第56回北関東医学会 会抄録
特 別 講 演
顎口腔再 とリハビリテーション
障害医学と社会的生命の維持
群馬大学大学院医学系研究科病態腫瘍制御学講座顎口腔科学 横 尾
.はじめに
最近の医療における QOL 維持の重要性やその社会的
要求を 慮すると, たとえ癌の治療であっても, 病巣を
切除し救命のみを期待する時代はすでに過去のものであ
る. 歯科口腔外科の診療範囲は顔面の一部を構成してい
るため,切除により「生物学的な命」は維持されても,手
術の後に「構音障害」,「咀嚼障害」,「嚥下障害」,「顔貌
変形」などを引き起こし, 失職, 経済的困難, 一般社会と
の隔絶など「社会的な命の喪失」を引き起こす.顎口腔の
再 手術とリハビリテーションは,「障害の医学」に立脚
し,全人間的な復権 (人間らしく生きる権利の回復)を目
指して展開される口腔がん治療の一環である.
.顎口腔再 の実際
顎口腔再 に用いられる組織移植法は, 欠損の大きさ
や術後機能を 慮して, (1) 比較的小さな欠損に対して
用いられる植皮や顎口腔領域の隣接皮弁, (2) 大きな欠
損に対して用いられる遠隔有茎皮弁, そして (3) 鏡視下
微小血管吻合を用いた遊離組織移植に大別される. 症例
に よって 最 良 な 方 法 を 選 択 す る が, 常 に「minimum
requirement」, 「The simpler the flap, the better」という
原則を忘れてはならない.
.再 手術とリハビリテーションについて
口腔癌広範切除後に発生する機能障害は, 癌と診断さ
れた時から来るべき障害を予測することが可能である.
したがって癌の治療計画と同時にリハビリテーションの
計画を立案することが可能であり, これは脳卒中や事故
など予期する間もなく否応無しに突発的に生じる障害と
大きく違う点であり, かつ, 有利な点でもあるとも言え
る.口腔癌患者には,癌そのものを治療する「癌治療」と
治療によって発生する障害に対する「リハビリテーショ
ン医療」とが必要で,いわば車の両輪である.再 手術は
この両輪をつなぐ車輪軸の役割をする医療であると え
られる.
臨床−教育連携による看護職の養成と役割拡大
群馬大学医学部保 学科看護学専攻基礎看護学 岩 永 喜久子
看護職は常に医療人としての知識・技術はじめ, コ
ミュニケーション能力や人格の陶冶などが求められてい
る. また, あらゆる人々の 康維持と増進を図ると共に,
様々な病を伴う人々を対象として施設や地域で機能して
いる. 個々のニーズに対応した看護を提供するためには,
地域に密着した長期的な支援や施設内の充実したケア提
供が必要である. 今日, 医療に対する社会のニーズはこ
れまで以上に高くなり, 高度な専門性とともに質の高さ
が看護職に求められている. しかし, 専門性を備えた看
護職として自立できるまでには時間を要し, 生涯学習者
として学び続ける必要がある.
そこで, 優れた看護職を育てるためには, 臨床と教育
機関がこれまで以上に連携して看護職を養成する教育体
制が必要であると える. 今回は①教育, ②臨床, ③臨
床−教育連携, ④看護役割拡大等について概観する.
教育 : 看護基礎教育においては 4年制大学卒業を基本と
することが明確にされ, 2010年から施行されることと
なった.
臨床 : 看護職の臨床研修は体系化されておらず, 各施設
のプログラムと個人の努力に任されているのが現状であ
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Kitakanto Med J
2009;59:311∼327