して,睡眠薬の適正 使用ガイドラインの作成,統合失調症薬物治療ガイ ドラインの作成に携わった.ガイドラインの作成は, 日本の精神科医にエビデンスに基づいた医療を行う 際の指針を提供した.東京女子医科大学精神科内に おいては,エビデンスを精査し益と害を勘案する という EBM の考え方が浸透する契機となった 1)睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン 睡眠薬の適正使用ガイドライン が中d心心となつて作成された. 40 の臨床疑問を設定 し患者向けの回答と専門職向けの詳細な解説から なっている.東京女子医科大学精神科は,当院にお けるBZ 系薬適正使用推進活動の経験)62 を踏まえ,離 脱症状についての情報提供などについて助言した. 2 ) 統合失調症の薬物治療ガイドライン 統合失調症の薬物治療ガイドラインは, 日本神経 精神薬理学会が中心となって作成された東京女子 医科大学精神科からは石郷岡純教授が全体の議長と してとりまとめを行った統合失調症の治療は,薬 物治療のみによって行われるものではないが,比較 的エビデンスが豊富で 均てん化を図る必要性が高 いと考えられる薬物治療に絞って作成された.統合 失調症治療の時間経過を考慮して, 5つの章立てと し 総 計 で26 個の臨床疑問を設定した

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3 ) 大うつ病性障害・双極性障害治療ガイドライン 大うつ病性障害・双極性障害治療ガイドライン)63 は , 日 本 う つ 病 学 会 が 中 心 と な っ て 作 成 さ れ た 東 京 女 子 医 科 大 学 精 神 科 か ら は 山 田 和 男 教 授 が 参 加 し双極性障害の薬物療法を中心に取りまとめた. うつ病学会の治療ガイドラインは,気分障害の治療 全般にわたり,包括的に述べられている. おわりに 東京女子医科大学精神科において,行ってきた精 神 科 薬 物 療 法 の 適 正 化 に 向 け た 取 り 組 み を 紹 介 し た.これらの取り組みは,本院内のみならず, 日本 の精神科医療に多少なりとも影響を与えてきたもの と 考 え ら れ る . 今 後 も こ れ ら の 活 動 を 継 続 し 精 神 科医療の発展に貢献していきたい. 開示すべき利益相反状態はない. 文 献 1)中川敦夫,稲垣 中,三島和夫:診療報酬および診 療録データを用いた向精神薬処方に関する実態調 査.臨精医 : 124 85-153 , 3120 2 ) 三島和夫:重要疾患・薬物療法トピックス 日本 における向精神薬の処方実態 ベンゾジアゼピン 系薬物を中心に.医のあゆみ 632 )01( : 974-968 , 2 0 1 1 3 ) 三島和夫:高齢者に対する向精神薬の使用実態と 適切な使用方法の確立に関する研究1.平成22 年度 総括・分担研究報告書:厚生労働科学研究費補助 金長寿科学総合研究事業j,)1102( 4 ) Akazawa M, Imai H, ishaarIg A e at:lyllaitnetoP i n a p p r o p r i a t e niotcaidme eus niylredle J seaneap p a t i e n t s . Am J Grtaire crehtoamrahP :8 6-16014 , 2 0 1 0 5 ) IMinds 診療ガイドライン作成の手引きj4120 ,(福 井次矢,山口直人監) ,医学書院,東京)4102( 6 ) 三島和夫: 1睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライ ン(j睡眠薬の適正使用及び減量・中止のための診 療ガイドラインに関する研究班編) , じほう,東京 ( 2 0 1 4 ) 7 ) Kane J, ldnifegHo G, rgenSi J e at:l enipazolC rof t h etnatsiser-tnemtaert .cinerhpozihcs A d-elbuo b l i n d onisparomc thiw .einzamoprrolhc Arch Gen P s y c h i a t r y :54 6799-78 ,8981 8 ) Asenjo LC , Komossa K, Rummel KC e at:l -pazolC i n e sursev rehto lacipyta scitohcyspitna rof-ozihcs p h r e n i a . chraneCo esabataD tsSy .veR CD006633 , 2 0 1 0 9 ) lbaIq M M , Rahman A, Husain Z e at:l:enipazolC a c l i n i c a l wviere afoesrevd stceffe and managemen .t Ann nilC rytiahcysP :51 483-3 , 3002 1 0

) Lieberman JA , Johns CA , Kane JM e at:l -azolC p i n e -i n d u c e d :sisotycolunarga ytivitcaer-ssorc-non w i t h rehto ciporothcysp .sgurd J Cnil rytahicyPs 4 9 : 2 7 1 -2 7 7 ,8819 1 1 ) 稲田 健,高橋結花,石郷岡純:日本における olc ・ z a p i n e の使用実態とその問題点東京女子医科大 学病院における自験例を踏まえて.臨精薬理 : 61 4 6 3 -4 7 3 ,3012 1 2 ) 稲 田 健 :III 薬物治療学各論抗精神病薬apozlC 司 i n e による治療1.臨床精神神経薬理学テキスト改訂 第3版(j 日本臨床精神神経薬理学会専門医制度委 員会編), 28661-2pp ,星和書庖,東京)4102( 1 3 ) McEvoy JP , i eberman L JA , puortS TS e at:l -fE f e c t i v e n e s s foenipazolc ssurev enipaznalo , -teuq i a p i n e , and enodirepsir nistneitap hwit cinorhc s c h i z o p h r e n i a who did otn ndspore potroir lacipyta a n t i p s y c h o t i c ntmereat .tAm J Pyrtahicys :361 0-60 6 1 0 ,6002 1 4 ) 稲垣中,不破野誠一,吉住昭ほか:国立精神病 院・療養所における治療抵抗性統合失調症の実態 調査 Trea tmen nt atsi-rse t Sniainrehpozihc eht J eespana lN aanoit latneM slatipsoH J ESS ( : J apan E x t c n s i v e udytS Sf.o)ainerhpozihc 1厚生労働省精 神・神経疾患研究委託費統合失調症の治療及びリ ハビリテーションのガイドライン作成とその実証 的 研 究 総 括 研 究 報j,)4002( 1 5 ) 稲垣 中,中川敦夫,塚田和美ほか:統合失調症の 医療環境,薬物療法及び社会復帰に関する研究 J E S S 2 0 0 5 (その )2 :旧・国立精神療養所の統合失 調症入院患者の抗精神病薬処方実態

1

.

厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費統合失調症の治療の 標準化と普及に関する研究報告書j,)5002( 1 6 ) Sorock GS , Shimkin EE: enipezaidozneB sevitades and eht ksir ffognilla ni a cginelldwt-yniummo -dle e r l y roohc .tArch nretnI Med :841 44-244124 ,8891 1 7 ) oolcottW JC , chiRardson KJ , Wiens MO e alt : M e t a -a n a l y s i s tfoeh tacmpi 9 mfo noitcaied sessalc o n fslla niylredle .snosrep Arch nretnI Med :961 1 9 5 2 -1 9 6 0 ,9002 1 8 ) Hindmarch :1evitingoC yticixot pfoar-ehcotmaarh p e u t i c snteag edus nilaicos yteixna .redrosid tnI J C l i n ctarP :36 4901-8501 ,0902 1 9

) Longo MC , Hunter CE , Lokan RJ e at:l The p r e v a l e n c e foohocla ,lsdioinbannac , -peazidzoneb i n e

s and stnalumits amongst derujni srevird and t h e i r elor nirevird :ytilibapluc trap :iieht-noitaler s h i

p between drug encelvaerp and drug -artnecnoc t

i o

n , and revird .ytilibapluc cidAc Anal Prev :23 6 2 3 -6 3 2 ,0020 2 0 ) Movig KL , senjshitaM MP , Nagel PH e at:l -ysP c h o a c t i v e encastbsu esu and eht ksir mfo root -ihev c l e.stnedicca ccidA lnaA Prev :63 136 -6 63, 4002 2)1 Thomas RE: enipeazdiozneB eus and motor -ihev

c l e .stnedicca ctiaemtysS iwerve rfodetrope ossa 同 c i a t i o n . Can Fam niacisyPh :44 8809-79 ,8991 2 2 ) Tyrer R:P skis fo ecdenneped on bneipeaziodzne d r u g s : eht cenartmpoi pfotneita .noitceles BMJ :892 1 0 2 ,0514-10 ,9891 2 3

) van Hu 1t en R, Teeuw KB , Bakker A e at:llaitinI 3・month geusa scitsiretcarahc tciderp rmet-gonl u s e bfo:seniepzaidozen 8an raey- .pu-wollof Eur J C l i n macolPhar :85 949-668 , 0302 2 4 ) aookgihsI J, Sugiyama T, kiSuzu M e at:l -ruS v i v a l citylana ahcorppa lotmretg-no noitpircserp fo b e n z o d i a z e p i n e .scitonpyh yrtahicysP nilC N e-oru s c i 5 2 : 5 4 1 -5 4 5 ,8919 2 5 ) 松本俊彦:薬物依存臨床から見えて

(6)

関連精神疾患の実態調査Jの結果より.精神科治療 2 7 : 779-1 , 2120 2 6 ) 高橋結花,稲田 健,高橋賢成ほか:ベンゾジアゼ ピン系薬の適正使用に向けた東京女子医科大学病 院での取り組み.総病精医 : 272 5-37 ,1502 2 7 ) Lysaker PH , sryealS MP: etyAnxi symptoms ni s c h i z o p h r e n i a pectrums :sredrosid snoitaicossa w i t h laicos noitcnuf ev, itisop and evitaegn symp-toms , hope and trauma .yrotsih Acta ratihcysP Scand :611 892-092 , 7002 2 8 ) ellerethW JL , Palmer B W , Thorp SR e at:l -inxA e t

y symptoms and ytilauq lfoefi mnidge-aledid and o l d e r stneitaptuo hitw ainehrpozihcs and -faozihcs f e c t i v e .redrosid J Cnil yrtiahycsP :46 2814-4671 , 2 0 0 3 2 9 ) atoS M, Numachi Y, Hamamura T: Rseplae fo p a r a n o i d citohcysp etats ni methamphetamine model sf.aoinerhpozihc rhopizhcS lluB :81 2-12151 , 1 9 9 2 3 0 ) Fanselow MS: deonitidnoC decudni-raef etaipo -na a l g e s i a : a ctingompe lanoitavitom etats ryohet fo s t r e s s .aiseglana Ann N Y Acad icS :764 -5440 ,6891 31) zukiSu T, akoogihsI J, Watanabe S e at:l -En hancement fodyeaeld esaeler fo ienpmaod ni eht amygdala dceduni by cdeniotidno raef sserts ni m e t h a m p h e t a m i n e -s e n s i t i z e d .star Eur J Pharma -c o 1 4 3 5 : 5 9 6- 5,2002 3 2 ) ihucibhOs H , Inada K , Sugawara H e at:l A r i p i p r a z o l e and lodirepolah sesprpus evissecxe d o p a m i n e esaeler ni eht amygdala niensosper ot c o n d i t i o n e d raef sserts , utb show gnitsartnoc -fe f e c t s n bo lasa meniapod esaeler ni methamphet-a m i n e dezitis同nes .star Eur J Phrmacola :516 0-983 , 2 0 0 9 3 3 ) Miyagi J, iuchibOsh H, Kasai A e at:l ciorplaV a c i d stibihni sescxe meniapod esaeler niensosper t o denoia ftidnoc-rae sulumits ni ehtlaretalosab c o m p l e x fo eht amygdala fo methamphetamine-s e n s i t i z e d .star Eur J Paoclmarh :037 520-2 , 4012 3 4 ) 浦田重治郎:心理教育を中心とした心理社会的援 助プログラムガイドライン1.厚生労働省精神・神 経疾患研究委託費統合失調症の治療およびリハ ビリテーションのガイドライン作成とその実証的 研 究 報 告 書J,)4002( 3 5 ) 1チームで実践!レジリアンスモデルによる統合失 調症のサイコエテoユケーション

J

(石郷岡純編) ,医 薬ジヤ}ナル社,東京 )4102( 3 6 ) 1大うつ病性障害・双極性障害治療ガイドライン j (日本うつ病学会監) , 医 学 書 院 東 京)3102(

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