ベトナムの裾野産業の現状と
リージョンナルサプライチェーン及び
グローバルバリューチェーンへの参加の諸条件
Do Manh Hong
キーワード:ベトナム、裾野産業、生産移管、国際分業、技術移転、 企業間のリンケージはじめに
昨年から米中貿易摩擦がエスカレートする中、中国に生産拠点を置いている企業は相次 いで第三国に生産移管を検討・実施する動きが観察されている。日本経済新聞の集計によ ると、2019 年 9 月の時点で、米国 HP やアップル、日本の任天堂やコマツなどのグロー バル企業が 50 社以上中国から日本や東南アジア地域に生産移管を表明・検討している (日本経済新聞、2019)。 同様に、丸紅アセアンの調査部の報告書にも、現地調査の情報をもとに米中貿易摩擦の 影響を受けて、中国で活動している企業の多くは同国外への生産移管を検討・実施してい る動きが確認された(丸紅アセアン、2019)。第三国の中でも、ベトナムへの注目はます ます高まっている。上述の報告書はベトナムの人件費の安さ(一般工の賃金は中国の1/ 2~1/ 3)や日本や E U などとの貿易自由協定の存在、陸路で中国と隣接しているなど の優位を理由に、同国を最も注目が集まっている国だとしている。他に、ジェトロの特集 「米中摩擦でグローバルサプライチェーンはどうなる?」はベトナムをポストチャイナ― の筆頭として同様の見方を述べていた(ジェトロ、2019a)。 しかし、中国国外への生産移管の問題は今回の米中貿易摩擦の勃発だけではなく、2010 年ごろから中国の人件費の高騰や各種規制強化の影響又はカントリーリスクの対策のため、 チャイナプラスワンを話題によく議論された。当時ベトナムは最も注目される生産移管の 候補地だったが、実際には、その後、チャイナプラスワンの受け皿として劇的な変化がな かった。現時点で、ベトナムの経済構造や投資環境などの変化を見ると今回も前回と同様 の結果になると推測される。すなわち、米中貿易摩擦の影響を受け、短期的にベトナムへ の生産移管に乗り出す企業はあるであろうが、中長期的にはその動きは限定的であろう。 本稿では、中国からの生産移管の動きを念頭に置きつつ、ベトナムにおける裾野産業の 現状及び同国の東アジア地域内のサプライチェーン(Regional Supply Chain-RSC)とグ ローバルバリューチェーン(Global Value Chain-GVC)への参加の可能性と必要な条件を議論しながら以上の疑問を抱く理由を説明したい。 具体的には、まず第1章でベトナムの市場経済化と工業化プロセスを概観し、現在の鼎 型経済構造と外資主導の加工貿易による輸出志向型工業化という特徴を述べる。第 2 章 は、同国の裾野産業の現状を考察しながら、企業間の関係の脆弱性及び民族資本系企業と 外資系企業が相互に乖離的に存在することを指摘し、裾野産業の未熟の原因を説明する。 第 3 章は、外資系とりわけ多国籍企業の投資を受け入れるためのベトナムの RSC と GVC への参加の可能性と必要な条件を検討し、中国からの生産移管の限界を明らかにする。 最後に、中長期的に雁行形態論的な生産移管の受け皿となるため、ベトナムの静態的な 比較優位の効率的な利用及び動態的な比較優位の創造の必要性に関する政策的含意を提示 し検討すべき課題を述べる。
第1章 ベトナムの鼎型経済構造と外資主導・加工貿易・輸出志向型工業化
約 30 年前から経済制度を改革したベトナムは、計画経済政策を辞め、経済(貿易、投 資)の自由化、工業化の実現により経済発展を遂げ、2010 年ごろから低位中所得国(一 人当たり GDP1 ~ 4 千米ドル)となった1。今までのベトナム経済開発政策は一定程度に 評価され得るが、これから同国の経済を上位中所得国になるまで発展させ続けられるかど うかについては多くの疑問が残る。なぜなら、この開発路線は工業化の初期段階で一定の 効果を発揮したものの、長期且つ持続発展を妨げる要因をもたらすからであり、現在の鼎 型経済構造と外資主導・加工貿易・輸出指向工業化のパターンである。 ここで、鼎型経済構造とは国有企業部門、民族資本系民間企業部門と外資系企業部門と いう 3 本の柱から構成されるが、これらの経済部門は対抗的に競争しあえず、相互に乖離 的な存在でありながら併存するという経済構造のことである2。 また、外資主導・加工貿易・輸出志向型工業化とは外国直接投資を誘致しながら輸出産 業を振興する政策を実施するが、地場企業と外資系企業の間の技術のギャップにより結果 的に、輸出品目の大半は組み立て加工産業に集中し、また輸出額の大半は外国直接投資系 企業のシェアに占められる工業化のパターンである。 表 1︲1.所有形態別企業部門の工業生産 3 表1−1.所有形態別企業部門の工業生産 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2018 国有企業 28 52 170 344 633 1,203 1,533 国内資本系民間企業 15 25 213 432 927 1,812 2,332 外資系企業 9 26 59 139 327 758 1,124 注)1990 年の数字は 1995 年の価格で換算された。単位は 10 億ベトナムドン(現在価格) 資料)ベトナム統計総局のデータを参考、作成。 表1−1を見れば、ベトナム経済を支える 3 本の柱は、2000 年からいずれも規模が拡大 し続けて GDP の成長に貢献していた。しかし、それぞれの企業部門は成長率が異なり、外 資系企業部門の成長率が1番高く、次に国内資本系民間企業部門で、最後に国有企業部門 であった。GDP に対するシェアは外資系企業部門が拡大し続ける傾向に対して国内企業部 門とりわけ国有企業部門のシェアが比較的に縮小していく傾向があった。但し、現段階で は工業生産高の順位は、1位が民族資本系民間企業部門、2位が国有企業、3位が外資系 企業部門となっている。1990 年代には、国有企業部門のシェアが過半以上だったが、2000 年以降絶えずに低下し続けて、2018 年には約 30%になり、同時期国内資本系民間企業の シェアが 30%弱から 2010 年に 50%弱まで拡大し、その後縮小する方向に転じて現在4割 半ば強程度に止まる。一方外資系企業部門は 2000 年代に 10%台から近年 20%台に拡大し た。 3つの企業部門の生産規模とその変化の違いの他に、それぞれの企業部門は地理的、業 種的、対象とする顧客などの観点から見て異なる市場をターゲットにするという構造的な 相違も、鼎型経済構造の注目すべきポイントである。即ち、3つの企業部門ともお互いに 直接に対抗して競争せず、少なくとも現時点まで市場が分割され併存していた傾向がはっ きり見られる。この所有形態別分割的市場構造は、実際に次節で論じる国内資本系企業と 外資系企業との間の脆弱な企業間関係の問題を起こす重要な要因となった3。 表1−2は、この外資主導・輸出志向工業化の特徴を示したものである。1990 年代半ば には、輸出額は GDP の約 4 分の1程度だったが、現在 GDP とほぼ同額となった。また国内 資本系企業部門と外資系企業部門は共に輸出の拡大に貢献したものの、1995 年に国内資本 − 115 −表 1︲1 を見れば、ベトナム経済を支える 3 本の柱は、2000 年からいずれも規模が拡大 し続けて GDP の成長に貢献していた。しかし、それぞれの企業部門は成長率が異なり、 外資系企業部門の成長率が1番高く、次に国内資本系民間企業部門で、最後に国有企業部 門であった。GDP に対するシェアは外資系企業部門が拡大し続ける傾向に対して国内企 業部門とりわけ国有企業部門のシェアが比較的に縮小していく傾向があった。但し、現段 階では工業生産高の順位は、1 位が民族資本系民間企業部門、2 位が国有企業、3 位が外 資系企業部門となっている。1990 年代には、国有企業部門のシェアが過半以上だったが、 2000 年以降絶えずに低下し続けて、2018 年には約 30%になり、同時期国内資本系民間企 業のシェアが 30%弱から 2010 年に 50%弱まで拡大し、その後縮小する方向に転じて現在 4 割半ば強程度に止まる。一方外資系企業部門は 2000 年代に 10%台から近年 20%台に拡 大した。 3 つの企業部門の生産規模とその変化の違いの他に、それぞれの企業部門は地理的、業 種的、対象とする顧客などの観点から見て異なる市場をターゲットにするという構造的な 相違も、鼎型経済構造の注目すべきポイントである。即ち、3 つの企業部門ともお互いに 直接に対抗して競争せず、少なくとも現時点まで市場が分割され併存していた傾向がはっ きり見られる。この所有形態別分割的市場構造は、実際に次節で論じる国内資本系企業と 外資系企業との間の脆弱な企業間関係の問題を起こす重要な要因となった3。 表 1︲2 は、この外資主導・輸出志向工業化の特徴を示したものである。1990 年代半ば には、輸出額は GDP の約 4 分の1程度だったが、現在 GDP とほぼ同額となった。また国 内資本系企業部門と外資系企業部門は共に輸出の拡大に貢献したものの、1995 年に国内 資本系(国有と民間)企業と外資系企業の輸出に占める比率は、7:3 であったものが、 2018 年にはこの比率が 3:7 となり、外資系企業の輸出に占める割合が上昇している。 表 1︲2.輸出対 GDP 比率と所有形態別企業部門の輸出額の推移(%、億米ドル) 4 系(国有と民間)企業と外資系企業の輸出に占める比率は、7:3であったものが、2018 年にはこの比率が3:7となり、外資系企業の輸出に占める割合が上昇している。 表1−2.輸出対 GDP 比率と所有形態別企業部門の輸出額の推移(%、億米ドル) 1995 2000 2005 2010 2015 2018 輸出額/GDP(%) 26.5 46.3 56.3 62.3 83.8 99.4 国内資本系企業 398 767 1,389 3,308 4,764 6,973 外資系企業 147 681 1,855 3,915 11,438 17,396 .資料)アジア開発銀行(Key Indicators)とベトナム統計総局のデータを参考、作成 2018 年の主要な輸出品目のデータを見ると、TOP5品目は携帯電話と同部品(492 億米ド ル)、アパレル製品(305 億米ドル)、電子回路・コンピュータと同部品(296 億米ドル)、 履き物(162 億米ドル)、木製品(89 億米ドル)であり、この TOP5の合計はすべての主要 な輸出品目の8割を占めた4。このうち、携帯電話と同部品及び電子回路・コンピューター と同部品の輸出は、TOP5合計額の約6割弱、または全体の4割強を占め、外資系企業部門 により生産された。しかし、輸入額を考慮にすれば、輸入全体も輸出と同様の成長率及び 規模で拡大し、輸入額でも外資系企業部門が大きなシェアを占めた。外資系企業部門の輸 入は主に携帯電話やコンピューター、電機機器など完成品組み立て用の部品及び中間材で あった。これらの輸出入構造を見ると、ベトナムの工業化は「外資主導」と「輸出志向」 に加えて組み立てを中心とする「加工貿易」という特徴があることがわかる。 実際、ベトナムの鼎型経済構造も外資主導・加工貿易・輸出志向型工業化も、同国の今 までの経済開発路線の特殊性に由来するものと考えられる。一般の開発途上国と異なり、 ベトナムは開発途上国でありながら移行経済国でもある。計画経済から市場経済への移行 過程では、東欧の移行経済諸国と異なり、中国と同様、漸進型移行経済政策(政治的な独 裁体制の下、経済の段階的自由化)を実施した結果、国内資本系企業部門が国有企業と民 間企業に分離された。 また中国や他のアセアン先発諸国の経験を模倣して、経済開発政策(外国直接投資の誘 致、輸出加工区の設置や輸出産業の振興など)を実施した結果、輸出向け加工貿易を中心 に、国内資本系企業から乖離された外資系企業部門が登場した。近年、ベトナムでは所得 2018 年の主要な輸出品目のデータを見ると、TOP 5品目は携帯電話と同部品(492 億 米ドル)、アパレル製品(305 億米ドル)、電子回路・コンピュータと同部品(296 億米ド ル)、履き物(162 億米ドル)、木製品(89 億米ドル)であり、この TOP5 の合計はすべて の主要な輸出品目の 8 割を占めた4。このうち、携帯電話と同部品及び電子回路・コン ピューターと同部品の輸出は、TOP 5合計額の約6割弱、または全体の 4 割強を占め、 − 116 −
外資系企業部門により生産された。しかし、輸入額を考慮にすれば、輸入全体も輸出と同 様の成長率及び規模で拡大し、輸入額でも外資系企業部門が大きなシェアを占めた。外資 系企業部門の輸入は主に携帯電話やコンピューター、電機機器など完成品組み立て用の部 品及び中間材であった。これらの輸出入構造を見ると、ベトナムの工業化は「外資主導」 と「輸出志向」に加えて組み立てを中心とする「加工貿易」という特徴があることがわか る。 実際、ベトナムの鼎型経済構造も外資主導・加工貿易・輸出志向型工業化も、同国の今 までの経済開発路線の特殊性に由来するものと考えられる。一般の開発途上国と異なり、 ベトナムは開発途上国でありながら移行経済国でもある。計画経済から市場経済への移行 過程では、東欧の移行経済諸国と異なり、中国と同様、漸進型移行経済政策(政治的な独 裁体制の下、経済の段階的自由化)を実施した結果、国内資本系企業部門が国有企業と民 間企業に分離された。 また中国や他のアセアン先発諸国の経験を模倣して、経済開発政策(外国直接投資の誘 致、輸出加工区の設置や輸出産業の振興など)を実施した結果、輸出向け加工貿易を中心 に、国内資本系企業から乖離された外資系企業部門が登場した。近年、ベトナムでは所得 の向上に伴い国内市場の規模が拡大され、現地市場開拓の目的で新規投資を行う外資系企 業が現れ始めたが、その数はまだ限定的であり、外資系企業が国内資本系企業から分離さ れた状況はあまり変わらない。 今までベトナムの経済構造及び加工貿易を中心とする外資主導輸出志向型工業化は、一 定の経済発展効果があるものの、長期的且つ持続的経済成長を妨げる要因となってしまう 可能性がある。なぜなら、この発展パターンは外国直接投資の技術移転効果を効率的に利 用することが出来ず、経済のあらゆる産業を支える裾野産業が育てられなかったからであ る。現在ベトナムの裾野産業はどのような課題を抱えるかについて次節で検討する。
第 2 章 民族資本系と外資系企業の乖離と企業間関係及び裾野産業の脆弱性
本来、外国直接投資を導入する目的は、資本蓄積の他に技術移転効果を利用することで ある。技術移転効果を効率的に利用できるかどうかは自力で長期的且つ持続的経済成長が 可能か否かである。技術移転プロセスは一般に企業間の関係とりわけ外資系企業と国内資 本系企業との前方連関及び後方連関関係を通じて実現される。これにより、現地企業の生 産経営技術がレベルアップされ、現地調達能力の向上、つまり裾野産業の競争力の強化に 繋がる。その結果、より高度技術を利用する外国直接投資を吸収することが可能となり、 現地企業・産業のさらなる技術向上をもたらす。こうした好循環は長期且つ持続的経済成 長を誘発すると考えられる(D.M.Hong, 2016)。 よって、ベトナムのような開発途上国にとって長期的・持続的経済成長を実現するのに 重要なのは外資系企業部門と国内資本系企業部門との間に企業間のリンケージを強化する − 117 −ことできるかどうかである。 しかし前節で述べたように、現在ベトナムの鼎型経済構造により、3 つの企業部門は相 互に分離しているため、外資系企業部門と国内資本系企業部門との間に企業間のリンケー ジが存在せず、外資系企業から現地企業への技術移転が起きない。このため経済の部分的 自由化政策の結果、国内資本系民間企業部門は一定の範囲で発展出来たものの、生産技術 能力及び競争力が外資系企業の需要に対応できるレベルに、依然として達していない。 こうした民族資本系と外資系資本の間にリンケージが存在しない状態は、これらの企業 部門の競争力にも反映される。 表 2︲1 はこれらの企業部門の生産高対資本の比率の推移を示したものである。この比 率は大きければ資本の生産性が高く、競争力が強いことを意味する。 表 2︲1.所有形態別企業部門の資本生産性(生産高 / 資本の比率) 6 率は大きければ資本の生産性が高く、競争力が強いことを意味する。 表2−1.所有形態別企業部門の資本生産性(生産高/資本の比率) 2000 2005 2010 2015 2016 2017 国有企業 0.66 0.58 0.51 0.39 0.38 0.34 国内資本系民間企業 2.07 1.22 0.65 0.73 0.71 0.73 外資系企業 0.70 0.89 0.73 0.99 1.02 1.05 資料)ベトナムの統計総局のデータを参考、計算、作成 全体的に見ると、外資系企業部門の資本生産性は上昇している傾向があるが、国内資本 系企業部門の方は低下し続けている。具体的には、外資系企業部門では、2000 年に 1 単位 の資本から 0.7 単位の生産高しか作り出してなかったが、2017 年には 1.05 単位の生産高 を作り出している。一方、国有企業部門は、2000 年の時点でも、すでに外資系企業部門よ りも生産性が低かったが、その後もさらに悪化し続け、今でも様々な保護措置の恩恵を受 け続けているにも関わらず、2017 年には当初の半分程度(0.34 倍)まで低下した。 国内資本系民間企業部門は、2000 年に資本生産性が比較的に高かったが、その後急速に 低下してしまい、2015 年から 0.7 倍程度の水準のままである。 2000 年に国内資本系民間企業部門の資本生産性が高かった理由は、この年から国内の民 間資本に対する経済制度の自由化が以前よりも急速に推進されたからである。1990 年代末 まで国内の民間資本の新規事業に対する「許可制」(事業を立ち上げる際に申請―審査―許 可―新事業展開の 4 段階)から「登録制」(申請=登録―新事業展開という 2 段階)に切り 替わったので、国内の民間資本は本格的に製造業の分野で新規参入し始めた。この時から 国内資本系民間企業部門は国有企業と外資系企業部門との対抗を避けるマーケット及び事 業ドメインを選択し、現在まで国有企業及び外資系企業とは差別的な生産経営活動を続け ている。 上述した事情を考慮にすれば、現在ベトナムの裾野産業の脆弱さを理解することが出来 る。すなわち、今までの裾野産業は国内資本系民間企業だけに依存していたが、この企業 部門は経験が浅くて未熟で、しかも外資系企業部門とのリンケージがなく、外国直接投資 の受入れによる技術移転効果を利用できないので生産経営技術レベルや競争力を高めるこ 全体的に見ると、外資系企業部門の資本生産性は上昇している傾向があるが、国内資本 系企業部門の方は低下し続けている。具体的には、外資系企業部門では、2000 年に 1 単 位の資本から 0.7 単位の生産高しか作り出してなかったが、2017 年には 1.05 単位の生産 高を作り出している。一方、国有企業部門は、2000 年の時点でも、すでに外資系企業部 門よりも生産性が低かったが、その後もさらに悪化し続け、今でも様々な保護措置の恩恵 を受け続けているにも関わらず、2017 年には当初の半分程度(0.34 倍)まで低下した。 国内資本系民間企業部門は、2000 年に資本生産性が比較的に高かったが、その後急速 に低下してしまい、2015 年から 0.7 倍程度の水準のままである。 2000 年に国内資本系民間企業部門の資本生産性が高かった理由は、この年から国内の 民間資本に対する経済制度の自由化が以前よりも急速に推進されたからである。1990 年 代末まで国内の民間資本の新規事業に対する「許可制」(事業を立ち上げる際に申請―審 査―許可―新事業展開の 4 段階)から「登録制」(申請=登録―新事業展開という 2 段階) に切り替わったので、国内の民間資本は本格的に製造業の分野で新規参入し始めた。この 時から国内資本系民間企業部門は国有企業と外資系企業部門との対抗を避けるマーケット 及び事業ドメインを選択し、現在まで国有企業及び外資系企業とは差別的な生産経営活動 を続けている。 上述した事情を考慮にすれば、現在ベトナムの裾野産業の脆弱さを理解することが出来 − 118 −
る。すなわち、今までの裾野産業は国内資本系民間企業だけに依存していたが、この企業 部門は経験が浅くて未熟で、しかも外資系企業部門とのリンケージがなく、外国直接投資 の受入れによる技術移転効果を利用できないので生産経営技術レベルや競争力を高めるこ とができないのである。 ベトナムの裾野産業の脆弱性については、実際に多くの外資系企業の意見として指摘さ れている。国際協力銀行(JBIC)やジェトロ(JETRO)などの海外進出企業の調査報告 によると、ベトナムの(裾野産業の未発達のため)現地調達の困難を理由に、第三国(中 国、タイ、マレーシア)からの生産移管を含めて、今後、投資拡大をしない日本の企業が 少なく無い。例えば、国際協力銀行の報告書によると、中期的(今後 3 年)にベトナムで 事業を拡大する計画がある企業は、電気・電子産業の分野では 2017 年の時点で、(69 社 回答の中)39 社(46%)があったが、2018 年には、(59 社回答の中)20 社(34%)に減 少した。自動車産業分野の場合、この割合は、そもそも低かったが、近年では、さらに低 下して行く傾向が見られ、2017 年には(86 社回答の中)16 社(19%弱)、2018 年には (89 社回答の中)15 社(17%弱)に減少している(国際協力銀行、2018)。 しかし、ベトナム経済の構造的要因に起因する、国内資本系民間企業と外資系企業との 技術ギャップにより裾野産業が未発達なため現地調達が難しいという事情は、組み立て加 工を中心とする中大規模の外資系企業にとっては不利な条件であるが、逆に、現在のベト ナムにおける裾野産業の空白は、外資系中小零細企業(部品メーカー)にとっては、ベト ナムを魅力的な進出先にする要因となる。近年、この状況を知ってベトナムに進出する外 資系中小又は零細規模の企業が現れてきた。最近、ベトナム向け直接投資が増え続ける中 で、「件数増の規模減」という現象が観察されていた。例えばジェトロ・レポートによる と、ベトナムへの直接投資件数、認可額は、2010 年の 1,639 件、199 億ドル(認可ベース、 新規・拡張計)から、2017 年には、3,975 件( 2.4 倍増)、308 億ドル(1.5 倍増)と増加 しているが、件数の増加率の方が高くなっている。日本企業の対ベトナム投資も、大規模 投資案件がある年を除いて、2013 年以降同様の傾向が見られる。2013 年に件数と認可額 はそれぞれ 500 件、59 億ドルだったが、2016 年には件数ベースは 574 件で、認可額は 25 億ドルしかなかった。また、新規投資のうち製造業案件の詳細を見ると、2016 年には 100 万ドル(約 1.1 億万円)未満の投資案件が約4割を占めていた5。 日系企業の他に、近年ベトナムに進出している中国、韓国資本系中小企業も多い。例え ば、みずほ総合研究所のレポートによれば、2019 年上期、新規と拡張を合わせて韓国企 業の対ベトナム直接投資の件数と認可額は、698 件と 18 億ドルで、中国企業は、362 件と 19 億ドルで、日本企業は、327 件と 16 億ドルであった(みずほ総合研究所、2019)。 これらの外資系中小零細企業の存在は、一定程度、現地調達能力及びベトナムの裾野産 業の競争力を向上させ、ベトナムへの生産移管の動きにとって短期的にはプラス効果があ ると考えられる。しかし、これらの外資系中小零細企業は外資系企業(主に大手組立メー カ)と現地企業(ベトナム資本系民間企業部門)との間のリンケージが欠けるという状況 − 119 −
を改善する効果がないので、長期的には日本、韓国、台湾及び欧米資本系グローバル企業 の(中国やタイ、マレーシアなどの)第三国からベトナムへの生産移管を促す効果がある かどうかについてさらに検討する必要があろう。
第 3 章 R S C と G V C への参加の制約と限界
中国や ASEAN 先発諸国などからベトナムへの生産移管の動きは、上述の国内経済に関 わる要因の他に、ベトナムが地域内のサプライチェーン(RSC)とグローバルバリュー チェーン(GVC)、即ち国際分業ネットワークに本格的に参加可能かどうかの問題にも大 きく左右されると考えられる。結論から言えば、現在「開発途上国」と「移行経済国」と いう2つの顔を持つベトナムは抜本的に経済活動を自由化しない限り、経済は RSC と GVC の一部になることが困難で、第三国からの生産移管は継続され難いであろう。 ベトナムの経済は、1990 年代後半から二国間と多国間の投資貿易関係の自由化を進め ながら、輸出を中心とする外国直接投資を積極的に誘致、受け入れることによって国際分 業ネットワークに参加し始めた。1995 年に ASEAN の自由貿易協定(AFTA)に加盟し、 2000 年には米越貿易協定を締結した。また、2003 年と 2005 年には日越投資協定と経済連 携協定を結び、2006 年には世界貿易機関(WTO)に加盟した。この他、2019 年 6 月には、 EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)及び投資保護協定(IPA)には署名し、環太平洋 パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(Comprehensive and Progressive Trans-Pacific Partnership - CPTPP、通称 TPP 11)については、2017 年に合意し 2019 年 1 月から 発効している。また、現在交渉中の東アジア地域包括的経済連携協定(RCEPT)を加え、 様々な取り組みで地域内外との経済関係を開放しようとしてきた。 外資導入政策についても、1987 年から外国直接投資法を制定し、外国資本を国内民間 資本よりも早期に自由化し始めた。その後も外資導入を加速するため、法律の改正、減 税・免税、土地使用権の拡大などの様々な優遇措置を設け、特に 2007 年から WTO のルー ルに従う国内外資本の差別をなくすため、統一投資法と企業法を導入した。 こうした投資環境の変化により、ベトナムに進出している外国資本系企業特に多国籍企 業はベトナムの工場を地域内サプライチェーン及びグローバルバリューチェーンの新しい 拠点として生産ネットワークを広げるようになりつつある。 東南アジア地域内及び地域外に対する輸出入のデータ(例えば、アジア開発銀行の Key Indicators 2019)を見れば、一定 RSC と GVC への参加が確認できる。2018 年には、ベト ナムの TOP 10 の輸出相手国は、米国が 1 位で、次に中国、日本、韓国と香港の他に、オ ランダ、ドイツ、インド、英国とタイであった。一方 TOP 10 の輸入相手国は、米国(5 位)とインド(10 位)以外、すべては東アジア地域の国々であった。また、上位輸出入 品目を考慮にすれば、繊維や生糸以外、一部の企業はベトナムの工場で生産される携帯電 話、コンピュータ、電子、機械設備と同部品を東アジア以外の国々と日本、韓国などに輸 − 120 −出する一方、同品を日本、韓国、台湾、中国、タイ、マレーシアなどの諸国から輸入して いる。即ち、多くの日本、韓国、台湾企業は、ベトナム工場を自らの RSC と GVC ネット ワークの新拠点として部品・中間財を輸入、組み立て加工を行い、日本や東アジア域外へ 輸出をしている。また最近地域外への輸出の他に、RSC と GVC ネットワークを利用して ベトナム国内市場を開拓する外国資本系企業も出現し始めたが、生産販売の規模がまだ限 定的である。 このように、現在ベトナムの製造業は東アジア地域内外との貿易を自由化したり、外国 直接投資を積極に受入れたりすることによって一定のレベルで、RSC、GVC のネットワー クに自分の居場所を確立することができたと考えられる。しかし、外資系への依存度が高 いベトナムの製造業は、今後さらに国際分業ネットワークにより高い競争力のある地位を 得ることができるかどうかには多くの疑問が残る。 なぜなら、今まで進出している外資系企業のほとんどは、ベトナムの安価な労働力とい う静態的な比較優位を利用するため、労働集約的な生産工程を中心とする生産活動を行う 傾向があったが、より高度な技術を利用する技術集約又は資本集約的な生産活動を展開し ていない。また、すでに締結された貿易協定の発効により将来的に地域内関税の撤廃を考 慮に入れながら企業内の RSC と GVC ネットワークを構築する大手多国籍企業も存在す る。例えば、トヨタやホンダなどは、将来的に AFTA や、中国・ASEAN の FTA が関税下 げまたは撤廃する時に、ベトナム市場をカバーできる生産拠点をすでにタイ及び中国で展 開している。しかし、現在、トヨタのベトナム工場は臨時対応的な規模(年間 5 万台)だ けに限定された生産体制を取っていると見られる。 したがって、外資系企業部門に依存するだけでは、ベトナムの製造業が RSC や GVC の 中で競争的な位置を確立することが困難であり、国内資本系民間企業部門も能動的に地域 内外の国際分業ネットワークに参加することがない限り持続的経済発展を支える(第三国 からの)生産移管プロセスは起こらないと考えられる。
おわりに ―中長期的雁行形態型生産移管の受け皿になるためには
米中貿易摩擦の勃発前(2017 年)からも海外事業展開がある日本企業は中国の次にタ イやインドネシア、米国よりもベトナムを注目するようになった。ジェトロの「2019 年 度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」を見ると、約 1000 社程度の回答の 中、2016 年まではベトナムを選び事業拡大を図る企業は 20%~ 30%であったが、2019 年 に 40%以上となった。同数字で、中国を選ぶ企業は過去 68%の年もあったが、最近では 48%に低下している。 日本以外に、中国と韓国の企業も、最近ベトナムで新規投資または事業拡大を展開する 動きが見られる。みずほ総合研究所の「中国企業の ASEAN への生産移管先と移管を抑制 する米中の政策要因」(2019 年 11 月)によると、2019 年上期ベトナムの対内直接投資の − 121 −(認可額ベース)の順位は、中国が1位(19 億ドル)、韓国が2位(18 億ドル)、日本が3 位(16 億ドル)となっている(ジェトロ、2020b)。 これらの事実から見ると中国やタイ、外国企業はマレーシアなどの第三国からベトナム への生産移管を展開する動向があったことは確かである。しかし、この現象が、米中貿易 摩擦だけに起因するものであれば、この生産移管プロセスは恐らく短期的に終息してしま う可能性が高い。なぜなら、現在の米政権の保護貿易主義的な政策により引き起こされた 米中貿易摩擦は長期化になる可能性があるかどうかは、まだ不確実性が高い問題であり、 米国の政治に大きく依存する。例えば、現政権は継続かどうか、また継続の場合でも今ま での保護主義的な路線を無条件で引き続けて乱用することができるかどうかは多くの疑問 が残る。逆に、現政権の下、米中貿易摩擦が長期化になる場合でも、保護主義的な考え方 がエスカレートすれば、それも生産移管を抑制する要因になり得る。すなわち、米国の対 ベトナムの貿易赤字が拡大すれば、米越貿易摩擦が勃発する可能性も考えられ、ベトナム への生産移管を抑制することだけではなく、ベトナムからの生産移管を促す要因にもな る。みずほ総合研究所は、2010 年から 2018 年まで、米国の対ベトナムの貿易赤字額が 120 億ドルぐらいから 400 億ドル弱に大きく拡大したことを示しながら、現在の米中貿易 摩擦は、米 ASEAN 貿易摩擦に飛び火する懸念もあり、またこれが先鋭化すれば、中国企 業の ASEAN への生産移管を徐々に抑制する要因となるであろうと指摘した(みずほ総合 研究所、2019)。 今まで東アジアの経験を見ると雁行形態モデルが示唆するように、生産要素に基づく比 較優位を利用しながら生産移管が先発国からキャチアップ国へと国際的に展開できれば、 生産移管される国も、地域経済全体も持続発展することが期待できる6。しかし、このよ うな中長期的雁行形態型生産移管の受け皿になるためには、安価な労働のような静態的比 較優位を利用すると同時に技術革新やイノベーションなどの動態的比較優位を創造するこ とが欠かせない。こうした動態的な比較優位を作り出すため、外国直接投資の技術移転効 果の利用、即ち外資系企業と現地企業(国内資本系民間企業)との間の WIN―WIN 関係 の構築は必須な条件であろう。 現在、流入し続ける外資系企業、特に中小零細規模の外資部品メーカーと現地の民族資 本系民間企業とのリンケージを推進するため、如何なる政策的な支援・サポートが必要か は、ベトナムへの生産移管の本格的な展開に対する重要な政策課題であり、引き続き検討 したい。 ※ 本稿の内容に関して 2 名の匿名査読先生から貴重なコメントとアドバイスを頂いた。記 して、感謝の気持ちを申し上げたい。無論、残された過ちは全て筆者の責に帰するもの である。 − 122 −
注 1 中所得の概念にについて世界銀行の基準に参照。 2 ベトナムの鼎型経済構造や民間企業の発展の詳細について D.M.Hong(2015)と(2020)を参考 することを勧めたい。 3 筆者が今まで約 20 年間で定期的に行われ続けていた現地調査、様々な(現地企業の)経営者や 政策立案者などへのヒアリングから得られた情報を参考に、これらの企業部門の市場構造の問 題を発見した。 4 ベトナム統計総局『統計総監―2018 年度』、オンライデータを参考。 5 ジェトロの海外ビジネス情報、地域・分析レポート「ベトナム−自治体が対越進出を後押し」 (www.jetro.go.jp/biz/areareports/2017/e5f833e4daad756b)の情報。 6 雁行形態論は、開発経済学の分野ではよく周知される理論であり、ここで説明を省略するが、 詳しく知りたい場合は、小島清(2000)「雁行形態型経済発展論・赤松オリジナル:新興国 キャッチアップ・プロセス」『世界経済評論』2000 年 3 月号、または Do M.H.(2003)『グロー バル化の時代と企業主導型キャッチアップ戦略』桜美林大学国際学研究科(博士論文)を参考 することを勧めたい。 引用文献 木村福成、大久保敏弘、安藤光代、松浦寿幸、早川和幸(2016)『東アジア生産ネットワークと 経 済統合』慶應義塾大学出版会、2016/5 国際協力銀行(2018)『わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告―2018 年度 海外直接投 資アンケート結果(代 30 回)』企画部門、調査部 2018 年 11 月 国際貿易投資研究所(2018)『ASEAN の新輸出大国―ベトナムの躍進―課題と展望』、I T I 調査研究 シリーズ No.71 産経新聞(2019)「米中貿易戦争 米国の対中制裁関税で日本企業、中国外への 生産移管が加速」 経 済ニュース、経済、金融・財政 2019 年 9 月 1 日 https://www.sankei.com/module/print/index.html ジェトロ(2020a)「日本からの投資額が 2 年連続首位、製造業の追加投資も拡大(ベトナム)」地 域・分析レポート―海外ビジネス情報 https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/1195e69a4f81a3a 4.html ジェトロ(2020b)「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査 2019 年度」日本貿易振興機構、 海外調査部国際経済課 2020 年 2 月 ジェトロ(2019a)「ポストチャイナの筆頭、ベトナムの最前線」地域・分析レポート―海外ビジネ ス情報 2019 年 12 月 ジェトロ(2019b)「日本からの投資額が 2 年連続首位、製造業の追加投資も拡大(ベトナム)」地 域・分析レポート―海外ビジネス情報 2019 年 6 月 https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/119 5e69a4f81a3a4.html トラン・ヴァン・トゥ(2018)「ベトナム経済を考える : 現段階の課題と展望」『ASEAN の新輸出大 国―ベトナムの躍進―課題と展望』(第 6 章)、ITI 調査研究シリーズ No.71 Do Manh Hong (2020)「ベトナム経済発展とクローニー資本主義のトラップ」『アジアダイナミズム とベトナムの経済発展』山田 満・刈込 俊二(編著)、文眞堂
―(2017a)“Fundamental Problem of Economic Development of Vietnam: Crony Capitalism”, discussion paper presented at “Vietnam and the New World Order” Symposium held in Budapest, August 2017. ―(2017b)“The Current Social Economic Development and Fundamental Issues of the East West
Economic Corridor in the Greater Mekong Sub-region: Can It Be Developed by Manufacturing-based
Industrialization?” Discussion paper presented at the Symposium of “Development of Mekong Region in the Asian Dynamic Context” held by the Vietnam Academy of Social Sciences in Hanoi, February 2017. ―(2016)“Trade Liberalization and Challenges for Supporting Industries of Vietnam”, discussion paper
presented in the Conference entitled “Recent Economic Integration: Opportunities and Challenges for Enterprises in Vietnam”, held in Foreign Trade University (Hanoi), June 28, 2016.
―(2015)「ベトナムの経済発展―国家資本主義からクローニー資本主義へ」経済理論学会『季刊 経済理論』第 52 巻第 2 号、2015 年 7 月発行 pp.50-63 日本経済新聞(2019)「貿易摩擦「中国生産を移管」50 社超アップルなど」https://www.nikkei.com/ news 2019 年 7 月 18 日電子版 丸紅アセアン会社(2019)「米中貿易戦争と中国からの生産移管~大局的には「チャイナ+(プラス)」 という構造変化」、シンガポール報告 2019 年 9 月 4 日 みずほ総合研究所(2019)「中国企業の ASEAN への生産移管先と移管を抑制する米中の政策要因 」、 みずほインサイト、アジア 2019 年 11 月 12 日
山口 綾子(2018)「東アジアにおけるグローバルバリューチェーン」『News Letter』 No.4 2018 国際通 貨研究所、経済調査部