• 検索結果がありません。

通常学級に在籍する問題行動の少ない発達障害児の保護者の悩みに関する研究-母親の語りの質的分析を通して-

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "通常学級に在籍する問題行動の少ない発達障害児の保護者の悩みに関する研究-母親の語りの質的分析を通して-"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)   通常学級に在籍する問題行動の少ない発達障害児の保護者の悩みに関する研究              一 母親の語りの質的分析を通して 一                                        特別支援教育学専攻                                          心身障害コース.                                          M07107E                                            谷田  勉. 第1章 問題と日的            第2章 方 法  2007年4月より改正学校教育法が施行され、従  第1節 対象者:大学の療育相談に来談している、 来のr特殊教育」から「特別支援教育」への転換が   発達障害児をもつ母親3名。 図られた。この特別支援教育の大きな特徴は、従来. の特殊教育の対象者だけでなくLD・ADHD・高機. 事例 母親. 能自閉症などの発達障害児もその支援の対象に加え た点である(文部科学省.2003)。そして発達障害 児の多くは通常の学級に在籍しており、これらの児 童生徒に対する適切な指導及ぴ必要な支援は学校教 育における喫緊の課題となっている(中央教育審議 会,2004)。. 1. Aさん. 2. Bさん. Table1対象者 子どもの属性 a児、特定不能の広汎性発達障害、5歳、 男子、 保育園年長組(加配教員無し). b児、高機能自閉症、6歳、男子、小学 校1年生、通常学級在籍(加配教員無し). 3. Cさん. ○児、アスペルカー症候群、8歳、男子、 小学校3年生、通常学級在籍(加配教員無し).  しかし、発達障害児達は障害からくる様々な問題 を示していても、それが発達障害のためと気づかれ にくく、本人の性格や保護者の育て方のためと受け 取られやすい(宮本,2000)。また、通常学校現場 の教師の発達障害に対する知識は非常に乏しい(杉 山,2000)との指摘もあり、通常学級では発達障害 児に対して適切な対応が必ずしもなされているとは 言えない現状が推察される。さらに、教師は発達障 害児の行動面を問題にしがちであり、行動面の問題 を示さない発達障害児を見落としやすいという報告 がある(別府・宮本,2007)。木村・芳川(2006). も、不注意型のAD㎜児に関して担任からは困っ ているという指摘は非常に少なく、それは不注意型. のADm児は問題や困っている状況を気づかれな いか見過ごされやすいからであろうと分析してい る。しかし、保護者の方は、問題が顕在化しやすい 混合型のAD㎜児の保護者同様に困難感を数多く 抱いており、この点で学級担任と保護者の視点の違 いが示されたといえる。内藤(2007)は、LD親の 会のアンケートから、学齢期にある保護者が担任に 理解してもらえない様子を紹介し、学校(担任)と. 第2節 調査手続き (1)期問=200X年3月∼7月 (2)面接方法:1人2時間∼4時間の半構造化面 接を行い、母親の子どもに対する認識や教師との連 携についての悩みについて語ってもらった。ビデオ カメラにて面接内容を記録した。 (3)分析手続き.  書き起こした語りを何度も読み返し、ひとつの意 味内容を表す文章ごとに区切り発話データとし、そ. れぞれの事例ごとにKJ法(川喜田,1967)を参考 にして、発話データを小カテゴリーに統合、さらに 大カテゴリーへと統合し、カテゴリーの関連性を図 解した。関連図から読み取れることと発話データの 内容を大切にして、学校との連携における保護者の 抱く悩みについての解釈と考察を行い、教師の保護 者への対応について検討した。. 第3章 結果および考察  第3章では事例ごとに結果および考察を示した が、ここでは、各事例の考察部分の要約を記述する。. は信頼関係が築けていない現状を報告している。.  これらの状況を考えるとき、学校と連携し信頼関 係を構築していくことは保護者にとって非常に大き な悩みになっていることが推察される。まずは、保 護者がどのような悩みを抱いているのか、その心情 を知り理解することが、学校(担任)が保護者とよ りよい関係を築いていくためには重要なことではな いかと考える。.  そこで本研究では、通常学級に在籍する問題行動 の少ない発達障害児の保護者が、学校との連携にお いてどのような悩みを抱いているのかを明らかにす ることを目的とする。その上で、保護者と信頼関係 を築いていくための教師の保護者への対応について 検討する。. 一222一. 第1節 事例1(Aさん)  現在Aさんには、a児の示す障害特性についての 理解や対応の難しさはあるものの、日常生活の中で a児が障害児であるという認識はほぼ無い。しかし、 基本的にはa児は発達障害の要素を抱えており、支 援が必要だという気持ちは強く持っている。そして、 この支援が必要だという思いは、就学や将来のこと を考える度ごとにAさんの意識に大きく立ち返って くる。Aさんにはa児が将来は誰の助けもなく自分 自身で生きていかなければならないという思いが強 くある。そのため、現在の学校に望む支援もr全く 関わってほしくないというわけではなく、必要最小 限の関わりは望む」といった、複雑な思いになる。  このようにa児に対する支援の必要性は感じてい るものの、a児の様子からは、学校には支援の必要 性を感じてもらえない。また、a児の状態をうまく.

(2) 学校に伝えられず、Aさんが抱いている心配や不安 が学校との間で共通認識されにくいところに大きな. きく促進する。しかし、基本的に子どもは発達障害 を抱えていることが保護者の不安や心配を醸成し、 この思いは過去から現在、そして将来へと消えるこ とはない。知的な遅れのない高機能の子どもの成長 はとても大きく、日常は障害を感じさせないほどに まで発達する。しかしそのことは、健常と障害の間 で子どもをどう認識し対応していけばいいのかとい う新たな迷いを生じさせる。また、保護者は子ども の障害が軽度であることから、子どもの将来につい ては、就職をし一般的な自立した生活を送ってほし い、という明確なビジョンを持っている。このよう に将来像は明確にあるのだが、それに向かって現在 の子どもにどう関わっていけばいいのかは難しいま まである。子どもの将来にとって、現在の子どもへ の関わりは非常に大切であると保護者は捉えている ため、現在の子どもへの関わりがわかりづらい状態 は保護者にとって大きな不安となっている。このよ うに保護者の子どもの捉え方は、過去から将来にわ たる時間軸上を行ったり来たりしているといえる。  しかし、教師は現時点での子どもの様子からしか 子どもの二一ズを判断せず、学校との子どもについ. 悩みがあると思われた。. 第2節 事例2(Bさん)  b児は幼年時から比べると大きな発達を示した。 しかしそのことは現在、「健常と障害の間のどっち. つかずな状態」を招き、Bさんにとってはb児をど う提えていいか、またどう支援していけぱいいかr分 からない」大きな要因になっている。b児は現在見 た目には発達障害を有するかどうかわかりにくい程 とはいえ、Bさんには「発達障害があることによる 不安」が常にあり、支援の必要性を強く感じている。. しかし教師には、表面上b児が学校生活に適応して いるため支援の必要性を感じてもらえない。ただB さんにもb児の問題のレベルは特別問題視するほど でもないという思いと、学校では特に問題がないと ころに敢えて親が行動を起こすことで教師の仕事の 負担を増やすのではないかという思いもあり、Bさ んの中には話したいが話しにくいという常にrモヤ モヤした」思いが残っている。  しかしBさんには学校での様子と家庭での様子を つなげ、b児の対応に活かしたいという思いがある ため、学校との連携が思うように取れない状況が大 きな悩みになっていると考えられた。 第3節 事例3(Cさん). ての接点は今現在の様子を契機にしか共有できな い。過去から将来にわたる長いスパンから子どもに とって今何が必要かといった視点では子どもを見て いないため、保護者と教師が同じ視点に立った連携 が形成されない。そのような学校との現状が保護者 の大きな悩みになっているといえる。.  Cさんは、c児が対人関係の持ちにくさを抱えて おり、話のできる友人が極端に少ない状況にあるこ とをとても心配している。そのため、担任には休み 時間に声がけをしたり、友人間の橋渡しをしたりし. 第2節 教師の保護者への対応  1点目はr緊密な情報交換を心がけること」であ る。学校場面で問題行動が少ないため保護者の方か ら話し合いの場を設定することは難しく、どの保護 者もr教師との接点の持ちにくさ」を挙げていた。 教師の側からの積極的な情報交換の場の設定が求め. てほしいという支援の要望を持っている。しかし、. 教師はC児の日常場面での問題の程度の低さからC 児に対する支援の必要性を感じていない。加えてC 児は自分から困っている状況を表出するタイプでは ないため、ますます教師には問題が見えにくい。故 にCさんの思いとはズレが生じ、教師への不信に つながっているといえる。ただ、親であるCさん自 身、C児の理解や対応についてよく分かつてない面 があるため、教師にC児のことを上手く伝えていな. られる。.  2点目はr子どもの情報の具体的な伝達」である。 教師が子どものことをr問題ない」と判断した様子 について詳しく具体的に知らせることで、保護者の 不安は軽減すると考えられる。. いとの思いも一方にはある。  教師にC児の様子を少し気にかけてもらうだけで C児の学校での生活が改善し、また学校での様子を 知ることが家庭でのC児の関わりに活かせるとの思 いから学校との情報交換を望んでいるが、そのよう な場が上手くっくれないことがCさんの大きな悩み.  3点目は「保護者といっしょに考える姿勢」であ る。保護者も教師も子どもの理解や対応について「十. になっていると推察された。. 係を築く礎になると考える。. 分には分からない」状況で日々子どもと接している。. 分からない者同士ができることは、いっしょに悩み 考えることではないだろうか。そのような教師の姿 勢がすなわち、保護者に寄り添うことになり信頼関. 第4章 総合考察 第1節 保護者の悩みについての検討  子どもが就学期にある発達障害児の保護者は、育 児上の苦労や、子どもの対応への難しさを常に感じ ている。子どもの発達上の不安から専門家にかかり、 発達障害の診断を受ける場合もある。発達障害の診 断は早期療育へとつながり子どもの成長・発達は大. 一223一. 主任指導教員 鳥越 隆士. 指導教員 高野美由紀.

(3)

参照

関連したドキュメント

児童について一緒に考えることが解決への糸口 になるのではないか。④保護者への対応も難し

在宅の病児や 自宅など病院・療育施設以 通年 病児や障 在宅の病児や 障害児に遊び 外で療養している病児や障 (月2回程度) 害児の自

市民的その他のあらゆる分野において、他の 者との平等を基礎として全ての人権及び基本

では,訪問看護認定看護師が在宅ケアの推進・質の高い看護の実践に対して,どのような活動

自由報告(4) 発達障害児の母親の生活困難に関する考察 ―1 年間の調査に基づいて―

既存の精神障害者通所施設の適応は、摂食障害者の繊細な感受性と病理の複雑さから通 所を継続することが難しくなることが多く、

2 保健及び医療分野においては、ろう 者は保健及び医療に関する情報及び自己