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<活動報告>看護防災委員会2年間の活動と災害看護研修会での学び 利用統計を見る

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看護防災委員会 2 年間の活動と災害看護研修会での学び

岩下 直美

IWASHITA Naomi 受理日:2013 年 1 月 10 日 山梨大学医学部附属病院看護部:University of Yamanashi Hospital

Ⅰ.はじめに

平成 23 年 3 月 11 日午後 2 時 46 分に発生した東日本 大震災で,当院はかつて経験したことのない震度 5 強の 揺れを感じ,直後から停電となった。病棟,外来,中央 診療部門等で患者,職員,来院者等の確認を行い,幸い 負傷者はなく,施設の被害も軽微なものにとどまった。 自家発電装置の稼働により病棟等における医療も辛うじ て継続することができた。 看護部では,2010 年 9 月に看護部防災担当者連絡会 を発足し,災害に対する組織作りを開始した矢先の大震 災であり,準備不足の中での災害対応に多くの課題が明 らかとなった。2011 年 4 月に新たに看護防災委員会を 組織し,災害対策に取り組んだ 2 年間の活動と山梨大学 看護学会主催の災害看護研修会での学びについて報告す る。

Ⅱ.看護防災委員会の活動

1.平成 23 年度の活動 震災後 6 日目に山梨県から宮城県の被災地医療支援要 請を受け,翌日 3 月 18 日の第 1 班派遣から 5 月 13 日の 19 班まで派遣された南三陸町医療救護班には看護防災 委員の約半数が参加し,地震と津波,自然の力の恐ろし さを感じながら,災害医療の亜急性期から慢性期の活動 を実践した。この活動を通して,被災地では必要な援助 が刻々と変化すること,変化に対応するためには情報の 伝達と共有が重要であること,そこにいる一人ひとりが 自分の役割を考え行動することの大切さを学んだ。 東日本大震災を経験して「災害が発生した時に,現場 の職員が困らないようにしたい」「災害に伴う被害がな るべく小さくなるような備えをしたい」「災害に伴う傷 病者の対応が適切にできるようにしたい」そのためには 職員一人ひとりが考え行動できる組織にしなければなら ないと考え,看護防災委員会(以下委員会とする)を設置 し,委員会の内規を以下の 3 項目とした。 1  防災・減災対策に関する教育訓練に関すること 2   災害対策マニュアル・避難誘導マニュアル・緊急連 絡網の整備に関すること  3  防災設備・防災備品の整備と確認に関すること また,看護防災委員(以下委員とする)が災害看護に関 する知識や技術を習得し,現場の訓練で指導的な役割を 果たせることを目指して委員の役割を以下の 4 項目とし た。 1   災害時の役割と活動に関する知識の習得と職員への 周知を行う 2   トリアージ訓練・消防訓練にセクション全体で取り 組むことができるように準備・調整する 3   避難誘導マニュアル,緊急連絡網の周知及び見直し を行う 4   各セクションの防災備品,防災設備の確認体制を整 え,実施状況を確認する 平成 23 年度委員会目標を以下の 2 項目とし,実際に 活動した。 【平成 23 年度委員会目標】 1  トリアージ訓練・消防訓練を通して,避難誘導 マニュアルの見直しを行いアクションカードを 作成し,災害時の具体的な行動に活かすことが できる 2  災害に対して安全な環境と防災備品の整備がで きる まず,災害看護のイメージ化を図るために,委員会で 「被災病院における発災直後の看護活動」の DVD を観賞 し,災害看護学習テキスト(概論編・実践編)を共通テキ ストとして活用した。9 月には日本災害看護学会に参加 して最新の情報や知識に触れた。参加後には「学会に参 加したことで,様々な観点から災害看護についての学び を得ると同時に,自分自身が行った机上訓練の大切さを 改めて学ぶことができた。限られたマンパワーで効率的 に避難を工夫する方法や誰でも統一した行動が取れるよ うにアクションカードを用いた訓練を行う必要がある事 を学んだ」等の感想があげられ委員会活動のイメージが 具体化した。 次に,現場に活かされる災害訓練に取り組んだ。 7 月 9 日のトリアージ訓練は,「その時,私は何をす べきか」をテーマに実施された。トリアージ訓練は,毎年,

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大学病院と医学部医学科,看護学科と共同で実施される。 委員会では訓練までの準備として,避難経路の確認,担 架での搬送訓練,緊急連絡網訓練や災害伝言ダイヤル使 用訓練等を実施し,訓練状況を災害訓練チェックシート (表 1)を作成し評価した。環境に関しては,災害対策点 検項目(表 2)を用いてチェックし整備を行った。各個人 の災害に関する知識は防災に関する個人チェック項目 (表 3)で確認した。各セクション毎に避難誘導マニュア ルの見直しを行い,患者・職員の安全確保・避難誘導準 備の訓練を実施した。その結果,階段での担架使用に危 険性があること,電話で緊急連絡を確実に伝えることが 困難であり,メール等による連絡網の構築が必要である こと,避難誘導マニュアルの内容が具体的でないため実 際の行動に移せないことなどが明らかになった。 トリアージ訓練当日の本部への報告訓練では,予想以 上に時間を要した。報告者が災害報告用のチェックリス トに記載する内容を十分理解しておらず,内容の確認に 時間を要したことが主な原因と考えられた。各ゾーンの 活動では,ゾーンマニュアルの周知不足や災害医療に関 する知識の不足,包帯法等の技術不足が見られ課題と なった。前年度のトリアージ訓練でも三角巾や包帯が使 えない看護師が目立ち,訓練の必要性があげられていた。 そのため,委員会主催でトリアージ訓練終了後に甲府消 防本部の救急救命士を講師として,委員を中心に毛布や 各種担架を使用した搬送法の訓練および三角巾による包 帯法の訓練を実施し実技の強化を図った。 9 月 1 日には,職員一人ひとりが自己の安全確保,患 者の安全確保および患者の避難誘導が具体的にイメージ でき行動できることを目的に看護部独自の地震対応避難 誘導訓練を実施した。訓練を重ねることで避難誘導マ ニュアルが改善され,アクションカードの作成が具体的 に進められた。 10 月 16 日に実施された消防訓練では,18 セクション 中,8 セクションが火災用アクションカードを作成し, 訓練に臨んだ。アクションカードを使用することでリー ダーへの報告が速やかになり,内容も適切になったと評 表 1 災害訓練チェックシート セクション ○できた ×できなかった Ⅰ 災害直後の安全確保訓練 1 職員各自の安全確保ができたか(危険な場所から離れる・机の下に入る・ヘルメット着用等) 2 リーダーは職員の安全確認ができたか 3 メンバーはリーダーに安全であることを報告できたか 4 メンバーは患者の在室確認および被災状況確認ができたか 5 患者の家族および面会人の氏名,人数確認ができたか 6 患者に病院の安全が確認されるまでその場で待機するように指導できたか 7 ライフライン,病院設備,備品の損壊状況がチェックできたか 8 トイレ,リネン庫,浴室,器材室,D ルーム,カンファレンスルーム,その他の部屋の損壊状況が確認できたか 9 機器,備品の転倒予防対策,ストッパーのない備品の安全確保ができたか 10 非常階段等を含め,避難経路の確保ができたか Ⅱ 患者の避難誘導準備訓練 11 患者および在院者の避難誘導の順番を検討できたか 12 患者および在院者の避難誘導の方法を検討できたか 13 重症患者,点滴患者,ドレーン挿入患者などの避難誘導に必要な準備を検討したか 14 避難誘導に必要な人員の確保を検討したか 15 非常持ち出し物品の準備ができたか Ⅲ 被災患者受け入れ訓練 16 被災者の受け入れ病床を確保できたか 17 退院できそうな患者のリストアップができたか 今後の課題:

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表 2 災害対策点検項目 セクション: 点検者: 点検日   月    日 点検項目 ○/× 備  考 1 ベッドのストッパーがかけてある 2 カート類のストッパーがかけてある(薬剤・物流など) 3 停止しているナースカートにストッパーがかけてある 4 患者用キャビネットにストッパーがかけてある 5 患者用キャビネットの上に荷物がない 6 機器のストッパーがかけてある ・呼吸器 ・モニター ・ ・ 7 車イス及びストレッチャーのストッパーがかけてある 8 ベッド柵をとりつけてある 9 呼吸器は無停電電源に接続している 10 呼吸器にバックバルブ・マスクが設置されている 11 ベッドに取り付けた点滴棒に弛みがない 12 オーバーテーブルに荷物がない 13 夜はブラインドを閉めている 14 懐中電灯が定位置にあり,点灯する 15 各病室の常備灯を定期的に点検し,使用時点灯する 16 引火性薬品(アルコール製剤)は,安全な場所に保管されている 17 防火扉の前に障害物がない 18 非常侵入口のマーク▼の前に障害物がない 19 消火器が定位置にある 20 ナースステーション内に落下の危険があるものが置いてない 21 ナースステーション内で落下の危険性があるものは固定されている 22 各セクション緊急連絡網は最新のものに整備されている 23 患者確認表・患者緊急連絡一覧が整備されている 24 ラジオは定位置にありスイッチを入れると電波が受信できる 25 入院時,患者に避難経路の説明がされている 26 患者に病棟を離れる場合は看護師に伝えるように指導されている 27 火災など緊急時に使用するタオルを枕元に準備するよう患者指導がされている 【その他・追加事項】 2011/12/01 改定

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表 3 防災に関する個人チェック項目 セクション: 点検者: 点検日   月    日 チェック項目 ○/× 備  考 1 消火器の設置場所および取扱方法が述べられる 2 消火栓の設置場所および取扱方法が述べられる 3 防火扉の設置場所が述べられる 4 非常階段の場所が述べられる 5 非常口の開け方が述べられる 6 排煙装置の場所および取扱方法が述べられる 7 懐中電灯の設置場所が述べられる 8 カート類の固定方法が述べられる 9 避難器具の種類・設置場所および使用方法が述べられる 10 担架の種類と使用方法が述べられる 11 非常持ち出し物品の場所と内容が述べられる 12 非常電話の設置場所および使用方法が述べられる 13 非常時のエレベーター使用について述べられる 14 独歩患者の避難誘導方法が述べられる 15 護送患者の避難誘導方法が述べられる 16 担送患者の避難誘導方法が述べられる 17 電源の種類と色分けの意味が述べられる 18 災害発生時に使用するチェックリストがわかり,報告場所が述べられる 19 ホイッスルコールの使用目的が述べられる 20 NTT 災害伝言ダイヤルの確認方法が述べられる 21 携帯電話の災害伝言版の確認方法が述べられる 2011/12/01 改定 価できたセクションがある一方で,アクションカードの 内容が盛りだくさんで確認に時間がかかり,アクション カードが活用できなかったセクションもあった。現場で 活用できるアクションカードにするためには,机上訓練 を積み重ねる必要があることから,1 月に山梨県立中央 病院救急看護認定看護師の上川智彦氏を講師として,基 本的な机上訓練の方法を学んだ。委員から,「避難誘導 マニュアルやアクションカードの内容を理解していない と災害発生という緊急かつ突発的な状況下では看護師も パニックを起こし,報告や連絡がうまくできず,情報収 集や状況判断ができなくなることを実感した」,「日常の 看護実践の中に災害時の行動を組み込むことが必要であ り課題だ」という感想や意見が出された。 一年間の活動を通して,委員自身の災害に対する意識 が向上し,委員を中心に各セクションで災害の訓練に取 り組む時間が増えるなどの変化が見られた。 2.平成 24 年度の活動 今年度は,昨年度に作成したアクションカードを実用 化する為に,セクションにおける机上訓練を定着させ, 災害発生時の具体的行動に繋げていく活動を強化する必 要があった。また,災害に対して安全な環境を整備する ために作成した点検項目やチェックリストを活用し,看 護部全体で統一した視点で環境整備ができる体制を整え る必要があり,そのためにはスタッフが災害看護に対し て基本的な知識を持つ必要がある。 災害看護とは,「災害に関する看護独自の知識や技術を 体系的に,かつ柔軟に用いるとともに,他の専門分野と 協力して,災害の及ぼす生命や健康生活への被害を極力 少なくするための活動を展開すること」と定義される1) 今年度は,災害看護における基本的な知識を習得する ことを目的とした学習会を各セクションで委員が開催 し,災害対策に関する知識の浸透と意識の向上を図り, スタッフや医師,関連職種の医療関係者と協働した訓練

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の実施に向けて委員会活動を推進することとした。委員 会目標を以下にあげる。 【平成 24 年度委員会目標】 1  アクションカードを活用した災害訓練・消防訓 練が実施できる 1) 地震用アクションカードの実施,評価ができる 2) 火災用アクションカードの追加,修正ができる 3) 全スタッフがアクションカードを活用した机上 訓練を行うことができる 2  災害対策と災害看護に関する基礎知識を習得で きる 1) 災害の知識・技術を習得する目的の学習会を 1 回以上企画・開催できる 2) マニュアルやフローチャート,チェックリスト に基づいた看護実践ができる 3) 防災対策点検ラウンドの実施と評価ができる 3 トリアージゾーンマニュアルの作成ができる まず,目標 3 のトリアージゾーンマニュアルの作成を 5 月 19 日のトリアージ訓練に向け行った。昨年度,各 委員が担当したゾーンのマニュアルの追加・修正を行い, ゾーンマニュアル全体の整合性を図ったマニュアルを作 成し,訓練当日に使用した。訓練後に病院の災害対策マ ニュアルとの調整を行い,完成させることができた。ま た,今年度初めて看護師による START 式トリアージ を 取 り 入 れ た( 写 真 1)こ と か ら,DMAT(Disaster Medical Assistance Team)研修を受けた看護師が講師 を務め,トリアージ訓練後に START 式トリアージ訓 練を実施した。 目標 1 については,地震用アクションカード,火災用 アクションカードを各セクションで机上訓練を繰り返し 実施することで,具体的に行動できない部分が明確にな り,避難誘導マニュアルの内容の確認と調整を行いなが ら改訂を繰り返し,不要な部分を省き,指示内容が端的 に伝わるように改善した。しかし,運用面での意見がま とまらず,実際にアクションカードを使用している病院 を見学したいと考え,アクションカードの活用の実際に ついて学ぶために,委員会活動の一環として,7 月 6 日 に国立病院機構災害医療センターを見学した。 国立病院機構災害医療センターでは,アクションカー ドは各セクションの壁に掛けるようにしてあり,勤務の 始めに各自が今日はどのカードを持つか決めていた。ア クションカードの内容は災害対応マニュアルに記載され ており,東日本大震災の際にはアクションカードがなく ても直ぐに行動ができたとのことであった。また,災害 に関するマニュアル等の内容を質問形式で訓練する「3 分間シミュレーション」を日常的に行い,災害を意識し た行動が取れるように働きかけているとのことであり参 考になった。 目標 2 の達成に向け,当院でも早速取り入れることと して取り組んだ。災害対策マニュアルや避難誘導マニュ アルの内容から問題を作成し,カンファレンスの時間を 活用して実施した。3 分間シミュレーションを毎日実施 することで,正解率が上がり,スタッフの関心が高まっ たセクションもあり,問題も,アクションカードや防災 設備の内容,災害看護に関することなど幅を広げ実施し ている。更に,災害に関する知識の普及のために,各セ クションで学習会を計画し実施した。学習会の内容は, START 式トリアージについて,トリアージタグの記載 方法について,防災設備・消火器・消火栓の使用方法に ついて,担架による搬送方法について等,各セクション の強化ポイントを中心に実施した。委員は相互に学習会 に参加し,情報交換と自己学習に役立てた。学習会や 3 分間シミュレーションはスタッフの災害に関する意識と 知識の向上に効果的であると考えられた。 防災対策点検ラウンドは災害対策点検項目を基に実施 した。ラウンドでは,医療機器やカートなどのストッパー がかけられていない状況があり,問題となった。また, 患者に対する災害時の説明が十分に行われていない状況 も確認され,各セクションの患者の特徴を踏まえた災害 教育および指導を実施することは今後の課題となった。 今年度はアクションカードを活用した訓練に取り組む ことで,現場で実際に活用できるアクションカードに改 善することができた。更に机上訓練を重ね継続して内容 の追加・修正を行う必要がある。また,病院全体の災害 対策マニュアルとの整合性を図る必要性もある。スタッ フの災害に対する認識や基礎的知識の向上を図るため,3 分間シミュレーションや学習会に取り組んだことで知識 の向上に効果はあったと考えられる。今後は評価を行い, 必要に応じた学習を継続して実施する必要がある。 災害が発生した時には,病院全体の協力体制が重要で あり,日頃の訓練においても看護スタッフだけでなく, 医師をはじめとした院内職員と協働した訓練を実施する 写真 1

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ことが重要である。また,患者自身が入院中や外来受診 時に災害に遭遇した場合にどのように行動すべきか,災 害発生時の具体的な行動がイメージできるような指導が 必要であり,患者から協力を得られるような体制を整備 する必要があり課題である。

Ⅲ.山梨大学看護学会 災害看護研修会での学び

毎年実施される大規模災害を想定してのトリアージ訓 練は,病院および医学部全体で取り組んでいる。傷病者 役には多くの学生がボランティアとして参加し,災害時 の医療について体験し学ぶと共に,そこで感じた医療者 の対応についても率直な意見を述べている。トリアージ 訓練の反省会では,模擬傷病者から医療者の対応や言葉 使いについての意見や実際に各ゾーンを担当した参加者 からの感想から,災害看護の基本的な知識や技術がまだ まだ不足しており知識の向上と訓練が必要であることが 示唆された。 そこで,山梨大学看護学会主催の「災害看護研修会」が 企画され,平成 24 年 9 月 28 日に開催されることとなっ た。講師の日本赤十字社医療センター副看護部長大和田 恭子氏から「災害とは・災害看護とは」の講義を受け,ま た,演習では「三角巾法・止血法など」の指導を受けた。 講義には 140 名が参加し,日本は世界の 0.25% の国土面 積と比較し,地震・火山活動の割合が極めて高いこと, 東日本大震災の後に富士山周辺で地震が大幅に増えてい ること,災害とは「脅威・危険×脆弱性=災害」であるこ とを学び,「災害は必ず起こる」の言葉に,多くの参加者 が災害発生に対する危機感をもち,備えの重要性を認識 することができた。また,災害時は看護の力が非常に重 要であり,災害サイクルに応じた災害看護の必要性を改 めて認識した。災害時には病院単独の対応では解決でき ない問題も多く,医療機関・保健所・行政機関との連携 が重要であることを理解した。演習は 47 名が小グルー プを編成し,止血法と三角巾・ストッキング・ハンガー などの身近なものを活用しての包帯法を学んだ(写真 2)。 3 人のインストラクターの手際のよい三角巾の取扱いや 弛みのない固定に,訓練が行動の中に活きており,まず は三角巾に慣れるための環境を整え,日常的に訓練する ことが大切であることを学んだ。 災害看護研修を通して災害サイクルに応じた医療・看 護に求められる機能や役割,必要なスキルを考える機会 を得ることができた。

Ⅳ.今後の課題

看護防災委員会の 2 年間の活動を通して,各種マニュ アルの整備やアクションカードの作成,避難誘導訓練の 実施により災害発生時の初動体制は整いつつある。しか し,災害による影響は多岐に渡り,時に想定外のことも 起こる。東日本大震災を経験した東北大学病院の石井ら 2) の報告によると,看護管理的な課題として①こまめな 防災訓練の必要性,②少なくても非常電源に切り替わっ た時点での情報伝達手段の充実,③トリアージ態勢への 看護師の派遣についてのルールの必要性,④ミーティン グによる情報伝達に関すること,⑤職員の子どもの保育 に関する課題,⑥近隣の病院とのネットワークに関する ことなどがあげられている。予測可能な問題には直ぐに でも対応する必要がある。 当院は,山梨県医療救護体制の中で基幹災害支援病院 に位置づけられ,災害発生時は大学病院として重症患者 の救命・治療の役割を担い,地域の病院としても多くの 傷病者を受け入れることが想定される。病院としての役 割を果たす上で看護部の果たす役割は重要である。災害 看護に関する知識・技術を高めるとともに,院内職員と 協働した訓練を実施することで病院全体の体制を整え, また,患者自身にも災害発生時の対応を分かり易く指導 する必要があり,院内の災害体制の整備は急務と言える。 今後,災害の状況に応じた病院としての役割や機能を 発揮するために,県内の保健医療機関との連携や情報交 換を図るとともに,地域の行政や住民とのコミュニケー ションを積極的に図ることが重要である。まずは,近隣 病院と情報交換を行い,相互に災害訓練へ参加するなど 関係作りを推進していく必要がある。過去の災害に学び つつ,院内の体制の強化と院外との連携を通して,近い 将来必ず起こるであろう災害に,静穏期である今備えを 固める必要がある。 引用・参考文献 1) 南裕子,山本あい子(2010)災害看護学習テキスト概論編 . 日本 看護協会出版会,東京,86. 2) 石井幹子,後藤えり子,門間典子,他(2012)東日本大震災にお ける東北大学病院の災害看護① 看護管理室の活動報告 . 看護 管理,22(3):211-216. 写真 2

表 2 災害対策点検項目 セクション:  点検者: 点検日   月    日 点検項目 ○/× 備  考 1 ベッドのストッパーがかけてある 2 カート類のストッパーがかけてある(薬剤・物流など) 3 停止しているナースカートにストッパーがかけてある 4 患者用キャビネットにストッパーがかけてある 5 患者用キャビネットの上に荷物がない 6 機器のストッパーがかけてある ・呼吸器 ・モニター ・ ・ 7 車イス及びストレッチャーのストッパーがかけてある 8 ベッド柵をとりつけてある 9 呼吸器は無停電電源に
表 3 防災に関する個人チェック項目 セクション:  点検者: 点検日   月    日 チェック項目 ○/× 備  考 1 消火器の設置場所および取扱方法が述べられる 2 消火栓の設置場所および取扱方法が述べられる 3 防火扉の設置場所が述べられる 4 非常階段の場所が述べられる 5 非常口の開け方が述べられる 6 排煙装置の場所および取扱方法が述べられる 7 懐中電灯の設置場所が述べられる 8 カート類の固定方法が述べられる 9 避難器具の種類・設置場所および使用方法が述べられる 10 担架の種類と使用

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