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文献案内 数理統計 2016 S1・S2 Kengo Kato

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2016.7.4. 作成:加藤賢悟

「数理統計」 文献案内

講義の教科書として指定している竹村 (1991)は,昔の「数理統計」の講義がベースに なっていて,中級レベルの統計学をある程度詳細にまとめた優れた教科書だと思う.その 他に,講義のレベルに適合する教科書として,久保川(2015), Bickel and Doksum (2015), Knight (2000)がある.Wasserman (2003)はユニークな教科書であり,中級レベルの数理 統計学の教科書では扱われることの少なかったノンパラメトリック回帰やカーネル密度推 定などもカバーしている.統計学の幅広いトピックを概観するにはよい本といえる1

数理統計学は測度論的な確率論に立脚していて,数理統計学を数学的に厳密に理解しよ うとするならば,測度論的な確率論を理解することが必要になる.しかし,本講義では, そこまで厳密性にはこだわらず,教養レベルの解析学と線形代数のみを前提として,数理 統計学の基本的な考え方を理解することを目標にしている(線形回帰は「計量経済学」で カバーされるので「数理統計」ではカバーしない).

このような事情から,講義では厳密性を犠牲にした箇所が多くある.そのような箇所に は適宜注意を加えてきたが,数学的な細部が気になる場合,講義ノートだけをもとにあれ これ悩むよりは,早い段階で測度論的確率論を勉強してしまったほうがすっきりする.測度 論的確率論に関するある程度平易な教科書として,舟木(2004), Resnick (1998), Williams (1991)を推薦しておこう.Resnick (1998)とWilliams (1991)は測度論の一般論もカバー している.数学的なバックグラウンドに不安がある場合は,Resnick (1998)が最適であろ う.測度論そのものについては,吉田伸(2006)が最近の標準的な教科書である.

測度論にもとづく(より厳密な) 数理統計学の教科書として,Lehmann and Casella (1998), Lehmann and Romano (2005),鍋谷(1978),吉田朋(2006)などがある.Lehmann の2巻本と鍋谷 (1978)は統計的決定理論に重点をおいた教科書である.内容は古典的で はあるが,勉強しておいて損はないであろう.ただし,Lehmannの2巻本は分量もあり, 通読は難しい.鍋谷(1978)はコンパクトにまとまっているが,具体例が少なく,抽象度が 高い.鍋谷(1978)を勉強しつつ,Lehmannを適宜参照するのがよいのかもしれない.吉

田朋 (2006)はもっとバランスのとれた教科書であり,漸近理論にも詳しい.

講義の後半に扱う漸近理論に関しては,Ferguson (1996), Serfling (1980), Neywey and McFadden (1994), van der Vaart (1998)などが標準的な文献である.この中ではFerguson

(1996)がコンパクトにまとまっていて読みやすい(本文は170ページで,演習問題の解答

がついている).van der Vaart (1998)は漸近決定理論をすっきりとまとめていて,研究レ ベルにおいても頻繁に引用される教科書であるが,証明の詳細を省略している箇所が多く, 通読するには相当な数学的成熟さが必要である.

ベイズ統計やMCMCについては,Gamerman and Lopes (2006), Robert and Casella (2004), Robert (2007)などが参考になる.

1同じ著者によるWasserman (2006)もノンパラメトリック統計を概観するにはよい本である.

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この講義に引き続いて統計学(や計量経済学)を専門的に勉強したい,という学生には,

「数理統計」の講義内容をちゃんと復習して,(1)回帰分析,(2)測度論と測度論的確率論, (3) Ferguson (1996)レベルの漸近理論,(4) Rなどのプログラミング言語,を勉強してお くと,そのあとの選択肢が広がる (ような気がする).

参考文献

Bickel, P.J. and Doksum, K.A. (2015). Mathematical Statistics: Basic Ideas and Selected Topics, Volume I, Second Edition. Chapman & Hall.

Ferguson, T.S. (1996). A Course in Large Sample Theory. Chapman & Hall.

Gamerman, D. and Lopes, H.F. (2006). Markov Chain Monte Carlo: Stochastic Simu- lation for Bayesian Inference (2nd Edition). Chapman & Hall.

Knight, K. (2000). Mathematical Statistics. Chapman & Hall.

Lehmann, E.L. and Casella, G. (1998). Theory of Point Estimation (2nd Edition). Springer.

Lehmann, E.L. and Romano, J. (2005). Testing Statistical Hypotheses (3rd edition). Springer.

Newey, W.K. and McFadden, D.L. (1994). Large sample estimation and hypothesis test- ing. In: Handbook of Econometrics Vol. IV (ed. by R.F. Engle and D.L. McFadden). Resnick, S. (1998). A Probability Path. Birkhauser.

Robert, C.P. (2007). Bayesian Choice (2nd Edition). Springer.

Robert, C.P. and Casella, G. (2004). Monte Carlo Statistical Methods. Spinger. Serfling, R.J. (1980). Approximation Theorems of Mathematical Statistics. Wiley. van der Vaart, A. (1998). Asymptotic Statistics. Cambridge University Press.

Wasserman, L. (2003). All of Statistics: A Concise Course in Statistical Inference. Springer.

Wasserman, L. (2006). All of Nonparametric Statistics. Springer.

Williams, D. (1991). Probability with Martingales. Cambridge University Press. 久保川達也.(2015).「現代数理統計学の基礎」近刊.

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竹村彰通.(1991).「現代数理統計学」創文社. 鍋谷清治.(1978).「数理統計学」共立出版. 舟木直久.(2004).「確率論」朝倉書店. 吉田朋広.(2006).「数理統計学」朝倉書店.

吉田伸生. (2006).「ルベーグ積分入門」遊星社.

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参照

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