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土壌汚染における有害性の認識と売主の瑕疵担保責任(寺田友子教授退任記念号)

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土 壌 汚染 にお け る有 害 性 の認 識 と

売 主 の暇 疵 担 保 責 任

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目 次 問題 の所 在 判例 に見 る土 壌汚 染 民法570条 の暇 疵概 念 と社会 通念(認 識) 四 土壌 汚染 におけ る保 護 の欠 落 キ ー ワ ー ド 鍛疵 担保,主 観 的暇疵,客 観 的暇疵, 社会 通念 上 の認識,通 常有 すべ き性 質

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土壌 汚染 にお け る有 害 性 の認 識 と売 主 の暇 疵 担保 責 任261

問題の所在

近 時,土 地 取 引 に お い て,当 該 土 地 が 汚 染 され た土 壌 で あ っ た場 合 の 問 題 が 顕 在 化 して きた 。 土 地 取 引 に お け る土 壌 汚 染 は,地 表 面 を見 た と して も 目視 に よ り汚 染 を発 見 す る こ とが 困 難 で あ り,汚 染 が 認 識 さ れ る まで に ロ ラ 時 間 を要 す る こ とが 特 徴 で あ ろ う。 一 般 的 に ,土 地 の売 買 契 約 に お い て 法 令 に よ り規 制 され て い る有 害 な汚 染 物 質 が土 壌 中 に存 在 し,そ れ が 当 該 土 地 の 引 渡 後 に発 覚 した場 合 に は, 売 買 目 的 物 の 通 常 有 す べ き性 質 を欠 く と し て,買 主 は,売 主 に 対 し民 法 570条 の 殻 疵 担 保 責 任 を追 及 し得 る と考 え ら れ る 。 土 地 売 買 契 約 の土 壌 中 に有 害 物 質 の 存 す る こ とが 契 約 締 結 後 明 らか とな り,契 約 締 結 時 に土 壌 汚 染 対 策 法 等 法 令 に よ る当 該 有 害 物 質 に 関 す る規 制 が 存 在 す る場 合 に は,当 該 規 制 に抵 触 す る こ とが 民 法570条 に い う 隠 れ た 理 疵 あ る こ と に直 結 す る こ とに な るか とい う問 題 は,別 途 考 慮 しな け れ ば な ら な い 。 しか し,最 三 小 判 平 成22年6月1日 民 集64巻4号953頁 は,そ もそ も契 約 締 結 時 に 土 壌 中 の有 害 物 質 に 関 す る規 制 が存 在 しな か っ た事 案 で あ っ た。 契 約 締 結 時 に は土 壌 中 物 質 の有 害 性 が 一 般 に認 識 され て お らず,後 に有 害 で あ る こ とが 認 識 さ れ た場 合 に は,当 該 汚 染 物 質 の 存 在 を も っ て 民 法 570条 の 「殻 疵 」 が 存 在 す る と言 い得 る の で あ ろ うか 。 本 件 最 高 裁 判 決 は,本 件 事 案 の 当 事 者 が本 件 土 地 取 引 をす る 際 の,当 該 有 害 物 質 に 関 す る取 引観 念 上 の認 識 又 は契 約 当 事 者 の 認 識 の 有 無,法 令 に よ る有 害 物 質 規 制 の有 無,当 事 者 に よ る一 切 有 害 物 質 が 存 在 しな い 土 地 が 予 定 さ れ て い た 事 情 の有 無 を 要 素 と して,本 事 案 に お い て は全 て を否 定 し 民 法570条 の暇 疵 に は あ た ら ない 判 断 を した 。 本 事 案 で は 有 害 物 質 に関 す る 契 約 当 事 者 の 認 識 も取 引 観 念 上 の認 識 も否 定 さ れ た が,土 壌 中有 害 物 質 に 関 す る法 令 規 制 が な く と も,取 引観 念 上 の 認 識 が 肯 定 され る な らば,当 該 有 害 物 質 の存 在 を鍛 疵 と捉 え る得 る の で は

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262(桃 山法学 第23号'14) ない か 。 最 三 小 判 平 成22年6月1日 判 決 は,当 該 事 案 に お け る 契 約 当事 者 を前 提 と した事 例 判 決 で あ る と は考 え る が,有 害 物 質 に 関 す る 法 令 に よる 規 制 が 有 害性 発 覚 後 規 制 まで 時 間 を要 す る こ とを考 え る と,今 後 も 「同種 の事 例 」 が 生 ず る こ と も考 え られ る。 従 っ て,本 稿 で は,最 三 小 判 平 成22年6月1日 判 決 を契 機 と して,土 壌 中 有 害 物 質 に関 す る法 令 規 制 が存 在 しな か った と して も,一 定 の 「認 識 」 が 存 在 す る 場 合 に売 主 の 暇 疵 担 保 責 任 を追 及 で き る か を検 討 す る 。

判例に見 る土壌汚染

1土 壌 汚 染 の 鍛 疵 性 等 判 断 に お け る法 令 の 存 在 本 稿 で は,産 業 廃 棄 物 が 有 害 物 質 を伴 わ ず に土 壌 中 に混 入 して い る場 合 を除 き,有 害 物 質 が 土 壌 中 に存 在 す る場 合 を取 り上 げ る 。 そ の た め,売 買 契 約(だ け)で は な い もの(③,⑥,⑩)も 含 ま れ る 。 猶,こ こ に掲 載 した 判 例 は全 て 個 人 で は な く,法 人 又 は 自治 体 ・公 社 が 訴 訟 当 事 者 と な っ て い る こ と,商 人 間 売 買 で は 商 法526条 の存 在,特 に商 法526条2項 後 段 の6か 月 の期 間制 限 故 に,蝦 疵 担 保 責 任 を 追 及 で き な い (ま た は しな い)場 合 が あ る こ と に留 意 す る 必 要 が あ る 。 ま た,一 覧 で は後 に最 三 小 判 平 成22年6月1日 判 決 と比 較 す る た め,契 約 締 結 時 に 問 題 とな った 有 害 物 質 を規 制 す る 法 令 が 存 在 した か否 か の 区 別 に着 目 した 。 契約締 判 決年 月 日 出典 主 な請 求 土壌 汚染 物 質 結時 の 土壌汚 染物質 規制法 判 旨 令 一 部 認 容 ,一 部 棄 却 「民 法570条 に い う 「蝦 疵 」 とは,売 買 の 目的 物 が, その種 類 の もの と して取 引通念 上通 常有す べ き性 状 を 欠 い て い る こ と を い う 。 そ し て,宅 地 の 売 買 に お い て, 地中 に土以外 の異 物が存 在す る ことが即土 地の殻 疵 に

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土壌 汚染 にお け る有 害 性 の認 識 と売 主 の暇 疵 担保 責 任 263 当た る とはい えないの は当然 であ るが,そ の土 地上 に 建物 を建築 す るについ て支障 とな る質,量 の異物 が地 中 に存 在す るた めに,そ の土 地の外 見か ら通常予 測 さ れ得 る地盤 の整備,改 良の程度 を超 え る特 別の 異物 除 去工事 等 を必 要 とす る場 合 は,宅 地 として通常有 すべ き性状 を備 え ない もの と して,土 地 の職疵 に当 たる と い うべ きで あ る。」 本件 土 地の 土壌 汚染 は,「 マ ンシ ョン建設 の基礎 工 事途 中で発 見 される程 度に浅 い位置 にお いて,多 量 の オ イル類 を含 有 し,し か も,容 易 に悪臭 を発生 し得 る ような状 態 にあ った」 の であ るか ら,「 本件 土地 に基 東 京地判 礎 を置 き,多 数 の住 民 を迎 え入れ るこ とになるマ ンシ ョ 平 成14年 暇疵担保責任特 ンを建 設す る ことを妨 げる程 度 に至 って お り,特 別 に 0 9月27日 約 に基づ く損害 オイル類 あ り 費用 をか けてで も処 理する必要が ある といわ ざるを得」 (Dl-Law 賠償 ず,「 本件 土 地 は,取 引通 念上 通常 有す べ き品質,性 判例 能 を欠 くとい うべ きで あ り」,本 件 土地 の土 壌汚 染 は ID: 本件土 地 の暇 疵 に当た る。 8080755) (環境基 本法 に基 づ く環境 基準 値 を下 回 って いる と の売 主 の主張 につ き)「売 買 目的物 に関 す る鍛疵 の有 無の判 断 は,オ イル類 の処分 を しなけれ ばな らない か どうか とい う買主 の法 的義務 の存否 に よって定 め られ るの では な く,対 象物 が取引通 念上 通常有 すべ き性状 を欠 くか否 か によって 決定 されるべ きものであ る とこ ろ,本 件土 地上 にマ ンシ ョン建 物 を建築,販 売 する に あた って,そ の地 中の比 較的 浅い部 分 に多 量の オ イル 類が存 在 してい る とい う ことは,買 手 に建 物 ひいて は 本件土 地 の安 全性,快 適 性 に対 す る疑念 を生 じさせ, 購 買意 欲及 び価格 のマ イナス 要因 とな るこ とは明 らか であ る。 したが って,本 件土 地 には,取 引 通念 上通常 有すべ き性状 が欠 けて お り,原 告が 本件土 地の 汚染土 壌 を処 理 した ことは,本 件土 地の欠 陥 を補 正す るた め に当然 必要 な措置 であ る とい うべ きであ る。」 一 部 認 容 ,一 部 棄 却 ・錯誤 につ いて:本 件土 地の土 壌汚 染の事 実 につ き買 主 は錯誤 に陥 っ てい たが,「 表 示 され ない動 機 の錯誤 に と ど ま り,要 素 の 錯 誤 と は い え な い 」。 ・暇 疵 担 保 責任 につ い て:行 政 上 の 規制 基 準 値 は , 「一定 の科学 的根 拠か ら,土 壌 汚染 に よる人の健 康 に 係 る被 害 の防止 に関す る措置 を実施 す る上 で 目安 にな る も の と し て 規 定 され て い る もの と 考 え ら れ る と こ ろ, 同各基 準 を超 える含有量 ない し溶 出量が検 出 された場 合 には,そ の程度 の如何 を問 わず,当 該土 地の 汚染土 に よ り人が 直接被 害 を受 け,ま た,同 土地 を雨水 等が 透過 した際 に地下 水 を汚染す る蓋然 性が認 め られる と い うべ きで あ」 り,「その ような蓋 然性 を前 提 とす れ ば,汚 染土 地の利 用方法 は,お のず か ら制 限 される の であ り,汚 染の生 じて いない土 地 に比 して経済 的効用 は当然 低下 す る。 また,汚 染 の生 じてい ない土 地 と同 様 の効 用 ない し交 換価値 を獲得 しよ うとす れ ば,土 壌 の浄化 等 の措 置が 必要 とな るので あ り,買 主 はその た めの 費用支 出 を強 い られる こ とになる。」 「経 済 的取 引の 見地 か ら して も,鉛 及 びふ っ素 につ いて,各 基準 値 を超 える含有量 な い し溶 出量 を検 出 し た同土 地 につい ては,そ の経 済的効 用及 び交換価 値 は

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(桃 山 法 学 第23号'14) ② 東京地 判 平成18年 9月5日 (判 例 時 報1973号 84頁) 主位 的 に錯誤 に 基 づ く売 買契約 の無効,売 買代 金 の返還 を,予 備 的 に蝦 疵担保 責 任 ない し債務 不履 行責 任 に基 づ く土壌 調査 及 び土壌 浄化費用 の賠 償 つ ふ 素 鉛 あ り 低下 している こ とが 明 らか であ り,売 買代 金 との等価 性 が損 なわれ てい るか ら,職 疵 の存 在が 肯定 され るべ きであ る。 なお,被 告 は,本 件売 買契約 が土壌 汚染対 策法 が施行 された平成15年2月15日 よ りも前 に締結 さ れ た もの であ るこ とを指摘 するが,原 告 引受承 継人 の 主張 は,同 法 のみ ならず,同 法施行 前 か ら定 め られ て い た環境基 準及 び環境 省運用 基準 に照 ら して も土壌 汚 染 が認め られ る とい う もの であ るか ら,上 記事 実 は, 上記 判断 を左右 しない。」 また,「 買 主が た とえ不 動産 取 引業者 で あ った と し て も,当 然 に土壌 汚染 の有無 につ いて専 門的 な調査 を 行 う とい う取引慣 行 が存在 して いた ことを認 める に足 りる証拠 はな く」,本 件土 地 にお け る 「土壌 汚 染の存 在 は外観上 明 らか とはい えない こ と,土 壌汚 染につ い て の調査 が相 当な手 間と費用 を要す るものであ るこ と」, 「本 件売買 にお いて は売主 に説明義 務違 反が認 め られ るこ とを合 わせ て考慮 す る」 と,買 主側(脱 退 原告) が調 査 を しなか った こ とを過 失 と解 す るこ とはで きず, 本件 の土壌 汚染 は隠 れた鍛疵 で あ り,買 主 は,本 件 土 地 引渡後約3年 経 過後 に土壌 汚染調 査 を行い,結 果 を 売 主 に通知 してい るが,商 法526条 にい う直 ちに発 見 す る ことが困難 な毅疵 に該 当 し,引 渡 し後,6か 月経 過後 に は,買 主 は,売 主 に対 して暇 疵担 保責任 に基 づ く請 求 をす る こ とが で きない。 ・債 務不履 行責任 について:土 壌 汚染 につい ての社 会 的 認 識 は,本 件 土地 の 引 渡 が あ っ た平 成ll年 には, 「私 人 間の取引 の場面 にお いて も土 壌汚 染が発 見 され た場 合 には,そ れ を除去すべ きとの認識 が形成 され つ つ あ った とい える」。買主 側(脱 退 原告)が 本件 土 地 売却 の ために土壌 汚染 調査 を依頼 し,そ の結果 に よ り 売却 を断念 したの は,平 成14年 のこ とであ ったが,土 壌 汚染 につ い ての売 買当 事者 の認 識 は,「社 会情 勢 の 影響 を受 けて平 成ll年 ころには既 に一般 的 に相 当程度 形成 され つつ あった」 とされた。 そ して,田 に盛 り土 をして埋 め立 て,機 械 の解体等 の 作 業用 地 と して使 用 継 続 して き た本 件土 地 で は, 「廃 油 中に混在 す る各 種の重 金属等 によ り,土 壌汚染 が生 じ得 る ことは否定 で きない とこ ろであ り」,「他 方 で その発見 は 困難で,多 額 の損害 につ なが るか ら,被 告 におい ては,こ の よ うな形 態で 同土地 を使用 し,そ の 点 につい ての認 識 を有 してい た以上」,社 会情 勢 も 踏 ま え,「買 主 と して検査 通知 義務 を履 践 す る契 機 と なる情 報 を提 供 す るため」,本 件土 地 の引 渡 までの 問 に,買 主側(脱 退原 告)に 対 し,「同土 地 の埋立 て か らの同土地 の利 用形態 につ いて説 明 ・報 告すべ き信義 則上 の付 随義務 を負 ってい た とい うべ きであ る。」 買 主 は,売 主 の 「信 義則上 の説 明義務 の不履 行 に よ り,土 壌汚 染調査 を行 うべ きか を適 切 に判断 する ため の情 報提供 を受 け るこ とが で きず,商 法 上求 め られ る 買主 としての検 査義務 を果 たせ ない まま被告 に対 して 暇疵 担保責 任 の追及す る機会 を失 った とい える」 こ と か ら,売 主 は,買 主側 に対 し,説 明義務 の不履 行 に よ り買主側(脱 退 原告)が 「土 壌汚染 調査 を行 う必要 は ない と信頼 したこ とに よって被 った損害,す なわ ち暇

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土壌 汚染 にお け る有 害 性 の認 識 と売 主 の暇 疵 担保 責 任 265 疵担保 責任 を追及 す る機 会 を失 っ たこ とに よって被 っ た損害 の賠償 をす る責任 を負 うべ きであ る」。 一 部 認 容,一 部 棄 却 (元 借 主 は,操 業 中,全 て 回 収 業 者 が トリ ク ロ ロ エ チ レン及 び鉛 を回収 していた と主張 す るが,)「1970年 代 には金属 や機械 部品 の洗浄剤 として,ま た塗料 の溶 液,衣 料 の洗 濯等 に多用 され て きた物質 で,当 初 は そ の取扱 いや廃 棄 につい て特 に配慮 されて お らず,排 水 溝 な ど に 廃 棄 さ れ る こ と な ど もあ っ た と さ れ 」,「類 似 の事案 で土壌 汚染 を生 じさせ た事例 があ るこ と等 の事 実 を総 合的 に判断 すれ ば,本 件 土壌 汚染が 被告 の作業 の 際 に使 用 し た ト リク ロロ エ チ レ ン 及 び鉛 が コ ン ク リ ー トを浸 透 して地下 に到達 した ため に生 じた事実 を優 に 認定 する こ とが で き」,「本件土 壌汚 染 は,被 告 の溶射 作業(ト リク ロロエチ レ ン及 び鉛 の使 用)が 原 因で発 ③ 東 京 地 判 平 成19年 10月25日 (判 例 時 報2007号 64頁) 賃借 建物 を工場 と して利用 して い た賃借 人が, 工場 廃止届 け を 出 さず,汚 染物 質 を除去建 物敷 地 を明 け渡 した こと によ り,土 壌調査 費 用及 び 土壌 汚染対 策工 事 費用相 当額 の 損害 を被 った と して,不 法 行為 又 は債務 不履行 に基づ く損 害賠 償 を請求 トリ ク ロ ロエ チ レ ン,鉛 等 あ り 生 した もの と認 め られ る。」 「賃 貸借 契約 におい て は,原 状 回復 した上 で賃 貸 目 的物 を返還 す るこ とが必 要で あ り,本 件 の ような建物 賃貸借 にお いて,敷 地 を汚染 した場 合 には敷地 の土壌 を原状 回復(土 壌 汚染 を除去)し て返還す る義務 が あ る。 したが って,被 告 は,敷 地(本 件土地)の 土 壌汚 染 を除去 して本件 建物 を返還 する義 務 を負 っ ていた。 ところが,被 告 は,本 件土 地の土 壌汚染 を除去 せず に本件 建物 を原告 に明 け渡 し,そ の後,原 告が本 件土 地 を売 却 しよ うと した と ころ,本 件 土地 につい て工場 廃止届 が提 出 されてお らず,被 告が 本件土 地 におい て 有害指 定物 質の うち鉛,ト リク ロロエチ レン等 を使用 して いた こ とが判 明 したため,原 告 が本件 土地 につ い て土壌 調査 を し,土 壌 汚染が確 認 され た部 分 につい て, 本件 汚染処理 工事 を行 った もので ある。 この ように,本 件土壌 調査 は,被 告が本 件土 地の土 壌 を汚 染 させ なが ら,そ の汚 染 を除去せず に明 け渡 し, 履 歴調 査 の結 果,本 件土 地 に土 壌汚 染の おそれ があ っ た ことか ら,調 査 を命 じられ た ものであ る。履 歴調査 の結果,汚 染 のお それ がな ければ土 壌調査 を命 じられ る ことは ないの であ り,被 告 が本件 土地 の土壌 を汚染 して いな いこ とを明確 に して いれ ば本件土 壌調査 を命 じ ら れ る こ と は な か っ た もの と認 め られ る 。)」。 「本 件土 壌調 査 は,被 告 が本件 土 地の 土壌 を汚 染 し てお きなが ら明渡 し時 に土壌 汚染 を除去 しなか った こ とが原 因で命 じられた もので あ り,被 告 に よる土 壌汚 染 と本件 土 壌調 査 との 問に は 因果 関係 が認 め られ」, 「被告 人 の債 務不 履行 と本件土 地 の調査費 用相 当額 の 負担 との問 には相 当 因果 関係が 認 め られ」,当 該 費用 相当額 の損害 賠償 が認 め られ た。 一 部 認 容 ,一 部 棄 却 大量 の廃棄 物 「が存在 す る土 地上 に,こ れ らの埋設 物 をその まま に して建物 を建 築す るこ とが で きない こ とは明 らか であ」 り,「本 件埋 設物 は建 物建 築 の基礎 工 事 の 支 障 と な る もの と い うべ き で あ る」。 「そ して, 除去 しな ければ な らない埋設物 が存 在す る場合 には, 同埋設 物 の存 在 は土地 の暇疵 にあ たる。」 ・臭 気 土 に つ い て 臭気 土 の原 因物 質 は,売 主 の 「投 棄 した廃棄物 が原

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(桃 山 法 学 第23号'14) 東 京地判 平 成20年 暇疵担保責任又 因で あ る とみ る ほか な」 く,「仮 に投 棄 当時 に廃 棄物 処理法 が制定 されてい なか った と して も,現 在 か らみ てそ の ままで は投 棄で きない廃 棄物 を投棄 していた事 ④ 7月8日 (判 例 時 は説 明義務 違反 の債 務不履 行 に ダイオキ シン等 あ り 実 に変 わ りは ない。そ して,こ の よ うな臭 気土 をそ のまま覆土す る ことが廃棄 物 を適 正 に処理 した こ とにな 報2025号 54頁) 基づ く損 害賠償 らない こと も明 らかで あって(廃 棄 物処理 法 に違 反す るか否 か は別 論 であ る。),掘 り出 さな ければ臭気 の し ない臭 気土 であ って も,建 物建 築 の基礎工 事 をする際 に は土 地 の掘 削 を要す るので ある か ら,そ の際 に発生 す る周 辺環境 の悪 化 に加 えて,上 記 の ような臭気 を発 す る臭 気土 を掘削 した後 に露 出 したま ま放 置す る こと が で き な い こ と は い う ま で も な い 。 そ うす る と,臭 気 土の存 在が建 物建 築の基 礎工事 に支 障が ない とは到底 い う こ とが で き な い 。」 「本 件汚 染土 壌 は,全 て 本件土 地 の暇 疵(客 観 的暇 疵)に あ た る 。」 一 部 認 容 ,一 部 棄 却 ・暇 疵担 保責 任 につ いて:「 土壌 調査 に よって判 明 し た環境 基準値 を上 回 るヒ素 は,本 件 売買契 約締結 当時 か ら本件 土地の土壌 中 に存 在 した もの と推定 され る。」 「本 件売 買契 約 は本件 土 地 を原 告 にお い て戸建 て住 宅分譲 事業 を行 うこ とを 目的 とす る もの であ るか ら, 本件鍛 疵担保 責任 制限特 約の対 象 とな る本 件土 地の地 (売主 に対 し)民 表か ら地下1mま での部 分 に環 境基 準値 を大幅 に超 え 法570条,566条 る高濃 度 の ヒ素が 含 まれる こ とは,宅 地 と して通 常有 に基 づ き,汚 染 すべ き性状 を備 えた もの とい うことはで きず,本 件土 浄化 義務 ・説 明 地の 毅疵 に 当た る。」 そ して,売 買 契約 時 に土地 浄化 義務i怠 があ る に よ り環境 基準値 を下 回った 旨の報 告 を受 け ている こ 0 東 京 地 判 平 成20年 ll月19日 (判 例 タ イ ム ズ 1296巻 217頁) と して415条 に 基づ き,適 切 な 土壌 汚染対 策 ・ 土壌 汚染処 理工 事等 によ り浄化 済 の土地 を買主 に引 き渡 す注意 義務 を僻怠 した 砒素 あ り とか ら,「上 記暇疵 は 「隠れ た」 暇疵 に当 た る。」 しか し,「職 疵担 保 責任 期 間制限 条項 は有 効 であ」 り,「本件 土 地の 引渡 し時 で ある平 成16年8月31日 か ら責任 制限期 間6か 月 が経過 して いる」 と して,売 主 の暇疵 担保責 任 は否定 され た。 ・債 務不 履行 責任 につ い て:本 件売 買契 約 の売主 は, 「本件 土地 に環境 基準値 を上 回る ヒ素が含 まれ てい る 土地 であ るこ とを事前 に知 ってい たので あるか ら,信 と し て709条, 義則上,本 件 売買 契約 に付随 する義 務 と して,本 件土 716条 に 基 づ き, 地の土 壌 中の ヒ素 につ き環境基 準値 を下 回る よう に浄 損害 金約3億 円 化 して原告 に引 き渡 す義務 を負 うとい うべ きであ る。」 (そ の他 当事 者 しか し,本 件 暇疵 担保 責任 制 限特約 によ り,「汚 染浄 への請求は割愛) 化義務 は本件 土地 の地 表か ら地下1mま での部 分 に限 定 される と解 す るのが相 当で ある。」 売 主 は,「本 件売 買 契約 の時 点で 本件 土地 の地 表 か ら地下1mま での 部分 に環境 基準値 を大幅 に超 える高 濃度 の ヒ素 が残留 して いるの に,そ の ままの状 態で本 件土地 を原告 に引 き渡 した」 ので あるか ら,汚 染浄化 義務 に違反 した と と判 断 され た。 (売主以外 の責任 は全 て否定) (売 主 会社 に対 一 部 認 容,一 部 棄 却 し)主 位 的 に売 土壌 埋設物 の ほ とんどが コ ンクリー トガラ など産業 買契 約及 び建物 廃棄物 で あ り,有 害物 質(砒 素)も 一部 の所有 者の土 建 築請負 契約等 壌で基 準値 を上 回った に過 ぎない こ とか ら,土 地買主 の錯 誤無効,暇 らの健 康 に悪 影響 を及 ぼす もので はない こ と,本 件土 疵担 保責任 若 し 地 には地盤改 良工 事が施 され,本 件 各建物 に は現 在 に

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土壌 汚染 にお け る有 害 性 の認 識 と売 主 の暇 疵 担保 責 任 267 ⑥ さ い た ま 地 判 平 成 22年7月 23日(裁 判所Web 掲 載) くは説明義 務違 反 に基づ く契約 解 除又 は詐 欺取 消+売 買代 金及 び請 負代 金の返 還 砒素(コ ンク リー トガラ等 産業廃 棄 物 あ り) あ り 至 るまで地盤 沈下 等の不 具合 が生 じてい ない こ とか ら すれ ば,本 件 各建 物の安 全性 は確保 され てい る」。 「原 告 らが本 件 各土 地 を購 入 した価 格 で は ともか く, あ る程 度減価 した価格 で本件 各土地 を購 入す る者が い る ことは当然 想定 され るので あっ て,原 告 らが居 宅 の 建築 目的で本 件 各土地 を購 入 した こ とを勘 案 して も, (売 主 会社 代 表 一般取 引上 の通念 に照 ら して,本 件 各土地 を購 入す る 者 に対 し)詐 欺 者が いな い とか,本 件 各土地 の客観 的価値 が零 であ る を 理 由 に 民 法 と認 める こ とはで きないか ら,原 告 らが本 件各 契約 を 709条 又 は 旧 商 締結 した時 点 にお いて,本 件 各土地 に は廃 棄物 が埋設 法266条 の3に され てい ない との錯誤 に陥 った と して も,こ れ が要素 基づ く損 害賠償 の 錯 誤 に 当 た る も の と認 め る こ と は で き な い 」。 一 部 認 容 ,一 部 棄 却 O 東 京 地 判 平 成23年 1月20日 (判 例 時 報2111号 48頁) 暇疵 担保 責任 に 基づ く有 害物質 除去 費用相 当額 の賠 償 六 価 ク ロ ム ・鉛 あ り 本件 売買契 約 におい て,売 主の二 回の土 壌調査 に引 き続 き買 主が 「本 件土 地受 領後 に 『遅滞 な く』(商 法 五二 六条一項)土 地調査 を行 うことは」両 当事 者間 で 想定 され てお らず,同 条の適用 は特 約 によ り排 除 され お り,本 件土 壌汚 染が 隠れ た暇 疵 にあ たる とした上 で, 買主 が土壌 汚染発 見後,損 害賠 償 を請求 しない と約 し た証拠 は ない と して,土 壌汚染 対策 工事費 用1470万 円 が 認 め ら れ た 。 棄却 「本 件油 分 が存在 した と して も,そ の ま まの状 態 で あ る限 り,法 令 には違 反 しない。 しか し,本 件土 地 か ら建設 発生土 が生 じた場 合,そ こに油分が 含 まれて い れば,そ れは産業 廃棄物 に該 当す る可能性 があ り,内 陸部 の土地(処 分 場)で 埋立処 分 をす る限 り法 令上 の 制限 はな いが,臨 海部 の土地(処 分 場)で 埋立 処分 を す る場 合 には法令 上の 制限が あ」 る。 「土 地売 買契 約 の買 主 は土地 上 に建物 等 を建築 す る ことを 目的 とす るこ とが多い か ら,特 段 の事情 がな い 限 り,買 主 にお ける建設 発生土 の処 理が通 常予 定 され ⑧ 東 京 地 判 平 成23年 1月27日 (判 例 時 報2110号 83頁) 暇疵 担保 責任 に 基づ く損 害賠償 と して処 理費用 相 当 額7236万 1810円 油分(契 約締 結前 に純 水 銀 ・ふ っ 素発 見→ 売主掘 削 除去) 場合 に よって あ り てい る とみ るべ きであ り,建 設発生 土の処 理の 実情 は, 土地売 買契約 にお け る取 引通念 を検 討す る上で考 慮 さ れ るべ きで あ る」。 「本件 売買 契約 では,鉱 物油 につ いて,『 土壌(溶 出 液 につ き)』『油が 視認 されず,又 は油の臭 気が感 じら れ ない こと』 を充 たすべ きこ とが定 め られてお り,こ れ は本 件土 地の最 終購 入者 と予 定 されて いた大 田区が 定め た本件 要綱 にお ける鉱物 油 に係 る本件 指導基 準 と 同一 の内容 であ るか ら,本 件売 買契 約 におい ては,本 件指導 基準 を もって暇疵 の判 断基準 とす る旨 を合意 し てい た もの と認 めるの が相当 であ る」 と して,当 該基 準 を上 回 る油分が 本件売 買契約 締結 時 に存 在 した こと は明 らかで あ ると して本 件土 地 には暇疵が あ る と認 め た ものの,売 主 の土壌調査 におけ る添付資 料 によ り本 件調査 油分 の存在 が明 らか になっ てい る地 点 につい て 油分 の調査 をす るこ とは容易 であ った に もかか わ らず これ を怠 った こと等か ら,買 主 には本件暇 疵の存 在 に つ き過 失が あ ると して,売 主 に対す る職疵 担保 責任 に 基づ く損害賠 償請 求が認 め られな かっ た。

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(桃 山 法 学 第23号'14) 奈 良地判 平 成23年 暇疵 担保 責任, 棄却 9月30日 債務不履行責任鉛(産 業 買主 は本件 廃棄 物の存 在 を認 識 してい た とい うべ き 0 (Dl-law (付随義務 違反) 廃棄 物あ な し で あ り,隠 れ た 鍛 疵 に あ た ら な い 。 判 例ID: 又 は不法行 為 に り) 鉛 に関 して は規 制法令 が ないた め,隠 れた暇疵 にあ 28212854, 基づ く損 害賠償 た ら な い 。 ⑬ の原 審) 土 地交換 契約 の 錯 誤 無 効/地 方 自治 法234条2 項 ・96条1項6 10 前 橋 地 判 平 成24年 7月6日 (Dl-law 判 例ID: 28181551) 号 の議決 欠如 の ため無効→ 所有 権 に基づ く妨害 排 除請求 として 交換 契約 に基づ く所 有権 移転登 記 の抹消 登記手 不 明 棄却 動機 の錯誤 はあるが表 示 はな く,仮 に黙 示の 表示が な されて いた と して も,重 過失 が ある。 続,不 当利 得返 還 請求 と して土 壌 汚染調査 費用 の賠 償 一 部 認 容 ,一 部 棄 却 「本 件埋 設物 は,本 件契 約締結 段 階か ら,そ れが地 11 東 京 地 判 平 成24年 9月25日 (判 例 時 報2170号 40頁) 職疵 担保 責任, 債務 不履行 責任 (付随義務 違反) 又 は不法行 為 に 基づ く損 害賠償 鉛,テ ト ラ ク ロ ロ エ チ レ ン, 六 価 ク ロ ム あ り 中 に存 在す る可能 性が 十分 にある こ とが認 識 され,本 件契約 にお いて もその撤 去費用 の負 担の合 意 まで され てい たので あ るか ら,本 件埋設 物が 実際 に発見 され た 場合 に新建物 の建 築工事 の遅延 を防 ぐ目的で された土 壌汚染 残土搬 出方 法変 更費用 の増加 は,原 告の負 担 に 選 るべ きとい うほか な く,他 に,同 費用 を地 中埋 設物 の撤去 の ための費 用 とすべ き特 別 の事情が あ る とも認 め ら れ な い 。」 棄却 「(1)石綿 を含 有 す る土壌 あ るい は建設発 生 土 それ 自 体 につい ては,本 件売買 契約 当時,法 令上 の規 制は な 東 京地判 土壌汚 染対 策法及 び環境 確保 条例が 定め る有害物 質がく,② 本件売 買契 約 において 求め られて いた性 能は, 0 平 成24年 9月27日 (判 例 時 職疵 担保 責任 に 基づ く損 害賠償 アス ベ ス ト な し 基準値 以下 であ るこ とであ り,(3)本件売買 契約締 結 当 時の実 務的取 扱 と して も,石 綿 含有 量 を問わず に,石 綿 を含 有す る土壌 あ るいは建設 発生 土 を廃 石綿等 に準 報2170号 50頁) じた処 理 をす るとい う扱 いが確 立 してい た とはいえず,さら に,そ もそ も本 件土 地 に含 有 さ れて い た石綿 が 『土壌 に含 まれ るこ とに起因 して 人の健康 に係 る損害 を生ず るお それが あ る』 限度 を超 えて含 まれ ていた」 と は い え ず,毅 疵 は な い 。

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土壌 汚染 にお け る有 害 性 の認 識 と売 主 の暇 疵 担保 責 任269 原判 決変更 ・廃棄 物 につい て:売 主の不法 行為 責任 あ り。 ・鉛 につ い て:本 件売 買契 約締 結 当時 は,「 土壌 汚染 につ いて環境 基準 値 は未 だ策定 されてお らず,昭 和61 13 大 阪 高 判 平 成25年 7月12日 (Dl-law 判 例ID: 8212857) 選択 的 に毅疵担 保責 任,債 務不 履行 責任,不 法 行為 責任 に基づ く損 害賠償 鉛(焼 却 灰,木 く ず及 び炭 化物,焼 却土あ り) な し 年1月 に,環 境庁 が公 共用地 として転換 され る国有地 につ いて定 めた暫 定対 策指針 にお いて,対 策 を要す る 汚染土 壌 の判 定基 準 とされ たのは,鉛 及 びその化 合物 につ き,乾 土1kgに つ き600mgで あ り,本 件土 地 か ら検 出 された鉛 の含有量 は これ をも大幅 に下 回って い る。 そ して,本 件売 買契約 にお いて は,当 事 者 間に土壌 汚染 に 関す る何 らの特 約 も認 め られな い」。 従 って, 本件鉛 に よる土壌 汚染 は,本 件 土地 の暇疵 とはいえ な いo 2最 三小 判 平 成22年6月1日 判 決 事 案 の経 緯 本 事 案 は,土 地 売 買 契 約 時 か ら土 壌 中 に は 原 始 的 に 有 害 物 質 が存 在 しな が ら,土 壌 中 の 当該 有 害 物 質 を規 制 す る法 令 も有 害 性 の 認 識 も存 在 せ ず, 後 に そ れ が 生 じた事 案 で あ り,各 審 級 で 理 由 及 び結 論 が 異 な っ て い る こ と か ら,そ れ ぞ れ につ い て 見 る必 要 が あ る。 昭 和59年4月1日,Yの 前 身 の 会 社 が,本 件 土 地 を 工 業 用 ふ っ酸 製 造 工 場 用 地 と して 利 用 して お り,吸 収 合 併 さ れ たYも 同様 に本 件 土 地 を利 用 し て い た。 そ の後,足 立 区 か ら 日暮 里 ・舎 人 線 開設 の た め の用 地 被 買 収 者 用 の 代 替 地 の 取 得 を委 託 さ れ たX土 地 開発 公 社 が,本 件 土 地 の 売 買 契 約 に先 立 ち, 土 壌 調 査 会社 に本 件 土 地 の 土 壌 調 査 を委 託 した 。 平 成3年2月20日 に土 壌 調 査 が 開 始 さ れ,平 成3年3月15日 に本 件 土 地 の 売 買 契 約 が 締 結 され た 。 こ の本 件 売 買 契 約 締 結 頃,土 地 表 層 土 に東 京 都 公 用 地 取 得 に か か る重 金 属 等 に よる 汚 染 土 壌 の 処 理 基 準 値 を超 え る鉛,砒 素,カ ド ミウ ム含 有 が 判 明 した(以 下,平 成3年 調 査 とい う。)。 本 件 売 買契 約 締 結 当時,客 観 的 には 目的物 で あ る本 件 土 地 の土 壌 中 にふ っ 素 が 含 ま れ て い たが,当 時 の取 引 観 念 上 は土 壌 中 の ふ っ素 含 有 が有 害 で あ る と は認 識 され て お らず,X担 当 者 もふ っ 素 が 有 害 で あ る と は認 識 して い

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270(桃 山法学 第23号'14) なか っ た 。 平 成12年12月22日,東 京 都 条 例 第215号 「都 民 の 健 康 と安 全 を確 保 す る 環 境 に 関 す る条 例 」(以 下 「都 条 例 」 とい う。)が 公 布 され た。 そ して,環 境 基 本 法 に基 づ く平 成3年8月 環 境 省 告 示 第46号 「土 壌 汚 染 に係 る環 境 基 準 につ い て 」 が 平 成13年3月28日 付 環 境 省 告 示 第16号 に よ り 一 部 改 正 され ,別 表 リス トに ふ っ 素 が 追 加 され た。 平 成13年4月1日 に都 条 例 が施 行 さ れ た 。 都 条 例2条12号 に お け る 「有 害 物 質 」 と は,「 人 の 健 康 に 障 害 を及 ぼ す 物 質 の うち,水 質 又 は 土 壌 を汚 染 す る原 因 と な る物 質 で,別 表 四 に 掲 げ る もの 」 と され た 。 そ の 別 表 四 に鉛,砒 素,カ ド ミウ ム,ふ っ素,ポ リ塩 化 ビ フ ェニ ル(以 下 「PCB」)等26種 類 の 有 害 物 質 が掲 げ られ て い るが,ふ っ 素 が 加 え られ た の は平 成15年2月15日 で あ った 。 ま た,平 成13年10月1日 施 行 の 都 条 例ll7条 で 土 地 改 変 時 に お け る 改 変 者 の 義 務 が 規 定 さ れ た 。 平 成14年4月 に用 地被 買 収 者 か ら代 替 地 の提 供 要 請 が あ り,足 立 区 か ら 要 請 を受 け たXが,本 件 土 地 を代 替 地 と して提 供 す る た め の 協 議 を行 っ た。 平 成14年5月29日 に土 壌 汚 染 対 策 法 が 公 布 され,平 成15年2月15日 に施 行 さ れ た 。 平 成3年 調 査 結 果 か ら,本 件 土 地 の 土 壌 が 鉛,砒 素,カ ドミウ ム に よ り 汚 染 さ れ て い る こ とが 判 明 して い た た め,代 替 地 提 供 に際 し,他 の 有 害 物 質 に よ る 汚 染 の 有 無 の 調査 を委 託 した。 平 成17年8月4日,都 条例ll7条2項 に基 づ き,本 件 土 地 に お け る 過 去 の 有 害 物 質 取 扱 事 業 上 の 設 置 状 況 等 所 定 事 項 調 査 の た め,土 壌 汚 染 に係 る 地 歴 調 査 等 を委 託 した(支 払 額5万2500円)。 そ の 調 査 結 果 を受 け,同 年 9月27日,都 条 例ll7条2項 に基 づ き,都 道 府 県 知 事 に 調 査 結 果 を報 告 す る た め,土 壌 汚 染 調 査 委 託 契 約 を締 結 した 。 更 に 同年10月4日 に原 契 約 変 更 契 約 を締 結 し,追 加 調 査 委 託 契 約 を締 結 した 。 同年10月,本 件 土 地 表 層 土 に,都 条 例ll5条2項 及 び 同 施 行 規 則56条 に よ る汚 染 土 壌 処 理 基 準 値 を超 え る 量 の 鉛,砒 素,カ ドミ ウ ム の ほ か,ふ っ

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土壌 汚染 における有害性の認識 と売主の暇疵担保責任271 素 及 びPCB含 有 部 分 が あ る こ とが 判 明 した。 同年ll月2日,土 壌 汚 染 調 査 報 告 書 がXに 提 出 さ れ た 。 そ の結 果,40地 点 の 資 料 採 集 地 全 て で ふ っ素 が検 出 さ れ,そ の 全 て の 地 点 で 溶 出量 基 準 値 を超 え,39地 点 で 含 有 量 基 準 値 を超 え,ふ っ素 に よ る 地 下 水 汚 染 も確 認 さ れ た。 そ の た め,観 測 井 が 設 置 さ れ,地 下 水 の水 質 測 定(モ ニ タ リ ング)が 開 始 さ れ,そ の 結 果 都 へ の 定 期 的報 告 の 必 要 性,汚 染 除 去 等 の 拡 散 防 止 措 置 実 施 の必 要 性 が 指 摘 され た(調 査 費 用 及 び報 酬 と して の 平 成17年12月22日 支 払 額:ll97万 円)。 こ の 時 点 で,ふ っ 素 に よ り人 の 生 命,身 体,健 康 を損 な う危 険 が ない と 認 め られ る 限 度 を超 え て 汚 染 され て い る こ とが 判 明 した 。 同年ll月3日,汚 染 深 度 を把 握 す る た め,土 壌 汚 染 調 査 の 追 加 工 事 を委 託 し,平 成18年3月31日,汚 染 深 度 把 握 の た め の 土 壌 汚 染 調 査 追 加 調 査 の 契 約 金 額 を変 更 した(同 年6月15日 支 払 額:1848万5250円)。 平 成18年7月5日,用 地 被 買 収 者 は,本 件 土 地 を被 買 収 土 地 代 替 地 と し て 受 領 す る こ と を拒 否 した。 同年9月8日,土 壌 汚 染 対 策 工 事 の た め の 対 策 工 事 発 注 仕 様 書 作 成 を委 託 した(同 年ll月5日 以 前 の作 成 費 用 支 払 額:519万7500円)。 Xは,地 域 住 民 の福 祉 目 的 の た め,汚 染 土 壌 の 掘 削 除 去 及 び封 じ込 め の 後 に本 件 土 地 を公 園用 地 と して利 用 す る こ と を決 め,同 年12月26日 に本 件 土 地 の 土 壌 汚 染 対 策 工 事 請 負 契 約 を締 結 した(契 約 金 額:4億2525万 円)。 そ こ で,Xは,買 い 受 け た本 件 土 地 の土 壌 が 有 害 物 質 に よ り汚 染 され て お り,そ の 後 の 法 規 制 に従 っ た 汚 染 拡 散 防止 措 置 を講 ず る必 要 が 生 じた と し て,民 法570条 の 理 疵 担 保 責 任 に 基 づ き,Yに 対 し4億6095万 余 円 の 損 害 賠 償 を 求 め た 。 く ラ 3東 京 地 判 平 成19年7月25日 の概 要 売 買 契 約 の 目的 物 た る 土 地 が,法 令 等 に よ り利 用 上 の 制 限 を受 け る こ とは, 売 買 契 約 の 目的 物 と して 通 常 有 す べ き品 質 や 性 能 を 欠 くもの で あ り,民 法

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272(桃 山法学 第23号'14) 570条 にい う 「蝦 疵 」 に 当 た り得 る。 しか しな が ら,鍛 疵 担 保 責 任 の 規 定 が 適 用 され る た め に は,そ の 前 提 と して,売 買 契 約 締 結 時 にお い て,目 的 物 に 「蝦 疵 」 が存 在 す る こ とが 必 要 で あ る と解 す べ きで あ る」。 「け だ し,同 条 の蝦 疵 担 保 責 任 は,売 買 契 約 の 目 的 物 に 「隠 れ た 理 疵 」 が 存 在 す る 場 合 に,買 主 を保 護 す べ く,売 主 に責 任 を負 わ せ る もの で あ り, 売 買 契 約 締 結 後 に 目的 物 に 『理 疵 』 が 生 じた 場 合 に まで,買 主 を保 護 して 売 主 に責 任 を負 わせ るべ き根 拠 を欠 くか らで あ る。 そ して,こ の よ う に解 さ な け れ ば,売 買 契 約 締 結 後 に生 じ得 る暇 疵 につ い て,売 主 が 永 久 に蝦 疵 担 保 責 任 を潜 在 的 に負 う こ と に な るが,こ れ は売 主 に過 大 な負 担 を課 す る も の で あ り,か え って 売 買 契 約 当 事 者 間 の 公 平 を 失 す る結 果 と な る」。 「本 件 の よ う に,法 令 等 に よる 制 限 に つ い て 蝦 疵 担 保 責 任 の規 定 の 適 用 が 問 題 とな る場 合 に お い て 同規 定 が 適 用 され る た め に は,売 買 契 約 締 結 時 にお い て,法 令 等 に よ り,目 的物 の 利 用 が 制 限 さ れ て い る こ とが必 要 で あ る。 す な わ ち,売 買 契 約 締 結 時 に お い て,現 に 目 的物 の 利 用 を制 限 す る法 令 等 が 施 行 され,又 は 同 法 令 等 の 施 行 が 確 実 に予 定 され,売 買 契 約 締 結 後 に実 際 に施 行 さ れ る こ とが 必 要 で あ る。 け だ し,売 買 契 約 締 結 時 に お い て,目 的物 の 利 用 を 制 限 す る法 令 等 の 施 行 が 確 実 に 予 定 さ れ て い な い場 合 にお い て も,売 主 に 蝦 疵 担 保 責 任 を負 わ せ る とす れ ば,売 主 に過 大 な負 担 を課 す る もの で あ り,か え っ て 売 買 契 約 当 事 者 間 の 公 平 を失 す る結 果 とな るか らで あ る」。 「本 件 に つ い て これ を見 る に,原 告 は,土 壌 汚 染 の事 実 を 「蝦 疵 」 と主 張 す る の で は な く,本 件 都 条 例 に よ る規 制 を 「理 疵 」 と主 張 す る が,本 件 都 条 例 は,本 件 売 買 契 約 が 締 結 され た平 成3年3月 に は 存 在 せ ず,10年 以 上 経 過 した 平 成13年10月 に施 行 され た もの で あ る。 よ っ て,原 告 の主 張 は,売 買 契 約 締 結 時 に存 在 しな い 蝦 疵 を 「理 疵 」 と 主 張 す る もの で あ り,主 張 自体 失 当 で あ る 。 なお,本 件 にお い て は,売 買 契 約 締 結 時 にお い て,目 的 物 の利 用 が 法 令

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土壌 汚染 における有害性の認識 と売主の暇疵担保責任273 等 に よ り制 限 さ れ て お らず,こ れ を制 限す る 法 令 等 の 施 行 が 確 実 に 予 定 さ れ る とい う事 情 を認 め る に足 りな い 」。 の   4東 京 高 判 平 成20年9月25日 の 概 要 「居 住 そ の 他 の土 地 の 通 常 の利 用 をす る こ と を 目 的 と し て締 結 され る売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 土 地 の土 壌 に人 の生 命,身 体,健 康 を損 な う危 険 の あ る有 害 物 質 が 上 記 の危 険 が な い と認 め られ る限 度 を超 え て含 ま れ て い な い こ とは,上 記 売 買 契 約 の 目 的 に 照 ら し,売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 土 地 が 通 常 備 え る べ き 品質,性 能 に 当 た る とい うべ きで あ る 。 したが っ て,上 記 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る土 地 の土 壌 に実 際 に は有 害 物 質 が 含 ま れ て い たが, 売 買 契 約 締 結 当 時 は取 引 上 相 当 な 注 意 を払 って も発 見 す る こ とが で きず, そ の 後 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 土 地 の 土 壌 に売 買 契 約 締 結 当 時 か ら当 該 有 害 物 質 が 人 の 生 命,身 体,健 康 を損 な う危 険 が な い と認 め ら れ る 限 度 を超 えて 含 ま れ て い た こ とが 判 明 した 場 合(以 下 「① の場 合 」 と い う。)」に は, 「有 害 物 質 の 存 在 は民 法570条 に い う隠 れ た理 疵 に当 た る」 とす る。 「居 住 そ の 他 の土 地 の 通 常 の利 用 をす る こ と を 目 的 と して締 結 され た 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 土 地 の土 壌 に含 ま れ て い た物 質 が 当 時 の取 引 観 念 上 は 有 害 で あ る と認 識 され て い な か っ たが,売 買 契 約 後 に有 害 で あ る と社 会 的 に認 識 され た 場 合 にお い て,売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 土 地 の土 壌 に当 該 物 質 が 人 の 生 命,身 体,健 康 を損 な う危 険 が ない と認 め られ る 限度 を超 え て 含 ま れ て い た こ とが 判 明 した と き(以 下 「② の 場 合 」 とい う 。)に も, 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る土 地 の土 壌 に人 の 生 命,身 体,健 康 を損 な う危 険 の あ る有 害 物 質 が 上 記 の 危 険 が な い と認 め られ る 限度 を超 え て含 まれ て い ない こ と とい う,上 記 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る土 地 が 通 常 備 え るべ き品 質, 性 能 を欠 くとい うべ きで あ り,こ の 点 に お い て① の場 合 と差 は な い 。 ま た, ② の場 合 に は,買 主 に と って は,売 買 契 約 締 結 当時 取 引 上相 当 な注 意 を払 っ て も売 買 契 約 の 目 的物 で あ る土 地 に含 ま れ て い た物 質 が 有 害 で あ る と認 識 す る こ とは で き な か った と い うべ きで あ っ て,こ の点 にお い て も① の 場 合 と差 は な い 。 さ らに,売 買 契 約 締 結 当 時,売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 土 地 に

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274(桃 山法学 第23号'14) 含 ま れ て い る物 質 の有 害 性 が 社 会 的 に認 識 され て い た か ど う か は,当 事 者 が 売 買 契 約 を締 結 す る に当 た っ て 前 提 とな る 事 実 を どの よ う に認 識 して い た か,ま た,認 識 可 能 で あ っ た か に包 含 され る問 題 で あ っ て,事 実 の 範 躊 に包 含 さ れ る問 題 で あ る と考 え られ る。 そ して,こ の こ と は,上 記 売 買 契 約 の 目 的物 で あ る土 地 に含 ま れ て い た物 質 が 当 時 の取 引 観 念 上 は有 害 で あ る と認 識 され て い な か っ たが 売 買 契 約 後 に有 害 で あ る と社 会 的 に認 識 さ れ た た め に,当 該 物 質 を土 壌 を汚 染 す る もの と して こ れ を規 制 す る 法 令 が 制 定 さ れ る に 至 っ た場 合 にお い て,売 買 契 約 の 目的 物 で あ る土 地 の土 壌 に 当 該 物 質 が 人 の 生 命,身 体,健 康 を損 な う危 険 が な い と認 め ら れ る 限 度 を超 え て含 まれ て い た こ とが 判 明 した と き(以 下 「③ の 場 合 」 と い う。)に も 当 て は ま る の で あ り,売 買 契 約 締 結 当 時 土 壌 を汚 染 す る もの と して 当 該 物 質 を規 制 し,汚 染 の 除 去 等 の措 置 を定 め る法 令 の 規 定 が 存 在 しな か った こ と を理 由 に,売 買 契 約 締 結 当 時 は 目的 物 で あ る土 地 の 土 壌 中 に 当該 物 質 が 含 ま れ て い て も,上 記 売 買 契 約 は 適 法 で あ った と して,③ の 場 合 に,民 法 570条 に い う隠 れ た 蝦 疵 が 存 在 す る こ と を 否 定 す る こ と は,で き な い も の とい うべ きで あ る 。 民 法570条 に基 づ く売 主 の 暇 疵 担 保 責 任 は,売 買 契 約 の 当 事 者 間 の 公 平 と取 引 の 信 用 を保 護 す る た め に特 に 法 定 さ れ た もの で あ り,買 主 が 売 主 に過 失 そ の 他 の帰 責 事 由 が あ る こ とを 理 由 と して発 生 す る もの で は な く,売 買 契 約 の 当事 者 双 方 が 予 期 しな か っ た よ う な売 買 の 目 的 物 の 性 能,品 質 に欠 け る点 が あ る とい う事 態 が 生 じた と き に,そ の 負 担 を 売 主 に 負 わせ る こ と とす る 制 度 で あ る」 こ とか ら,民 法570条 の 適 用 上, ① ・② ・③ の 場 合 とで 区 別 す る こ と は,相 当 で は な い」。 以 上 に よれ ば,居 住 そ の 他 の土 地 の 通 常 の利 用 を す る こ と を 目的 と して 締 結 さ れ た 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る土 地 の土 壌 に人 の 生 命,身 体,健 康 を 損 な う危 険 の あ る有 害 物 質 が 上 記 の 危 険 が な い と認 め られ る 限度 を超 え て 含 ま れ て い た が,当 時 の 取 引 観 念 上 は そ の有 害 性 が 認 識 され て い な か っ た 場 合 に お い て,そ の後,当 該 物 質 が 土 地 の土 壌 に上 記 の 限 度 を超 え て 含 ま れ る こ とは 有 害 で あ る こ とが 社 会 的 に認 識 され る に至 った と きに は,上 記 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る土 地 の 土 壌 に 当該 有 害 物 質 が 上 記 の 限度 を超 え て

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土壌 汚染 における有害性の認識 と売主の暇疵担保責任275 含 ま れ て い た こ とは,民 法570条 に い う 隠 れ た蝦 疵 に 当 た る と解 す る の が 相 当 で あ る 。 そ して,上 記 の場 合 にお い て,土 壌 を汚 染 す る もの と して 当 該 物 質 を規 制 し,汚 染 の 除 去 等 の 措 置 を定 め る法 令 の 規 定 が 定 め られ,買 主 が 当該 規 定 に従 い,汚 染 の 除去 等 の 措 置 に必 要 な費 用 を負 担 した と きに は,買 主 は売 主 に対 し,民 法570条 に基 づ き,上 記 の 費 用 相 当 額 の損 害 賠 償 請 求 を す る こ とが で き る と解 す るの が 相 当 で あ る 。 「本 件 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 本 件 土 地 の 土 壌 中 に 上 記 の とお りふ っ素 が 含 ま れ て い た こ と は,民 法570条 にい う隠 れ た 蝦 疵 に 当 た る と い うべ き で あ」 り,「 控 訴 人 は,被 控 訴 人 に対 し,本 件 都 条 例 に 基 づ き,汚 染 の 除 去 等 の拡 散 防 止 措 置 を実 施 す る た め に負 担 した 必 要 な 費 用 相 当額 の 損 害 賠 償 請 求 を す る こ とが で き」 る 。 5最 三小 判 平 成22年6月1日 の概 要 「売 買 契 約 の 当 事 者 間 にお い て 目的 物 が どの よ うな 品 質 ・性 能 を有 す る こ とが 予 定 され て い た か につ い て は,売 買 契 約 締 結 当 時 の 取 引 観 念 を しん し ゃ く して 判 断 す べ き と こ ろ,前 記 事 実 関係 に よ れ ば,本 件 売 買 契 約 締 結 当 時,取 引 観 念 上,ふ っ素 が 土 壌 に含 ま れ る こ と に起 因 し て人 の健 康 に係 る被 害 を 生 ず るお そ れ が あ る とは 認 識 さ れ て お らず,被 上 告 人 の担 当 者 も そ の よ うな 認 識 を有 して い な か っ た の で あ り,ふ っ素 が,そ れ が 土 壌 に含 まれ る こ と に起 因 して 人 の 健 康 に係 る被 害 を生 ず る お そ れ が あ る な どの 有 害 物 質 と して,法 令 に基 づ く規 制 の 対 象 とな っ た の は,本 件 売 買 契 約 締 結 後 で あ っ た とい うの で あ る。 そ して,本 件 売 買 契 約 の 当 事 者 間 に お い て, 本 件 土 地 が 備 え るべ き属 性 と して,そ の土 壌 に,ふ っ 素 が 含 ま れ て い な い こ とや,本 件 売 買 契 約 締 結 当 時 に 有 害 性 が認 識 さ れ て い た か 否 か に か か わ らず,人 の健 康 に係 る被 害 を生 ず るお そ れ の あ る一 切 の 物 質 が 含 まれ て い ない こ とが,特 に予 定 され て い た とみ るべ き事 情 も うか が わ れ な い 。 そ う す る と,本 件 売 買 契 約 締 結 当 時 の 取 引 観 念 上,そ れ が 土 壌 に含 ま れ る こ と に起 因 して 人 の 健 康 に係 る被 害 を生 ず る お そ れ が あ る と は認 識 され て い な か っ た ふ っ 素 につ い て,本 件 売 買 契 約 の 当事 者 間 に お い て,そ れ が 人 の 健

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276(桃 山法学 第23号'14) 康 を損 な う限 度 を超 え て 本 件 土 地 の 土 壌 に含 まれ て い な い こ とが予 定 さ れ て い た もの とみ る こ と はで きず,本 件 土 地 の 土 壌 に溶 出 量 基 準 値 及 び 含 有 量 基 準 値 の い ず れ を も超 え る ふ っ 素 が 含 まれ て い た と して も,そ の こ とは, 民 法570条 に い う暇 疵 に は 当 た ら な い とい うべ きで あ る」。 三 民 法570条 の 暇 疵 概 念 と社 会 通 念(認 識) 1主 観 的 蝦 疵 概 念 と客 観 的蝦 疵 概 念 民 法570条 に い う 「暇 疵 」 と は何 か 。 筆 者 を含 め,「 通 常 備 え るべ き性 質 を欠 く こ と」 で あ る と説 明 す る こ とが 多 い 。 そ の民 法570条 の 「蝦 疵 」 が 主 観 的暇 疵 で あ る か客 観 的 暇 疵 で あ るか に つ い て は,論 者 に よ っ て様 々 で あ る。 蝦 疵 概 念 に関 す る議 論 は,一 般 人 を基 準 と した判 断 や 当 事 者 の合 意 を基 準 と した判 断 を全 く差 し挟 ま な い,純 粋 に物 理 的 に客 観 的 に存 在 す る鍛 疵 だ け を 民 法570条 の 「蝦 疵 」 と判 断 す る究 極 的 な 「客 観 的 蝦 疵 」 か ら,売 買 契 約 当事 者 が 合 意 した 性 質 を 欠 く場 合 に だ け 「殻 疵 」 あ り と判 断 す る究 極 的 な 「主 観 的 理 疵 」 まで 存 在 す る 中で,そ の 中 の い ず れ か 又 は ど こか ら ど こ ま で の 範 囲 の も の を 同570条 の 「暇 疵 」 と捉 え る か とい う もの で あ (4) る。 そ もそ も,570条 の 起 草 者 で あ る梅 博 士 に よ る と,「 売 買 ノ 目 的物 に隠 レ タ ル暇 疵 ア ル トキハ 買 主 力取 得 シ タ ル権 利 ハ 其 期 望 シ タル 価 値 ヲ有 セ サ ル カ故 二之 二 因 リ テ買 主 力損 害 ヲ受 クヘ キハ 固 ヨ リ言 フ ヲ待 タサ ル所 ナ リ然 ル ニ 通 常 売 主 ハ 買 主 ヨ リモ 善 ク其 売 ラ ン ト欲 ス ル物 ヲ知 レル カ故 二 之 二 隠 レ タ ル理 疵 アル トキハ 之 ヲ買 主 二 告 ケ 而 モ 之 ヲ買 フ ヘ キ ヤ 否 ヤ ヲ確 メ サ ル ヘ カ ラ ス然 カ ラス ンハ 売 主 ハ 其 物 二 蝦 疵 ナ キ コ トヲ保 証 シ タ ル モ ノ ト看 倣 くら  ス モ 敢 テ過 酷 ト為 ス ヘ カ ラス 是 レ殻 疵 担 保 ノ 由 リ テ生 ス ル 所 以 ナ リ」 とさ れ て い る 。 例 え ば,岡 松 参 太 郎 博 士 は,当 初 暇 疵 担 保 責 任 の対 象 を限 定 せ ず,契 約 く ラ 責 任 で あ る と し,そ の 後,理 疵 担 保 責 任 の対 象 は特 定 物 で あ り,そ の 責 任

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土壌 汚染 における有害性の認識 と売主の暇疵担保責任277 の 性 質 は危 険 負 担 に基 づ く責 任 だ と改 め,売 主 が 負 う義 務 は引 渡 義 務 だ け で あ り,「 其 物 力 通 常 有 ス ヘ キ 又 ハ 契 約 上 豫 定 セ ラ ル ル債 値 又 ハ 性 質 ヲ鉄 け ラ ク」 場 合 に 負 う責 任 を危 険 負 担 だ と した。 く ラ 法 定 責 任 説 を採 る 石 田文 次 郎 教 授 は,「 暇 疵 とは,物 が 取 引 上 通 常 有 す べ き もの と認 め られ る性 質 を鉄 くか,又 は責 主 が 特 に保 有 す る と保 証 した 性 情 を鉄 くが た め に,其 物 の使 用 価 値 又 は交 換 価 値 を 減 少 せ しめ る もの 」 と し,鳩 山博 士 は,「 理 疵 ア リ トハ 當 該 ノ物 ガ通 常 有 ス ル 性 質 又 ハ 當 事 者 ノ特 二保 有 ス ベ キ モ ノ ト定 メ タル 性 質 ヲ鉄 如 シ為 メ ニ物 ノ使 用 価 値 又 ハ 交 くの 換 価 値 ヲ減 少 」 させ る こ と を い い,契 約 締 結 時 に そ の 「意 思 ヲ表 示 シ タ ル コ トヲ要 ス ル ニ ア ラ ズ 又 買 主 ノ純 然 タ ル主 観 的 判 断 ノ ミニ 依 ル ニ モ ア ラズ, 契 約 ノ性 質 責 主 二知 レ タ ル契 約 ノ 動 機 等 」 に よ り,買 主 が そ の権 利 ノー 部 くゆ で は売 買 契 約 を締 結 し なか っ た と推 断 で きれ ば よ い とす る。 柚 木 博 士 は,物 が 「通 常 有 す べ き性 質 」 を 欠 く場 合 だ け で な く,「 合 意 く の 上 の 目的 に対 す る物 の 使 用 性 」,換 言 す れ ば,売 買 目 的 物 に つ き合 意 した 「使 用 性 」 を欠 く場 合 に蝦 疵 と判 断 さ れ る 。 く    く ヨ  我 妻 博 士 は,殻 疵 と は 「売 買 の 目的 物 に物 資 的 な鉄 黒占が あ る場 合 」 で あ り,「 鉄 貼 と認 め るべ きか ど うか は,(i)一 般 に は,そ の種 類 の も の と して 通 常 有 す べ き品 質 ・性 能 を標 準 と して 判 断 す べ き で あ る 。 然 し,㈹ 責 主 が, 見 本 に よ り,ま た は広 告 を して,目 的 物 が特 殊 の 品 質 ・性 能 を有 す る こ と を示 した と き は,そ の 特 殊 の標 準 に よつ て これ を定 むべ きで あ る」 と して, 「通 常 有 す べ き性 質 」 を 欠 く場 合 だ け で は な く,「 売 主 」 が 見 本 ・広 告 に く  ラ よ りあ る と した 品質 ・性 能 が 欠 け て い た場 合 も理 疵 と され る。 一 方,契 約 責 任 説 の 立 場 に立 つ 来 栖 三 郎 博 士 に よ れ ば,特 定 物 売 買 にお け る理 疵 とは,「 物 に少 な か らず そ の 価 額 を減 じ,又 は そ の通 常 の用 途 も し くは 契 約 上 予 定 され た用 途 に 適 しな くさせ る 欠 陥 の あ る こ と」,売 主 が 保 証 した 性 能 を具 備 しな い こ と,即 ち,「 契 約 当 事 者 間 で,な い と前 提 し た 欠 陥 が あ り,ま た あ る と保 証 した 特 性 が な い こ と」 つ ま り 「物 が 契 約 の くユつ 適 合 して い な い こ と」 をい う と され る。 そ の前 提 と な っ て い る の は,「 鍛 疵 の な い 物 の 権 利 を移 転 す る義 務 」 と

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くユ   い う単 な る 権 利 移 転 義 務 で は な い 売 主 の義 務 と さ れ る 。 星 野 博 士 に よ れ ば,売 主 は,売 買 代 金 に見 合 う 「合 意 され た 目的 物 を給 ロフラ 付 す る債 務 」 を負 う こ と に な る 。 く    ま た,本 件 最 高 裁 判 決 の 評 釈 に お い て も,裁 判 例 に お い て は主 観 的 殻 疵 概 念 と客 観 的 理 疵 概 念 が 対 立 的 に は 捉 え られ て お らず,第 一 段 階 と して 目 的 物 の カ テ ゴ リ ー(宅 地 ・新 築 住 宅 な ど)を 確 定 し,第 二 段 階 「当 該 カ テ ゴ リ ー に属 す る物 と して あ るべ き性 質 を備 え て い る か」 との 検 討 を経 て, そ の 第 二 段 階 にお い て 「通 常 の利 用 目 的 な い し性 質 」 又 は 「特 別 の 利 用 の 目的 な い し性 質 」 とい う基 準 に 照 ら して暇 疵 判 断 が な され て い る との 指 摘 に基 づ き,本 件 最 高 裁 判 決 は こ の う ち の 第 二段 階 に位 置 づ け られ る とす る く    もの が あ る 。 そ の 一 方 で,鍛 疵 は 「① 一ア:目 的 物 が 保 有 す べ き こ と を取 引 一 般 に期 待 さ れ る使 用 に適 す る性 質(通 常 の 使 用 適 正)を 欠 く場 合,① 一イ:当 事 者 が 前 提 と した 使 用 目的 に照 ら して 通 常 の使 用 適 正 を 欠 く場 合,② 当 事 者 が 特 別 に契 約 条 件 な い し前 提 と した 品 質 ・性 能 を欠 く場 合,③ 売 主 が 特 に 保 有 す る と保 証 した 品 質 ・性 能 を欠 く場 合 に区 別 」 で き,「 ① 一ア,イ は, 客 観 的欠 陥 と して,570条 の 蝦 疵 に含 め て よ いが,② ③ に つ い て は570条 の 蝦 疵 に含 め るべ きで は な く,他 の 法 的 方 法 で 処 理 す べ き」 で あ り,本 事 案 く の で は① が 問 題 と な る が 客 観 的理 疵 に は あ た ら ない とす る 見 解 もあ る 。 そ れ は,「 蝦 疵 担 保 責 任 は,あ く まで 例 外 と して,買 主 の 一 定 の期 待 を推 定 的 前 提 の範 囲 で 顧 慮 し,当 事 者 に合 意 は な い が,法 に よ って 擬 制 され る法 的 保 証 で あ る こ とが そ の本 質 で あ る か ら,社 会 通 念 に照 ら し て欠 陥(有 害) で あ る と認 識 す らで き ない 物 質(ま た は認 識 の しよ うが ない 物 質)に つ い て は,当 時 の 法 が 予 期 しな い,ま た は法 の保 護 が 全 く予 定 して い な い もの で あ り,か つ,買 主 の性 質 の錯 誤 は,契 約 当 時 の 社 会 的 認 識 か ら判 断 す る しか な い(有 害 と認 識 す ら して い ない 状 況 で 錯 誤 は起 こ りえ な い)か ら」 く の だ と す る 。

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土壌 汚染 における有害性の認識 と売主の暇疵担保責任279 2有 害 性 に関 す る社 会 通 念(認 識)と 暇 疵 判 断 有 害 物 は 契 約 締 結 時 に も存 在 は して い た が,そ れ が 有 害 と は認 識 され な い ま ま存 在 し,後 に有 害 で あ る こ とが認 識 さ れ た場 合 に,現 在 の認 識 を持 っ て 契 約 締 結 時 に存 在 した 物 を暇 疵 と把 握 す る か 。 こ の 問 題 につ い て は,従 く  ラ 来 ほ とん ど議 論 さ れ て こ な か っ た 。 そ の有 害 物 質 自体 は 契 約 締 結 時 に存 在 して い た こ とが この 問題 を複 雑 に して い る 。 つ ま り,契 約 締 結 時 に は有 害 物 で は な い 「た だ の物 」 と して存 在 は して い た の で あ る が,そ れ が 後 に有 害 物 で あ る と 「評 価 」(認 識)さ れ た の で あ る。 法 令 規 制 や 社 会 通 念(認 識)形 成 に よ り,従 来 「暇 疵 で な い 」 もの が 「暇 疵 あ る 」 もの とな るの で あ る 。 物 質 が契 約 締 結 時 に も存 在 して い た こ と と,蝦 疵 判 断 基 準 時 を どの よ う く ヨ  に捉 え るべ きか 。 第 一 審 は,契 約 締 結 時 で は な く,契 約 締 結 の 約10年 後 に発 効 した 都 条 例 を基 準 に暇 疵 を判 断 すべ き とのXの 主 張 を契 約 締 結 時 に は有 害 物 質 に関 す る法 令 規 制 が なか っ た こ と を理 由 に一 蹴 した 。 そ れ に対 し原 審 で は,通 常 の土 地 取 引 にお い て,「 生 命,身 体,健 康 を 損 な う危 険 の あ る有 害 物 質 が 上 記 の 危 険 が な い と認 め られ る 限度 を超 え て 含 ま れ て い な い こ とは,上 記 売 買 契 約 の 目的 に照 ら し,売 買 契 約 の 目的 物 で あ る土 地 が 通 常 備 え るべ き品 質,性 能 に 当 た る とい うべ き」 と した 。 そ も そ も,「 危 険 の な い こ と」 を通 常 存 す べ き 品 質 ・性 能 と した 上 で,蝦 疵 判 断 を 行 い,本 事 案 で570条 の 蝦 疵 の 存 在 を肯 定 した の で あ る 。 そ して, そ の 暇 疵 判 断 を要 す る場 面 と して 以 下 の よ う に3つ の場 面 を挙 げ,そ れ ら を区 別 す べ き理 由 は な い こ とを そ の 理 由 と した 。 そ れ は,(高 ①)「 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 土 地 の土 壌 に実 際 に は 有 害 物 質 が 含 ま れ て い たが,売 買 契 約 締 結 当 時 は取 引 上 相 当 な 注 意 を払 っ て も発 見 す る こ とが で きず,そ の 後 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 土 地 の 土 壌 に 売 買 契 約 締 結 当 時 か ら当 該 有 害 物 質 が 人 の 生 命,身 体,健 康 を損 な う危 険 が な い

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280(桃 山法学 第23号'14) と認 め られ る 限 度 を超 え て含 ま れ て い た こ と が 判 明 した 場 合 」,(高 ②) 「居 住 そ の 他 の土 地 の 通 常 の利 用 を す る こ と を 目的 と して 締 結 さ れ た 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る土 地 の 土 壌 に 含 ま れ て い た 物 質 が 当 時 の 取 引観 念 上 は 有 害 で あ る と認 識 され て い な か っ た が,売 買 契 約 後 に 有 害 で あ る と社 会 的 に認 識 され た 場 合 に お い て,売 買 契 約 の 目的 物 で あ る 土 地 の 土 壌 に 当 該 物 質 が 人 の 生命,身 体,健 康 を損 な う危 険 が な い と認 め られ る 限度 を超 え て 含 ま れ て い た こ とが 判 明 した と き」,(高 ③)「 売 買 契 約 の 目 的 物 で あ る土 地 に含 ま れ て い た物 質 が 当 時 の取 引 観 念 上 は 有 害 で あ る と認 識 され て い な か っ た が 売 買 契 約 後 に有 害 で あ る と社 会 的 に認 識 さ れ た た め に,当 該 物 質 を土 壌 を 汚 染 す る もの と して こ れ を規 制 す る 法 令 が 制 定 され る に 至 っ た場 合 にお い て,売 買 契 約 の 目 的物 で あ る土 地 の 土 壌 に 当 該 物 質 が 人 の 生 命, 身 体,健 康 を損 な う危 険 が な い と認 め られ る 限 度 を超 え て 含 ま れ て い た こ とが 判 明 した と き」 で あ る。 こ れ を ご く単 純 化 す る と,次 の よ う に な ろ う。 (高① 一a)売 買 契 約 締 結 時 に有 害 物 質 が 存 在 した が,(高 ① 一b)契 約 締 結 時 に 相 当 な 注 意 を もっ て 発 見 で きず,(高 ① 一c)後 に 生 命 ・身 体 ・健 康 を損 な うお そ れ が 判 明 した 場 合 と,(高 ② 一a)売 買 契 約 締 結 時 に問 題 物 質 が 存 在 した が,(高 ② 一d)契 約 締 結 時 に相 当 な注 意 を も っ て も問 題 物 質 を 有 害 物 質 とは 認 識 で きず,(高 ② 一e)契 約 締 結 時 の 取 引 観 念 に お け る 社 会 的 有 害 認 識 が な か っ たが 後 に生 じ,(高 ② 一c)生 命 ・身体 ・健 康 を損 な う お そ れ が 判 明 した 場 合,そ して,(高 ③ 一a)売 買 契 約 締 結 時 に 問 題 物 質 が 存 在 し,(高 ③ 一e)契 約 締 結 時 の 取 引 観 念 に お け る社 会 的 有 害 認 識 が なか っ た が 後 に 生 じ,(高 ③ 一f)後 に法 令 規 制 が な され,(高 ③ 一c)後 に生 命 ・身 体 ・健 康 を損 な うお そ れ が 判 明 した 場 合 で あ る。 こ れ ら を契 約 締 結 時 を基 準 に見 る と,(高 ①)の 場 合 は,そ も そ も契 約 締 結 時 に 問 題 物 質 が 有 害 物 質 で あ る こ との認 識 を要 素 と しな い場 合 で あ る。 契 約 締 結 時 に は,有 害 物 質 が 存 在 した と い う 「事 実 」(高 ① 一a)と,相 当 な注 意 を もっ て して も当 該 物 質 を発 見 で きな か っ た(高 ① 一c)と い う要 素 しか 存 在 しな い 。

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土壌 汚染 における有害性の認識 と売主の暇疵担保責任281 (高②)の 場 合 は,契 約 締 結 時 に は既 に有 害 物 質 が存 在 した とい う 「事 実 」(高 ② 一a)だ け で な く,相 当 な注 意 を も っ て す れ ば 問 題 物 質 を発 見 す る こ とは で き る もの の,当 該 物 質 を有 害 物 質 と 「認 識 」 す る こ とは で きず (高② 一d),ま た,取 引 観 念 上 有 害 性 の 「認 識 」 も な か っ た(高 ② 一e)と い う,「 認 識 」 が 要 素 と して 入 っ て い る 場 合 で あ る 。 (高③)の 場 合 は,契 約 締 結 時 に は既 に有 害 物 質 が存 在 した とい う 「事 実 」(高 ③ 一a)と,取 引 観 念 上 有 害 性 の 「認 識 」 が な か っ た(高 ③ 一e)場 合 で あ り,契 約 締 結 時 を基 準 と して 傭 鰍 す る と,)(高 ②)の 場 合 と大 きな 違 い は存 在 しない 。 原 審 で は(高 ①)の 場 合 と(高 ②)の 場 合 を,「 売 買 契 約 の 目 的物 で あ る土 地 の土 壌 に人 の生 命,身 体,健 康 を損 な う危 険 の あ る有 害 物 質 が 上 記 の 危 険 が な い と認 め られ る 限度 を超 え て含 まれ て い な い こ と とい う,上 記 売 買 契 約 の 目的 物 で あ る土 地 が 通 常 備 え るべ き品 質,性 能 を欠 く とい うべ く    き」 とい う点 に お い て 差 は な い とす る 。 そ して,「 売 買 契 約 の 当 事 者 双 方 が 予 期 しな か っ た よ う な売 買 の 目的 物 の性 能,品 質 に 欠 け る点 が あ る とい う事 態 が 生 じた と き」 に,そ の負 担 を売 主 の 帰 責 事 由 にか か わ らず 売 主 に 負 わせ る こ と とす る制 度 で あ る とい う意 味 で(高 ①)な い し(高 ③)の 場 合 を 区別 す べ きで は な い とす る 。 確 か に,契 約 締 結 時 に,有 害 物 質 との認 識 の 有 無 や 有 害 物 質 規 制 法 令 の 有 無 に係 わ らず,本 件 土 地 に有 害物 質 が存 在 した とい う 「事 実」 だ け を もっ て,あ くま で も純 粋 に客 観 的 に 「殻 疵 」 判 断 をす る の で あ れ ば,(高 ①) か ら(高 ③)の いず れ も蝦 疵 が あ る と判 断 され る だ ろ う。 こ の場 合 の 蝦 疵 判 断 は,取 引 通 念 に しろ,当 事 者 に し ろ,そ の認 識 の 可 ゆ   否 ・有 無 を も認 識 の レベ ル を も問 題 に しな い 判 断 で あ る 。 蝦 疵 担 保 責 任 に お け る暇 疵 が,売 買 目 的物 が 通 常 備 え るべ き品 質 ・性 能 を欠 く場 合 で あ る とす る,そ の 「通 常 」 は,判 断 基 準 時 にお け る暇 疵 に 関 す る 「認 識 」 の 有 無 や 法 令 の有 無 を前 提 と した,一 般 通 常 人 を基 準 と して 裁 判 官 が判 断 す る 「通 常 」 で あ る 。 売 主 に,鍛 疵 に 関 す る 「認 識 」 も法 令 規 制 も な い状 態 で,「 理 疵 の な い

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282(桃 山法学 第23号'14) もの 」 を給 付 す べ き義 務 を負 わ せ る こ とは,不 可 能 を 強 い る こ とに な る。 ま た,一 般 に鍛 疵 担 保 責 任 に お け る売 主 が 無 過 失 責 任 を負 う とい わ れ る く    が,い つ で も,(限 界 は あ る にせ よ)い つ まで で も長 期 間 に わ た り発 見 さ れ た場 合 に は 売 主 の責 任 が 追 及 され る とい う こ と は,売 主 に あ ま りに酷 で く の あ る と評 価 され 得 る 。 更 に,売 買 契 約 締 結 時 点 の取 引 通 念 を基 準 と して有 害 性 を判 断 した 場 合 には暇 疵 性 が 否 定 され る と ころ,高 裁 判 決 は,売 買 契 約 締 結後 の取 引 通 念 ・ 有 害 物 質規 制 法 令 を基 準 と して有 害 性 を判 断 し,売 買 目的 物 の蝦 疵 性 を肯 定 して い る 。 これ は,取 引通 念 ・有 害 物 質 規 制 法令 を契 約 締 結 時 に 「遡 及 させ て い る」 点 に合 理 的 説 明 が つ か ない 。 暇 疵 で あ る こ とが 契 約 締 結 時 に は 明 らか で あ り,た だ そ れ が 契 約 締 結 時 に は判 明せ ず 隠 れ て い た だ け で あ る多 くの暇 疵 物 と異 な り,契 約 締 結 後 に 法律 上 の理 疵 が 発 生 した 場 合 に類 似 す る が,理 疵 判 断 基 準 時 を 「遡 及 」 さ く    せ る た め の 法 的 根 拠 が ない 。 原 審 が 売 買 契 約 一 般 を対 象 と して 判 断 した の に対 し,最 高 裁 は 「売 買 契 約 の 当事 者 間 にお い て 目的 物 が どの よ うな 品 質 ・性 能 を有 す る こ とが 予 定 され て い た か 」 を判 断対 象 と して い る。 そ して,契 約 当 事 者 が 予 定 して い た 品 質 ・性 能 につ い て は,ま ず,契 約 締 結 時 の 取 引 観 念 上 の 認 識 を斜 酌 す べ き とす る 。 そ の上 で 最 高 裁 判 決 は,暇 疵 判 断 につ き大 き く2つ の 場 面 を示 して い る。 そ の1つ は,〔 最 ① 一1〕取 引 観 念 上 有 害 性 の 認 識 が あ る か又 は契 約 当 事 者 に そ の 認 識 が あ る か,ま た,〔 最 ① 一2〕法 令 に よ る有 害 物 質 規 制 が 存 在 す る か で あ り,も う一 つ は,〔 最 ② 〕 当 事 者 間 で 一 切 有 害 物 質 の な い 土 地 が 予 定 され て い た か で あ る。 〔最① 〕 にお い て,単 に法 令 に よる有 害 物 質 規 制 の 存 在 の有 無 〔最 ① 一2〕 と は別 に,契 約 締 結 時 の 「取 引観 念 上 」 の有 害 性 の認 識 の 有 無 〔最 ① 一1〕 を判 断 して い る。 最 高 裁 判 決 が い う この 「取 引観 念 上 の認 識 」 と は どの よ う な もの か 。

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