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魚類生態に関与する水中音の基礎的研究(第3報) : 無反響水槽壁に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

魚類生態に関与する水中音の基礎的研究(第3報) :

無反響水槽壁に関する研究

著者

黒木 敏郎

雑誌名

鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of

Fisheries Kagoshima University

7

ページ

102-105

別言語のタイトル

Fundamental Studies on the Relations between

Under-water Sound and Fish Behaviour (III) :

About the Echoless-wall of Aquarium

(2)

102

魚類生態に関与する水中音の基礎的研究(第111報)

一 一 一 無 反 響 水 槽 壁 に 関 す る 研 究 * 黒 ” 木 敏 郎 FundamentalStudiesontheRelationsbetween

Under-waterSoundandFishBehaviour(IⅡ)

−AbouttheEcholess-wallofAquarium− ToshiroKuRoKI Inthispaper,theauthor・describesontheresultsofcxperimclltsaboutthcreflection andpenetrationofunder-waterso皿dandabouttheabsorptionbyspecialliquidlayer, Heusedcarbondisul且deCS2asthisabsorptiveliquidandgottheconclusionas follow:− BecauseCS2-1ayerabsorbsunder-watersoundwhenintemalwallsof20a7j (thickness)CS2-1ayeraresetup,evenlmcubicaquariummaybeusedeqUivalently tol2077zcubicwaterspacc・Itseemsthatthesestudiesarcveryimportantinpurpose togetresultsexactlyonecologicalexperiments,especiallyabouttheauditorycharac-teristicsoffish,insmall(1刀7cUbicorder)aqUarium. 緒 言 魚類においてはその体軸と水中音源との相対位置如何によっては音の強弱高低に対する 可聴限界が大巾に異なることも考えられるし'),従って音源の方向を探知する能力が魚類 に当然具わっていると見るのが妥当でもあろう.2) このような魚類聴覚の生理生態を研究し考察するためには広大な海洋中で実験せねばな らない.何となれば普通のせまい実験水梢内では水中音波の反響や共鳴などが生ずるので 魚の聴覚方向性などを把らえ得べくもないからである.所がそんな広い海では魚を自然の 状態のままジッと定位置にとどめ置くことも附難であるし,ましてや観察測定するのにも 大きな不便が伴のうはずである.そこで反響や壁伝達音の無い水槽を考案することが魚類 聴覚の生態学的実験研究には必要不可峡となる.本報ではそのような水櫓を製作する上に 肝要と思われる基礎顎項について実験した結果を述べるものである. 実 験 装 置 せまい水槽内では指向角。波長その他の関係から高い周波数を用いた方が便利なので, 手持の39kcA1fer磁歪材振動子を用いた.蓄電器放電によりこれを発振せしめて水中マイ クロフォンでpickupすればピシッという音に聞える.水中マイクは受圧窓の径25mm砂, 最大径38mm妙の小型で前報:I)に示したものと同様な性能をもつロッシェル塩利用のもの である.マイクで受けた水中音は之を蝋│'岡し,一定増幅率でブラウン管オッシロ上に得ら れる波形振1幅の高低を以て音圧の大小を比較した. *日本水産学会秋期大会(1956,於広島)発表

(3)

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黒木:魚類生態に関与する水中音の基礎的研究(第Ⅲ報) Fig.1.Aquanumsforexperimentsof under-watersound・ a・Forpenetrationtest CS21ayer:thickneSs2cm 水中音を吸収させるための物 質としては吸収係数鋤の大き い二硫化炭素CS』液を用いた. CS3の封・入されたヴィニール膜 (0.1mm厚)の袋を薄い板の枠に 収め2cm目の格子を成す細い 綿紐で内圧による膨脹を防ぐよ うに作った.その形は縦20cm・ 横15cm、平均厚み2cmの厚板 状となった. 実験水梢としては第1図に示 すような透過試験用(a)と反 射 試 験 用 ( b ) と の 二 種 を 用 い た.a水槽は厚承5mmの鉄板 製で一側壁には管つきの孔が設 け ら れ , 管 端 の 木 製 角 筒 内 に 吊 さ れ た 振 動 子 が 振 動 す る と 水 中 音はこの孔から水槽へ入る.そ こで孔の正面にCS』を置いて音 の減弱状況を測るのである.実 際には水中音が水槽の側壁を振 動させその側壁板共鳴音がマイ クへも入るけれども39kcの原 音と比べて遥かに振動数が低い た め ブ ラ ウ ン 管 上 で 明 ら か に 区 別し得られる.b−水桝はコンク リート製で,その一隅から厚さ 約10cmの木製障壁を斜に出 し,マイクが音源からの直接音 波 を 受 け な い よ う に 留 意 し た . th

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実 験 結 果 と そ の 考 察 透過実験では第1図(a)に示 す如くパイプ出口にCS』層(2cm 41 *)ここにいう吸収係数とは,体枝 粘性率を含んだもので,ズリ粘性 を主として考える古典的吸収率と 比べれば遥かに大きな値を示し, 水の場合には約3倍,CS2では約 1,200‘倍と言われる,

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る . 上 ( A ) 凶 に は C s 乳 盾 を 置 かない時の各充電圧毎の距離∼ 音圧関係を示し,下(B)図実線 は上図より整理した各距離毎の 電圧∼音圧関係を示す.点線は 同様にして整理したCS2層透過 の時の関係である.CS2層を置 けば測定の誤差範囲内で距離の 如何に拘らず殆ど一定値まで減 衰するように見える.音圧の減 衰率(平均で約0.23)を考え ればCS2の厚み2cmは水の厚 み(距離)2.9mに相当すること となる. 反射実験では,コンクリート 壁にCS2層を置きその面に対し て 入 射 角 並 び に 反 射 角 が 夫 為 30.,45。,60。となるように振動 子と水中マイクとを配置して実 験した.音源。マイク両方とも 反射面中心より30cmに置いて ある. 第3図にはその結果を示す. 入射角の大きい程反射音圧が大 きく吸収率が小さく出ているの は予想通りである,入射角30。 鹿 児 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 7 巻 104 Fig.2.Relationbetweenpenetratedsoundpressure andvoltage(chargedintooscillator),distance (frompipeendtomicrophone). 厚承)を置き,その出口端 よ り マ イ ク ま で の 距 離 を 10,20,40,80cm(音源か らの算定は各交に30cmを 加算)に変化し,蓄電器へ 注 入 す る 磁 歪 発 振 エ ネ ル ギ ー も 電 圧 変 化 に よ っ て 200,400,800,1200Vと4段 量に変えた. 音圧をブラウン管上の波 形 振 幅 の 続 み で あ ら わ し て 測定位置と充電為圧との関 係を示したのが第2図であ 上(A)図にはCS2層を置 ' 0 1

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︵・○芦[﹃○ぬOロ○︶・消角ロロコ○ぬ ayer 4 0 0 8 0 0 Voltagecharged Fig.3.RelationbetweenreHectedsoundpressure andvoltagecharged, (incidenceangle:30.,45.,60。). Distance(fromvib・ormic・towall-surface): 30cmconst.. z0IO] ︵①冨渇のc屋。︶①出宮、、①鱈邑で属冒○ぬ

(5)

黒木:魚類生態に関与する水中音の基礎的研究(第Ⅲ報) 105 の時には吸収率が40%程度であって0。では50∼60%(計算上46%)に達するものと思 われる. 以上の実験で得られた結果から推算すると少くとも実験周波数附近では10層分(約

20cm)のCS2層で反射音を97.5dbだけ抑制し得ることになる.これは淡水中の音波減

衰と等価になるように引き直せば約124m(往復路62m)に相当する.実際の海水中では MgSO4などの会合イオン解離平衡で緩和され吸収係数が淡水の数倍に及ぶと言われてい

るから上の等価値は低下する.それにしても1,3程度の規模の水槽壁の四周及び底に

20cm厚みのCS2層を置けば,淡水魚の実験では殆ど60m水深,120m直径の水槽で実

験するのと同様になり,殆ど目的を満足し,海産魚の場合(吸収係数を約10倍程度として

も)10m規模の水槽中で行うのと等しくなるから,聴覚閥値に近い音圧を用いれば方向感

知の特性研究などには充分に役立つ事となろう. 結 び

以上の実験結果から,若干精密を欠くけれども大体無反射音の水槽壁活用のメドがつい

たのである.実施上の点については,CS2を容れるべきビニール膜の袋が軟化して破れた

り(ポリエチレン不透明膜では破れなくても浸み出して来るから注意を要する),接着箇所

がはなれたり種点の技術的問題が残る.更に経済的な問題として,内法(ウチノリ)1mの

水槽を作ろうとすれば20cm厚象の液層のCS2所要量が1352ノ(1720kg)に及ぶ.音響

吸収のよい純粋なCS2を使用するとなれば数十万円の経費を要することとなる.叉引火

性。有毒性と言った取扱い上の問題も残るので,もつと取扱い容易な安価な吸収壁材料は

ないかと検索中であるが,目下の所音響インピーダンス密度のこれ程水に近い(反射の少

い)ものは他に見当たらないようである.粗硬乍ら諸彦の御参考に供すると共に御叱正を

仰ぎたくここに発表した次第である.

この研究は昭和31年度文部省科僻学研究費を以てなされた.附記して深謝の意を表する.

女: 献 1)黒木:日本水産学会誌,23巻7号(1957). 2)黒木:日本水産学会年会(1958年4月,於東京)発表. 2)中馬:鹿大水産学部紀要,4巻(1955).

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