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東アジアの越境的なリージョナル放送の構築

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Academic year: 2017

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東アジアの越境的なリージョナル放送の構築

大学院メディア・コミュニケーション研究院

大学院国際広報メディア・観光学院 准教授

専門分野 : 文化社会学,マス・コミュニケーション研究,日韓関係論

研究のキーワード : リージョナル放送,ナショナリズム,コミュニケーション,アニメ HP アドレス : http://www.imc.hokudai.ac.jp/imcts/teacher/?cmd=dt&id=6

何を目指しているのですか

東アジアでは、歴史問題や領土問題をめぐり、国家の論理を優先するナショナル・メディ アの越境的な展開によって葛藤と対立が表面化します。しかしこの地域には共有する将来 のビジョンを探り、未来への共通利益を創出していく政治過程と経済的・文化的交流が求 められ、そのためにも域内の相互理解を増進し信頼関係を構築するコミュニケーションが 必要となります。そこで、ナショナリズムを乗り越えて、地域の安定と相互信頼を醸成す ることで共通のアイデンティティを育むリージョナル放送空間の構築を将来的課題とし、 自国中心の国益や歴史感情に左右されない放送とは如何なるものであり、そうした放送媒 体の設立には何が必要なのかについて考えています。

こうした放送の一例と して、欧州連合(EU) には各国の公共放送がコ ンソシウムを形成して設 立したユーロニューズの ような多言語衛星放送が あります。ユーロニュー ズは、特定の国家の観点 に与することなく、中立 的に報道を行うことで地 域の相互理解に貢献して いるといわれ、それをと おして「ヨーロッパ人」 というアイデンティティ を育んでいます。しかし 東アジアに目を向けると、竹島や尖閣諸島をめぐって日韓、日中が対立すると、各国のメ ディア報道は冷静な対応を促すよりも対立を助長することで緊張を高めているのです。さ らに、インターネット上のサイバー空間ではナショナリズムが衝突することで、激しい非 難の応酬が繰り広げられているのが現状です。

したがって、東アジアのリージョナル放送の構築を将来的課題に据えながら、その公論 形成の過程を政治学・社会学・国際メディア研究の側面からアプローチして実践的な取り

国:韓国 最終学歴:東京大学大学院

人文社会系研究科

社会

歴史・領土問題

メディア報道の対立

インターネット世論の衝突 人権問題

北朝鮮報道

反 日 デ モ 靖国参拝

食料・環境 中国脅威論

外国人犯罪 共通のアイデンティティ 越境的リージョナル放送

東アジアの公論形成

東アジア共同体

ひょん

武岩

あん

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ユーロニューズのデモ画面 日韓中テレビ制作者フォーラム(2011年9月 札幌)

組みに役立ちうる理論的基盤を構築することがまず課題となります。すると、東アジアに おける越境的なリージョナル放送の在り方は、メディアシステムの問題だけでなく、地域 の国際政治や人的・文化的変動のなかでグローバル化する現状を見据えながら考察しなけ ればならないため、情報産業論、大衆文化研究、ジャーナリズム論、ナショナリズム論、 日韓・日中関係論などの多様な視点から領域横断的に取り組むことが求められます。

どんな調査をしているのでしょうか

では、具体的にどのような調査を行っているかいくつかご紹介します。

たとえば、日本・韓国・中国三カ国のテレビ制作者が持ち寄った番組について議論し、 それぞれが直面する社会問題や表現手法などについて語り合う場として、2001年に始まっ た「日韓中テレビ制作者フォーラム」があります。東アジアのリージョナル放送の設立が 現実になったとき、そこには報道の仕方や番組の作り方、また視聴者の受け止め方など、 それぞれの社会体制や政治文化によってさまざまな課題が浮上することが予想されますが、 そうした諸問題が集約された縮図である同フォーラムの参与観察をとおして、それらの解 決策を探ることができます。

また、今日、大衆文化の交流は東アジアにおいてともに楽しむ共通の土台ができつつあ りますが、各国のコンテンツが越境したとき、それぞれの社会ではどのように受け入れら れているのでしょうか。たとえば『ちびまる子ちゃん』は中国や韓国でも人気のある日本 のアニメですが、こうした〈ホームアニメ〉のなかに描かれている日本特有のナショナル な生活スタイルや、伝統的な日本文化、日本の家庭内のやり取りなどが、中国や韓国で積 極的に受け入れられている背景は、日本とは異なるはずです。

そのほかにも、コンテンツの流通の産業的な視点や歴史文化的な視点、歴史認識や家族 像など価値観の表現や消費からの視点など、多岐にわたる領域をカバーする包括的なアプ ローチをとおして、共通の歴史認識や価値観を反映する番組作りの方法について探ること で、この地域における大衆文化の交流のさまざまな側面を東アジアの公論形成という視点 から体系化することが今後必要になるでしょう。

次に何を目指しますか

東アジアのリージョナル放送の構築という具体的な組織や仕組みをどのように具体化し ていくことができるのか、政策・組織・コンテンツなどの諸側面から地域のアイデンティ ティを育むリージョナル・メディアのモデルを提示し、それが実現できるさまざまな方策 を樹立します。

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参照

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