基
礎 看護学 実
習
1
に
お
け
る
学
生
が
意
味
づ
け
し
た
経験
に
関
す
る
研 究
Study
onSignificances
ofStudent
,s
Reports
after
Fundamental
Nursing
Practice
1
浅 井
直美
, 上星
浩
子
,小
山
英
子
, 三木
園
生要
約
基 礎 看 護
i
学実習1
に お け る 学 習 活 動 の効 果 を 評 価 す る た め に,
学 生 が 実 習後に 記 述 し意味づ け した経験の 特 徴 を明ら か に した.
短 期 大 学 看 護 学科1年次に在 籍 する29 名の レポー
トを 分析 対 象とし,
質的帰 納的研 究技法に よっ て抽出 した 299の経 験 を 内 容 分 析 し た.
結果,
学 生 が意味づ け し た経験 は29
の サ ブカ テ ゴリー
に 分 類 さ れ,
意味 内 容の 類 似 性 に よっ て,
(1
)初 めて患者と関わ り援 助し と ま どう,
(2
) 直接 見ること や他 者と関わ る 中で, 看護の 知識 を広 げる,(
3)
自己の援助の振 り返 りによ り 自 己 評 価 し改善点に気づ く,(
4)
感情 を 伴い な が ら患 者と 関 係 性 を 築 く,(
5)
自己 を洞 察し自己の今 後の課題 を見つ け る, (
6
)メ ン バー
同士の協 力や他 者か らの フ ィー
ドバ ッ クを受け 入 れ る,
の6
つ の カ テ ゴ リー
に統合 さ れ た.
キー
ワー
ド :基礎 看 護 学 実 習1 ,
看 護 学生,
経 験,
レポー
ト は じ め に看 護 基 礎 教 育課 程 に お い て, 臨地実習 は極め て重 要 視され て い る
.
厚 生 労 働 省は,
2001 年に看 護 学 教 育の あ り方 に関 する検討会1 〕を行 っ た.
そこ で は, 大 学に お ける看 護 実践能 力の 育 成の 充 実に向けて,
検討 さ れ, 看 護 実践 能 力の 育成 に おい て, 臨 地 実 習 の 充 実が求め ら れ る と示 さ れた.
また,
「看 護 実践能 力の基礎 」を確 実に習 得 する た めには,
臨地実 習で し か 習得で きない 能 力 が あ り,
実 習の各
段 階 を 重 ね るこ と に よ り確 実にその到 達目標に向
けて習 得さ れ てい く構 成が 重要であると報 告さ れ た.
臨地実 習では,
主 と して対 象一
人 を受 け持ち,
看 護 過 程を中心 と し た実 習が 重用 視さ れて き た.
し か し,
初 回の 臨 地実 習では,
どの ような実 習 形 態が効 果 的であるのか とい うこ と は,
検 討 段 階で ある.
安 酸 〕 は,
看 護 学 実 習に お ける学生の経 験を 重要 視し てお り,
臨 床の中で の直 接 的 経 験を推 奨してい る.
山下3)は,
面接に よ り言 語で 表 現され たデー
タを分 析 し,
看 護 学 実 習における学生の経 験の特 徴 を明ら か に してい る.
小 松4)は , 基 礎 看 護 学 実 習に おける レポー
ト を分 析 し,
実 習 目標 別に学びの 内容を明ら か に した.
小 山5〕は , 基 礎 看 護 学 実 習1
にお ける 日々の 記 録か ら,
学 習 内 容・
心情の分 析を行い,
12 の カ テ ゴ リー
を抽 出してい る.
霞羽6)は,
初 回 臨地 実 習で の学生の実 習 終 了 後の レポー
トを分 析し,
学 生の 思考を 明 ら か に し て い る,
し か し, 基礎 看 護 学 実習 に おい て, 学生の視 点からみた, 学生 が意 味が ある と し た経験, すな わち, 学生 が意 味づけし た経 験 を明 らか に した研 究は少ない.
学 生 が意味づ け した経験 が どの ような特 徴をもっ て い るの か を明らか にすれ ば,
学 生に とっ て は自分 の 経験 を 意味づ け るこ とを促進で き る.
また, 教 師 に とっ て は,
学 生の経 験の 教 材化 を検 討 する こ とが で き,
さ ら に,
教 授 方法を検 討す るこ とができる.
そこ で,
学生 が記述 し た 基礎 看 護 学 実習1
の 実 習 終了 後の課題 レポー
トの分 析を行い,
学 生 自ら が意 味づ けし た経 験の 内 容を明ら かにした.
研
究
目的
基礎 看 護 学 実習
1
にお ける,
学生 が意味づ け し た 経 験の内容を明らかにする.
用 語
の操
作 的
定義
「経 験 」 を 基礎 看 護 学 実 習1
におい て体 験し たこ と か ら,
学生 自ら が,
レポー
トに記述 し たことによ り意 味づけし た認 識 内 容と した.
65 桐生短 期 大 学 紀 要.
第17号,
2006一
研
究方法
L
研 究 対 象 関東地方のA
短 期 大 学 看 護 学 科 第1
学 年の 学生87
名 の うち,
研 究参加 に同意し た57名の学生 を 研 究 対象 と し た.
研 究 参加 に同意 し た学生57
名の記述 レポー
トか ら,
無 作 為に抽出 し,
サ ブ カテ ゴ リー
の飽 和を確 認し た 19名の記述 レ ポー
トを 分析 対 象と した,
2.
デー
タ収 集 方 法研 究に同意が得ら れ た場 合は, 同意 書と と もに学 生が記 録 し た基 礎 看 護 学 実 習
1
の課 題レポー
ト と と もに提 出を して もらっ た,
59 名か ら研 究 協 力の同意 を得た.
3.
分 析 方 法 Berelson,
B7〕の 内 容 分 析に基づ き,
以 下の 手 順で 行っ た,
1)
記 録単
位の 抽 出学生 が記述 した レ ポ
ー
トよ り,
実習で体 験 した こ と に よ る認 識 内 容の 記 述 を記 録単 位と し た.一
つ の 文 脈の 中で, 学生の 異 なる認 識内 容 を表 す記 述 が複 数あっ た 場合は , 認 識内 容を表 す記 述 に 分割して, 複 数の記録 単 位と して扱っ た.
2)
カ テゴ リー
化学生の 認識内 容の 記 録 単 位 を
,
抽 象 度 を 高めて サ ブカ テ ゴリー
化し た.
さ ら に,
個々 の 内 容と全サ ブ カ テ ゴ リー
の 中で の 位 置づ け,各
サ ブカ テゴ リー
間 の 関係か ら,
サ ブ カテ ゴリー
ネー
ムの 適 切 性 につ い て検 討 した上で 命 名した.
サ ブカ テ ゴ リー
はさ らに 高 次概 念 で カテ ゴリー
化し,
同様
に して命
名した.
3
) 分 析の信 頼 性・
妥 当性 デー
タ分析過程におい て は,
信 頼 性・
妥当 性 を 保 持で きるよう看 護 教 育に携わる教 師4
名の協 議によっ て行った,
4.
倫理 的 配慮 研 究 対 象の87
名の学生 に説 明 書を用い て研 究の 趣『
旨・
内容を説 明し た.
説 明 事 項は,
研 究の目的,
個 人のプライバ シー
の 保 護,
研 究 参加 あるい は不 参 加の場 合の利益 と不 利益 自由意 志による参 加と同 意 撤 回の自 由,
成 績には一
切 関係 しない こと,
研 究成 果の公表, 研 究 終 了 後の デー
タ 等の破 棄 方 法,
問い 合わ せ先,
とした.
研 究協 力の同 意が得ら れ た 場 合に は, 同意書に署 名をし て も らっ た.
桐 生短 期 大 学 紀 要,
第17号。
2006 66基礎看護学 実習
1
の概要
1.
実 習の位 置づ け 保 健 師 助 産 師看 護 師 学 校 養 成所 指 定 規 則 第7
条の看 護 師 学 校養 成所の指 定基準で示 さ れ た 教育内 容(
臨 地実 習 )の 基礎 看 護 学 実 習に位置づ けら れて い る,
基礎 看 護 学 実 習は,
基礎 看 護 学実 習1
が1
単位,
基礎 看 護 学 実 習H
が2
単位,
計3
単 位で構成 さ れてい る.
2.
実施 時期 実 施 時期は,
短 期 大 学 第1
学 年 次の後 期 (2
月〜3
月) である.
3.
実 習の 目 的および目標実習の目的は, 「看 護の対 象である患 者およ び患 者 を とりまく環 境 を 理解し
,
日常生活の 援 助 技 術を実 践する.
」で ある,
実 習の 目標は,
以 下の 通 りで ある.
病 院の機 能・
概 要を理解で きる.
入 院患 者の生活の場を 理 解 できる
.
患 者とコ ミュ ニ ケー
シ ョ ンがで きる.
患者の 日常生活を理解で きる
.
患 者の基 本 的ニー
ドを満たすため に必 要な 日常生 活の援 助 を実 施で きる.
患 者との 直 接 的な か か わ りを と お して 看 護に関 心 がもて る.
4.
実 習の 方 法 学 内で9
時間,
病 棟で36
時間,
計 45 時間,
実習する.
患者へ の 援助は,看
護 師・
教師の指導
の もと で行 う,
5.
実 習の まとめ実 習 終了後,「看 護基 礎
看
護学 実習1
で学ん だ こ と」 の レポー
トを1200
字 以上1600
字 以 内で提 出する.
本 研 究は,
こ の課題 レポー
トを分析対 象と し た.
結
果
基 礎看護 学 実 習 工 にお け る 記 述 した学 生の 経 験は
,
対 象正9事
例の レポー
トか ら,305
記 録単位 を 抽 出 し た,
内 容が抽 象 的な もの や 意味 内 容が不 明な もの を 除い た299
記録単位 を 分 析 し た結 果,29
サ ブ カテ ゴリー
を 抽 出し,
最 終 的に【
初 めて患者と関わ り援助 しとま どう】【
直接見るこ と や 他 者 と関 わ り,
看 護の知 識 を 広 げる】【
自己の援助の振 り返 りにより自己評価 し改 善 点に気づ く】【
感陦 を伴い な が ら患 者 と 関 係 性 を 築 く】 【自己 を洞 察し自己 の今 後の課題 を見つ け る】
【
メン バー
同 士の 協力や他 者 か らの フ ィー
ドバ ッ クを 受 け入 れ る】
の6
つ のカテ ゴリー
を抽出 し た(
表1).
以 下,
各カ テ ゴリー
を 【 】で,
サ ブカ テ ゴ リー
一
表1 基 礎看 護 学 実 習 1に お け る学 生 が意 味づ け し た 経 験 カ テ ゴ リ
ー
サプ カテゴリー
代 表 的 な記 録 里位胆
曲
鋒
凧
患者と関わる とい う初め て の 体 験 で とま ど う た噛.
者 と1 対 1 で話 す の が」
、
初 めて
で
、
と窪どっ
蟹
3 過 去 に 抱 い て い た 患 者 鰾 と與 な リ.
驚 く「
胆 置 が 箭 向音な 方で
あ り.
鳳・
たd1 患 者と初め て閧わ り緊 張しとまどう 23記錬嵐 位 7ア% 学 内 演 習 とは 異 な る邇 助 の 方 法 で 初 め て 行 うこ とに よ り.
と ま どう 「学樫で
行 ラや
り万と
は
異 鮒.
とまどつ
た。
亅 7 援助 をして 予 想 外 の 患 者 の 反 応 に と ま ど う「
て
体 位 変 換時.
患者の
組 ませ
た手 が もと
に
龍
つ
」まい
論 拭 の順 雷 が 屠乱 してLまラ
た亅 2 直殻 見 た り触 九 た りす るこ と「;
よ り看 虚 の 知 熾 を 広 げ るか
「
少 しの 匱 音っ
た
P
で
も 病 堅 に咎い
て
」まうこ
とが わ 亅 12 聾 者に援助 したこ
とで看 護の知識が 広が る 「漬拭 時.
L、
かに
諚 明や
声 か[
†
が弐 切 か置 め て掌 ん だ凵
「
ベ
ッ
ド柵 が患 者ロ
安 全 にとて
も大 切 なもので
あるこ
とが わ かつ
た亅 97 患者 の 思 考 を 聞 き.
鬢 護 の 知 譚 を 広 げ る「
て
入院 慰 者 しか 気署5一
と
を聞 ぎ 勉 強づ
向唯 い「
訟.
っ
入 謄た
濡 をして
い 」 1 直 匿見 るこ
とや 他 者 と 関わる 中 で.
看護 の 知 識 を広 げる 124記鋒単 位4瞿5% 看謹 師の思考を聞色 看護の知識を 広げる「
い
看議 師ろ
い
ろ
の
茜を
聞く
と
、
看誣
師
は
.
局
看
に
対
し
獄対 応暑 」て
い
る一
とが わ かっ
た 2 カ ンフ
ァ
レン
λ
「:
より看護の知識 を広 げる「
カンファ
レンスで.
コ
ミュ
ニ
ケー
ショ
ン
は、
その
人
に
会わぜ
た
方まで
行 う勝 要が
おると学ん
だ
」
8 者護 師 や 教 員 の 披 を 見 て 知 誰 を 広 げ る 「誓護師の
清拭… 見 宇 し.
愚 書 に 帛に話 しか け てい て.
機 助 を毎うことに よっ
てもコ
ミュ
ニ
ケー
シ
ヨ
ン
が とれるこ
と
郁わか
つ
た
」 4 自 己 の 擾 助 の 脹 り返 りに より、
で
き ない
部 分 を 自 旦 す る「
肩拭 の とき、
ただ 肩 潔 にす るとL、
うこ
とし齢考え
ら
礼
ず、
胆者の
伏
艱
管
み
る
二
と
が
で
き
な
か
っ
た。
亅
16 自己 の擾助の振 り返りにより、
できた部分 を認め る 「の か楹
助
を
青 えな がら 行 うす
る
と
春
.
な
ぜ
一
モとがの
匪助 を 必妾で
きた」
と
する
10 自 己 の 攫 助 の 振 り返 り に よ り 自 己 評 価 や 改 善 点 に気 づ く 靼 記 錬 単 位 1δ.
1 % 自己 の 援 鼬 の娠り退 りに よ怯難 しかっ
た 点 に 気 づ く「
雛 しL金身 涓 試 で は.
患 省 さん を安 藍 にす ることが 4 自 己 の撮助の振 り返りに より、
患 者の思い
や 粤者へ
の
影響 を 叢 票 す る 「愚者へ
の
矚 助時.
時 間 がか か リ.
患 者 に負 担 をか けて 」まっ
た.
」
匸5 自己の援助の振 り退りにより.
今 後工夫して膿助 する点に 気づく「
清概 壱 す 嶺とき に、
拭 く順序 を 工 夫亨 る必 要 住 邸あっ
た、
」 3 患 者 と関 わ る 中で
.
相 互 関 係 を 篥い
て
い
くこ
との
困誰さを実 感 す る「
コ
ミュ
西
ケー
シヨ
ンの 羆 しさを測う
た.
亅 6 患者 からのポジテ ィブメッ
セー
ジによる快感 惰を廻く 「憲者htら
ヒ
r気購LLし
L
』とい
う9栗をもらつ
た ときには うれ しかっ
た」
9 患者 が 自 分 を 勒 け て く札 た と実 感 す る か け「
患香 と会 話 ずる の はて
L、
た だくとい
うの
.
が大 産で、
愚 者 か ら話 し 多が
っ
た亅 7 慝 惰を伴いながら患奢 との相互 関係を篥 く 3]
記録梁位 104%
愚者 と開 わ る 中 で、
思 者 に 同 化 し た 感 情 を抱 く「
癇虱 に 対 して
不 安 が あると粤 うd4 思 者 と関 わ る 中 で、
相 互 闢 脈 を 奬 け た こと を実 感 す る 「最初は
間郁モ
きて
し
まつ
た が.
実萌を心が け、
話 か けて い(うちに お瓦 い の 緊張 が ほ ぐτ
、
し釐い
に」
ミュ
ニ
ヶ一
ショ
ン
が とれ る ように なつ
てい
っ
たように 感じた。
亅 4 憩者と関わるやで、
息者に必 妻な撮 助をした いと願望す る1
「
慾者 に リハ ビリがい
い
とつ
た0コマツ
サー
ジ 啻取 り入れ た ほ 1 自己 の姿勢や 行 動 を客観視 する「
畑 ナ匚雙 直をお いて 」掌
握
で
の
糢
習
鳳マ
、
ニ
たことに気 づ い乱引
ア
ル
ど
お
り
に
行う
亅
こ
と
12 で きな い 自 己 に 対 す る 否 定 的 な 感情を 抱 く「
何もで
きない
自分 がい
や
に
な
っ
た」
5 自 己 を 洞 察 し 自 己 の 今 筺 の 課 題 を 見 つ け る δ6記録単 位 221% 今後.
自己 の成長 を望む rこ
れ か らは、
自 分 も監括 の 中 か 転 話 鬮 を見訓
ナτ
自襁 な 夐聒 が 思者とで
きるよ うに
献りた
い。
】
16 臼 己の今後の課 題菱見つ
ける 懈 剖習する と・
望理 な どの 基礎 盻 な知 識 啻」い
う課題がで
きたdつ
か り宇 29 看護 師になりたい
意志を強 化するな
「
一
つ
層 宿 腰 師 にな りた隠
い
とい
う鼠 雋ち が 大きく 4 他者からの サポー
トに気づく「
越
仲間 や 指尋 者え
ら
れ
胤
」、
免 生の
存劭 鳴ワ
たか ら桑 り1 メンバ
ー
同 士 の 協 力 や 他 者 か らの フィ
ー
ドバ
ッ
クを受 1ナ入れる 7記 録単位 23% メンバ
ー
同 士 の 協 力 で学 習 の 同 上 に 努 め る「
とがで き た学 生囘 士 で。
亅
.
患 者 の;
一
ドを 憤報 喪 擾 するこ
3 指 導 者 が ら の フィ
ー
ドバッ
グ を 受 け 入 れ る「
助 言を 翌「
ナるま で気づ
かな かっ
た.
」
3 を く 〉 で,
記 録 単 位を 「 」で示 す.
1.
【初め て患 者と関わ り援 助 しと ま どう】 こ の カテ ゴ リー
は,
学生 が,
そ れ までの 生活で は 体 験 してい ない 看 護 学生 とし て, 初め て患 者と 関 わ る とい う体 験を し,
どのように関わ れ ば よい の か緊 張 し と ま どっ た経 験を示した.
〈患 者 と 関わ る とい う初 めて の 体 験で とまどう〉, 〈過 去に抱 い てい た患 者像 と異な り
,
驚 く〉,
〈学 内演 習 とは異な る援助 の 方法で初めて行 うこ と に よ り,
と ま どう〉,
〈援 助を して予想 外の 患 者の 反応にとま どう〉の 4サ ブカ テゴ リー
,23
記 録単 位で 構 成 さ れ, 全 体の 7.
7% を占め た.
「挨 拶をする だけで緊 張 し た.
」 や 「患者と1
対1
で 話 すのが,
初めて で,
とまどっ た.
」と表現 して い た よ うに,
学生は,
初 めて患者 と関 わ るこ とに 対 し,
緊 張 しと ま どっ た経 験 を した.
また,
「患者が前 向き な かた で あり,
驚い た.
」 とい うそ れ ま で自分 が 抱い て い た患者像 と は異 なっ て いた た め驚い た経験 を し た.
さ ら に,
「学校で行 うや り方 とは異な り,
とま ど っ た.
」と , 学 内 演 習 と は 異 な る 援 助の方 法で,
初 め て 患 者に援 助 する こ と や 「体位変 換 時,
患者の 組 ま せ た手が もとに 戻 っ てし まい,
清 拭の順番が混乱 し 67 てし まっ た.
」と,
予 想 外の 患 者の 反 応にと ま どっ た 経 験 を し た.
2.【
直 接 見るこ と や他 者と関わる中で,
看 護の 知 識 を 広 げ る】
この カ テ ゴ リー
は,
学生 が,
実 習とい う場で 直接 見 るこ とや,
患 者 や看護 師 や 教師と 関 わ り,
看 護の 知 識 を 広 げ た経験 を示し た.
〈直 接 見 た り触 れ た りするこ とによ り看 護の 知 識 を 広げる〉,
〈患者に援 助 し たこ とで看 護の知 識を広 げる 〉,
〈患者の思考を聞き,
看 護の知 識を広げる 〉, 〈看 護 師の思考を聞き,
看 護の知 識を広 げる 〉,
〈カ ン ファ レ ン ス により看 護の知 識が広が る 〉,
〈看 護 師や 教 師の技を見て看 護の知 識を広 げる 〉 の6サ ブカ テ ゴ リー
,124
記 録 単 位か ら構 成さ れ,
全 体の41,
5
%を占 め,
最も割 合が多かっ た.
〈患 者に援 助し たことで看 護の知 識を広 げる 〉とい うサ ブ カ テ ゴ リー
は,
最 も 割 合の多かっ たサ ブ カ テ ゴ リー
であ り, 97 記 録単位 か ら構 成さ れ,
全体の32.
4
%を占めた.
「少し の騒音で も病 室に響い て しまうこ とが わ か っ た
.
」や 「看 護 師の仕 事を見て,
チー
ム ワー
ク が大 切と思っ た.
」と,
学生 は, 直 接 患 者の生 活を見る こ とにより,
患 者が 生活し てい る様々 な環 境や看 護 師 の行 動を見て看 護の知 識を広 げた経 験を した.
ま た,
患 者に援 助したことに よ り,
看 護の 知 識が 広が っ た経 験は, 学 生が最 も多 く意 味づ けをした経 験で あっ た.
「環境 整備の と き, 窓を開 けて換気する の は,
埃の充 満を防 ぐの と,
臭 気を 除去 する 目的が ある こと を学んだ.
1
と, 援助 し た こ と に よ り, 援助 の原理・
原則の重 要 性を 理解した経 験や 「清 拭 時,
い か に 説 明 や声か け が 大 切 か 改 めて わ かっ た.
」と,
援 助 し な が らコ ミュ ニ ケー
シ ョ ン の必 要 性や具 体 的 な 方法を 理 解 し た経験で あっ た.
ま た,
援 助 し たこ と によ り,
「ベ ッ ド柵が患 者の 安 全に と て も大 切 なも の で あ るこ とが わ かっ た.
」と,
安 全・
安楽の重 要 性 や 「援 助 する際は,
患者の 情 報 収 集を き ち んと行 う こ とが大切 で あ る.
」と,
患 者の情報 収 集を す ること の 必 要 性 に気づい た.
「患者の 状況に応 じて,
対応 さ せ な くて はな ら ない こと を 学 ん だ.
」と個別 性 に あ わ せ た 援 助の必 要性や具 体的 な方 法や援 助に よ る効 果 を実際に確
認で きた.
さ らに,
学生 は,
援 助 し たこ と に よ り,
患者の立場に立 ち,
「援助 にも患者 中心の 考 えか た が あ るこ と に気づい た.
」,
「患 者の ニー
ドや 症 状 に あ わ せ た 援 助 を す る た めには,
基本を しっ か り頭に入 れてお か なけれ ば な ら ない と感 じ た.
」と患 者 中 心の看 護の 大切 さ や,
基礎と な る知 識や技 術を 桐生短期 大 学 紀 要.
第17号.
2006一
身につ ける必 要 性に気づい た
,
また, 「対 象を 理解し, ア セス メン ト して,
プラン を 立て,
学んだ技 術を 応 用し て い くこ との大 切さが わかっ た.
」と看 護のプロ セス の 大 切さに気づい た経 験を し た.
「入院 患 者 し か気づ かない , 入院生活を してい て 思 うこ と を聞き, 勉 強に なっ た
.
1
と患 者の 入院生活 に対 する思い や, 「看 護 師の話を聞 くと, 患 者に対し い ろい ろ な対応 をし てい る ことが わ かっ た.
」と看 護i
師の思 考を聞 くこ とに よ り, 患 者の理解や看 護の役 割を 理 解 し た 経 験 を し た,
「カン フ ァ レ ン ス で
,
コ ミュ ニ ケー
シ ョ ンは,
そ の 人 に 合 わせた 方法で行 う必 要 が あ ると学 ん だ.
」と, 学生は,
カン フ ァ レ ン ス で,
患 者との 具体 的なコ ミ ュ ニ ケー
シ ョン の 方 法 や 具 体 的 な 情報収集の方法を 理解して い た.
「看護師の 清拭 を見 学し,
患者に常に 話 し か けてい て,
援助 を行 うこ とによっ て もコ ミュ ニ ケー
シ ョ ンが とれる こ とがわかっ た.
」と,
学生は,
看
護 師の看護の技を見て,
知 識 を 広げてい た.
3.【
自己の援 助の振 り 返 り に よ り自己評価 し改 善点 に気づ く】
こ の カテゴ リー
は,
学生 が実 習に おい て,
患 者 に 対 す る援助 を 振 り 返 り,
自己の 援助の 評 価 を す るこ と や 援 助 を す る際の改 善点 に気づ く という
経験 を 示 した.
<自 己の援 助の振 り返 り に よ り,
で き ない部分 を 自覚 する〉,
〈自己の 援 助の 振 り返 りに よ り,
で きた 部 分を認め る〉,
<自 己の援 助の振 り返 りによ り,
難 しか っ た点を明ら かにする〉,
〈自己の援 助の振 り返 りに よ り,
患者の思い や患者へ の影 響を推 察す る 〉,
〈自己の援 助の振 り返 りに より,
今 後工夫 して援 助 す る点に気づ く〉 の5サ ブ カ テ ゴ リー
, 48 記録 単位か ら 構 成さ れ,
全体の16,
1%を占め た.
「清 拭の援 助の とき, た だ清 潔にする とい うこ と しか考え ら れず
,
患 者の 状 態をみ る こ と ができ な か っ た.
」と学生は,
自己の援 助を振 り返 り,
で き ない 部 分を自覚し た.一
方,
「援 助をすると き,
な ぜ その 援 助を必 要とする の か, 考え なが ら行 うこと がで き た.
」と, 学生は, 自己の援 助を振 り返 り, で きた部 分を認めた.
ま た,
「清 拭の一
回 目の反 省を活か し,
患 者の身の 回 りにも 目 を 配る こ とが で きた.
」と, 体 験したことの反 省 点を活か し,
よ りよく援 助で き た と認め た経 験 もして い た.
また, 「全 身 清 拭の とき, 患 者さ ん を安 楽にするの が難しい.
」と援 助での難し かっ た点 を明 ら かにした.
さ ら に , 「患 者 へ の援 助 時 , 時 間が か か り,
患 者に負 担を かけて しまっ た,
」と,
桐 生 短 期 大 学 紀 要.
第17号.
2006 学生は, 自 己の援 助が患 者にどの ような影 響を与え たの か推 察し た.
そ して,
「清 拭をする と きに,
拭 く 順 序を工夫 する必 要があっ た.
」 と学生 は,
今 後の援 助の 改 善 点を見つ けだ してい た.
4.
【感 情を伴い ながら患 者と関係 性を築 く】こ の カ テ ゴ リ
ー
は, 学生が , 実 習に おい て患 者と 相互作 用を築 く中で,
相互 関 係を作る こ とに困 難 感 を抱 くこ とや, 患 者か ら の メ ッセー
ジ や関係を築 く 過程で快い感 情を抱 くとい う経 験を示した.
患 者と関 わる中で, 相互 関 係を築い てい くことの 困難さ を実 感 する 〉, 〈患 者か らの ポ ジテ ィブ メ ッ セ
ー
ジによ る快 感 情 を抱 く〉 , 〈患 者に自分 が助け ら れ た と実 感 する 〉, 〈患 者と 関 わる中で, 患 者に同 化 し た感 情 を抱 く〉,
<患 者と 関わ る中で,
関係 性 を築け た こ と を実感 する 〉, 〈患 者と関わ る中で, 患 者に必 要 な援 助 をしたい と願望 する 〉の6
サ ブカ テゴ リー
,
31 記録単 位から構成 され, 全体の 10.
4% を占め た.
「コ ミュ ニ ケー
シ ョ ン の難 し さを知っ た.
」と学 生 は, 患 者 との 関係性 を 築 こうと し, 困 難 感 を 抱い き, 逆に,
「患 者か ら,
「気 持 ちい い』とい う言 葉 を もら っ た と き に はうれ しか っ た.
」 とい う患 者か らの ポジ テ ィ ブメ ッセー
ジ に対し,
素 直にうれ しい と,
快の 感 情 を 抱い た.
また,
「患者と会 話するの は,
大 変で,
患者か ら話 し か けて い た だ く とい うの が,多
かっ た.
」と,
学 生は,
コ ミュ ニ ケー
シ ョ ン場面で,
患者に 助 け ら れた と実 感 し た.
さ ら に,
患者 との 閧 係 性 が 成 立 す る に伴い,
「病気に対 して不 安が あ る と 思う.
」と,
学生 は,
患 者に同化し た 感 情 を 抱 き 「最 初 は 間 がで きて し まっ た が,
笑 顔を 心 がけ,
話し かけてい く うちにお 互い の緊 張が ほ ぐ れ,
次 第にコ ミュ ニ ケー
シ ョ ンが と れ るようになっ てい っ た ように感じ た.
」と,
患者との 関 係 性が築 けたこ と を実 感 し た.
さ らに,
関 係 性が 築 けるようにな る と,「
患者に リハ ビリの マ ッ サー
ジ を取 り入れ たほ うがい い と 思っ た.
」と患 者にとっ て 必 要な援 助を 思い つ い た経 験を した.
5.
【自己を洞 察し自己の今 後の課 題を見つ ける】 こ の カ テ ゴ リー
は,
学生が,
実 習を 通 し て,
自分 自 身を洞 察 する こ と を し な が ら,
今 後の 自己の課 題 を明 確 化 する経 験を示した.
〈自己の姿 勢や行 動を客 観 視 する 〉,
〈で き ない 自 己に対 する否 定 的な感 情を抱 く〉,
〈自己の今 後の課 題を見つ ける 〉,
〈看 護 師になりたい気 持ち を強 化 す る 〉 の5サ ブ カ テ ゴ リー,66
記 録 単 位か ら構 成さ れ,
全体の22.
1%を占め た.
68一
「学 校 で の練習 時
,
マ ニ ュ アル ど おりに行 うこ と だけに重 点 を おい て い たこ と に気づ い た.
」と,
自己 の姿勢 や 行 動 を 客観的 に 見つ め た.
ま た,
「何もで き ない 自 分 がいやになっ た,
」と,
学生は,
自己 を洞 察 す る中で,
で きない 自 己 に 対 す る否 定的 な感 情を 抱 い た.一
一
方で は,
学生 は,
「これ か ら は,
自分も会 話 の 中 か ら,
話 題 を 見つ けて 自然 な 会 話 が 患者とで き る ように な りたい.
」と,
今 後の 自己の成長を 望 ん だ.
さ らに,
学生は,
「解 剖・
生 理 な どの 基礎 的な知 識を しっ か り学習 する とい う課題 がで き た.
」と,
自己の 今 後の 課 題を見つ けた.
そ し て,
「一
層,
看 護 師にな りたい とい う気 持ち が大きくなっ た.
」と,
学生 は,
看 護 師に なりたい 意 志を強 化 した.
6.【
メ ン バー
同士の協 力や他 者か らの フ ィー
ドバ ッ ク を受 け 入れる】こ の カ テ ゴ リ
ー
は, 学生が , 学生 同 士の協 力をす る こ とや,
学生や指 導 者や教 師か らの フ ィー
ドバ ッ ク を受け入 る経 験を示し た.
〈他 者 か らのサ ポー
トの存 在を認 知 する 〉,
<メ ン バー
同 士で協 力し学 習の向上 に努め る 〉, 〈指 導 者か らの フ ィー
ドバ ッ クを受 け入れる 〉の3サ ブカ テ ゴリー
, 7 記 録 単位か ら構 成さ れ, 全 体の2.
3% を占め た,
「仲 間 や指 導 者,
先生の 存 在があっ た か ら乗 り超 え られ た.
」と, 学 生は,
他 者か らのサポー
トの存 在 を 認め た.
ま た, 「学生 同 士で, 患 者の ニー
ド を情報 交 換 する こと ができた.
」と,
学生 は,
他の学 生と,
協 力し, 学習の 向上 に努め た.
さ ら に, 学生 は, 「助 言を受 けるまで,
気づ か な かっ た.
」と,
指 導 者か ら の フ ィー
ドバ ック を受け 入 れ たこ とによ り, 自己 に 気づか さ れてい た.
考 察
基礎
看
護学実習1
に おい て学生 が 意味づけ し た経 験に は, 【
初 めて患者と関わ り援 助 しとまどう】 【
直 接 見 るこ と や 他 者 と 関 わ る 中で,
看 護の 知 識 を 広 げ る】【
自己 の援 助の振 り返 りに よ り 自己評 価し改 善 点 に気づ く】【
感 情 を伴い な が ら 患 者 と 関係性 を 築 く】
【自己 を 洞 察し自己の今 後の課 題を見つ け る】【
メン バー
同 士 の協 力や他者か らの フ ィー
ドバ ッ クを受
け 入れ る】
の6
つ の カテ ゴリー
が内包 さ れて い るこ と が 明 ら かに なっ た.
以下,
この6
つ の カ テ ゴ リー
の 内 容 と特 徴,
有 効な教 授 活 動につ い て考 察 する.
【初め て患 者と関わ り援 助し と ま どう】 経 験は,
学生 が そ れ まで体 験し たこ と と は大き く異 な り,
と ま どうとい う経 験であっ た.
辻H〕は,
個 人 的理論の 基 本 的機 能の一
つ と して,
人は経 験デー
タを同 化して 人生の種々 の聞題を解 決 すると述べ てい るが,
基 礎 看 護 学 実 習1
は,
初 回の実 習で あ り,
看 護 学生 と し て患 者と関わる とい う体 験は初めて である.
問 題 解 決 する際に,
過去の経 験デー
タ が ない た め,
その課 題を解 決 する にあたり,
緊 張 感を伴い,
と ま どう.
小Llρ も実 習 記 録である 「日々 の記 録 」か ら,
「初め て の実 習に対 する心情 」を明ら かに してい るが,
学 生にとっ て , 初めて の実 習は, と ま どう場面 が多い.
ま た,
過 去の体 験か ら,
一
般 的な患 者を学生 なり にイメー
ジ化 し てい た,
し か し, 実 際 患 者と初め て 出 会い,
過 去の患 者 像と 比較し,
イメー
ジ と異なっ てい た ため, 驚 くとい う経 験を し た.
し た がっ て,
初 回実 習は特に,
学生 は緊 張 し,
と ま どうため, 学生 を精 神 的に支え, 学生の姿 勢や行 動を承認 し て い くことが重 要で ある.
と きに は, 学 生 と患 者と教 師 あるい は,
指 導 者 とい う三者で,
コ ミュ ニ ケー
シ ョ ン をは か りつ つ , 学生が患 者と 関わ っ てい ける よ う働 きかけて い く必 要がある,
ま た,
学 生は , 新たな患 者 像 を作 り変 えてい くことにつ な が る ことが予 測さ れ る.
その ため,
実 習に おい て少 数の 患 者と 関わ りイメー
ジ化 をはかるの で はな く, で きるだけ 多 数の 患 者と関わ り学生の 患 者の イメー
ジ化がは かれる ように してい く必 要 がある.
初め て 患者 と関わ り, 援助 す るす る体 験 を して い る が, 例 えば 早期 体 験 実習 に おい て患 者と初め て関わ る とい う体 験 を さ せ, 患者の イ メー
ジ化 を は か り , 時期を おい て患 者に初め て援 助 を するとい う実習 形態を考 慮してい くこ とも一
方法で あ る と考
える.
【
直接 見 るこ と や他者 と関 わ る 中で,
看護の 知識 を 広 げ る】
経験 は,
学生 が様々 な手 段を活用 し,
看 護の知 識 を 拡大してい く経 験で あっ た,
こ の経 験 は,
最 も割合の多
い 経験であ ること か ら も,
学生 に とっ ては,
最も 意味の あ る経 験として とら えてい ると考 えら れ る.
臨 地実習 という
教 育形態 は,
看 護 実践 能 力の 育成におい て は,
重要な 意味を持つ ’〕と 示して あ る よう
に,
ま さ に,
看 護 実 践 能 力の基礎であ る看 護の知 識を広 げてい く経 験である.
中で も,
患者に 援助 し たこ とで看 護の 知 識 が 広 がるこ とが 最 も多
い.
これ は,
臨地で患者に関わ り,
援 助し た か らこ そ知 りえた 臨床の知で ある.
ま た,
学生 は,
患者の思考 や看 護 師の思考を聞くこ とに より知 識を広 げてい る.
看 護の対 象である患 者の 生の声や看 護 師が普 段思っ てい るこ と を聞くこ と よ り,
学生 は,
看 護の知識 を 広 げてい く.
さ らに,
カ ン ファ レ ン ス で,
コ ミュ ニ 69 桐生短期 大学 紀要.
第17号.
2006一
ケ
ー
ショ ンや情 報 収 集の 具体的な方法の 知 識 を得て い る.
カ ン フ ァ レ ン ス に参 加 する メ ンバー
は,
学 生・
臨 床の看 護 師・
教 師であ り, 学生同 士で お 互 い 困っ てい る こ と を共 有 しなが ら , 討 議 し,
加 えて,
看 護 師や教 師の助 言によっ て学生は知識 を広 げてい く.
ま た,
学生 は,
臨床の 場で, 看 護 師や教 師の 患 者に対 する援 助を見る こ と によっ て も , 看 護の 知識 を広 げてい く.
したが っ て , 患 者や看 護 師が看 護に 関 連 した自分 の 思い や考えを学生 に伝 えら れ
,
学生 が そ れ を受 け 止め ら れる よ うな 環境の 調 整 が,
教師に は求め ら れ る.
また, カ ン フ ァ レ ン ス で は,
活 発に学生同士の 意 見がはか ら れ るよう,
ま た,
不 足 す る 場 合 に は,
指導
者 か らの 助 言 を積 極的に してい く必要が あ る.
さ ら に,
看 護 師や 教 師の 技を 学 生 は,
見て知 識 を得 てい るこ と か ら, 学生のロー
ル モ デル と な る よ うに,
個 人の 看 護 実践 能 力 を高めてい くこ と が 求 め ら れる.
【
自己の援助の振 り 返 り に よ り自己評 価し改 善 点 に気づ く】
経 験は,
自己の 援 助の 振 り返 りによる経 験 で あっ た.
自 己の援助 を冷 静に振 り返 っ て,
で き た部 分や反 対にで き な かっ た部 分や 難し かっ た点を 明確化 す る.
さ ら に,
自 己の援助によ る 患者の思い や 患者へ の影 響を考え るこ とにより,
自 己の援 助に 対 する評 価 を し,
今 後工 夫して援 助 する点を明ら か にする,
学生 は,
分 析 的な 思考を求め ら れてい るが,
自 己の 援助 を 振 り 返 り,
非 分 析的 な直 感的 思考に よ り,
推 察し創 造 性を働か せ,
自己評 価 してい る.
援 助による患 者の反応 を,
一
方 的に決めつ ける の では な く,
考え ら れ る範 囲で推 察してい くこと は,
これ か ら の実 習で,
様々 な判 断をする材 料になる と考 える.
し た がっ て,
教 師は,
自 己の 援 助を振 り返る場 合 に,
より分 析 的な思 考を働か せ る必 要1
’
k
を学 生に わ か る よう伝える.
また, 実習の 初 期の 段階は, 直 感 的な思 考に よ り,
創 造 性を働か せ る こ と を否 定せず, 患者の思い や影 響を推 察 する こと も大い に推 奨 し て い くこ とが重 要である.
【感 情を伴い なが ら患 者と 関係 性 を築 く
】
経験は, 患 者との 相互 作 用に よ る関 係 性を築 く過 程の 経 験で あっ た.
患 者と 関係 性を築 く過程に おい て, 学生は, 関係 性を築 くこ とに困難 感を抱 く.一
方, 関 係 性を 築 く過 程で , 患 者か らの ポ ジティブメ ッセー
ジによ り快 感 情を抱 き, コ ミュ ニ ケー
ショ ン場 面で患者に 助 けられた と実 感 して い る.
ポ ジテ ィブ な感 情は,
対人交 渉に おける協調 性, 協 力性 や協力行動を促進 し, 他 者との会 話の志 向性 を促 進し,
他 者へ の好 意 桐 生 短 期 大 学 紀 要.
第17
号,
2006 70 の表
出の 促進, 他 者へ の 攻 撃性の抑圧,
説 得的 コ ミ ュ ニ ケー
シ ョ ンに お ける,
受 容性 を促進 す ること が 示唆されて い る.
P)つ ま り, 患者か らの ポ ジ テ ィブ メッ セー
ジ による快 感 情 を抱い たこ と は,
患者へ の 好 意の 感 情 を促進 し, 患 者 との関係性 を促進 し,
患 者に対 する援 助 活 動 を発展 させ る感 情で あ るとい え る.
ま た, 患者 に 助 け ら れ た と実 感 し たこ と は,
援 助 者と して の 思考で は ない が,
学習者と して患 者に 好 意を 抱い た 感 情 とと らえるこ と がで き る.
患者と の 関 係 性を築 く過 程では,
重要な経 験と考え ら れる.
ま た,
患者に 同化 し た感 情を 抱 き,
患者 との閧 係 性 が築 けたこ とを実 感し,
患 者に とっ て必 要な援 助を 思い つ い た経験 を してい る.
これ らの経 験 も決して,
分 析 的思考と は言え ない 経 験ではあるが,
学 習 者と して,
患者に同化 し た感 情を 抱い たこ と を きっかけ に,
直 感 的に患者に必 要な援 助を 思い つ い てい ると も考え ら れる.
ま た,
井上1°)は,
実 習に おける看 護 学生 の意味 化 し た経 験の構 造を明ら かに して い る.
その構 造は,
学 習 活 動へ の 意 識を軸とした , 生活 者 か ら学 習 者,
さ らに援 助 者へ の自 己 意 識の発 展を示 すもの であると してい るが,
看 護i
学生の一
年 次の段 階で の経 験も,
学生 は,
生活 者と して の視 点や学 習 者と して の視 点で患 者との 関 係 性を築きつ つ,
援 助 者とし て の意識が芽生 え始め てい る こ とが わか っ た.
し た がっ て,
学生 が,
患 者と関係 性を築 く過 程に おい て,
教 師は,
学生 を見 守 り, コ ミュ ニ ケー
ショ ン の具 体 的な方 法を助 言してい くこと が重 要である,
ま た, い ま だ援 助 者とし て は未 成 熟 な, 学習者と し ての 素 直な感 情を否 定 する こと なく,
その 感 情か ら,
援 助 者と して の思考 を発 展 させ てい け るよ うな 関 わ りが重 要である.
【
自己を洞察し自己の今 後の 課 題 を見つ け る】
経 験は, 自己 を客 観視 し た経 験であ っ た.
自 己の 姿勢 や行 動 を 客 観 視 し,
自己の今 後の 課 題 を見 つ ける.
その一
方で, で きない 自己に対 す る否 定 的 な 感 情を 抱 く経 験 もして い る.
学 習 初 期の段階で,
で きない ことを今 後の 課 題 に結びつ け ら れ れ ば , 学 習へ の 動 機づ けにつ な がるが,
で きない 自己 に対 する否 定 的 な感 情は, その 後の 学習 に悪い 形で影 響す るこ とが 考 えられ る.
したがっ て,
教 師は,
学習の 初 期の 段 階 にある 学 生の 自己 に 対する否 定的 な 感 情 を表出 さ せ, その 感 情 を否 定 するの で はな く, その 感 情を受 け 止 め,
今 後の 学習の動 機づ け につ な が る ような 関 わ りが重 要である.
また, 秋 元 IL}は,
「 学生 に,
臨床 とい うリ ア リ ティー
の 中で主 体的看 護実 践 を 保 証 す一
るた めに は
,
指 導 者が絶えず 学生の傍らにい る こと,
そ して,
指 導 者が ケ ア に卓 越 してい る こ と が求め ら れ る,
」と指摘 してい る.
学生 は,
臨 床とい う場で,
緊 張し,
何もで き ない 自 己を否 定 的に とらえる経 験 を して お り,
学生の能 力を見 極め,
患 者へ の 援 助を 共に行い,
自分の果た し てい る役 割の重 要 性を考え させ るこ とが必 要で ある.
さらに, 学生は, 看 護 師 にな りたい 気 持ち が増 強してい る こ と を認 識 し てお り,今 後の学 習の動 機づけにつ ながっ てい る と考える.
【メ ンバー
同士の協 力や他 者か らの フ ィー
ドバ ッ ク を受 け入 れる】
経 験は , 他 者の サポー
トの 存 在を 認め,
学生同士 協 力し, 指 導 者の助 言を受 け入 れる 経 験で あっ た.
学生は, 同 じ実習場所 に4ない し5人 で実 習を して い る.
そ こ で は,
学生 同士が協 力 し,
学 習の 向上 に努め,
同 じ学 生同士の 立場で の サ ポー
トや教 師や指導
者 とい うま た異な る役割を担 う他 者 か らの サ ポー
トがある ことを 意 味がある経 験 と とら えてい る.
し か し, この 経 験 は, 少 数で あ り, 学生 は, 他 者 の存 在 を認 めつ つ,
患 者との 主 体的 な 関 わ り を重 点 的 に意味の あ る 経 験 と とらえて い るこ とが わ か る.
し た が っ て,
教師は,
グルー
プ ダ イ ナ ミ クス が 十 分 は か れ る よ う,
学 生 同士の調整 をはか り,
また, 個々 の 学 生の 学 習の進行や 心 理 状 況 に 合 わ せ,
教授 活 動を して い く必 要が ある.
以 上
,
本 研 究 に よっ て明 ら か に なっ た,
学 生 が意 味づけ した6
つ の カ テ ゴ リー
につ い て,
その 内容と特 徴,
有効 な 教 授活 動につ い て考 察し た.
今 後,
研 究 対 象を増 や し,
この結 果の精 度を高め,
学生の専 門 職 業人へ の成長 過 程で カ テ ゴ リー
の順序 性につ い て 検 証して い き たい.
結 論
看 護 学生57
名を対 象に,
基 礎 看 護 学 実 習1
におけ る学生 が意 味づ けし た経 験 内 容を明ら かにするた め,
29 名の学生の レポー
ト記 述 内 容を分 析し た.
1.
学生 が意 味づ けし た経 験は,
6つ の カ テ ゴ リー
に 統 合され た.
2.
カ テ ゴ リー
の うち,【
直 接 見るこ とや他 者と関わ る中で,
看 護の知識を広 げる経 験 】は,
最も意味の ある経 験とし て お り, 全体の41
.
5% を占め てい た.
そ の中で もく患 者に援 助 したことで,
看 護の知識 を 広 げる 〉経 験は, 最 も多い サブ カテゴ リ
ー
で,
全 体の32.
4%を占めてい た.
3.
学生 は , く自己の援 助の振 り返 りに よ り, で き な い 部 分を自覚 する 〉,
くで き ない 自己に対 する否 定 的 な感 情を抱 く〉とい う ネガテ ィブ な経 験を して い た.
4,
学生は,
援 助 者と しては,
未 成 熟な学生 としての 素 直な感 情を抱 い てい た.
5 ,
教 師は,
学生 が 意味がある と して い る経 験を認 め,
学生に関わるこ とが 重要である.
引
用 文 献
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11
) 秋 元 典 子,
森 本 美 智 子ら :看 護へ の動 機づけ を促進する臨床 実 習 指 導の方 法
.
Qual
Nurs ,10
(8
) :783−794,
2004.
71 桐生短期 大 学 紀要,
第17号.
2006一
Study
onSignificances
ofStudent's
Reports
afterFundamental
Nursing
Practice
I
Naomi
Asai,
Hiroko
Joboshi,
Eiko
Koyama,
Sonoo
Miki
Abstract
The characteristics of experiences reported
by
students after nursing practicewere investigatedinorder toevaluate theeffects of
learning
activitiesoffundamental
nursingpractice
I.
Twenty
ninefreshnen
enrolled atnursingdepartment
ofjunior college were subjected tothisanalysis and299
experiences extractedfrom
thereports usinginductively
orientedquantitative
research method were analyzed.
As
a result, thesignificances reportedby
students were classifiedinto
29
categeries. whichwere
integrated
into
6
categoriesby
thesimilarity ofmeanings:(1)
Bewilderedwheninvolving
withpatients
fbr
thefirst
time,(2)
To
expand thenursingknowledge
throughdirectly
observing orinvolving
with others,(3)
To
review and evaluate thewayhow
oneinvolved
with others andfind
the
pointstobe
improved,
(4)
To
develop
cordial relationship with patients,(5)
To
have
aninsight
of oneself and seekfor
the issuestobe
achieveclin
future,
(6)
To receive coordination andfeedback
from
others,Keywords: Fundamental nursing practice,Nursing students, Experience,Report