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昇降計に関する研究

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12

応 用 力 学

第5巻

第30・31号

究1)

武 田 晋 一 郎2)

On the Theory and the Experiments of the Rate-of-Climb Meters By Shin'ichiro TAKEDA

The present paper describes the general theory of the rate-of-climb indicators and the experimental methods which predict the performances of the component part of the rate-of-climb indicators. Precise experiments were consecuted to compare the results of the theory with the actual results. Several tpyes of compensated rate-of-climb meters are proposed and few of them were actually constructed• and tested.

1. 緒 言 航 空機 の操 縦 に 重 要 な 計 器 で あ る 昇 降計 は気 圧 の変 化 速 度 を指 示す る よ うに な って いる た め,同 じ様 に 圧 力 で働 く高 度計 や速 度 計 に 比 してそ の作 動 は か な り複 雑 で 従 来 の諸 研 究3)で は 理 論 的 に も実 験的 に も不 明 瞭 な 点 が 少 くな か った.著 者 は か な り長 期 間 に 渉 って こ の 昇 降計 に つ い て研 究 して,こ れ ら不 明 瞭 の 諸 点 を 理 論 的 に も実 験的 に もす べ て明 確 に し得 た.こ の研 究 は 理 論 的解 析,実 験 的 研 究 及 び 試 作 研 究 に 大 別 され る. 理 論 的 解 析 で は 昇降 計 の作 動 理 論 を 物 理 的 に 正 確 な 方 法 に よ って 展開 し,静 的 遅 れ 及 び 動 的 遅 れ の様 相 を 究 明 し,従 来 の研 究 に お い て看 過 され た二 三 の点 を 指 摘 した.ま た,気 圧 や 気 温 に よる誤 差 の解 析 を も行 っ て,誤 差 修正 の正 し き方 法 を提 案 し た.毛 細 管 内 の 空

気の流 れを流体力学的 に考察 して過渡流 の影響 と空気

密度 の影響な どを論究 した.

実験的研究で は理論的解析 に よる作動理 論の実験的

検証 を行 い,指 度の計算値 と実験値 との完全な る一致

を得,ま た静的遅れ の実験 の詳細 な解析 によって魔法

瓶 内の空気 が断熱変化 を行 うか,等 温変化 を行 うかの

判 定根拠 を得 て遅れの 計算値 と実験 値 と の一致を得

た.ま た,毛 細管,魔 法瓶,空 盒な どの昇降計の主要構

成部 品の精度 を測定 し,特 に毛細 管の抵抗係数の測定

方法 について深 く研究 し,極 めて正確な る絶対測 定装

置,簡 単か つ迅 速 に操作 し得 る電橋型比 較測定装置 な

どを得 た.ま た,魔 法瓶 の内容積,空 盒め内容 積変化

率 の測 定法 に空気 圧を利 用す る方法な ども得た.

試作研究 は誤差修正 原理を正 しく遂行 した昇降計の

(2)

論文(武 田 晋 一 郎) 13 試 作 を 目的 と した もので,標 準 大 気 を 仮 定 した 真 空 空 盒 を 用 い た 一 型 式 の 昇 降計 を 試 作 し,実 験 を 行 った. つ い で,大 気 温 度 の 実 測 に よ る理 論 的 に 完 全 に 修 正 し た 方 式 の 昇 降 計 を試 作 し,さ ら に数 種 の修 正 方 式 を提 案 した もの で あ る. 2.作 動 理 論 昇 降 計 は 毛 細 管,空 気 室 お よ び空 盒 圧 力計 を主 要 構 成 要 素 と する もの で あ る が,空 気 室 を魔 法 瓶 とす る か 或 は計 器筐 内 部 とす る か,ま た は 制動 用 毛 細 管 を つ け る か 否 か で 種 々の型 式 が あ る が,作 動 の 点 か らは 第1 図 の如 き,普 通 型 昇 降 計 と第2図 の如 き制動 型 昇 降 計 とに大 別 され る.先 ず,普 通 型 昇 降計 の作 動 を考 察 し よ う.

第1図  普通型昇降計 の作動説 明図

2・1  普 遍 型 昇 降 計 の作 動 理論 (a) 基 礎 微 分方 程 式  昇 降 計 の 指 示 は 空 盒 の内 外 の 圧 力 差 に よ る もの で あ る か ら,昇 降 計 の作 動 は こ の圧 力差 を 決 定 す る方 程 式 を得 れ ば 明 らか に な る.各 部 の 気 圧,圧 力 差,流 量 及 び 毛 細 管 の抵 抗 係 数 を第1図 に 示す よ うに 定 めか つ 矢 印 の方 向 を 正 とす る,し か らば 次 の 諸 関 係 式 が 成 立 す る. (1) (2) (3) 空 盒 の容 積変 化 率dV/dpをBと お き,(1)お よび (3)を(2)に 代 入 し, (4) な る関 係 と,係 数 に あ るP1をPと お け ば, (5) とな る.(5)とp= aqな る 関係 と よ りpに 関 する微 分 方 程 式: (6)

を得 る.こ れが普通型昇降計 の作動 を決 定す る基 礎方

程 式 で あ る.気 圧Pの 変 化 は 専 ら 航 空 機 の 高 度H の 変 化 に基 因す る もの で あ って (7) な る 関係 が あ る.こ れ を(6)に 代 入す れ ば, (8) とな る.(6)お よび(8)の 右 辺 の 第 二 項 は 空 気 室 中 の 空気 の 温 度 変 化 率 に 比 例す る項 で,魔 法 瓶 と計 器 筐 とで は か な りの差 が あ る が,余 り顕 著 な る指 度 を 示 す こ とは 稀 で あ る か ら,以 下 で はdT1/dt=Oと し て考 察 を 進 め る.し か らば 一 定 速 度 の昇 降 時 の 昇 降 計 の 指 度 は (9) な る 差 圧pに 対 応 す る 値 とな る.毛 細 管 抵 抗 係 数 α, 容 積V,大 気 の絶 対 温 度 の逆 数1/Tに 比 例 す る が, 大 気 の 圧 力Pに は 無 関 係 で あ る. (b) 静 的 遅 れ  (6)お よび(8)は 常 係 数 の 一 次 微 分 方 程 式 で あ るか ら,そ の解 は よ く知 れ た通 り (10) で あ る.但 し (11) 昇 降 計 が 一 定 の 指 度poを 保 ってい る と き,急 に 昇 降 速 度 が零 にな る と指 針 は 零 に 帰 るわ け で あ るが,遅 れ が あ る.こ れ を静 的 遅 れ とい う.こ の場 合 の 指 針 の 帰 零 過 程 は(10)式 の 第 一 項p=p0e-t/λ に 従 い,ま た指 度0よ り一 定 の指 度p0に 急 に 移 行 す る場 合 は に 従 う.遅 れ の時 間 は λ に 比 例 す る ので,λ は 昇 降 計 の 重 要 な る特 性 常数 で あ る.(11)に よれ ば (12) で あ るか ら.遅 れ 時 間 は 毛 細 管 の抵 抗 係 数 α に 比 例 し,容 積 の次 元 を 有 す る量(V+PB)に 比 例 し,気 圧 Pに 逆 比 例 す る.PBな る量 は 空 盒 の 容 積 変 化 率 dV/dpに よ る 有 効容 積 で あ る か ら,遅 れに 関 係 す る容 積 は空 気 室 の 容 積Vと 空 盒 の 有 効容 積PBと の 和 に な る.昇 降 計 に 用 い られ る 空 盒 は 極 め て 柔 か く敏 感 で あ るか ら,Bが 著 し く大 き く しば しば空 気 室容 積V を凌 駕 す るこ とが あ る.こ れ が 従 来 の諸 研 究 に おい て 遅 れ の 理 論値 と,実 験 値 と の不 一 致 とな った 理 由で あ る. 昇 降 計 と して は 遅 れ を で き る限 り小 さ くす る こ とが 望 ま しい が,機 構 の上 か ら一 定 の 昇 降速 度 に 一 定 の差 圧 を対 応 せ しめ る こ とが 要求 され,こ れ がαV/Pに

(3)

比 例 す るの で αVが 略 一 定 とな る,と こ ろがVは 装 備 上 の考 慮 か ら余 り大 とな し得 ない ので,結 局Bす な わ ち 空 盒 の 容 積 変 化 率 を 小 とす る外 な い ので あ る . 近 頃 の 昇 降 計 は み な この 傾 向 に あ る,遅 れ は 気 圧P に逆 比 例 す る ので,高 々度 で は 遅れ は甚 だ し く大 き く な る.次 の 表 を見 れ ば, 容 易 に 知 れ る通 り,1万 米 の高 度 で はす で に 遅 れ が 著 し く大 で 昇 降 計 を 使 用 し難 い の で あ る. (c) 動 的遅 れ  昇 降速 度 或 は気 圧変 化 速 度dP/dtが 時 間 的 に 変 化 す る場 合 の昇 降計 の指 度 は 一 般 解 を 表 わ す(10)式 に よ って 計 算 す れ ば よい.飛 行 機 の運 動 と操 縦 に 最 も重 要 な る フュ ゴイ ド運 動 時 の 昇 降 速 度 の 変化 の場 合 に つ い て 考察 す る.フュ ゴイ ド運 動 の大 さ きは 高 度 変 化 量2_??_H,気 圧変 化 量2_??_P,週 期T=2π/ω とす る.こ の場 合 の気 圧 の変 化 は概 ね 正 弦 波的 と考 え て差支え な い の で , (13) と お く.し か ら ばP=ω_??_P・cosωtと な る,こ れ を (6)に 代 入 し,(11)の 関 係 を 使 え ば (14) とな る.こ の 微 分方 程 式 の 定 常解 を 求 め る と, (15) (16) とな る.振 幅 の 減少 と位 相 の遅 れ とが 現 わ れ る,振 幅 の 減 少 は フュ ゴイ ド週 期Tに よ るほ か に 空 盒 有効 容 積と 空 気 室容 積 と の比б=PB/Vに 関 係 す る.σ=0 の 場合,すな わ ち空 盒有 効 容 積0の 場 合 が 振 幅 の減 少 が 最 小 で あ る.振 幅 を 動 的 感 度 と名 づ け れ ば,古 い 昇 降 計 で はб=1に な って い る の で.動 的 感 度 は1/2に

第2図  普通型昇降計の動的感 度 と位相 の遅れ

な っ て い る . 位 相 の 遅 れ が 大 きい と,昇 降 計 の指 度 は昇 降 速 度 に 対 応 せ ず高 度 変 化 に対 応 す る よ うに な り,恰 も定高 計 (statoscope)の 様 な作 用 を 営 む.そ の鏡 界 を45° と見 れ ば, と して作 用す る こ とに な る.毎 秒10米 の昇 降 速 度 に 際 して水 柱3糎 の差 圧 を生 ず る 昇 降計 に おい て,б=1 な る場 合 と σ=0な る場 合 の動 的 感 度 と位 相 の遅 れ と を 図 示 す れ ば,第2図 の如 くで あ る . 2・2 制 動 型 昇 降計 の作 動 理論 制 動 型 昇 降 計 は空 盒 と大 気 と の間 にい わ ゆ る制動 用 毛 細 管 が挿 入 して あ る点 が 普通 型 と異 な っ てい る.第 3図 はい わ ゆ る無 保 温 槽 型 昇 降 計 に 制 動 用 毛 細 管 を入 れ た場 合 で あ って,こ れ が最 も一 般 的 な型 で あ る.

第3図 

制動型昇降計の作動説 明図

(a) 基 礎微 分 方 程 式  各 部 の圧 力,温 度,差 圧,流 量 を第3図 に 示 した 如 くに 定 め る.然 らば,前 と同 様 な考 察 を進 め る と,順 次 に 次 の諸 関係 が 得 られ る.

これ らか らp1及 びp2に

関す る微分方程

式を求め ると

(17)

(4)

文(武

田 晋 一 郎)

15 と な る.こ の型 の 昇 降 計 の 指 示 は 差 圧p12に よる もの で あ る か ら,p12に 関す る 微 分 方 程 式 が 必 要 で あ る. (17)は 連 立一 次微 分 方 程 式 で あ る か ら.P1或 はp2 の み に 関 す る微 分 方 程 式 を 求 め,そ れ ら二 つ の 微 分方 程 式 の 差 を 求 め る と,p12に 関 す る 二 次 微 分方 程 式: (18) (19) (20) と お き,(18)の 右 辺 の 第二,三 項 を 省 略 す れ ば (21) とな る.こ れ が 求 め る基 礎 方程 式 で あ る.(19)の 中 のP,P2は ほ とん どPに 等 し く,短 い 時 間 中 で は こ れ ら は 常 数 と考 えて,(21)を 常 係 数 の線 型二 次 微 分 方 程 式 と して 取 り扱 って よい.航 空 機 が一 定 の昇 降速 度 を 維 持 して い る と きは とな り,指 度 が 昇 降 速 度 に 比 例 す る こ とは普 通 型 と同 様 で あ る. (b) 静 的 遅 れ  基 礎 方 程 式(21)の 一般 解 は そ の 特 性 方 程 式 の二 根 を λ1,λ2とす れ ば,次 の 通 りに な る.

静的遅れ の場合 に対 する初期条 件は

で あ るか ら, (23) とな り,静 的 遅 れ の過 程 を 示 す 減 衰 曲線 は λ1_??_《λ2な る た め,普 通 型 と異 な りt=0の 附 近 で水 平 に 出発 す る.米 国Pioneer社 製 の 昇 降 計 に つい て 実 測 せ る常 数

を用い て計算 した減衰 曲線 は,λ1=-0.271,

λ2=-1.56に し て とな る.λ2/λ1=5.76で あ る か ら,λ2の 項 は極 め て早 く減 衰 し,短 時 間 後 に は λ1の項 が 残 る の み で あ る.

第4図  制動型昇 降計 の減衰 曲線

第4図 は これ を 示 した もで あ る. 遅 れ の 気 圧(高 度)に よる増 加 は普 通 型 昇 降 計 と大 差 な い と見 て よい. (C) 動 的 遅 れ  普 通 型 の場 合 と同様 に フ ュ ゴイ ド運 動 を考 察 す る. と お けば,(21)の 定 常 解 は (24) となる.特 有 方 程 式 の 根 λ1,λ2を使 い,-1/λ1=τ, -1/λ2=τ/nと お け ば (25) とな る.こ れ に 従 って,第4図 に減 衰 曲線 を 示 した 昇 降 計 に つ い て 動 的 感 度 と位 相 の 遅 れ を 計 算 した 結 果 を 図 示す れ ば,第5図 の通 りで あ る.振 幅 は 週 期 が 小 と なれ ば小 とな って,制 動 効 果 が 現 わ れ て い る .位 相 も 90° 以 上 の 遅れ が生 ず る こ とが 知 れ る.

(5)

16

第5図  制動 型昇降計 の動的感度 と位相 の遅れ

3. 誤 差 及び誤 差 修 正論 昇 降 計 に 特 有 な る 誤差 は 空 盒 の 内 外 に生 ず る圧 力 差 が 諸 種の 原 因 に よ って真 の昇 降 速 度 と対 応 せ ぬ た め に 生 ず る 誤 差 で あ る.定 常 状 態 に 於 け る指 示 圧 は(8)よ り (26) で あ る.第 一項 にT2/T1な る 係 数 を 附 加 した 理 由 は 毛 細管 中 の空 気 密 度 と空 気 室(魔 法 瓶)中 の空 気 密 度 と 相違 せ る時 の影 響 を含 め た こ とに あ る.第 二 項 は空 気 室 内 の空 気 の温 度 が時 間 的 に 変 化 す る た めの見 掛 け の 昇 降速 度 を現 わす もの で,外 気 温 お よ び そ の変 化 速 度 保 温 の 良否 等 に関 係 し理 論 的 に そ の大 き さを予 想 す る こ と は困難 で あ る.保 温性 能 を よ く して との誤 差 を 避 け る ほ か は ない, 第 一 項 は昇 降 速 度 に 比 例 す る誤 差 を含 み,そ れ は 係 数 因 子 が標 準 値 と相 違 す る た め に起 る もの で,理 論 的 に 完全 に 予 測 で き る もの であ る.係 数 因 子 に て変 化 す る もの は,衣 の三 個 であ って そ れ ぞ れ右 側 の原 因 に よ って 変 化 す る もの で あ る. これ らの原 因 に よる誤 差 を 次 の 如 く命 名 す る. 最 も大 きい の は大 気 温 度 誤 差 で,次 に大 きい の は粘 性 係 数 誤 差 で あ る. (a) 大 気 温 度誤 差  これ は大 気 温 度 が標 準温 度15° C即 ちTo=288°Kと 相 違 す る た め に生 ず る誤 差 で あ る.航 空 機 の行 動 範 囲の 大 気 温 度 の変 化 は高 度 の変 化 に よる もの が 最 も卓越 してい るの で ,し ば しば 高 度 誤 差 と通 称 ざれ てい る,誤 差 の 表 現 は標準 差 圧Po (27) と現 在差 圧pと の 比 或は そ の 百 分 率 に て行 う もの とす る,し か らば,大 気 温 度 誤 差 は大 気 温 度TとToと の 差 を_??_T と して (28) とな る.そ の数 値 の一 例 は次 の 表 の如 く で あ る. 大 気 温度 誤 差 は 低 温 で正 値,高 温 で負 値 を と り-50℃ に おい て+30%に 達 す る.高 温 で の誤 差 は 小 で10%に 達 す る こ とは 稀 で あ る 標 準 大 気 を 仮 定す れば,温 度 と高 度H(粁)と の間 に はT=To-6.5Hな る関 係 が あ る か ら,こ れ を(28) に代 入す れ ば,大 気 温 度 誤差 は高 度Hの 函 数 とな り (29) 昇 降 計 の所 謂 高 度 誤差 が得 ら れ る.高 度5粁 で12.7% 高 度10粁 で29.1%に 達 す る. (b) 計 器 温度 比 誤 差  これ は 毛細 管 と空 気 室 との 温 度 が 異 な る と きに の み 発生 す る もの で あ る か ら,所 謂 無 保温 槽 式 昇 降 計 で は この誤 差 は生 じない.空 気 室(魔 法 瓶)の 温 度 が一 定Toに 保 た れ,毛 細 管 温 度 が常 に外 気 温 度Tに 等 しい とき は(26)よ り 明 らか な通 り, 大 気 温 度 誤 差 と計 器温 度比 誤 差 とは打 消 し合 って両 誤 差 の和 が0に な る. (C) 粘性 係 数誤 差  これ は 毛 細 管 中 の空 気 の 粘性 係 数 が 温 度 に よっ て変 化 す る た め に生 ず る もの で, (30) の如 く表 わ され る.そ の値 は次 表 の通 りで あ る.こ の 誤 差 は高 い 高 度 で負 値 とな る の で大 気 温 度 誤差 と打消 す 作 用 が あ る.約 半 分 を 打 消 す.

計 器温度比誤差 と粘性係数誤差 と は互に関連 して生

ず るのが普通であ るか ら,次 項 の誤差修正論 では両者

を纒めて計器温 度誤差 として取 り扱 うことにする .

(6)

論 文(武 田 晋 一 郎) 17 (d) 誤 差 修 正 論 昇 降 計 の誤 差 修 正 に は 読 み の 記録 値 よ り正 しい 昇 降 速 度 を得 る操 作 と自動 的 に誤 差 修正 を 行 った 補正 型 昇 降 計 に関 す る もの とが あ る.誤 差 の 原 因 と大 き さ とが 前 の諸 項 目で 明 らか で あ る か ら,こ れ らを 活 用 し て前 者 の修 正 を 行 うこ とは容 易 で あ る か ら,こ れ に つ い て の詳 説 は省 略す る . (1) 大 気 温 度 誤 差 の 自動 修 正  この 自動 修 正 に は大 気 温 度 に 感 応 す る測 定要 素 体 が必 要 で あ る.最 も簡単 な もの は 標 準 大気 方 式 で あ る.こ れ は 標 準大 気 を 仮 定 して高 度 に 対 応 す る気 圧 と気 温 とを 一 意的 に 関 連 せ し め て気 圧 を 測 定 して間 接 に気 温 を 知 る方 式 で あ る .測 定 要素 は 気 圧 変 化 で作 動 す る 空 盒 で あ る.こ の空 盒 の 変 位 に よ っ て,毛 細 管 の抵 抗 係 数 を 変化 す る方 法 を採 る.こ の ほ か に 毛 細 管 の一部 が オ リフ ィ スの如 き空気 密 度(気 圧)に 比 例 す る 圧 力 差 を生 ず る よ うに した も の,或 は 素 焼 筒 の隔 壁 を空 気 が 通 過 す る と きの抵 抗 係 数 が 空 気 圧 力(分 子 の平 均 自由 行 路)に よ って 変 化 す る 現 象 を 利 用 した もの な どが あ る. 標 準 大 気 式 で は修 正 不 可能 の残 存 誤 差は 第6図 に 示 した 通 りで あ って,地 上 で12%,高 空 で10%程 度 の 値 に 達 す る.精 密 な誤 差 修 正 を望 む と きに は,実 大 気 方 式 に よ らな けれ ば な らな い.こ れ は大 気 温 度 計 装 置 に て 大 気 温 度 を 測 定 して 毛 細 管 の 抵 抗係 数 を 変 化 せ し めて 自動 修 正 を行 うもの であ る.

第6図  標 準大気 方式にて修正不可能 の残 存誤差

(2) 計器 温度誤差 の自動修正 空気室中に毛細管を

おけば,計 器 温度比誤差はな くな るの で粘 性係数誤差

のみを修 正すれ ばよい,バ イメタルを用い るときには

そ の変 形に よる毛細管 の抵抗係 数変化率 と粘 性係数の

温度変化率 と相等 しくその方向を反対にすれば よい.

α を粘 性係 数 μ と寸 法 形 状 か ら定 ま る抵 抗 常 数 β との積α=μ β とす れ ば,誤 差修 正 条 件 ∂α/∂T1=0よ り (31) を うる.右 辺は 粘性 係 数 の 温 度 変 化 率 で0.0028で あ るか ら,バ イ メ タル による(1/β)dβ/dT1も0.0028 に 撰 定 す れ ば 正 しい 修正 を 行 うこ とが で き る.こ の ほ か に 空 盒 中 に 適 当量 の 空 気 を 残 存 せ しめ て バ イ メ タル を 用 い な い 方 法 もあ る.

4. 毛細管抵抗 論

毛 細 管 は 昇 降計 の 最 も重 要 な る部 品 で あ る.そ の流 動 抵 抗 は 粘性 層流 と仮 定 してPoiseuilleの 法 則 を適 用 して 来 た が,厳 密 に考 え る と,粘 性 層 流 発 達 の影 響 乱流 の 影 響,空 気 密 度 の 影響 の有 無,膨 脹加 速 流 の影 響 等 の 吟 味 と検 討 とを必 要 とす る.こ れ らの 考 察 の基 礎 とな る流 体 力 学的 理論 と事 実 と はす で に概 ね 研 究 済 であ る が,昇 降計 用毛 細 管 へ の適 用に 際 し て注 意 す べ き点 を 附記 して次 に述 べ る. (a) 粘性 層 流 発達 の影 響  円 形 断 面 の管 の 中 の流 体 の流 れ がPoiseuilleの 法 則 に 従 らの は無 限 に 長 い 管 の 一 部 分 に お い て で あ る .昇 降 計 用毛 細 管 の如 く短 い 管 で は 管 の 入 口附近 の 速 度分 布 が第7図 に 示す 通 り変 化 す る こ とを考 慮 せ ね ば な らぬ.昇 降 計 に 関 係 す る の は 一 定 の 平均 流 速Uに 対 す る圧 力 低 下量 で あ る が,圧 力 低 下 は 空気 が 静 止部 よ り管 の入 口に 移 る とき速 度0 よ り速 度Uに 変 わ る と き起 る もの と,一 様 な 速 度 分 布 が抛 物線 的 の速 度 分 布 に 変 わ る とき の流体 の 内部 摩 擦 抵 抗 の 増 加 に よ る もの と,普 通 のPoiseuilleの 法 則 に 従 うもの との 三 者 よ り成 ってい る,最 初 の もの は (32) で ある.速 度分 布 が直 線 よ り抛物 線 に変 化 す る部 分 の 圧 力 低下 量_??_p2に 就 い て は J.Boussinesq, L. Schil1er, Goldstein等 の 研 究4)が あ るが 得 られ た結 果 に は若 干 の 相 違 が あ る. L.Schillerは 境 界 層 理論 を適 用 し て近 似 解 を求 め て, (32) を 得 た.J. Boussinesqは 級 数 展 開 法 に よ っ て 解 き, (33) を 得 た.GoldsteinとAtkinsonは 境 界 層

理論 による精密な解法を用いて

(34) な る結 果 を得 た.こ の 結 果を こ こ で採 用 す る. しか らば,粘 性 層 流 が十 分 発 達 し た る長 さ1の 毛 細

管 の両端 の圧力差pは

(2)

となる.第一項 は空気密度に無関係 で粘性係数に比例

し,第 二項 は粘 性係数に は一応無関係 で空気密度に比

例す る量 である.

(1) 空気密度 の影響 毛細管 の長 さlが 十分長 くな

147

(7)

第7図  毛細管内の速 度分 布の変化 と圧 力の変 化

い と きは第 一項 に比 し て第二 項 が 小 とな らず,空 気 密 度 の 影 響 を受 け昇 降 計 に は 密 度 誤 差 が生 ず る.こ の密 度 誤 差 は (36)

とな る.容 積Vの

空気室を有する 昇降計 よ り流出す

る空気の毛細管中の平均流速Uは

(37) で あ る.こ れ を(36)に 代 入 す る と, (38) とな り,密 度 誤 差 は毛 細 管 の 内半 径 γ に は 無 関 係 で そ の 長 さlに 逆 比 例 す る,な お 昇 降速 度 に比 例 す る . これ は大 気 温 度 誤差 な どの 百 分 率 が 昇 降速 度 に無 関 係 であ った こ と と相違 してい る点 に 注 意 す べ きで あ る. V=260糎3, dH/dt=10(米/秒)と し て 高 度5粁(ρ/ ρ0=0.601)と 高 度10粁(ρ/ρ0=0.337)に 於 け る密 度誤 差 を種 々の 毛 細 管長lに 対 して 計 算 す れ ば次 の表 の通 りであ る. 2) 毛 細 管 の 長 さの撰 定  こ の撰 定 に つい て考 慮 す べ き条 件 は 空 気 密 度 に よる誤 差 の抑 圧 と過 渡 的 長 さ以 上 に 達 し てい る こ との二 つ で あ る.前 者 よ りはは,高 度 10粁 の ときの 密 度 誤 差 を2%以 下 に 抑 え る とV= 260糎3の 昇 降 計 に対 し て,l>34粍 とな る.過 渡 的 長 さ(length of transition)l1はBoussinesqに よ る と 99%の 合 致 度 に て過 渡 域 を 定義 し て (39)

となる.こ の関係式を空気容 積Vの

昇降計に適用す

れば

(40) となり,l1は 昇 降速 度 と空 気 密 度 に 比例す る.故 に,地 上 密 度 に 対 してl1を 決 定 し て お けば 高 空 に対 して このl1で 安 全 であ る.+15℃ の μ の値 に 対 して1,を 計 算 す れ ば 女 の表 の通 りで あ る. 昇 降 速 度10米/秒 を標 準 とすれ ば,l≧20 粍 とす れ ば 充 分 で あ る.30米1秒 の最大 指 度 を有 す る昇 降 計 を設 計 す る場 合 に はl1 が51粍 に も達 して い る こ とに 注意 しな け れ ば な らな い. (b) 乱 流 の 影 響 の 有 無  空 気 室 容 積Vの 昇 降 計の 毛 細 管 中 の流 れ に 対 す るReynolds数Rを 計 算 すれ ば. (41) とな る.10米/秒 の 昇 降速 度,V=260糎3に 対 して R=20と な るの で,乱 流 にな る心 配 は全 然 な い. (C) 膨脹 加速 流 の 影 響 の 有 無  毛 細 管 中を流 れ る空 気 は圧 縮 性 が あ るた め,管 の起 点 と終 点 との 間 で圧力 降 下 のた め膨 脹 し加 速 され る.こ の た め,流 量 と差圧 との関 係 が 少 し影 響 を受 け5) (42) とな る.右 辺 の第 三項2p/Pが 膨 脹 加 速 流 の影響 を 示 す もの で あ る 。地 上 気 圧P0≒1000糎 水柱, p=3糎 水 柱 で あ るか ら,と の 項 の 大 き さは0.003 ρU2/2と な り全 く微 少 量 で あ る.高 度10粁 で もこ の4倍 と な る に 過 ぎな い か ら,こ の 影響 は 無 い と考 え て差 支え な い. (d) 短 形 毛細 管  矩 形 断 面 の 毛 細 管 は誤 差修 正 式昇 降 計 の 可 変 抵 抗体 と して 使 用 せ られ て い る の で,そ の 抵 抗 係 数 と速 度 分 布 な どを理 論 的 に 求 めた.そ の詳細 を 省 略 し,一 辺α の 正 方 形 の 抵 抗 係 数 α1を 記 せば, とな り,直 径α の 円 形 毛細 管 の抵 抗 係 数 α0は とな り,α0は α1に 比 して約1.43倍 大 きい.正 方 形 と同 一面 積 の 円 形 管 とを比 較 すれ ば,正 方 形 管の方 が約12%小 で あ る. 5. 部 品 の性 能 の 測 定 法

昇 降計 の三主要構成要素な る毛細管抵抗係 数,空 気

(8)

文(武

田 晋 一 郎)

19 室 容 積, ,空盒 圧 力 計特 性 に つ い てそ の性 能 を実 験 的 に 研 究 した 結 果 を 以 下 に述 べ る. 5・1 毛 細 管 毛 細 管 の 主 務 は魔 法 瓶 よ りの 出 入 空 気流 に 抵抗 を 与 えて 差 圧 を生 ぜ しめ る こ とに あ る.従 って そ の抵 抗 係 数 を正 確 に 測 定す る こ とは昇 降 計 の作 動,設 計,試 験, 製 作 に対 して決 定的 に 重 要 な る事 柄 であ る.し か し, 従 来 わ が 国 で は この 抵 抗係 数 の 測 定 は 余 り実 行 し てな く,そ の測 定法 もほ とん ど進 歩 し てい な い 有 様 で あ っ た.著 者 は 毛 細 管 の 抵 抗 係 数 の測 定 法 を種 々研 究 し, 絶 対 測 定法 及 び 比 較 測 定 法 の二,三 の 新 しい測 定 法 を 創 案 して 良 好 な る成 績 を 得 る こ とが で き た. (a) 絶 対 測 定 法  毛 細 管 の 抵 抗 係 数 の 絶 対値 の 決 定 は そ の 長さlと 半 径 γ を測 定 して α=8μl/πγ1に よ って 計 算 して もよい が,こ れ は多 数 回 の実 験 は面 倒 で 実 行 不 可 能 で あ る.し か し,Poiseuilleの 法 則 或 はそ れ を 修 正 した 諸 公 式 に よ って流 量 を 測 定 して抵 抗 係 数 を算 出す る方 法 に よ って 抵 抗 係 数 の 絶対 値 を 求 め る こ とが 出 来 る.そ して 多数 回 の 繰 返 し も困難 で な い の で あ る. 流 量 法 に よる 抵抗 係 数 の 既 知 の 測 定方 法 は 昇 降 計 用 毛 細 管 に は 適 当 でな い と考 え られ た の で,次 の 第8図 の 如 き装 置 を 製 作 した.電 動 機 の 回転 は減 速 され て螺 杆 を進 め ピ ス トンを 押 し て空 気 を排 出す る.こ の 空気 が 毛細 管 を 通 っ て圧 力 差 を生 じ,そ の圧 力 差 が ゲ ッチ ンゲ ン型 圧 力 計 に て測 定 され る.空 気 量 は 電 動機 の回 転 数 と ピス トンの直 径 な どか ら精 密 に 決 定 され る.

二つの毛細管 に対す る実験結果 は

(43) で あ る.こ の測 定結 果 の精 度 を確 定 して お くた め に,

第8図  毛 細管抵 抗係数の絶対測定装置

二 つ の実 験 を 行 った.第 一 は間 接 的 な 方 法 で,後 述 の 直 列 式 比 較 測 定 装 置 に て 二 つ の 毛 細 管 の抵 抗 係 数 の比 を 求 め,こ れ と(43)の 比 とを 比 較 した もの で あ る. そ の 結 果 は, (44) で あ って,そ の 差 異 は0.02%に 過 ぎ な い.第 二 は直 接 に 毛 細 管 の長 さ と内 径 を 精 密 に測 定 し,そ れ と絶 対 測 定 方 法 に よる 抵抗 係 数 と よ り空 気 の粘 性 係 数 を 計 算 し,そ の 値 と既 知 の 空気 の粘 性 係 数 値 と比 較 す る も の であ る.そ の 結 果 は20℃ に お い て で あ る.空 気 の 粘性 係 数 の 値 は測 定 者 に よっ てか な り の相 違 が あ るが,最 も信 頼 す る に 足 る もの は20℃ に お い て で あ る.こ れ を 基 準 とすれ ば,こ の絶 対 測 定装 置 よ り 得 た る測 定 値 は ±0.3%の 差 異 を 有 す る に過 ぎ な い. これ らの実 験 に よ って,こ の絶 対 測 定装 置 は 十分 正 確 な る絶 対 測 定 を 行 い 得 る こ とが 証 明 され た こ とに な る.こ の装 置 を改 良 す れ ば,気 体 の 粘性 係 数 の精 密 な る測 定 装置 とす る こ とは 容 易 で,特 に種 々の温 度 の下 の 粘 性 係数 の測 定 に適 す る もの と信 ぜ られ る. (b) 比 較測定 法 基 準 毛細 管 と試 験毛 細 管 の抵 抗 係 数 を 比 較 す る方 法 で,電 気 学 との 類 似 よ り直 列 法,並 列 法,電 橋 法 が考 え られ る.著 者 は 直 列法 と電 橋 法 の 二方 式 に つ い て研 究 した.比 較 測 定 法 は 測 定 が 極 め て 容 易 で あ るか ら,製 作 会 社 にお い て 毛 細 管 を 調 製 す る に適 当 して い る.第9図 は直 列 式 の比 較 測 定 装 置 を 示 した もので,そ の 用法 は 図 よ り明 らか で あ ろ う.圧 力 計 の指 度 の比PI/PIIが αI/αIIとな る の で あ る.そ の 精 度 は(44)に 示 した通 りで,十 分 正 確 で あ る.

第9図  直列式比較測 定装置

第10図  電橋式比較測定装置

電 橋 式 比 較 測 定 装 置 はWheatstone電 橋 と 同 じ原 理 に基 づい た もの で,第10図 の 如 き装 置 で あ る.X を試 験 毛 細 管 と し,Sを 標 準 毛細 管, R1お よびR2 149

(9)

応 用 力 学

第5巻

第30・31号

を 補 助 毛 細 管 と して,圧 力 差 が0な れ ば な る関 係 が 成 り立 つ.S,R1,R2が 既 知 な れ ば,上 式 よ りXの 値 が知 れ る.昇 降 計 の生 産 を行 う場 合 に は Rl=R2と し てお け ば, X=Sと な る の で,非 常 に簡 単 で ある.検 流 計 の役 目 をす る 二液 圧 力 計 の 代 りに敏 感 な る空 盒圧 力 計 を 使 用 す る と,取 扱 い が 容 易 に な る.こ の 方 法 の精 度 の判 定 は,電 橋 法 に よ って 調整 し だ3個 の毛 細 管X1,X2,X3を 前述 の 絶対 測定 法 に よ 〓て測 定 しそ の 値 を標 準 値X0=1.130・1O4(31.05℃ に お いて)と 比 較 す る方法 に よ った.そ の結 果は次 の 表 に示 す 通 りで1%に 達 す る差 異 は な い, 電 橋 が不 平 衡 の と きに は,差 圧_??_pが 生 ず る.こ の差 圧_??_pを 測 定 して 不 平 衡 の 際 のXの 抵 抗 係 数 を求 め る こ ともで きる.こ れ に つい て も実 験 した. 5・2 容 積 昇 降 計 の毛 細 管 よ り奥 部 に あ る容 積 部 分 はす べ て空 気 室容 積 と して昇 降 計 の作 動 に 関係 す る の で,そ の 容 積 の値 は精 確 に決 定 す る 必 要 が あ る.そ の容 積 を 大 別 す れ ば 次 の通 りで あ る.

瓶 容

接 続 導 管 容 積

指示器各部容積(空 盒内部 と接続部)

(a) 直 接 測 定 法  魔法 瓶 の容 積 の測 定 は水 を入 れ た 重 量 と空 の と きの重 量 との差 よ り求 め る重 量 法 に よ っ て精 密 に測 定 す る こ とが で き る.指 示 器 の 空 盒 内 の 容 積 は 同 型 の空 盒 に パ ラフ ィ ンを 封 入 して 固 形 化 した の ち,そ の パ ラ フ ィ ンの 重 量 と比 重 とを 計 測 して 求 め る こ とが で きる.そ れ ら の 結 果 を 供 試CA型 昇 降 計 に つ い て示 せば 次 の通 りで あ る. (46) (b) ピス トン式 容 積 測 定 法  これ は第11図 の 如 き 装 置 に お い て 測 定容 積V0を 接続 した と き と しな い と き との ピ ス トンの移 動 量_??_S1,_??_S2とよ り,次 の 関係 式 (47) に てV0を 計 算 して求 め る方 法 であ る .た だ し, Aは ピ ス トンの 断 面積,Pは 大気 圧 ,_??_Pは生 ぜ し めた 圧 力 差 と する.(47)に よ って 計 算 したV0は261 .8糎3 で,こ れ を 直接 測 定 法 の 値259 .6糎3と す れ ば, (温度 差 の修 正 を加 え て)0.61%の 差 に過 ぎ ない の で 十 分 正 確 と考 え られ る. こ の方法 は水 を 入 れ た り重 量 を計 測 した りしな い の で実 用 に 便利 な方 法 で,し か も精 度 も十分 高 い の で生 産 工 場 な どの使 用 に 適 し てい る.適 当 な る改 良 を施 せ ば,_??_S1とVと のグ ラ フよ り直 ちに容 積 を求 め うる よ うにす る こ とが で き る であ ろ う. 第11図  ピ ス トン式 容 積 測 定装 置 (c) 容 積 変 化 率 の測 定 法  前 述 の ピ ス トン式容積測 定 装 置 を 利 用 す る と,空 盒 の容 積 変 化 率 を 簡単 に求 め る こ とが で き る.第12図 に 示 す 様 に,ピ ス トンの移 動_??_xに よる圧 力 増 加_??_Pを 測 定 せ ん とす る空 盒 自 身 を 圧 力 計 とし て測 定 す れば,△Pに よ る空 盒 の容積 増 加_??_Vは (48) に よ って 求 め られ る.た だ しV0は 空 盒 の 元 の容積, V1は ピ ス トン とそ の 接 続 部 の容 積 とす る.供 試 昇降計 につ い て (49) を 得 た.

第12図 

空 盒容積変化率測定装置

5・3 空 盒 圧 力 計 特 性 これ は通 常 の如 く,差 圧 と指 度 の 関 係 を 求 めれ ば よ い.圧 力 差 と指 度 との 関 係 は 概 ね 直 線 であ る.指 示器 の固 有振 動 数 を 求 め,そ の 固 有 週 期 と して0.296(秒) を得 た.こ れ か ら空 盒上 の 有効 質 量 を計 算 し て み る と,12.9瓦 とな る. 6. 綜 合 特 性

昇 降計 の各部 品の性質 と機能 とが 明らか とな ったの

で,次 には昇降計 として の綜合的の作動に関する実験

結果を述べ る.

(a) 指度 の理論値 と実 験値 供 試昇降計CA型

つい て各部品 の特性 を測 定 した前述 の結 果に よって指

度 の理論値 を計算 し,実 験 値 との比較 を行 えば次の通

150

(10)

論 文(武 田 晋 一 郎) 21 り と な っ た. 両 者 の一 致 は 極 め て 良好 で あ る.こ れ は魔 法 瓶 の 中 の 空 気 は定 常 状 態 で は,等 温 変化 を 行 って い る こ とを 確 定 した もの で,今 ま での 研 究 の一 部 で 頗 る不 明 瞭 で あ った点 を 明 らか に した もの で あ る. (b) 静 的 遅 れ の 理 論 値 と実験 値  昇 降 計 の 静的 遅 れ の 理 論 値 と実 験 値 とは従 来 の研 究 に お い て一 致 の悪 か った 最 大 の もの で あ る.著 者 はCA型 お よ びCB型 に つ い て詳 細 な る 理 論 的考 察 と実 験 的 研 究 とを行 い, ほ とん ど完 全 に この 現 象 を 分 析 す る こ とが で き た. 先 ず,魔 法 瓶 の 中 の空 気 が γ を指 数 と す る ポ リ ト ロ ー プ変 化 を行 う場 合 の 静 的 遅 れ を 計 算 す る と (50) と な る.断 熱 変 化 の と き は γ=1.40,等 温 変 化 の と き }は γ=1.00で あ る,γ=1.40の λ の 値をλ0と す れ ば, (51) とな り,遅 れ は等 温変 化 の場 合 よ り も大 き くな る. 遅 れ の 実験 は第13図 に示 した 装 置 で昇 降 計 の指 針 の運 動 を ス トロボ高 速 撮 影 機 に と り,そ の フ ィル ムを 分 析 し て行 った.そ の 結 果 の 一 例 は 第14図 であ る.

第13図 

静的遅れ の実験装置

こ れ らの結 果 を理 論 と比 較 す るた め,供 試 昇 降 計CA 型 お よびCB型 の 者 部 分 特 性 を 精密 に 測 定 した る の ち,さ ら に昇 降 計 と魔 法 瓶 とを 結 ぶ導 管(約2米 長)の 抵 抗 βの影 響 を 考 慮 した 作 動 理 論 を展 開 し を得,α≫ β を考 慮 して静 的 遅 れ を求 め る と,大 体 (52)

第14図 

静 的 遅 れ 曲 線 の 実 験 結 果

(11)

22 とな り,遅 れ が βV/Pだ け 増 加 した の と 同様 と見 ら れ る こ とが 知 られ た. 第14図 に示 した 静 的遅 れ 曲線 を見 れ ば わ か る通 り 曲線 の傾 斜 が初 期 と末期 とで 少 し異 な る こ とで あ る. これ はは静的 遅 れ の初 期 では 断 熱 変化 に近 く,末 期 では 等 温 変 化 に 近 い こ とを意味 して い る の で あ る.CA型 昇 降 計 に つ い て の実 測 値 と理 論 値 とを比 較 して示 せば 次 の表 の通 りで あ る.こ れ を見 れ ば,上 記 の見 解 の正 しい こ とが 察 され よ う.し か し,詳 細 な る検 討 を行 う と,初 期 遅 れ も完 全 な 断熱 変化 で はな く,そ のポ リ ト ロ ープ指 数 γを求 めて 見 る と, CA型 昇 降 計 γ=1.34, CB型 昇 降 計 γ=1.21 と な る.ま た 仮 りに10∼1米/秒 の 両 点 に て 合 致 す る ポ リ ト ロ ー プ 指 数 を 求 め て 見 る と,CA型 に 対 し て γ=1.16と な る. (c) 動 的 遅 れの 実 験 値 と理論 値  第15図 に 示 した 通 りの 実験 装 置 に て週 期的 圧 力変 化 を与 え て,圧 力 変 化 量 を 差 圧 計 に て測 定 し,供 試 昇 降計 の指 度 と比 較 し て 振 幅の減 少 と位 相 の遅 れ とを 求 め た.指 度 の時 間 的 記録 は主 要 目盛線 を通 過 す る時 刻 を テ ー プ式 ク ロノグ

第15図 

動 的遅れの実験 装置

ラ フ装 置 に て 記 録す る方 法 に よ って簡 易 に求 め る こ と が 出来 た.そ の結 果 を 示 せ ば,第16図 と第17図 と で あ る.前 者 は普 通 型 昇 降 計 に 関 す る もの(CA型) 後 者 は制 動 型 昇 降 計 に 関 す る もの(パ イ オ ニ ヤ 製)で あ る.こ れ らを 第2節 に 示 した動 的 遅 れ の理 論 曲線 と 比 較 して 見 る と よ く一 致 して い るこ とが 知れ る. な お,こ の ほか に 種 々の 飛行 経 過 に 対 する圧 力 変 化 を 与 え て そ の影 響 を 調 べ,ま た遅 れ の高 度 に よ る増 加 な どを実 験 した が,い ず れ も理 論 的 解 析 と一 致 す る も の であ った. 7. 多 量 生 産 法 昇 降 計 の生 産を 簡 易 化 する に は,上 述 した こ とか ら 容 易 に推 察 され る よう に,各 主 要 構 成 部 分 品 を 一 定 の 規 格 に合 わ せ て作 り,後 に それ らを 組 み 合 わ せ れ ば 極 め て容 易 迅 速 に 行 われ る筈 で あ る.し か し,こ の様 な

第16図 

普通 型昇降計 の動的遅 れの実測値

第17図 

制動型昇降計 の動的 遅れの実測値

方 法 で実 際 の生 産 は行 われ る に至 ってい な い,詳 細 は 省 略す る.

8. 誤差補正型昇降計の試作

大気温度誤差 と計器温度誤差 の修正を 自動的 に行 う

所謂誤差補正型昇降計 の理論 は第3節 に述べた通 りで

あ る.こ れに基づいて著者は次 の如 き三種の昇降計の

試作を立案 し,そ の一つを完成 した,

これ らの構 造 の 略 図 は 第18図,第19図お よび 第20図 の 通 りで あ る. 一 型 ば 実 際 に 試 作 し,良 好 な る補 正 成 績 を 示 した. 各 部 の 性 能 は すべ て理 論 と合 致 す る よ うに 調整 して試 作 した.二,三 型 は 試作 中で 終 りに な った. 9. 結 言 昇 降 計 の 作 動 を理 論 的 に も,実 験 的 に もほ とん ど余 す 所 な く究 明 し た積り で あ る.し た が って昇 降 計の設 計,製 作,試 験,検 査 に 関 し不 明 の点 は こ こに展 開 し た 理 論 と実 験 を 参 考 とす れ ば 有 益 な結 果 が 得 られ るで あ ろ う

(12)

論文(鈴 木 真 一) 23 第18図  補 正 昇 降 計 一 型

第20図 

補正昇降計三型

第19図 

補正昇降計二型

1) 昭和26年7月27日 受理 2) 正 会 員,法 政 大学 工学 部 3) A. Bestelmeyer; Phvs. Zeits.Bd .11(1910),s.763. W.Oppelt&F. Wenk; Lufo., Bd .14(1937).s.537/541 Draper & Schliestett; J. Aer. Science, Vo1.5(1938) . p.p.426/430. D.P. Johnson;N.A.C.A.TR. No.666,(939). Stewart;Aircraft Instruments, pp.46/49. Eaton; 〃 pp.48/52 . Bennewitz; Flugzeuginstrurnente; s.126. 4) J.Boussinesq; C.R,113(1891),9/15 . L.Schiller;Z.A.M.M.. Bd.2(1922),s.96/106

Goldstein; Mbdem Developments in Fluiddynamics , Vol.1, p.308.

参照

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