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殺線虫性オキシインドールParaherquamide類とニコチン性アセチルコリン受容体間相互作用の分子基盤研究

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Academic year: 2021

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令和元年度農学部特別研究費研究経過報告書 1.研究者名 伊原 誠 2.研究課題名 殺線虫性オキシインドールParaherquamide 類とニコチン性アセチルコリン受容体間 相互作用の分子基盤研究 3.研究目的・内容 糸状菌代謝産物は多様な生理活性を示す.本研究では,それらの化学構造と生理活性の関連性 に 関 す る理 解 を深 め るこ と を 目的 に ,オ カ ラ培 地 上 で糸 状 菌が 生 産す る 殺 線虫 性 化合 物 Paraherquamide および Chrodrimanin の作用機構について,生化学・電気生理学・構造生物学 的手法を用いた相関解析を実施した. 4.研究の経過 研究課題を提案した時点において,「Paraherquamide 類の化合物ライブラリーの構築と nAChR に対す る活性プロファイルの解明」と「Paraherquamide 類の nAChR における構造認識機構の構造生物学的解 明」に取り組む予定にしていたが,配分された研究経費の制限により,後者について重点的に実施するこ とにした.また,当初の研究計画にはなかった Chrodrimanin の作用機構研究についても取り組んだ. 1. Paraherquamide 類の nAChR における構造認識機構の構造生物学的な研究

Paraherquamide A は選択的殺線虫活性を持つ化合物である.そこで,C. elegans の L-nAChR とN-nAChR をアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ,これらに対する Paraherquamide A の 作 用 を 評 価 し た . ま た , モ デ ル タ ン パ ク 質 で あ る ア セ チ ル コ リ ン 結 合 タ ン パ ク 質 と Paraherquamide A の複合体の結晶構造解析を行った.Paraherquamide A の活性発現に重要な アミノ酸を決定するためにAChBP と Paraherquamide A 複合体の X 線結晶構造解析を行った ところParaherquamide A はアゴニスト結合領域中 Loop C 領域と相互作用することが明らかと なった.この結果に基づきC. elegans の L-type と N-type nAChR の Loop C を比較したとこ ろParaherquamide A の活性発現に寄与していると考えられる構造の違いを見出した.

Paraherquamide A が高い感受性を示す L-nAChR の Loop C の α サブユニットに見られる構造 をN-nAChR に導入し Paraherquamide A のアンタゴニスト活性について評価した結果,変異を 導入したN-nAChR に対する Paraherquamide A の感受性は有意に上昇した. この知見は、N-nAChR-Paraherquamide A 複合体のモデルで説明できたことから、L-nAChR のLoop C の特徴的な構造は、本受容体を標的にする Paraherquamide A のアンタゴニスト活性 をもたらす因子の一つであると推察された. 2. Chrodrimanin B の作用機構解明にむけた標的タンパク質内での作用部位の検討 Chrodrimanin B は GABA 受容体を標的にする糸状菌代謝産物であることが知られている.と ころが,GABA 受容体におけるその作用部位に関する知見が不足している.そこで,GABA 受容 体のアゴニスト結合部位およびイオンチャネル部位に選択的に作用する gabazine および EBOB のトリチウム標識体を用いた受容体結合アッセイを実施しChrodrimanin B の結合様式の解析を 行った.その結果,Chrodrimanin B を共存させた状態において,EBOB の受容体への結合は全 く影響を受けなかったが,Gabazine の結合が抑制されることが示された.また Gabazine に対す る結合阻害様式の解析を行ったところ,競合的な阻害様式をとることが示唆された. この知見は,GABA 受容体を標的とする新たな殺虫剤を開発する際の,基盤情報として有用で あると期待される. 5.本研究と関連した今後の研究計画 本研究では,糸状菌代謝産物の生理活性とその発現機構をテーマに研究を遂行したが,当初計 画していた「Paraherquamide 類の化合物ライブラリーの構築と nAChR に対する活性プロファイルの解 明」について十分に取り組めなかった.その一方で,Chrodrimanin の作用機構に迫る基礎データを取得 できた.それを踏まえ,Paraherquamide 類の化合物ライブラリー構築については継続して実施していくとと もに,Chrodrimaini B の作用点が標的タンパク質のアゴニスト結合部位であることを示すデータが取得で きたことから,Paraherquamide と nAChR の相互作用解析で実施した様に,GABA 受容体のリガンド結合ド メインと Chrodrimanin B の共結晶を作成し,X 線結晶構造解析を行い,受容体による認識機構を原子の レベルで明らかにしていきたいと考えている.

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