通常学級に在籍する問題行動の少ない発達障害児の保護者の悩みに関する研究-母親の語りの質的分析を通して-
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(2) 学校に伝えられず、Aさんが抱いている心配や不安 が学校との間で共通認識されにくいところに大きな. きく促進する。しかし、基本的に子どもは発達障害 を抱えていることが保護者の不安や心配を醸成し、 この思いは過去から現在、そして将来へと消えるこ とはない。知的な遅れのない高機能の子どもの成長 はとても大きく、日常は障害を感じさせないほどに まで発達する。しかしそのことは、健常と障害の間 で子どもをどう認識し対応していけばいいのかとい う新たな迷いを生じさせる。また、保護者は子ども の障害が軽度であることから、子どもの将来につい ては、就職をし一般的な自立した生活を送ってほし い、という明確なビジョンを持っている。このよう に将来像は明確にあるのだが、それに向かって現在 の子どもにどう関わっていけばいいのかは難しいま まである。子どもの将来にとって、現在の子どもへ の関わりは非常に大切であると保護者は捉えている ため、現在の子どもへの関わりがわかりづらい状態 は保護者にとって大きな不安となっている。このよ うに保護者の子どもの捉え方は、過去から将来にわ たる時間軸上を行ったり来たりしているといえる。 しかし、教師は現時点での子どもの様子からしか 子どもの二一ズを判断せず、学校との子どもについ. 悩みがあると思われた。. 第2節 事例2(Bさん) b児は幼年時から比べると大きな発達を示した。 しかしそのことは現在、「健常と障害の間のどっち. つかずな状態」を招き、Bさんにとってはb児をど う提えていいか、またどう支援していけぱいいかr分 からない」大きな要因になっている。b児は現在見 た目には発達障害を有するかどうかわかりにくい程 とはいえ、Bさんには「発達障害があることによる 不安」が常にあり、支援の必要性を強く感じている。. しかし教師には、表面上b児が学校生活に適応して いるため支援の必要性を感じてもらえない。ただB さんにもb児の問題のレベルは特別問題視するほど でもないという思いと、学校では特に問題がないと ころに敢えて親が行動を起こすことで教師の仕事の 負担を増やすのではないかという思いもあり、Bさ んの中には話したいが話しにくいという常にrモヤ モヤした」思いが残っている。 しかしBさんには学校での様子と家庭での様子を つなげ、b児の対応に活かしたいという思いがある ため、学校との連携が思うように取れない状況が大 きな悩みになっていると考えられた。 第3節 事例3(Cさん). ての接点は今現在の様子を契機にしか共有できな い。過去から将来にわたる長いスパンから子どもに とって今何が必要かといった視点では子どもを見て いないため、保護者と教師が同じ視点に立った連携 が形成されない。そのような学校との現状が保護者 の大きな悩みになっているといえる。. Cさんは、c児が対人関係の持ちにくさを抱えて おり、話のできる友人が極端に少ない状況にあるこ とをとても心配している。そのため、担任には休み 時間に声がけをしたり、友人間の橋渡しをしたりし. 第2節 教師の保護者への対応 1点目はr緊密な情報交換を心がけること」であ る。学校場面で問題行動が少ないため保護者の方か ら話し合いの場を設定することは難しく、どの保護 者もr教師との接点の持ちにくさ」を挙げていた。 教師の側からの積極的な情報交換の場の設定が求め. てほしいという支援の要望を持っている。しかし、. 教師はC児の日常場面での問題の程度の低さからC 児に対する支援の必要性を感じていない。加えてC 児は自分から困っている状況を表出するタイプでは ないため、ますます教師には問題が見えにくい。故 にCさんの思いとはズレが生じ、教師への不信に つながっているといえる。ただ、親であるCさん自 身、C児の理解や対応についてよく分かつてない面 があるため、教師にC児のことを上手く伝えていな. られる。. 2点目はr子どもの情報の具体的な伝達」である。 教師が子どものことをr問題ない」と判断した様子 について詳しく具体的に知らせることで、保護者の 不安は軽減すると考えられる。. いとの思いも一方にはある。 教師にC児の様子を少し気にかけてもらうだけで C児の学校での生活が改善し、また学校での様子を 知ることが家庭でのC児の関わりに活かせるとの思 いから学校との情報交換を望んでいるが、そのよう な場が上手くっくれないことがCさんの大きな悩み. 3点目は「保護者といっしょに考える姿勢」であ る。保護者も教師も子どもの理解や対応について「十. になっていると推察された。. 係を築く礎になると考える。. 分には分からない」状況で日々子どもと接している。. 分からない者同士ができることは、いっしょに悩み 考えることではないだろうか。そのような教師の姿 勢がすなわち、保護者に寄り添うことになり信頼関. 第4章 総合考察 第1節 保護者の悩みについての検討 子どもが就学期にある発達障害児の保護者は、育 児上の苦労や、子どもの対応への難しさを常に感じ ている。子どもの発達上の不安から専門家にかかり、 発達障害の診断を受ける場合もある。発達障害の診 断は早期療育へとつながり子どもの成長・発達は大. 一223一. 主任指導教員 鳥越 隆士. 指導教員 高野美由紀.
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