看護師の気管吸引技術の獲得過程の分析 : 看護師19名のインタビューから
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(2) 看護学 。リハ ビ リテ ー シ ヨン学編 (2010年 3月. 甲南女子大学研 究紀要 第 4号. 248. 対 象者 は ,A大 学病 院お よび. ). B病 院 に所 属 す る臨 床. 経験 で 少 な くとも 5年 以上 の経験 の あ る気管吸引 に熟. は じめ に. 練 して い る看 護 師 を,病 棟 師長 の 推 薦 に よ り選 定 し 今 日の 臨床現場 で は,医 療技術 の進歩 や患者 の 高齢 化 ・重症化 な どか ら看護業務が高度化 ・複雑化 し,ま. た。 まず病棟 師長 に研究の 目的 を直接紙面 に よ り説 明. ′ た提供す る看護技術 は,よ リー 層 の安 全 1生 の確 保 と正. 薦 された対 象者 に対 して も同様 に説明 と依頼 を し,同. 確 さが必要 となる。 これ らに適切 に対応 して い くた め. 意 を得 た。. に看護 師 の 臨床実践 能力 の 向上 をはか る こ とが必須 で 1。. ある. しか しなが ら,看 護基礎 教 育課 程 にお い て. ,. し,同 意が得 られた後 ,対 象者 の推薦 を依頼 した。推. イ ン タ ビュー は プ ラ イバ シ ー を保 て る よ う に配 慮 し,病 棟 の 面接 室 及 び研 究者 の 所 属 す る施 設 で 行 っ. 患者 の侵襲 を伴 う看護技術 を,資 格 の持 たない学 生 に. た。 イ ン タ ビュー 内容 は, どの よ うに して吸引技術 を. 対 して実践 す るこ とは,制 限 され る傾 向 にあ る。. 獲得 して きたか ,ま た,吸 引技術 を獲得す るため に今. 一 方 ,看 護実践 の 中に は,未 だ意識 化 されて ない. ,. あ るい は 明確 に言語化 されず個 人の中で埋 もれて い る. まで に して きた努 力 を聞 い た。面接 時 間 は 45分 ∼ 1 時 間程度 であ り,録 音 した。. 「 含 蓄 的知識」 が あ る。 看護 師 に とつての「含 蓄 的知 識」 は熟練 した看護 師 に よって 日々実践 されて い る実. 2.分 析方法. 践知 とい える。熟練 された技術 は看護 師 自身 も自然 に. 録音 テ ー プか ら,逐 語録 を作 成 し,ど の よ うに技術. 2,Ben―. 獲得 して きたか ,ま た現在 ,後 輩 に どの よ うに指導 し. 行動 してお りそ の技 を伝承 す る難 しさが あ るが. ),ク リ nerは ,初 心 者 か らエ キ スパ ー トの技 能習 得. て い るかの記述 を抽 出 した。 内容 を帰納 的 に整理 し. テ ィカ ル ケア領域 の エ キスパ ー トナ ースの専 門能力 と. サ ブ カテ ゴ リー と して抽 出 した。 そ の 後サ ブカテ ゴ リ. り 臨床知 を イ ン タ ビュ ー よ り,明 らか に してお ・. ,そ. ,. ー の類似性 を も とにカテ ゴ リー化 した。. の功績 は大 きい。 本研究 で は,特 に,看 護技術 の 中で も患者 に苦痛 を. 3.倫 理 的配慮 研究協 力者 の 依頼 は,文 書 で もって直接 口頭 で個 別. 伴 う技術 と して ,緊 張 感が高 く,患 者 の QOLに 大 き 5気 管吸 引技術 に焦点 を当て ,ど の 様 に技 く影響 す る. に行 い,研 究 の協 力 の理 解 と協 力 を求めた。研 究 へ の. 術 を獲得 して きたか に注 目した。. 参加 は 自由意志 と し,匿 名性 の保持 ,参 加 お よび途 中. 気管吸引 に関す る研 究 で は,こ れ まで に実験 的研究 6■. 及 び臨 床研 究 が幾 つ か あ り. ,吸 引場 面 の 参 加 観 察. 及 び看護 師へ の イ ンタビュー を用 い た研 究 で は,エ キ 8。. スパ ー トナ ースの吸 引 の 指標 に焦点 を当てて い た. 辞退 へ の 自由,録 音物 の管理 ,研 究成果 の公 表 な ど説 明 し同意書 へ の署名 を もって承諾 を得 た。 平 成 17年 2月 に研 究者 の 所属 す る施設 で の 倫 理 委 員会 の承諾 を得 て い る。. 気管吸引技術 の獲得 は,手 順 のみ だけで な くそ の 時. Ⅳ。 結. の 臨床 の判 断が重要 とな り,安 全 な吸引技術 の獲得 は. 呆. 難 しい と考 え られ る。そ こで 今 回 は熟練 した看護 師が どの様 に吸引技術 を獲得 して きたか を明 らか に した い. 1.対 象者 の概要 対 象 者 は ,研 究 の 協 力 に 同意 した もの 19名 で あ. と考 えた。. り,年 齢 は 27歳 か ら 47歳 (平 均 34.3歳 ),経 験 年 数 Ⅱ。 目. 自 勺. 5年 か ら 27年. (平 均 年 数 13.2年. )で あ る。 資格 と し. て ,呼 吸療法認定± 6人 ,ケ アマ ネー ジ ャー 3人 で あ 熟練 した看護 師 が吸引技術 を どの よ うに獲得 して き. った。. たか ,ま たそのため に どの様 な努力 を して きたか等 の 獲得過程 に注 目 し,そ の特徴 を明 らか にす る。. Ⅲ .研 究 方 法. 1.デ ータ収集 デー タ収 集期間 は平成 17年 3月 か ら 5月 である。. 2.獲 得過程 の特徴 (表 1) 後輩ヘ 先輩からの指導】【 獲得に影響した経験】【 【 の指導】【 自己学習】の5つ のカテゴリー 現任教育】【 が見出された。 1)獲 得 に影響 した経験 看護 師 は新 人 の 時あ るい は病棟 の 配置転換 時 に,オ.
(3) 安森 由美. 他 :看 護 師 の気 管吸引技術 の獲 得過程 の分析. 249. 表 1 獲得過程 の特徴 カテ ゴ リー サブカテゴリー. 内. 容. い ろんな人 に沢 山あた って前 よ り聞 こえな い ,痰 が貯 まってい る と言 うのが わか って くる 。や っぱ り回数 ,な か なか入 らな い患者 さんの場 合 ,鼻 腔食道 どち らにない ってい るかわか らな し 何 回 もや って きて培 って きた ものか. 。経験を重ねてやっとこんなもんかなとい う形 になってきた 。経験的にこうい う患者さんはこうだなと数を行うと体で覚えて くる ・数だ と思 う。毎 日吸引する必要のある人が 10人 ぐらいいて,嫌 で も要領が よくなる 実施回数 と 。 回数 を重 ね る しか ない。 さい しょは先輩 に見守 られ なが らどきどき して い ま した。 回数 で す ね 多様 な経験 ・教科書 とかい ろい ろ読 んだ気 がす るけ ど,回 数 を重 ね る経験 が大事 か な い ろんな症例 とか。 い ろんなチ ューブ とか を用 い て回数 を重 ね る こ とか な. 。手術室 で頻回に吸引 してい るのを見ていた し,直 接気管支 を見て,そ の外 を見て挿管 もいつ も見て いたので, イメー ジがわきやす い 。新 しい 器具 が どん どん入 って くる ので ,基 本 に則 つた看 護 手順 や基本 的 な こ とを もう一 度 お こ な い ,復 習す る. 医師 と一緒 に患者のベ ッ ドを押 していた ら,5メ ー トル ぐらいで「チ アノーゼが きて,呼 吸 してい ない」経鼻挿管 していたが,そ れが詰 まって,も う一度挿管 し直 した。吸引 してい る時に呼吸が止 を止めて しまったのか まった ことがあって,痙 攣発作 と吸引が重なって 。・私が虐、 獲得 に影響 ・気切 の患者は距離が短 いので楽 に吸引で きるな とい う印象で したが病態や危険な ことがわか りだ し した経験 て怖 さが先に出て きた ・出血 しやす く,気 道が癌 で閉塞 してい る人に,結 局,長 いカニユー レを挿入 して吸引 しやす くした 情緒 的体験 ・肺炎で挿管 してい る方 を伏臥位 に してバ イブ レーターをあて,吸 引 し,今 まで吸引で きなか つた痰 が吸引 されて,背 中の胸郭が動 きか改善 した 。怖 い思 い を した方が いい と思 い ます. 、 ・失敗談,自 分がす ごいことをしてしまったんだとい う経験がフ に残 り,そ の積み重ねが自分の物に 亡 なって くる 。一度患者 のみになってみ ようと,学 生の時友だちに吸引 して もらった。実習 の時,す ご く苦 しか っ た ・苦痛 だか ら吸引 を控 える ス タッフが い るが ,何 が大事 か ,そ れ は生命 の維持 で あ り,閉 塞 を防 ぐこ と,こ れ は看護 師 の判 断 になって くる ・吸引 は安楽 にす るためのケ ア,な るべ く負担 が ない よ うに上手 に して欲 しし. 吸引は苦痛 を伴 う手技 であるので,患 者が苦 しそ うな顔 をすると抵抗があ ったが,患 者 の状態が明 らかに楽になった患者 をみた り,吸 引 しない としんどくなるとい うのを知 って, どうして も吸引 し な くては行けないことがわかると抵抗が少な くなった 。患者が苦 しいか らとって欲 しくない,嫌 とい う人 は痰 をとって もらって楽になるとい う感覚 を知 ら ないか らと思 う。一 回頑張 って とったら楽になるよといい なが ら吸引する ことが よ くある 。最初 の体験 は,マ ンツーマ ンで先輩 のナースの手技 を何度かみて,こ うや った ら,こ の辺,手 を離 してなど細か く言われなが ら実際の患者で行 う 細 かす ぎる ・初めての吸引 は先輩 の指導 で,10 cmと か 15 cmと かいわれるが,実 際にその場 になるとパニ ック 指導 になって しまった ケ アの本 質 を知 る. 新 人の時 マ ンッーマ ンで先 輩が指導 して くれ た 先輩 にチ ェ ックされて,独 り立 ち. 。オリエ ンテーシ ョンで レクチ ャー して自分 の吸引 を見て もらって,次 に実施 させて修正点 をア ドバ イスする. 先輩 か らの 指導 独 り立 ち ま での段 階. 最初 は清潔 ,不 潔 ,吸 引時 間 ,や り方 ,長 さ 初 めての時 は,い くら経験者 で も先輩 ナ ース にチ ェ ック して もらった. ・最初 は一緒 に先輩について行 って もらって,日 の前 で確認 して自分 も確認 してあ とは慣 れ とい う感 じ :吸 引前 には患者 の状 況似合 わせ た手順 をイメー ジ させ る 自分 が実際 に吸引す る姿 を見せ て説 明 と結 びつ け る ・胸 を触 る と振動が伝 わって くる。ICUの 時 に先輩が わか りやす くい ろい ろ教 えて くれた. 。自分が 自分 らしく,リ ラックス して行 うことが大事 であ り,う まくとれな くて も,患 者 を安心 させ る方法 も考えてお くことが必要 無駄 な動 きは しな い. 後輩へ の指 導. 技 の指導. 患者 に とっての安楽 を説 明す る. ・痰 を確実 に吸引するとい うの も必要だけど,ど うしたらとりやす い痰 になるのか,少 ない回数 で そのような考え方 を教えるように してい る. ,. 吸引操作 に関 してはマ ンツーマ ンで ,そ こで 開 い て ,力 をぬいて. なぜ ,sao2が なかなか回復 しなか ったのか 2人 で振 り返る ・横 で見ていて,う ま くで きていたよと声 をかける 倫理 的 な気 遣い. 患者 に新人が吸引することの協力 を求める.
(4) 甲南女子大学研 究紀要 第 4号. 250. 看護学 。リハ ビ リテ ー シ ョン学編 (2010年 3月. ). オ リエ ンテ ー シ ョンを主任が して くれて ,一 度 見せ て くれ ます ・勉 強会 で はデモ を行 っていた。透明のチ ュー ブ を用 い て ,必 ず して い ま した。 人工呼吸器 の勉 強会 は一 年 一 回 ,必 ずお こ な う ・詰 め所 で勉 強 会が有 り,人 工 呼吸器装着 とか ,新 人にはデ モ を した りとか 。勉 強会 は病棟 の吸引手技 の オ リエ ンテ ー シ ョンをか ねて行 ってい る。 自分が担 当 した時 は実際 に吸 学習機 会 の 引 の手技 がで きる よ うに道具 を用意 して 提供. ・救急病院で,毎 月のように勉強会をしていた。 資料が大量 にあってそれがす ごい し ,. 現任教 育. ・吸引 は危険 な処置 なので ,院 内で就職 の 時や病棟 での学習会 を してほ しし 昨年 は リハ ビ リの方 と呼吸 リハ の学習 会 を 6回 行 った。 実際 のケアの話 (術 後深呼吸 の浅 い患者 に 吐 い て もらい なが らオ 甲して い く と,Sao2が _L昇 した り や,体 位交換が大切 とか,ス ライ ド使 っ て ,介 助方法 の事 例 に出 した りしま した ・新採 用 の 時 に蘇生 ABCの 研修が あ り,は じめの一 ヶ月間 は,毎 日居残 り,技 術 のチ ェ ックが あ っ た。 民 間 の 精神科 だったので ,い ざとい う とき,自 分達が で きる ように とい う 目標 ベ 到達 レ ル 。 オ リエ ンテ ー シ ョンが しっか りして い た。 中央 で 集 ま って一 通 りして ,同 じ条件 で 手技 も してみ の評価 て ,3ケ 月た った らもう一 回 チ ェ ック して 病棟 で も 1週 間 ぐらい 同 じよ うな練 習が あ り,先 輩 が 1週 間 くらいつ い てその手技 を申 し送 って 3ケ 月 6ケ 月 とチ ェ ック され る ・学習会 の担 当が あ るので ,雑 誌 や資料 を読 み返 した り,ま た呼吸器 と′ ヽ 亡 電 図 の研修 は外部 の研修 会 に参加 しなければ な らなか った 必要 にせ ま 。自分が担当になった時 は何倍 も勉強 して。資料 を作った。それが,今 指導する時にも役立 っている られて ). ,. ,. 自発白 勺に矢日 識 を求め る. と思 う 。毎年 1回 ,自 分に ノルマ を決めて,人 工呼吸器や呼吸 の生理について学習するために,外 の研修 に い くこと してい る。 もう 9年 間続けてい ます. 明 日,呼 吸器 の患 者様 を受 け持 つ か ら,本 を見 て イメー ジす る 文献 で 見た り。学習会で教 えて もらった りす る ・呼吸療 法士 を持 ってい ます。来年 はア ドバ ンス をい きた いん です け ど人気が あ るので なか なか行 け な い んで すね 資格 の取得 ・ICUの 時 ,呼 吸療 法士 を と りま した。皆 さん とっていた しそ うい う流 れで 。 同僚 とお互 い にア ドバ イ ス し合 った り 呼吸 リハ ビ リの方 に教 えて もらった り,質 問 した り. 自己学習. 人的資源 の ・医師に吸引 しに くい患者 につい て聞 いてみて,レ ン トゲ ンを見なが ら気管支状況 を説明 して もら い,こ うしたら入ると言われた りした 活用 患者 さんか ら教 えて もらった り,先 輩 か らア ドバ イス もらった り 感染委員 の 方 に清 潔操作 な どの最近 の情報 を仕入 れた りした. 痰が とれると独 り立ちなので,実 際に体験 してみない とわか らない ところが,技 術にはあると思 う ので 自分で うまくで きてい るか どうかがわか らないので,聞 ける人には患者 に直接 聞いてみる。雑 ゛ か,う まく痰が とれているか,痛 いかなと 他者評価 を ・吸引は先輩 とはい る時が 多 いので,技 術 を見せて もらい なが ら,質 問 した り復習 した りする 求め る 。これでいいのか な と不安が あ った り,効 果 的 に痰 が引 けない と自分の受 持患者 の吸 引 を先輩 に して もらい ヒン トをえる 実際 にや ってみ る と本 の とお り,そ こで フ ィーバ ックで きる 実際 の ケア 。ある程度,教 科書に書 いてい ることを頭にいれて,実 際にアセスメン トしてい るとアセスメ ン トの の振 り返 り 項 口が どんどん拡がる 。昔 は解剖生理 を頭 に描 きなが ら吸引 して い た. リエ ンテ ー シ ョンで 吸 引 の 学 習 ,指 導 が 行 わ れ て い. 師 と一緒 に患者 のベ ッ ドを押 してい た ら,5メ ー トル. る。 また吸引 ケアの必要時 ,事 前 に吸引 手順 を学習 し. ぐらいで「チアノーゼが きて,呼 吸 してい ない」経鼻. て い る。「や っぱ り回数 ,な か なか入 らな い患 者 さん い 。何 回 もや って きて培 って きた ものか 」「 い ろ ん な. 挿管 していたが,そ れが詰 まって,も う一度挿管 し直 した。吸引 して い る時 に呼吸が止 まった こ とが あ っ て,痙 攣発作 と吸引が重なって ・ 0私 が虐、 を止めて し. 人に沢 山あたって前 よ り聞 こえない ,痰 が貯 ま ってい. まったのか」な ど怖 い思いや重大 な感覚が残 っている. る と言 うのが わか って くる」「 数 だ と思 う。毎 日吸 引. 体験 ,つ まり [情 緒的体験 ]を 重視 していた。. の場 合 ,鼻 腔 ・食道 どち らには い ってい るかわか らな. す る必 要 の あ る人が lo人 ぐらいい て ,嫌 で も要 領 が. また,患 者にケアを行 うことと,苦 痛 をさせた くな. よ くな る」 な ど [実 施 回数 と多様 な経験 ]が 獲得 の 要. い とうい うジレンマが「苦痛だか ら吸引 を控 えるスタ. 因 になって い た。. ッフがいるが ,何 が大事か,そ れは生 命 の維持 で あ. 「怖 い思 い を した方が いい と思 い ます」「失敗談 ,自. り,閉 塞 を防 ぐこと,こ れは看護師の判断になって く. ヽ に 分がす ごい ことを して しまったんだ とい う経験 が ′ 亡. る」「吸引は苦痛 を伴 う手技 で あるので,患 者が苦 し. 残 り,そ の 積 み重 ねが 自分 の もの にな って くる」「 医. そ うな顔 をすると抵抗があったが,患 者 の状態が明 ら.
(5) 安森由美 他 :看 護師の気管吸引技術 の獲得過程 の分析. 251. かに楽 になった患者 をみて,吸 引 しない としんど くな. た。中央で集 まって一通 りして,同 じ条件 で手技 もし. るとい うのを知 って, どう して も吸引 しな くて は行け. てみて,3ケ 月たった らもう一 回チ ェ ック して,病 棟. ない ことがわかると抵抗が少な くなった」な ど,[ケ. で も 1週 間 ぐらい同 じような練習があ り,先 輩が 1週. アの本質 を知る]結 果になっていた。. 間 くらいついてその手技 を申 し送 って,3ケ 月 6ケ 月. 2)先 輩 か らの指導 先輩か らの. [細. とチェックされる。」 など病棟 での学習会 ,病 院内で. かす ぎる指導],[独 り立ちまでの段. 階]が サブカテ ゴ リー として見出され た。「最初 の体. の技術 チ ェ ックな どで,技 術獲得 とその評価 が行 わ れ,技 術 の獲得 に組織的関わ りがあつた。. 験 は,マ ンッーマ ンで先輩 のナースの手技 を何度かみ. 5)自 己学習. て,こ うやったら,こ の辺,手 を離 してなど細か く言. サブカテ ゴ リー として 6つ 見出され た。「学習会 の. われなが ら実際の患者 で行 う。 」「初めての吸引 は先輩. 担当 とな り,雑 誌や資料 を読み返 した り,ま た呼吸器 、 と″ 亡 電図の研修 は外部 の研修会 に参加 しなければなら. の指導 で,10 cmと か 15 cmと かいわれるが,実 際に その場 になるとパニ ックになった。」 な ど,先 輩か ら. なか った。」「 自分が担 当 になった時は何倍 も勉 強 し. 受けた指導内容 を述べ てい た。 また,「 新人の時 ,マ. て,資 料 を作 った。それが,今 指導す る時にも役立 っ. ンツーマ ンで先輩が指導 して くれ た。「オ リエ ンテ ー. てい ると思 う。 」「明 日,呼 吸器 の患者様 を受け持 つか. シ ョンで レクチ ャー して自分 の吸引 を見て もらって. ら,本 を見てイメー ジす る。」 など [必 要 にせ まられ. 次に実施 させて修正点 をア ドバ イスす る」「最初 は清. て]自 己学習 をしていた。. 潔,不 潔,吸 引時間,や り方,長 さのチ ェック」「初 めての時 は,い くら経験者 で も先輩ナース にチ ェック. 「毎年 1回 ,自 分 にノルマ を決めて,人 工 呼吸器や 呼吸 の生理について学習す るために,外 の研修 にい く. して もらった。 」「最初 は一緒 に先輩 について行 って も. こと してい る。 もう 9年 間続けてい ます。 」「文献 で見. らって,日 の前 で確認 して自分 も確認 してあ とは慣れ. た り,学 習会 で教 えて もらった りす る。 」「呼吸療法士. とい う感 じ」な ど,チ ェックリス トなど用 い なが らの. を持 ってい ます。来年はア ドバ ンス をい きたいんです. ,. [独. り立ちまでの段階]に 沿 った指導が されていた。. け ど人気 があ るので なか なか行 け な い んです ね。」 「ICUの 時,呼 吸療法士 をとりま した。皆 さん とって. 3)後 輩 への指導 自分 の技術 を後輩 に教 えるときに,技 術 を見直す き. い た しそ うい う流 れで ・・ 0。 」 と. [自. 発的に知識 を. っか けになっていた。「 自分が 自分 らしく, リラ ック. 求 める]者 や [資 格 の取得]を 目指 し,学 習す る者が. ス して行 うことが大事 であ り,う ま くとれな くて も. いた。. ,. 患者 を安心 させ る方法 も考 えてお くことが必要」「 自. 「 同僚 とお互 い にア ドバ イス し合 った りした。」「呼. 分が実際 に吸引す る姿 を見せて説明 と結 びつ け る」. 吸 リハ の方 に教 えて もらった り,質 問 した りした。」. 「痰 を確実 に吸引す るとい うの も必要だけ ど,ど うし. 「医師に吸引 しに くい患者 につい て聞いてみて,レ ン. た らとりやす い痰 になるのか,少 ない 回数で,そ の よ うな考 え方 を教 えるように してい る」 な ど [技 の指. トゲ ンを見なが ら気管支状況 を説明 して もらい,こ う した ら入 ると教 えて もらった。」 な ど専門家 にア ドバ. 導],「 患者 に新人が吸引す る ことの協力 を求める」な. イス をもらうな どことで,[人 的資源 の活用]し. ど [倫 理的な気遣 い]が 述べ られた。. 識 を得 ていた。. 4)現 任教育. ,知. 「痰が とれると独 り立 ちなので,実 際に体験 してみ. サブカテ ゴリー として [学 習機会 の提供],[到 達 レ ベ ルの評価 ]が あ った。「勉強会 ではデモ を行 ってい. ない とわか らない ところが,技 術 にはあると思 うので. た。透 明のチ ューブを用 いて,必 ず してい ました。人. 聞ける人には患者 に直接聞いてみる。雑か,う ま く痰. 工呼吸器 の勉強会 は一年一 回,必 ずお こなう。 」「勉強. が とれてい るか,痛 いかなど」「吸引は先輩 とす る時. 会 は病棟 の吸引手技 のオリエ ンテー シ ョンをかねて行 っている。 自分が担当 した時は実際に吸引の手技がで. が多 いので,技 術 を見せて もらい なが ら,質 問 した り 復習 した りす る。」 な ど自分 の技術 に 自信 が な い と. きるように道具 を用意 してい ます。 」「新採用 の時に蘇. [他 者評価 を求める]行 動 をとっていた。. 自分 で うまくで きてい るか どうかがわか らないので. ,. 生 ABCの 研修があ り,は じめの一 ヶ月間は,毎 日居. 「実際 にやつてみると本 の とお り,そ こで フイー ド. 残 り,技 術 のチェックが あ った。民間の精神科だ った. バ ックで きる。 」「ある程度,教 科書 に書 いてい ること. ので,い ざとい うとき,自 分達がで きるようにとい う 目標 です。」「オ リエ ンテ ー シ ョンが しっか りして い. を頭 にいれて,実 際にアセスメン トしてい るとアセス メン トの項 目が どんどん拡がる。 」な ど,[実 際のケア.
(6) 甲南女子大学研究紀要第 4号. 252. 看護学 。リハ ビリテー ション学編 (2010年 3月. ). 3.看 護 実践能 力向上 の ための現 任教育. の 振 り返 り]を 行 う努 力 を して い た。. 看護実践 の 能力 の 向上 には,基 礎教育側 と現任教育. V.考. 側 の両者が看護技術 の獲得 に向 け て連 携 し強化す るこ. 察. とが重 要 で あ るが ,気 管吸引技術 は,患 者 の侵襲 を伴 う看護技術 であ るため ,現 任教育 で行 ってい くのが 妥. 1.回 数 と多様 な経験 が技 術獲得 に役立 つ 技術 の 習得 につ い ては,あ る程度 の 回数 を こ な し. 当 で あ る と考 える。 しか し病 院 の縦 断的 な新 人看護職. トレー ニ ングす るこ と,ま た い ろ い ろな患 者 の 吸引 を. 員 の基礎看護技術 の 習得状 況 を網羅 して い る現任教 育. ,. 作 ,吸 引 中 は低酸素 になるため ,迅 速 な手技 が求め ら. は少 な くH,新 卒看護 師 の ための専 従 の教 育担 当者 が 曖)が る。 少 な く,環 境 も整 ってい な い 現状 あ 今 回 の気. れ る。 繰 り返 し行 う こ とで ,手 順が スムーズに な り. 管吸引 の指導 に際 して も,プ リセ プ ター な どの先輩看. それが患者 に対 して も安全性 を確保す る ことに なる。. 護 師 の 努力 の 賜物 で あ り,「 言 吉め所 で勉 強会 が有 り. また,技 術獲得 に役 立 つ 経験 内容 と して失敗体験 や怖. 人工 呼吸器装 着 とか ,新 人 にはデ モ を した」「勉 強会. い とい う情緒 的 な体験 を上 げ て い る。萩 は失敗 体験 に. は病棟 の 吸引手技 の オ リエ ンテ ー シ ョン をかねて行 っ. よ り自分 に痛 み を伴 い ,責 任 の重 さを実感す る こ とが. て い る。」「吸 引 は危 険 な処置 なので ,院 内で就職 の 時. 9と い って い る。 安 全で ,正 確 な技術 獲 得 につ なが る. や病棟 で の学 習会 を して ほ しい 。」 な ど,病 棟 間 の 指. 「 失敗 談 ,自 分がす ごい こ とを して しま ったんだ とい. 導体制 の 格差が大 きか った 。 また ,獲 得過程 にお い て. 、 に残 り,そ の積 み重 ねが 自分 の物 になって 亡 う経験 が ′. も,個 人的 な努力 に依存 して い る部分が多 く,シ ス テ. くる」 との発 言 の よ うに,情 緒 的体験 が ,自 分 の技術. ム化 されたプ ロ グラムが構 築 されて い ない こ とが 分 か. の傾 向やそ の状況 を振 り返 る きっか け とな り,技 術 に. った。厚生労働 省 は 臨床実践 能力 向上 のための推進事. 反映す る と考 える。. 業 と して,指 導者育成 のための研修 プ ロ グラム を推進. 行 う こ とが重 要 と され て い る。 吸 引 の 手技 は 清 潔操. ,. ,. して い る。 この よ うな プ ロ グラムが 人的 ,質 的 に保 障. 2.後 輩 に指導 す る役割 が 自己学習 へ の動悸 づ けとなる. tる こ とが望 まオ じる。 さオ. 経験 を積 んだ看護 師 か らの指 導や ,独 り立 ちす る ま での段 階的 な指 導 は,吸 引技術 の獲 得 につ なが った と. Ⅵ。本研 究 の 限界. 考 える。大川 は看護技術 の根拠 を示 しつつ ,は じめ に 先輩看護 師 自ら実施す る ところを見 せ て よ り具体 的 な. 本研 究 の 限界 は ,わ ずか 2施 設 19人 の 看護 師 の イ. 方法 を明確 に示 す とい うステ ップを踏み なが ら技術習 Ю 得 を促す こ とが技術習得 につ なが る と述 べ て い る。. ン タビュ ー で あ り,対 象数及 び施設数が 限 られて い る こ とで あ る。 また,実 際 の 吸引場面や ,現 任教育 プ ロ. 「 オ リエ ンテ ー シ ョンで レクチ ャー して 自分 の 吸 引 を. グラムの検討が されて い な い ため ,実 際 に看護 師 の 吸. 見 て もらって ,次 に実施 させ て修正点 をア ドバ イスす. 引技術 の 習得度が話 された内容 と一 致 して い るか不 明. る」 な ど段 階的 な指導が大 きい と考 える。実際 の吸引. であ る こ とが 限界 となる。. 時 ,患 者 や家族 の 反応 を聞 い た り,先 輩 ナ ース に聞 い. Ⅶ。結. た り して ,自 分 の 技 術 の 精 度 をあ げ る 努 力 を して い. 論. た。吸引の難 しい事 例や生命 に維持 と安楽 な死 の狭 間 で吸 引手技 を行 う倫理 的 な問題 に直面す る事 例 な どが. 1.看 護師の気管吸引技術の獲得過程には,【 獲得に. 看護 師 の 吸引や呼吸 に対す る学習 の動機 づ けにな って. 先輩からの指導】【 影響 した経験】【 後輩への指導】 現任教育】【 自己学習】の 5つ のカテゴリーが見出 【. い た。 また ,病 棟 ,個 人で行 われ る トレーニ ングの指導者. された。. になる こ とで ,「 自分 が担 当 になった時 は何倍 も勉 強. 2.看 護 師 は気管吸引技術 を,回 数や多様 な経験 を積. して ,資 料 を作 った。 それが ,今 指導す る時 に も役立. み重 ねて獲得 して い るが ,特 に失敗や怖 い経験 が技. ってい る と思 う。」 な ど,役 割 を持 つ こ とに よ り,自. 術 の熟達 に影響 い て い た。. 分 の 知識 や技術 の振 り返 りや根拠 づ け の きっか け を作 り,技 術 の 自信 につ なが っていた。後輩 へ の 指導 は 自 分 の技術 を振 り返 るだけで な く,よ リー 層 の 自己学習 へ と志 向 させ る と考 える。. 3.先 輩 か ら受 けた指導 は,吸 引技術 の 習得 に大 き く 影響 し,後 輩 へ の 指導 とい う役割 は,自 分 の知識 ,. 技術 の振 り返 りや根拠 づ け となる。. 4.気 管吸引技術 は,現 任教育 で担 う技術 で あ るが. ,.
(7) 安森 由美. 他 :看 護 師 の気 管吸引技術 の獲得過程 の分析. 現 状 で は 個 人 的 な努 力 に依 存 して い る状 況 で あ る。 臨床 実践 能力 向 上 の た め の プ ロ グ ラ ム が 人 的 ,質 的 に保 障 され る こ とが望 まれ る。. 6)高 橋 志 薫 :気 管 内吸 引 の 看 護 技 術 に関す る文 献 の検 討 .神 奈 川 県 立 看 護 教 育 大 学 校 看 護 教 育 研 究 集 録 2003; 28: 41-48. 7)城 戸 滋里 ,猪 又 克子 ,新 田 なつ 子 他 :気 管 内吸 引技 術 の安全 ′ に関す る研 究 .看 護技術 1999;45:81-85 8)濱 畑 千 絵 ,菱 沼 典 子 ,大 久 保 暢 子 :エ キ スパ ー トナ 1生. 参考文献. 1)石 垣靖子 ,井 部俊子 ,川 村治子他. :新 人看護職員の. 臨床 能力 向上 に関す る検 討会報告書 .厚 生 労働 省. の イ ン タ ビュ ー ,観 察 か ら 一.聖 路 加 看 護 学 会 誌. http:〃 www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/s0310-6.html. 2003; 7: 43.. 2)Undcrwood P R(1999):文 化 に根 ざ した実践知の鉱 脈 一看護学 をデザ イ ンす るため に。 日本看護科学学会 誌 1999;19:28-19 達人ナ ース の卓越性 とパ ワー.医 学書 院. .. 東京,1992 4)Benner P,Hooper― Kyriakidis P,Stannard.D。 :井 上 智 子 監 訳 :ベ ナ ー 看 護 ケ ア の 臨 床 知 ―行 動 しつ つ 考 え る こ と (第. 5)任 和 子. 1版 ).医 学 書 院 。東 京 ,2005 :看 護 技 術 と して の 気 管 内 吸 引 .看 護 技 術. 1999: 45 :10-13. 9)萩 弓枝 ,伊 藤 ふ み子 ,西 堀 好 恵. :新 人看 護 師 にお け. る点滴 静 脈 注 射 の 技 術 獲 得 に関す る実 態 。 聖 霊 ク リス トフ ァー大学紀要. 3)Benner P:井 部俊子 ,井 村真澄 ,上 泉和子他訳 :ベ ナ ー看護論. ー ス に よる気 管 内吸 引 ケ アの実 際 一呼 吸 ケ ア ナ ー スヘ. 2007;15:51-59. 10)大 川貴 子 ,室 井 由美 ,池 田 由利 子 他 :新 卒 看 護 師が 認識 す る先 輩 看 護 師 か らのサ ポ ー ト.福 井 県 立 医科 大 学看護学部紀要. 2004;6:9-23. 11)福 井 トシ子 :新 人看 護 師 の基 礎 看 護技 術 取 得 に関す る調査 (前 編 ).看 護. 2009;4:98-103. 12)福 井 トシ子 ,上 野 陽 子 :新 卒 看 護 師 の 「 与 薬 の 技 術 」 習得状 況 か らみ た 新 卒看 護 師教 育体 制 に関す る提 言 .看 護管理 2009; 19: 344-349.
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