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冒険教育における指導者の技能・能力に関する研究-「ひょうご冒険教育」の実践を中心として-

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Academic year: 2021

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(1)冒険教育における指導者の技能・能力に関する研究  一「ひょうご冒険教育」の実践を中心として一.                    教科・領域教育学専攻                      総合学習系コース                          M06301C.                         稲吉徹 具体的な指導方法や指導者の養成につい 1.問題の所在と研究の目的  周知のように、平成20年1月17日の ては、ほとんど言及されていない。 中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、  そこで、本研究では、この「ひょうご 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領 冒険教育」における指導者であるファジ 等の改善について(答申)」では、 「教育 リデーターを手がかりとして、冒険教育 内容に関する主な改善事項」の一つとして の指導者に必要な能力や技能とは如何な  「体験活動」の充実が示された1〕。ここで るものであるのかを明らかにすることを 目的とする。 は、親や教師以外の地域の大人や異年齢の 子どもたちとの交流、集団宿泊活動や職場 体験活動、奉仕体験活動、自然体験活動、 2.プロジェクト・アドベンチャーの教 文化芸術体験活動等が、他者、社会、自然・. 環境との直接的なかかわりの重視として示 されている2)。.  我が国では、これまでも一貫して、理性 に基づいて情報を処理する力、知識・技能 を実際の生活や学習において活用するカ、 課題探究や創意工夫し課題を発見したり課 題を解決したりする力とともに、感性に基 づいて情報を処理するカが必要視されて来 ており、そのためにこそr体験活動」が重 要視されてきているといえよう。  ところで、今日、「体験活動」というター ムは、その用語概念としては広く用いられ ているものである。すなわち、体験活動は、. 全国の小・中・高等学校における自然体験 活動や集団宿泊体験、等々である。しかし、. 本研究でのr体験活動」とは、アメリカに おいて誕生し開発された人間関係トレーニ ングを中心とした自己成長、コミュニケー ション能力、チームワーク能力、組織開発 などの領域で広がるラボラトリー・メソッ ドによる体験活動を指すこととする3〕。そ して、この体験活動に、プロジェクト・ア ドベンチャーがある。.  本研究で手がかりとするrひょうご冒険 教育」は、プロジェクト・アドベンチャー の手法を用いた冒険教育プログラムである。 先行研究としては、嬉野台生涯教育センタ ーを主管とする「三教育機関共同研究」で は、 「ひょうご冒険教育」の教育効果の科 学的検証が中心に研究され、ここでは「ひ ょうご冒険教育」としての理論や概念を中 心に体験した利用者への学習効果を測定す るというものであった。しかし、そこでの. 育的意義  プロジェクト・アドベンチャーとは、. 既にイギリスで実践がなされていたクル ト=ハーンによる冒険教育プログラムで. あるOutwardBoundSchoo1(0BS)を前 身としており、これを学校教育現場で用 いられるようにした冒険教育プログラム として1970年代に考案・開発されたもの である{〕。これは、教師等の指導者主体 の教え込むタイプの教育方法とは異なっ た、学習者の自主性によって学習が進ん でいく教育プログラムとして、1990年代 に日本に導入されたものである5)。次に、. プロジェクト・アドベンチャーの教育目 標であるが、それは、①参加者の自信を 高める。②グループ内の相互信頼を高め る。③巧緻性や身体的臨調性を向上させ る。④運動の喜びや他者とともに活動す ることの喜びを高める。⑤自然環境に親 しみ、自然について理解を深めるという 5点である。これは、その教育プログラ ムの意義として、自己概念の向上、人間 関係スキルの向上、基礎的な体力の向上、 豊かな人間性の向上といった要素を抽出 した。それを、学校教育における教科・ 領域それぞれの目標と比較検討した。そ の結果、現行指導要領では、社会科、生 活科、体育科、道徳、特別活動の5つの 分野で3点の共有要素がみられたのであ る。また、新学習指導要領では、総合的. 一510一. な学習の時間、社会科、生活科、体育科、. 道徳、特別活動の6つの分野で3点の共 有要素がみられたのである。特に、総合 的な学習の時間は、これまでにはなかっ.

(2) ではなく、学習者の自主性や主体性を引き 出したり、学習者が問題や課題に取り組む. た、協同的な学習を取り入れたことにより、 人同士の係わり合いの中で行う学習には、 人間関係スキルの能力を育むことになると いえよう。つまり、総合的学習の時間にお いては、平成15年度改訂版学習指導要領よ り、平成20年度改訂版学習指導要領の方が プロジェクト・アドベンチャーの理論や考 え方と近いことが示された。. ために支援したりするようになるといえ る。つまり、ファジリデーター自身の中で、 対象グループが体験活動を通して、どのよ うな学習をし、どのような力を身につけた. のかという学習状況を評価する観点や水 準が変化してくるといえる。.  次に、第2回目の調査を整理した結果以 下のことがわかった。ファジリデーターが 挙げた冒険教育の指導者にとって必要な 技能・能力において、学校教育における教 師の資質・能力に沿うものこそが、真に冒 険教育の指導者にとって必要な技能・能力 だと示された。その結果、すくなくとも、. 3.研究識査の方法  研究調査を全2回行った。第1回の調査 は、 rひょうご冒険教育」におけるファジ リデーターの指導意識を調査するため、質 問紙調査を行った。その際、 「熟達者ファ ジリデーター」と「初心者ファジリデータ ー」にわけ、調査した。調査対象は、 rひ ょうご冒険教育」の指導者およびHAP体験 台・講習会参加者である。37名に調査を実. 「観察力」、「カウンセリング・マインド」、. 「臨機応変さ」については、必要最低限と. して備えておくべきものであることが明. 施し、そのうち20名から回答を得た(55%)。. 実施期間は、2007年2月である。  第2回の調査は、冒険教育の指導者であ るファジリデーターに必要な技能・能力を 明らかにすることを目的とした。そのため に、指導者が重要視している技能・能力と 学習者のどこに注目するかという点になん らかの傾向があると仮定し、調査した。冒 険教育におけるファジリデーターの指導に 関する調査をするため、選択方式及び自由 記述方式混合の質問紙調査を行った。その 際、調査対象として選択したのは、 『ひょ うご冒険教育」の指導にあたっているファ ジリデーター及び、滋賀県でファジリデー ター活動を行なっている者である。.  調査対象は、冒険教育の指導者である32 名に調査を実施し、そのうち10名から回答 を得た。 (31%)実施期間は、2008年11月 である。. 4.研究調査の,吉男=と考察.  第1回目のアンケート調査を整理した結 果、以下のことが分かった。熟達者ファジリ. データーは対象グループが今現在とのよう な状態にあるのか、どのように変化したのか という点を重視している。また、初心者ファ ジリデーターは、対象グループの今現.在の状 態を見るよりも、学習の進め方をどうするの かという点を重視している。つまり、ファジ. リデーターは指導経験が増えるにつれて初 心者から熟達者へと変化するといえる。その 過程においては、対象グループに教え込むの. らかとなった。. 5.今雀の誤麗  冒険教育の指導者に必要な技能・能力と 学習者のどういった点を重要視している のかに関して傾向をしめすことができな かった。要因としては、調査対象が少なか ったことや質問紙の有効割合が低かった という点があげられる。また、指導者自身 も一般的な学校の教師などと比較しても 非常に少ないということもあげられよう。 よって、今後よりいっそう詳しく冒険教育 の指導者に必要な技能・能力を明らかにし ていくには、量的な調査だけでなく、質的 な調査に踏み込むことが一番重要であり、 筆者の今後の課題としたい。  [註]. 1)『幼稚園、小学校、中学校、高等学校及ぴ 特別支援学校の学習指導要領等の改善につい ての答申』中央教育審議会、2008年 2)『青少年の野外教育の振興に関する調査研 究者会議』中央教育審議会、1996年 3)津村俊充・石田裕久編『ファジリテーター トレーニング』ナガニシヤ出版、2003年、7 ∼11頁 4)石川道夫「クルト・ハーンとアウトワード・. バウンド」『教育新世界・第27号』世界教育 連盟日本支部、2001年、59∼64頁 5)プロジェクトアドベンチャージャパン『プ ロジェクトアドベンチャー入門 グループの ちからを生かす 成長を支えるグループづく り』C.S.L.学習評価研究所、2005年.   主任指導教員・指導教員 佐藤 真. 一511一.

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