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福祉事務所の役割と課題(上) : 福祉事務所の成立から展開ヘ

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長野大学紀要 第16巻 第1・2号合併 号 67-77東 1994

福祉事務所の役割 と課題

(

上)

― 福 祉 事 務 所 の 成 立 か ら 展 開 へ ―

Role and Position of Social Welfare office

―Establishment and Development of Social Welfare office―

1章 福 祉 事務 所 制 度 の 成 立 と発 展 1.福祉 事務所制度の成立 福祉事務所制度の成立は、現行生活保護法改正 のプロセ スで生 じた保護 の実施機関である と同時 に、社会福祉運営 の実施機 関である とい う二重の 意味づ けが されていた といえよう。 しか し、現実 には、福祉事務所機構は主 として生活保護の実施 ・ 運営 に関わって形成 された といって良 いだろう。 旧生活保護法が昭和

2

1

年 に制定 されたが、この時点 では、生活保護 を運営 ・実施す るための行政機構 は な く、しか もその直接の実施機関は民生委員に委ね られていたか らである。当時は、 占領下 であった こ とか ら、この ような事態に対 して総指令部 の厳 しい指摘がなされ、保護事務 を近代 的な機構 に よ って行 うと同時に民生委員か ら専 門吏員へ の変更 が求め られた。昭和24年9月には、社会保障制度 審議会の 「生活保護制度の改善 強化に関す る勧告」 が 出され、そこでは、生活保護制度におけ る最低 生活の明確化 、不服 申 し立ての制度化及び欠格条 項の撤廃 と並 んで、実施機 関には、民生委展 では な く生活保護の事務 にあた る専任吏員 を置 くよう 勧告 されている。 さらに、同年11月には、「昭和25 年度において達 成すべ き厚生省主要 目標及び期 日 につ いての提案」 とい ういわゆる

「6

項 目提案」 が 出された。その内答 は、公の責任か ら民生委員 を除去す るこ と、社会福祉主事制度 を創 設す るこ と、福祉地区 と福祉事務所の設置 を行 うこ とな ど が具体 的に提案 された。1) ここで重要なのは、福祉地区 と福祉事務所の設置

六波羅

Shiro Rokuhara

に関 してであった。その後、昭和25年10月、社会保障 制度審議会の勧告は、人口10万 人の区域 を単位 とし て、実施機関 を市町村か ら都道府県知事 に移す こ とを提案 したか らであ る。一方 、同年

1

2

月には、 ア メ リカの シャウプ税制調査 団の示唆 に よって設 置 された 「地方行政調査委員会議」(通称神 戸委員 会 )か ら 「行政事務再配分 に関す る勧告 」が 出さ れた。 この勧告 は、民生行政 (生活保護等 )に対 して、事務配分の基本的考 え方 を機関委任事務 を 廃 し、地方公共団体 の事務 に関 し国の権 力的行政 を排 除 し、地方 自治の視 点か ら国の行政 関与の限 定 を行 った。当時の厚生省の方針 は、生活保護 に つ いては国の事務 に位 置づ け、その実施 は、独立 した行政機関に よって行 うとい うものであ り、こ の勧告 は、全 く逆 の考 え方 を取 ったわけである。 当時の 占領 当局は、この勧告 に対 して批判的であ ったため ,「行政事務配分の基本原則」とい う覚 え 書 きを出 し、「神戸勧告」の地方分権主義 に対 して 強い批判 を行 った。その結果 、従来の基本方針 で 福祉事務所制度が成立す るこ とになるが 、一方 、 新 しい組織 を作 る とい うこ とに対 しては、行政整 理 とい う視 点か ら実現 されず 、妥協 の産物 として 福祉地 区は設定 されたが、福祉事務所 は地方 自治 体か ら切 り放 された独立の組織 とはな らなか った。 その結果 、福祉事務所 は、市においては必置 とさ れたが 、それ以外につ いては県が人 口10万に- カ 所郡部福祉事務所 を置 くこ ととな り、町村につ い ては任意設置 とされたのである。2) この ような経緯 で成立 した福祉事務所は、かな らず Lも十分 な役割 を果 たす にはいた らなか った。 それは、社会福祉主事 が専 門職 とされなが ら、そ

(2)

68 長 野大学紀要 第16巻 第1・2号合併号 1994 の実態は 、経過措置(社会福祉事業法付則第五項 ) を受 けた社会福祉主事がかな りの数 に登 り、「時代 の要請 である高度 な、専 門技術 を駆使 してのケイ スワー クとは、お よそほ どとお い劣悪 な処遇 技術 しか身につけていない ものが 多 く、永年 、豊富 な 経験 を有す る民生委員か ら批判 され る」3)とい う状 況にあったか らである。当時 、社会福祉主事 の職 務 内容 は、福祉三法の事務 の執行 を補助す るこ と とされ、木村忠次郎氏はそれ を、「福祉三法 につ し-ての現業 を行 うときは、ジェネ リック ・ケー ス ・ ワー カー となるこ とが、正 しい姿 (であ り)、ケー スワー カーには、家庭訪 問月 、面接員 (訪 問 しな い もの) との二種 に大別 (され)現業 を行 う所員 は、面接 、調査 、判別 、生活指導 とい う方法に よ り、ケースワー クを行 う」4)と定義づけている。 こ の時点で、社会福祉主事 の専 門性 の強調 と具体 的 な職務 内客が、ケー スワー クの名の もとに形だけ 位 置づけ られていたこ とが 、その後の福祉事務所 制度の議論に大 きな問題 を投げかけ るこ とになる のである。 この ような福祉事務所 を取 り巻 く問題に対処す るため 、厚生省は 、昭和28年2月 「福祉事務所運 営指針」 を出 し、その中で福祉事務所の職 員の質 と量の充実 、現業機関 としての性格 の明確化 のた めに、業務 の標準化や組織形態の標準化 を提示 し た。福祉事務所の標準的組織形態は、次の三つの 類型に分類 された。A型の福祉事務所 は、独立の 組織 で福祉三法のみ を所掌 し

、B

型の福祉事務所 は、独立組織 で福祉三法の他 、その他 の社会福祉 事務 を所掌 し、この場合 は事務 の量 と質に応 じた 所要 人月 を必ず確保す るこ ととし、福祉三法の専 門技術化の要請に応 えるように措置す るこ ととさ れた。C型の福祉事務所 は、郡部福祉事務所 で独 立設置が困難な場合 には地方事務所等の内部組織 で福祉三法のみ を所掌す る とし、事務 の簡素化や 関係す る法律 の事務処理 につ いて進め るこ ととし た。 この三つの類型は、最初 はA型 で出発 し、職 貝の質 と量が確保 で きた段 階で

B

型に移行す る と し

、C

型は、法律上 の暫定的な もの として、将来は 避 け る方が法の主 旨の合致す る とい う考 え方か ら もた らされた ものである。 (図

1

参 照)。 この指針 は、福祉事務所 の設置状況の未整備状 況の中で、現業機関 としての性格 をいかに位置づ 図1 標準的な福祉事務所の組織形態 B 型 地 方 事 務 所 厚 生 課 長 庶 務 課 (庶 務 的 業 務 を 所 掌 す る ) 援 護 係 (福 祉 三 法 の み を 所 掌 す る ) (・ :] .・)I: i ./.i :'㌍ ︰ ) A A 型 一 二 庶 務 課 ( 係 ) (庶 務 的 業 務 を 所 掌 す る ) 援 護 課 ( 係 ) (福 祉 三 法 の み を 所 掌 す る ) 庶 務 課 (係 ) (庶 務 的 業 務 を 所 掌 す る ) 援 護 課 (係 ) (福 祉 三 法 の み を 所 掌 す る ) 社 会 課 (係 ) (福 祉 三 法 以 外 の 社 会 福 祉 業 務 を 所 掌 す る ) け るか とい う課題に対処す るこ とが最大の 目的で あった と考 え られ よ う。 その意味 では、この指針 の果 た した役割 につ いての積極 的な評価 はで きよ うが、福祉事務所が指針 で求め られた現業機関 と して確立す るのは、福祉六法の確立 を待 たなけれ ばな らなか った といえよ う。 この こ とは、前述 の 社会福祉主事 に求め られた専 門性 を発揮す るため の組織機構 の不備や実施体制 の確立に も影響 して いたことは想像 に難 くなか ろ う。社会福祉主事制 度の問題は 、その後の福祉事務 所制度の一つの重 要 な課題 となる、現業貝の量的 ・質的不備 によっ ていっそ う困難 な状況 を露呈す るこ とになるので ある。 2.福祉 事務所制度の確立 福祉事務所 は、昭和28年10月の町村合併促進法 の施行以来増加 し、昭和35年7月現在郡部367カ 所 、市部641カ所 、町村2カ所の合計1,010カ所 - 6

(3)

8-六波薙詩朗 福祉事務所の役割 と課題(上) とな って い る。 しか し、町村 の合併 は、従 来 の地 方事 務 所 管轄 区域 の著 しい変動 をまね き、地 方事 務 所 の統合 や廃 止 を生 じさせ た。 さ らに 、昭和30 年 以 降 は、都 道府 県 の 出先機 関 の縮 少や行 政機 構 の簡素 化 とい う理 由か ら地方事 務 所 の整理 が行 わ れ 、福祉事務 所 の減 少が み られ て い る。 この こ と と関連 して 、市 に設置 され て い る福 祉事 務 所 は 、 管轄 人 口が5万 以下 の ものが4割 以上 存 在 し、規 模 の適正 な福 祉 事務 所 が 少 な い こ とが指 摘 され て い る5)0-万郡部福祉事務所 では、い まだ内部組織 が18県88カ所 存 在 し、町村合併 に よって従 来 の 区 域 が寸 断 され飛 地 が 多 く、広 範 な地域 を管 轄 しな けれ ば な らない問題 をか か えて いた。現 業 員 の充 足率 では 、市部98.5%、郡 部76.6%とな ってお り、 69 郡 部 の充 足率 が低 くな って い る。 また 、現 業 貞一 人 当 りの担 当世 帯数 では 、法定 担 当 ケー ス数 以上 は市 部232カ所 で 、郡 部287カ所 で 、郡 部 を中心 に 社 会福祉 主事 - の過 重 な事務 量 の 負担 が指 摘6)さ れ た。 さ らに精神 薄 弱者福 祉 法 の制 定 は 、援護 事 務 の増加 を必要 とす るこ とに な り、 これ に対 応す るため 、現 業 員 の増 員が地方 交付 税 の積 算 に具 体 的 な措 置が講 じられ るこ ととな った7)。 また 、「査 察指 導 員」8)の配 置状 況 は 、郡 部120カ所 、市部183 カ所 で まった く任 命 され て い ない状 況 に対 して 、 福祉 事務 所 の機 能 の重要性 に対 す る認識 の欠如 で あ る と指 摘 され て い る。 昭和35年 以 降 、精 神 薄 弱者福祉 法 、老 人福 祉 法 、 母 子福祉 法 が制 定 され た。 これ に ともな って 、福 表1 児童相談所 と福祉事務所 (家庭児童相談室)の関係 児 童 相 談 所 福祉事務所 (家庭 児童相談室 ) 1 児童に対す る各般 の問題につ き家庭 その他 -1 児童及び妊産婦の福祉に関 し、必要な事情 か らの相談に応ず ること○ の把握に努め ること○ 般 2 児童及びその家庭 につ き、必要な調査 なら 2 児童及び妊産婦の福祉 に対す る事項につ い びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的、 て相談に応 じ、必要な調査 を行 い及び個別的 的 及び精神衛生上の判定 を行 うこ とo に又は集団的に必要な指導 を行 うこ と並 びに 莱 3 児童及びその保護者につ き前号の調査又は これ等に附随す る業務 を行 うこ とO/ 務 4判定に基づいて必要な指導 を行 うこと015児童の一時保護 を行 うこ と (児童福祉法第条の2) (児童福祉法第18条の2) 措 置 21 第第2267条、第条の措置 をとることo27条の2度び第31条の措置 をと 21 第第2225条の条孝 び第2の措置 をとること○23条の措置、更に市町村福祉 ること○(知事の委任による) 事務所にあつては第24条の措置 をとることo

(知事又は市町村長の委任による) ケ 1び精神衛生上の判定 を要す る治療 困難な重症医学的、心理学的、教育学的、社会学的及 1育所入所児等 、要措置世帯及び児童ケース要助産施 設入所者、要母子寮入所者、要保 ー ケー ス 2 生活保護世帯児童の調査、診断、要措置ケ ス 2 触法、 ぐ犯児童 として通告のあったケース -ス の 3 福祉事務所か ら通告、送致された重症ケース 3 児童相談所か らの指導委託ケース 分 4 緊急一時保護鬼 (家 出、浮浪、遺棄児) 4 施設入所 中の児童の家庭環境等調査委訪 ケ 担 5 児童福祉施設収容措置ケース -ス ( 6 家庭裁判所へ送致ケース 5 問題が一過性 の比較的軽症 ケース ・家庭 児童相談室 の運営につ い て」 (昭和 39 ・4・22 児発第 360号 各莞豊富禁等書 あて 厚生省児童局長通知 )

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70 長野大学紀要 第16巻 第1I2号合併号 1994 祉専 門職 は 、社会福祉 主事 のほか に精神 薄弱者福 祉 司、老 人福祉指導主事 、母子相談員が設置 され 、 その専 門的 な職務 が通知 等 で具体 的に示 され た9)。 しか し、現実 には、個別専 門的力量 を発揮す るよ うな体制や職 員の充 足が図 られ るのは

4

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年代 にな ってか らであ った。 また、昭和39年 には 、厚生 省 の児童局 が 児童家庭 局 に改称 され 、家庭 児童対策 の具体化 として 、福祉事務 所 に家庭 児童相談室が

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年計画 で設置 され るこ ととな った(表

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参 照 )0 各相談室 には 、家庭 児童福祉 業務 に従事す る社会 福祉主事一 人 と、主 として面接指導 を行 う非常勤 の家庭相談 員二 人が置かれ るこ とにな ったの であ る10)。 この よ うに 、福祉事務所 は 、社 会福祉三法 か ら六法へ の移行 の 中で、専 門職 貝や 業務 につ い ての位 置づ けがほぼ現 在の形 を取 るよ うにな った の であ る。 福祉事務 所現業貝 につ いては、昭和

4

3

年 に福祉 五 法に関す る実施体制 の確 立 を 目的 とした現業員 の増員が地方交付税 に よって措 置 され 、標 準 団体 の一つ の福祉事務所 につ いて

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人が新 たに増員 さ れ るこ ととな った。具体 的 には 、人 口10万 人に対 して2人、人口10万に満 たない場合 は 1人以上 を 配置す るこ ととされた。実施 方法 は、現 におかれ てい ろ現業月の数 が社 会福祉事 業法15条の規定 に よ り算 出 された数 を超 える場合 をのぞいては現業 貝 を振 り替 えて配 置す るこ との ない よ う指示 が 出 されてい る(「福祉事務 所 の現 業 を行 う所 員につ い て」昭和

4

3.3.2

社庶

8

2

号 各都道府 県知事 指定都市市長宛 て 厚生 省社会局長通知 )Oまた、 翌年 には、同様 の趣 旨で さ らに2人の増員 の通知 が 出 され (昭和

4

4

2.

2

4

社庶

8

2

号 )、合 計

4

名 の増月が 図 られ た11)。 昭和45年 には、「福 祉事 務 所 にお け る福祉五法 の実施体制 の整備 につ いて」 とい う新 た な通知 が 出 され たC この通知 では、「地方交付税 におけ る基 準財政需要額算定の基礎 となる単位 費用積 算基礎」 に もとづ く2名 の増員が行 われ る と同時に、昭和

4

3

年 以来

3

年 間で増 員 した

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名 の現業 貝 を もとに、 新 たな福祉五法 の実施体制 と配 置基準 を設け た。 その特徴 は、第一 に 、増員の基本方針 を明確 に し、 福祉 措 置の専 門性 の充実 及び向上 を図 るこ とをあ げてお り、第二 に、福祉五法 におけ る各法別 担 当 制 を提示 し、具体 的な人員配 置 を提示 してい る(図 図2 福祉事務所模準組織図 (人 口10万の場合) 表2 福祉五法担当現業鼻の増員について 区 分 市 部 郡 部 老 人 福 祉 法

2

2

名 身 体 障 害 者 福 祉 法 1

2

精 神 薄 弱 者 福 祉 法 1 1 児童福祉法及び母子福祉法

2

1 2参照 )。第三には、これ らの増員によって新 たな 福祉事務 所の組織 として、「福祉事務 所標準組織 図」 に よる具体 的な運営 及び業務 内容 が示 された (義 2 ・3参照 )0 福祉事務所 の成立以 来 、福祉三 法か ら六法- と 法制 度 の充実が図 られ た一万 、現実 の職 員配 置は 、 必ず しも社会福祉主事 の増 員 を ともな った もの と はな らなか った。 その結果 、福祉六法体制 の確 立 は 、福祉事業所 の業務 範囲の拡 大 に ともな う組織 機構 の確 立が 目指 され なが らも、生活保 護の法律 に基づ く社 会福祉主事 の配置 に基づ く実施体制 に - 70 一

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六波羅詩 朗 福祉事務所の役割 と課題(上) 表3 福祉事務所標準組織図の説明 区 分 業 務 内 容 等 組 織 及 び 機 構 1 総 務 課 2 相 談 室 3 福 祉 課 (1) 家 庭 児 童 相 談 室 (2) 児 童 ・母 f一組 当 (3) 身体障害者福祉司 (4) 精神滞貯 者福祉司 (5) 老人福祉指導主事 4 保 護 司 福祉事務所の標準組織は、原則 として総務課 、相談室 、福祉 課 及び保護課の三課一室 をもって組織す る もの とす る。 社会課は、福祉六法以外の社 会福祉業務 を扱 う課 とす る。 総務課は、庶務一般 、経理 及び統計事務 を所掌す るほか 、 地域福 祉計画の策定及び社会調査業務 を行 うもの とす る。 相談室は、来所 者等に対す る面接相談業務 を行 うもの とす る。職 員の構成は、面接 員のほか母子相談員及び婦 人相談 員 とす る。なお、面接員は広 く社会福祉全般 の相談 ・助 言に応 じ得 る者 を配置 し、格付けは査察指導員 と同格 とす る。 福祉課は、児童福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福 祉法 、老人福祉法及び母子福祉法の福祉立法に関す る業務 を 行 うもの とす るo (症.生活保護の重複 ケー スについては、保護台帳 とは別 に 福祉課 において もそれぞれ所定の台帳 を整備す るもの とす る。) 家庭 児童相談室は、福祉課に所属 し、家庭 児童福祉主 事及 び家庭相談 員は、福祉課長の指導監督 を受け るもの とす るO 児童 ・母子担 当の現業員は、家庭 児童相談室で扱 う以外の 家庭 児童福祉に関す る一般 的現業業務並 びに保育所 、母子寮 及び助産施 設の措置事務 を行 うもの とす る。 査察指導員は、福祉課長 又は家庭 児童福祉主事が兼務 して も差支 えない もの とす るO 身体障害者福祉司は、現業員に対 し指導監督 を行 うことが で きるよう査察指導員に補職す る もの とす る。 精神薄弱者福祉 司は、現業員に対 し指導監督 を行 うことが で きるよう査察指導 員に補職す る もの とす るO 老 人福祉指導主事は、現業員に対 し指導監督 を行 うこ とが で きるよう査察指導員に補職す る もの とす る。 保護課は、生活保護法 を担当す る課 とす る。 比 べ 、五 法 担 当現 業 貝 の実 質 的 な体 制 は 、 これ ま で以 上 に希 薄化 を もた らす 結 果 とな った とい え よ う。 また 、 この実 施 体 制 の 問題 は 、後 に述 べ る よ うに 、昭和

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年 代 に お け る社 会福 祉 問 題 の ニ ー ズ の 高 ま りを背 景 に 、福 祉事 務 所 にお け る福 祉 五 法 体 制 は 、単 な る人 員 の 問題 で は解 決 困難 な 、専 門 性 とニ ー ズに対 応 した組 織体 制 の必要 性 が 迫 られ 、 この解 決 を 目指 した諸 答 申が 出 され る こ とに な る の で あ る。 71

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章 福 祉 事 務 所 制 度 に お け る 実 施 体 制 の 問 題 構 造 1.社 会 福 祉 の 専 門性 と福 祉 事 務 所 昭 和42年 に 出 され た 「東 京都 に お け る社 会福 祉 専 門職 制 度 の あ り方 に関す る答 申」(「中間 答 申及 び 最 終 答 申」 東京 都 社 会福 祉 協 議 会 )は 、社 会 福 祉 六 法 が確 立 して 以 降 の社 会 福 祉 の専 門職 と福 祉事 務 所 との 関係 につ いて 、地 方 自治体 レベ ル では あ

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2

艮野大学紀要 第16巻 第1 12号合併号 1994 表 4 社会福祉の分野に置かれる専門識者、準専門識者 専 門 職 ソー シャル .ワー カー サ イコロジス ト 教 育 者 …養護職 員 スペ シャ リ ス ト ワ ー カ ーソーシャル. ソーシャル. ソー シャル. 児童指導員精 神 医 学ワ ー カ ー 医ワ - カ ー療 心理職 者 児童指導員 児童指 導員 (施 設種別) 専 門 職 者準専 門職 者

(

上冨㌢辛;-1 芸′芸,級買二 精 神 医 学;-1 芸,1 ;-医1 芸,萱 去童指導員完童指導 警級 上心理職 者心理職 者初◆ 級級 上児童指導員中児童指導員級級 上児童指導 員中児童指導 員級級 上養護職 員養護職 員中 級級 注 :*印は、本文では じめ中級ソーシャル ・ワーカーおよび中級心理職者 と呼んだもの。 るが 、は じめて具体 的に検討 した もの として興味 深 い。 この答 申では、福祉事務所が生活保護 に関 す る業務が中心 となってい ることに対す る是正の 必要性が指摘 され、新 たな福祉 ニー ズ- の対応 を 目的 とした提言がなされた12)。現状の福祉事務所に 対す る是正 の方法は、「生活保護 中心 の公的扶助部 門 を分離 して独立の生活保護事務所 を作 り、それ とは別 に専 門福祉サー ビス機関 を設けて、二本立 て」 にす る方法 と、「生活保護以外のサー ビス部門 を充実 して、生活保護 に対す るその総体 的比重 を 高め 、公的扶助 と福祉サー ビスの均衡 を保つ」(同 答 申よ り)こ とに よ り福祉 の総合セ ンター として 位 置づ け る方法の二つが検討 され 、最終的には後 者の考 え方 を採用す るこ ととなった。具体 的内容 は、公的扶助部 門につ いて、生活保護 ケー ス を包 括的に扱 うが 、収支認定 と経済給付 で足 るケース が 多いこ とか ら、この部分は一般行政職 で対応す る としている。 また、少数 の複雑 な問題 を抱 えた 生活保護 ケースにつ いては、生活指導 を強化す る ため専 門知識、技術 を持 った ソー シャル ・ワー カ ーが集 中的に対応す る とい うものである。福祉サ ー ビス部 門は、児童 、身体障害者福祉 、精神薄弱 福祉 、老人福祉 、家庭福祉 の小部 門に分け、専 門 的な技術指導 を行 うソー シャル ・ワー カーが援助 を行 うとされた。特 に児童福祉部 門は、将来児童 福祉法に基づ く措置権 を児童相談所か ら福祉事務 所 に移管 し、児童相談は、児 童 に 関 す る 問 題 の 専 門的診断 ・治療機関 とす るこ とが考 え られてお り、これ までの福祉事務所制度 につ いての考 え方 に大 きな変化 をもた らす ものであ った。 さらに、 この答 申では、福祉事務所 は福祉 セ ンター として の機能 を強化す るために、将来的に技術援助や専 門的な助 言 を行 うコンサル タン トと、所管地域の 地域福祉活動 に従事す るコ ミュニテ ィワー カー を 配置す ることな どが提言 されている。 この東京都の答 申は、ち ょうど公的扶助 (生活 護 ) とケースワー ク問題につ いて、現場 で も論争 となっていたサー ビス と経済給付の分離の可能性 を正面か ら議論 していた点が興味深 い。 さらに、 扶助 と福祉サー ビス部 門の分離 とい う問題 を指摘 しなが ら、その後の福祉セ ンター化構想につ なが る問題 をは じめて示 している。 しか も、社会福祉 主事 をソー シャルワー カー とい う専 門職 として位 置づけ、福祉事務所 におけ る専 門性 を論 じること に よ り、福祉六法体制 での福祉事務所 を社会福祉 の専 門機関 として積極的に意味づ け を提示 した点 では評価す るこ とが 出来 よう(表 4参照)。 2.新福祉 事務所運営指針 と福祉 事務所 福祉事務所制度 の創設20周年 にあたる1971年 、 厚生省は、1970年代 を展望 した新 しい福祉事務所 のあ り方 を示 した 「新福祉事務所運営指針」 を発 72

(7)

-六披 羅詩 朗 福祉事務所の役割と課題(上) 表 した。 この指針の中で、福祉事務所の機能 は、「従来の 生活保護か ら、次第にその他 の社会福祉施策へ と 重点 を移 し、同時に、福祉 に関す る総合福祉セ ン ター としての機能が十分 に発揮 で きるように、機 構 、職 員 を含めて、その体制 を変 えてい く」13)こ と の必要性が強調 されている。 また、福祉事務所の性 格は、「社会福祉行政 を最 も効果 的に運営す るため に設け られた社会福祉行政 の中核 的な第一線の現 業機関」 と位置づ けている。 さ らに、福祉事務所 は、住民に直結 した現業サー ビス機関であ る と同 時に、現業サー ビス機関 としての性格か ら、単 に 書類の作成や許認可事務 を行 う 「お役所」 ではな く、住民が必要 としている福祉サー ビス を直接住 民に提供す る機 関であ るこ とを強調 している。 現業サー ビス機関の条件 は、第- に、第-線の 窓 口としての機動 力 を持 った「迅速性」、第二に、 行政 の最先端 に立 って住民の直接- ダに触れてサ ー ビス行政 を行 う機関 としての「直接性」、第三 に、 問題 をかか えて相談 に来 る人に対す る診断技術や 処遇 技術が社会福祉行政 の専 門性 として位置づ け られ るような 「技術性」が必要 であ る とされてい る。「新福祉事務所運営指針」では、この ような現 業サー ビス機関の特色は他 の事務処理機関 と峻別 されなければな らず 、これ らの要素が なければ福 祉事務所 としての存在意義 はな くなって しまうほ ど重要 であるこ とを力説 している。 「新福祉事務所運営指針」では、以上のような福祉 事務所の性格、機能や特色 を実現 してい くとい う視 点か ら、福祉地区問題、専門職制 、変動す る社会-の対応 とい う三つの点か ら福祉事務所問題につ い て検討 ・整理 されている。福祉地区問題では、当時 自治省が推進 していた広域市町村圏の圏域設定構 想 を例に、市町村が 「連合」して福祉事務所 を設置す ることを提案 している。さらに、現在問題にされて いる保健 と福祉 の連携 とい う視 点か らも積極 的考 え方 を示 しているo Lか し、保健所のあ り方に関わ る問題については、今後の課程 (当時の厚生大臣の 諮問機関である保健所問題懇談会 での検討 を参考 ) として具体的には言及 していない。専門職制の問題 では、社会福祉主事制度 (いわゆる三科 目主事の実 態や資格認定講習会など)が経過措置のままできて いるこ とに対 して疑問 を投 げかけている。 しか し、 73 具体 的な万策につ いては、当時の社会福祉従事者 の身分 ・資格 を検討 している中央社会福祉審議会 の職 員問題専 門分科会 での審議 に委ね る とす るに とどまっている。 福祉事務所におけ る組織 ・運営体制 では、現業 活動 の充実 とい う視点か ら、「福祉事務所標準組織 図」(図 3、4参照)が示 され、福祉五法の強化 を標 準組織 に再編成 して行 うこ とが 明 らかに されてい る。従来 、福祉事務所が生 活保護事務所化 して し まったのは、生活保護が持つ 緊急性や福祉三法か ら六法になったに も関 らず 、福祉五法 を担 当す る 現業員の増員 を現場 の福祉事務所が行 わなか った こ とに よる とされ、指導監査体制 も福祉五法の面 では不十分 であったこ とに よる とい う問題点が指 摘 されている。新 しい標準組織機構 は、従来の庶 務課、保護課の二課制か ら、保護課 (生活保護法 ) 図3 福祉事務所標準組織図 (管内人口10万の場合) (1事務所当り六法対象人員) 被 保 護 世 帯 447 身 障 者 895 精 薄 者 344 老人(65歳以上) 4,976 母 子 世 帯 349 査 察 指 導 員 老 人 福 祉 指 導 主 事 兼 査 察 指 導 員 精 神 薄 弱 者 福 祉 司 兼 査 察 指 導 員 身 体 障 害 者 福 祉 司 兼 査 察 指 導 員 ( 児 童 ・ 母 子 ) 査 察 指 導 員 (家 庭 相 談 員 ) 家 庭 児 童 福 祉 主 事 (家 庭 児 童 相 談 室 ) 面 接 相 談 員

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74 長野大学紀要 第16巻 第1I2号合併号 1994 図 4 人 ロ 5万の市部福祉事務所標準組織図 (1事務 所 当 り六法対 象 人員 ) 被 保 護 世 帯 223 身 障 者 448 精 薄 者 172 老人(65歳以上 )

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,488 母 子 世 帯 175

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生 活 保 護 ) 会 係 長 丁 ⊥ 係 員 州 査 察 指 導 員 精 神 薄 弱 者 福 祉 司 老 人 福 祉 指 導 主 事 兼 査 察 指 導 員 身 体 障 害 者 福 祉 司 兼 査 察 指 導 員 (家 庭 相 談 員 ) 家 庭 児 童 福 祉 主 事 (家 庭 児 童 相 談 室 ) 面 接 相 談 員 (児 童 ・ 母 子 ) と福祉課 (福祉五 法 )にそれ ぞれ所管課 を分 けて いる。 さ らに、標準組織 は 、管 内人 口に よって10 万 人の場合 と

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万 人の場合 とい うよ うに 、小規模 福 祉事務所 の 多い現実 を想定 した組織 図 を掲 げて い る。特 に 、福祉課 は 、各福祉 司及 び指導主事 を もとにスペ シフ ィックな体制 を取 るこ とに よって 、 密 度の高 い専 門職制 を可能 に しようとい う意 図 を 持 ってい る といえ よ うo スペ シフ ィックな体制 を とるこ とにな った理 由は 、厚生 省が実施 した五法 現業貝 に対す る調査結果 を参考 に次の よ うに ま と め られて い る。第一 は、住民が求め るのは専 門的 サ ー ビスであ るため 、一 人の ワー カーが福祉五 法 に精通す るこ とが 困難 な こ と、第二 は 、担 当事項 に責任 を持 って きめ細か なサー ビスが で きるこ と、 第三 は、行政効率 が よい こ と、第四は 、今 後 の福 祉五 法は複雑 ・多様化 し、高度化 され る とい うこ とが あげ られて いる。 福祉施 策 の領域 の拡 大や 多様化が必要 な背景 は、 急速 な経 済社会 の発展 と地域社会 の変化 、住 民生 活の変 貌 であ る とされて い る。 そ して 、福祉事務 所は 、地域計画 の視 点か ら、地域住 民の福祉 に関 す るセ ンター として、機能 の充実 ・強化が求め ら れ て 、「地 域 住 民 の 生 活に現 れ た多様 な福祉 ニー ドを的確 に把 握 し実 状 に即 して計 画 的 、効率 的 な福祉施 策 の推進」 が必要 とされてい る。 また、 地 域 福 祉 計画 の 必 要 性 が 強 調 され な けれ ばな ら な い理 由 として は 、① 福 祉 問 題 の 多様 化 に対す る的確 な福 祉 問 題 の把 握 と適切 な福 祉 計画 、② 地域 住民 を対象 とした福祉施 設 と在宅サー ビスの 体 系化 、③福祉施 設の地域 的ア ンバ ランス解 決 の ため の長期 的 ・計画 的 な行政施策 、④ 市町村の長 期 計画 の策定や 「新 経 済社会発展計画」 な どを背 景 とす る福祉行政 の計画化 の必要性 、(9合理 的 な 運営 、⑥ 社会福祉- の住 民参加 の促 進 であ る と述 べ て い る。 そのほか 、運営指 針 では 、具体 的 な地域福祉計 画 の構 成 、計画の策定 の手順 が詳細 に説 明 され 、 さ らに 、社会福祉 のニー ド把握 の視 点か らは、福 祉需要 の測定 につ いて説 明が な されてい る。 この よ うに、「新福 祉事務 所運営指針 」は 、昭和28 年 に出 され た 「福祉事務 所運営指針」か ら比較す る と、福祉事務所 の位 置づ けは 、指針 としての内 容 自体 の充実 は一応 はか られてい る といえる。「新 福祉事務 所運営指 針」 は 、第一 に、現業サー ビス 機関の機能 を明確 に した点に特徴 があ ろ う。福祉 事務 所 は 、サー ビス行政 の機 関 であ る とい うこ と を明確 に してい る。 第二 は、社会福祉 の計画 とい う視 点か ら、地域 のニー ズの把握や 当時の課題 で あ った地域福祉 (コ ミュニテ ィ ・ケア )や住民参 加 の視 点か ら、福祉事務 所 の果 たす機能や役割 が 論 じられている。第三 は 、現場 の調査 を もとに、 社会福祉主事 の体制 を単法化 (スペ シフ ィック) の視 点か らその専 門制 につ いて言及 して い る点 で ある。 しか しなが ら、社 会福 祉主事 の専 門性 につ いて は、単純 に増 員す れば問題 の解 決が 図 られ る とい った認識 にあ り、「技術性 」を強調 してはい る もの の 、その専 門的力量 を向上 させ るための検討 はほ とん ど示 されていなか った。 また、福祉事務所が 、 生活保 護 中心 であ るこ との解 決等が単 な る人員配 置の変 更 とい う形 でか たずけ られてい る点 に も問 題が あ った といえ よ う。 -7

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4-六羅 波詩朗 福 祉事務 所の役割 と課題日 二) 3.福祉 セ ンター化構 想 と福祉 事務所 昭和46年 、社会福祉事業法研究作業委員会は、 「福祉事務所の将来はいか にあ るべ きか 一 昭和60 年 を目標 とす る福祉セ ンター化構想」 を打 ちだ し た。 この構想は、1970年代 に入 って、「公的扶助 を 中心 とす る福祉事務所 の業務 を一応評価 しなが ら、 戟後25年 を経過 して、公的扶助 中心の福祉サー ビ スか ら、地域福祉サー ビス を取 り入れた幅広 い福 祉サー ビス体系-の転換」14)に対応す る福祉事務所 像 を提起 した ともいえよう。 よ り具体的には、公 的扶助 の 占め る比重が相対 的に低下す る中で、い わゆる社会福祉のニー ドの 多様化 に対応す る社会 福祉サー ビス体 系のあ り方 を模 索す る中で、福祉 サー ビスの中枢機関 として福祉事務所 を位置づ け ようとした ものである。 同時に、 多様 なニー ドを 持つ対象者 は、現状 では低所得階層 であ る経済的 に貧困な世帯が 中心 であ り、 しか もこれ らの人々 への対応は、必ず しも十分 な状況ではない。 また、 これか らの福祉事務所の方向は、「ます ます進行す るであろ う人 口構成の変化 、都市化の進行 、経済 水準の向上 に ともな う社 会福祉ニー ドの高度化 、 多様化 な どを考 える時、福祉事務所が貧 困者 中心 のサ- ビスに とどまっていては、今後 ます ます増 大す るこ とが予想 され る福祉事務所-の国民の期 待に応 えてゆ くこ とが で きない」15)とい う問題意 識 も有 していた。 この構想の一つ の特徴 は、公的扶助 が年金制度 の充実 に よって、補助 給付に近 い制度に変 わるで あろ うとい うイギ リス型の公的扶助制度 を想定 し た考 え方 に基づ くものである。第二に、年 金 な ど の所得維持施策が充実すれば、将来的に制度上生 活保 護の解体 が生 じる とい う予測が前提 とされて いる。第三 に、生活保護行政 の考 え方の中心 にあ る とされ る経済給付 とケー スワー ク ・サー ビスの 不可分の関係 は、機能 の分離が必然的であ る とい う認識である。この ような視点 を前提 として、福祉 事務所の今後の方向は、「児童 を中心 とす る家庭 間 題や、老 人、障害者問題 あ るいは複雑 で解決 困難 な問題に対す る真の専 門的な質の高 いサー ビスの 提供」 16)を 目指す との考 え方が導 き出されている。 次 にこの構想の実現方策 につ いては、①社会福 祉事業の実施責任 は、市町村 な どの 自治体が負 う 75 こ と、② 人口10万以上 は単独設置 、小 さい市町村 は一部事務 組合 に よる設置 を行 うこ ととされてい る。 さらに、都道府県段階の 児童相談所や そのほ かの相談機関にある措置権 限は、福祉セ ンターに 集 中 して、「措置に必要 な軽易な判定業務」 につ い て も行 えるような機能 を新 たに付加す る とされて いる。 これ らの内容 を踏 まえて、福祉セ ンターの 組織構成は、①福祉サ- ビス、② 相談 (インフ ォ メー シ ョンサー ビス、インテー ク)、(診計画 (地域 福祉計画の策定 、調整、福祉広報 )、④ 集 団活動 育 成援肋 、 ⑤ 経 済給 付 め五 部 門 に よる とされた (図

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参照)。 福祉セ ンター化構想は、あ る意味では福祉事務 所運営指針か ら一歩踏み出 した形 での 、具体 的な 提案がなされている点 でこれ までの福祉事務所問 題 に対す る検討 とは趣 を異に している といえる。 しか も、その内答 は、前述の ようにイギ リスを想 定 した経済給付 とサー ビス との分離 とい う大胆 な 提起 をしてい るこ とである。 さ らに、福祉事務所 は、児童相談所の判定機能 を も兼ね備 え るような もの として位 置づけ られ 、福祉事務所 の積極 的な 機能 のあ り方 を提起 した ものであった。 しか しな が ら、当時の厳 しい批判か らもわか るように、福 祉事務所は、サー ビス機関 として位置づ け られ る こ とに よって、年 金制度 の充実が貧 困問題 を解決 させ る との前提 に立つ こ とに よって、結果 として 生活保護 を軽視 している とい う指摘 もなされた。 さらに、福祉事務所におけ る生活保護の実施体制 は、現実の貧困問題の減少 を必ず しも反映 してい る とはいい難 く、む しろ保護率 の低下 といった問 題は、いわゆ る 「保護 の適正化」 を背景 に した も の と考 え られ よう。構想は、保護率 の低下 を前提 として、福祉サー ビスの充実 とい う問題 にのみ焦 点 を当てた形 で理解 された ように も思 われ る17)0 福祉事務所 におけ る福祉サー ビスの充実や判定機 能 とい う新 たな機能 は、各種相談所の統廃合 を前 提 としているが 、地域 に よって この ような方法が 可能 であるか どうか といった視 点か らの検討が も っ と必要 であった ともいえよう。 その意味で、こ れ までの福祉事務所が 、福祉六法のバ ランスの取 れた きめ細か な対応 をどの ように進め るか といっ た視 点か らの現状分析 を踏 まえた ものであったか どうかが問題

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となる。そのためには、ケースワ-76 良野大学 紀要 第16巻 第1I2号 合併号 1994 図5 福 祉 セ ン タ ー設 置 構 想 (昭 和60年代) 1.既 存 の児童相談所(139)、精神 薄弱者更生相談所(48)、身体 障害者 更生 相談所(52)、婦 人相談所(46)等 を統合 し、「社会福祉 、判定指導センター」 とす る。(カ ッコ内の数 字 は45年現 在の設置数 ) 2.上 記相談所 は 、高度 の 各種 (医療 、心理 、職能 、教育 )判定 、指 導 、 治療 業務 の機関 とす る。相談や福祉 の措置 な どに関す る業務 は福祉 セ ン ター に移 し、そ こに集 中す る。 1.地 区内の福祉 に関す る総合 セ ンター として 、相談 、措置等 の機能 をこ こに集 中す る。 また次 に示す福祉サー ビス を行 うため に必要 な専門職 貝 を配 置す る。 2.福祉セ ンター は次の諸機能 を もつ 。 ① インフ ォメー シ ョンサー ビス

総合 インテ- クサー ビス ・福祉 ③ 児童 、 老人、障害者 、一般 家庭 等の問題に対す るソー シャルワー カー に よる福祉サ ー ビス と措置 児童 、老人 、障害者問題等 地域担 当 ソー シャル . サ 各分野 の専 門家 と医師、 ワー カー に よる福祉サ 心理判定 員等 で構成す る ●ll.・...ー - ビス と措置O l コンサ ル タン ト .チー ム ソ- シャル .ワ- カー ビ ス に よる指 導助 言、判定 数 名にバ イザ- を配置1名の スーパー 計 画 (卦 地域福祉 計画の策定 (市 設置の場 合 )または計画 の調 磐 と指導 (複数 の市町村 にわた る場 合 ) ⑤ 地域 内の 各種福祉施 設 、制度サ- ビス間の調 軽 ⑦ 児童 、母 親 、青年 、 老人等 の グルー プ活動 を行 う市町 村 、市町村社協等 に対す る活動援助 ⑧ 経済給付 (年 金補助 給付 )ケー スワー ク ・サ- ビスの 分離 、所得調査方式の採用 1.福祉 に関す る軽 易な 日常 的サー ビスは 、原則 として市 (小 規模 )町村 か直接 行 うようにす る0 2.したが って 、市町村 の果すべ き機能 は、お よそ次の よ うな事項 を含む ことにな ろ う。 ① 各種施 設の設置 (県単位 に設置すべ き もの を除 く)保育所 、児童館 、 老 人い こいの家 な ど。 ② 保育所等- の入所措 置 (福祉 セ ンターの権 限に属す る ものは除 く) (診 在宅 老 人、障害者等へ の ホーム- ルパーの 派遣事 業 、給食や 洗 た く サー ビスな ど各種 の コ ミュニテ ィ ・サー ビスの実施 。 ④ インフ ォメー シ ョン、一般 相談 (困難 なケー スは 、福祉 セ ンター-斡 旋す る)0 ⑤ 児童 、母親 、青年 、老 人な どの グルー プ活動 の育成。 - 7

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6-六波羅詩朗 福祉事務所の役割 と課堪(上 ) カーの配 置が六法総合 担 当制 のみ で果 た して可能 か 、「新福祉事務 所運営指針」の提示 して い る単法 化 の方向 との関連性 な どの検討 が不十分 であ った こ とも問題 であ った といえ よ う。 4.実験福祉事務所の実施 と具体化の課題 実験福祉事務 所 は、厚生 省が昭和48年 度か ら50 年 度 までの3年 間にわた り、全 国16福祉事務 所 を 選 んで地域 の実状 に応 じた福祉事務所運営 を行 う こ とを通 じて、今 後の福祉事務 所 のあ り方 を検討 しよう とい う趣 旨で実施 され た ものであ る。具体 的には 、福祉事務 所の現業 活動 の実施体制 につ い て、いわゆ る福祉六法総合 担 当制 (ゼ ネ リック ・ ケー スワー ク) と単法担 当制 (スペ シフ ィック ・ ケー ス ワー ク)の どち らの業務 担 当制 が よいか を 模 索 しよ うとい った視 点か ら、福祉事務 所 を指定 して行 われ た こ とが注 目され るであ ろ う。 そのほ か の実験検討事項 では、① 現業 活動 におけ る町村 、 民生委 員等 の役割 分担 、② 地域福 祉活動 啓発 のた め の関係機 関等 との連携 、③ 老 人福祉 活動 の促 進 、 とい った内容 ご とにそれ ぞれ数 カ所 の福祉事務所 が指定 され た。 特 に注 目され たのは 、前述 の実施体制 につ いて、 青 森 県東地方事務 所 及び広 島県尾道 の両福祉事務 所が 、「その処遇に当た り一 人の現業貝によって幅広 い総合 的 な視 野か らの福 祉活動 を展開す るこ とが 、 よ り効 果 的 なサー ビス を提供 で きる として総合 担 当制」 を採用 して実施 され た こ とであ る。実施 に よる評価 は 、総合担 当制 には一長一短が あ る とい うこ とであ った18)。具体 的 な長所 としては、①福 祉 全般 的な相談 に応 じられ るこ とか ら、信頼 関係 が 図られ易いこと、② 現業 員が 同一 業務 の担当であ るため 、相互連帯意 識に よる組織 活動 が 図 られ た こ と、③ 生 活保護 の経験 が福祉五法 で も役 立つ こ と、④連携 の緊密化 と地域 の福祉情報 の迅速 ・的 確性 の確保 に よる対応が容 易 な こ とな どであ る。 問題 として生 じた こ とでは 二① 現業 員の増 員や 査

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察指導 、福祉 司機能 の強化 の必要性 のあ るこ と、 ② 現業貝が六法に習熟す るまでの間の福祉事務 所 の対 応 と研修 の強化 、(卦困難 ケー スへ の対 応のた めの診断 ・措置会議 の重要性 、が指摘 されて い る。 特 に、 これ らの問題 の解 決 の ための前提 は、事項 別 チー ムの編成 を通 じて現業 員の連携 を図 り、年 間の研修 計画 の実施や 診断措 置会議 の定例 開催 な どが重視 され る必要 が あ る とされてい る。 さ らに 、 訪 問調 査活動 につ いては、単 法担 当制 当時 よ り回 数 が2倍 に増加 してお り、生 活保 護 を含め て活発 化 してい る。 その結果 、福祉事務所が地域 の福 祉 ニー ズに対応 した効 果 的 な福祉サ- ビスの提供 を 行 うには、「福祉事務所 の在 り方 として現 業 員の所 要 の増 員 を行 いなが ら、現業 活動 につ いて は基本 的には福祉 六法総合 担 当制 に よ り活動 を展開」 し てい くこ とが で きれば 、効 果 のあ るこ とが指定 し た福祉事務 所 の状 況か ら評価 ・強調 され てい るO 青 森 県な どに代表 され る小地域総合 担 当制 に よ る福祉事務 所運営 は、郡部福祉事務 所 の一つ のあ り方 としては評価 に値 しよ う。 しか も、その内答 は 、福祉 セ ンター構 想 の基本的考 え方 を継承 した もの として 、今 日にお いて も意味 のあ る方法の一 つ と考 え られ る。 しか しなが ら、 一部か ら肯定 的 に評価 されなが らこの よ うな方法が全 国的に普 及 しなか ったのは、い くつかの条件 を満 た さなけ ればな らないこ とに よる もの といえる。第一 に、 全国の福祉事務所が、地方 自治体 におけ る社会福祉 施策 の実施体制 の 中で、充分 な検討 の上 で位 置づ け られ るこ とが ない こ と、第二 に、職 員の研修や 職 員採用 とい った 自治体 に よって異な る要素 を、 福祉事務所制 度の改革 として一般 化 し得 なか った こ とが あげ られ る。最 後 に 、市部福祉事務 所 では 、 さ らに具体 的な運営 をす るため にはか な りの組織 的変更や相談機関 との調 整 を必要 とした こ とな ど が問題 として指摘 で きるであ ろ う。 く未完 ) (ろ くは ら しろ う 助教授 ) (1994.3.25受理 ) -7

参照

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