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クラウド型知的照明システムによる複数エリアの制御と負荷分散制御手法

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Academic year: 2021

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159回 月例発表会(201411月) 知的システムデザイン研究室

クラウド型知的照明システムによる複数エリアの制御と負荷分散制御手法の検討

西山 大貴

Daiki NISHIYAMA

1

まえがき

我々は,オフィス環境においてワーカの知的生産性向 上と省エネルギー化を目的とした知的照明システムの研 究を行っている1) .現在,我々は複数オフィスビルに知 的照明システムのプロトタイプシステムを導入し,実用 化に向けた実証実験を行っている2) 3).また,実証実験 の結果が認められ,オフィスビル1棟全てのフロアへの 知的照明システムの導入を実現した. 今後,知的照明システムを複数の執務エリアの存在す るオフィスビルに導入するにあたり,複数エリアにおけ る運用,管理の手法が必要である.そこで本研究では,複 数エリアにおける運用,管理手法としてクラウド型知的 照明システムを提案する.また,大規模環境におけるク ラウド型知的照明システムの問題検証も行う.

2

クラウド型知的照明システム

2.1 機器構成 従来は制御するエリアごとに,制御コンピュータを設 置し,その制御コンピュターが直接,照度センサから照 度値を取得し,次光度の演算を行い,照明に反映してい た.しかし,クラウド型知的照明システムでは,制御コ ンピュータをクラウド化し,全てのエリアの演算処理を1 台のクラウド上の制御コンピュータで行う.また,各フ ロアには,制御コンピュータからの信号を受け取り,その フロアの全てのエリアの照明の制御と照度センサから照 度値の取得を行うクラウドデータ通信機を設置する.な お本研究ではクラウドデータ通信機としてシングルボー ドコンピュータのRaspberry Piを用いる.クラウド型 知的システムにおける機器構成の例を図1に示す. なお 図1の構成図は,RS-485シリアル通信によって制御可能 な照明器具を用いた際のものである. このクラウド型知的照明システムでは,制御コンピュー タをクラウド化することで,多数のエリアの知的照明シ ステムの保守管理を容易にすることができる.また,各 フロアには,Raspberry Piのような安価なクラウドデー タ通信機を設置することで,初期設置費用を削減できる. さらに,照明器具の制御手法には,RS-485シリアル通 信やBACnet通信などが存在するが,本手法では,照明 の制御方法が異なった場合でも,クラウド上の制御コン ピュータのシステムの仕様を変更することなく,クラウ ドデータ通信機の照明制御システムの切り替えのみで, 多種の照明器具の構成に対応することができる. 2.2 システム管理・運用 1台の制御コンピュータで複数エリアの知的照明シス テムを運用する際には,各フロアのエリアやそのエリア に対応する照明や照度センサの管理が必要となる.本手 制御器 ハブ ハブ ハブ LAN/RS485 変換機 LAN/RS485 変換機 ゲートウェイ オフィス外 オフィス内 照明 クラウドデータ 送受信機 照度センサ ハブ クラウドデータ 送受信機 1F Fig.1 機器構成図(RS-485通信制御) 法では,エリア管理やそれぞれのエリアに対応する照明, 照度センサの設定,稼働状態などの知的照明システムに 必要な管理をWebUIで行えるようにした. また,それぞれのエリアに対応した知的照明システム のプロセスを複数起動することで,複数エリアのシステ ムの運用を行う.

3

構築システムにおける動作時の負荷検証

3.1 基礎検証 本検証は,VPSを用いて,照明台数や照度センサ台数, エリア数の変化が,CPU負荷,メモリ負荷およびネット ワーク負荷に,どの程度影響を与えるのか検証を行う. なお,知的照明システムには,シミュレーション型知的 照明システムを用いる.また本検証で用いたVPSの性 能を下記に示す.

• CPU:Intel Core2 Duo CPU T7700 2.40GHz

メモリ:1GB 図2から図5に,基礎検証の結果を示す.また演算時 間は次光度の決定にかかる時間であり,通信時間は,照度 値取得に要する時間である.本検証におけるシミュレー ション型知的照明システムは,30秒間隔ごとに100step 分のシミュレーションを行い光度を反映させる.照明台 数を,1,10,50,100台と変化させ,照度センサを1台, 同時制御エリア数を1エリアに固定した結果を各図の左 側のグラフに示す.また,照度センサ台数を,1,10,50, 100台と変化させ,照明を1台,同時制御エリア数を1 エリアに固定した結果を各図の中央のグラフに,同時制 御エリア数を,1,10,50,100エリアと変化させ,照明 を1台,照度センサを1台に固定した結果を各図の右側 のグラフに示す. 図2より,照明台数,照度センサ台数および同時起動 エリア数が増加することで,CPU負荷が高くなることが 分かる.特に,同時起動エリア数の増加がCPU負荷に 大きく影響している.また,図3より,照明台数と照度 センサ台数が演算時間に大きな影響を与えている.これ は,1回の演算で,100step分のシミュレーションを行う 1

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0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1 10 50 100

CPU use rate [%]

Number of Lights 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1 10 50 100 Number of Sensors 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1 10 50 100 Number of Areas Fig.2 CPU使用率 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2 0.22 0.24 0.26 0.28 0.3 1 10 50 100 Time [sec] Number of Lights 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2 0.22 0.24 0.26 0.28 0.3 1 10 50 100 Number of Sensors 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2 0.22 0.24 0.26 0.28 0.3 1 10 50 100 Number of Areas Fig.3 演算時間 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 10 50 100 Memorry use [%] Number of Lights 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 10 50 100 Number of Sensors 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 10 50 100 Number of Areas Fig.4 メモリ使用率 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2 2.4 2.6 2.8 3 1 10 50 100 Time [sec] Number of Lights 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2 2.4 2.6 2.8 3 1 10 50 100 Number of Sensors 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2 2.4 2.6 2.8 3 1 10 50 100 Number of Areas Fig.5 通信時間 ため,照明やセンサ台数が増加することで演算量が増加 し,演算時間が長くなる.次に,図4より,同時起動エ リア数が増加することで,メモリ負荷が高くなる.また, 照明台数と照度センサ台数の増加には,ほとんど影響を 受けないことが分かる.これは,メモリの使用量が起動 プロセス数に依存しているためである.最後に,図5よ り,照度取得通信時間は,照度センサ台数と同時起動エ リア数に影響を受けることが分かる.特に,エリア数の 増加によって,通信遅延が発生し,照度取得通信時間が 長くなっている. 3.2 実環境規模における検証 次に,実環境に近い照明とセンサ台数における,同時制 御エリア数を変更したときの検証を行った.本検証では, 1つのエリアの構成を照明24台,照度センサ13台とし, エリア数を1,5,10,20,40エリアと変化させる. 図6より,エリア数の増加に伴い,CPU負荷が高くな ることが分かる.その結果,演算遅延が発生し,図7の ように,演算時間が長くなったと考えられる.また,図6 より,基礎検証と同様にエリア数の増加に伴い,メモリ 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 1 5 10 20 40

CPU use rate [%]

Number of Areas Fig.6 CPU使用率 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1 5 10 20 40 Time [sec] Number of Areas Fig.7 演算時間 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 5 10 20 40

Memorry use rate

[%] Number of Areas Fig.8 メモリ使用率 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1 5 10 20 40 Time [sec] Number of Areas Fig.9 通信時間 負荷が高くなる.最後に,図9より,シミュレーション 型では30秒に1回の通信であるため,通信遅延がほとん ど発生していない. 以上の結果より,本検証の規模においては,大きな障 害となる負荷や遅延ではなかった.しかし,今後は,1つ のクラウド上の制御コンピュータで,本検証の規模の10 倍程度の規模の稼働を目指しているため,CPU負荷,メ モリ負荷,ネットワーク負荷を抑える必要がある.

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今後の展望

今後は,CPU,メモリおよびネットワーク負荷の分散 に取り組む.CPUおよびネットワーク負荷の課題解決方 法として,全ての照度センサの値が収束した後,そのエ リアの調光制御を停止する手法が考えられる.停止して いる間は,ビルに設置してあるクラウドデータ通信機が, 目標照度と実測照度を比較し,大幅に差が生じた際は,制 御機に制御再開要求を送信し,制御を再開する.この手 法によって,不必要な処理を削減することができ,CPU 負荷とネットワーク負荷の削減を行うことができる. また,メモリ負荷の解決方法として,制御するエリア 全てをそれぞれのプロセスで制御するのではなく,1step ごとにパイプライン処理を行うことで,同時に起動する プロセス数を削減し,メモリ負荷の分散を行う.さらに は,シミュレーション回数や通信間隔を最適化すること で,CPUやネットワーク負荷の削減にも繋げる.

参考文献

1) 三木光範. 知的照明システムと知的オフィス環境コンソーシアム. 人工知能学会誌, Vol. 22, No. 3, pp. 399–410, 2007. 2) 三木光範, 加來史也, 廣安知之, 吉見真聡, 田中慎吾, 谷澤淳一, 西 本龍生. 実オフィス環境における任意の場所にユーザが要求する照 度を提供する知的照明システムの構築. 電子情報通信学会論文誌, Vol. J94-D, pp. 637–645, 2011. 3) 小野景子, 三木光範, 吉見真聡, 西本龍生, 近江哲也, 足立宏, 秋田雅 俊, 笠原佳浩. Led 照明を用いた知的照明システムの実オフィスへ の導入. 電気学会論文誌, Vol. 131, No. 5, pp. 321–327, 2011. 2

参照

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