[年]
明星大学天文台
40cm
望遠鏡の追尾精度測定
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目次
要旨
1. 赤道儀について
1. ドイツ式赤道儀 2. フォーク式赤道儀 3. ピリオディックモーション2. 実験内容
1. 目的 2. 使用機材 3. 遮蔽物 4. 方法 5. 観測結果 1. 追尾記録 2. 10 分間に星が動く角距離 3. X 軸方向の動き、Z 軸方向の動き 6. 考察 1.星の移動速度 2.星像の Z 軸方向の動き 3.星像の X 軸方向の動き3. 参考資料
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要旨
今研究目的は、明星大学所有のフォーク式赤道儀の恒星軌
道の追尾精度を測定し誤差の原因を考察することである。
明星大学所有のフォーク式赤道儀は設置式で建物の上に
あるので、設置してから時間が経つと地盤や建物の歪みなど
で極軸などがズレてしまっている可能性などがある。ズレが
大きいと、望遠鏡を使って星を撮ったときに星像が動いてし
まうため、観測でどれほどのズレが出ているか調べる必要が
ある。
今回の観測では
3 つの星を 4 回自動追尾観測して 10 分ご
との星像の動きから特徴を読み取り、通常の数秒以下の露出
時間内での撮像観測には支障のない動きになっていること、
および、星像の動きのズレの主要な要因しては、望遠鏡の回
転軸が天の回転軸と
18 分角程度ずれていることによるらし
いことがわかった。
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1. 赤道儀について
1. ドイツ式赤道儀
赤緯と赤経の 2 つの軸が交差した形の望遠鏡架台で個人用から天文台用まで 様々な大きさのものがあり、構造はほとんど変わらない。 鏡筒とのバランスを 取るために、鏡筒の反対側にウエイトと呼ばれるおもりがついている。2. フォーク式赤道儀
2 本の腕で望遠鏡を支える形の望遠鏡架台。明星大学天文台の赤道儀はこの 形である。片方にL 字型の腕のついた L 型フォーク赤道儀もある。 極軸支持 対称型、非対称型 その他 フォーク式 1 箇所 対称 イギリス式 2箇所 非対称 極軸を観測できない ヨーク式 2箇所 対称 極軸を観測できない ドイツ式 1箇所 非対称 極軸を観測できない ホ ー ス シ ュ ー 式 後期式 2箇所 対称
3. 望遠鏡と赤道儀のズレ
ピリオディックモーションはピリオディックエラーとも呼ばれている。赤道 儀は多くのギアを組み合わせて動力を伝え望遠鏡を動かしている。このときギ アの加工精度、噛み合わせ、摩耗などで動作範囲に誤差ができる。この回転 1 周期分の誤差の平均値を±秒で表した値がピリオディックモーションである。 イギリス式 国立天文台岡山天体物理観 測所 ヨーク式 たかはし天文台 ドイツ式 森林体験交流センター 「天平の森」 ホースシュー後期式 パロマー山天文台4
2. 実験内容
1. 目的
大学所有のフォーク式赤道儀の追尾精度を測定し、誤差の原因を考察する。2. 使用機材
• 望遠鏡:40cm カセグレン反射望遠鏡 • 赤道儀:フォーク式赤道儀 • カメラ:CanonEOS5D 一眼レフカメラ • 使用ソフト :ステライメージ ver7 :ステラナビゲーターver9 :Microsoft Excel201340cm カセグレン反射望遠鏡
(下記の値は仕様書の値)
• リッチークレチアン式反射望遠鏡 • 有効直径40cm • 口径比f7 • 焦点距離2800mm • 観測波長400nm~880nm • 周縁減光10%以下 • 鏡筒を含む総重量800kgフォーク式赤道儀
(下記の値は仕様書の値)
• コンピューター制御式赤道儀 • 減速機構(赤経・赤緯ともにウォームギア) • バックラッシュ30″以下 バックラッシュ:歯車などの機械要素で 運動方向に意図して設けられた隙間のこと • ピリオディックエラー、振動、 揺らぎは1″以下 (ピリオディックエラーゼロ補正付)5
3. 遮蔽物
望遠鏡の設置位置の南側に遮蔽物があり観測の邪魔になるので初めに 遮蔽物の高度と方位を測定し星の選定に利用した。 ① 高度:13⁰32’8” 方位:6⁰02’1” ④高度:17⁰59’7” 方位:19⁰15’0” ②高度:15⁰52’0” 方位:15⁰11’1” ⑤高度:13⁰28’0” 方位:23⁰51’6” ② 高度:16⁰22’8” 方位:19⁰24’3” ⑥高度:10⁰47’1” 方位:25⁰20’4” (方位は南を0°として測定した)
4. 方法
1.
はじめに、12 月から 1 月の観測条件と、南中高度の観点から、次の3つの星を選定した。 南中高度が低い星として おおいぬ座 フルド 南中高度24.53° 南中高度が中程度の星として おおいぬ座 シリウス 南中高度37.6° 南中高度が高い星として しし座 レグルス 南中高度66.1° 2. 選定した星を次の日時に、自動追尾し10 分間隔で撮像した。 (カメラの向きは南中時にカメラの横軸が地表と平行になるよう に望遠鏡に取り付けた。) フルド 時間:1 月 23 日 19 時 30 分~1 時 41 分 南中時刻:21 時 53 分 南中高度:24.53° カメラ設定:ISO800:露出時間 1/10s
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6
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3
6 シリウス① 時間:12 月 22 日 21 時 40 分~4 時 50 分 南中時刻:00 時 28 分 南中高度:37.6° カメラ設定:ISO800:露出時間 1/100s シリウス② 時間:12 月 27 日 22 時 40 分~4 時 17 分 南中時刻:00 時 08 分 南中高度:37.6° カメラ設定:ISO800:露出時間 1/100s ※シリウス①はカメラの中心に星を入れて撮影を開始したが、 シリウス②はカメラの中心から意図的に外し左上に入れて 撮影を開始した。 レグルス 時間:1 月 19 日 21 時 30 分~7 時 30 分 南中時刻:1 時 59 分 南中高度:66.14° カメラ設定:ISO800:露出時間 1/100s 3. 得られた撮影画像1 枚ごとに、ステライメージの計測機能を 使い、星の中心からエクセル表に10 分おきの時間情報とともに 記録した 4. 記録した時間系列の位置情報を、いくつかの観点でグラフ化し、 特徴を読み取り考察を行った。
7 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 0 100 200 300 400 500 600 700 Z 軸( 秒 角) X軸(秒角)
10分間隔の赤道儀追尾軌跡
おおいぬ座フルド
5. 観測結果
1. 追尾記録
10 分間隔で撮像されたカメラ画像上の位置の軌跡。横方向右
向きを
X 軸、縦方向下向きを Z 軸とする。
(図 1)8 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 Z 軸( 秒 角) X軸(秒角)
10分間隔の赤道儀追尾軌跡
シリウス②
0 200 400 600 800 1000 1200 0 50 100 150 200 250 300 Z 軸( 秒 角) X軸(秒角)10分間隔の赤道儀追尾軌跡
シリウス①
(図 2) (図 3)9 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 0 100 200 300 400 500 600 700 Z 軸( 秒 角) X軸(秒角)
10分間隔の赤道儀追尾軌跡
レグルス
(図 4)10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 角 距 離( 秒 ) 時間(10分)
シリウス①
2.
10 分間に星が動く角距離
10 分ごとに星が動いたズレの大きさを角距離(秒)であらわし
たもの
(図 5) 10 分間の平均角距離:30.08(秒) (図 6) 10 分間の平均角距離:30.03(秒) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 角 距 離( 秒) 時間(10分)フルド
11 (図 7 ) 10 分間の平均角距離:25.50(秒) 図(8) 10 分間の平均角距離:34.07(秒) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 角 距 離( 秒 ) 時間(分)
シリウス②
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 角 距 離( 秒) 時間(10分)レグルス
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3. X 軸方向の動き、Z 方向の動き
撮像した星の
10 分ごとの動きの変化を X 軸と Z 軸に分けた
もの
図(9) 図(10)13 (図 11) (図 12) -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 角 距 離( 分 ) 時間(10分)
シリウス①
X
軸
南 中 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 角 距 離( 分 ) 時間(10分)シリウス①
Z
軸
南 中14 (図 13) (図 14) 0 1 2 3 4 5 6 7 0 5 10 15 20 25 30 35 角 距 離( 分 ) 時間(10分)
シリウス②
X
軸
南 中 0 2 4 6 8 10 12 14 0 5 10 15 20 25 30 35 角 距 離( 分) 時間(10分)シリウス②
Z
軸
南 中15
(図 15)
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6.考察
1. 星像の移動速度
10 分間の星像の動きの平均角距離は 29.9 秒角だった。通常の星の 観測では露出時間は長くても10 秒程度であり、10 秒間に平均 0.5 秒 角となる。通常の星像は大気の揺らぎにより1 秒角程度の広がりをも っていると考えると、明星大学の望遠鏡の追尾精度に問題はないと言 える。 星像の移動速度は南中を越えてからのほうが小さくなっている。こ れは後に述べるが星像の動きはZ 軸方向の動きが主成分となっている ため南中を越えてからZ 軸の動きが小さくなっている傾向があるため と考えられる。2. 星像の Z 軸方向の動き
望遠鏡焦点面に固定されたカメラの画像の座標系で見ると、星像は、 Z 軸方向(望遠鏡の回転軸と星の方向との角度が変わる方向)には 6~10 時間の観測で 20~30 分角動いているのに対し、X 軸方向(望遠鏡を回 転軸周りに回した時に星の像が動く方向)には Z 軸方向の 3 分の 1 程 度の動きしかしていない。 Z 軸方向の動き (図 10,12,14,16)を見ると、4 回の観測のどれも観測 開始位置からなめらかに増大しピークを過ぎたところで減少してい る。Z軸方向が望遠鏡の回転軸と星の方向とのなす角を反映する方向 であることを考えると、この星像のZ軸方向の動きは望遠鏡の回転軸 が、星が回転する北極の方向と少しずれていることによると推定され る。望遠鏡の回転軸の方向が、天の回転軸の方向とずれているとする と、望遠鏡の回転軸方向からみた星の方向は、24 時間周期で波打つは ずである。 そして、そのサインカーブの4 分の 1 周期ほどの部分が、6~10 時 間の観測で見えることになる。実際、そのようなサインカーブを推定 してZ軸方向の動きの図に書きこんでみたのが図17,18 である。ここ では、望遠鏡の回転軸が天の回転軸から 18 分ずれていると仮定して みた(18 分と仮定したのは、レグルスの Z 軸方向の動きの増大のピー クから6 時間前との角距離が 18 分だったためである)。この推定カー ブが、実際の星の動きをほぼ再現できることから、星像のZ軸方向の 動きは、主に、望遠鏡の回転軸が天の回転軸から少しずれていること17 により、そのずれの角度は18 分角程度であると推定される。 (図 17) (図 18) 0 2 4 6 8 10 12 14 0 5 10 15 20 25 30 35 40 角 距 離( 分) 時間(10分)
フルドの
Z
方向の動き
実際の動き 予想の動き 0 5 10 15 20 25 30 35 0 10 20 30 40 50 60 角 度( 分 ) 時間(10分)レグルスの
Z
軸方向の動き
実際の動き 予測の動き
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